(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086432
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】アスファルト混合物、アスファルト混合物の製造システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/30 20060101AFI20240620BHJP
E01C 7/22 20060101ALI20240620BHJP
C08L 95/00 20060101ALI20240620BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20240620BHJP
【FI】
C08J9/30 CEZ
E01C7/22
C08L95/00
C08K3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201550
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】五伝木 一
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄史
(72)【発明者】
【氏名】徳松 大雅
(72)【発明者】
【氏名】三浦 広己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰
(72)【発明者】
【氏名】阪田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】平藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】石井 礼次
【テーマコード(参考)】
2D051
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
2D051AF01
2D051AG01
2D051AH02
2D051AH07
4F074AA56
4F074AC32
4F074AC36
4F074AD01
4F074AG01
4F074CB52
4F074DA59
4J002AG001
4J002DE007
4J002DE027
4J002DF007
4J002DM006
4J002DM007
4J002FD016
4J002FD206
4J002FD327
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】簡便に得られる混合性及び締固め性に優れたアスファルト混合物、アスファルト混合物の製造システム及び方法を提供する。
【解決手段】再生アスファルト混合物の製造システム1は、骨材及び加熱アスファルトを混練するミキサ2と、加熱アスファルトに気体を注入して加熱アスファルトを微細気泡化し、微細気泡化された加熱アスファルトをミキサに供給するファインバブル製造装置7と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造方法であって、
前記加熱アスファルトに気体を注入して前記加熱アスファルトを微細気泡化させた状態で前記骨材と混合することを特徴とするアスファルト混合物の製造方法。
【請求項2】
骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造方法であって、
気体を注入して微細気泡化された状態の前記加熱アスファルトに加水してさらに発泡化させた状態の前記加熱アスファルトを前記骨材と混合する、
または、加水して発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させた状態の前記加熱アスファルトを前記骨材と混合する、
または、加水して発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させた状態の前記加熱アスファルトに再び加水してさらに発泡化させた状態の前記加熱アスファルトを前記骨材と混合する、
ことを特徴とするアスファルト混合物の製造方法。
【請求項3】
骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造システムであって、
前記骨材及び前記加熱アスファルトを混練するミキサと、
前記加熱アスファルトに気体を注入して前記加熱アスファルトを微細気泡化させるファインバブル発生装置と、
を備えていることを特徴とするアスファルト混合物の製造システム。
【請求項4】
骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造システムであって、
前記骨材及び前記加熱アスファルトを混練するミキサと、
前記加熱アスファルトに気体を注入して前記加熱アスファルトを微細気泡化させるファインバブル発生装置と、
前記加熱アスファルトに加水して前記加熱アスファルトを発泡化させる発泡装置と、
を備え、
前記発泡装置は、前記ファインバブル発生装置により微細気泡化された状態の前記加熱アスファルトに加水してさらに発泡化させる、
または、前記ファインバブル発生装置は、前記発泡装置により発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させる、
