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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086448
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ステアリングサポート
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B62D25/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201579
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 優太
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB37
3D203BB54
3D203CA03
3D203CA23
3D203CA34
3D203CA66
3D203CA75
3D203CB03
3D203CB09
3D203CB19
3D203CB40
(57)【要約】
【課題】運転席の前方周辺に配置される周辺部材のスペースを確保することができる技術を提供する。
【解決手段】車幅方向に延びた状態で車両に搭載され、車両のステアリングを支持するように構成されたステアリングサポートは、少なくとも1つの構造体と、連結部材と、を備える。少なくとも1つの構造体は、車幅方向の第1端又は第2端に位置し、車両のボディに結合する。連結部材は、車幅方向に並んで少なくとも1つの構造体と連結する。また、連結部材は、当該連結部材の上方かつ少なくとも1つの構造体の側方に、周辺部材を配置可能なスペースを形成するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びた状態で車両に搭載され、前記車両のステアリングを支持するように構成されたステアリングサポートであって、
前記車幅方向の第1端又は第2端に位置し、前記車両のボディに結合する少なくとも1つの構造体と、
前記車幅方向に並んで前記少なくとも1つの構造体と連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、当該連結部材の上方かつ前記少なくとも1つの構造体の側方に、周辺部材を配置可能なスペースを形成するように構成されている、ステアリングサポート。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリングサポートであって、
前記連結部材は、前記少なくとも1つの構造体よりもヤング率が高い物質で形成されている、ステアリングサポート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のステアリングサポートであって、
前記連結部材は、鉄材により形成され、
前記少なくとも1つの構造体は、アルミ材、マグネシウム材及び樹脂の何れかにより形成されている、ステアリングサポート。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のステアリングサポートであって、
前記連結部材は、鉄材、アルミ材及びマグネシウム材の何れかにより形成され、
前記少なくとも1つの構造体は、樹脂により形成されている、ステアリングサポート。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のステアリングサポートであって、
前記少なくとも1つの構造体は、
前記ステアリングに結合する部位であるステアリング結合部と、
前記車両のボディに結合する部位であるボディ結合部と、
前記ステアリング結合部と前記ボディ結合部を繋ぐ略平面状の壁部と、を有し、
前記ステアリング結合部、前記ボディ結合部及び前記壁部は、一体成型される、ステアリングサポート。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のステアリングサポートであって、
前記少なくとも1つの構造体は、前記第1端に位置し、前記車両のボディに結合する第1構造体と、前記第2端に位置し、前記車両のボディに結合する第2構造体と、を有し、
前記連結部材は、前記第1構造体と前記第2構造体との間に位置し、当該第1構造体及び当該第2構造体を連結する、ステアリングサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のステアリングを支持するように構成されたステアリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、強度や剛性に優れた閉断面形状を容易かつ安価に形成するために、異なる材質成分の金属部品を一体化した構造のステアリングサポートが開示されている。このステアリングサポートは、車幅方向に延びる鋼材の管部材であるステアリングハンガービームと、軽金属によりダイカスト成型されるステアリングコラム取り付け部と、が一体化して形成されている。ステアリングコラム取り付け部は、車両の上下方向及び前後方向に延び、車幅方向に間隔を空けて配置される複数の板部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-260479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、EV化や車両の多機能化により、運転席の前方周辺に配置される周辺部材が増加したり拡大したりしている。このため、ステアリングサポートを配置可能なスペースが狭くなりつつある。引用文献1のステアリングサポートでは、ステアリングコラム上方のスペースに複数の板部が当該スペースを埋めるように位置するため、周辺部材を配置するスペースを確保しにくいという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、運転席の前方周辺に配置される周辺部材のスペースを確保することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車幅方向に延びた状態で車両に搭載され、車両のステアリングを支持するように構成されたステアリングサポートであって、少なくとも1つの構造体と、連結部材と、を備える。少なくとも1つの構造体は、車幅方向の第1端又は第2端に位置し、車両のボディに結合する。連結部材は、車幅方向に並んで少なくとも1つの構造体と連結する。また、連結部材は、当該連結部材の上方かつ少なくとも1つの構造体の側方に、周辺部材を配置可能なスペースを形成するように構成されている。このような構成によれば、連結部材により、運転席の前方周辺に配置される周辺部材のスペースを確保することができる。
