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特開2024-86440リン含有化合物、リン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料
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  • 特開-リン含有化合物、リン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086440
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】リン含有化合物、リン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/24 20060101AFI20240620BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240620BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20240620BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20240620BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240620BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
C07F9/24 Z CSP
C08L63/00 C
C08K5/5313
C08G59/40
C09D7/63
C09D163/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201564
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花岡 拓磨
【テーマコード(参考)】
4H050
4J002
4J036
4J038
【Fターム(参考)】
4H050AA01
4H050AB49
4H050BB25
4H050WA15
4H050WA27
4J002CD001
4J002EN037
4J002EW136
4J002FD136
4J002FD146
4J002FD147
4J002GH01
4J036AA01
4J036DA01
4J036DC02
4J036DC03
4J036DC04
4J036DC09
4J036DC10
4J036DC11
4J036FA12
4J036HA12
4J036JA01
4J038DB001
4J038DB061
4J038GA09
4J038JB02
4J038JC27
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA10
4J038KA20
4J038NA01
4J038NA04
4J038NA15
4J038PB05
(57)【要約】
【課題】エポキシ樹脂硬化剤として用いると、透明性及び難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供できるリン含有化合物、並びに、該化合物を含むリン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるリン含有化合物、並びに、該化合物を含むリン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料。

(式中、Rは炭化水素基を示し、Xはフェニレン基又はシクロヘキシレン基を示す。nは1~5の数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるリン含有化合物。
【化1】

(式中、Rは炭化水素基を示し、Xはフェニレン基又はシクロヘキシレン基を示す。nは1~5の数である。)
【請求項2】
前記一般式(1)におけるRが炭素数6~18のアリール基である、請求項1に記載のリン含有化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるXがフェニレン基である、請求項1又は2に記載のリン含有化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のリン含有化合物を含むリン含有組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のリン含有化合物、又は、請求項4に記載のリン含有組成物を含むエポキシ樹脂硬化剤。
【請求項6】
エポキシ樹脂、及び請求項5に記載のエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物を含む塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン含有化合物、リン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共施設等の内外装材及び構造部材に、木材が積極的に利用されるようになっている。一方で、公共施設等の建築物は規模が大きく不特定多数の人が集まるために、建築基準法により防火上の制限が適用されることが多くなる。
木材を難燃化するために、通常はホウ酸化合物等の難燃剤を注入し、不燃処理が行われる。しかしながら、難燃剤が木材から経時でブリードアウトして木材が白く見える現象(白華現象)が生じることが課題となっていた。難燃剤のブリードアウトを防ぐためには不燃化した木材に塗装を行うことが一般的であり、難燃性を損なわないためには防火塗料を使用する必要がある。
防火塗料は無機物を充填した不透明なものが一般的であるが、その一方で外観の観点から木材の木目を残しておきたい要望も強く、透明性の高い防火塗料が望まれている。
【0003】
エポキシ樹脂組成物を塗料として用いることは知られており、難燃剤としてリン含有化合物を用いた難燃性エポキシ樹脂組成物も知られている。
例えば特許文献1には、所定の構造を有するリン酸アミド化合物を添加された難燃性エポキシ樹脂組成物が、ハロゲンを含まずに良好な難燃性を示すとともに、機械強度等に優れることが開示されている。特許文献2には、エポキシ樹脂、硬化剤、及び所定構造の含リン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物が、作業性及び成型性が良好であると共に、硬化物のTgが向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-354836号公報