または、前記ファインバブル発生装置は、前記発泡装置により発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させ、前記発泡装置は、前記微細気泡化された状態の前記加熱アスファルトに再び加水してさらに発泡化させる、
ことを特徴とするアスファルト混合物の製造システム。
【請求項5】
骨材及び加熱アスファルトを混合して成るアスファルト混合物であって、
前記加熱アスファルトは、気体を注入されて微細気泡化されていることを特徴とするアスファルト混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物、アスファルト混合物の製造システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車道や歩道等の舗装において、砕石や砂等の骨材と、バインダとしての加熱アスファルトとを混練したアスファルト混合物が用いられる。
【0003】
特許文献1は、有機発泡剤及び発泡助剤を用いてアスファルトを発泡させ、発泡アスファルトと骨材とを含有して混合性及び締固め性に優れたアスファルト混合物を製造及び施工する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような方法では、アスファルトを発泡させるための添加剤の材料コストが高いという問題があった。
【0006】
そこで、混合性及び締固め性に優れたアスファルト混合物を簡便に得るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るアスファルト混合物の製造方法は、骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造方法であって、前記加熱アスファルトに気体を注入して前記加熱アスファルトを微細気泡化させた状態で前記骨材と混合する。
【0008】
また、本発明に係るアスファルト混合物の製造方法は、骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造方法であって、気体を注入して微細気泡化された状態の前記加熱アスファルトに加水してさらに発泡化させた状態の前記加熱アスファルトを前記骨材と混合する、または、加水して発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させた状態の前記加熱アスファルトを前記骨材と混合する、または、加水して発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させた状態の前記加熱アスファルトに再び加水して発泡化させた状態の前記加熱アスファルトを前記骨材と混合する。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るアスファルト混合物の製造システムは、骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造システムであって、前記骨材及び前記加熱アスファルトを混練するミキサと、前記加熱アスファルトに気体を注入して前記加熱アスファルトを微細気泡化させるファインバブル発生装置と、を備えている。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るアスファルト混合物の製造システムは、骨材及び加熱アスファルトを混合するアスファルト混合物の製造システムであって、前記骨材及び前記加熱アスファルトを混練するミキサと、前記加熱アスファルトに気体を注入して前記加熱アスファルトを微細気泡化させるファインバブル発生装置と、前記加熱アスファルトに加水して前記加熱アスファルトを発泡化させる発泡装置と、を備え、前記発泡装置は、前記ファインバブル発生装置により微細気泡化された状態の前記加熱アスファルトに加水してさらに発泡化させる、または、前記ファインバブル発生装置は、前記発泡装置により発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させる、または、前記ファインバブル発生装置は、前記発泡装置により発泡化された状態の前記加熱アスファルトに気体を注入してさらに微細気泡化させ、前記発泡装置は、前記微細気泡化された状態の前記加熱アスファルトに再び加水してさらに発泡化させる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るアスファルト混合物は、骨材及び加熱アスファルトを混合して成るアスファルト混合物であって、前記加熱アスファルトは、気体を注入されて微細気泡化されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、加熱アスファルトが気体を注入されて微細気泡化することにより、加熱アスファルトの流動性が向上するため、混合性及び締固め性に優れたアスファルト混合物を簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る再生アスファルト混合物の製造システムの構造を示す模式図。
【
図2】
図1のシステムを用いて再生アスファルト混合物を製造する手順の一例を示すフローチャート。
【
図3】各種実施例で用いた、ファインバブルアスファルト製造機の構成を示す模式図。
【
図4】実施例1に係る微細気泡化された加熱アスファルトに含まれる気泡の分布割合の例を示すグラフ。
【