【0007】
本開示の一態様では、連結部材は、少なくとも1つの構造体よりもヤング率が高い物質で形成されていてもよい。このような構成によれば、周辺部材を配置可能なスペースの下方において車幅方向へ延びる連結部材の剛性の低下を抑制することができる。その結果、ステアリングサポートの剛性を向上させ、ステアリングの操舵感を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様では、連結部材は、鉄材により形成されてもよい。少なくとも1つの構造体は、アルミ材、マグネシウム材及び樹脂の何れかにより形成されていてもよい。このような構成によれば、連結部材のコストを抑えつつ、ステアリングサポートの剛性を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様では、連結部材は、鉄材、アルミ材及びマグネシウム材の何れかにより形成されてもよい。少なくとも1つの構造体は、樹脂により形成されていてもよい。このような構成によれば、連結部材のコストを抑えつつ、ステアリングサポートの剛性を向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様では、少なくとも1つの構造体は、ステアリング結合部と、ボディ結合部と、壁部と、を有してもよい。ステアリング結合部は、ステアリングに結合する部位である。ボディ結合部は、車両のボディに結合する部位である。壁部は、ステアリング結合部とボディ結合部を繋ぐ略平面状の部位である。ステアリング結合部、ボディ結合部及び壁部は、一体成型されてもよい。
【0011】
このような構成では、構造体における各結合部が一体成型される。また、ステアリング結合部及びボディ結合部が、略平面状の壁部によって繋がる。このため、ステアリング結合部からボディ結合部へ、ステアリングから入力された荷重が伝達されるときに、応力が特定箇所に集中しにくくなる。その結果、ステアリングサポートの剛性を向上させ、ステアリングの操舵感を向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様では、少なくとも1つの構造体は、第1構造体と、第2構造体と、を有してもよい。第1構造体は、車幅方向の第1端に位置し、車両のボディに結合する。第2構造体は、車幅方向の第2端に位置し、車両のボディに結合する。連結部材は、第1構造体と第2構造体との間に位置し、当該第1構造体及び当該第2構造体を連結してもよい。このような構成によれば、第1構造体と第2構造体との間に位置する連結部材により、運転席の前方周辺に配置される周辺部材のスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ステアリングサポートの斜視図である。
図2】ステアリングサポートの下面図である。
図3】ステアリングサポートの上面図である。
図4図3のIV-IV断面を模式的に示す図である。
図5】ステアリングサポートの後面図である。
図6】ステアリングサポートの前面図である。
図7】ステアリングサポートの左側面図である。
図8】ステアリングサポートの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.全体の構成]
【0015】
図1図8に示すステアリングサポート1は、車幅方向(換言すれば、車両における左右方向)に延びた状態で車両に搭載され、車両のステアリング100を支持するための装置である。以下の説明では、車両の前、後、右、左を、単に前、後、右、左と記載する。
【0016】
本実施形態のステアリングサポート1は、運転席が左側に設けられた車両用であり、運転席の前方に配置される。なお、ステアリングサポートは、運転席が右側に設けられた車両のステアリングを支持してもよい。ステアリングサポート1の前方端部は、車両の運転席の前方に設けられる車両のボディに固定される。また、ステアリングサポート1の左方端部は、図1及び図3に示す運転席側ピラー201に固定される。運転席側ピラー201とは、運転席側のドア付近に設けられる車両のボディを構成する部材である。また、ステアリングサポート1の右方端部は、ステアリングメンバ202の左方端部に固定される。ステアリングメンバ202とは、車両のボディの一部を構成するパイプ状の部材であり、左右方向に直線状に延びた状態で車両の助手席の前方に配置される。なお、ステアリングメンバの中心軸と垂直な断面形状は、円形状に限らず、例えば、角形状であってもよい。
【0017】
ステアリングメンバ202の右方端部は、図1に示すブラケット203を介して車両のボディ(一例として、図示しない助手席側ピラー)に固定される。また、ステアリングメンバ202の左方端部は、ステアリングサポート1に固定される。すなわち、ステアリングメンバ202は、ステアリングサポート1と助手席側ピラーとを繋げるためのものであり、ブラケット203は、ステアリングメンバ202を助手席側ピラーに固定するためのものである。本実施形態では、ステアリングメンバ202は、ステアリングサポート1の右方端部に固定される。しかし、ステアリングメンバ202の左方端部は、例えば、ステアリングサポート1における左右方向の中央部分や、ステアリングサポート1における左側の部分に固定されてもよい。
【0018】
図7及び図8に示すように、ステアリングサポート1は、ステアリング100におけるステアリングコラム101を上側から支持する。ステアリングコラム101とは、ハンドル102に対する回転操作をステアリング機構に伝達するステアリングシャフト103の外周面を囲む部位である。
【0019】
[2.ステアリングサポートの構成]
図1図8に示すように、ステアリングサポート1は、第1構造体10と、第2構造体20と、連結部材40と、結合部材50と、を備える。本実施形態において、構造体は、複数の面を有する立体形状の部材を示す。
【0020】
[2-1.第1構造体]
