(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086464
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20240620BHJP
B65D 19/32 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
B65D19/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201603
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000155229
【氏名又は名称】株式会社明治ゴム化成
(74)【代理人】
【識別番号】100118119
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 大典
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 隆史
(72)【発明者】
【氏名】森 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山田 実希
(72)【発明者】
【氏名】後藤 幹裕
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA04
3E063BA05
3E063CA10
3E063EE01
3E063EE03
3E063FF20
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】防振機能を有するパレットにおいて、積層する部材を少なくすること、製造、組立を容易とすること、又、パレットの高さを低くして、保管、輸送コストを低くすることを目的の一つとする。
【解決手段】パレット本体2に防振層3と滑り止めシート6が積層され、防振層3は、弾性体で構成された板状の補助部材4に設けた複数の孔43の夫々に、粘弾性体で構成された円柱形状の支持体5を嵌め込み構成されているパレット1。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット本体の上面に防振層を備え、前記防振層は、防振性を備える、複数の直柱体の支持体と、前記支持体を支持する補助部材とを備えて構成されていることを特徴とするパレット
【請求項2】
前記補助部材は前記支持体に比べて剛性が低いことを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記支持体は粘弾性体で構成され、前記補助部材は弾性体又は粘弾性体で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記補助部材は板状に構成され、前記補助部材に構成された、前記補助部材を上下方向に貫通する孔に、前記支持体が設置されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項5】
前記補助部材に構成された孔に、前記支持体が嵌め込まれていることを特徴とする請求項4に記載のパレット。
【請求項6】
前記孔の形状と、前記支持体の形状が同一であることを特徴とする請求項4に記載のパレット。
【請求項7】
前記支持体は、円柱であり、底面の直径と高さの比が1:0.8~1:1.2であることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項8】
前記板状の補助部材は、複数に分割されていることを特徴とする請求項4に記載のパレット。
【請求項9】
前記支持体の上面及び下面は、夫々前記補助部材の上面及び下面と面一に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のパレット。
【請求項10】
前記支持体は、格子状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項11】
前記防振層の上面に、滑り止めシートを備えて構成されていることを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を積載して、荷物の保管、運搬に使用するパレットに関し、詳しくは、防振機能を有するパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を積載して、荷物の保管、運搬に使用されるパレットとして、木製、合成樹脂製又はアルミ製等のパレットであって、上部デッキボードと下部デッキボードを桁で連結し、桁間の空間でフォーク差込孔を構成したパレットが使用されている。
【0003】
そして、このようなパレットで運搬される荷物には、精密機器や果物のように振動や衝撃に弱く、破損や損傷し易い物もあるので、パレットには振動や衝撃の吸収性、防振性が要求されていた。