図5】実施例2に係る微細気泡化されたストレートアスファルトにおける、循環回数と気泡の面積率との関係を示すグラフ。
【
図6】実施例2に係る微細気泡化された改質II型アスファルトにおける、循環回数と気泡の面積率との関係を示すグラフ。
【
図7】実施例3-1に係る微細気泡化させた加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図8】実施例3-2に係る微細気泡化させた加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図9】実施例4-1~4-2に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図10】実施例5-1~5-2に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図11】実施例6-1~6-2に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図12】実施例7-1~7-2に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図13】実施例8-1~8-2に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、かさ密度と圧裂係数との関係を示すグラフ。
【
図14】実施例9-1~9-2に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【
図15】実施例10に係る微細気泡化された加熱アスファルトを用いたアスファルト混合物における、締固め温度とかさ密度との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0015】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0016】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る再生アスファルト混合物の製造システム1の構成を示す模式図である。再生アスファルト混合物の製造システム1は、再生骨材と、新規骨材と、加熱アスファルトと、再生用添加剤を混練した再生アスファルト混合物を製造する。
【0018】
再生アスファルト混合物の製造システム1は、ミキサ2を備えている。ミキサ2は、混練二軸パグミルミキサであり、再生骨材、新規骨材、加熱アスファルト及び再生用添加剤を混練して再生アスファルト混合物を製造する。なお、再生アスファルト混合物とは、アスファルト舗装の表層、基層に用いられるものに限定されず、路盤材に用いられるものを含む。また、ミキサ2は、混練二軸パグミルミキサに限定されるものではなく、例えば連続式のドラムミキサ等であっても構わない。
【0019】
第1の計量槽3には、再生骨材が収容されている。再生骨材は、既存のアスファルト舗装を解体した際に発生した骨材を分級したものであり、劣化した旧アスファルトが表面に付着している。再生骨材は、第1の計量槽3からミキサ2に投入される。
【0020】
第2の計量槽4には、新規骨材が収容されている。新規骨材は、砕石、砂等である。新規骨材は、第2の計量槽4からミキサ2に投入される。
【0021】
添加剤タンク5には、再生用添加剤が収容されている。再生用添加剤は、再生骨材に付着した旧アスファルトの性状を改善させるものである。再生用添加剤は、例えば、アスファルト系再生用添加剤、石油潤滑油系再生用添加剤、鉱物系再生用添加剤、動・植物油系再生用添加剤、アスファルト乳剤系再生用添加剤等が挙げられる。また、再生用添加剤は、上述した1種を単独で用いても構わないし、2種類以上を組み合わせて用いても構わない。再生用添加剤の配合量は、再生骨材に含まれる旧アスファルトに対して質量比で1~40%の範囲内で設定されるのが好ましい。再生用添加剤は、添加剤タンク5から配管51を介して2流体ノズル52に圧送される。
【0022】
また、添加剤タンク5内の再生用添加剤には、発泡補助剤が混合されているのが好ましい。発泡補助剤は、再生用添加剤が微細気泡化されることを促進するものであり、例えば、ポリエチレングリコールモノオレート又はソルビタントリオレエート等から成る非イオン系界面活性剤である。発泡補助剤の配合量は、再生用添加剤に対して質量比で1~3%の範囲内で設定されるのが好ましい。
【0023】
2流体ノズル52は、液状の再生用添加剤をコンプレッサ53から供給される圧縮空気、窒素又は蒸気等の高速気流で粉砕して微細気泡化させる。微細気泡化された再生用添加剤は、ミキサ2に向けて吐出される。なお、2流体ノズル52の吐出口の形状を変更することにより、再生用添加剤が散布される範囲を調整することができる。
【0024】
なお、2流体ノズル52は、例えば、再生用添加剤を吐出するノズルに再生用添加剤を供給する配管と高速気流を供給する配管とが直接接続された構成であったり、再生用添加剤を高速気流で粉砕するチャンバと再生用添加剤を吐出するノズルとが配管等で離間して接続された構成等であっても構わない。特に、後者の構成であれば、ノズルと比べて比較的大容量のチャンバを用いるため、再生用添加剤に含まれる気体量を増大させることができる。
【0025】