図1に示すように、第1構造体10は、車幅方向における左方側に位置し、運転席側ピラー201に固定される部材である。第1構造体10は、例えばアルミから形成される。第1構造体10は、1つの面が開口する箱状の構成を有する。本実施形態では、図2に示すように、第1構造体10における底面が開口している。なお、第1構造体は、上面が開口するように構成されていてもよい。
【0021】
図1から図8に示すように、第1構造体10は、左上壁11と、左内壁12と、左後壁13と、左前壁14と、左連結壁15と、左補強壁16と、を備える。また、第1構造体10は、左後方ステアリング結合部17と、左方ボディ結合部18と、左前方ボディ結合部19と、を更に備える。
【0022】
本実施形態では、第1構造体10は、ダイカストによって一体成型される。すなわち、左上壁11、左内壁12、左後壁13、左前壁14、左連結壁15、左補強壁16、左後方ステアリング結合部17、左方ボディ結合部18及び左前方ボディ結合部19は、ダイカストによって一体成型される。
【0023】
左上壁11は、第1構造体10の上面の一部を構成する板状の部位である。左上壁11は、前後方向及び左右方向に広がり、略平面状である。本実施形態において、略平面状の面には、平らな面と、僅かな湾曲又は僅かな屈曲を有する完全に平らでない面と、が含まれる。図3に示すように、左上壁11は、左右方向の長さよりも前後方向の長さが長く、左右方向の長さが一定でない形状を有する。なお、左上壁の左右方向の長さは、一定であってもよい。図1に示すように、左上壁11は、前方端部から後方端部に向かって下方に傾斜を有するように延びる。
【0024】
左内壁12は、第1構造体10の右方に位置する側面を構成する板状の部位である。左内壁12は、前後方向及び上下方向に概ね広がる。図3及び図6に示すように、左内壁12は、左上壁11の右方端部から下方に延び出す。
【0025】
左後壁13は、第1構造体10の後方に位置する側面を構成する板状の部位である。左後壁13は、左右方向及び上下方向に広がり、略平面状である。図5に示すように、左後壁13は、略三角形状に形成される。左後壁13は、当該左後壁13の左方端部における上下方向の長さが、当該左後壁13の右方端部における上下方向の長さよりも長い。左後壁13の右方端部は、左上壁11の後方端部と繋がる。
【0026】
左前壁14は、第1構造体10の前方に位置する側面を構成する板状の部位である。左前壁14は、左右方向及び上下方向に概ね広がる。本実施形態では、左前壁14は、左後壁13の前方に位置し、左後壁13と対向するように配置される。左後壁13及び左前壁14は、当該左後壁13及び当該左前壁14の間隔が、左方に向かって徐々に狭くなるように配置され、互いの左方端部において、後述する左連結壁15を介して繋がる。左前壁14の右方端部は、左内壁12の前方端部と繋がる。
【0027】
左連結壁15は、左上壁11と共に、第1構造体10の上面を構成する板状の部位である。左連結壁15は、前後方向及び左右方向に広がり、略平面状である。左連結壁15は、左上壁11と、左後壁13と、左前壁14と、を繋ぐ。具体的には、左上壁11は、左連結壁15の右方端部から右方に延び出す。左後壁13は、左連結壁15の後方端部から下方に延び出す。左前壁14は、左連結壁15の前方端部及び左上壁11の前方端部から下方に延び出す。
【0028】
図2に示すように、左補強壁16は、左上壁11、左内壁12、左後壁13、左前壁14及び左連結壁15により囲われて形成される内部空間内に配置される板状の部位である。左補強壁16は、左上壁11及び左連結壁15により構成される第1構造体10の上面から下方に延びるように設けられる。本実施形態では、左補強壁16は2つ設けられ、2つの左補強壁16のうちの1つ目は左後壁13及び左前壁14を繋ぐように延び、2つの左補強壁16のうちの2つ目は左前壁14及び左内壁12を繋ぐように延びる。なお、左補強壁は、1つ、又は、3つ以上設けられていてもよい。
【0029】
[2-2.第2構造体]
図1に示すように、第2構造体20は、車幅方向における右方側に位置し、ステアリングメンバ202に固定される部材である。第2構造体20は、第1構造体10と同様に、例えばアルミから形成される。第2構造体20は、1つの面が開口する箱状の構成を有する。本実施形態では、図2に示すように、第2構造体20における底面が開口している。なお、第2構造体は、上面が開口するように構成されていてもよい。
【0030】
図1から図8に示すように、第2構造体20は、右上壁21と、右内壁22と、右後壁23と、右前壁24と、右外壁25と、右補強壁26と、を備える。また、第2構造体20は、右後方ステアリング結合部27と、右方ボディ結合部28と、右前方ボディ結合部29と、フロアブレース結合部30と、を更に備える。
【0031】
本実施形態では、第2構造体20は、ダイカストによって一体成型される。すなわち、右上壁21、右内壁22、右後壁23、右前壁24、右外壁25、右補強壁26、右後方ステアリング結合部27、右方ボディ結合部28、右前方ボディ結合部29及びフロアブレース結合部30は、ダイカストによって一体成型される。
【0032】
右上壁21は、第2構造体20の上面を構成する板状の部位である。右上壁21は、前後方向及び左右方向に広がり、略平面状である。図3に示すように、右上壁21は、前方端部から中央部分までは左右方向の長さよりも前後方向の長さが長く、中央部分から後方端部までは前後方向の長さよりも左右方向の長さが長い形状を有する。換言すると、右上壁21は、上面視において、屈曲した形状である。右上壁21は、前方端部から後方端部に向かって下方に傾斜を有するように延びる。
【0033】
右内壁22は、第2構造体20の左方に位置する側面を構成する板状の部位である。右内壁22は、前方端部から中央部分までは前後方向及び上下方向に概ね広がり、中央部分から後方端部までは左右方向及び上下方向に概ね広がる。右内壁22は、右上壁21の左方端部から下方に延び出す。右内壁22は、後述する右後壁23と対向する面、及び、後述する右外壁25と対向する面を有する。
【0034】
右後壁23は、第2構造体20の後方に位置する側面を構成する板状の部位である。右後壁23は、左右方向及び上下方向に広がり、略平面状である。図5に示すように、右後壁23は、上下方向の長さよりも左右方向の長さが長く、上下方向の長さが一定でない形状を有する。なお、右後壁23の上下方向の長さは、一定であってもよい。右後壁23は、左後壁13の右方に位置する。右後壁23は、右上壁21の後方端部から下方に延び出す。右後壁23の左方端部は、右内壁22の後方端部と右上壁21を介して繋がる。
