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特開2024-86459プリンタ設定プログラム、情報処理装置及び無線設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086459
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】プリンタ設定プログラム、情報処理装置及び無線設定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240620BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240620BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G06F3/12 331
G06F3/12 303
G06F3/12 336
B41J29/00 E
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201593
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】星川 英之
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CG02
2C061CG15
2C061HJ08
2C061HN05
2C061HP06
(57)【要約】
【課題】情報処理装置からプリンタへ効率良く無線設定できるようにする。
【解決手段】プリンタ設定プログラムは、情報処理装置に、第1取得処理と、第1設定処理と、第2設定処理とを実行させる。第1取得処理は、プリンタのプロトコル情報をプリンタから取得することを含む。第1設定処理は、取得されたプロトコル情報が示すプロトコルに第1プロトコルが含まれている場合に、プリンタに、プリンタが無線中継装置と第1無線通信を行うために必要な第1設定を行うことを含む。第2設定処理は、取得されたプロトコル情報が示すプロトコルに第2プロトコルが含まれている場合に、プリンタに、プリンタが無線中継装置と第2無線通信を行うために必要な第2設定を行うことを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線中継装置を介してプリンタと第1通信方式の無線通信を行うことが可能に構成された第1通信回路と、
前記無線中継装置を介さずに前記プリンタと第2通信方式の通信を行うように構成された第2通信回路と、
制御部と、
を備えた情報処理装置における前記制御部が実行可能なプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタは、第1プロトコルに従った前記第1通信方式の無線通信である第1無線通信が可能であって第2プロトコルに従った前記第1通信方式の無線通信である第2無線通信はできないように構成されているか、若しくは、前記第1無線通信及び前記第2無線通信のうち少なくとも前記第2無線通信が可能に構成されており、
前記プリンタ設定プログラムは、前記制御部に、
前記プリンタがサポートしている前記第1通信方式のプロトコルを直接または間接的に示すプロトコル情報を、前記プリンタから前記第2通信回路を介して取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコルが含まれている場合に、前記第2通信回路を介して前記プリンタへ、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第1無線通信を行うために必要な第1設定を行う、第1設定処理と、
前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第2プロトコルが含まれている場合に、前記第2通信回路を介して前記プリンタへ、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第2無線通信を行うために必要な第2設定を行う、第2設定処理と、
を実行させるように構成されている、プリンタ設定プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルが含まれている場合、前記制御部に、前記第2設定処理を実行させるように構成されている、
プリンタ設定プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルは、前記第1無線通信の通信相手との相互認証に用いられる認証プロトコルである、
プリンタ設定プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記プリンタを制御するためのプログラムモジュールであるプリンタドライバを含み、
前記プリンタ設定プログラムは、前記制御部に、さらに、
前記プリンタドライバを前記情報処理装置にインストールするインストール処理、
を実行させるように構成されている、プリンタ設定プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記制御部に、前記インストール処理の実行後に前記第1取得処理を実行させるように構成されている、
プリンタ設定プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1取得処理は前記プリンタドライバに含まれる、
プリンタ設定プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、
前記制御部に前記第1設定処理を実行させるように構成されたプログラムモジュールである第1無線設定モジュールと、
前記制御部に前記第2設定処理を実行させるように構成されたプログラムモジュールである第2無線設定モジュールと、
を含み、
前記プリンタ設定プログラムは、
前記制御部に、前記第1無線設定モジュールを実行させることにより前記第1設定処理を実行させ、
前記制御部に、前記第2無線設定モジュールを実行させることにより前記第2設定処理を実行させる、
ように構成されている、プリンタ設定プログラム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1設定処理は、
前記無線中継装置において前記第1通信方式の無線通信に実際に用いるように設定されている前記プロトコルである実使用プロトコルを示す、実使用プロトコル情報を、前記無線中継装置から取得するように、前記プリンタに指示する指示処理と、
前記指示処理に基づいて前記プリンタにより取得された前記実使用プロトコル情報を前記プリンタから取得する第2取得処理と、
を含み、
前記第1設定処理は、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコルが含まれていて、且つ、前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに前記第1プロトコルが含まれている場合に、前記プリンタへ前記第1設定を行う、
プリンタ設定プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1設定処理は、
前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに前記第1プロトコルが含まれていない場合に、前記第1設定を行えないことを報知する報知処理、
を含む、プリンタ設定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1設定処理は、
前記プリンタへ前記第1設定を行った後、前記第1通信回路及び前記無線中継装置を介して前記第1無線通信により前記プリンタを検索する検索処理、
を含む、プリンタ設定プログラム。
【請求項11】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第2設定処理は、
前記無線中継装置において前記第1通信方式の無線通信に実際に用いるように設定されている前記プロトコルである実使用プロトコルを示す、実使用プロトコル情報を、前記無線中継装置から取得するように、前記プリンタに指示する指示処理と、
前記指示処理に基づいて前記プリンタにより取得された前記実使用プロトコル情報を前記プリンタから取得する第2取得処理と、
を含み、
前記第2設定処理は、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第2プロトコルが含まれていて、且つ、前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに前記第2プロトコルが含まれている場合に、前記プリンタへ前記第2設定を行う、
プリンタ設定プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルが含まれている場合、前記制御部に、前記第2設定処理を実行させるように構成されており、
前記第2設定処理は、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルが含まれていて、且つ、前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに、前記第1プロトコルが含まれていて前記第2プロトコルが含まれていない場合は、前記プリンタへ前記第1設定を行う、