【特許文献2】国際公開第2016/152839号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示されたリン酸アミド化合物及び含リン化合物は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤以外の第三成分として使用されており、エポキシ樹脂硬化剤として作用しない成分である。
本発明の課題は、エポキシ樹脂硬化剤として用いると、透明性及び難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供できるリン含有化合物、並びに、該化合物を含むリン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、第一級アミノ基を有する所定構造のリン含有化合物が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]下記一般式(1)で示されるリン含有化合物。
【化1】

(式中、Rは炭化水素基を示し、Xはフェニレン基又はシクロヘキシレン基を示す。nは1~5の数である。)
[2]前記一般式(1)におけるRが炭素数6~18のアリール基である、上記[1]に記載のリン含有化合物。
[3]前記一般式(1)におけるXがフェニレン基である、上記[1]又は[2]に記載のリン含有化合物。
[4]上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のリン含有化合物を含むリン含有組成物。
[5]上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のリン含有化合物、又は、上記[4]に記載のリン含有組成物を含むエポキシ樹脂硬化剤。
[6]エポキシ樹脂、及び上記[5]に記載のエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
[7]上記[6]に記載のエポキシ樹脂組成物を含む塗料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エポキシ樹脂硬化剤として用いると、透明性及び難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供できるリン含有化合物、並びに、該化合物を含むリン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1で得られたリン含有組成物Aの1H-NMRスペクトルである。
図2】実施例1で得られたリン含有組成物Aの電界脱離質量分析(FD-MS)スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[リン含有化合物]
本発明のリン含有化合物は、下記一般式(1)で示される化合物である。
【化2】

(式中、Rは炭化水素基を示し、Xはフェニレン基又はシクロヘキシレン基を示す。nは1~5の数である。)
上記化合物をエポキシ樹脂硬化剤として用いると、透明性及び難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。以下、本発明のリン含有化合物を単に「本発明の化合物」ともいう。
【0010】
本発明の化合物をエポキシ樹脂硬化剤として用いると、透明性及び難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られる理由については定かではないが、次のように考えられる。
本発明の化合物は、アミン系のエポキシ樹脂硬化剤であるキシリレンジアミン又はビス(アミノメチル)シクロヘキサンを所定の反応性リン化合物で変性した化合物である。本発明の化合物は両末端に第1級アミノ基由来の活性水素を有していることから、エポキシ樹脂硬化剤として作用する。本発明の化合物は変性化合物であることにより、キシリレンジアミン又はビス(アミノメチル)シクロヘキサン単独の場合よりも硬化速度、塗膜の硬度等が維持又は向上し、さらにリン由来の難燃性も付与できたと考えられる。例えば、キシリレンジアミンは空気中の二酸化炭素との作用により炭酸塩を形成して白化しやすいという問題があるが、一般式(1)で示される変性化合物とすることにより、この問題を回避できる。
また、本発明の化合物はエポキシ樹脂と反応してエポキシ樹脂組成物の硬化物中に固定されることから、エポキシ樹脂組成物に難燃剤を添加する場合とは異なり、ブリードアウトが生じないため、透明性がより向上すると考えられる。
【0011】
前記一般式(1)のRにおける炭化水素基としては、炭素数1~22のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等が挙げられる。高い難燃性を付与する観点からは、Rは好ましくは炭素数6~18のアリール基又は炭素数7~20のアラルキル基であり、より好ましくは炭素数6~18のアリール基、さらに好ましくは炭素数6~10のアリール基である。
上記アリール基としては、フェニル基、トルイル基、メシチル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0012】
前記一般式(1)におけるXはフェニレン基又はシクロヘキシレン基である。具体的には、前記一般式(1)におけるXは1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、及び1,4-シクロヘキシレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点からは、Xは好ましくはフェニレン基であり、より好ましくは1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、及び1,4-フェニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは1,3-フェニレン基である。
なお本明細書におけるシクロヘキシレン基には、シス体、トランス体のいずれも含まれる。
【0013】
本発明の化合物は、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点から、好ましくは下記一般式(2)で示されるリン含有化合物である。