アスファルトタンク6には、加熱アスファルトが収容されている。加熱アスファルトは、例えば、日本工業規格(JIS K 2207-1996 石油アスファルト)で規定された品質を有するストレートアスファルト、または「舗装設計施工指針(平成18年版)」((公社)日本道路協会)の付表8.1.11に示された性状を示す改質アスファルト等である。加熱アスファルトは、配管61を介して第3の計量槽62まで圧送される。また、第3の計量槽62内の加熱アスファルトは、配管63を介してノズル64に圧送された後にミキサ2に投入される。配管61、63に加熱アスファルトを圧送する図示しないポンプは、任意のポンプ周波数(例えば、60Hz)に設定される。
【0026】
また、第3の計量槽62とノズル64との間には、ファインバブル発生装置7が設けられている。ファインバブル発生装置7は、配管63の経路上に取り付けられ、コンプレッサ71から供給される圧縮空気、窒素又は蒸気等の気体を加熱アスファルトに注入して加熱アスファルト内に微細な気泡(ファインバブル)を発生させる。ファインバブル発生装置7が発生させるファインバブルは、例えば、直径1μm未満のウルトラファインバブルや、直径1~100μm未満のマイクロバブルを含む。
【0027】
ファインバブル発生装置7は、液状の加熱アスファルトに図示しないコンプレッサから供給される圧縮空気、窒素又は蒸気等の気体を注入して加熱アスファルトを微細気泡化させる2流体ノズル等のインラインミキサである。なお、ファインバブル発生装置7が供給する気体の種類、圧力、流量等は、アスファルト混合物の所望な性状に応じて任意に変更可能である。
【0028】
ファインバブル発生装置7は、例えば、エンバイロ・ビジョン株式会社製のマイクロ・ナノバブル発生装置(型式:YJノズル)、有限会社OKエンジニアリング製のファインバブル発生装置(型式:OKノズル)、又は株式会社ナゴヤ大島機械社のインラインミキサ(型式:VRラインミキサ)等である。なお、ファインバブル発生装置7が気泡を発生させる原理は、旋回液流式、エゼクター式又はベンチュリ―式等の何れであっても、又はこれらを組み合わせて使用しても構わない。
【0029】
このようにして、ファインバブル発生装置7を配管63に設けることにより、煩雑な改修を行うことなく加熱アスファルトを微細気泡化させるため、流動性に優れた加熱アスファルトを得ることができる。また、このようにして得られた加熱アスファルト内部に残存した微細気泡がベアリング効果を奏して骨材の動きを円滑化させるため、再生アスファルト混合物の混合性と締固め性が向上する。
【0030】
なお、ファインバブル発生装置7は、アスファルトタンク6と第3の計量槽62との間に設けられても構わない。また、再生アスファルト混合物の製造システム1内に、2台以上のファインバブル発生装置7を設けても構わない。これにより、複数のファインバブル発生装置7が、加熱アスファルト内に気体を繰り返し注入することにより、アスファルト混合物の混合性と締固め性をさらに向上させることできる。
【0031】
また、微細気泡化された加熱アスファルトに水を加えて、加熱アスファルトを水の気化膨張により発泡化させる図示しない発泡装置を設けても構わない。このような発泡装置は、ファインバブル発生装置7とノズル64との間、ファインバブル発生装置7と第3の計量槽62との間、又はファインバブル発生装置7と第3の計量槽62との間及びファインバブル発生装置7とノズル64との間にそれぞれ設けることが考えられる。ファインバブル発生装置7とノズル64との間に、微細気泡化された加熱アスファルトを水の気化膨張によりさらに発泡化させる図示しない発泡装置を設けることにより、ファインバブル発生装置7で注入される気体は、エア圧が高い程に微細気泡の発生量が増加する傾向にあるもののエア圧の昇圧には限界があるところ、ファインバブル発生装置7で加熱アスファルトに気体を注入した後に水を添加して加熱アスファルトを体積膨張させることにより、アスファルト混合物の混合性と締固め性をさらに向上させることできる。また、図示しない発泡装置をファインバブル発生装置7と第3の計量槽62との間、又はファインバブル発生装置7と第3の計量槽62との間及びファインバブル発生装置7とノズル64との間にそれぞれ設けた場合についても同様に、加熱アスファルトの体積膨張効果が得られるため、アスファルト混合物の混合性と締固め性をさらに向上させることできる。
【0032】
再生アスファルト混合物の製造システム1を構成する各機器は、図示しない制御装置によって動作制御される。制御装置は、例えば、CPU、メモリ等により構成され、制御装置の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現される。
【0033】
次に、再生アスファルト混合物の製造システム1の作用について、
図2に基づいて説明する。
図2は、再生アスファルト混合物を製造する手順を示すフローチャートである。以下では、1バッチ当たりの混合量1000kg、混合時間60秒程度で再生アスファルト混合物を製造する場合を例に説明する。
【0034】
まず、第1の計量槽3に収容された再生骨材をミキサ2に投入する(工程S1)。なお、再生骨材は、ミキサ2への投入前に予め加熱されている。再生骨材の投入量は、約600kgである。
【0035】
また、工程S1と略同時または工程S1に続いて、再生用添加剤を2流体ノズル52からミキサ2に拡散散布する(工程S2)。再生用添加剤の散布量は、約1~3kgであるが、再生骨材の分量や性状に応じて適宜調整される。再生用添加剤の散布時間は、例えば5~10秒程度である。
【0036】