プリンタ設定プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第2設定処理は、
前記プリンタへ前記第2設定を行った後、前記第1通信回路及び前記無線中継装置を介して前記第2無線通信により前記プリンタを検索する検索処理、
を含む、プリンタ設定プログラム。
【請求項14】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルは、Wi-Fi Alliance(Wi-Fiは登録商標)により策定された認証プロトコルである、
プリンタ設定プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第2プロトコルは、前記第1プロトコルよりも後に策定された、
プリンタ設定プログラム。
【請求項16】
無線中継装置を介してプリンタと第1通信方式の無線通信を行うことが可能に構成された第1通信回路と、
前記無線中継装置を介さずに前記プリンタと第2通信方式の通信を行うように構成された第2通信回路と、
制御部と、
を備えた情報処理装置であって、
前記プリンタは、第1プロトコルに従った前記第1通信方式の無線通信である第1無線通信が可能であって第2プロトコルに従った前記第1通信方式の無線通信である第2無線通信はできないように構成されているか、若しくは、前記第1無線通信及び前記第2無線通信のうち少なくとも前記第2無線通信が可能に構成されており、
前記制御部は、
前記プリンタがサポートしている前記第1通信方式のプロトコルを直接または間接的に示すプロトコル情報を、前記プリンタから前記第2通信回路を介して取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第
1プロトコルが含まれている場合に、前記第2通信回路を介して前記プリンタへ、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第1無線通信を行うために必要な第1設定を行う、第1設定処理と、
前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第2プロトコルが含まれている場合に、前記第2通信回路を介して前記プリンタへ、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第2無線通信を行うために必要な第2設定を行う、第2設定処理と、
を実行するように構成されている、情報処理装置。
【請求項17】
無線中継装置を介してプリンタと無線通信を行うことが可能に構成された情報処理装置で用いられる、前記プリンタを前記無線中継装置と前記無線通信が可能となるように設定する無線設定方法であって、
前記プリンタがサポートしている前記無線通信のプロトコルを直接または間接的に示すプロトコル情報を前記プリンタから取得することと、
取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに第1プロトコルが含まれている場合に、前記プリンタに対し、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第1プロトコルに従った前記無線通信を行うために必要な第1設定を行うことと、
取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに第2プロトコルが含まれている場合に、前記プリンタに対し、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第2プロトコルに従った前記無線通信を行うために必要な第2設定を行うことと、
を備える無線設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリンタを無線通信可能に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、情報処理装置にプリンタドライバをインストールする際に情報処理装置からプリンタへ有線にて無線設定を行う技術を、開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-333321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタの無線通信能力(例えば通信プロトコル)は、プリンタ毎に異なり得る。プリンタ毎に、当該プリンタの無線通信能力に応じた無線設定を、効率よく行うことができると便利である。
【0005】
本開示の一局面は、情報処理装置からプリンタへ効率良く無線設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面は、情報処理装置が実行可能なプリンタ設定プログラムを提供する。情報処理装置は、第1通信回路と、第2通信回路と、制御部とを備える。第1通信回路は、無線中継装置を介してプリンタと第1通信方式の無線通信を行うことが可能に構成されている。第2通信回路は、無線中継装置を介さずにプリンタと第2通信方式の通信を行うように構成されている。制御部は、プリンタ設定プログラムを実行可能である。
【0007】
プリンタは、(i)第1無線通信が可能であって第2無線通信はできないように構成されているか、若しくは(ii)第1無線通信及び第2無線通信のうち少なくとも第2無線通信が可能に構成されている。第1無線通信は、第1プロトコルに従った第1通信方式の無線通信である。第2無線通信は、第2プロトコルに従った第1通信方式の無線通信である。つまり、プリンタは、(i)第1プロトコルをサポートしている一方で第2プロトコルをサポートしていないか、若しくは(ii)第1プロトコル及び第2プロトコルのうち少なくとも第2プロトコルをサポートしている。
【0008】
プリンタ設定プログラムは、制御部に、第1取得処理と、第1設定処理と、第2設定処理とを実行させるように構成されている。
第1取得処理は、プリンタのプロトコル情報をプリンタから第2通信回路を介して取得することを含む。プリンタのプロトコル情報は、プリンタがサポートしている(換言すればプリンタが対応している)第1通信方式のプロトコルを直接または間接的に示す情報である。
【0009】
第1設定処理は、第1取得処理により取得されたプロトコル情報が示すプロトコルに第1プロトコルが含まれている場合に、第2通信回路を介してプリンタへ第1設定を行う。第1設定は、プリンタが無線中継装置と第1無線通信を行うために必要な設定である。
【0010】
第2設定処理は、第1取得処理により取得されたプロトコル情報が示すプロトコルに第
2プロトコルが含まれている場合に、第2通信回路を介してプリンタへ第2設定を行う。第2設定は、プリンタが無線中継装置と第2無線通信を行うために必要な設定である。
【0011】
このようなプリンタ設定プログラムによれば、第1無線通信が可能であって第2無線通信ができないように構成されたプリンタに対しては、第1設定処理により第1設定が行われる。これにより当該プリンタが無線中継装置と第1無線通信を実行できるようになる。一方、第2無線通信が可能に構成されたプリンタに対しては、第2設定処理により第2設定が行われる。これにより当該プリンタが無線中継装置と第2無線通信を実行できるようになる。そのため、情報処理装置からプリンタへ、プリンタが無線中継装置と無線通信するために必要な無線設定を効率良く行うことができる。
【0012】
なお、プリンタは、第1無線通信及び第2無線通信のいずれも可能であってもよい。つまりプリンタは第1,第2プロトコルの双方をサポート(換言すれば双方に対応)していてもよい。プリンタがこのように構成されている場合、第1取得処理により取得されるプロトコル情報は、第1プロトコル及び第2プロトコルの双方を含み得る。このような場合、第1設定処理及び第2設定処理のうちのどちらの処理が実行されてもよい。例えば、第1,第2プロトコルのうち最新に策定(またはリリース)されたプロトコルに対応した処理が実行されるように予め決められていてもよい。
【0013】
本開示の別の一局面は、情報処理装置を提供する。その情報処理装置は、上記の第1通信回路、第2通信回路及び制御部を備える。制御部は、上記の第1取得処理、第1設定処理及び第2設定処理を実行するように構成されている。
【0014】
したがって、このように構成された情報処理装置によれば、情報処理装置からプリンタへ、プリンタが無線中継装置と無線通信するために必要な無線設定を効率良く行うことができる。
【0015】
本開示のさらに別の一局面は、無線中継装置を介してプリンタと無線通信を行うことが可能に構成された情報処理装置で用いられる無線設定方法を提供する。この無線設定方法は、プリンタを無線中継装置と無線通信が可能となるように設定する方法である。
【0016】
この無線設定方法は、
プリンタがサポートしている無線通信のプロトコルを直接または間接的に示すプロトコル情報をプリンタから取得することと、
取得されたプロトコル情報が示すプロトコルに第1プロトコルが含まれている場合に、プリンタに対し、当該プリンタが無線中継装置と第1プロトコルに従った無線通信を行うために必要な第1設定を行うことと、