【化3】

(式中、nは1~5の数である。)
【0014】
[リン含有組成物]
本発明のリン含有組成物は、前記一般式(1)で示されるリン含有化合物を含むものである。例えばリン含有組成物として、前記一般式(1)において、nの数が互いに異なる2種以上のリン含有化合物の混合物を含む組成物が挙げられる。
リン含有組成物中の、nの数が互いに異なる2種以上のリン含有化合物の組成分析は、電界脱離質量分析法(FD-MS)を用いて、実施例に記載の方法により行うことができる。
【0015】
リン含有組成物は、前記一般式(1)で示されるリン含有化合物以外に、副生成物や、未反応原料である、後述する一般式(3)で示されるジアミン等を含有していてもよい。但し、エポキシ樹脂硬化剤として用いた際の速硬化性、得られるエポキシ樹脂組成物の塗膜の硬度、透明性及び難燃性向上の観点から、リン含有組成物中の前記一般式(1)で示されるリン含有化合物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、100質量%以下である。
【0016】
前記リン含有組成物中の一般式(1)で示される化合物の含有量、及び、未反応原料である一般式(3)で示されるジアミンの含有量は、GC分析法により測定することができる。
【0017】
<リン含有化合物及びリン含有組成物の製造方法>
前記リン含有化合物及びリン含有組成物の製造方法は、好ましくは、下記一般式(3)で示されるジアミンと、下記一般式(4)で示される化合物とを反応させる工程を含む。
NH-CH-X-CH-NH (3)
(式中、Xは前記と同じである。)
【化4】

(式中、Rは前記と同じである。)
【0018】
前記一般式(3)で示されるジアミンの具体例としては、キシリレンジアミン及びビス(アミノメチル)シクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、より詳細には、オルトキシレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの中でも、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点から、前記一般式(3)で示されるジアミンは、好ましくはキシリレンジアミンであり、より好ましくはメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくはメタキシリレンジアミンである。
【0019】
前記一般式(4)で示される化合物の具体例としては、ジクロロリン酸エチル等のジクロロリン酸アルキル、ジクロロリン酸フェニル等のジクロロリン酸アリール等が挙げられる。
【0020】
前記反応では、前記一般式(1)で示されるリン含有化合物及びこれを含むリン含有組成物を高収率で得る観点から、前記一般式(4)で示される化合物1.0モルに対し、前記一般式(3)で示されるジアミンを、1.5~6.0モル反応させることが好ましい。前記一般式(1)で示されるリン含有化合物のうち、n=1である化合物及び該化合物を含む組成物を高収率で得る観点からは、前記一般式(4)で示される化合物1.0モルに対する、前記一般式(3)で示されるジアミンを反応させる量は、より好ましくは1.5~5.0モル、さらに好ましくは1.8~4.0モル、よりさらに好ましくは1.8~3.0モル、よりさらに好ましくは1.8~2.5モルである。
【0021】
前記一般式(3)で示されるジアミンと、前記一般式(4)で示される化合物との反応は、反応速度を制御する観点から、溶媒中で行うことが好ましい。該溶媒としては、前記一般式(3)で示されるジアミンと、前記一般式(4)で示される化合物を溶解させる観点、及び、副反応を避ける観点から、好ましくは非プロトン性溶媒である。
非プロトン性溶媒としては、例えば、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルセロソルブ、ジオキソラン、トリオキサン、ジブチルセロソルブ、ジエチルカービトール、ジブチルカービトール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等)、その他極性溶剤(アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等)等が挙げられ、好ましくはエーテル類、より好ましくはテトラヒドロフランである。
【0022】
また、反応速度を制御する観点から、前記反応は好ましくは低温条件下で攪拌しながら行われる。反応温度は、好ましくは-30~25℃、より好ましくは-10~15℃の範囲である。反応時間はスケール等に応じて適宜選択できるが、通常、0.5~12時間の範囲である。
上記反応後、生成した塩、及び反応溶媒を除去し、さらに必要に応じ精製を行って、リン含有化合物又はリン含有組成物が得られる。
【0023】
[エポキシ樹脂硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂硬化剤(以下、「本発明の硬化剤」ともいう)は、前記リン含有化合物、又は、前記リン含有組成物を含む。
本発明の硬化剤に含まれる全硬化剤成分中の、前記リン含有化合物又は前記リン含有組成物の含有量は、透明性及び難燃性の高い塗膜を得る観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、また、100質量%以下である。
本明細書において、硬化剤に含まれる硬化剤成分とは、硬化剤に含まれる、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応し得る活性水素を2つ以上有する成分を意味する。また、硬化剤に含まれる全硬化剤成分に対する前記リン含有化合物又は前記リン含有組成物の含有量とは、硬化剤に含まれる硬化性成分の総量に対する前記リン含有化合物又は前記リン含有組成物の含有量をいう。
【0024】
本発明の硬化剤は、前記リン含有化合物又は前記リン含有組成物からなる硬化剤でもよく、他の硬化剤成分を含有してもよい。他の硬化剤成分としては、前記リン含有化合物又は前記リン含有組成物以外のポリアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の硬化剤の活性水素当量は、良好な塗膜物性を得る観点からは、好ましくは50以上、より好ましくは70以上であり、硬化性向上の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下、よりさらに好ましくは100以下である。活性水素当量(以下「AHEW」ともいう)とは、エポキシ樹脂硬化剤の活性水素1モルあたりの質量である。
