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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008647
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110680
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 弘明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
(72)【発明者】
【氏名】細川 信仁
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA04
3C064BA36
3C064BB89
3C064CA53
3C064CA80
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064DA32
3C064DA33
3C064DA89
3C064EA02
(57)【要約】
【課題】作業の再開が困難となる可能性を低減しつつ、電力消費の抑制を図る。
【解決手段】工具本体20は手持ち可能であり、駆動部11は、工具本体20に設けられ、駆動機能を実現可能である。駆動機能は、工具本体20に装着された先端工具24を駆動する機能である。検知部13は、工具本体20に設けられ、複数の検知機能を実現可能である。複数の検知機能は、工具本体20及び駆動部11の少なくとも一方に関連する状態又は状態変化をそれぞれ検知する機能である。設定部14は、複数の検知機能に対応する複数の検知結果のうち少なくとも一の検知結果を用いて、駆動機能及び複数の検知機能に関するモードを作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。機能制御部151は、モードが待機モードに設定された場合に、駆動機能の実現を不能化し、かつ複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行うための先端工具の装着が可能であり、かつ前記所定の作業を行う作業者による手持ちが可能な工具本体と、
前記工具本体に設けられ、前記工具本体に装着された前記先端工具を駆動する駆動機能を実現可能な駆動部と、
前記工具本体に設けられ、前記工具本体及び前記駆動部の少なくとも一方に関連する状態又は状態変化をそれぞれ検知する複数の検知機能を実現可能な検知部と、
前記複数の検知機能に対応する複数の検知結果のうち少なくとも一の検知結果を用いて、前記駆動機能及び前記複数の検知機能に関するモードを、作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する設定部と、
前記モードが前記待機モードに設定された場合に、前記駆動機能の実現を不能化し、かつ前記複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化する機能制御部と、を備える、
電動工具。
【請求項2】
前記機能制御部は、前記モードが前記作業モードに設定された場合に、前記駆動機能の実現を可能化し、かつ前記複数の検知機能の実現を可能化する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記複数の検知機能は、前記設定部が前記モードを前記待機モードから前記作業モードに変更する第1トリガとなる第1状態変化を検知する第1状態変化検知機能を含み、
前記待機モードで不能化対象から除かれる前記少なくとも一の検知機能は、前記第1状態変化検知機能を含む、
請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記第1状態変化検知機能は、前記設定部が前記モードの設定に用いる前記少なくとも一の検知結果に対応する1つ以上の検知機能、のいずれとも異なる検知機能である、
請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
外部装置からの指示を受信する受信機能を実現可能な通信部を更に備え、
前記機能制御部は、少なくとも前記モードが前記待機モードである場合に前記受信機能の実現を可能化し、
前記第1状態変化検知機能は、前記通信部が前記指示を未だ受信していない未受信状態から既に受信している受信済状態への状態変化を検知する受信状態変化検知機能である、
請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記複数の検知機能は、前記設定部が前記モードを前記作業モードから前記待機モードに変更する第2トリガとなる第2状態変化を検知する第2状態変化検知機能を含み、
前記待機モードで不能化対象となる前記1つ以上の検知機能は、前記第2状態変化検知機能を含む、
