(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086453
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ワイヤ棚板、ワイヤ棚およびワイヤ式高設栽培ベンチ棚
(51)【国際特許分類】
A01G 22/05 20180101AFI20240620BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20240620BHJP
【FI】
A01G22/05 A
A01G9/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201586
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】520373729
【氏名又は名称】KS.EP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】倉本 泰志
【テーマコード(参考)】
2B022
2B327
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AA05
2B022AB15
2B327ND01
2B327NE01
2B327TA02
2B327TA10
2B327TA18
2B327TA27
(57)【要約】
【課題】ワイヤを用いて栽培容器等を載せる棚面を形成することで、比較的簡単な作業で安価に組立、撤去等を行うことのできるワイヤ式高設栽培ベンチ棚を提供すること。
【解決手段】ワイヤ式高設栽培ベンチ棚1では、ベンチ前後方向Yの前後に設置した第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3の間に、ベンチ前後方向Yに複数本のワイヤ4を水平に張り渡すことで、栽培トレイ5を載せる載置面が形成されている。パイプを縦横に組み付けて載置棚を構築する場合、金属製のネットを用いて載置棚を構築する場合に比べて、資材が簡素化するので、資材の搬入、搬出が楽になり、撤去も簡単になる。コストダウンを図ることができ、緊張状態に張ったワイヤ4は、パイプ、ネットと比べると歪にくく、張力を調整することで安定した状態で栽培トレイ5を載置できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の輪郭形状となるように複数本の枠材を組み合わせて構成した棚枠と、
前記棚枠に緊張状態に架け渡され、第1方向に所定の間隔で平行に延びる複数本のワイヤと、
を備えており、
前記ワイヤによって棚面が規定されていることを特徴とするワイヤ棚板。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤ棚板において、
前記棚枠は長方形の輪郭形状をしており、
前記第1方向は前記長方形の長辺方向であり、
前記長辺方向の両端に位置する前記棚枠の短辺枠には、ワイヤ係合溝あるいはワイヤ係合ピンが当該短辺枠に沿って形成されており、
前記ワイヤの両側の端には、前記ワイヤ係合溝に嵌め込み可能なワイヤ係合端あるいは前記ワイヤ係合ピンに掛止可能なワイヤループ端が形成されているワイヤ棚板。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワイヤ棚板と、
前記ワイヤ棚板を所定の高さ位置に水平に支持する棚脚と、
を備えていることを特徴とするワイヤ棚。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤ棚において、
前記棚脚によって異なる高さ位置に支持される複数の前記ワイヤ棚板を備えているワイヤ棚。
【請求項5】
植物の栽培容器を載せるワイヤ式高設栽培ベンチ棚であって、
ベンチ前後方向の一方の端に配置した第1ワイヤ架け渡し台および他方の端に配置した第2ワイヤ架け渡し台を備えた棚脚と、