【0026】
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、及び前記エポキシ樹脂硬化剤を含む。本発明のエポキシ樹脂組成物により形成される塗膜は透明性及び難燃性が高く、例えば塗料として好適に用いられる。
【0027】
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、複素環式化合物のいずれであってもよい。透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点からは、芳香環又は脂環式構造を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましい。
当該エポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基及び/又はグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。上記のエポキシ樹脂は、2種以上混合して用いることもできる。
【0028】
上記の中でも、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点から、エポキシ樹脂としてはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするものが好ましく、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点、入手性及び経済性の観点から、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものがより好ましい。
なお、ここでいう「主成分」とは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含みうることを意味し、好ましくは全体の50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%を意味する。
【0029】
なお、エポキシ樹脂は、固体エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂のいずれでもよい。本発明において「固体エポキシ樹脂」とは、室温(25℃)で固体のエポキシ樹脂を意味し、「液状エポキシ樹脂」とは、室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂を意味する。
【0030】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点から、好ましくは150g/当量以上であり、硬化性の観点から、好ましくは1000g/当量以下、より好ましくは800g/当量以下、さらに好ましくは500g/当量以下、よりさらに好ましくは300g/当量以下、よりさらに好ましくは250g/当量以下である。
【0031】
<含有量>
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、好ましくは1/0.5~1/2、より好ましくは1/0.75~1/1.5、さらに好ましくは1/0.8~1/1.2である。
【0032】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、前記(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)が好ましくは上記範囲になる限り制限されないが、好ましくは50~85質量%、より好ましくは60~80質量%、さらに好ましくは65~75質量%である。
【0033】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、前記(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)が好ましくは上記範囲になる限り制限されないが、好ましくは15~50質量%、より好ましくは20~40質量%、さらに好ましくは25~35質量%である。
【0034】
また本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに公知の硬化促進剤、ベンジルアルコール等の非反応性希釈剤、充填材、可塑剤などの改質成分、揺変剤などの流動調整成分、顔料、レベリング剤、粘着付与剤、エラストマー微粒子等のその他の成分を用途に応じて含有させてもよい。
但し、本発明の効果を有効に得る観点から、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の合計量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、また、100質量%以下である。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点から、水及び有機溶剤の含有量が少ないことが好ましい。
エポキシ樹脂組成物中の水及び有機溶剤の含有量は、透明性及び難燃性、耐薬品性等の高い塗膜を得る観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下、よりさらに好ましくは2.0質量%以下、よりさらに好ましくは1.0質量%以下である。
【0036】
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
エポキシ樹脂組成物の調製方法には特に制限はなく、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び必要に応じ他の成分を公知の方法及び装置を用いて混合し、製造することができる。エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分の混合順序にも特に制限はなく、前記エポキシ樹脂硬化剤を調製した後、これをエポキシ樹脂と混合してもよく、エポキシ樹脂硬化剤を構成する各成分、並びにその他の成分と、エポキシ樹脂とを同時に混合して調製してもよい。