【0004】
そこで、パレット上に防振機能部品と箱型の上板で構成される防振パネルを積載する構成であって、防振機能部品は、連続した外周で形成される複数個の弾性体が、中空板材及び下板と階層的に配設され、弾性体が板体間に挟まれて構成され、弾性体と、弾性体と板体間の空気が減衰機能を有する緩衝材として働く防振パネルが提案されている(特許文献1)。
【0005】
又、パレットの上面又は下面に、上板と下板間に制振材料を配置して形成した制振パネルを配設した構成も提案されている(特許文献2)。
【0006】
又、板状の発泡体と緩衝体とが積層されて構成され、緩衝体は発泡体よりも硬度が低く、且、密度が高いパレットが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-150061号公報
【特許文献2】特開2007-91308号公報
【特許文献3】特開2018-165161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載のパレットは、パレットの他に、夫々異なる形状、材質、構成の多数の部材を積層して構成されるため、製造、組立が煩雑であるという問題点があった。又、パレットの高さが高くなり、保管や移動の際に多くの空間を占領してしまい、保管、輸送コストを高くするという問題点があった。又、上板はアルミニウム合金等の金属で構成され、四隅は突出した構成であるので、パレットが重くなり輸送コストを高くするという問題点や、他のパレットや他のパレットに積載された荷物と接触して破損や損傷をさせ易いという問題点があった。更に、使用により弾性体の位置にずれが生じ易く、パレット上面の傾きの発生や所望の衝撃、振動の緩和の効果の低下等の問題点があった。
【0009】
又、特許文献2に記載のパレットは、パレットの他に、夫々異なる形状、材質、構成の多数の部材を積層して構成されるため、製造、組立が煩雑であるという問題点があった。又、パレットの高さが高くなり、保管や移動の際に多くの空間を占領してしまい、保管、輸送コストを高くするという問題点があった。又、上板はアルミニウム合金やステンレス等の金属で構成され、四隅は突出した構成であるので、パレットが重くなり輸送コストを高くするという問題点や、他のパレットや他のパレットに積載された荷物と接触して破損や損傷をさせ易いという問題点があった。
【0010】
又、特許文献3に記載のパレットは、発泡体がパレットの本体部を構成し、又、緩衝体がむき出しで設置されているため、パレットの強度が高くなく、緩衝体の破損や損傷が生じ易いという問題点があった。又、発泡体で構成されたパレットの上部デッキと下部デッキが、四隅を含むグリッド状に配列された箇所で緩衝体により結合されているので、上部デッキと下部デッキの結合強度やパレット全体としての強度が低いという問題点があった。
【0011】
そこで本発明は、防振機能を有するパレットにおいて、積層する部材を少なくすることを目的の一つとし、又、本発明は、製造、組立を容易とすることを目的の一つとし、又、パレットの高さを出来るだけ低くして、保管や移動の際に占める空間を少なくし、保管、輸送コストを低くすることを目的の一つとする。
【0012】
又、本発明は、防振機能を有するパレットにおいて、軽量化及び形状の単純化を図り、輸送コストを低くすることを目的の一つとし、又、他のパレットや他のパレットに積載された荷物の破損や損傷を起こし難くすることを目的の一つとする。
【0013】
又、本発明は、使用による構成部材の位置ずれを防止し、高い強度を保って、衝撃、振動の緩和の効果を維持することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための手段としての本発明は、パレット本体の上面に防振層を備え、前記防振層は、防振性を備える、複数の直柱体の支持体と、前記支持体を支持する補助部材とを備えて構成されているパレットである。
【0015】
又、上記パレットにおいて、前記補助部材は前記支持体に比べて剛性が低いパレットである。
【0016】
又、上記パレットにおいて、前記支持体は粘弾性体で構成され、前記補助部材は弾性体又は粘弾性体で構成されているパレットである。
【0017】
又、上記パレットにおいて、前記補助部材は板状に構成され、前記補助部材に構成された、前記補助部材を上下方向に貫通する孔に、前記支持体が設置されているパレットである。
【0018】
又、上記パレットにおいて、前記補助部材に構成された孔に、前記支持体が嵌め込まれているパレットである。
【0019】
又、上記パレットにおいて、前記孔の形状と、前記支持体の形状が同一であるパレットである。
【0020】
又、上記パレットにおいて、前記支持体は、円柱であり、底面の直径と高さの比が1:0.8~1:1.2であるパレットである。