取得されたプロトコル情報が示すプロトコルに第2プロトコルが含まれている場合に、プリンタに対し、当該プリンタが無線中継装置と第2プロトコルに従った無線通信を行うために必要な第2設定を行うことと、
を備える。このような方法は、情報処理装置からプリンタへ、プリンタが無線中継装置と無線通信するために必要な無線設定を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の印刷システムの概略構成を示す説明図である。
図2】実施形態の情報処理装置(PC)のブロック図である。
図3図3Aは実施形態の第1プリンタのブロック図、図3Bは実施形態の第2プリンタのブロック図である。
図4】実施形態のドライバインストーラの機能を示すシーケンス図の一部である。
図5】実施形態のドライバインストーラの機能を示すシーケンス図の他の一部(図4の続き)である。
図6】実施形態のドライバインストーラの機能を示すシーケンス図のさらに他の一部(図5の続き)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
(1-1)印刷システムの概要
図1に示すように、本実施形態の印刷システム1は、情報処理装置10と、無線中継装置5とを備える。以下、情報処理装置のことを「PC」と称し、無線中継装置のことを「AP」と称する。「PC」はパーソナルコンピュータの略称であり、「AP」はアクセスポイントの略称である。印刷システム1は、さらに、第1プリンタ30及び/または第2プリンタ40を備える。第1プリンタ30及び第2プリンタ40は、印刷機能を備える。
【0019】
AP5は、ネットワーク3に接続されている。ネットワーク3は、どのようなネットワークであってもよい。ネットワーク3は、例えば、有線LANであってもよい。ネットワーク3は、不図示の広域ネットワーク(例えばインターネット)に接続されていてもよい。
【0020】
PC10は、AP5を中継して、第1プリンタ30及び/または第2プリンタ40と、第1通信方式による無線通信が可能である。第1通信方式は、本実施形態では、無線LANである。より具体的には、本実施形態の第1通信方式は、IEEE802.11規格に従った無線LANである。以下の説明において、単に「無線通信」と言うときは、特にことわりの無い限り、第1通信方式による無線通信を意味するものとする。
【0021】
本実施形態における無線通信は、所定の認証プロトコルに従って行われる。認証プロトコルは、例えば認証規格、セキュリティ規格、セキュリティプロトコルなどと呼ばれることもある。本実施形態では、認証プトロコルとして、第1プロトコルまたは第2プロトコルが用いられる。
【0022】
本実施形態では、認証プロトコルにおいて、認証方式と暗号化方式とが定められている。認証方式とは、相互認証のため、即ち無線通信を行う2者間で互いに相手の正当性を確かめるための、方法あるいは手順などを意味する。暗号化方式とは、無線通信において送受されるデータを暗号化する方式を意味する。
【0023】
本実施形態の第1通信方式は、前述の通り、IEEE802.11規格に従った無線LANである。そのため、第1,第2プロトコルは、IEEE802.11規格に対応した認証プロトコルである。具体的には、本実施形態の第1,第2プロトコルは、Wi-Fi
Alliance(Wi-Fiは登録商標)により策定された認証プロトコルである。
【0024】
より具体的には、本実施形態では、第1プロトコルはWPA2であり、第2プロトコルはWPA3である。「WPA2」は「Wi-Fi Protected Access 2」の略称であり、「WPA3」は「Wi-Fi Protected Access 3」の略称である。WPA3は、WPA2よりも後に策定された、WPA2よりも新しい認証プロトコルである。そのため、第1プロトコルは相対的に旧式のプロトコルであって第2プロトコルは相対的に新しいプロトコルであると言える。
【0025】
WPA2における認証方式には、例えば、PSK認証あるいはIEEE802.1x認証などがある。「PSK」は「Pre-Shared Key」の略称である。PSK認証が用いられるWPA2は「WPA2 パーソナル」とも呼ばれる。IEEE802.1
x認証が用いられるWPA2は「WPA2 エンタープライズ」とも呼ばれる。本実施形態の第1プロトコルにおいてもこれらWPA2におけるいずれかの認証方式が対応付けられている。
【0026】
また、WPA2における暗号化方式には、例えば、CCMPがある。「CCMP」は「Counter mode with CBC-MAC Protocol」の略称である。CCMPでは、暗号化アルゴリズムとして例えばAESが用いられる。「AES」は「Advanced Encryption Standard」の略称である。本実施形態の第1プロトコルも例えばCCMP-AESの暗号化方式が対応付けられている。
【0027】
WPA3における認証方式には、例えば、SAE認証あるいは上述のIEEE802.1x認証などがある。「SAE」は「Simultaneous Authentication of Equals」の略称である。SAE認証が用いられるWPA3は「WPA3 パーソナル」とも呼ばれる。IEEE802.1x認証が用いられるWPA3は「WPA3 エンタープライズ」とも呼ばれる。本実施形態の第2プロトコルにおいてもこれらWPA3におけるいずれかの認証方式が対応付けられている。
【0028】
また、WPA3においても、AESを用いた暗号化方式があり、本実施形態の第2プロトコルにおいても例えばその暗号化方式が対応付けられている。
AP5、PC10、第1プリンタ30及び第2プリンタ40はそれぞれ、どの認証プロトコルをサポートしていてもよい。本実施形態では、第1プリンタ30は、前述の通り、第1プロトコルをサポートしている一方で第2プロトコルをサポートしていない。第2プリンタ40は、前述の通り、第1プロトコル及び第2プロトコルの両方をサポートしている。なお、認証プロトコルをサポートしている、とは、当該認証プロトコルに従った第1通信方式の無線通信が可能に構成されていることを意味する。
【0029】
図1図2図3(A)および図3(B)において、「P1」は第1プロトコルを示し、「P2」は第2プロトコルを示す。また、図2図3(A)および図3(B)において、「○」はサポートしていることを示し、「×」はサポートしていないことを示す。
【0030】
PC10及びAP5はそれぞれ、例えば、第1プロトコルをサポートしている一方で第2プロトコルをサポートしていなくてもよいし、逆に第2プロトコルをサポートしている一方で第1プロトコルをサポートしていなくてもよいし、第1プロトコル及び第2プロトコルの両方をサポートしていてもよい。本実施形態では、一例として、PC10は第1プロトコル及び第2プロトコルの両方をサポートしているものとする。
【0031】
AP5は、一例として、第1プロトコル、第2プロトコル、及び第1/第2プロトコル、をサポートしているものとする。ここで「第1/第2プロトコル」とは、通信相手の認証能力に合わせて第1プロトコルまたは第2プロトコルのどちらかを選択的に用いることができること(つまり使用する認証プロトコルを動的に切替可能であること)を意味する。
【0032】
AP5は、サポートしている認証プロトコルが複数種類ある場合、それら複数種類の認証プロトコルのうち、実際に使用する認証プロトコル(以下、「実使用プロトコル」と称する)として設定された1つを、無線通信に用いる。本実施形態では、AP5は、第1プロトコル、第2プロトコル、及び第1/第2プロトコルの3種類をサポートしている。これら3種類のうちのいずれか1つが、例えばユーザによる設定操作によって、実使用プロトコルに設定される。
【0033】
AP5は、実使用プロトコルが設定されると、以後、その設定された実使用プロトコル
を用いて無線通信を行う。そのため、例えば実使用プロトコルが第2プロトコルである場合、AP5と無線通信を行う通信相手も、第2プロトコルを用いる必要がある。また例えば、実使用プロトコルが第1/第2プロトコルである場合は、通信相手は、第1プロトコル及び第2プロトコルの少なくとも一方をサポートしていれば、AP5と無線通信可能である。
【0034】
図1に示すように、PC10は、第1通信回路13を備えている。第1通信回路13は、前述の無線通信を実現するための無線通信インタフェース(または無線通信モジュールで)ある。PC10における無線通信は、第1通信回路13を介して行われる。
【0035】
AP5も、第1通信回路13に類似した不図示の通信回路を備えており、その通信回路により、PC10と第1プリンタ30及び/または第2プリンタ40との無線通信を中継することができる。
【0036】
第1プリンタ30は、Aタイプ第1通信回路33を備えている。第2プリンタ40は、Bタイプ第1通信回路43を備えている。Aタイプ第1通信回路33及びBタイプ第1通信回路43はいずれも、前述の無線通信を実現するための無線通信インタフェース(または無線通信モジュールで)である。第1プリンタ30における無線通信は、Aタイプ第1通信回路33を介して行われる。第2プリンタ40における無線通信は、Bタイプ第1通信回路43を介して行われる。
【0037】