【0037】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物である塗膜は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させて得られる。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物である塗膜は、透明性及び難燃性に優れるものとなり、白化が生じにくく、且つ、酸素指数の高い塗膜を形成することができる。
【0038】
<難燃性>
本発明のエポキシ樹脂組成物は高い難燃性を有する。具体的には、JIS K 7201:1995に準拠して測定される、厚さ3mmのエポキシ樹脂組成物の硬化物の酸素指数は、好ましくは22以上、より好ましくは23以上、さらに好ましくは24以上である。
難燃性の指標の一つとして、酸素指数を測定することで難燃性の度合いを確認することができる。酸素指数とは燃焼を継続させるのに必要となる酸素濃度を表しており、21を超える場合には通常の条件において空気中での燃焼が継続されない。
酸素指数は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0039】
[塗料]
本発明は、前記エポキシ樹脂組成物を含む塗料を提供する。本発明の塗料は、前記エポキシ樹脂組成物を含有することにより、得られる塗膜の透明性及び難燃性が良好になる。当該塗料としては、例えば、建築物の内外装材及び構造部材として用いられる木材用塗料、船舶塗料、重防食塗料、タンク用塗料、パイプ内装用塗料、外装用塗料、床材用塗料等が挙げられる。
本発明の効果を有効に得る観点から、本発明に係る塗料は、好ましくは透明難燃塗料である。
【0040】
本発明の塗料中のエポキシ樹脂組成物の含有量は、透明性及び難燃性向上の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下である。
【0041】
<用途>
前記エポキシ樹脂組成物の用途は、前記塗料の他、接着剤、床材、封止剤、ポリマーセメントモルタル、ガスバリアコーティング、プライマー、スクリード、トップコート、シーリング材、クラック補修材、コンクリート材等に好適に用いられる。
【実施例0042】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例における測定、評価は以下の方法により行った。
【0043】
(リン含有化合物の構造解析)
リン含有組成物中のリン含有化合物の構造解析は、1H-NMR分析により行った。測定条件は下記のとおりである。
核磁気共鳴分光計;ブルカー・バイオスピン(株)製 AVANCEIII-500
プローブ;5mmφ二重共鳴多核種プローブ(BBFO Plus Smart プローブ)
重溶媒;重クロロホルム
測定核;1H
測定温度;室温
【0044】
(リン含有組成物の組成分析)
リン含有組成物中の、前記一般式(1)におけるn=1~5の化合物、及び未反応原料であるメタキシリレンジアミンの含有の有無は、電界脱離質量分析法(FD-MS)により分析した。測定条件は下記のとおりである。
FD-MS:AccuTOF GCV 4G (JMS-T100GCV) JEOL
Ionization mode:Field Desorption (Positive)
Range:m/z=30~1600
Emitter current:0mA~40mA 51.2mA/min
Resolution:8000 (at m/z=501.9711(C9F20N))
Counter electrode Voltage:-10kV
Detector voltage:2000V
Sampling interval:0.25ns
Recording interval:0.5s
Drift compensation:m/z=501.9711 (C9F20N)
【0045】
(活性水素当量(AHEW)の測定)
リン含有組成物(硬化剤)のAHEWは、京都電子工業(株)製の電位差自動滴定装置「AT-710S」を用いて全アミン価、2級・3級アミン価を求め、その結果からAHEWを算出した。全アミン価は0.1mol/L過塩素酸・酢酸溶液(関東化学(株)製)を用いて、2級・3級アミン価は0.1mol/L塩酸(2-プロパノール性)を用いて測定した。
【0046】
(指触乾燥)
基材としてリン酸亜鉛処理鋼板(パルテック(株)製;SPCC-SD PB-N144 0.8×70×150mm)を用いた。基材上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した(塗布直後の塗膜厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1日経過後に指触により以下の基準で評価した。
Ex:優秀(約50Nの力で親指を押し付けた際も塗膜のべたつきがなく、指紋の残存もなし)
G:良好(約50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきはないが、指触後の指紋の残存あり)
F:可(約50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
P:不良(約5Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
【0047】
(鉛筆硬度)
前記と同様の方法で基材(リン酸亜鉛処理鋼板)上に各例のエポキシ樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後にJIS K5600-5-4:1999に準拠して鉛筆硬度を測定した。
【0048】
(耐水スポット試験)
前記と同様の方法で基材(リン酸亜鉛処理鋼板)上に各例のエポキシ樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に塗膜表面にスポイトで純水を2~3滴滴下し、その箇所を50mLスクリュー管瓶で蓋をした。24時間経過後に水を拭き取り、外観を目視観察して、以下の基準で評価した。
Ex:優秀(全く変化なし)
G:良好(わずかに変化はあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白化あり)
P:不良(白化)
【0049】
(RCI硬化時間)