請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
前記第2状態変化検知機能は、前記所定の作業が未だ完了していない未完了状態から既に完了している完了状態への状態変化を検知する作業状態変化検知機能であり、
前記設定部は、前記作業状態変化検知機能によって前記未完了状態から前記完了状態への状態変化が検知された場合に、前記モードを、前記作業モードから前記待機モードに変更する、
請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記複数の検知機能は、前記工具本体が前記作業者によって手持ちされている手持ち状態か手持ちされていない非手持ち状態かを検知する手持ち状態検知機能を含み、
前記設定部が前記モードの設定に用いる前記少なくとも一の検知結果は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果を含む、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項9】
前記設定部は、
前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記手持ち状態を示す場合に、前記モードを前記作業モードに設定し、
前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記非手持ち状態を示す場合に、前記モードを前記待機モードに設定する、
請求項8に記載の電動工具。
【請求項10】
前記複数の検知機能は、前記駆動部が駆動されている駆動状態か駆動されていない非駆動状態かを検知する駆動状態検知機能を更に含み、
前記設定部が前記モードの設定に用いる前記少なくとも一の検知結果は、前記駆動状態検知機能に対応する検知結果を更に含む、
請求項8に記載の電動工具。
【請求項11】
前記設定部は、
前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記手持ち状態を示し、かつ前記駆動状態検知機能に対応する検知結果が前記駆動状態を示す場合、又は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記手持ち状態を示し、かつ前記駆動状態検知機能に対応する検知結果が前記非駆動状態を示す場合に、前記モードを前記作業モードに設定し、
前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記非手持ち状態を示し、かつ前記駆動状態検知機能に対応する検知結果が前記非駆動状態を示す場合に、前記モードを前記待機モードに設定する、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記複数の検知機能は、前記工具本体の動きを検知する動き検知機能を更に含み、
前記手持ち状態検知機能は、前記動き検知機能が前記動きを検知している場合に前記手持ち状態と判断し、前記動きを検知していない場合に前記非手持ち状態と判断する、
請求項8~10のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項13】
前記待機モードで不能化対象から除かれる前記少なくとも一の検知機能は、前記手持ち状態検知機能を含み、
前記待機モードで不能化対象となる前記1つ以上の検知機能は、前記駆動状態検知機能を含む、
請求項11に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具に関し、より詳細には、検知機能及び駆動機能等を有し、検知機能による検知結果を基に駆動機能等を制御する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動工具は、駆動部と、操作部と、検知部と、制御部とを備えている。駆動部は工具を駆動する。操作部は、駆動部を動作させるための操作を受け付ける。検知部は、工具本体が使用者によって持たれている保持状態であるか工具本体が使用者によって持たれていない非保持状態であるかを検知する。制御部は、駆動部の動作状態を、操作部からの入力信号と検知部による検知結果とに基づいて設定される動作状態に制御する。駆動部の動作状態としては、作業状態と待機状態と停止状態との3つの動作状態がある。作業状態とは、駆動部が工具を駆動する状態である。待機状態とは、駆動部の動作が禁止されていない状態で駆動部が動作していない状態である。停止状態とは、電動工具が使用されていない状態で、駆動部の動作が禁止されている状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-205824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動工具では、検知部は基本的に常時動作している。