図1に示すように、PC10は、第2通信回路14を備えている。第2通信回路14は、第2通信方式の通信を行うための通信インタフェースである。第2通信方式の通信は、AP5を介さずに行われる。第2通信方式は、本実施形態では例えば有線による通信方式であり、より具体的には、例えばUSB規格に従った通信方式である。「USB」は「Universal Serial Bus」の略称である。
【0038】
また、第1プリンタ30は第2通信回路34を備え、第2プリンタ40は第2通信回路44を備えている。これら第2通信回路34,44はいずれも、第2通信方式の通信を行うための通信インタフェースである。
【0039】
本実施形態では、後述するように、PC10と、第1プリンタ30または第2プリンタ40との間で、第2通信方式の通信が行われる。
なお、PC10について、特定の認証プロトコルをサポートしている、とは、より具体的には、PC10の第1通信回路13が当該認証プロトコルをサポートしていることを意味する。同様に、AP5についてはAP5の不図示の通信回路が当該認証プロトコルをサポートしていることを意味し、第1プリンタ30についてはAタイプ第1通信回路33が当該認証プロトコルをサポートしていることを意味し、第2プリンタ40についてはBタイプ第1通信回路43が当該認証プロトコルをサポートしていることを意味する。
【0040】
そのため、本実施形態では、Aタイプ第1通信回路33は第1プロトコルをサポートしている一方で第2プロトコルをサポートしていない。Bタイプ第1通信回路43は、第1プロトコル及び第2プロトコルの両方をサポートしている。第2プロトコルは第1プロトコルの後に策定された認証プロトコルである。
【0041】
図1に示すように、PC10には、ドライバインストーラ22が記憶され得る。ドライバインストーラ22は、PC10が実行可能なソフトウェアである。本実施形態のドライバインストーラ22は、4つのプログラムモジュールを備える。具体的には、ドライバインストーラ22は、コントロールモジュール23、プリンタドライバ24、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26を備える。
【0042】
コントロールモジュール23は、PC10にプリンタドライバ24をインストールする機能を有する。プリンタドライバ24は、当該プリンタドライバ24に対応しているプリンタをPC10から制御するためのソフトウェアである。本実施形態では、第1プリンタ30及び第2プリンタ40のいずれも、プリンタドライバ24に対応している。つまり、第1プリンタ30及び第2プリンタ40のいずれも、共通のプリンタドライバ24によってPC10から制御できる。
【0043】
第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26はそれぞれ、プリンタドライバ24を介してPC10から制御可能となるプリンタ(以下、「対象プリンタ」と称する)に対して無線設定を行う機能を有する。本実施形態では、コントロールモジュール23が、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26のいずれか一方を起動させ、その起動させた一方に、対象プリンタへの無線設定を実行させる。
【0044】
ここでいう無線設定とは、対象プリンタがAP5と無線通信ができるようにするため、ひいては対象プリンタがAP5を介してPC10と無線通信ができるようにするため、に必要な、対象プリンタに対する設定である。本実施形態の無線設定は、例えば、AP5のSSID、パスワード、認証プロトコルなどを対象プリンタに設定すること含む。なお、第1プリンタ30への無線設定は主にはAタイプ第1通信回路33に対して行われ、第2プリンタ40への無線設定は主にはBタイプ第1通信回路43に対して行われる。
【0045】
第1無線設定モジュール25は、対象プリンタへ第1プロトコルを設定できる一方で第2プロトコルを設定できない。第2無線設定モジュール26は、対象プリンタへ第1プロトコル及び第2プロトコルのいずれかを択一的に設定できる。
【0046】
本実施形態では、後述するように第1無線設定モジュール25または第2無線設定モジュール26が適宜選択されて起動されることで、結果として、対象プリンタがサポートしている1以上の認証プロトコルのうち、(i)AP5の実使用プロトコルに含まれていて且つ(ii)最も新しい(最も新しく策定された)認証プロトコルが、対象プリンタにおける無線通信で用いられる認証プロトコルに設定される。
【0047】
対象プリンタに無線設定が行われることで、プリンタドライバ24は、AP5を介した無線通信によって対象プリンタを制御することができるようになる。プリンタドライバ24による対象プリンタの制御には、例えば、(i)印刷ジョブを示す印刷データをPC10から対象プリンタへ送信して、当該印刷データが示す画像を印刷するように対象プリンタに指示すること、(ii)対象プリンタで印刷時に用いられる各種設定項目の設定値を設定すること、(iii)対象プリンタのステータス情報を取得すること、などの複数の処理のうちの1つ以上が含まれる。
【0048】
(1-2)PCの構成
PC10について、図2を参照してより具体的に説明する。PC10は、例えば据え置き型のパソコン、モバイルパソコン、タブレット端末などの、各種の情報処理装置のうちのいずれかの形態である。
【0049】
図2に示すように、PC10は、制御部11と、記憶部12と、第1通信回路13と、第2通信回路14と、入力部15と、表示部16とを備える。
制御部11は、例えば不図示のCPUを有する。記憶部12は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。すなわち、PC10は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。記憶部12は、例えばソリッドステートドライブ(SSD)及びハードディスクドライブ(HDD)等のスト
レージを含んでいてもよい。
【0050】
記憶部12は、各種のプログラム及びデータを記憶する。制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、記憶部12は、プログラムを格納したnon-transitory computer readable storage mediumに該当する。なお、制御部11により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0051】
本実施形態では、記憶部12に、OS(オペレーティングシステム)21が記憶(詳しくはインストール)されている。OS21は、例えば、PC10のベンダにおいて予めインストールされてもよい。プリンタドライバ24は、例えば、PC10のベンダにおいて予めインストールされてもよいし、PC10のユーザにより任意にインストールされてもよい。
【0052】
記憶部12は、さらに、前述のドライバインストーラ22が記憶され得る。図2は、ドライバインストーラ22が記憶部12に記憶されている状態を示している。ドライバインストーラ22は、制御部11により実行され得る。また、ドライバインストーラ22によりインストールされたプリンタドライバ24も、制御部11により実行され得る。
【0053】
なお、以下の説明では、プログラムを実行する主体(例えばPC10においては制御部11)のことを、単に当該プログラム名またはその略称で記載する場合がある。例えば、「コントロールモジュール23は」という記載は、詳しくは「コントロールモジュール23を実行している制御部11は」を意味する場合がある。
【0054】
入力部15は、各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。入力用デバイスには、例えば、不図示のキーボード、タッチパネル、マウスなどが含まれていてもよい。 表示部16は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
【0055】
(1-3)第1,第2プリンタの構成
第1プリンタ30について、図3(A)を参照してより具体的に説明する。第1プリンタ30は、制御部31と、記憶部32と、Aタイプ第1通信回路33と、第2通信回路34と、入力部35と、表示部36と、印刷部37と、読取部38とを備える。
【0056】
制御部31は、例えば不図示のCPUを有する。記憶部32は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。即ち、本実施形態の第1プリンタ30は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。記憶部32には、各種のソフトウェアやデータが記憶されている。
【0057】
制御部31は、記憶部32に記憶された各種プログラムを実行することにより各種機能を実現する。制御部31により実現される各種機能には、前述の印刷機能が含まれる。なお、制御部31により実現される各種機能は、プログラムの実行によって(即ち、ソフトウェア処理によって)実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0058】