ガラス板(太佑機材(株)製 25×348×2.0mm)上に、23℃、50%R.H.条件下、各例のエポキシ樹脂組成物を76μmのアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。塗膜を形成したガラス板を塗料乾燥時間測定器(太佑機材(株)製)にセットし、測定器の針が塗膜表面を引っかいた際の条痕を観察して、各乾燥段階(Set to Touch、Dust Free、Dry Through)への到達時間を以下の基準で測定した。時間が短い方が、硬化速度が速いことを示す。
Set to Touch:ガラス板上に針の跡が残り始める時間
Dust Free:針の跡が塗膜の中から塗膜表面上に浮き出てくる時間
Dry Through:塗膜上の針の跡が残らなくなる時間
【0050】
(塗膜外観)
前記と同様の方法で基材(リン酸亜鉛処理鋼板)上に各例のエポキシ樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、7日経過後の塗膜の外観を目視観察して、平滑性を以下の基準で評価した。
<透明性>
Ex:優秀(濁りがない)
G:良好(わずかに濁りがあるが、使用上問題なし)
F:可(一部が白濁している)
P:不良(全面が白濁している)
<平滑性>
Ex:優秀(凹凸がない)
G:良好(わずかに凹凸があるが、使用上問題なし)
F:可(一部に凹凸がある)
P:不良(ハジキがある、又は全面に凹凸がある)
<光沢性>
Ex:優秀(光沢あり)
G:良好(やや光沢が劣るが、使用上問題なし)
F:可(光沢が少ない)
P:不良(光沢なし)
【0051】
(酸素指数)
各例のエポキシ樹脂組成物を80℃で1時間加熱して硬化させ、70mm×6.5mm×3mmの試験片を成型した。
上記試験片を用いて、キャンドル燃焼試験機D型(東洋精機製作所製)により、JIS K 7201:1995に準拠した方法で酸素指数を測定した。酸素指数が高いほど難燃性に優れることを意味する。
【0052】
実施例1(リン含有組成物Aの合成)
攪拌装置、温度計、窒素導入管、滴下漏斗及び冷却管を備えた内容積200mLの3口フラスコ中で、メタキシリレンジアミン(MXDA、三菱瓦斯化学(株)製)27.2g(0.2モル)をTHF100mLと混合した。0℃に冷却した状態で、THF50mLに溶解させたジクロロリン酸フェニル10.56g(0.1モル)を慎重に滴下した。滴下完了後は室温に戻し、6時間攪拌を行った。続いて生成した塩を濾過し、濾液から溶媒をエバポレーターで除去した。得られた液体を45℃で3時間真空乾燥させて、下記式(2)で示され、n=1,2,3,4,5であるリン含有化合物を含有するリン含有組成物Aを得た。また、リン含有組成物AのAHEWは81.9であった。
【0053】
【化5】

(式中、nは1~5の数である。)
【0054】
図1はリン含有組成物Aの1H-NMRスペクトルである。δ2.51ppm(s、-NH、-NH-)、δ3.36ppm(s、-CH-NH-Ph)、3.81ppm(s、-Ph-CH-NH)、7.0~7.4ppm(m、-C-、-CO-)
なお図11H-NMRスペクトルには、未反応原料であるメタキシリレンジアミンのピークも含まれている。
【0055】
図2はリン含有組成物AのFD-MSスペクトルである。未反応原料であるメタキシリレンジアミンの他、前記式(2)で示され、n=1,2,3,4,5であるリン含有化合物のピークが検出された。具体的には、各化合物に対応するピークを下記のように同定した。
・m/z=137.10:メタキシリレンジアミン(Mw136.19)
・m/z=411.18:前記式(2)においてn=1である化合物(Mw410.19)
・m/z=685.28:前記式(2)においてn=2である化合物(Mw684.27)
・m/z=959.37:前記式(2)においてn=3である化合物(Mw958.35)
・m/z=1233.46:前記式(2)においてn=4である化合物(Mw1232.43)
・m/z=1507.54:前記式(2)においてn=5である化合物(Mw1506.51)
【0056】
実施例2(エポキシ樹脂組成物の調製及び評価)
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂として、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER828」、エポキシ当量186g/当量)を使用した。また、エポキシ樹脂硬化剤として、実施例1で得られたリン含有組成物Aを使用した。
前記エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を、それぞれ表1に記載の質量%となるよう配合して混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は1/1である。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前述の方法で各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
比較例1
実施例1において、使用成分及び配合量を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1で使用した各成分は下記である。
*1:ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER828」、エポキシ当量:186g/当量)
*2:実施例1で合成したリン含有組成物A(AHEW:81.9)
*3:メタキシリレンジアミン(MXDA、三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:34)
【0060】
表1より、本実施例のリン含有組成物は、メタキシリレンジアミンと比較してもエポキシ樹脂硬化剤としての性能(硬化速度、得られる塗膜の硬度、耐水性、外観)が同等であるか又は向上している。そして、本実施例の硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物の硬化物は、透明性及び難燃性が共に良好であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、エポキシ樹脂硬化剤として用いると、透明性及び難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供できるリン含有化合物、並びに、該化合物を含むリン含有組成物、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び塗料を提供できる。
図1
図2