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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086466
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20240620BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B60C11/00 Z
B60C11/03 100B
B60C11/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201606
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】中田 良樹
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA33
3D131BA02
3D131BB01
3D131BC05
3D131BC20
3D131DA52
3D131EA10V
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB24V
3D131EB24X
3D131EB27V
3D131EB81V
3D131EC01V
3D131EC22U
3D131LA28
(57)【要約】
【課題】仮にトレッドゴムのゲージを薄くしたとしても良好なハイドロプレーニング性能を得ることが可能な、タイヤを提供する。
【解決手段】タイヤT01であって、トレッド踏面8には、それぞれタイヤ周方向に延在する、複数の主溝3と、複数の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対の主溝と一対の接地端との間で区画された、一対のショルダー陸部5と、複数の主溝どうしの間で区画された、1つ又は複数のセンター陸部6と、が設けられており、基準測定状態で測定されるフットプリントFPにおいて、各センター陸部のタイヤ周方向第1側の端は、各ショルダー陸部のタイヤ周方向第1側の端よりも、タイヤ周方向第1側に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤであって、
トレッド踏面には、
それぞれタイヤ周方向に延在する、複数の主溝と、
前記複数の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対の主溝と一対の接地端との間で区画された、一対のショルダー陸部と、
前記複数の主溝どうしの間で区画された、1つ又は複数のセンター陸部と、
が設けられており、
基準測定状態で測定されるフットプリントにおいて、各前記センター陸部のタイヤ周方向第1側の端は、各前記ショルダー陸部の前記タイヤ周方向第1側の端よりも、前記タイヤ周方向第1側に位置している、タイヤ。
【請求項2】
前記フットプリントにおける、前記タイヤ周方向第1側の外縁は、前記1つ又は複数のセンター陸部にわたる部分において、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて前記タイヤ周方向第1側に向かうように延在している、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記フットプリントにおける、前記タイヤ周方向第1側の外縁は、その全体において、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて前記タイヤ周方向第1側に向かうように延在している、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記フットプリントにおいて、各前記ショルダー陸部における、前記タイヤ周方向第1側の外縁は、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて前記タイヤ周方向第1側に向かうように延在しているとともに、前記タイヤ周方向第1側に凸に湾曲した湾曲形状をなしている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
トレッドゴムのゲージが7.8mm以下であり、
各前記主溝の溝深さが、5.8mm以下である、請求項1に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トレッド踏面に主溝を備えたタイヤがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-126931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タイヤの軽量化や転がり抵抗低減等を図るために、タイヤのトレッドゴムのゲージを薄くすることが検討されることがある。タイヤのトレッドゴムのゲージを薄くした場合、主溝の溝深さが浅くなる傾向があり、ハイドロプレーニング性能が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、仮にトレッドゴムのゲージを薄くしたとしても良好なハイドロプレーニング性能を得ることが可能な、タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕タイヤであって、
トレッド踏面には、
それぞれタイヤ周方向に延在する、複数の主溝と、
前記複数の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対の主溝と一対の接地端との間で区画された、一対のショルダー陸部と、
前記複数の主溝どうしの間で区画された、1つ又は複数のセンター陸部と、
が設けられており、
基準測定状態で測定されるフットプリントにおいて、各前記センター陸部のタイヤ周方向第1側の端は、各前記ショルダー陸部の前記タイヤ周方向第1側の端よりも、前記タイヤ周方向第1側に位置している、タイヤ。
これにより、仮にトレッドゴムのゲージを薄くしたとしても良好なハイドロプレーニング性能を得ることが可能となる。
【0007】
〔2〕前記フットプリントにおける、前記タイヤ周方向第1側の外縁は、前記1つ又は複数のセンター陸部にわたる部分において、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて前記タイヤ周方向第1側に向かうように延在している、〔1〕に記載のタイヤ。
これにより、ハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0008】
〔3〕前記フットプリントにおける、前記タイヤ周方向第1側の外縁は、その全体において、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて前記タイヤ周方向第1側に向かうように延在している、〔1〕又は〔2〕に記載のタイヤ。
これにより、ハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0009】
〔4〕前記フットプリントにおいて、各前記ショルダー陸部における、前記タイヤ周方向第1側の外縁は、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて前記タイヤ周方向第1側に向かうように延在しているとともに、前記タイヤ周方向第1側に凸に湾曲した湾曲形状をなしている、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のタイヤ。
これにより、ハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0010】
〔5〕トレッドゴムのゲージが7.8mm以下であり、
各前記主溝の溝深さが、5.8mm以下である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のタイヤ。
これにより、タイヤの軽量化や転がり抵抗の低減が可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、仮にトレッドゴムのゲージを薄くしたとしても良好なハイドロプレーニング性能を得ることが可能な、タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】基準測定状態における本発明の一実施形態に係るタイヤのフットプリント及び接地面を概略的に示す、概略図である。
図2図1のタイヤのトレッド踏面を、平面上に展開したときの状態で概略的に示す、展開図である。