ベンチ設置面から所定の高さ位置において、前記第1、第2ワイヤ架け渡し台の間に架け渡され、ベンチ前後方向に延び、ベンチ左右方向に所定の間隔で配置された複数本のワイヤによって、前記栽培容器を載せる棚面が規定されているワイヤ棚板と、
を備えていることを特徴とするワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【請求項6】
請求項5に記載のワイヤ式高設栽培ベンチ棚において、
前記第1、第2ワイヤ架け渡し台のそれぞれは、
ベンチ前後方向およびベンチ左右方向に、それぞれ、所定の間隔でベンチ設置面に立てた複数本の支柱と、
前記ベンチ左右方向に延び、前記ベンチ左右方向に配列された前記支柱の間を連結している左右方向連結材と、
前記ベンチ前後方向に延び、前記ベンチ前後方向に配列された前記支柱の間を連結している前後方向連結材と、
前記ベンチ前後方向に配列された前記支柱の間に架け渡した筋交いと、
を備えているワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤ式高設栽培ベンチ棚おいて、
前記棚脚は、複数本の中間支柱を備えており、
前記中間支柱は、前記第1、第2ワイヤ架け渡し台の間において、前記ベンチ前後方向に沿って所定の間隔で前記ベンチ設置面に立てられており、
前記中間支柱のそれぞれは、前記ベンチ左右方向に延びる左右方向中間連結材に連結されており、
前記ワイヤのそれぞれは、前記ベンチ前後方向の途中において、前記左右方向中間連結材に架け渡されているワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【請求項8】
請求項7に記載のワイヤ式高設栽培ベンチ棚において、
前記ワイヤのそれぞれの一端は、前記第1ワイヤ架け渡し台の左右方向連結材に架け渡された後に、ターンバックルを介して、前記ベンチ設置面に配置したアンカーに取り付けられているワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【請求項9】
請求項7に記載のワイヤ式高設栽培ベンチ棚おいて、
前記第1、第2ワイヤ架け渡し台のそれぞれの前記前後方向連結材は、前記ワイヤと同一間隔で配置されており、
前記前後方向連結材のそれぞれに、前記ワイヤのそれぞれの端が取り付けられているワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【請求項10】
請求項9に記載の高設栽培ベンチ棚おいて、
前記中間支柱は、前記ベンチ左右方向に、前記ワイヤと同一間隔で配置されており、
前記ワイヤのそれぞれは、前記左右方向中間連結材において、前記中間支柱のそれぞれに対応する位置に架け渡されているワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【請求項11】
請求項5ないし10のうちのいずれか一つの項に記載の高設栽培ベンチ棚おいて、更に、
前記栽培容器として、栽培ポットが縦横に格子状に連結された構成の栽培トレイを備えており、
前記ワイヤの前記ベンチ左右方向の間隔は、前記栽培トレイにおける隣接する前記栽培ポットの間隔に等しいワイヤ式高設栽培ベンチ棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤ棚板、当該ワイヤ棚板から構成した単段あるいは多段のワイヤ棚、および当該ワイヤ棚を用いて構築したワイヤ式高設栽培ベンチ棚に関する。
【背景技術】
【0002】
イチゴの栽培等に用いられる高設栽培ベンチ棚は、一般的に、特許文献1に記載されているように、所定長さの金属パイプを組み合わせて棚板および棚脚が構成され、所定の高さ位置において水平に組まれたパイプ棚板の上に、栽培容器等が載置される。栽培容器としては、特許文献2に記載されているように、複数個の育苗ポットが縦横に連結された構成の栽培トレイが知られている。一方、段ボール箱、コンテナ、板材等の資材を載せるための一般的な作業棚、収納棚としても、パイプを組み合わせて棚板および棚脚が構成されたパイプ棚、棚板にネットを用いたネット棚などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-200459号公報