【0035】
右前壁24は、第2構造体20の前方に位置する側面を構成する板状の部位である。右前壁24は、左右方向及び上下方向に広がる。本実施形態では、右前壁24は、右後壁23の前方に位置し、右後壁23と対向するように配置される。右前壁24の左方端部は、右内壁22の前方端部と繋がる。
【0036】
右外壁25は、第2構造体20の右方に位置する側面を構成する板状の部位である。右外壁25は、前後方向及び上下方向に概ね広がる。右外壁25は、右上壁21の右方端部から下方に延び出す。右外壁25の前方端部は、右前壁24の右方端部と繋がり、右外壁25の後方端部は、右後壁23の右方端部と右上壁21を介して繋がる。
【0037】
図2に示すように、右補強壁26は、右上壁21、右内壁22、右後壁23、右前壁24及び右外壁25により囲われて形成される内部空間内に配置される板状の部位である。右補強壁26は、右上壁21から下方に延びるように設けられる。本実施形態では、右補強壁26は1つ設けられ、右補強壁26は右内壁22及び右外壁25を繋ぐように延びる。なお、右補強壁は、2つ以上設けられていてもよい。
【0038】
[2-3.連結部材]
連結部材40は、扁平な板状の部材である。連結部材40は、第1構造体10及び第2構造体20よりもヤング率が高い物質で形成されている。連結部材40は、例えば鉄材から形成される。本実施形態では、連結部材40は、車幅方向に延び、前方端部が上方に向かって屈曲した形状を有する。図1図4に示すように、連結部材40は、底面部41と、第1屈曲面部42と、第2屈曲面部43と、第3屈曲面部44と、を備える。なお、連結部材は、略平面状に延びる形状であってもよい。
【0039】
底面部41は、前後方向及び左右方向に広がり、略平面状である。第1屈曲面部42は、前後方向及び左右方向に広がり、略平面状である。第1屈曲面部42は、底面部41の前方端部から前上方に緩やかな傾斜を有するように延びる。第2屈曲面部43は、上下方向及び左右方向に広がり、略平面状である。第2屈曲面部43は、第1屈曲面部42の前方端部から上方に延びる。第3屈曲面部44は、底面部41の後方端部から上方かつ後方に延び、底面部41の左右方向における中央部分に設けられる。
【0040】
第1構造体10、第2構造体20及び連結部材40は、車幅方向に並ぶように配置される。連結部材40は、第1構造体10と第2構造体20との間に位置し、第1構造体10及び第2構造体20を連結する。連結部材40は、例えば溶接、かしめ等といった種々の方法によって、第1構造体10及び第2構造体20に接合される。
【0041】
連結部材40の左方端部は、第1構造体10の左内壁12と連結し、連結部材40の右方端部は、第2構造体20の右内壁22と連結する。本実施形態では、連結部材40の左方端部は、左内壁12の下方端部に連結し、連結部材40の右方端部は、右内壁22の下方端部に連結する。なお、連結部材の左方端部は、左内壁の下方端部よりも少し上方の位置において連結し、連結部材の右方端部は、右内壁の下方端部よりも少し上方の位置において連結してもよい。
【0042】
連結部材40は、第1構造体10及び第2構造体20と連結した状態において、当該連結部材40の上方、かつ、第1構造体10の側方及び第2構造体20の側方に、図4に示す周辺部材60を配置可能なスペースを形成する。ここで、周辺部材60には、車両の運転席の前方周辺に配置される部品や装置等が含まれる。本実施形態では、周辺部材60として、例えばHUD、オーディオ機器、収納ボックス等が配置される。連結部材40は、周辺部材60に当接し、周辺部材60を支持するように構成されていてもよいし、周辺部材60を支持するように構成されていなくてもよい。
【0043】
[2-4.結合部材]
図1に示すように、結合部材50は、連結部材40の前方かつ左右方向の中央部分に位置し、車両の運転席の前方に設けられる車両のボディに連結部材40を結合させるための部材である。結合部材50は、例えばアルミから形成される。図6に示すように、結合部材50は、左壁部51と、右壁部52と、結合上壁部53と、前壁部54と、を備える。また、結合部材50は、前方ステアリング結合部55と、中前方ボディ結合部56と、を更に備える。
【0044】
本実施形態では、結合部材50は、ダイカストによって一体成型される。すなわち、左壁部51、右壁部52、結合上壁部53、前壁部54、前方ステアリング結合部55及び中前方ボディ結合部56は、ダイカストによって一体成型される。
【0045】
左壁部51及び右壁部52は、結合部材50の左右に位置する側面を構成する板状の部位である。左壁部51が左側に位置し、右壁部52が右側に位置する。左壁部51及び右壁部52は、それぞれ前後方向及び上下方向に広がり、略平面状である。左壁部51及び右壁部52は、左右方向に間隔を空けて互いに対向するように配置される。左壁部51及び右壁部52は、当該左壁部51及び当該右壁部52の間隔が、前方に向かって徐々に狭くなるように配置される。なお、左壁部及び右壁部は、当該左壁部及び当該右壁部の間隔が、一定、又は、前方に向かって徐々に広がるように配置されてもよい。
【0046】
結合上壁部53は、結合部材50の上面を構成する板状の部位である。結合上壁部53は、前後方向及び左右方向に広がり、略平面状である。結合上壁部53は、左壁部51及び右壁部52の間に位置し、左壁部51及び右壁部52を繋げる。
【0047】
前壁部54は、結合上壁部53の前方端部から下方に屈曲するように延び出し、結合部材50の前方に位置する側壁を構成する板状の部位である。前壁部54は、上下方向及び左右方向に広がり、略平面状である。前壁部54は、左壁部51及び右壁部52の間に位置し、左壁部51、右壁部52及び結合上壁部53を繋げる。
【0048】
本実施形態では、左壁部51、右壁部52及び結合上壁部53が、例えば溶接、かしめ等といった種々の方法によって、連結部材40の第1屈曲面部42に接合される。
なお、左壁部51、右壁部52及び結合上壁部53には、各壁部51,52,53を貫通する孔がそれぞれ中央部分に設けられている。当該孔が設けられることによって、車両の前方から衝撃を受けた際に、結合部材50が折れやすくなるため、当該衝撃を吸収することができる。なお、ボディからの衝撃吸収の必要姓に応じて、各壁部には、孔が設けられていなくてもよい。