図3】本発明の任意の実施形態に係るタイヤに適用し得るタイヤ内部構造の一例を説明するための図面であり、タイヤ半部をタイヤ幅方向の断面により概略的に示すタイヤ幅方向断面図である。
図4図1のタイヤが水で濡れた路面の上を転動している時の動作を説明するための図面である。
図5】参考例に係るタイヤのフットプリント及び接地面を概略的に示す、概略図である。
図6図5のタイヤが水で濡れた路面の上を転動している時の動作を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るタイヤは、任意の種類の四輪車用タイヤに好適に利用でき、例えば乗用車用タイヤに特に好適に利用できる。また、本発明に係るタイヤは、空気入りタイヤに好適に利用できる。
【0014】
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しつつ例示説明する。
各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0015】
図1は、基準測定状態における本発明の一実施形態に係るタイヤT01のフットプリントFP及び接地面CSを概略的に示す、概略図である。図1では、便宜のため、タイヤT01のフットプリントFP及び接地面CSを、同じ図面により、示している。基準測定状態については、後述する。図2は、図1のタイヤT01のトレッド踏面8を、平面上に展開したときの状態で概略的に示す、展開図である。図3は、本発明の任意の実施形態に係るタイヤT01に適用し得るタイヤ内部構造の一例を説明するための図面であり、タイヤT01のタイヤ半部2(タイヤT01のうち、タイヤ赤道面CLに対する一方側の部分)をタイヤ幅方向の断面により概略的に示すタイヤ幅方向断面図である。
本実施形態のタイヤT01は、乗用車用空気入りタイヤとして構成されている。ただし、本発明の各実施形態のタイヤT01は、任意の種類の四輪車用タイヤとして好適に構成されることができ、例えば乗用車用タイヤとして特に好適に構成されることができる。また、本発明の各実施形態のタイヤT01は、空気入りタイヤとして好適に構成されることができる。
【0016】
図3に示すように、本発明の各実施形態のタイヤT01は、トレッド部T01tと、このトレッド部T01tのタイヤ幅方向の両端部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部T01wと、各サイドウォール部T01wのタイヤ径方向内側の端部に設けられた一対のビード部T01bと、を備えている。ビード部T01bは、タイヤT01を正規リムに装着したときに、タイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側において正規リムに接するように構成される。
トレッド部T01tにおいて、ベルトT06のタイヤ径方向外側には、トレッドゴムT07が位置している。トレッドゴムT07は、トレッド部T01tのタイヤ径方向外側の面であるトレッド踏面8を構成している。図2に示すように、トレッド踏面8には、トレッドパターンが形成されている。
【0017】
本明細書において、「フットプリント(FP)」(図1)は、基準測定状態で測定されるものとする。「基準測定状態」とは、タイヤを正規リムに組み付けるとともに、タイヤに正規内圧を充填し、タイヤのキャンバー角を0°とし、タイヤに最大負荷荷重の70%を負荷した状態を指す。フットプリント(FP)は、基準測定状態でのタイヤの接地面(CS)の形状を表すものである。
本明細書において、「トレッド踏面(8)」(図2)とは、正規リムに組み付けるとともに正規内圧を充填したタイヤを、最大負荷荷重を負荷した状態で転動させた際に、路面と接触することになる、タイヤの全周に亘る外周面を意味する。
本明細書において、「接地端(E)」とは、トレッド踏面(8)のタイヤ幅方向端を意味する。
本明細書において、「接地幅」とは、トレッド踏面(8)の一対の接地端どうしの間のタイヤ幅方向距離を意味する。
ここで、「正規リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準正規リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(すなわち、上記の「正規リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅の正規リムをいう。
また、「正規内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
なお、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスその他に置換することも可能である。
【0018】
本明細書では、特に断りのない限り、溝、陸部等の各要素の寸法は、タイヤを正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、無負荷とした状態で測定されるものとする。ここで、トレッド踏面における溝、陸部等の各要素の寸法については、トレッド踏面の展開視において測定されるものとする。ここで、本明細書において、「トレッド踏面の展開視」とは、トレッド踏面を平面上に展開した状態でトレッド表面を平面視することを指す。
【0019】
一部の図面では、理解しやすさのため、タイヤ周方向を矢印CDで示し、タイヤ周方向第1側(タイヤ周方向の一方側)を矢印CD1で示し、タイヤ周方向第2側(タイヤ周方向の他方側)を矢印CD2で示している。
【0020】
図2に示すように、トレッド踏面8には、それぞれタイヤ周方向に延在する、複数の主溝3と、複数の主溝3のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対の主溝3(以下、「ショルダー主溝31」ともいう。)と一対の接地端Eとの間で区画された、一対の陸部5(以下、「ショルダー陸部5」ともいう。)と、複数の主溝3どうしの間で区画された、1つ又は複数の陸部6(以下、「センター陸部6」ともいう。)と、が設けられている。本明細書では、複数の主溝3のうち一対のショルダー主溝31よりもタイヤ幅方向内側に位置する各主溝3を、「センター主溝32」という。一対のショルダー主溝31は、タイヤ赤道面CLに対する両側に位置している。
図1図2の例では、主溝3が3つ設けられており、そのうちセンター主溝32が1つ設けられており、センター陸部6が2つ設けられている。ただし、主溝3の数は、2つ、あるいは、4つ以上であってもよい。ひいては、センター主溝32は、設けられなくてもよく、あるいは、2つ以上設けられてもよい。また、センター陸部6の数は、1つ、あるいは、3つ以上であってもよい。
図1図2の例では、各主溝3は、直線状に延在している。ただし、主溝3は、ジグザグ状に延在していてもよい。
【0021】
図2の例において、各ショルダー陸部5には、略タイヤ幅方向に沿って延在する複数のラグ溝71が設けられており、これら複数のラグ溝71は、タイヤ周方向に沿って互いから間隔を空けて配列されている。また、各センター陸部6及び一方のショルダー陸部5には、それぞれ、複数のサイプ72が設けられており、これら複数のサイプ72は、タイヤ周方向に沿って互いから間隔を空けて配列されている。
ただし、各陸部5、6には、任意の溝及び/又はサイプが設けられてよい。
【0022】
各陸部5、6は、それぞれ、図2の例のように、リブ(タイヤ周方向において連続する陸部、すなわち、当該陸部をタイヤ幅方向に横断する溝によってタイヤ周方向において分断されていない陸部)であると、好適である。ただし、各陸部5、6は、それぞれ、ブロック列(当該陸部をタイヤ幅方向に横断する複数の溝によってタイヤ周方向において分断された、複数のブロックからなる陸部)であってもよい。また、各陸部5、6のうち、一部(1つ又は複数)の陸部がリブであり、他の陸部がブロック列であってもよい。
【0023】
本実施形態において、タイヤT01は、トレッドゴムT07のゲージL(図3)が、一般的なタイヤに比べて、薄くされている。これにより、タイヤT01の軽量化や転がり抵抗の低減が可能である。
タイヤT01の軽量化や転がり抵抗の低減の観点から、トレッドゴムT07のゲージLは、7.8mm以下であると好適である。また、トレッドゴムT07のゲージLは、6.5mm以上であると好適である。
なお、トレッドゴムT07のゲージLは、タイヤ幅方向断面において、センター陸部6における、ベルトT06のタイヤ径方向最外端からトレッド踏面8までの厚さを、ベルトT06に対して垂直な方向に沿って測るものとする(図3)。