次に、ミキサ2内の再生骨材及び再生用添加剤の混練りを行う(工程S3)。混練りに要する時間は、例えば5~10秒程度である。
【0037】
次に、ミキサ2に新規骨材を所定量だけ投入する(工程S4)。なお、新規骨材は、ミキサ2への投入前に予め加熱されている。新規骨材の投入量は、約380kgである。
【0038】
次に、約25kgの加熱アスファルトがノズル64からミキサ2に投入される(工程S5)。加熱アスファルトは、ファインバブル発生装置7により気体が注入されて微細気泡化された状態でミキサ2に投入される。また、微細気泡化された加熱アスファルトに水を加えて、微細気泡化された加熱アスファルトを水の気化膨張によりさらに発泡化させても構わない。また、水の気化膨張により発泡化させた加熱アスファルトにファインバブル発生装置7で気体を注入して、発泡化された加熱アスファルトをさらに微細気泡化させても構わない。さらに、水の気化膨張により発泡化させた加熱アスファルトにファインバブル発生装置7で気体を注入して、発泡化された加熱アスファルトをさらに微細気泡化させた後に、微細気泡化させた加熱アスファルトにさらに水を加えて、微細気泡化された加熱アスファルトを水の気化膨張によりさらに発泡化させても構わない。
【0039】
また、工程S5と並行してミキサ2による混練を行う(工程S6)。混練に要する時間は、例えば加熱アスファルトの投入開始から数えて40~50秒程度である。
【0040】
そして、ミキサ2による混練で得られた再生アスファルト混合物を外部に排出する(工程S7)。ミキサ2から排出された再生アスファルト混合物は、運搬車等に練り落とされる。微細気泡化された加熱アスファルトを使用した混合物は、含有される気泡に起因して締固め時のローラ転圧で骨材粒子が移動し易くなるベアリング効果(潤滑効果)を示し、締固め性を向上させることができる。なお、気泡は転圧後のアスファルト混合物から消失して残存しないため、アスファルト混合物の性状に悪影響を及ぼさない。
【0041】
なお、上述した実施形態では、第3の計量槽62の下流側に配置されて配管63内を圧送される加熱アスファルトを微細気泡化するファインバブル発生装置7を例に説明したが、ファインバブル発生装置7の構成はこれに限定されるものではない。例えば、アスファルトタンク6の出口付近にファインバブル発生装置7を設け、分岐配管65を介して微細気泡化された加熱アスファルトをアスファルトタンク6に還流させるように構成しても構わない。これにより、加熱アスファルト内に気泡を繰り返し発生させ、加熱アスファルト中に多数の気泡の含有させることができる。以下では、加熱アスファルトを微細気泡化させる工程を1回のみ行う方式を「排出型」と称し、加熱アスファルトに繰り返し微細気泡化させる工程を行う方式を「循環型」と称す。
【実施例0042】
次に、本発明を詳細な実施例に基づいて説明するが、本発明は後述する実施例に限定されるものではない。以下では、微細気泡化された加熱アスファルト(以下「ファインバブルAs」と称す)、及びファインバブルAsを用いた加熱アスファルト混合物(以下「ファインバブルAs混合物」と称す)の性能実験の結果を示す。
【0043】
以下の各種実施例では、
図3に示すファインバブルAs製造機100を用いてファインバブルAsを生成した。ファインバブルAs製造機100は、加熱アスファルトを収容するアスファルトタンク101と、アスファルトタンク101内の加熱アスファルトを送るポンプ102と、コンプレッサ103aから供給される圧縮空気を加熱アスファルトに注入して加熱アスファルトを微細気泡化させる2流体ノズル103と、排出されたファインバブルAsを受ける排出タンク104と、を備えている。なお、符号105は、開閉可能な3方向切替バルブである。
【0044】
以下の各種実施例における「排出型」とは、アスファルトタンク101内の加熱アスファルトが、2流体ノズル103により微細気泡化された後に、ファインバブルAsとして排出タンク104に排出される場合を意味する。また、「循環型」とは、アスファルトタンク101内の加熱アスファルトが、2流体ノズル103によって微細気泡化された後にアスファルトタンク101へ還流されるサイクルを複数回繰り返した後に、ファインバブルAsが、排出タンク104に排出される場合を意味する。
【0045】
[実験1(循環型)]
本実験では、2流体ノズル103として、エンバイロ・ビジョン株式会社製のマイクロ・ナノバブル発生装置(型式:YJノズル、以下「YJノズル」という)、有限会社OKエンジニアリング製のファインバブル発生装置(型式:OKノズル、以下「OKノズル」という)、及び又は株式会社ナゴヤ大島機械製のインラインミキサ(型式:VRラインミキサ、以下「VRラインミキサ」という)をそれぞれ用いて加熱アスファルト(ストレートアスファルト)を微細気泡化させて得られたファインバブルAsをアスファルトタンク101に還流することにより、ファインバブルAs内に気体を繰り返し注入し、ファインバブルAsに含まれる気泡の割合を気泡径ごとに測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトにエア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPaで気体(空気)を注入した。本実験結果を
図4に示す。
【0046】