【特許文献2】特開2006-254744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の高設栽培ベンチ棚は、市販の5.5mの長さの金属パイプが多く用いられて構築されており、狭いところでは資材の搬入、組立作業などが困難な場合がある。また、高設栽培ベンチ棚においては、その組立、撤去、増設等の作業を簡単に行えることが望ましく、資材費、作業費の削減も望まれている。段ボール箱、資材などを載せる作業棚、収納棚においても、同様な課題がある。
【0005】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、比較的簡単な作業で安価に組立、撤去などの作業を行うことのできるワイヤを用いて構成したワイヤ棚板を提供することにある。
また、本発明の目的は、イチゴ栽培等のために温室等に設置される高設栽培ベンチ棚における栽培容器等を載せる棚板をワイヤ棚板とすることで、比較的簡単な作業で安価に組立、撤去などの作業を行うことのできるワイヤ式高設栽培ベンチ棚を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、ワイヤを用いて段ボール箱、コンテナ、その他の資材を載せる棚板をワイヤ棚板とすることで、比較的簡単な作業で安価に組立、撤去などの作業を行うことのできるワイヤ棚を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のワイヤ棚板は、
所定の輪郭形状となるように複数本の枠材を組み合わせて構成した棚枠と、
前記棚枠に緊張状態に架け渡され、第1方向に所定の間隔で平行に延びる複数本のワイヤと、
を備えており、
前記ワイヤによって棚面が規定されていることを特徴としている。
【0007】
一般的には、ワイヤ棚板の棚枠は長方形の輪郭形状をしている。この場合には、その長辺方向に複数本のワイヤが等間隔で平行に架け渡される。また、長辺方向の両端に位置する前記棚枠の短辺枠に、ワイヤ係合溝あるいはワイヤ係合ピンを形成しており、各ワイヤの両側の端を、ワイヤ係合溝に嵌め込み可能なワイヤ係合端あるいはワイヤ係合ピンに掛止可能なワイヤループ端としておけばよい。
【0008】
この構成のワイヤ棚板は、棚枠にワイヤを張ることで簡単に棚面を形成できる。金属製のパイプ等を縦横に組み合わせて水平な棚面を構築する場合、金属製のネットなどを用いて水平な棚面を構築する場合に比べて、簡単に、必要な大きさ、形状の棚面を構築でき、ワイヤ等の資材の搬入、搬出も楽であり、また、撤去作業も簡単である。
【0009】
この構成のワイヤ棚板の棚枠に、自立可能な本数の棚脚を取り付けることで、ワイヤ棚を構築できる。二段あるいは多段のワイヤ棚も簡単に構築できる。
【0010】
次に、本発明のワイヤ式高設栽培ベンチ棚は、
ベンチ前後方向の一方の端に配置した第1ワイヤ架け渡し台および他方の端に配置した第2ワイヤ架け渡し台を備えた棚脚と、
ベンチ設置面から所定の高さ位置において、前記第1、第2ワイヤ架け渡し台の間に架け渡され、ベンチ前後方向に延び、ベンチ左右方向に所定の間隔で配置された複数本のワイヤによって、栽培容器を載せる棚面が規定されているワイヤ棚板と、
を備えていることを特徴としている。
【0011】
ベンチ前後方向の両端に設置した第1、第2ワイヤ架け渡し台の間に、ベンチ前後方向に複数本のワイヤを張ることで、栽培容器を載せる棚面が簡単に構成される。パイプを縦横に組み付けて載置棚を構築する場合、金属製のネットなどを用いて載置棚を構築する場合に比べて、資材が簡素化するので、資材の搬入、搬出が楽になり、撤去も簡単になる。コストダウンを図ることができ、資材の軽量化による作業(工事)効率の向上が期待できる。また、緊張状態に張ったワイヤは、パイプ、ネットと比べると歪にくく、張力を調整することで安定した状態で栽培容器を載置可能な棚面を構築できる。
【0012】