【0021】
又、上記パレットにおいて、前記板状の補助部材は、複数に分割されているパレットである。
【0022】
又、上記パレットにおいて、前記支持体の上面及び下面は、夫々前記補助部材の上面及び下面と面一に構成されているパレットである。
【0023】
又、上記パレットにおいて、前記支持体は、格子状に配置されていることを特徴とするパレットである。
【0024】
又、上記パレットにおいて、前記防振層の上面に、滑り止めシートを備えて構成されるパレットである。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明によれば、防振機能を有するパレットにおいて、積層する部材を少なくすることが可能となった。又、製造、組立を容易とすることが可能となった。又、パレットの高さを出来るだけ低くして、保管や移動の際に占める空間を少なくしたので、保管、輸送コストを低くすることすることが可能となった。
【0026】
又、防振機能を有するパレットにおいて、軽量化及び形状の単純化を図ったので、輸送コストを低くすることが可能となった。又、他のパレットや他のパレットに積載された荷物の破損や損傷を起こし難くすることが可能となった。
【0027】
又、使用による構成部材の位置ずれを防止し、高い強度を保って、衝撃、振動の緩和の効果を維持することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図9】本発明一実施例の振動の伝達率を示すグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のパレットは、パレット本体に防振層と滑り止めシートが積層されて構成された荷物の保管、運搬用のパレットである。
【0030】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1~
図3に示すように、パレット1は、パレット本体2と、パレット本体2の上面21に設置された防振層3と、防振層3の上面31に設置された滑り止めシート6を備えて構成されている。
【0031】
パレット本体2は、
図3によく示すように、上面21と下面23とが桁25で連結され、上面21、下面23及び桁25で囲まれた空間で、側面22に開口するフォーク差込孔29が形成されている。尚、パレット本体2は、特殊な専用品である必要はなく、公知の汎用品を用いることが出来、四方差しパレットを図示しているが、二方差しパレットを用いてもよい。パレット本体2は、この方法に限定されないが、射出成形により成形した合成樹脂製の上部パレット部材と下部パレット部材を対向させ、対向部分を溶融して、加圧して接触させて、溶着して一体化して構成することが出来る。
【0032】
防振層3は、パレット1に積載された荷物9が受けるパレット本体2からの振動を減衰させる防振性を備える層であり、複数の支持体5と、支持体5の周囲に設置され、支持体5を支持する補助部材4とを備えて構成されている。又、防振層3は、後述する構成により、積載された荷物9の滑り止めの効果も備えている。
【0033】
支持体5は、パレット1に積載された荷物9を支持すると共に、積載された荷物が受けるパレット本体2からの振動を減衰させるための部材であり、直柱体であって円柱の形状の粘弾性体で構成され、防振性を備えている。又、支持体5は、粘弾性を備えると共に補助部材4に比べて高い剛性を備えている。
【0034】
支持体5は、粘弾性を備えれば特に限定されないが、粘弾性を備えたNR(天然ゴム)、IIR(ブチルゴム)、NBR(二トリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等の加硫ゴムを用いて構成することが出来る。このように、支持体5は、弾性体より振動吸収性能が高い粘弾性体で構成されている。
【0035】
支持体5の設置数は特に限定されないが、積載される荷物を支持出来る個数が必要であり、積載される荷物の重量、底面積及び支持体5の剛性等に応じて決定するが、荷物の安定的な支持等のため、4個以上とすることが好ましい。又、支持体5の直径及び高さは特に限定されないが、直径は0.5~3cm程度とすることが出来、パレット1の高さを抑制するため、高さは0.5~3cm程度とすることが好ましい。又、支持体5の底面の直径と高さの比は特に限定されないが、1:0.5~1:1.5とすることが出来、支持体5が破損し難くいと共に、荷物を確実に支持することが出来、更には振動の減衰能も高いので、1:0.8~1:1.2が好ましく、1:1がより好ましい。そして、支持体5は直径1cm、高さ1cmに構成することが好ましい。
【0036】