このため、電動工具が使用されておらず、駆動部の動作が禁止されている停止状態では、制御部が検知部の動作を停止させるように制御することで、電力消費の抑制を図る余地があった。一方、停止状態で検知部の動作を停止させると、停止状態から作業状態への状態変化のトリガが検知されず、作業の再開が困難となる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、作業の再開が困難となる可能性を低減しつつ、電力消費の抑制を図ることができる電動工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、工具本体と、駆動部と、検知部と、設定部と、機能制御部と、を備える。前記工具本体は、所定の作業を行うための先端工具の装着が可能であり、かつ前記所定の作業を行う作業者による手持ちが可能である。前記駆動部は、前記工具本体に設けられ、駆動機能を実現可能である。駆動機能は、前記工具本体に装着された前記先端工具を駆動する機能である。前記検知部は、前記工具本体に設けられ、複数の検知機能を実現可能である。前記複数の検知機能は、前記工具本体及び前記駆動部の少なくとも一方に関連する状態又は状態変化をそれぞれ検知する機能である。前記設定部は、前記複数の検知機能に対応する複数の検知結果のうち少なくとも一の検知結果を用いて、前記駆動機能及び前記複数の検知機能に関するモードを、作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。前記機能制御部は、前記モードが前記待機モードに設定された場合に、前記駆動機能の実現を不能化し、かつ前記複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電動工具は、作業の再開が困難となる可能性を低減しつつ、電力消費の抑制を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る電動工具のブロック図である。
図2図2は、同上の電動工具の概観図である。
図3図3は、同上の電動工具の動作の一部(モード設定処理)を示すフローチャートである。
図4図4は、同上の電動工具の動作の他の一部(機能制御処理)を示すフローチャートである。
図5図5は、同上の電動工具を構成する検知部が実現可能な複数の検知機能の説明図である。
図6図6は、同上の電動工具を構成する工具本体及び駆動部の状態と、同上の電動工具で作業を行う作業者の状態と、同上の電動工具を構成する駆動部が実現可能な駆動機能及び同上の複数の検知機能に関するモードと、の関係を示す図である。
図7図7は、同上の電動工具を構成する各部が実現可能な各種の機能のうち、同上のモードを構成する作業モード及び待機モードの各々において可能化又は不能化の対象となる機能を示す図である。
図8図8は、同上の電動工具において、待機モードから作業モードへの変化のトリガとなり得る各種の第1状態変化、及び作業モードから待機モードへの変化のトリガとなり得る各種の第2状態変化、を示す図である。
図9図9は、同上の各種の機能の中に、同上の第1状態変化を検知する第1状態変化検知機能、及び同上の第1状態変化の検知に必要な機能、が含まれる場合において、作業モード及び待機モードの各々において可能化又は不能化の対象となる機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
最初、図1を用いて本開示の概要を説明する。
【0010】
(1-1)電動工具の概要
本開示の実施形態に係る電動工具10は、駆動機能及び複数の検知機能を実現可能であり、駆動機能及び複数の検知機能に関するモードを、作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。そして、電動工具10は、待機モードでは、駆動機能、及び複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能、の実現を不能化する。なお、作業モードでは、駆動機能及び複数の検知機能の実現が可能化される。これにより、作業の再開が困難となる可能性を低減しつつ、電力消費の抑制を図ることができる。
【0011】
(1-2)特徴的な機能
複数の検知機能のうち、待機モードで不能化対象から除かれる「少なくとも一の検知機能」には、待機モードから動作モードへの変更(復帰)のトリガ(第1トリガ)となる状態変化を検知する「第1状態変化検知機能」が含まれる。待機モードでは、駆動機能、及び複数の検知機能のうち「第1状態変化検知機能」を除く「1つ以上の検知機能」、の実現が禁止される。
【0012】