【0049】
[2-5.ステアリングサポートにおけるステアリングとの結合部]
ステアリングサポート1は、上述したように、ステアリングコラム101を上方から支持することで、ステアリング100の支持を実現する。具体的には、結合部材50の前方ステアリング結合部55、第1構造体10の左後方ステアリング結合部17及び第2構造体20の右後方ステアリング結合部27が、ステアリングコラム101と結合する。
【0050】
<前方ステアリング結合部>
図6図7及び図8に示すように、前方ステアリング結合部55は、結合部材50に設けられる。本実施形態では、前方ステアリング結合部55は、左壁部51を左右方向に貫通する第1貫通孔511と、右壁部52を左右方向に貫通する第1貫通孔521と、を有する。第1貫通孔511は、左壁部51における下方端部の後方に設けられ、第1貫通孔521は、右壁部52における下方端部の後方に設けられる。
【0051】
ステアリングコラム101の前方端部には、ステアリングコラム101の右側の壁及び左側の壁に1つずつ配置され、当該右側の壁及び当該左側の壁をそれぞれ左右方向に貫通し、ボルトのネジ部が挿入可能な図示しない2つのボルト孔が設けられている。左壁部51と右壁部52との間にステアリングコラム101が配置された状態において、2つの第1貫通孔511,521と、ステアリングコラム101の左右2つのボルト孔と、にボルトのネジ部が挿入される。これにより、連結部材40が接合された結合部材50にステアリング100が締結される。
【0052】
<後方ステアリング結合部>
左後方ステアリング結合部17及び右後方ステアリング結合部27は、前方ステアリング結合部55よりも後方に設けられる。具体的には、図1に示すように、左後方ステアリング結合部17は、第1構造体10に設けられ、右後方ステアリング結合部27は、第2構造体20に設けられる。本実施形態では、左後方ステアリング結合部17は、左上壁11を上下方向に貫通する第2貫通孔111を有し、右後方ステアリング結合部27は、右上壁21を上下方向に貫通する第2貫通孔211を有する。第2貫通孔111は、左上壁11の後方端部に設けられ、第2貫通孔211は、右上壁21の後方端部における左方に設けられる。すなわち、左後方ステアリング結合部17は、左後壁13の右方端部の近傍に設けられ、右後方ステアリング結合部27は、右後壁23の左方端部の近傍に設けられる。
【0053】
図7及び図8に示すように、ステアリングコラム101の後方端部の上方には、左右方向に広がる取付部104が設けられる。取付部104には、左右方向に間隔を空けて2つ並び、それぞれ当該取付部104を上下方向に貫通し、ボルトのネジ部が挿通可能な図示しない2つのボルト孔が設けられている。取付部104の2つのボルト孔の間に連結部材40の第3屈曲面部44が位置するように、ステアリングコラム101の上方に連結部材40が配置される。そして、連結部材40が上述したように配置された状態において、2つの第2貫通孔111,211と、取付部104の2つのボルト孔と、にボルトのネジ部が挿入される。これにより、連結部材40に接合する第1構造体10及び第2構造体20にステアリング100が締結される。
【0054】
[2-6.ステアリングサポートにおける車両のボディとの結合部]
上述したように、ステアリングサポート1の前方端部が車両の運転席の前方に設けられる車両のボディに固定され、ステアリングサポート1の左方端部が運転席側ピラー201に固定され、ステアリングサポート1の右方端部がステアリングメンバ202の左方端部に固定される。具体的には、第1構造体10の左前方ボディ結合部19、連結部材40の中前方ボディ結合部56及び第2構造体20の右前方ボディ結合部29が、車両の運転席の前方に設けられるボディに結合する。また、第1構造体10の左方ボディ結合部18が運転席側ピラー201に結合し、第2構造体20の右方ボディ結合部28がステアリングメンバ202に結合する。
【0055】
<左前方ボディ結合部>
図1図8に示すように、左前方ボディ結合部19は、ステアリングサポート1の第1構造体10における左上壁11の前方端部に設けられる。本実施形態では、左前方ボディ結合部19は、左上壁11を上下方向に貫通する第3貫通孔112を有する。なお、左前方ボディ結合部が有する第3貫通孔は、左上壁を前後方向に貫通してもよい。
【0056】
<中前方ボディ結合部>
中前方ボディ結合部56は、ステアリングサポート1の結合部材50における前壁部54に設けられる。本実施形態では、中前方ボディ結合部56は、前壁部54を前後方向に貫通する図6に示す第3貫通孔541を有する。なお、中前方ボディ結合部が有する第3貫通孔は、前壁部を上下方向に貫通してもよい。
【0057】
<右前方ボディ結合部>
右前方ボディ結合部29は、ステアリングサポート1の第2構造体20における右上壁21の前方端部に設けられる。本実施形態では、右前方ボディ結合部29は、右上壁21を上下方向に貫通する第3貫通孔212を有する。なお、右前方ボディ結合部が有する第3貫通孔は、右上壁を前後方向に貫通してもよい。
【0058】
3つの第3貫通孔112,212,541のそれぞれに、ボルトのネジ部が挿入されることで、第1構造体10、第2構造体20及び結合部材50を介して、連結部材40が車両の運転席の前方に設けられる車両のボディに締結される。
【0059】
<左方ボディ結合部>
左方ボディ結合部18は、ステアリングサポート1の第1構造体10の左方端部に位置する。左方ボディ結合部18は、左後壁13の左方端部、左前壁14の左方端部及び左連結壁15の左方端部を繋ぐ部位である。本実施形態では、左方ボディ結合部18は、当該左方ボディ結合部18を前後方向に貫通する図1に示す少なくとも1つ(一例として2つ)の第4貫通孔181を有する。なお、左方ボディ結合部が有する第4貫通孔は、当該左方ボディ結合部を左右方向に貫通してもよい。
【0060】
少なくとも1つの第4貫通孔181にボルトのネジ部が挿入されることで、第1構造体10が運転席側ピラー201に締結される。
【0061】
<右方ボディ結合部>
右方ボディ結合部28は、ステアリングサポート1の第2構造体20の右方端部に位置する。右方ボディ結合部28は、右後壁23の右方端部、右外壁25の後方端部及び右上壁21の右方端部の一部を繋ぐ部位である。本実施形態では、右方ボディ結合部28は、図8に示す開口部281を有する。