ワイヤを緊張状態に架け渡すためにベンチ前後方向の両端に設置される第1、第2ワイヤ架け渡し台のそれぞれは、ベンチ前後方向およびベンチ左右方向に、それぞれ、所定の間隔でベンチ設置面に立てた複数本の支柱と、ベンチ左右方向に延び、ベンチ左右方向に配列された支柱の間を連結している左右方向連結材と、ベンチ前後方向に延び、ベンチ前後方向に配列された支柱の間を連結している前後方向連結材と、ベンチ前後方向に配列された支柱の間に架け渡した筋交いと、から構築することができる。ワイヤを架け渡す両端のワイヤ架け渡し台の強度を高め、ベンチ設置面に確実に固定することで、ワイヤが緩んで撓むことがない。
【0013】
また、ワイヤのそれぞれの一端は、第1ワイヤ架け渡し台の左右方向連結材に架け渡された後に、ターンバックルを介して、ベンチ設置面に配置したアンカーに取り付けられる。ターンバックルを取り付けることで、簡単にワイヤ張力を調整できる。
【0014】
さらに、ベンチ前後方向の寸法を大きくする場合には、第1、第2ワイヤ架け渡し台の間に、ベンチ前後方向に沿って所定の間隔でベンチ設置面に立てた複数本の中間支柱を配置し、中間支柱のそれぞれを、ベンチ左右方向に延びる左右方向中間連結材に連結し、ワイヤのそれぞれを、ベンチ前後方向の途中において、左右方向中間連結材に架け渡す。例えば、ベンチ前後方向に等間隔で中間支柱を配置する。これにより、ワイヤには、支柱と支柱の間毎の重みだけが掛かるので、ワイヤによって規定される載置面に、安定した状態で栽培容器を載せることができる。
【0015】
ここで、ワイヤ式高設栽培ベンチ棚に載せる栽培容器として、栽培ポットが縦横に格子状に連結された構成の栽培トレイを用いることができる。この場合には、ワイヤのベンチ左右方向の間隔を、栽培トレイにおける隣接する栽培ポットの間隔に等しくなるようにする。これにより、隣接するワイヤの間に栽培トレイの各栽培ポットが挟まれた状態で、栽培トレイを、ワイヤによって規定される載置面に、安定した状態で置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を適用したワイヤ式高設栽培ベンチ棚を示す説明図である。
【
図2】ワイヤ式高設栽培ベンチ棚の別の例を示す説明図である。
【
図3】本発明を適用したワイヤ棚の説明図、ワイヤ棚板の説明図、ワイヤ取付け部の二例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明を適用したワイヤ棚板、ワイヤ棚およびワイヤ式高設栽培ベンチ棚の実施の形態を説明する。以下の実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明を実施の形態に限定することを意図したものではない。また、以下の説明においては、最初にワイヤ式高設栽培ベンチ棚について説明し、次に、作業用、収納用その他の用途に用いることのできるワイヤ棚について説明する。
【0018】
(実施の形態1:ワイヤ式高設栽培ベンチ棚)
図1は実施の形態1に係るワイヤ式高設栽培ベンチ棚を示す説明図である。ワイヤ式高設栽培ベンチ棚1は、ベンチ前後方向Yの一方の端であるベンチ前端に配置した第1ワイヤ架け渡し台2と、他方の端であるベンチ後端に配置した第2ワイヤ架け渡し台3とを備えている。また、ベンチ設置面Gから所定の高さ位置において、第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3の間にベンチ前後方向Yに水平に架け渡した複数本のワイヤ4を備えている。第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3は基本的に、金属製のパイプを組み合わせて構成されている。ワイヤ4は例えば金属製のワイヤであり、ベンチ左右方向Xに一定の間隔で配列されている。ワイヤ4によって規定されるベンチ前後方向Yに水平に延びる一定幅の面が、栽培容器の載置面である。なお、パイプ連結用の金具等の部品は図示を省略してある。
【0019】
栽培容器は、例えば、プラスチック成形品である栽培トレイ5であり、同一形状の栽培ポット51が縦横に格子状に連結されたものである。栽培ポット51のそれぞれは、上方に開口した円錐台形状をしており、ワイヤ4のベンチ左右方向Xの間隔は、隣接する栽培ポット51の間隔に等しくなるように設定されている。