なお、第1状態変化検知機能は、例えば、外部装置30からの指示が未だ受信されていない未受信状態から既に受信されている受信済状態への状態変化を検知する「受信状態変化検知機能」である。すなわち、待機モードでは、駆動機能、及び複数の検知機能のうち「受信状態変化機能」を除く1つ以上の検知機能、の実現が禁止される。
【0013】
こうして、待機モードでの不能化対象から、受信状態変化検知機能等の第1状態変化検知機能が除かれることで、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0014】
(2)電動工具の詳細
次に、図1及び図2を用いて電動工具10の詳細を説明する。
【0015】
本実施形態の電動工具10は、図1及び図2に示すように、工具本体20と、駆動部11と、操作部12と、検知部13と、設定部14と、制御部15と、通信部16と、を備える。制御部15は、機能制御部151を備える。
【0016】
なお、外部装置30は、例えば、電動工具10を管理する管理装置であり、複数の電動工具10と外部装置30とで電動工具管理システム1が構成される。外部装置30と複数の電動工具10の各々とは、例えば、無線LAN(Local Area Network)等の通信媒体100を介して通信可能である。
【0017】
(2-1)工具本体
工具本体20は、所定の作業を行うための先端工具24の装着が可能であり、かつ所定の作業を行う作業者による手持ちが可能である。
【0018】
(2-1-1)所定の作業
所定の作業は、例えば、締付作業であるが、穴開け作業などでもよい。本実施形態における先端工具24は、例えば、図2に示すような、ボルトの締め付け作業に用いられるソケットである。ただし、先端工具24は、例えば、ネジの締め付け作業に用いられるプラス/マイナスビットや、穴開け作業に用いられるドリルなど(いずれも不図示)でもよい。
【0019】
(2-1-2)工具本体の具体例
工具本体20は、図2に例示するように、グリップ部21と、胴体部22と、電池装着部23とを備える。グリップ部21は、作業者が電動工具10を用いて作業を行う場合に握る部分である。グリップ部21には、トリガスイッチ121が設けられている。胴体部22の軸方向の一端側から出力軸(不図示)の先端部分が露出しており、この先端部分に、先端工具24が装着可能な工具装着部(不図示)が取り付けられている。電池装着部23には、充電池(不図示)を内蔵した電池パック181が着脱可能に装着される。
【0020】
また、工具本体20には、後述する検知部13による複数の検知機能を実現するための各種のセンサが設けられている。なお、複数の検知機能及び各種のセンサについては後述する。
【0021】
(2-2)駆動部
駆動部11は、工具本体20に設けられ、駆動機能を実現可能である。駆動機能とは、工具本体20に装着された先端工具24を駆動する機能である。駆動機能は、例えば、工具装着部(不図示)と、電動モータ(不図示)と、電池パック181と、出力軸(不図示)と、制御部15と、で実現される。
【0022】
工具装着部には、先端工具24が装着される。電池パック181は、電動モータ等に電力を供給する。出力軸は、一端に工具装着部が、他端に電動モータがそれぞれ取り付けられ、電動モータが発生させるトルクを、工具装着部に装着された先端工具24に出力する。
【0023】
(2-3)操作部
操作部12は、駆動部11を動作させるための操作を受け付ける。駆動部11を動作させるための操作は、例えば、グリップ部21に設けられているトリガスイッチ121の操作である。作業者は、グリップ部21を握った状態でトリガスイッチ121を操作し、操作部12からは、トリガスイッチ121の操作量に応じた信号が出力される。
【0024】
(2-4)検知部
検知部13は、工具本体20に設けられ、複数の検知機能を実現可能である。
【0025】
検知部13によって実現可能な複数の検知機能(以下、単に「複数の検知機能」と記す場合がある)は、工具本体20及び駆動部11の少なくとも一方に関連する状態又は状態変化をそれぞれ検知する機能である。
【0026】
(2-4-1)工具本体及び駆動部の少なくとも一方に関連する状態
工具本体20及び駆動部11の少なくとも一方に関連する状態とは、例えば、工具本体20の手持ち状態/非手持ち状態、駆動部11の駆動状態/非駆動状態、工具本体20に設けられた通信部16の未受信状態/受信済状態、などである。
【0027】
なお、手持ち状態/非手持ち状態は、例えば、工具本体20に内蔵された動きセンサの出力に基づく動き状態/非動き状態と同等であり、また、工具本体20のグリップ部21に設けられた力センサ(不図示)の出力に基づく力の検知状態/非検知状態、とも同等である。
【0028】
(2-4-2)状態変化
状態変化は、例えば、手持ち状態/非手持ち状態(すなわち、動き状態/非動き状態、又は力の検知状態/非検知状態)の間の状態変化、駆動状態/非駆動状態の間の状態変化、未受信状態/受信済状態の間の状態変化、などである。
