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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086429
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/40 20060101AFI20240620BHJP
   B65D 47/08 20060101ALN20240620BHJP
   B65D 47/36 20060101ALN20240620BHJP
   B65D 51/22 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
B65D47/40 100
B65D47/08 130
B65D47/36
B65D51/22 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201544
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田山 晃介
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 献
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA02
3E084FA03
3E084FC04
3E084GA06
3E084GB08
3E084HA03
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD04
3E084KB01
3E084LA06
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
3E084LF09
(57)【要約】
【課題】上蓋6を旋回動せしめた際又は内容物を排出すべく上蓋6が開位置にある状態で容器を傾動せしめた際に、閉塞壁10の除去領域16の下面に付着した内容物がヒンジ手段8近傍に滴下することが防止される、新規の合成樹脂製容器蓋を提供すること。
【解決手段】除去領域16にヒンジ手段8が存在する側に向かって延びて且つ連結手段26が存在しない鰭部28を設けて鰭部28の延出端を上蓋6が閉位置にあるときに軸方向に見て垂下壁66の内側に配置させると共に、天面壁60の下面に下方に垂下する誘導片70を形成してこの誘導片70の先端部の下面を除去領域16の鰭部28の上面と近接乃至当接させる、又は除去領域16の鰭部28の上面に上方に向かって起立する誘導片70を形成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁とを有し、該閉塞壁は破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域及び該破断可能薄肉ラインよりも外側の残留領域に区画され、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有し、該天面壁の下面には下方に垂下する筒状垂下壁が設けられており、
該閉塞壁の該除去領域と該天面壁とは連結手段によって、該装着壁の外周面と該スカート壁の外周面とはヒンジ手段によって夫々連結されており、該上蓋が該本体の該閉塞壁を覆う閉位置から該閉塞壁を露呈せしめる開位置へ旋回開動せしめられると、該破断可能薄肉ラインが破断されて、該閉塞壁の該除去領域が該上蓋と一体となって該閉塞壁から除去される合成樹脂製容器蓋において、
該除去領域は、局所的に該ヒンジ手段が存在する側に向かって延びて且つ該連結手段が存在しない鰭部を含み、該鰭部の延出端は該上蓋が該閉位置にあるときに軸方向に見て該垂下壁の内側に位置し、
該天面壁の下面には下方に垂下する誘導片が形成されており、該誘導片の先端部の下面は該除去領域の該鰭部の上面と近接乃至当接する、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁とを有し、該閉塞壁は破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域及び該破断可能薄肉ラインよりも外側の残留領域に区画され、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有し、該天面壁の下面には下方に垂下する筒状垂下壁が設けられており、
該閉塞壁の該除去領域と該天面壁とは連結手段によって、該装着壁の外周面と該スカート壁の外周面とはヒンジ手段によって夫々連結されており、該上蓋が該本体の該閉塞壁を覆う閉位置から該閉塞壁を露呈せしめる開位置へ旋回開動せしめられると、該破断可能薄肉ラインが破断されて、該閉塞壁の該除去領域が該上蓋と一体となって該閉塞壁から除去される合成樹脂製容器蓋において、