本実施形態において、タイヤT01は、トレッドゴムT07のゲージLが薄くされていることに伴い、各主溝3の溝深さが、一般的なタイヤに比べて、浅くされている。トレッドゴムT07のうち、ベルトT06のタイヤ径方向最外端から主溝3の溝底までの厚さは、約2mm程度(例えば、1.5~2.5mm)確保することが望ましい。このような観点から、各主溝3の溝深さは、5.8mm以下であると、好適である。また、各主溝3の溝深さは、5.0mm以上であると、好適である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のタイヤT01は、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6のタイヤ周方向第1側CD1の端6t1は、各ショルダー陸部5のタイヤ周方向第1側CD1の端5t1よりも、タイヤ周方向第1側CD1に位置している。ひいては、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6は、各ショルダー陸部5よりも、タイヤ周方向第1側CD1に突出しており、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第1側CD1に突出するとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなしているといえる。
図4は、本実施形態のタイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときのタイヤT01の接地面CSの様子を概略的に示している。本実施形態においては、上述のように、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6のタイヤ周方向第1側CD1の端6t1は、各ショルダー陸部5のタイヤ周方向第1側CD1の端5t1よりも、タイヤ周方向第1側CD1に位置しており、ひいては、タイヤT01の転動中において、接地面CSにおける、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第1側CD1に突出するとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなすといえる。これにより、水が接地面CS内へ侵入するのを効果的に抑制でき、ひいては、ハイドロプレーニング領域HPRが形成されるのを抑制でき、ハイドロプレーニング性能を向上できる。ハイドロプレーニング領域HPRでは、接地面CSと路面との間に水膜が介在し、タイヤT01が路面から浮いた状態となる。
図5は、参考例に係るタイヤT01のフットプリントFP及び接地面CSを概略的に示す、概略図であり、図6は、図5のタイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときの動作を説明するための図面である。図5図6においては、主溝3以外の溝やサイプの図示を省略している。図5に示すように、参考例のタイヤT01は、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6のタイヤ周方向第1側CD1の端6t1が、各ショルダー陸部5のタイヤ周方向第1側CD1の端5t1に比べて、タイヤ周方向において同じ位置に位置しており、ひいては、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ幅方向に平行な直線形状をなしているといえる。この場合、図6に示すように、タイヤT01の転動中において、水が接地面CS内へ侵入しやすくなり、ひいては、ハイドロプレーニング領域HPRが形成されやすくなり、さほど良好なハイドロプレーニング性能が得られないおそれがある。なお、図示は省略するが、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6のタイヤ周方向第1側CD1の端6t1が、各ショルダー陸部5のタイヤ周方向第1側CD1の端5t1よりも、タイヤ周方向第2側CD2に位置している場合、ひいては、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第2側CD2へ窪んでいるとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなしているといえる場合も、同様に、水が接地面CS内へ侵入しやすくなり、さほど良好なハイドロプレーニング性能が得られないおそれがある。
なお、本実施形態のタイヤT01(図1図4)においては、上述のように、一般的なタイヤに比べて、トレッドゴムT07のゲージL(図3)が薄くされており、ひいては、各主溝3の溝深さが、浅くされている。一般的には、主溝3の溝深さが浅くなるほど、ハイドロプレーニング性能が低下する、という傾向がある。ハイドロプレーニング性能の低下を抑制するためには、主溝3の溝幅を増大させる等して、溝ボリュームを増大させて、排水性を向上させることが考えられるが、トレッドゴムT07のゲージLを薄くした場合は、そもそも溝ボリュームを大きく増大させることが難しく、ひいては、溝ボリュームの増大によってハイドロプレーニング性能の低下を十分に抑制することは難しい。その点、本実施形態においては、フットプリントFP(ひいては接地面CS)の形状を上述のように調節することで、トレッドゴムT07のゲージLを薄くしつつも、ハイドロプレーニング性能の低下を効果的に抑制し、良好なハイドロプレーニング性能を得ることが可能となる。
なお、上述したようなフットプリントFP(ひいては接地面CS)の形状は、本実施形態のようにトレッドゴムT07のゲージLを薄くしたタイヤT01だけでなく、トレッドゴムT07のゲージLが一般的なタイヤと同等であるようなタイヤにおいても、ハイドロプレーニング性能の向上に寄与する。
以上のように、上述のフットプリントFP(ひいては接地面CS)の形状によって、仮にトレッドゴムのゲージを薄くしたとしても、良好なハイドロプレーニング性能を得ることが可能となる。
同様の観点から、フットプリントFPが、タイヤ周方向第2側CD2においても、上記と同様の構成を有していると、好適である。すなわち、図1に示すように、タイヤT01は、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6のタイヤ周方向第2側CD2の端6t2は、各ショルダー陸部5のタイヤ周方向第2側CD2の端5t2よりも、タイヤ周方向第2側CD2に位置していると、好適である。これにより、タイヤT01がタイヤ周方向第1側CD1へ転動するときにおけるハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0025】
なお、本明細書において、フットプリントFPにおいて、陸部5、6のタイヤ周方向第1側CD1の端5t1、6t1は、陸部5、6のタイヤ周方向第1側CD1の外縁5e1、6e1における、最もタイヤ周方向第1側CD1の部分を指す。
同様に、本明細書において、フットプリントFPにおいて、陸部5、6のタイヤ周方向第2側CD2の端5t2、6t2は、陸部5、6のタイヤ周方向第2側CD2の外縁5e2、6e2における、最もタイヤ周方向第2側CD2の部分を指す。
【0026】
図1に示すように、フットプリントFPにおける、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1は、全て(1つ又は複数。本実施形態では2つ。)のセンター陸部6にわたる部分において、当該部分を一体として見たときに、タイヤ幅方向内側に向かうにつれてタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在していると、好適である。これにより、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第1側CD1に突出するとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなすといえることとなる。これにより、図4に示すように、タイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときに、水が接地面CS内へ侵入するのをより効果的に抑制でき、ひいては、ハイドロプレーニング性能をより向上できる。
同様の観点から、フットプリントFPが、タイヤ周方向第2側CD2においても、上記と同様の構成を有していると、好適である。すなわち、図1に示すように、タイヤT01は、フットプリントFPにおける、タイヤ周方向第2側CD2の外縁FPe2は、全て(1つ又は複数。本実施形態では2つ。)のセンター陸部6にわたる部分において、当該部分を一体として見たときに、タイヤ幅方向内側に向かうにつれてタイヤ周方向第2側CD2に向かうように延在していると、好適であると、好適である。これにより、タイヤT01がタイヤ周方向第1側CD1へ転動するときにおけるハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0027】
本明細書において、フットプリントFPにおけるタイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1は、フットプリントFPの外縁のうちのタイヤ周方向第1側CD1の部分を指しており、具体的には、フットプリントFPの外縁のうち、一方の接地端E上におけるタイヤ周方向第1側CD1の端から他方の接地端E上における周方向第1側CD1の端までにわたって延在する部分を指す。
フットプリントFPにおいて、ショルダー陸部5のタイヤ周方向第1側CD1の外縁5e1は、ショルダー陸部5の外縁のうち、ショルダー主溝31上におけるタイヤ周方向第1側CD1の端から接地端E上における周方向第1側CD1の端までにわたって延在する部分を指す。フットプリントFPにおいて、センター陸部6のタイヤ周方向第1側CD1の外縁6e1は、センター陸部6の外縁のうち、センター陸部6に隣接する一方の主溝3上におけるタイヤ周方向第1側CD1の端からセンター陸部6に隣接する他方の主溝3上におけるタイヤ周方向第1側CD1の端までにわたって延在する部分を指す。
また、本明細書において、フットプリントFPにおけるタイヤ周方向第2側CD2の外縁FPe2は、フットプリントFPの外縁のうちのタイヤ周方向第2側CD2の部分を指しており、具体的には、フットプリントFPの外縁のうち、一方の接地端E上におけるタイヤ周方向第2側CD2の端から他方の接地端E上における周方向第2側CD2の端までにわたって延在する部分を指す。
フットプリントFPにおいて、ショルダー陸部5のタイヤ周方向第2側CD2の外縁5e2は、ショルダー陸部5の外縁のうち、ショルダー主溝32上におけるタイヤ周方向第2側CD2の端から接地端E上におけるタイヤ周方向第2側CD2の端までにわたって延在する部分を指す。フットプリントFPにおいて、センター陸部6のタイヤ周方向第2側CD2の外縁6e2は、センター陸部6の外縁のうち、センター陸部6に隣接する一方の主溝3上におけるタイヤ周方向第2側CD2の端からセンター陸部6に隣接する他方の主溝3上におけるタイヤ周方向第2側CD2の端までにわたって延在する部分を指す。
本明細書において、フットプリントFPや陸部5、6における外縁の形状や寸法について言及する場合は、溝の存在は無視するものとし、すなわち、溝(主溝3、ラグ溝71等)によって分断されている外縁部分どうしを滑らかに繋げてなる、仮想外縁の、形状や寸法について言及しているものとする。
【0028】
図1に示すように、フットプリントFPにおける、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1は、その全体において、タイヤ幅方向内側に向かうにつれてタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在していると、好適である。これにより、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第1側CD1に突出するとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなすといえることとなる。これにより、図4に示すように、タイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときに、水が接地面CS内へ侵入するのをより効果的に抑制でき、ひいては、ハイドロプレーニング性能をより向上できる。
同様の観点から、フットプリントFPが、タイヤ周方向第2側CD2においても、上記と同様の構成を有していると、好適である。すなわち、図1に示すように、タイヤT01は、フットプリントFPにおける、タイヤ周方向第2側CD2の外縁FPe2が、その全体において、タイヤ幅方向内側に向かうにつれてタイヤ周方向第2側CD2に向かうように延在していると、好適である。これにより、タイヤT01がタイヤ周方向第1側CD1へ転動するときにおけるハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0029】
図1に示すように、フットプリントFPにおいて、各ショルダー陸部5における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁5e1は、それぞれ、タイヤ幅方向内側に向かうにつれてタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在しているとともに、タイヤ周方向第1側CD1に凸に湾曲した湾曲形状をなしていると、好適である。これにより、図4に示すように、タイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときに、ショルダー側(タイヤ幅方向外側)において、接地面CS内に入ろうとする水を効果的にタイヤ幅方向外側へ流すことができ、ひいては、水が接地面CS内へ侵入するのをより効果的に抑制でき、ハイドロプレーニング性能をより向上できる。
同様の観点から、フットプリントFPが、タイヤ周方向第2側CD2においても、上記と同様の構成を有していると、好適である。すなわち、図1に示すように、タイヤT01は、フットプリントFPにおいて、各ショルダー陸部5における、タイヤ周方向第2側CD2の外縁5e2が、それぞれ、タイヤ幅方向内側に向かうにつれてタイヤ周方向第2側CD2に向かうように延在しているとともに、タイヤ周方向第2側CD2に凸に湾曲した湾曲形状をなしていると、好適である。これにより、タイヤT01がタイヤ周方向第1側CD1へ転動するときにおけるハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0030】
図1に示すように、フットプリントFPにおいて、各陸部5、6における、タイヤ周方向第1側CD1の端5t1、6t1は、タイヤ幅方向内側に位置するものほど、タイヤ周方向第1側CD1に位置していると、好適である。これにより、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第1側CD1に突出するとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなすといえることとなる。これにより、図4に示すように、タイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときに、水が接地面CS内へ侵入するのをより効果的に抑制でき、ひいては、ハイドロプレーニング性能をより向上できる。
同様の観点から、フットプリントFPが、タイヤ周方向第2側CD2においても、上記と同様の構成を有していると、好適である。すなわち、図1に示すように、タイヤT01は、フットプリントFPにおいて、各陸部5、6における、タイヤ周方向第2側CD2の端5t2、6t2は、タイヤ幅方向内側に位置するものほど、タイヤ周方向第2側CD2に位置していると、好適である。これにより、タイヤT01がタイヤ周方向第1側CD1へ転動するときにおけるハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0031】
図示は省略するが、トレッド踏面8に3つ以上のセンター陸部6が設けられている場合、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6における、タイヤ周方向第1側CD1の端6t1は、タイヤ幅方向内側に位置するものほど、タイヤ周方向第1側CD1に位置しているか、あるいは、タイヤ周方向において互いに同じ位置に位置していると、好適である。これにより、フットプリントFP(ひいては接地面CS)における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁FPe1が、概略的に、タイヤ周方向第1側CD1に突出するとともにタイヤ赤道面CL近傍に頂点を有するような湾曲形状をなすといえることとなる。これにより、タイヤT01が水で濡れた路面の上をタイヤ周方向第2側CD2へ転動しているときに、水が接地面CS内へ侵入するのをより効果的に抑制でき、ひいては、ハイドロプレーニング性能をより向上できる。
同様の観点から、フットプリントFPが、タイヤ周方向第2側CD2においても、上記と同様の構成を有していると、好適である。すなわち、図示は省略するが、トレッド踏面8に3つ以上のセンター陸部6が設けられている場合、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6における、タイヤ周方向第2側CD2の端6t2は、タイヤ幅方向内側に位置するものほど、タイヤ周方向第2側CD2に位置しているか、あるいは、タイヤ周方向において互いに同じ位置に位置していると、好適である。これにより、タイヤT01がタイヤ周方向第1側CD1へ転動するときにおけるハイドロプレーニング性能を向上できる。