【0029】
(2-4-3)検知機能の実現手段
工具本体20には、各種のセンサ及び処理回路(いずれも不図示)が設けられており、検知部13の複数の検知機能は、各種センサからの信号を処理回路が処理することで実現される。なお、処理回路には、各種センサからの信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器の出力信号を処理するプロセッサ及びメモリなどが含まれる。
【0030】
(2-4-4)各種のセンサ
工具本体20に設けられている各種のセンサとは、例えば、動きセンサ、力センサ、トルクセンサなどである。
【0031】
(2-4-4a)手持ち状態検知機能等の実現手段:動きセンサ
本実施形態の電動工具10では、胴体部22に動きセンサ(不図示)が内蔵されている。動きセンサは、動きセンサ自身の動き(すなわち胴体部22の動き)を検知し、検知結果に応じた信号を出力する。
【0032】
ここでいう動きとは、例えば、速度の変化(加速又は減速)、姿勢の変化(回転)、位置の変化(移動)などである。動きセンサは、例えば、加速度センサ、ジャイロスコープ、LPS(Local Positioning System)端末、GPS(Global Positioning System)受信機などである。
【0033】
なお、LPS端末は、例えば、屋内に設置された複数の発信機の各々から発信されるビーコン信号を受信し、当該受信した複数のビーコン信号に対応する複数の受信信号強度等を基に、屋内におけるLPS端末自身の位置(すなわち、電動工具10の位置)を検知する。
【0034】
動きセンサから出力される信号を基に、例えば、動き状態か非動き状態かを検知する動き検知機能(後述)が実現され、更に、動き検知機能の検知結果を基に、手持ち状態か非手持ち状態かを検知する手持ち状態検知機能(後述)が実現される。
【0035】
(2-4-4b)手持ち状態検知機能等の実現手段の変形例:力センサ
なお、動きセンサに代えて、又はこれに加えて、力センサがグリップ部21に設けられ、力センサの出力を基に手持ち状態検知機能が実現されてもよい。力センサとは、グリップ部21に加わる力を検知するセンサであり、例えば、歪ゲージや圧電効果素子などを含む。
【0036】
(2-4-4c)トルク計測機能の実現手段:トルクセンサ
電動工具10では、胴体部22内の出力軸(不図示)の近傍に、トルクセンサが設けられている。トルクセンサは、出力軸の歪に応じた信号を出力し、処理回路は、トルクセンサの出力信号を基に、電動モータから出力軸及び先端工具24を介してボルト等の締付対象に作用する締め付けトルクを計測する。
【0037】
なお、例えば、電動工具10がインパクト回転工具の場合、トルク計測機能は、工具本体20に内蔵されたマイクでの実現も可能である。この場合、処理回路は、マイクの出力を基に、出力軸に打撃力が加えられる回数を計数し、打撃の回数を基に締め付けトルクを計測する。
【0038】
(2-4-5)複数の検知機能
複数の検知機能は、手持ち状態検知機能及び駆動状態検知機能を含む。また、複数の検知機能は、持ち状態変化検知機能、駆動状態変化検知機能、作業状態変化検知機能、及び受信状態変化検知機能を更に含む。
【0039】
なお、本実施形態における複数の検知機能は、動き検知機能も含むが、動き検知機能については後述する。
【0040】
(2-4-5a)手持ち状態検知機能
手持ち状態検知機能とは、手持ち状態か非手持ち状態かを検知する機能である。手持ち状態とは、工具本体20が作業者によって手持ちされている状態である。非手持ち状態とは、工具本体20が作業者によって手持ちされていない状態(すなわち、作業者の手から離れた状態)である。
【0041】
前述したように、工具本体20は動きセンサ(又は力センサ)を更に備え、手持ち状態検知機能は、動きセンサが動きを検知している場合(又は力センサが力を検知している場合)に手持ち状態であると判断し、動きを検知していない場合(又は力を検知していない場合)に非手持ち状態であると判断する。
【0042】
手持ち状態検知機能は、前述したように、例えば、工具本体20に内蔵された動きセンサ(不図示)からの信号を処理回路が処理することで実現されるが、工具本体20のグリップ部21に設けられた力センサからの信号を処理回路が処理することで実現されてもよい。
【0043】
なお、後述する設定部14がモードの設定に用いる「少なくとも一の検知結果」には、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が含まれる。
【0044】
(2-4-5b)駆動状態検知機能
駆動状態検知機能とは、駆動状態か非駆動状態かを検知する機能である。駆動状態とは、駆動部11が駆動されている状態である。非駆動状態とは、駆動部11が駆動されていない状態である。