該除去領域は、局所的に該ヒンジ手段が存在する側に向かって延びて且つ該連結手段が存在しない鰭部を含み、該鰭部の延出端は該上蓋が該閉位置にあるときに軸方向に見て該垂下壁の内側に位置し、
該除去領域の該鰭部の上面には上方に起立する誘導片が形成されている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該連結手段は該除去領域における該閉塞壁の上面及び下面が上方に変位した連結柱であって、該連結柱の上面が該天面壁の下面に溶着される、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
該鰭部は該ヒンジ手段が存在する側に向かって上方に傾斜している、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ手段を介して本体に接続された上蓋が本体に対して旋回開動せしめられると、本体の閉塞壁に形成された破断可能薄肉ラインが破断されて、本体の閉塞壁の除去領域が上蓋と一体となって閉塞壁から除去される、合成樹脂製容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油、食用油及びドレッシングの如き液体調味料のための合成樹脂製容器蓋として、下記特許文献1には、本体(中栓11)及び上蓋(蓋12)を含み、該本体は閉塞壁(天板部25)と該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁(外壁部21)とを有し、該閉塞壁は破断可能薄肉ライン(薄肉部28)によって囲繞された除去領域及び該破断可能薄肉ラインよりも外側の残留領域に区画され、該上蓋は天面壁(天板部31)と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁(側壁部32)とを有し、該天面壁の下面には下方に垂下する筒状垂下壁(密閉壁部33)が設けられており、該閉塞壁の該除去領域と該天面壁とは連結手段(シール板部29)によって、該装着壁の外周面と該スカート壁の外周面とはヒンジ手段(ヒンジ13)によって夫々連結されており、該上蓋が該本体の該閉塞壁を覆う閉位置から該閉塞壁を露呈せしめる開位置へ旋回開動せしめられると、該破断可能薄肉ラインが破断されて、該閉塞壁の該除去領域が該上蓋と一体となって該閉塞壁から除去される、合成樹脂製容器蓋が開示されている。また、下記特許文献2には、上蓋(上蓋D)が閉位置から開位置へ旋回開動せしめられると、破断可能薄肉ライン(弱化部12)が破断されて閉塞壁(隔壁11)の除去領域が上蓋と一体となって閉塞壁から除去される容器蓋において、該除去領域は局所的に該ヒンジ手段(ヒンジC)が存在する側に向かって延びる突出部を含み、該突出部の先端は該上蓋が該閉位置にあるときに軸方向に見て該垂下壁(シール筒32)の内側に位置する容器蓋が開示されている。これらの容器蓋では、該連結手段は該除去領域における該閉塞壁の上面及び下面が全体的に(つまり突出部も含めて)上方に変位した連結柱であって、該連結柱の上端部が該天面壁に溶着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-221643号公報
【特許文献2】特開2021-104834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上記特許文献1及び2に開示された容器蓋には、以下のとおりの解決すべき課題が存在する。内容物を攪拌せしめるべく容器蓋の装着された容器を容器蓋の上蓋が閉位置にある状態で上下に繰り返し激しく振った後に、容器を正立させて容器蓋の上蓋を蓋本体に対して旋回開動せしめると、除去領域の下面に内容物が付着したまま上蓋が旋回せしめられることがある。除去領域の下面に内容物が付着したまま上蓋が旋回せしめられると、旋回途中で内容物が除去領域の下面からヒンジ手段近傍に滴下して美観及び衛生上好ましくない。内容物を排出すべく容器を傾動せしめた際にも同様に内容物が滴下する虞がある。特に、上記特許文献2に開示された容器蓋のように、除去領域が局所的にヒンジ手段の存在する側に向かって延びる突出部を含んでいる場合には、上蓋が旋回開動せしめられると除去領域の下面に付着した内容物は突出部に移動せしめられ、突出部にて滴下しやすい傾向がある。上記特許文献1及び2に開示された容器蓋にあっては更に、該連結手段は該除去領域における該閉塞壁の上面及び下面が上方に変位した連結柱であって、該連結柱の上端部が該天面壁に溶着される構成であることから、連結柱の内側に内容物が残留し易く、上記課題は一層顕著である。