【0020】
第1ワイヤ架け渡し台2は、ベンチ前後方向Yおよびベンチ左右方向Xに所定の間隔でベンチ設置面Gに垂直に立てた4本の支柱21L、21R、22L、22Rを備えている。前側の左右の支柱21L、21Rの上端は、これらの間にベンチ左右方向Xに水平に架け渡した左右方向連結材23の左右の端に連結固定されている。同様に、後側の左右の支柱22L、22Rの上端は、これらの間にベンチ左右方向Xに水平に架け渡した左右方向連結材24の左右の端に連結固定されている。左側の前後の支柱21L、22Lの上端は、これらの間にベンチ前後方向Yに水平に架け渡した前後方向連結材25Lの前後の端に連結固定されており、右側の前後の支柱21R、22Rの上端は、これらの間にベンチ前後方向Yに水平に架け渡した前後方向連結材25Rの前後の端に連結固定されている。さらに、左側の前後の支柱21L、22Lの間には、ベンチ前後方向Yに一対の筋交い26L、27Lが架け渡され、右側の前後の支柱21R、22Rの間にも一対の筋交い26R、27Rが掛け渡されている。
【0021】
第2ワイヤ架け渡し台3は、第1ワイヤ架け渡し台2と前後対称な構造のものであるので、その説明は省略する。なお、第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3の各構成部材としては、例えば、市販の金属製のパイプを用いることができ、これらの連結は、市販のクランプ用金具等を用いることができる。
【0022】
第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3の間には、ベンチ左右方向Xの両側の位置において、ベンチ前後方向Yに沿って等間隔に、それぞれ、中間支柱6L、6Rがベンチ設置面Gから垂直に立てられている。ベンチ前後方向Yにおける同一位置にある左右の中間支柱6L、6Rの上端は、これらの間にベンチ左右方向Xに水平に架け渡した左右方向中間連結材7の左右の端に連結固定されている。また、左側の支柱22L、中間支柱6Lおよび支柱32Lに亘って、前後方向中間連結材8Lが前後方向に水平に架け渡されている。右側も同様に、前後方向中間連結材8Rが前後方向に水平に架け渡されている。
【0023】
ここで、ワイヤ4のそれぞれの前側の端41は、前側の第1ワイヤ架け渡し台2の前側の左右方向連結材23に架け渡された後に、ターンバックル10および連結具11を介して、ベンチ設置面Gに埋設あるいは据え付けたアンカー部材12に連結されている。ワイヤ4のそれぞれの後側の端42も、同様に、後側の第2ワイヤ架け渡し台3における後側の左右方向連結材に架け渡された後に、ターンバックルを介して、アンカー部材の側に連結されている。各ワイヤ4には、支柱、中間支柱の間毎の重さだけが作用することになる。なお、本例では、ベンチ左右方向Xの両側の位置において、補強用ワイヤ45が前後方向に水平に架け渡されている。
【0024】
このように構成されたワイヤ式高設栽培ベンチ棚1を用いることで次のような作用効果を得ることができる。
(1)ワイヤ4を張っているベンチ前後方向Yの第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3の強度、剛性を高くしてあるので、ワイヤ4が緩んで撓みが生じることがない。
(2)ワイヤ4を強く引くために、ワイヤ4の一端あるいは両端に、ターンバックルを取り付けてある。簡単にワイヤ4を張ることができ、また、ワイヤ張力調整も簡単である。
(3)前後の第1、第2ワイヤ架け渡し台2、3の支柱をベンチ設置面Gに打ち込むことで、これらが前後方向に位置ずれすることがなく、ワイヤ4の緊張状態を維持できる。
(4)資材が簡素化するので、資材の搬入が楽になり、撤去も簡単になる。
(5)従来の一般的なパイプ式の高設栽培ベンチ棚と比較して、部材費だけでも半分以下に削減でき、作業費を入れると更に費用を低減できる。
【0025】
(実施の形態2:ワイヤ式高設栽培ベンチ棚)