補助部材4は、支持体を支持するための部材である。詳しくは、補助部材4は、支持体5の位置ずれを防止するための部材であり、又、支持体5の転倒、傾斜を防止して、直立を支持するための部材である。更に、補助部材4は、滑り止めシート6を支持して、支持体5で支持されていない部分の滑り止めシート6が自重で撓まないようにするための部材である。滑り止めシート6が自重で撓まずに平坦を維持することにより、積載された荷物との接触面積を最大とすることが出来、荷物の滑り止めの効果を高めることが出来る。
【0037】
補助部材4は、
図3~
図5によく示すように、上面41及び下面42が平行で、均一な厚さを有する板状の部材で構成され、弾性体又は粘弾性体で構成されている。又、補助部材4は、弾性又は粘弾性を備えると共に支持体5に比べて低い剛性を備えている。このような構成であるので、補助部材4は、支持体5の変形を妨げることがない。又、補助部材4は、積載された荷物が受けるパレット本体2からの振動を減衰させる役割を支持体5に比べて果たすことは出来ず、用いる材質によっては、殆ど防振性を備えない場合もある。又、補助部材4は、積載された荷物を支持する役割を支持体5に比べて果たすことは出来ず、用いる材質や高さによっては、殆ど支持する性能がない場合もある。
【0038】
補助部材4は、支持体5に比べて低弾性率の弾性体や粘弾性体で構成されているが、自重により撓まない程度の剛性を備えていることが好ましく、これらに限定されないが、弾性を備えた、ゴムや合成樹脂やその発泡体等を用いることが出来、具体的には、発泡ゴム、発泡ウレタン等を用いて構成することが出来る。
【0039】
補助部材4は、平面視で、パレット本体2と略同形状に構成され、パレット本体2に1枚の補助部材4が設置される。又、補助部材4の高さは、荷物が積載された際に、支持体5の高さ以下となれば特に限定されないが、支持体5と同じ高さが好ましく、パレット1の高さを抑制するため、0.5~3cm程度とすることが好ましい。
【0040】
図4及び
図5に示すように、支持体5の周囲に設置される板状の補助部材4には、支持体5を挿入して設置するための孔43が、補助部材4の上面41から下面42の上下方向に貫通すると共に、下面42に対して垂直に形成されている。又、
図3に示すように、孔43は、補助部材4に正方格子状に設けられている。孔43の形状は、支持体5と同一形状の円柱形であり、支持体5は孔43に嵌め込まれて設置され、支持体5の上面51及び下面52は夫々補助部材4の上面41及び下面42と面一に構成されている。尚、支持体5が孔43に隙間なく嵌め込まれた状態には、しまりばめの状態に限定されず、中間ばめやすきまばめであっても支持体5が孔43から容易に落下、脱落しない状態を含む。
【0041】
防振層3はこのように構成されているので、パレット本体2の上面21に防振層3を設置すると、支持体5の下面52はパレット本体2の上面21に面接触すると共に、支持体5はパレット本体2の上面21に垂直に設置され、更に、支持体5の上面51は滑り止めシート6又は積載された荷物に面接触する。又、支持体5は、パレット1に積載される荷物9を鉛直方向から支え、荷物9により鉛直方向の圧縮変形が生じる。
【0042】
複数の支持体5は、パレット本体2の上面21に正方格子状に配置されているが、補助部材4に設ける孔43の配置を変更して、他の格子状或いはランダムに配置してもよい。又、設置される複数の支持体5は全て同じ剛性を備えた構成としてもよいが、設置場所に応じて、異なる剛性の支持体5を設置することとしてもよい。例えば、これに限定されないが、パレット1の四隅部や側端部に他の支持体5に比べて高い剛性の支持体5を設置する構成や、格子状の列を交互で、或いは隣接する点を交互で剛性を変化させて支持体5を設置する構成とすることが出来る。
【0043】
防振層3は、板状の補助部材4に上面41から下面42に貫通する上下方向の孔43を穿孔し、孔43に支持体5を挿入して嵌め合い、構成する。尚、補助部材4と支持体5は接着してもよい。
【0044】
滑り止めシート6は、パレット1に積載された荷物9の滑りを抑制するための部材であり、板状の弾性体で構成されていると共に、補助部材4に比べて剛性が低い部材を用いて構成されている。滑り止めシート6は、自重により撓む程度の剛性しか備えていない構成としてもよい。滑り止めシート6は、これらに限定されないが、弾性を備えたPVC(塩化ビニル樹脂)、TPE(熱可塑性エラストマー)、加硫ゴムなどのエラストマー、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、硬質PVC(塩化ビニル樹脂)等を用いて構成することが出来る。
【0045】
滑り止めシート6は、平面視で、パレット本体2及び補助部材4と略同形状に構成され、補助部材4上に1枚の滑り止めシート6が設置される。又、滑り止めシート6の高さは特に限定されないが、均一な厚さとすること、パレット1の高さを抑制するため、0.5~3cm程度とすることが好ましい。滑り止めシート6は、自重により撓むが、支持体5及び補助部材4で支持され、撓まずに平面状態を保って防振層3上に設置される。