なお、連結手段が除去領域における閉塞壁の上面及び下面を上方に変位した連結柱でなく、例えば天面壁の上面及び下面が下方に変位した連結柱であって、連結柱の下端部が閉塞壁の平坦な除去領域に溶着される場合、つまり除去領域の下面が平坦な場合でも、内容物は除去領域の下面に付着するため上記課題は存在する。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上蓋を旋回開動せしめた際又は内容物を排出すべく上蓋が開位置にある状態で容器を傾動せしめた際に、閉塞壁の除去領域の下面に付着した内容物がヒンジ手段近傍に滴下することが防止される、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、除去領域にヒンジ手段が存在する側に向かって延びて且つ連結手段が存在しない鰭部を設けて鰭部の延出端を上蓋が閉位置にあるときに軸方向に見て垂下壁の内側に配置させると共に、天面壁の下面に下方に垂下する誘導片を形成してこの誘導片の先端部の下面を除去領域の鰭部の上面と近接乃至当接させる、又は除去領域の鰭部の上面に上方に向かって起立する誘導片を形成することによって、上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
【0007】
そこで、上記主たる技術的課題を解決する合成樹脂製容器蓋として、本発明の第一の局面によれば、本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁とを有し、該閉塞壁は破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域及び該破断可能薄肉ラインよりも外側の残留領域に区画され、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有し、該天面壁の下面には下方に垂下する筒状垂下壁が設けられており、
該閉塞壁の該除去領域と該天面壁とは連結手段によって、該装着壁の外周面と該スカート壁の外周面とはヒンジ手段によって夫々連結されており、該上蓋が該本体の該閉塞壁を覆う閉位置から該閉塞壁を露呈せしめる開位置へ旋回開動せしめられると、該破断可能薄肉ラインが破断されて、該閉塞壁の該除去領域が該上蓋と一体となって該閉塞壁から除去される合成樹脂製容器蓋において、
該除去領域は、局所的に該ヒンジ手段が存在する側に向かって延びて且つ該連結手段が存在しない鰭部を含み、該鰭部の延出端は該上蓋が該閉位置にあるときに軸方向に見て該垂下壁の内側に位置し、
該天面壁の下面には下方に垂下する誘導片が形成されており、該誘導片の先端部の下面は該除去領域の該鰭部の上面と近接乃至当接する、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0008】
また、上記主たる技術的課題を解決する合成樹脂製容器蓋として、本発明の第二の局面によれば、本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁とを有し、該閉塞壁は破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域及び該破断可能薄肉ラインよりも外側の残留領域に区画され、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有し、該天面壁の下面には下方に垂下する筒状垂下壁が設けられており、
該閉塞壁の該除去領域と該天面壁とは連結手段によって、該装着壁の外周面と該スカート壁の外周面とはヒンジ手段によって夫々連結されており、該上蓋が該本体の該閉塞壁を覆う閉位置から該閉塞壁を露呈せしめる開位置へ旋回開動せしめられると、該破断可能薄肉ラインが破断されて、該閉塞壁の該除去領域が該上蓋と一体となって該閉塞壁から除去される合成樹脂製容器蓋において、
該除去領域は、局所的に該ヒンジ手段が存在する側に向かって延びて且つ該連結手段が存在しない鰭部を含み、該鰭部の延出端は該上蓋が該閉位置にあるときに軸方向に見て該垂下壁の内側に位置し、
該除去領域の該鰭部の上面には上方に起立する誘導片が形成されている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0009】