【0062】
開口部281にステアリングメンバ202の左方端部が挿入され、図示を省略するボルト等によって、第2構造体20がステアリングメンバ202に締結される。なお、右方ボディ結合部28とステアリングメンバ202との固定方法は、例えば、圧入、溶接等によるものであってもよい。
【0063】
[2-7.フロアブレース結合部]
図1に示すように、フロアブレース結合部30は、第2構造体20の右後壁23に設けられる。フロアブレース結合部30には、フロアブレース300の上方端部がボルト等によって固定される。フロアブレース300とは、車両のボディにおけるステアリングサポート1の下側に位置する部分から上側に延びる部材である。
【0064】
[2-8.各ステアリング結合部及び各ボディ結合部間を繋ぐ伝達経路]
上述した第1構造体10の左後壁13は、左後方ステアリング結合部17及び左方ボディ結合部18を繋ぐ略直線状の伝達経路を形成する。伝達経路とは、ステアリング100から入力された荷重が伝達する経路である。本実施形態では、左後方ステアリング結合部17が左後壁13の右方端部の近傍に位置し、左方ボディ結合部18が左後壁13の左方端部に設けられることによって、左後方ステアリング結合部17及び左方ボディ結合部18が左後壁13によって繋がれる。
【0065】
第1構造体10の左上壁11は、左後方ステアリング結合部17及び左前方ボディ結合部19を繋ぐ略直線状の伝達経路を形成する。本実施形態では、左後方ステアリング結合部17が左上壁11の後方端部に設けられ、左前方ボディ結合部19が左上壁11の前方端部に設けられることによって、左後方ステアリング結合部17及び左前方ボディ結合部19が左上壁11によって繋がれる。
【0066】
第2構造体20の右後壁23は、右後方ステアリング結合部27及び右方ボディ結合部28を繋ぐ略直線状の伝達経路を形成する。本実施形態では、右後方ステアリング結合部27が右後壁23の左方端部の近傍に位置し、右方ボディ結合部28が右後壁23の右方端部に設けられることによって、右後方ステアリング結合部27及び右方ボディ結合部28が右後壁23によって繋がれる。
【0067】
第2構造体20の右上壁21は、右後方ステアリング結合部27及び右前方ボディ結合部29を繋ぐ略直線状の伝達経路を形成する。本実施形態では、右後方ステアリング結合部27が右上壁21の後方端部における左方に設けられ、右前方ボディ結合部29が右上壁21の前方端部に設けられることによって、右後方ステアリング結合部27及び右前方ボディ結合部29が右上壁21によって繋がれる。
【0068】
連結部材40の底面部41及び第1屈曲面部42と、結合部材50の結合上壁部53とは、左後方ステアリング結合部17及び中前方ボディ結合部56と、右後方ステアリング結合部27及び中前方ボディ結合部56とを繋ぐ略直線状の伝達経路を形成する。本実施形態では、左後方ステアリング結合部17及び右後方ステアリング結合部27が、底面部41の後方端部の近傍に位置する。そして、中前方ボディ結合部56が、結合上壁部53の前方端部の近傍に位置する。これにより、左後方ステアリング結合部17及び中前方ボディ結合部56と、右後方ステアリング結合部27及び中前方ボディ結合部56とが、底面部41、第1屈曲面部42及び結合上壁部53によって繋がれる。
【0069】
結合部材50の左壁部51及び右壁部52は、前方ステアリング結合部55及び中前方ボディ結合部56を繋ぐ略直線状の伝達経路を形成する。本実施形態では、前方ステアリング結合部55が、左壁部51及び右壁部52の下方端部の後方に設けられ、中前方ボディ結合部56が、左壁部51及び右壁部52の前方端部の近傍に位置する。これにより、前方ステアリング結合部55及び中前方ボディ結合部56が、左壁部51及び右壁部52によって繋がれる。
【0070】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)本実施形態では、連結部材40が第1構造体10と第2構造体20との間に位置し、連結部材40の左方端部が第1構造体10の左内壁12の下方端部に連結し、連結部材40の右方端部が第2構造体20右内壁22の下方端部に連結する。そして、ステアリングコラム101の上方に連結部材40が配置された状態において、ステアリング100が第1構造体10、第2構造体20及び連結部材40に締結される。このため、ステアリングコラム101の上方には、連結部材40によって形成されるスペースが設けられる。したがって、連結部材40により、運転席の前方周辺に配置される周辺部材60のスペースを確保することができる。
【0071】
(3b)本実施形態では、連結部材40は、第1構造体10及び第2構造体20を形成するアルミよりもヤング率が高い物質である鉄により形成される。このため、周辺部材60を配置可能なスペースの下方において車幅方向へ延びる扁平な板状である連結部材40の剛性の低下を抑制することができる。その結果、ステアリングサポート1の剛性を向上させ、ステアリング100の操舵感を向上させることができる。なお、連結部材40は、扁平な板状であるため、ヤング率が高い物質により形成されていない場合、ステアリング100から入力された荷重に対して変形しやすくなる。そして、当該変形によりステアリングサポート1の剛性が低下し、ステアリング100の操舵感が低下しやすくなる。
【0072】
(3c)本実施形態では、連結部材40が鉄材により形成されているため、連結部材40のコストを抑えつつ、ステアリングサポート1の剛性を向上させることができる。
【0073】
(3d)本実施形態では、第1構造体10における各結合部17,18,19、第2構造体20における各結合部27,28,29、及び、結合部材50における各結合部55,56がダイカストによって一体成型される。ダイカストでは、形状の設計の自由度が高く、複雑な三次元形状の部材が製造できる。これにより、ダイカストによって、剛性が高い形状を形成しやすいため、第1構造体10、第2構造体20及び結合部材50自体の体積を小さくすることで省スペース化に対応させたり、目標とする剛性を達成可能な範囲で軽量化したりすることが可能である。
【0074】