入力部35は、ユーザによる各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。この入力用デバイスは、例えば、不図示の操作スイッチ、不図示のタッチパネルなどを含んでいてもよい。
【0059】
表示部36は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
印刷部37は、制御部31に制御されて、被印刷媒体に画像を印刷することが可能に構成されている。印刷部37は、例えば、インクジェット方式またはレーザー方式などの各種の印刷方式のいずれかを用いて画像を印刷するように構成されている。
【0060】
読取部38は、イメージセンサを備え、画像が記録された被記録媒体におけるその画像を読み取り、読み取った画像のデータを生成する。
次に、第2プリンタ40について、図3(B)を参照してより具体的に説明する。第2プリンタ40は、制御部41と、記憶部42と、Bタイプ第1通信回路43と、第2通信回路44と、入力部45と、表示部46と、印刷部47と、読取部48とを備える。
【0061】
本実施形態では、記憶部42、第2通信回路44、入力部45、表示部46、印刷部47及び読取部48については、基本的に、第1プリンタ30の記憶部32、第2通信回路34、入力部35、表示部36、印刷部37及び読取部38とそれぞれ同様に構成されている。
【0062】
第2プリンタ40が第1プリンタ30と異なるのは、Bタイプ第1通信回路43と、制御部41である。具体的に、Bタイプ第1通信回路43は、第1プリンタ30のAタイプ第1通信回路33と比較して、前述の通り、サポートしている認証プロトコルが一部異なる。即ち、Bタイプ第1通信回路43は、第1プロトコル及び第2プロトコルの両方をサポートしている。制御部41については、CPUの種類(または能力)が、第1プリンタ30の制御部31のCPUと異なる。具体的には、本実施形態では、第2プリンタ40のCPU(以下、「第2CPU」と称する)は、第1プリンタ30のCPU(以下、「第1CPU」と称する)よりも世代が新しく且つ高性能である。つまり、本実施形態では、第2CPUは相対的に新世代のCPUであり、第1CPUは相対的に旧世代のCPUである。加えて、サポートしている認証プロトコルも、第1プリンタ30よりも第2プリンタ40の方が新しい。そのため、本実施形態では、第2プリンタ40は相対的に新型のプリンタであり、第1プリンタ30は相対的に旧型のプリンタであるといえる。だだし、本実施形態では、前述の通り、第1プリンタ30及び第2プリンタ40のいずれも、同じプリンタドライバ24を用いて制御することができる。
【0063】
(1-4)ドライバインストーラ22の機能
次に、ドライバインストーラ22の機能について、図4図6のシーケンス図を参照して説明する。なお、図4図6の説明においては、一例として、AP5の実使用プロトコルが第1/第2プロトコルに設定されていることを前提とする。
【0064】
図4に示すように、例えばユーザがPC10を起動させると、PC10とAP5との間で所定の手順の無線接続が行われる。この無線接続においては、例えば、ユーザによるPC10へのSSID及びパスワード等の入力操作が要求されてもよい。この無線接続が成功することで、PC10とAP5とが互いに無線通信を行うことが可能になる。
【0065】
ここで、ユーザがPC10において、ドライバインストーラ22を起動させると、コントロールモジュール23が、プリンタドライバ24をPC10にインストールする(S110)。
【0066】
コントロールモジュール23は、プリンタドライバ24のインストール後、ユーザへ、PC10を対象プリンタに接続するように指示する(S120)。対象プリンタへの無線設定は、第2通信方式による通信によって行われる。そのため、対象プリンタへの無線設定を行う前に、このS120の指示が行われる。この指示は、例えば、表示部16にメッ
セージを表示することによって行われてもよい。
【0067】
このS120の指示を受けたユーザは、対象プリンタの無線設定のために、PC10と対象プリンタとを、第2通信方式の通信が可能となるように接続する。具体的には、本実施形態では、USBケーブルによって両者を接続する。
【0068】
コントロールモジュール23は、PC10が対象プリンタに接続されたことを確認すると(S130)、プリンタドライバ24に対し、プリンタ能力情報を取得するように指示する(S140)。
【0069】
この指示を受けたプリンタドライバ24は、第2通信方式の通信によって、即ち第2通信回路14を介して、対象プリンタへ、プリンタ能力情報を要求する(S310)。
この要求を受けた対象プリンタは、第2通信方式の通信によって、PC10(詳しくはプリンタドライバ24)へプリンタ能力情報を送信する。
【0070】
プリンタドライバ24は、対象プリンタから送信されて第2通信回路14で受信されたプリンタ能力情報を取得する(S320)。プリンタドライバ24は、取得したプリンタ能力情報をコントロールモジュール23に返答する(S330)。
【0071】
コントロールモジュール23は、プリンタドライバ24から返答されたプリンタ能力情報を取得する(S150)。S150では、コントロールモジュール23は、さらに、取得したプリンタ能力情報に基づいて、対象プリンタがサポートしている認証プロトコルを認識する。
【0072】
プリンタ能力情報は、少なくとも、対象プリンタがサポートしている認証プロトコルを直接または間接的に示す情報を含む。具体的には、プリンタ能力情報は、例えば、対象プリンタがサポートしている認証プロトコルを直接示す情報を含んでいてもよい。
【0073】
あるいは、プリンタ能力情報は、対象プリンタにおける認証プロトコルとは異なる他の特定の情報(例えばCPUの種類)を含んでいてもよい。この場合、コントロールモジュール23は、取得した特定の情報を、所定の対応情報に照らし合わせて、対象プリンタがサポートしている認証プロトコルを認識してもよい。対応情報は、特定の情報と認証プロトコルとの対応関係を示す。対応情報には、例えば、(i)対象プリンタのCPUが第1CPU(旧世代)ならば、サポートされている認証プロトコルは第1プロトコルである(換言すれば対象プリンタは旧型の第1プリンタ30である)こと、及び、(ii)対象プリンタのCPUが第2CPU(新世代)ならば、サポートされている認証プロトコルは第2プロトコルである(換言すれば対象プリンタは新型の第2プリンタ40である)こと、などの情報が含まれていてもよい。対応情報は、例えばPC10に保存されていてもよいし、PC10の外部(例えばネットワーク3に接続されたサーバ等)から無線通信にて取得できてもよい。
【0074】
コントロールモジュール23は、S150で認識した認証プロトコルに応じて、第1無線設定モジュール25または第2無線設定モジュール26を起動させる。
即ち、図5に示すように、コントロールモジュール23は、認識した認証プロトコルに第2プロトコルが含まれている場合は、第2無線設定モジュール26を起動させる(S160)。
【0075】
なお、認識した認証プロトコルにさらに第1プロトコルが含まれている場合も、コントロールモジュール23は、第2無線設定モジュール26を起動させる(S160)。つまり、複数の認証プロトコルが認識された場合は、コントロールモジュール23は、それら
複数の認証プロトコルのうち、第1無線設定モジュール25または第2無線設定モジュール26が設定可能な最も新しい認証プロトコルを、設定対象に決定する。そして、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26のうち、その設定対象の認証プロトコルを設定可能ないずれか一方を、起動させる。
【0076】
対象プリンタが第2プリンタ40である場合、コントロールモジュール23は、対象プリンタが第1,第2プロトコルをサポートしていることを認識する。そのため、この場合は、コントロールモジュール23は、第2無線設定モジュール26を起動させる(S160)。
【0077】
第2無線設定モジュール26は、起動すると、第2通信方式の通信にて(つまり第2通信回路14を介して)、対象プリンタへ、AP5からネットワーク情報を取得するように指示する(S510)。ネットワーク情報は、無線設定に必要な情報、即ち、対象プリンタがAP5と無線通信ができるようにするために必要な情報である。本実施形態では、ネットワーク情報は、AP5の実使用プロトコルを含む。本実施形態では、ネットワーク情報は、さらに、例えばAP5のSSID、パスワードなどを含んでいる。
【0078】
ここで、本実施形態のAP5は、ネットワーク情報を、第1通信方式の無線通信にて定期的にブロードキャストしている。まだ無線設定されていない対象プリンタは、AP5と無線通信を行うことはまだできないものの、AP5からブロードキャストされているネットワーク情報については受信可能である。
【0079】
そのため、対象プリンタは、第2無線設定モジュール26からネットワーク情報の取得指示を受けると、AP5からブロードキャストされているネットワーク情報を取得する(S610)。そして、取得したネットワーク情報を第2無線設定モジュール26へ返答する(S620)。なお、対象プリンタは、上記とは異なる方法でネットワーク情報を取得できてもよい。