上記した本発明の第一の局面及び第二の局面にあっては、該連結手段は該除去領域における該閉塞壁の上面及び下面が上方に変位した連結柱であって、該連結柱の上面が該天面壁の下面に溶着されるのが好ましい。また、該鰭部は該ヒンジ手段が存在する側に向かって上方に傾斜しているのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内容物を攪拌せしめるべく容器を容器蓋の上蓋が閉位置にある状態で上下に繰り返し激しく振る等して除去領域の下面に内容物が付着した状態で、上蓋を旋回開動又は内容物を排出すべく上蓋が開位置にある状態で容器を傾動せしめたとしても、除去領域の下面に付着した内容物は、鰭部にて除去領域の下面から上面に回り込み、鰭部の上面と対向する誘導片の先端部から誘導片を伝って上蓋の天面壁に形成された筒状の垂下壁の内側に集められ、除去領域の下面に付着した内容物がヒンジ手段近傍に滴下することは防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態において、本体と上蓋とが連結される前であって且つ本体に対して上蓋が開位置にある状態の平面図。
図2図1に示す状態の容器蓋の底面図。
図3図1に示す状態の容器蓋のA-A線断面図。
図4図1に示す容器蓋において、本体に対して上蓋が閉位置にあって且つ本体の閉塞壁の除去領域と上蓋の天面壁とが連結された状態のA-A線断面図。
図5図4に示す状態から本体に対して上蓋が旋回して開位置にあるときのA-A線断面図。
図6図5に示す状態の容器蓋の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。なお、以下の説明における「上下方向」は、特に指定しない限り後述する上蓋が閉位置にある状態、つまり図4に示される状態を基準とする。
【0013】
図1乃至図4を参照して説明すると、全体を番号2で示す合成樹脂製容器蓋は適宜の合成樹脂から射出成形によって成形され、本体4及び上蓋6を含んでいる。そして、本体4及び上蓋6はヒンジ手段8を介して連結されている。
【0014】
本体4は閉塞壁10と閉塞壁10の周縁から垂下する円筒形装着壁12とを有している。閉塞壁10は平面視つまり図1において円形であって、破断可能薄肉ライン14によって囲繞された除去領域16及び破断可能薄肉ライン14よりも外側の残留領域18に区画される。破断可能薄肉ライン14は閉塞壁10に形成された環状の溝により構成される。除去領域16は閉塞壁10の中央部に位置する円形の中央部20と、中央部20からヒンジ手段8が存在する側に向かって延びる片側延出部22と、中央部20からヒンジ手段8が存在する側とは反対側に向かって延びる他側延出部24とを備えている。片側延出部22及び他側延出部24は中央部20の中心を通過する共通の直線上で直線状に延びている。図示の実施形態においては、除去領域16には閉塞壁10の上面及び下面が上方に変位した中空の連結柱26が存在する。連結柱26の基端縁は全体的に破断可能薄肉ライン14の内周縁に沿って存在するが、除去領域16の片側延出部22の延出端部、つまりヒンジ手段8が存在する側の延出端部には存在しない。除去領域16において連結柱26が存在しない上記部位を鰭部として番号28で示すと、鰭部28は局所的にヒンジ手段8が存在する側に向かって延びている。片側延出部22において鰭部28を除く部分における中央部20からの延出長さは他側延出部24における中央部20からの延出長さと等しく、連結柱26は、基端縁が除去領域16の中央部20に対応する主部30と、基端縁が片側延出部22(鰭部28を除く部分)及び他側延出部24に対応する一対のリブ32とを備える。主部30の上端は実質上水平に延在する上端壁34によって閉塞されており、上端壁34の上面には補助円環突条36が形成されている。鰭部28は径方向外方に向かって上方に傾斜している。理由は後述する。
【0015】
図1乃至図3を参照して説明すると、残留領域18は、実質上水平に延在する中央部40と、中央部40の外周縁から径方向外側に向かって上方に傾斜する逆円錐台形状の中間部42と、中間部42の外周縁から径方向外方に向かって実質上水平に延在する円環形状の外周縁部44とを備えている。中央部40の内周縁は除去領域16に形成された連結柱26の基端縁に沿って延在する。中央部40の外周縁(従って中間部42の内周縁)は連結柱26の外接円であるが、除去領域16の片側延出部22によって分断されている。このことから、除去領域16に形成された鰭部28は、周方向に見ると残留領域18の中間部42と同一平面上に存在することとなり、従って、上記したとおり鰭部28は径方向外方に向かって上方に傾斜することとなる。残留領域18の中間部42と外周縁部44との境界における閉塞壁10の上面には、上方に延出する略円筒形状の注出案内壁46が形成されている。注出案内壁46の上端部は半径方向外方に湾曲せしめられており、注出案内壁46の上端位置は、図1及び図3における右側が同左側よりも低くなるよう設定されている。