【0032】
図1の例では、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6における、タイヤ周方向第1側CD1の端6t1が、それぞれのセンター陸部6における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁6e1のタイヤ幅方向内端に位置している。ただし、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6における、タイヤ周方向第1側CD1の端6t1は、それぞれのセンター陸部6における、タイヤ周方向第1側CD1の外縁6e1上の任意の位置に位置してよい。
このことは、フットプリントFPにおけるタイヤ周方向第2側CD2においても、同様である。すなわち、図1の例では、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6における、タイヤ周方向第2側CD2の端6t2が、それぞれのセンター陸部6における、タイヤ周方向第2側CD2の外縁6e2のタイヤ幅方向内端に位置している。ただし、フットプリントFPにおいて、各センター陸部6における、タイヤ周方向第2側CD2の端6t2は、それぞれのセンター陸部6における、タイヤ周方向第2側CD2の外縁6e2上の任意の位置に位置してよい。
【0033】
なお、タイヤT01のフットプリントFPの形状は、様々な手法により調整することができる。
例えば、タイヤT01のフットプリントFPの形状は、タイヤT01を加硫成形するための金型の成形面の形状を調整し、それにより、タイヤT01のタイヤ幅方向断面における、クラウン部の湾曲形状(R形状)、又は、トレッド部T01tの落ち量若しくは落ち率を調整することにより、調整することができる。
また、タイヤT01のフットプリントFPの形状は、タイヤT01を加硫成形するための金型の成形面の形状を調整し、それにより、タイヤT01のタイヤ幅方向断面における、各陸部5、6の湾曲形状(R形状)を調整することにより、調整することができる。
また、タイヤT01のフットプリントFPの形状は、ベルトT06による補強を調整することにより、調整することができる。
【0034】
フットプリントFPの接地形状率は、80~90%であると、好適である。
ここで、フットプリントFPの接地形状率は、タイヤ赤道面CL上での接地長(フットプリントFPのタイヤ周方向長さ)に対する、タイヤ赤道面CLから接地幅の半分の80%(すなわち、接地幅の40%)だけ離れたタイヤ幅方向位置での接地長(フットプリントFPのタイヤ周方向長さ)の割合を指す。
【0035】
本明細書で説明する各例においては、タイヤT01は、任意の内部構造を備えていてよい。以下、図3を参照しつつ、タイヤT01の内部構造の一例について説明する。図3の例の内部構造は、乗用車用タイヤに適用されると、特に好適なものである。
【0036】
図3に示す例において、タイヤT01は、一対のビードコアT02と、一対のビードフィラーT03と、カーカスT05と、ベルトT06と、トレッドゴムT07と、サイドゴムT08と、インナーライナーT09と、を備えている。
【0037】
各ビードコアT02は、それぞれ、対応するビード部T01bに埋設されている。ビードコアT02は、周囲をゴムにより被覆されている複数のビードワイヤを備えている。ビードワイヤは、金属(例えばスチール)から構成されてもよいし、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。ビードワイヤは、例えば、モノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。
【0038】
各ビードフィラーT03は、それぞれ、対応するビードコアT02に対してタイヤ径方向外側に位置する。ビードフィラーT03は、タイヤ径方向外側に向かって先細状に延びている。ビードフィラーT03は、ゴムから構成される。
一般的に、ビードフィラーは、「スティフナー」と呼ばれることがある。
【0039】
カーカスT05は、一対のビードコアT02間に跨っており、トロイダル状に延在している。カーカスT05は、1枚以上(図2の例では、1枚)のカーカスプライT05pから構成されている。各カーカスプライT05pは、1本又は複数本のカーカスコードと、カーカスコードを被覆する被覆ゴムと、を含んでいる。カーカスコードは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
カーカスコードは、金属(例えばスチール)から構成されてもよいし、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。
カーカスT05は、ラジアル構造であると好適であるが、バイアス構造でもよい。
【0040】
ベルトT06は、カーカスT05のクラウン部に対してタイヤ径方向外側に配置されている。ベルトT06は、1層以上(図2の例では、2層)のベルトプライT06pを備えている。各ベルトプライT06pは、1本又は複数本のベルトコードと、ベルトコードを被覆する被覆ゴムと、を含んでいる。ベルトコードは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。ベルトコードは、金属(例えばスチール)から構成されてもよいし、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。
【0041】
トレッドゴムT07は、トレッド部T01tにおいて、ベルトT06のタイヤ径方向外側に位置している。トレッドゴムT07は、トレッド部T01tのタイヤ径方向外側の面であるトレッド踏面8を構成している。トレッド踏面8には、トレッドパターンが形成されている。
【0042】
サイドゴムT08は、サイドウォール部T01wに位置している。サイドゴムT08は、サイドウォール部T01wのタイヤ幅方向外側の外表面を構成している。サイドゴムT08は、カーカスT05よりもタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴムT08は、ビードフィラーT03よりもタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴムT08は、トレッドゴムT07と一体で形成されている。
【0043】
インナーライナーT09は、カーカスT05のタイヤ内側に配置され、例えば、カーカスT05のタイヤ内側に積層されてもよい。インナーライナーT09は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成される。ブチル系ゴムには、例えばブチルゴム、及びその誘導体であるハロゲン化ブチルゴムが含まれる。インナーライナーT09は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマーで構成することができる。
【0044】
図示は省略するが、タイヤT01は、タイヤ径方向におけるカーカスT05とトレッドゴムT07との間に、クッションゴムを備えていてもよい。クッションゴムは、ベルトT06のタイヤ幅方向端部の近傍に位置していてもよい。
【0045】
図3に示すように、タイヤT01は、各ビード部T01bにおける、正規リムと接触するように構成された部分において、ゴムチェーファーT11を備えていてもよい。
【0046】
図3に示すように、タイヤT01は、各ビードコアT02の周りに、1枚又は複数枚(図3の例では、1枚)のワイヤーチェーファーT14を備えていてもよい。ワイヤーチェーファーT14は、図3の例のように、カーカスT05に対してビードコアT02とは反対側に配置されていてもよい。ワイヤーチェーファーT14は、金属(例えばスチール)から構成される。
図示は省略するが、タイヤT01は、各ビードコアT02の周りに、1枚又は複数のナイロンチェーファーを備えていてもよい。ナイロンチェーファーは、図2の例のように、カーカスT05に対してビードコアT02とは反対側に配置されていてもよい。ナイロンチェーファーは、ナイロンから構成される。
【0047】
図示は省略するが、タイヤT01は、各タイヤ半部において、タイヤ幅方向におけるビードフィラーT03とサイドゴムT08との間に、ハットゴムを備えていてもよい。
【0048】