【0080】
第2無線設定モジュール26は、対象プリンタから返答されたネットワーク情報を取得する(S520)。そして、取得したネットワーク情報に基づいて、対象プリンタの無線設定を行う(S530)。
【0081】
具体的に、AP5の実使用プロトコルに第2プロトコルが含まれていることに基づいて、対象プリンタへ第2設定を行う。「実使用プロトコルに第2プロトコルが含まれている」とは、本実施形態では、実使用プロトコルが第2プロトコルであること、若しくは、実使用プロトコルが第1/第2プロトコルであること、に該当する。第2設定は、対象プリンタがAP5と第2プロトコルを用いた無線通信を行うために必要な無線設定であり、例えば、取得したネットワーク情報を対象プリンタに設定する。これにより、対象プリンタは、設定された情報に基づいて(即ち第2プロトコルに基づいて)無線通信を行うことが可能となる。なお、AP5の実使用プロトコルが第2プロトコルである場合も、対象プリンタへ第2設定が行われる。
【0082】
なお、AP5の実使用プロトコルが第1/第2プロトコルである場合、対象プリンタは、第1プロトコルを用いてAP5と無線通信することも可能である。しかし本実施形態では、第2無線設定モジュール26は、設定可能な最も新しい第2プロトコルを設定する。換言すれば、第2無線設定モジュール26は、第2無線設定モジュール26が設定可能な認証プロトコルであって且つAP5の実使用プロトコルに含まれている認証プロトコルのうち、策定時期が最も新しい認証プロトコルを、対象プリンタへ設定する。
【0083】
第2無線設定モジュール26は、対象プリンタへの無線設定を完了すると、コントロー
ルモジュール23へ、無線設定が完了したことを通知する(S540)。
なお、種々の要因で、S530の無線設定が正常に行われない可能性もある。種々の要因には、例えば、AP5の実使用プロトコルが第1プロトコル及び第2プロトコルのいずれでもない場合も含まれる。このようにS530の無線設定が正常に行われない場合、第2無線設定モジュール26は、対象プリンタの無線設定ができないことをユーザへ報知する(S550)。この報知はどのような方法で行われてもよい。例えば、表示部16に所定のメッセージが表示されてもよい。
【0084】
なお、AP5の実使用プロトコルが例えば第1プロトコルである場合は、第2無線設定モジュール26は、どのように作動してもよい。例えば、第2無線設定モジュール26は、対象プリンタに第2プロトコルを設定できないことユーザに報知して、無線設定を行わないようにしてもよい。また例えば、その報知に代えて、或いはその報知に加えて、対象プリンタがAP5と無線通信できるようにすることを優先して、対象プリンタに第1プロトコルを設定してもよい。
【0085】
S540で第2無線設定モジュール26による無線設定の完了の通知が行われると、コントロールモジュール23はその通知を受信する(S170)。
一方、対象プリンタが第1プリンタ30である場合は、コントロールモジュール23は、S150において、対象プリンタが第1プロトコルをサポートしていて第2プロトコルをサポートしていないことを認識する。第1プロトコルは、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26のいずれによっても設定可能である。しかしこの場合、本実施形態では、対象プリンタが第2プロトコルをサポートしていないことから、第2プロトコルを設定可能な第2無線設定モジュール26は起動させずに、第2プロトコルを設定できない第1無線設定モジュール25を起動させる(S180)。
【0086】
つまり、本実施形態では、あくまで一例であるが、第1無線設定モジュール25の主な機能は例えば第1プロトコルを設定することであり、第2無線設定モジュール26の主な機能は例えば第2プロトコルを設定することである。なお本実施形態では、第2無線設定モジュール26は、補助的な機能として、第1プロトコルも設定することができるように構成されている。そのため、本実施形態では、対象プリンタが第2プロトコルをサポートせず第1プロトコルをサポートしている場合は、第1,第2無線設定モジュール25,26のどちらを用いても無線設定可能であるものの、第1無線設定モジュール25を用いて無線設定するように構成されている。ただしこの場合において、第2無線設定モジュール26を起動させて、第2無線設定モジュール26によって対象プリンタに第1プロトコルを設定してもよい。
【0087】
第1無線設定モジュール25は、起動すると、第2通信方式の通信にて、対象プリンタへ、AP5からネットワーク情報を取得するように指示する(S410)。対象プリンタは、第1無線設定モジュール25からネットワーク情報の取得指示を受けると、AP5からブロードキャストされているネットワーク情報を取得する(S630)。そして、取得したネットワーク情報を第1無線設定モジュール25へ返答する(S640)。
【0088】
第1無線設定モジュール25は、対象プリンタから返答されたネットワーク情報を取得する(S420)。そして、取得したネットワーク情報に基づいて、対象プリンタの無線設定を行う(S430)。
【0089】
具体的に、AP5の実使用プロトコルに第1プロトコルが含まれていることに基づいて、対象プリンタへ第1設定を行う。つまり対象プリンタがAP5と第1プロトコルを用いた無線通信を行うために必要な無線設定を行う。
【0090】
なお、第1無線設定モジュール25も、複数の認証プロトコルを択一的に設定可能であってもよい。例えば、第1プロトコルに加えて、第1プロトコルよりも策定時期が古い認証プロトコルを設定可能であってもよい。この場合、第1無線設定モジュール25は、対象プリンタがサポートしていて、第1無線設定モジュール25が設定可能であって、且つAP5の実使用プロトコルに含まれている認証プロトコルのうち、策定時期が最も新しい認証プロトコルを、対象プリンタに設定してもよい。
【0091】
第1無線設定モジュール25は、対象プリンタへの無線設定を完了すると、コントロールモジュール23へ、無線設定が完了したことを通知する(S440)。
なお、S430の無線設定が正常に行われない場合、第1無線設定モジュール25は、第1プロトコルの無線設定ができないことを、例えばS550と同様の方法で、ユーザへ報知する(S450)。S430の無線設定が正常に行われないケースとして、例えば、AP5の実使用プロトコルに第1プロトコルが含まれていないケースが考えられる。
【0092】
S440で第1無線設定モジュール25による無線設定の完了の通知が行われると、コントロールモジュール23はその通知を受信する(S190)。
コントロールモジュール23は、S170で第2無線設定モジュール26から無線設定の完了の通知を受信すると、図6に示すように、第2無線設定モジュール26へ、無線接続確認を指示する(S200)。つまり、コントロールモジュール23は、PC10がAP5を介して対象プリンタと実際に第2プロトコルに従った無線通信ができるか否かを、第2無線設定モジュール26に確認させる。
【0093】
なお、コントロールモジュール23または第2無線設定モジュール26は、S170の処理後、第2通信方式によるPC10と対象プリンタの接続(本実施形態ではUSB接続)を解除するように、ユーザに報知してもよい。ユーザは、この報知を受けて、第2通信方式によるPC10と対象プリンタの接続を解除してもよい。
【0094】
第2無線設定モジュール26は、コントロールモジュール23からS200の指示を受けると、AP5を介した、第2プロトコルに従った無線通信により、対象プリンタを検索する(S560)。具体的には、第2無線設定モジュール26は、例えば所定の検索コマンドを送信してもよい。
【0095】
対象プリンタは、第2無線設定モジュール26からの検索コマンドをAP5を介して受信すると(S650)、所定の応答データを、無線通信によりAP5を介してPC10へ送信する(S660)。第2無線設定モジュール26は、無線通信にてその応答データを取得する(S570)。
【0096】
第2無線設定モジュール26は、応答データが取得されか否か、即ち対象プリンタと第2プロトコルに従った無線通信が実際に可能になったか否かを、第2無線設定モジュール26自ら、あるいは他のプログラムモジュールを介して、ユーザに報知してもよい。
【0097】
コントロールモジュール23は、S190で第1無線設定モジュール25から無線設定の完了の通知を受信すると、図6に示すように、第1無線設定モジュール25へ、無線接続確認を指示する(S220)。つまり、コントロールモジュール23は、PC10がAP5を介して対象プリンタと実際に第1プロトコルに従った無線通信ができるか否かを、第1無線設定モジュール25に確認させる。
【0098】
第1無線設定モジュール25は、コントロールモジュール23からS220の指示を受けると、AP5を介した、第1プロトコルに従った無線通信により、対象プリンタを検索する(S460)。具体的には、第1無線設定モジュール25は、例えば所定の検索コマ
ンドを送信してもよい。
【0099】
対象プリンタは、第1無線設定モジュール25からの検索コマンドをAP5を介して受信すると(S670)、所定の応答データを、無線通信によりAP5を介してPC10へ送信する(S680)。第1無線設定モジュール25は、無線通信にてその応答データを取得する(S470)。