(3e)上記実施形態では、第1構造体10において、左後方ステアリング結合部17及び左方ボディ結合部18が略平面状の左後壁13によって繋がり、左後方ステアリング結合部17及び左前方ボディ結合部19が略平面状の左上壁11によって繋がる。このため、左後方ステアリング結合部17から左方ボディ結合部18及び左前方ボディ結合部19へ、ステアリング100から入力された荷重が第1構造体10に伝達されるときに、応力が特定箇所に集中しにくくなる。
【0075】
また、第2構造体20において、右後方ステアリング結合部27及び右方ボディ結合部28が略平面状の右後壁23によって繋がり、右後方ステアリング結合部27及び右前方ボディ結合部29が略平面状の右上壁21によって繋がる。このため、右後方ステアリング結合部27から右方ボディ結合部28及び右前方ボディ結合部29へ、ステアリング100から入力された荷重が第2構造体20に伝達されるときに、応力が特定箇所に集中しにくくなる。
【0076】
また、連結部材40及び結合部材50において、左後方ステアリング結合部17及び中前方ボディ結合部56と、右後方ステアリング結合部27及び中前方ボディ結合部56と、が略平面状の底面部41、第1屈曲面部42及び結合上壁部53によって繋がる。このため、ステアリング100から入力された荷重が連結部材40及び結合部材50に伝達されるときに、つまり、左後方ステアリング結合部17及び右後方ステアリング結合部27から中前方ボディ結合部56へ当該荷重が伝達されるときに、応力が特定箇所に集中しにくくなる。
【0077】
また、結合部材50において、前方ステアリング結合部55及び中前方ボディ結合部56が略平面状の左壁部51及び右壁部52によって繋がる。このため、前方ステアリング結合部55から中前方ボディ結合部56へ、ステアリング100から入力された荷重が結合部材50に伝達されるときに、応力が特定箇所に集中しにくくなる。その結果、ステアリングサポートの剛性を向上させ、ステアリングの操舵感を向上させることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、運転席側ピラー201、助手席側ピラー及びステアリングメンバ202が車両のボディの一例に相当する。また、前方ステアリング結合部55、左後方ステアリング結合部17及び右後方ステアリング結合部27がステアリング結合部の一例に相当する。また、左方ボディ結合部18、右方ボディ結合部28、左前方ボディ結合部19、右前方ボディ結合部29及び中前方ボディ結合部56がボディ結合部の一例に相当する。また、左上壁11、左後壁13、右上壁21及び右後壁23が壁部の一例に相当する。また、第1構造体10の左方端部が第1端の一例に相当し、第2構造体20の右方端部が第2端の一例に相当する。
【0079】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0080】
(4a)上記実施形態では、第1構造体10、第2構造体20及び結合部材50がアルミから形成され、連結部材40が鉄から形成されているが、第1構造体、第2構造体、結合部材及び連結部材が形成される材料はこれに限定されるものではない。例えば、第1構造体、第2構造体及び結合部材は、マグネシウム等により形成されていてもよい。また、例えば、連結部材は、アルミやマグネシウム等よりもヤング率が高い他の材料により形成されていてもよい。また、例えば、第1構造体、第2構造体及び結合部材は、樹脂により形成されていてもよい。この場合、連結部材は、鉄材、アルミ材及びマグネシウム材等の何れかにより形成されていてもよい。また、例えば、第1構造体がアルミ、第2構造体がマグネシウム、連結部材が鉄というように、ステアリングサポートは、3つの異なる材料から構成されていてもよい。
【0081】
(4b)上記実施形態では、左方ボディ結合部18、左前方ボディ結合部19、右方ボディ結合部28、右前方ボディ結合部29及び中前方ボディ結合部56の5つの結合部によってステアリングサポート1が車両のボディに結合する構成を例示した。しかし、ステアリングサポートの車両のボディへの結合箇所は、上記5つの結合部に限定されるものではない。例えば、ステアリングサポートは、上記5つの結合部の何れかを有しない構成であってもよいし、他の結合部を有してもよい。
【0082】
(4c)上記実施形態では、第1構造体10、第2構造体20及び結合部材50がダイカストによって一体成型される構成を例示したが、一体成型の方法はこれに限定されるものではない。例えば、第1構造体、第2構造体及び結合部材は、押し出し成型、プレス成型、射出成型、又は、3Dプリンターによる成型によって一体成型されてもよい。
【0083】
(4d)上記実施形態では、ステアリングサポート1の右方端部に位置する第2構造体20の右方ボディ結合部28がステアリングメンバ202に結合する構成を例示した。しかし、例えば、ステアリングサポートの右方端部に位置する右方ボディ結合部は、助手席側ピラーと直接結合するように構成されることで、車両のボディに結合するように構成されていてもよい。すなわち、第2構造体の右後壁、右外壁及び右上壁は、左右方向に長く延びるように構成される。そして、第2構造体の右後壁、右外壁及び右上壁のそれぞれの右方端部に位置する右方ボディ結合部に設けられた貫通孔にボルトのネジ部が挿入されることで、ステアリングサポートが助手席側ピラーに締結されてもよい。
【0084】
(4e)上記実施形態では、ステアリングサポート1の第2構造体20の右後壁23に設けられるフロアブレース結合部30にフロアブレース300が締結される構成を例示したが、例えば、ステアリングサポートにフロアブレース自体が一体成型される構成であってもよい。
【0085】
(4f)上記実施形態では、左方ボディ結合部18、左前方ボディ結合部19、右方ボディ結合部28、右前方ボディ結合部29及び中前方ボディ結合部56が、ボルト等による締結によって車両のボディに固定される構成を例示した。しかし、ステアリングサポート1と車両のボディとの結合方法はこれに限定されるものではない。例えば、ステアリングサポートと車両のボディとは、溶接等によって固定されてもよい。
【0086】
(4g)上記実施形態では、周辺部材60を配置可能なスペースがステアリングコラム101の真上に位置するように、ステアリングサポート1において第1構造体10及び第2構造体20の間に連結部材40が配置されていた。しかし、周辺部材を配置可能なスペース、すなわちステアリングサポートにおいて連結部材が配置される位置は、これに限定されるものではない。例えば、周辺部材を配置可能なスペースは、ステアリングコラムよりも右方又は左方に位置するように、ステアリングサポートにおいて連結部材が配置されていてもよい。