図3に示すように、タイヤT01は、通信装置としてのRFタグ10を備えてよい。RFタグ10は、ICチップとアンテナとを備える。RFタグ10は、例えば、タイヤT01を構成する同種又は異種の複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤT01生産時にRFタグ10を取り付け易く、RFタグ10を備えるタイヤT01の生産性を向上させることができる。図3の例のように、RFタグ10は、例えば、ビードフィラーT03と、ビードフィラーT03に隣接するその他の部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。
RFタグ10は、タイヤT01を構成するいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤT01を構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグ10は、例えば、トレッドゴムT07、サイドゴムT08等のゴム部材内に埋設されてよい。
RFタグ10は、タイヤ幅方向断面視でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、RFタグ10は、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向断面視でカーカスT05の端部と、このカーカスT05の端部に隣接する部材(例えばサイドゴムT08等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。
RFタグ10の数は特に限定されない。タイヤT01は、1個のみのRFタグ10を備えてもよく、2個以上のRFタグ10を備えてもよい。ここでは、通信装置の一例として、RFタグ10を例示説明しているが、RFタグ10とは異なる通信装置であってもよい。
【0049】
RFタグ10は、例えば、タイヤT01のトレッド部T01tに配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10は、タイヤT01のサイドカットにより損傷しない。
RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド中央部に配置されてよい。トレッド中央部は、トレッド部T01tにおいて撓みが集中し難い位置である。このようにすることで、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。また、タイヤ幅方向でのタイヤT01の両外側からのRFタグ10との通信性に差が生じることを抑制できる。本例では、RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面CLを中心としてトレッド幅の1/2の範囲内に配置されてよい。
RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端部に配置されてもよい。RFタグ10と通信するリーダーの位置が予め決まっている場合には、RFタグ10は、例えば、このリーダーに近い一方側のトレッド端部に配置されてよい。本例では、RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端を外端とする、トレッド幅の1/4の範囲内に配置されてよい。
【0050】
RFタグ10は、例えば、ビード部T01b間に跨る、1枚以上のカーカスプライT05pを含むカーカスT05より、タイヤ内腔側に配置されてよい。このようにすることで、タイヤT01の外部から加わる衝撃や、サイドカットや釘刺さりなどの損傷に対して、RFタグ10が損傷し難くなる。一例として、RFタグ10は、カーカスT05のタイヤ内腔側の面に密着して配置されてよい(図3の点P31参照。)。別の一例として、カーカスT05よりタイヤ内腔側に別の部材がある場合に、RFタグ10は、例えば、カーカスT05と、このカーカスT05よりタイヤ内腔側に位置する別の部材と、の間に配置されてもよい。カーカスT05よりタイヤ内腔側に位置する別の部材としては、例えば、タイヤ内面を形成するインナーライナーT09が挙げられる。別の一例として、RFタグ10は、タイヤ内腔に面するタイヤ内面に取り付けられていてもよい(図3の点P32参照。)。RFタグ10が、タイヤ内面に取り付けられる構成とすることで、RFタグ10のタイヤT01への取り付け、及び、RFタグ10の点検・交換が行い易い。つまり、RFタグ10の取り付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。また、RFタグ10が、タイヤ内面に取り付けられることで、RFタグ10をタイヤT01内に埋設する構成と比較して、RFタグ10がタイヤ故障の核となることを防ぐことができる。
また、カーカスT05が、複数枚のカーカスプライT05pを備え、複数枚のカーカスプライT05pが重ねられている位置がある場合に、RFタグ10は、重ねられているカーカスプライT05pの間に配置されていてもよい。
【0051】
RFタグ10は、例えば、タイヤT01のトレッド部T01tで、1枚以上のベルトプライT06pを含むベルトT06より、タイヤ径方向の外側に配置されてよい。一例として、RFタグ10は、ベルトT06に対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルトT06に密着して配置されてよい(図3の点P44参照。)。また、別の一例として、ベルト補強層T04を備える場合、当該ベルト補強層T04に対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルト補強層T04に密着して配置されてよい(図3の点P45参照。)。また、別の一例として、RFタグ10は、ベルトT06よりタイヤ径方向の外側で、トレッドゴムT07内に埋設されていてもよい(図3の点P41参照。)。RFタグ10が、タイヤT01のトレッド部T01tで、ベルトT06よりタイヤ径方向の外側に配置されることで、タイヤ径方向でのタイヤT01の外側からのRFタグ10との通信が、ベルトT06により阻害され難い。そのため、タイヤ径方向でのタイヤT01の外側からのRFタグ10との通信性を向上させることができる。
また、RFタグ10は、例えば、タイヤT01のトレッド部T01tで、ベルトT06よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグ10のタイヤ径方向の外側がベルトT06に覆われるため、RFタグ10は、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。この一例として、RFタグ10は、タイヤT01のトレッド部T01tで、ベルトT06と、当該ベルトT06よりタイヤ径方向の内側に位置するカーカスT05と、の間に配置されてよい(図3の点P42参照。)。
また、ベルトT06が、複数枚のベルトプライT06pを備える場合に、RFタグ10は、タイヤT01のトレッド部T01tで、任意の2枚のベルトプライT06pの間に配置されてよい(図3の点P43参照。)。このようにすることで、RFタグ10のタイヤ径方向の外側が1枚以上のベルトプライT06pに覆われるため、RFタグ10は、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。
【0052】
RFタグ10は、例えば、クッションゴムと、トレッドゴムT07との間やクッションゴムと、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10への衝撃を、クッションゴにより緩和できる。そのため、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
また、RFタグ10は、例えば、クッションゴム内に埋設されていてもよい。更に、クッションゴは、隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグ10は、クッションゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されてもよい。
この構成は、タイヤT01が重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)である場合に、特に好適である。
【0053】
RFタグ10は、例えば、タイヤT01のサイドウォール部T01w又はビード部T01bの位置に配置されてよい。RFタグ10は、例えば、RFタグ10と通信可能なリーダーに対して近い一方側のサイドウォール部T01w又は一方側のビード部T01bに配置されてよい(図3の点P6、P62参照。)。このようにすることで、RFタグ10とリーダーとの通信性を高めることができる。一例として、RFタグ10は、カーカスT05と、サイドゴムT08と、の間やトレッドゴムT07とサイドゴムT08と、の間に配置されてよい(図3の点P61参照。)。