【0045】
駆動状態検知機能は、例えば、操作部12によって操作が受け付けられている場合は駆動状態、受け付けられていない場合は非駆動状態と判断する。
【0046】
すなわち、駆動状態検知機能は、操作部12からの信号を処理回路が検知することで実現されるが、前述したトルクセンサからの信号を処理回路が処理することで実現されてもよい。
【0047】
なお、後述する設定部14がモードの設定に用いる「少なくとも一の検知結果」には、手持ち状態検知機能に対応する検知結果に加えて、又はこれに代えて、駆動状態検知機能に対応する検知結果が含まれる。
【0048】
(2-4-5c)手持ち状態変化検知機能
手持ち状態変化検知機能とは、非手持ち状態から手持ち状態への状態変化、及び手持ち状態から非手持ち状態への状態変化を検知する機能である。
【0049】
手持ち状態変化検知機能は、例えば、動きセンサ(又は力センサ)からの信号の変化を処理回路が検知することで実現される。
【0050】
(2-4-5d)駆動状態変化検知機能
駆動状態変化検知機能とは、非駆動状態から駆動状態への状態変化、及び駆動状態から非駆動状態への状態変化を検知する機能である。
【0051】
駆動状態変化検知機能は、例えば、操作部12(又はトルクセンサ)からの信号の変化を処理回路が検知することで実現される。
【0052】
(2-4-5e)作業状態変化検知機能
作業状態変化検知機能とは、未完了状態から完了状態への状態変化を検知する機能である。未完了状態とは、所定の作業が未だ完了していない状態である。完了状態とは、所定の作業が既に完了している状態である。
【0053】
作業状態変化検知機能は、トルク計測機能に対応する検知結果に基づいて、未完了状態から完了状態への状態変化を検知する。
【0054】
作業状態変化検知機能は、例えば、トルク計測機能に対応する検知結果(締付トルク値)を積算していき、その積算結果(締付トルク積算値)が基準値に達したことに応じて、未完了状態から完了状態への状態変化を検知する。
【0055】
作業状態変化検知機能は、例えば、トルクセンサからの信号を処理回路が処理することで実現される。
【0056】
なお、後述する設定部14は、作業状態変化検知機能によって未完了状態から完了状態への状態変化が検知された場合に、モードを作業モードから待機モードに変更する。すなわち、後述する第2状態変化検知機能は、例えば、作業状態変化検知機能である。
【0057】
(2-4-5f)受信状態変化検知機能
受信状態変化検知機能とは、未受信状態から受信済状態への状態変化を検知する機能である。未受信状態とは、通信部16が外部装置30からの指示(以下、単に「指示」と記す)を未だ受信していない状態である。受信済状態とは、通信部16が指示を既に受信している状態である。
【0058】
受信状態変化検知機能は、例えば、通信部16(後述)からの信号を処理回路が検知することで実現される。
【0059】
なお、前述した第1状態変化検知機能は、本実施形態では、受信状態変化検知機能である。
【0060】
(2-5)設定部
設定部14は、複数の検知機能に対応する複数の検知結果(以下、単に「複数の検知結果」)のうち少なくとも一の検知結果を用いて、駆動機能及び複数の検知機能に関するモード(以下、単に「モード」と記す)を、作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。
【0061】
(2-5-1)モード設定
なお、設定部14によるモードの設定(以下「モード設定」)は、初期設定、待機モードから作業モードへのモード変更、及び作業モードから待機モードへのモード変更、を含む。
【0062】
(2-5-2)モード設定用の「少なくとも一の検知結果」
また、モード設定に用いられる「少なくとも一の検知結果」は、通常、2つ以上の検知結果であり、本実施形態では、工具本体20の状態に関する検知結果、及び駆動部11の状態に関する検知結果、の2つの検知結果である。ただし、モード設定には、一の検知結果(例えば、工具本体20の状態に関する検知結果)のみが用いられてもよい。
【0063】
工具本体20の状態に関する検知結果は、手持ち状態及び非手持ち状態のいずれかであり、駆動部11の状態に関する検知結果は、起動状態及び非駆動状態のいずれかである。
【0064】
(2-5-2a)手持ち状態検知機能に対応する検知結果を用いたモード設定
設定部14は、複数の検知結果のうち、例えば、手持ち状態検知機能に対応する検知結果を用いてモード設定を行う。すなわち、設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が、「手持ち状態」の場合は作業モード、「非手持ち状態」の場合は待機モード、にそれぞれ設定する。
【0065】