【0046】
パレット本体2と防振層3、防振層3と滑り止めシート6は、夫々接着剤や両面テープ等を用いて接着する等して固定した構成とするが、パレット本体2と防振層3、防振層3と滑り止めシート6が夫々ずれが生じにくい等の場合には固定しない構成としてもよい。
【0047】
パレット1の使用時、パレット本体2に防振層3と滑り止めシート6を積層したパレット1の滑り止めシート6上に、荷物9を積載すると、荷物9は滑り止めシート6を介して複数の支持体5で、複数の支持点で支持され、支持体5は補助部材4に拘束されずに変形し、補助部材4及び滑り止めシート6も変形する。荷物9を載積したパレット1の移動時に、荷物9は、滑り止めシート6によりパレット1上を移動することが防止され、又、主に支持体5によりパレット本体2からの振動及び衝撃が減衰される。
【0048】
尚、図示はしないが、パレットは、防振層3又は補助部材4に、積載される荷物の滑りを抑制する充分な効果がある場合、又は、積載された荷物をパレット本体2と一体的に梱包する場合等には、滑り止めシート6を設置せずに、パレット本体2に防振層3が積層された構成としてもよい。この場合、荷物は防振層3の上面31に載積されることになり、荷物は支持体5の上面51に接触して、支持体5に直接支持される。
【0049】
又、補助部材は、パレット本体2に複数枚の板状の補助部材を設置して、平面視で、パレット本体2と略同形状に構成して設置することとしてもよい。一実施例として、
図6に示すように、パレット10は、防振層3を9等分割し、9枚の同形状の正方形の板状の補助部材40を設置して構成することが出来る。尚、図示はしないが、同形状の正方形以外の板状の補助部材、例えば、異なる形状の長方形の板状の補助部材等を組み合わせて設置することとしてもよい。
【0050】
又、補助部材は、支持体5及び滑り止めシート6を支持可能であれば、板状に限定されず、図示はしないが、ブロック状、紐状、網状、シート状、粒状の弾性体又は粘弾性体等を使用することが出来、又、パレット本体2と滑り止めシート6間に、好ましくは弾性体又は粘弾性体の枠体を設置して、枠体内にこれらの補助部材を設置する構成としてもよい。
【0051】
支持体5の形状は、直柱体であれば円柱形に限定されず、
図7に示すように、四角柱(
図7(a))、三角柱(
図7(b))、六角柱(
図7(c))等の角柱、図示はしないが、その他の角柱、底面が半円や扇形の柱体としてもよい。そして、これらの場合、補助部材4の孔43の形状は、支持体5と同一形状とすることが出来る。又、支持体5の形状は、直柱体の円柱形の上下方向の中心部をくり抜いた円筒の形状(
図7(d))等、上記の形状の中心部をくり抜いた筒状の形状等としてもよい。そして、これらの場合、補助部材4の孔43の形状は、支持体5の外周形状と同一形状とすることが出来る。尚、直柱体には、このように直柱体の上下方向の中心部をくり抜いた形状も含まれるものとする。
【0052】
又、支持体5の形状と補助部材4の孔43の形状は、同一形状に限定されず、異なる形状で、支持体5が孔43に一部隙間が生じた状態、言い換えれば、支持体5の外側面の全面とは孔43の内面が接触しない状態で嵌め込まれた構成としてもよい。一実施例として、
図8に示すように、四角柱の形状の孔43に円柱形の支持体5を設置する構成(
図8(a))、円柱の形状の孔43に四角柱形状の支持体5を設置する構成(
図8(b))等とすることが出来る。
【実施例0053】
厚さ1cmの弾性を有する株式会社イノアックコーポレーション製の軟質ウレタンフォームPUT102525を20cm四方に切り取り、正方形の補助部材を形成し、四隅から縦横夫々3.625cmの位置に、直径1cmの円柱の形状の孔を正方格子状に4個を穿孔し、該孔に夫々直径1cm高さ1cmの直柱で円柱の形状の粘弾性を有する、クロロプレンゴムを用いて成形した支持体を嵌め込んで、防振層の試験片を作成し、厚さ0.3cmの固定用金属板で上下から挟み、振動試験機に設置し、以下の実験条件で、試験片の下面から振動を加え、試験片の上面の中央付近の振動を測定し、測定した振動を与えた振動でわることにより伝達率を算出した。
(実験条件)
使用機器:振動試験機(J240/SA4M)(IMV株式会社製)
試験条件:加速度7.0m/s
2
周波数領域:3~100Hz
掃引速度:0.5オクターブ/min
結果を
図9のグラフ図に示す。
【0054】
図9のグラフ図から明らかなように、22Hz以上の周波数において、伝達率が1より下回っていることから、振動の減衰に効果があることが明らかである。
以上のような本発明のパレットは、防振機能を有するパレットであって、積層する部材が少なく、薄いので、製造、組立が容易で、コンパクトであるので、荷物の保管、運搬等の流通業界において、極めて有用に利用することが出来る。