ファインバブルAsに含まれる気泡の気泡径分布の測定は、以下の手順で行った。まず、約150~170℃のファインバブルAsを120℃程度に加熱したガラス板上に約0.02g滴下して液滴にカバーガラスを被せる。液滴が直径20mm程度の円形になった後に、光学顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス、VHX-900F)を用いて、視野内の各気泡について二値化処理して気泡径を求め、対象となる気泡径の数を視野内の気泡の数で除して百分率で算出した。なお、1試料に対する測定は、原則として3回行い、それらの平均値を気泡径分布とした。
【0047】
図4によれば、「YJノズル」及び「OKノズル」の何れであっても、気泡の60%程度は、気泡径が100μm未満のファインバブルに相当する微細な気泡であることが分かる。また、「VRラインミキサ」では、気泡の80%程度は、気泡径が100μm未満のファインバブルに相当する微細な気泡であることが分かる。
【0048】
[実験2(循環型)]
実験1と同様にして、2流体ノズルとして「YJノズル」又は「OKノズル」を用いて加熱アスファルト(ストレートアスファルト、改質II型アスファルト)を微細気泡化させて得られたファインバブルAsをアスファルトタンク101に還流することにより、ファインバブルAs内に気体を繰り返し注入し、ファインバブルAsに含まれる面積率を測定した。なお、加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトにエア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPaで気体(窒素)を注入した。本実験結果を
図5、
図6に示す。
【0049】
ファインバブルAsに含まれる気泡の面積率の測定は、以下の手順で行った。まず、約150~170℃のファインバブルAsを120℃程度に加熱したガラス板上に約0.02g滴下して液滴にカバーガラスを被せる。液滴が直径20mm程度の円形になった後に、光学顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス、VHX-900F)を用いて、視野内の気泡の面積を二値化処置して求め、これを視野面積で除することにより算出される。なお、1試料に対する測定は、原則として3回行い、それらの平均値を面積率とした。
【0050】
図5は、ストレートアスファルトにおける、循環回数とファインバブルAsの面積率との関係を示すグラフである。また、
図6は、改質II型アスファルトにおける、循環回数とファインバブルAsの面積率との関係を示すグラフである。
図5、
図6によれば、「YJノズル」及び「OKノズル」の何れであっても、循環回数が増えるにしたがって、ファインバブルAs内に多数の気泡が含まれて面積率が増大していることが分かる。
【0051】
[実験3(循環型)]
2流体ノズル103として「YJノズル」を用いて微細気泡化されたファインバブルAsをアスファルトタンク101に還流して、ファインバブルAs内に気体を繰り返し注入して異なる面積率のファインバブルAsを2種類生成し、これらファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物の締固め温度とかさ密度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力及び面積率は以下の通りである。また、本実験結果を
図7、
図8に示す。
・実施例3-1
エア流量設定値:約45L/min,エア圧:0.1MPa、面積率:4.4%/7.6%
・実施例3-2
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa、面積率:11.7%/8.7%
【0052】
図7は、実施例3-1における締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。
図8は、実施例3-2における締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図7、
図8中の「通常」とは、気泡を含まない通常のストレートアスファルトを示す。
図7、
図8によれば、実施例3-1の面積率7.6%、実施例3-2の面積率8.7%、面積率11.7%では、通常のストレートアスファルトに対してかさ密度が向上していることが分かる。また、実施例3-2が、実施例3-1に比べてかさ密度がさらに向上していることが分かる、これは、実施例3-2が、実施例3-1に比べて多くの気泡が含まれていることに起因すると考えられる。
【0053】
[実験4(排出型)]
2流体ノズル103として「YJノズル」を用いてストレートアスファルト内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物のかさ密度と締固め温度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力及び面積率は以下の通りである。また、本実験結果を
図9に示す。
・実施例4-1
エア流量設定値:約45L/min,エア圧:0.1MPa、面積率:7.9%
・実施例4-2
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa、面積率:10.4%
【0054】
図9は、締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図9中の「通常」とは、気泡を含まない通常のストレートアスファルトを示す。