【0100】
第1無線設定モジュール25は、応答データが取得されか否か、即ち対象プリンタと第1プロトコルに従った無線通信が実際に可能になったか否かを、第1無線設定モジュール25自ら、あるいは他のプログラムモジュールを介して、ユーザに報知してもよい。
【0101】
(1-5)実施形態の効果
以上説明した実施形態によれば、第1プリンタ30及び第2プリンタ40のどちらをPC10から使用する場合であっても、同じドライバインストーラ22を用いて必要な設定を行うことができる。
【0102】
具体的には、ドライバインストーラ22は、第1,第2プリンタ30,40の双方に対応しているプリンタドライバ24をインストールできる。さらに、ドライバインストーラ22は、対象プリンタがサポートしている認証プロトコルに応じた適切な無線設定を行うことができる。
【0103】
具体的には、対象プリンタが第1プリンタ30である場合は、第1無線設定モジュール25によって、第1プロトコルに従った無線通信を行うように対象プリンタが設定される。対象プリンタが第2プリンタ40である場合は、第2無線設定モジュール26によって、第2プロトコルに従った無線通信を行うように対象プリンタが設定される。
【0104】
そのため、対象プリンタが第1プロトコル及び第2プトロコルのどちらをサポートしていても、あるいはどちらか一方のみサポートしていても、対象プリンタへの無線設定を効率よく行うことができる。
【0105】
また、本実施形態では、第2無線設定モジュール26は、基本的には対象プリンタへ第2プロトコルを設定するが、AP5の実使用プロトコルに第2プロトコルが含まれておらず第1プロトコルが含まれている場合は、対象プリンタへ第1プロトコルを設定する。つまり、本実施形態では、対象プリンタがサポートしていて、AP5の実使用プロトコルに含まれていて、且つ起動された無線設定モジュールが設定可能な認証プロトコルであれば、それを対象プリンタに設定することができる。
【0106】
また、起動された無線設定モジュールが対象プリンタに対して無線設定しようとしている認証プトロコルが、AP5の実使用プロトコルに含まれていない場合は、ユーザへ報知される。この場合、ユーザは、無線設定が正常に行われないことを容易に認識できる。
【0107】
また、本実施形態では、対処プリンタへの無線設定が完了した後、実際にAP5を介してPC10と対象プリンタとの無線通信(つまり対象プリンタの検索)が行われる。このとき行われる無線通信は、対象プリンタに対して設定された認証プロトコルに従った無線通信である。そのため、ドライバインストーラ22(ひいてはユーザ)は、PC10がAP5を介して対象プリンタと実際に無線通信ができるようになったか否かを、容易に確認することができる。
【0108】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるこ
となく、種々変形して実施することができる。
【0109】
(2-1)上記実施形態は、一例として、PC10が第1プロトコル及び第2プロトコルの両方をサポートしていることを前提としていた。しかし、PC10が第1プロトコル及び第2プロトコルの少なくとも一方をサポートしていない場合も起こりえる。
【0110】
そこで、コントロールモジュール23は、PC10がサポートしている認証プロトコルを考慮に含めて、起動させるべき無線設定モジュールを決定(ひいてはどの認証プトロコルを対象プリンタに無線設定するのかを決定)してもよい。
【0111】
例えば、対象プリンタが第1プロトコル及び第2プロトコルをサポートしていて、且つAP5の実使用プロトコルが第1/第2プロトコルであっても、PC10の第1通信回路13が、第1プロトコルをサポートしているものの第2プロトコルをサポートしていないケースが想定され得る。このケースでは、第1無線設定モジュール25を起動させてもよい。つまり、このケースでは、対象プリンタが第1プロトコルに従った無線通信を行うように、対象プリンタの無線設定を行ってもよい。或いは、このケースでも、起動されるのは第2無線設定モジュール26であってもよい。ただしその場合、第2無線設定モジュール26は、PC10のサポート情報(即ち第1プロトコルをサポートしていて第2プロトコルをサポートしていないこと)をコントロールモジュール23またはPC10から取得してもよい。そして、取得したサポート情報に基づいて、対象プリンタに対して第1プロトルを設定するようにしてもよい。
【0112】
また、例えば対象プリンタが第2プロトコルのみサポートしている一方でPC10が第1プロトコルのみサポートしているケースも想定され得る。このように、対象プリンタがサポートしている認証プロトコルとPC10がサポートしている認証プロトコルとが1つも一致しない場合は、例えば所定のエラー情報をユーザに報知してもよい。
【0113】
(2-2)第1プリンタ30及び第2プリンタ40はそれぞれ、どのような認証プロトコルをサポートしていてもよい。例えば、第2プリンタ40は、第1プロトコルをサポートしていなくてもよい。また例えば、第1プリンタ30は、第1プロトコルに加えてまたは代えて、第1プロトコル以外の認証プロトコルをサポートしていてもよい。また例えば、第2プリンタ40は、第1プロトコル及び/または第2プロトコルに加えて、または代えて、これら以外の認証プロトコルをサポートしていてもよい。PC10及びAP5についても、それぞれ、どのような認証プロトコルをサポートしていてもよい。
【0114】
(2-3)上記実施形態では、第1プロトコルがWPA2、第2プロトコルがWPA3であったが、第1,第2プロトコルはそれぞれ、上記実施形態とは異なる認証プロトコルであってもよい。
【0115】
(2-4)第1通信方式は、IEEE802.11規格に従った無線LANに限定されず、他の無線通信方式であってもよい。第2通信方式は、USB規格に限定されず、他の有線通信方式であってもよい。第2通信方式は無線通信であってもよい。
【0116】
(2-5)上記実施形態のドライバインストーラ22は、コントロールモジュール23、プリンタドライバ24、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26の4つのプログラムモジュールを少なくとも備えていた。
【0117】
しかし、ドライバインストーラ22は、どのように構成されていてもよい。ドライバインストーラ22は、いくつのプログラムモジュールを備えていてもよい。例えば、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26が、1つのプログラムモジュール
(以下、「共通無線設定モジュール」と称する)として一体化されてもよい。
【0118】
つまり、上記実施形態では、複数の無線設定モジュールが用意され、その複数の無線設定モジュールのうちのいずれか1つが択一的に起動された。しかし、このように無線設定モジュールを複数用意することは必須ではない。対象プリンタがサポートしている認証プロトコルに関係なく、1つの共通無線設定モジュールによって対象プリンタの無線設定が行われてもよい。
【0119】
この場合、共通無線設定モジュールは、例えば、対象プリンタがサポートしていて且つAP5の実使用プロトコルに含まれている認証プロトコルのうち、最も新しい認証プロトコルを、対象プリンタへ設定してもよい。共通無線設定モジュールは、さらに、PC10がサポートしている認証プロトコルを考慮して対象プリンタの無線設定を行ってもよい。
【0120】
また例えば、コントロールモジュール23、第1無線設定モジュール25及び第2無線設定モジュール26が、1つのプログラムモジュールとして一体化されてもよい。また、上記実施形態では、第2無線設定モジュール26は、第1,第2プロトコルのどちらも設定可能に構成されているため、第1無線設定モジュール25が省かれてもよい。即ち、第2無線設定モジュール26が第1無線設定モジュール25の機能を兼ねてもよい。ドライバインストーラ22は、3つ以上の無線設定モジュールを備えていてもよい。
【0121】
(2-6)本開示のプロトコルは、認証プロトコルに限定されない。認証プロトコルとは異なるプロトコルを対象プリンタに設定する場合においても本開示を適用可能である。
(2-7)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0122】
[3.本明細書が開示する技術思想]
(3-1)本明細書が開示する技術思想
本明細書は、以下の技術思想を開示していると理解されてよい。
[項目1]
無線中継装置を介してプリンタと第1通信方式の無線通信を行うことが可能に構成された第1通信回路と、
前記無線中継装置を介さずに前記プリンタと第2通信方式の通信を行うように構成された第2通信回路と、
制御部と、
を備えた情報処理装置における前記制御部が実行可能なプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタは、第1プロトコルに従った前記第1通信方式の無線通信である第1無線通信が可能であって第2プロトコルに従った前記第1通信方式の無線通信である第2無線通信はできないように構成されているか、若しくは、前記第1無線通信及び前記第2無線通信のうち少なくとも前記第2無線通信が可能に構成されており、