図2は実施の形態2に係るワイヤ式高設栽培ベンチ棚を示す説明図であり、ベンチ構成部材を線で簡略化して示してあり、各部材の連結用の金具等は図示を省略してある。ワイヤ式高設栽培ベンチ棚100は、ベンチ前後方向Yの一方の端であるベンチ前端に配置した第1ワイヤ架け渡し台120と、他方の端であるベンチ後端に配置した第2ワイヤ架け渡し台130とを備えている。ベンチ設置面Gから所定の高さ位置において、第1、第2ワイヤ架け渡し台120、130の間には、それらの上端の間に、ベンチ前後方向Yに水平に架け渡された複数本のワイヤ140が配置されている。第1、第2ワイヤ架け渡し台120、130は基本的に、金属製のパイプを組み合わせて構成されている。ワイヤ140は例えば金属製のワイヤであり、ベンチ左右方向Xに一定の間隔で、平行に配置されている。ワイヤ140によって規定されるベンチ前後方向Yに水平に延びる一定幅の面が、栽培容器の載置面である。
【0026】
本例では、第1、第2ワイヤ架け渡し台120、130の間には、ワイヤ140とベンチ設置面Gの間の高さ位置において、複数本の補強用ワイヤ150がベンチ前後方向Yに水平に架け渡されている。なお、栽培容器は、例えば、プラスチック成形品である栽培トレイ5であり、同一形状の栽培ポット51が縦横に格子状に連結されたものである。栽培ポット51のそれぞれは、上方に開口した円錐台形状をしており、ワイヤ140のベンチ左右方向Xの間隔は、隣接する栽培ポット51の間隔に等しくなるように設定されている。
【0027】
第1ワイヤ架け渡し台120は、ベンチ左右方向に一定の間隔で平行に配置された複数の支持枠ユニット121を備えている。支持枠ユニット121のそれぞれは、ベンチ前後方向Yに一定の間隔を開けてベンチ設置面Gに垂直に立てた前後一対の支柱122、123と、これらの支柱122、123の上端の間に、ベンチ前後方向Yに水平に架け渡した前後方向連結材124と、支柱122、123の間に前後方向に架け渡した一対の筋交い125、126とから構成されている。これらの支持枠ユニット121は、それらの前後の支柱122、123の上端において、ベンチ左右方向Xに水平に架け渡した前後の左右方向連結材127、128によって連結されている。第2ワイヤ架け渡し台130は、第1ワイヤ架け渡し台120とは、前後方向に対称な構造をしているので、その説明を省略する。
【0028】
第1、第2ワイヤ架け渡し台120、130の間において、ベンチ前後方向Yに沿って等間隔の位置には、それぞれ、ベンチ左右方向Xに一定の間隔でベンチ設置面Gに垂直に立てた複数本の中間支柱160が配列されている。ベンチ前後方向Yの同一位置においてベンチ左右方向に配列されている中間支柱160は、それらの上端にベンチ左右方向に水平に架け渡した左右方向中間連結材170によって連結されている。
【0029】
ワイヤ140のそれぞれの前側の端141は、前側の第1ワイヤ架け渡し台120の各支持枠ユニット121における前後方向連結材124に、ターンバックル(図示せず)を介して、連結されている。ワイヤ140のそれぞれの後側の端142は、後側の第2ワイヤ架け渡し台130の各支持枠ユニット131における前後方向連結材134に、ターンバックル(図示せず)を介して、連結されている。下側の補強用ワイヤ150の前端151は、前側の各支持枠ユニット121における前側の支柱122の中程の高さ位置の所に連結されており、その後端152は、後側の各支持枠ユニット131における後側の支柱132の中程の高さ位置の所に連結されている。
【0030】
この構成のワイヤ式高設栽培ベンチ棚100を用いる場合においても、実施の形態1のワイヤ式高設栽培ベンチ棚1における場合と同様な作用効果が得られる。
【0031】
なお、上記の各例において、ワイヤ、中間支柱、中間連結材の強度、太さ、断面形状、材質、本数等は、ワイヤ棚板(棚面)のサイズ、載せる物の重量、大きさ等に応じて、適宜設定されるべきものであり、図示の例に限定されるものではない。ワイヤは、載せる物の重量、大きさに応じて、その太さ(強度)を簡単に変えることができるので便利である。
【0032】