図9によれば、気体の流量、圧力にかかわらず、通常のストレートアスファルトよりかさ密度が向上していることが分かる。
【0055】
[実験5(排出型)]
実験4と同様にして、加熱アスファルト(改質II型アスファルト)内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物のかさ密度と締固め温度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力及び面積率は以下の通りである。また、本実験結果を
図10に示す。
・実施例5-1
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa、面積率:6.1%
・実施例5-2
エア流量設定値:約145L/min,エア圧:0.5MPa、面積率:13.3%
【0056】
図10は、締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図10中の「通常」とは、気泡を含まない通常の改質II型アスファルトを示す。
図10によれば、実施例5-1、実施例5-2の何れであっても、通常の改質アスファルトよりかさ密度が向上しており、さらに、実施例5-1が、実施例5-2よりかさ密度が向上していることが分かる。したがって、本実験結果によれば、加熱アスファルトに注入する流体を0.5MPaまで昇圧させる必要性は必ずしもないことが分かる。
【0057】
[実験6(排出型)]
実験4と同様にして、ストレートアスファルト内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物のかさ密度と締固め温度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力、面積率、用いた2流体ノズルの種類は以下の通りである。また、本実験結果を
図11に示す。
・実施例6-1
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa,面積率:8.4%、2流体ノズル:YJノズル
・実施例6-2
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa,面積率:7.0%、2流体ノズル:OKノズル
【0058】
図11は、締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図11中の「通常」とは、気泡を含まない通常のストレートアスファルトを示す。
図11によれば、2流体ノズルの種類にかかわらず、ファインバブルAsが、ストレートアスファルトよりかさ密度が向上していることが分かる。
【0059】
[実験7(排出型)]
実験4と同様にして、加熱アスファルト(改質II型アスファルト)内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物のかさ密度と締固め温度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力、面積率、用いた2流体ノズルの種類は以下の通りである。また、本実験結果を
図12に示す。
・実施例7-1
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa,面積率:6.1%、2流体ノズル:YJノズル
・実施例7-2
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa,面積率:2.5%、2流体ノズル:OKノズル
【0060】
図12は、締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図1中の「通常」とは、気泡を含まない改質II型アスファルト混合物を示す。
図12によれば、改質アスファルトもストレートアスファルトと同様に気体が注入され、実施例7-1では、ファインバブルAsが通常の改質アスファルトよりかさ密度が向上していることが分かる。
【0061】
[実験8(排出型)]
実験4と同様にして、ストレートアスファルト内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物の性状試験を行った。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力及び面積率は以下の通りである。また、本実験結果を
図13、表1に示す。
・実施例8-1
エア流量設定値:約45L/min,エア圧:0.1MPa、面積率:7.9%
・実施例8-2
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa、面積率:10.4%
【0062】
図13は、混合物の圧裂係数とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図13中の「通常」とは、気泡を含まない通常のストレートアスファルトを用いたアスファルト混合物を示す。圧裂試験は、「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会) 試験法番号B006」に準拠して圧裂試験を行った。
図13によれば、硬化後のファインバブルAsを用いたアスファルト混合物は、通常のストレートアスファルトと同等の圧裂係数を示すことが分かる。