RFタグ10は、例えば、タイヤ径方向において、タイヤ最大幅となる位置と、トレッド面の位置と、の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10がタイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置される構成と比較して、タイヤ径方向でのタイヤT01の外側からのRFタグ10との通信性を高めることができる。
RFタグ10は、例えば、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグ10は、剛性の高いビード部T01b近傍に配置される。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。一例として、RFタグ10は、ビードコアT02とタイヤ径方向又はタイヤ幅方向で隣接する位置に配置されてよい。ビードコアT02近傍は歪みが集中し難い。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
特に、RFタグ10は、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側であって、かつ、ビード部T01bのビードコアT02よりタイヤ径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、RFタグ10の耐久性を向上させることができるとともに、RFタグ10とリーダーとの通信が、ビードコアT02により阻害され難く、RFタグ10の通信性を高めることができる。
また、サイドゴムT08がタイヤ径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、RFタグ10は、サイドゴムT08を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0054】
RFタグ10は、ビードフィラーT03と、このビードフィラーT03に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ビードフィラーT03を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ10を配置することができる。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
RFタグ10は、例えば、ビードフィラーT03と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスT05のうちビードフィラーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分は、ビードフィラーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスT05のうちビードフィラーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分が、ビードフィラーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤT01の外側からの衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を、より向上させることができる。
また、ビードフィラーT03は、サイドゴムT08と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ビードフィラーT03と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
更に、ビードフィラーT03は、ゴムチェーファーT11と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ビードフィラーT03と、ゴムチェーファーT11と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
この構成は、タイヤT01が乗用車用空気入りタイヤである場合に、特に好適である。
【0055】
RFタグ10は、スティフナーT03と、このスティフナーT03に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、スティフナーT03を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ10を配置することができる。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。RFタグ10は、例えば、スティフナーT03と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されてよい。
また、RFタグ10は、例えば、スティフナーT03と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスT05のうちスティフナーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分は、スティフナーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスT05のうちスティフナーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分が、スティフナーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤT01の外側からの衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を、より向上させることができる。
スティフナーT03は、ゴムチェーファーT11と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、スティフナーT03と、ゴムチェーファーT11と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
スティフナーT03は、タイヤ幅方向の外側でハットゴムに隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、スティフナーT03と、ハットゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
スティフナーT03は、硬さの異なる複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグ10は、スティフナーT03を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
RFタグ10は、ハットゴムと、このハットゴに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグ10は、例えば、ハットゴムと、カーカスプライT05pと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10への衝撃を、ハットゴムにより緩和できる。そのため、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
この構成は、タイヤT01が重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)である場合に、特に好適である。
【0056】
RFタグ10は、例えば、ゴムチェーファーT11と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されてよい(図3の点P82参照。)。このようにすることで、ゴムチェーファーT11を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ10を配置することができる。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
RFタグ10は、例えば、ゴムチェーファーT11と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(図3の点P81参照。)。このようにすることで、正規リムから加わる衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。そのため、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