(実施の形態3:ワイヤ棚)
図3(A)は本発明の実施の形態3に係るワイヤ棚を示す説明図であり、
図3(B)はそのワイヤ棚板を示す説明図である。ワイヤ棚は作業用の棚、収納用の棚等として用いることができる。ワイヤ棚200は、ワイヤ棚板300と、棚脚400とから構成されている。ワイヤ棚板300は、複数本の枠材310、320を組み合わせて構成した棚枠330と、棚枠330に所定の緊張状態に架け渡した複数本のワイヤ340、350とから構成されている。
【0033】
本例では、棚枠330は長方形輪郭をしており、枠材310は、長辺方向に延びる長い長辺枠材であり、枠材320は短辺方向に延びる短い短辺枠材である。枠材310、320は、金属製のパイプ、L型鋼などの線材を用いることができる。本例では、ワイヤ340は、棚枠330の長辺方向に所定の緊張状態で架け渡されている。ワイヤ340は、短辺方向に等間隔で、平行に配置されている。ワイヤ350は、棚枠330の長辺方向の中央の位置において、長辺方向に延びる枠材310の間に、短辺方向に所定の緊張状態で架け渡されている。ワイヤ340、350は金属製のワイヤを用いることができる。
【0034】
棚脚400は、矩形の棚枠330を所定の高さ位置に水平に支持するために自立可能な本数の脚部材410を備えている。例えば、棚枠330の四隅および長辺方向の中央の位置の6か所において、垂直に、脚部材410が取り付けられている。脚部材410も、金属製のパイプ、L型鋼などの線材を用いることができる。
【0035】
図3(C)は、棚枠330の枠材310、320に対するワイヤ340、350の取付け構造の一例を示す説明図である。棚枠330の長辺方向の両端に位置する枠材320には、ワイヤ係合溝360が当該枠材320に沿って一定の間隔で形成されている。ワイヤ340の両側の端には、ワイヤ係合溝360に差し込み可能なワイヤ係合端370が形成されている。例えば、ワイヤ係合端370は、ワイヤ本体部分よりも一回り太い係合端となっており、これと相補的な形状をしたワイヤ係合溝360に差し込むことで、ワイヤ340を所定の緊張状態でワイヤ340を架け渡すことができる。
【0036】
図3(D)はワイヤ340、350の取付け構造の別の例を示す説明図である。棚枠330の長辺方向の両端に位置する枠材320には、ワイヤ係合ピン380が当該枠材320に沿って一定の間隔で取り付けられている。ワイヤ340の両側の端には、ワイヤ係合ピン380に引掛けることのできるワイヤループ端390が形成されている。
【0037】
なお、上記のワイヤ棚は、ワイヤ棚板が一段の場合の例であるが、ワイヤ棚板を異なる高さ位置に棚脚によって支持することで、二段式あるいは多段式のワイヤ棚を構成できる。
【符号の説明】
【0038】
1 ワイヤ式高設栽培ベンチ棚
2 第1ワイヤ架け渡し台
3 第2ワイヤ架け渡し台
4 ワイヤ
5 栽培トレイ
6L、6R 中間支柱
7 左右方向中間連結材
8L、8R 前後方向中間連結材
10 ターンバックル
11 連結具
12 アンカー部材
21L、21R、22L、22R 支柱
23、24 左右方向連結材
25L、25R 前後方向連結材
26L、26R、27L、27R 筋交い
32L 支柱
41 前側の端
42 後側の端
45L、45R 補強用ワイヤ
51 栽培ポット
100 ワイヤ式高設栽培ベンチ棚
120 第1ワイヤ架け渡し台
121 支持枠ユニット
122、123 支柱
124 前後方向連結材
125、126 筋交い
127、128 左右方向連結材
130 第2ワイヤ架け渡し台
131 支持枠ユニット
132 支柱
134 前後方向連結材
140 ワイヤ
141 前側の端
142 後側の端
150 補強用ワイヤ
151 前端
152 後端
160 中間支柱
170 左右方向中間連結材
200 ワイヤ棚
300 ワイヤ棚板
310、320 枠材
330 棚枠
340、350 ワイヤ
360 ワイヤ係合溝
370 ワイヤ係合端
380 ワイヤ係合ピン
390 ワイヤループ端
400 棚脚
410 脚部材
X ベンチ左右方向
Y ベンチ前後方向
G ベンチ設置面