前記プリンタ設定プログラムは、前記制御部に、
前記プリンタがサポートしている前記第1通信方式のプロトコルを直接または間接的に示すプロトコル情報を、前記プリンタから前記第2通信回路を介して取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第
1プロトコルが含まれている場合に、前記第2通信回路を介して前記プリンタへ、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第1無線通信を行うために必要な第1設定を行う、第1設定処理と、
前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第2プロトコルが含まれている場合に、前記第2通信回路を介して前記プリンタへ、前記プリンタが前記無線中継装置と前記第2無線通信を行うために必要な第2設定を行う、第2設定処理と、
を実行させるように構成されている、プリンタ設定プログラム。
[項目2]
項目1に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルが含まれている場合、前記制御部に、前記第2設定処理を実行させるように構成されている、
プリンタ設定プログラム。
[項目3]
項目1または項目2に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルは、前記第1無線通信の通信相手との相互認証に用いられる認証プロトコルである、
プリンタ設定プログラム。
[項目4]
項目1~項目3のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記プリンタを制御するためのプログラムモジュールであるプリンタドライバを含み、
前記プリンタ設定プログラムは、前記制御部に、さらに、
前記プリンタドライバを前記情報処理装置にインストールするインストール処理、
を実行させるように構成されている、プリンタ設定プログラム。
[項目5]
項目4に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記制御部に、前記インストール処理の実行後に前記第1取得処理を実行させるように構成されている、
プリンタ設定プログラム。
[項目6]
項目5に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1取得処理は前記プリンタドライバに含まれる、
プリンタ設定プログラム。
[項目7]
項目1~項目6のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、
前記制御部に前記第1設定処理を実行させるように構成されたプログラムモジュールである第1無線設定モジュールと、
前記制御部に前記第2設定処理を実行させるように構成されたプログラムモジュールである第2無線設定モジュールと、
を含み、
前記プリンタ設定プログラムは、
前記制御部に、前記第1無線設定モジュールを実行させることにより前記第1設定処理を実行させ、
前記制御部に、前記第2無線設定モジュールを実行させることにより前記第2設定処理を実行させる、
ように構成されている、プリンタ設定プログラム。
[項目8]
項目1~項目7のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1設定処理は、
前記無線中継装置において前記第1通信方式の無線通信に実際に用いるように設定されている前記プロトコルである実使用プロトコルを示す、実使用プロトコル情報を、前記無線中継装置から取得するように、前記プリンタに指示する指示処理と、
前記指示処理に基づいて前記プリンタにより取得された前記実使用プロトコル情報を前記プリンタから取得する第2取得処理と、
を含み、
前記第1設定処理は、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコルが含まれていて、且つ、前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに前記第1プロトコルが含まれている場合に、前記プリンタへ前記第1設定を行う、
プリンタ設定プログラム。
[項目9]
項目8に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1設定処理は、
前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに前記第1プロトコルが含まれていない場合に、前記第1設定を行えないことを報知する報知処理、
を含む、プリンタ設定プログラム。
[項目10]
項目1~項目9のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1設定処理は、
前記プリンタへ前記第1設定を行った後、前記第1通信回路及び前記無線中継装置を介して前記第1無線通信により前記プリンタを検索する検索処理、
を含む、プリンタ設定プログラム。
[項目11]
項目1~項目10のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第2設定処理は、
前記無線中継装置において前記第1通信方式の無線通信に実際に用いるように設定されている前記プロトコルである実使用プロトコルを示す、実使用プロトコル情報を、前記無線中継装置から取得するように、前記プリンタに指示する指示処理と、
前記指示処理に基づいて前記プリンタにより取得された前記実使用プロトコル情報を前記プリンタから取得する第2取得処理と、
を含み、
前記第2設定処理は、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第2プロトコルが含まれていて、且つ、前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに前記第2プロトコルが含まれている場合に、前記プリンタへ前記第2設定を行う、
プリンタ設定プログラム。
[項目12]
項目11に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記プリンタ設定プログラムは、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルが含まれている場合、前記制御部に、前記第2設定処理を実行させるように構成されており、
前記第2設定処理は、前記第1取得処理により取得された前記プロトコル情報が示す前記プロトコルに前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルが含まれていて、且つ、前記第2取得処理により取得された前記実使用プロトコル情報が示す前記実使用プロトコルに、前記第1プロトコルが含まれていて前記第2プロトコルが含まれていない場合は、前記プリンタへ前記第1設定を行う、
プリンタ設定プログラム。
[項目13]
項目1~項目12のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第2設定処理は、
前記プリンタへ前記第2設定を行った後、前記第1通信回路及び前記無線中継装置を介して前記第2無線通信により前記プリンタを検索する検索処理、
を含む、プリンタ設定プログラム。
[項目14]
項目1~項目13のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルは、Wi-Fi Alliance(Wi-Fiは登録商標)により策定された認証プロトコルである、
プリンタ設定プログラム。
[項目15]
項目1~項目14のいずれか1項に記載のプリンタ設定プログラムであって、
前記第2プロトコルは、前記第1プロトコルよりも後に策定された、
プリンタ設定プログラム。
【0123】
(3-2)用語の対応
上記実施形態と本開示との用語の対応関係を説明する。ドライバインストーラ22は本開示におけるプリンタ設定プログラムの一例に相当する。プリンタ能力情報は本開示におけるプロトコル情報の一例に相当する。S110は本開示におけるインストール処理の一例に相当する。S140,S150,S310及びS320は、全体として、本開示における第1取得処理の一例に相当する。S410~S430は本開示における第1設定処理の一例に相当する。S410及びS510の各々は本開示における指示処理の一例に相当する。S420及びS520の各々は本開示における第2取得処理の一例に相当する。S450は本開示における報知処理の一例に相当する。S460及びS560の各々は本開示における検索処理の一例に相当する。S510~S530は本開示における第2設定処理の一例に相当する。
【符号の説明】
【0124】
1…印刷システム、5…無線中継装置、10…情報処理装置(PC)、11…制御部、12…記憶部、13…第1通信回路、14…第2通信回路、22…ドライバインストーラ、23…コントロールモジュール、24…プリンタドライバ、25…第1無線設定モジュール、26…第2無線設定モジュール、30…第1プリンタ、40…第2プリンタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6