また、注出案内壁46の上端位置は連結柱26よりも低い。残留領域18の外周縁部44における閉塞壁10の上面には、円筒形状の被係止壁48が形成されており、被係止壁48の外周面の上端部には環状の被係止突条50が形成されている。残留領域18の外周縁部44における閉塞壁10の下面には、下方に垂下する円筒形状のシール壁52が形成されており、シール壁52の外周面は装着壁12の内周面と径方向に間隔をおいて対向している。残留領域18の外周縁部44における閉塞壁10の下面には更に、シール壁52の外周面の基端部を囲繞して下方に突出する円環形状の微小突条54も配置されている。
【0016】
装着壁12の内周面下端部には係止手段56が配設されている。図示の実施形態においては、係止手段56は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個の弧状突起から構成されている。
【0017】
図1乃至図4を参照して説明を続けると、上蓋6は円形天面壁60と天面壁60の周縁から垂下する円筒形スカート壁62とを有し、スカート壁62の外周面下端部が本体4の装着壁12の外周面上端部にヒンジ手段8を介して連結されていて、上蓋6は本体4の閉塞壁10を覆う閉位置(図4に示す状態)と本体4の閉塞壁10を露呈せしめる開位置(例えば図3及び図5に示す状態)との間を旋回自在である。天面壁60の下面の中央部には下方に垂下する円環形状の受容突条64が形成されている。天面壁60の下面の外周縁部には下方に垂下する円筒形状の垂下壁66が形成されている。そして、天面壁60の下面における、受容突条64と垂下壁66との間の所要位置には、下方に垂下する誘導片70が形成されている。誘導片70はスカート壁62の下端を超えて下方に垂下している。図示の実施形態においては、誘導片70の断面形状は円弧形状であって先端部は下方に向かって径方向内側に傾斜している。スカート壁62の外周面下端部における上記ヒンジ手段8とは直径方向の反対側の部位には、半径方向外方に突出する鍔部72が配設されており、上蓋6を旋回開閉動する際に鍔部72に指を掛けることができる。スカート壁62の内周面には天面壁60の下面から下端部まで上下方向に直線状に延びるリブ74が周方向に間隔をおいて複数形成されている。上蓋6が閉位置にあるときに、リブ74の下面が被係止突条50の上面と当接することで、スカート壁62の変形は防止される。更に、スカート壁62の内周面下端には環状係止突条76が配設されている。
【0018】
ここで、容器蓋2は、図1乃至図3に示す状態、つまり本体4に対して上蓋6が開位置にある状態で成形せしめられ、成形後に上蓋6は開位置から閉位置に旋回せしめられる。図示の実施形態においては、注出案内壁46の上端位置が、図1及び図3における右側が同左側よりも低くなるよう設定されているため、上蓋6が旋回閉動せしめられた際に垂下壁66が注出案内壁46に噛み込むことが防止される。図4を参照して説明すると、上蓋6が閉位置に位置せしめられると、上蓋6の環状係止突条76が本体4の被係止突条50の外周面乃至下面に係止され、上蓋6は閉位置で保持される。上蓋6が閉位置にあるときには、上蓋6の垂下壁66の外周面が本体4の注出案内壁46の内周面に密接せしめられる。そして、上蓋6の天面壁60の下面に形成された受容突条64の内側に本体4の閉塞壁10に形成された連結柱26の主部30の上端部が嵌め合わされ、天面壁60と連結柱26の主部30の上端部とが例えば溶着により連結せしめられる。図示の実施形態においては、連結柱26が備える一対のリブ32の各々が同一形状であることに起因して、受容突条64の内側に連結柱26の主部30の上端部が嵌め合わされた際に、連結柱26が天面壁60に対して傾斜することが防止され、これにより上記溶着が安定する。天面壁60と連結柱26とを連結せしめる手段は任意であってよく、例えば接着剤による接着であってもよい。閉塞壁10の除去領域16と天面壁60とが連結せしめられた後にあっては、天面壁60に形成された誘導片70の先端部の下面は閉塞壁10の除去領域16における鰭部28上面と近接乃至当接する。
【0019】
図4には、本発明に従って構成された容器蓋2と共にかかる容器蓋2が適用される容器の口頸部も二点鎖線で図示されている。適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部100は上面が開放された円筒形状であり、その外周面上端部には被係止突条102が形成されている。口頸部100の外周面には、更に、被係止突条102の下方に位置するサポートリング104(このサポートリング104は容器を搬送する際に利用される)も形成されている。