【0087】
(4h)上記実施形態では、第1構造体10及び第2構造体20の2つの構造体と、1つの連結部材40と、によってステアリングサポート1が構成されていたが、構造体及び連結部材の数はこれに限定されるものではない。例えば、1つの構造体と、当該構造体と連結する1つの連結部材と、によってステアリングサポートが構成されていてもよい。この場合、構造体は連結部材の右方又は左方のいずれに配置されていてもよい。そして、構造体の右方に連結部材が位置する場合、構造体が運転席側ピラー201に締結され、連結部材がステアリングメンバ202に締結される。また、構造体の左方に連結部材が位置する場合、構造体がステアリングメンバ202に締結され、連結部材は運転席側ピラー201に締結される。また、例えば、周辺部材60が配置可能なスペースが複数箇所必要な場合には、1つ以上の構造体と、2つ以上の連結部材と、によってステアリングサポートが構成されていてもよい。例えば、1つの構造体の右方及び左方にそれぞれ2つの連結部材が1つずつ連結されてもよいし、2つの構造体と2つの連部材とがそれぞれ交互に連結されてもよいし、3つの構造体と2つの連結部材とがそれぞれ交互に連結されてもよい。
【0088】
(4i)上記実施形態では、左上壁11、左内壁12、左後壁13、左前壁14、左連結壁15及び左補強壁16を備える第1構造体10の構成を例示した。また、右上壁21、右内壁22、右後壁23、右前壁24、右外壁25及び右補強壁26を備える第2構造体20の構成を例示した。また、底面部41、第1屈曲面部42、第2屈曲面部43及び第3屈曲面部44を備える連結部材40の構成を例示した。しかし、第1構造体、第2構造体及び連結部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1構造体は、左上壁、左内壁、左後壁、左前壁、左連結壁及び左補強壁の少なくとも1つを有しない構成であってもよい。また、例えば、第2構造体は、右上壁、右内壁、右後壁、右前壁、右外壁及び右補強壁の少なくとも1つを有しない構成であってもよい。また、例えば、連結部材は、底面部、第1屈曲面部、第2屈曲面部及び第3屈曲面部の少なくとも1つを有しない構成であってもよい。
【0089】
(4j)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0090】
[5.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
車幅方向に延びた状態で車両に搭載され、前記車両のステアリングを支持するように構成されたステアリングサポートであって、
前記車幅方向の第1端又は第2端に位置し、前記車両のボディに結合する少なくとも1つの構造体と、
前記車幅方向に並んで前記少なくとも1つの構造体と連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、当該連結部材の上方かつ前記少なくとも1つの構造体の側方に、周辺部材を配置可能なスペースを形成するように構成されている、ステアリングサポート。
【0091】
[項目2]
項目1に記載のステアリングサポートであって、
前記連結部材は、前記少なくとも1つの構造体よりもヤング率が高い物質で形成されている、ステアリングサポート。
【0092】
[項目3]
項目1又は項目2に記載のステアリングサポートであって、
前記連結部材は、鉄材により形成され、
前記少なくとも1つの構造体は、アルミ材、マグネシウム材及び樹脂の何れかにより形成されている、ステアリングサポート。
【0093】
[項目4]
項目1又は項目2に記載のステアリングサポートであって、
前記連結部材は、鉄材、アルミ材及びマグネシウム材の何れかにより形成され、
前記少なくとも1つの構造体は、樹脂により形成されている、ステアリングサポート。
【0094】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載のステアリングサポートであって、
前記少なくとも1つの構造体は、
前記ステアリングに結合する部位であるステアリング結合部と、
前記車両のボディに結合する部位であるボディ結合部と、
前記ステアリング結合部と前記ボディ結合部を繋ぐ略平面状の壁部と、を有し、
前記ステアリング結合部、前記ボディ結合部及び前記壁部は、一体成型される、ステアリングサポート。
【0095】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載のステアリングサポートであって、
前記少なくとも1つの構造体は、前記第1端に位置し、前記車両のボディに結合する第1構造体と、前記第2端に位置し、前記車両のボディに結合する第2構造体と、を有し、
前記連結部材は、前記第1構造体と前記第2構造体との間に位置し、当該第1構造体及び当該第2構造体を連結する、ステアリングサポート。
【符号の説明】
【0096】
1…ステアリングサポート、10…第1構造体、11…左上壁、12…左内壁、13…左後壁、14…左前壁、15…左連結壁、16…左補強壁、17…左後方ステアリング結合部、18…左方ボディ結合部、19…左前方ボディ結合部、20…第2構造体、21…右上壁、22…右内壁、23…右後壁、24…右前壁、25…右外壁、26…右補強壁、27…右後方ステアリング結合部、28…右方ボディ結合部、29…右前方ボディ結合部、30…フロアブレース結合部、40…連結部材、41…底面部、42…第1屈曲面部、43…第2屈曲面部、44…第3屈曲面部、50…結合部材、51…左壁部、52…右壁部、53…結合上壁部、54…前壁部、55…前方ステアリング結合部、56…中前方ボディ結合部、60…周辺部材、100…ステアリング、101…ステアリングコラム、102…ハンドル、103…ステアリングシャフト、104…取付部、111,211…第2貫通孔、112,212,541…第3貫通孔、181…第4貫通孔、201…運転席側ピラー、202…ステアリングメンバ、203…ブラケット、281…開口部、300…フロアブレース、511,521…第1貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8