【0063】
【0064】
表1は、通常の改質II型アスファルト又はファインバブルAsを用いた各混合物の性状を示すものである。なお、表1中の「密度」は、「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会)試験法番号B001、B008-1」マーシャル安定度試験方法、密粒度アスファルト混合物の密度試験方法に準拠して計測し、表1中の「マーシャル安定度」及び「フロー値」は、「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会)試験法番号B001」マーシャル安定度試験方法に準拠して計測し、表1中の「動的安定度」は、「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会)試験法番号B003」ホイールトラッキング試験方法に準拠して計測し、表1中の「曲げ破断ひずみ」は、「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会)試験法番号B005」曲げ試験方法に準拠して計測し、表1中の「圧裂係数」は、「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会) 試験法番号B006」圧裂試験方法に準拠して計測した。
【0065】
表1によれば、ファインバブルAs混合物は、かさ密度が向上しているとともに、また何れの特性値においても通常の改質II型アスファルトを用いた混合物と同等の性状を示すことが分かる。
【0066】
[実験9(循環型/排出型)]
2流体ノズル(エンバイロ・ビジョン株式会社製のマイクロ・ナノバブル発生装置(型式:YJノズル))により加熱アスファルト(ストレートアスファルト)内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物のかさ密度と締固め温度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は30 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(窒素)の各種流量、圧力、面積率、加熱アスファルトへの気体注入方式は以下の通りである。また、本実験結果を
図14に示す。
・実施例9-1
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa,面積率:12.0%、注入方式:排出型
・実施例9-2
エア流量設定値:約110L/min,エア圧:0.3MPa,面積率:21.0%、注入方式:循環型,循環回数:85回,循環時間:50min
【0067】
図14は、締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図14中の「通常」とは、気泡を含まない通常のストレートアスファルトを示す。
図14によれば、気体注入方式にかかわらず、ファインバブルAsは、通常のストレートアスファルトよりかさ密度が向上していることが分かる。
【0068】
[実験10(排出型)]
2流体ノズル103として「VRラインミキサ」を用いて改質II型アスファルト内に気体を注入して得られたファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物のかさ密度と締固め温度との関係を測定した。加熱アスファルトの流量は24 L/minで固定し、加熱アスファルトに注入された気体(空気)の各種流量、圧力及び面積率は以下の通りである。また、本実験結果を
図15に示す。
・実施例10
エア流量設定値:約165L/min,エア圧:0.5MPa、面積率:4.9%
【0069】
図15は、締固め温度とファインバブルAs混合物のかさ密度との関係を示すグラフである。なお、
図15中の「通常」とは、気泡を含まない通常の改質II型アスファルトを示す。
図15によれば、通常の改質II型アスファルトよりかさ密度が向上していることが分かる。
【0070】
次に、上述した各実施例について、ファインバブルAsの面積率及びファインバブルAs混合物の締固め低減温度を表2に示す。なお、「締固め低減温度」とは、各実施例において、気泡を含まない通常のアスファルト混合物(ストレートアスファルト混合物、又は改質II型アスファルト混合物)の最大かさ密度における締固め温度と、通常のアスファルト混合物の最大かさ密度と略等しいかさ密度におけるファインバブルAs混合物の締固め温度との差である。
【0071】
【0072】
表2によれば、面積率4.9%以上のファインバブルAsを用いたファインバブルAs混合物であれば、締固め温度が低減されていることが分かる。そして、締固め温度が低減されることにより、冬期施工や遠距離運搬時にファインバブルAs混合物の温度が低下した場合でも、十分な施工品質が確保できる。
【0073】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0074】
例えば、本発明は、上述したような再生骨材、新規骨材、加熱アスファルト及び再生用添加剤を混合して得られる再生アスファルト混合物の製造システム及びその方法に適用されるものに限定されず、新規骨材及び加熱アスファルトを混錬して成るアスファルト混合物(すなわち、再生骨材を含まない新規アスファルト混合物)の製造システム及びその方法に適用することもできる。