【0020】
容器内に内容物を収容した後に口頸部100に容器蓋2を装着して口頸部100を密封する際には、容器蓋2、さらに詳しくは本体4に対して上蓋6が閉位置にせしめられており且つ本体4の閉塞壁10の除去領域16と上蓋6の天面壁60とが連結せしめられた状態の容器蓋2を口頸部100に被嵌して下方に強制し、本体4の装着壁12を弾性的に変形せしめて装着壁12の内周面に形成されている係止手段56を口頸部100の被係止突条102の下方に係止せしめる。
【0021】
容器の内容物を排出する際には、上蓋6の鍔部72の下面に指をかけ、鍔部72にヒンジ手段8を旋回中心とした上向きの力を加える。かくすると、かかる力は、天面壁60及び連結柱26を介して閉塞壁10に伝達され、閉塞壁10の除去領域16を上蓋6と共にヒンジ手段8を旋回中心として上方に変位させようとするため、破断可能薄肉ライン14に剪断応力を生じさせる。かかる剪断応力によって、図5に示すとおり、破断可能薄肉ライン14は直径方向に見てヒンジ手段8とは反対側の一方から他方に向かって漸次破断せしめられる。破断可能薄肉ライン14が完全に破断せしめられた後は、除去領域16は連結柱26を介して上蓋6と一体となって開方向に旋回せしめられ、かくして閉塞壁10には排出開口80が生成される。上蓋6は除去領域16と共に図5に示す開位置まで旋回せしめられる。上蓋6が除去領域16と共に開位置まで旋回せしめられた後にあっては、容器を適宜に傾動することによって、容器の内容物は排出開口80を通して排出される。容器の内容物が排出開口80を通して排出される際には、除去領域16の片側延出部22であった部分が空気穴として作用し、かかる空気穴から容器内に空気が確実に進入するようにすることで、内容物を充分円滑に排出することができる。
【0022】
内容物の排出を終了した後においては、上蓋6はヒンジ手段8を旋回中心として閉方向つまり閉塞壁10を覆う方向に閉位置まで旋回せしめられる。上蓋6が閉位置まで旋回せしめられる際には、垂下壁66の内側に集められた内容物が本体4の注出案内壁46の内側に流し込まれる。図示の実施形態においては、閉塞壁10の残留領域18の中間部42は径方向内側に向かって下方に傾斜せしめられた円錐台形状であることに起因して、注出案内壁46の内側に流し込まれた内容物は充分円滑に上記排出開口を通過して容器内に回収される。
【0023】
ここで、本発明の容器蓋によれば、内容物を攪拌せしめるべく容器を容器蓋2の上蓋6が閉位置にある状態で上下に繰り返し激しく振る等して除去領域16の下面に内容物が付着した状態で上蓋6を旋回開動又は内容物を排出すべく上蓋6が開位置にある状態で容器を傾動せしめたとしても、除去領域16の下面に付着した内容物は、鰭部28にて除去領域16の下面から上面に回り込み、鰭部28の上面と対向する誘導片70の先端部から誘導片70を伝って上蓋6の天面壁60に形成された筒状の垂下壁66の内側に集められ、除去領域16の下面に付着した内容物がヒンジ手段8近傍に滴下することは防止される。
【0024】
図示は省略するが、本発明の容器蓋にあっては、誘導片70が天面壁60の下面から下方に垂下することに替えて、誘導片は除去領域16の鰭部28の上面から上方に起立してもよく、誘導片が除去領域16の鰭部28の上面から上方に起立する場合には、除去領域16の下面に付着した内容物は、鰭部28にて除去領域16の下面から上面に回り込み、鰭部28の上面から上方に延出する誘導片を伝って上蓋6の天面壁60に形成された筒状の垂下壁66の内側に集められるため、図示の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0025】
以上、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋について添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。例えば、図示の実施形態においては、連結手段は除去領域16における閉塞壁10の上面及び下面が上方に変位した連結柱26であって、連結柱26の上面が天面壁60の下面に溶着されていたが、連結手段は天面壁の上面及び下面が下方に変位した連結柱であって、この連結柱の下面が平坦な閉塞壁の上面に溶着されていてもよい。
【符号の説明】
【0026】
2:合成樹脂製容器蓋
4:本体
6:上蓋
8:ヒンジ手段
10:閉塞壁
12:装着壁
14:破断可能薄肉ライン
16:除去領域
18:残留領域
26:連結柱(連結手段)
28:鰭部
60:天面壁
62:スカート壁
66:垂下壁
70:誘導片
図1
図2
図3
図4
図5
図6