【0057】
RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、このナイロンチェーファーのタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグ10の位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向外側で、ゴムチェーファーT11と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、ゴムチェーファーT11と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向外側で、サイドゴムT08と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、スティフナーT03と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、スティフナーT03と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。また、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、ハットゴムT12と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、ハットゴムT12と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、カーカスT05と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、ワイヤーチェーファーT14と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、ワイヤーチェーファーT14と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
このように、RFタグ10は、ナイロンチェーファーと、このナイロンチェーファーのタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてよい。特に、RFタグ10のタイヤ幅方向外側が、ナイロンチェーファーに覆われることで、タイヤ幅方向でのタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を、より低減できる。そのため、RFタグ10の耐久性を、より向上させることができる。
この構成は、タイヤT01が重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)である場合に、特に好適である。
【0058】
RFタグ10は、ワイヤーチェーファーT14と、このワイヤーチェーファーT14のタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグ10の位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。ワイヤーチェーファーT14がタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、ゴムチェーファーT11などのゴム部材であってよい(図3の点P102参照。)。また、ワイヤーチェーファーT14がタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、カーカスT05であってもよい(図3の点P101参照。)。
【0059】
ベルトT06の半径方向外側にベルト補強層T04をさらに備えてもよい。例えば、ベルト補強層T04はポリエチレンテレフタレートからなるベルト補強層コードをタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回してなってもよい。ここでベルト補強層コードは、6.9×10-2 N/tex以上の張力をかけて接着剤処理を施してなり、160℃で測定した29.4N荷重時の弾性率が2.5 mN/dtex・%以上であってもよい。さらにベルト補強層T04はベルトT06全体を覆うように配置されていてもベルトT06の両端部のみを覆うように配置されていてもよい。さらにベルト補強層T04の単位幅あたりの巻き回し密度が幅方向位置で異なっていてもよい。このようにすることで、高速耐久性を低下させることなくロードノイズおよびフラットスポットを低減させることができる。
この構成は、タイヤT01が乗用車用空気入りタイヤである場合に、特に好適である。
【実施例0060】
実施例及び比較例に係るタイヤT01を準備し評価したので説明する。
【0061】
実施例1のタイヤのフットプリントFPの形状は、図1に示すものであった。
比較例1のタイヤのフットプリントFPの形状は、図5に示すものであった。
各例のタイヤは、トレッド踏面8に、3つの主溝3と、4つの陸部(リブ)5、6とを、有するものであった。
各例のタイヤは、それぞれ、タイヤサイズが同じであった。
その他、各例のタイヤの詳細は、表1に示すとおりであった。
各例のタイヤについて、ハイドロプレーニング性能を評価した。ハイドロプレーニング性能を評価するにあたっては、コーナリングハイドロプレーニングを評価した。具体的には、各例のタイヤの評価のそれぞれにおいて、車両に当該例のタイヤ4本を装着し、一定速度でWET路面をコーナリングしながら通過して、その時の車両にかかる最大横G(旋回力)を計測した。次に、速度を少し上げて同様に最大横Gを計測をし、また、それを速度を上げながら繰り返していった。ハイドロプレーニングが発生すると、車両が横滑りを起こして、最大横Gが低下する。最後に、各速度の最大横Gを合算(積分)し、インデックスで評価した。その結果は表1に示すとおりである。なお、表1では、実施例1のハイドロプレーニング性能を、比較例1のハイドロプレーニング性能を100としたときの指数値で表している。表1で示すハイドロプレーニング性能の指数値は、その値が高いほど、ハイドロプレーニング性能が高いことを表す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1からわかるように、実施例1のタイヤは、比較例1のタイヤと比べて、トレッドゴムT07のゲージLが同じであり、また、各主溝3の溝深さが同じでありつつも、ハイドロプレーニング性能を向上できていた。
【0064】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.7_エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」および「No.13_気候変動に具体的な対策を」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るタイヤは、任意の種類の四輪車用タイヤに好適に利用でき、例えば乗用車用タイヤに特に好適に利用できる。また、本発明に係るタイヤは、空気入りタイヤに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
T01:タイヤ、
3:主溝(溝)、 31:ショルダー主溝、 32:センター主溝、
5:ショルダー陸部(陸部)、 5e1:タイヤ周方向第1側の外縁、 5t1:タイヤ周方向第1側の端、 5e2:タイヤ周方向第2側の外縁、 5t2:タイヤ周方向第2側の端、
6:センター陸部(陸部)、 6e1:タイヤ周方向第1側の外縁、 6t1:タイヤ周方向第1側の端、 6e2:タイヤ周方向第2側の外縁、 6t2:タイヤ周方向第2側の端、
71:ラグ溝(溝)、 72:サイプ、
8:トレッド踏面、
E:接地端、
FP:フットプリント、 FPe1:タイヤ周方向第1側の外縁、 FPe2:タイヤ周方向第2側の外縁、
CS:接地面、
CD:タイヤ周方向、 CD1:タイヤ周方向第1側、 CD2:タイヤ周方向第2側、
HPR:ハイドロプレーニング領域、
T01t:トレッド部、 T01w:サイドウォール部、 T01b:ビード部、
T02:ビードコア、
T03:ビードフィラー
T04:ベルト補強層、
T05:カーカス、 T05p:カーカスプライ、
T06:ベルト、 T06p:ベルトプライ、
T07:トレッドゴム、
T08:サイドゴム、
T09:インナーライナー、 T11:ゴムチェーファー、 T14:ワイヤーチェーファー、
CL:タイヤ赤道面、
10:RFタグ

図1
図2
図3
図4
図5
図6