このように、複数の検知機能の中に、手持ち状態か非手持ち状態かを検知する手持ち状態検知機能が含まれており、モード設定用の「少なくとも一の検知結果」が、手持ち状態検知機能に対応する検知結果を含むことで、工具本体20の手持ち状態に基づくモード設定を行える。
【0066】
(2-5-2b)駆動状態検知機能に対応する検知結果を用いたモード設定
又は、設定部14は、複数の検知結果のうち、例えば、駆動状態検知機能に対応する検知結果を用いてモード設定を行ってもよい。
【0067】
このように、複数の検知機能の中に、駆動状態か非駆動状態かを検知する駆動状態検知機能が含まれており、モード設定用の「少なくとも一の検知結果」が、駆動状態検知機能に対応する検知結果を含むことで、工具本体20の手持ち状態に基づくモード設定を行える。
【0068】
(2-5-2c)手持ち状態検知機能及び駆動状態検知機能に対応する2つの検知結果を用いたモード設定
または、設定部14は、複数の検知結果のうち、例えば、手持ち状態検知機能及び駆動状態検知機能に対応する2つの検知結果を用いてモード設定を行ってもよい。
【0069】
このように、複数の検知機能の中に、手持ち状態か非手持ち状態かを検知する手持ち状態検知機能と、駆動状態か非駆動状態かを検知する駆動状態検知機能とが含まれており、モード設定用の「少なくとも一の検知結果」が、手持ち状態検知機及び駆動状態検知機能に対応する2つの検知結果を含むことで、工具本体20の手持ち状態に基づくモード設定を行える。
【0070】
(2-5-3)モード変更
(2-5-3a)待機モードから作業モードへの変更
本実施形態における設定部14は、受信状態変化検知機能によって未受信状態から受信済状態への状態変化が検知された場合に、モードを待機モードから作業モードに変更する。
【0071】
すなわち、前述した第1状態変化検知機能は、例えば、受信状態変化検知機能であり、これによって、通信部16の通信機能を利用して、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0072】
(2-5-3b)作業モードから待機モードへの変更
また、設定部14は、作業状態変化検知機能によって未完了状態から完了状態への状態変化が検知された場合に、モードを作業モードから待機モードに変更する。
【0073】
すなわち、後述する第2状態変化検知機能は、例えば、作業状態変化検知機能であり、これによって、設定部14は、作業の完了に応じて、作業モードから待機モードへの変化を図ることができる。
【0074】
(2-6)制御部
制御部15は、各種の制御を行う。各種の制御とは、例えば、後述する機能制御部151による制御である。また、各種の制御には、例えば、操作部12からの信号に応じた電動モータの制御なども含まれる。
【0075】
(2-7)通信部
通信部16は、通信機能を有する。ここでの通信機能とは、外部装置30との間で通信を行う機能である。通信機能は、通常、送信機能及び受信機能を含むが、本実施形態では受信機能のみでもよい。
【0076】
(2-7-1)外部装置
外部装置30は、例えば、管理装置であるが、中継装置、携帯端末など(いずれも不図示)でもよい。管理装置は、電動工具10による作業内容を管理する。中継装置は、管理装置と電動工具10との間の通信を中継する。携帯端末は、電動工具10で作業を行う作業者、又は作業を監督する監督者によって携帯されるスマートフォン等の端末であり、管理装置等と通信可能である。
【0077】
外部装置30は、電動工具10に指示(後述)を送信する。
【0078】
(2-7-2)通信部の受信機能
通信部16は、受信機能を実現可能である。ここでの受信機能は、外部装置30からの指示(以下、単に「指示」と記す)を受信する機能である。
【0079】
(2-7-3)指示
指示は、電動工具10のモードを待機モードから作業モードに変更させる指示である。ただし、指示は、待機モードから作業モードへのモード変更を明示的に示すものでなくてもよく、モード変更を伴うものであればよい。
【0080】
(2-8)機能制御部
制御部15を構成する機能制御部151は、電動工具10を構成する各部(11~17)による各種の機能(すなわち、電動工具10が実現可能な複数の機能の各々)を制御する。ここでいう機能の制御には、機能の実現の不能化及び機能の実現の可能化が含まれる。
【0081】
(2-8-1)待機モードでの機能実現の不能化
機能制御部151は、設定部14によってモードが待機モードに設定された場合に、駆動機能の実現を不能化し、かつ複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化する。
【0082】
なお、電動工具10が実現可能な複数の機能の中に、検知機能以外の機能であって、不能化の対象から除かれる「少なくとも一の検知機能」が利用する機能、が含まれる場合は、当該機能も不能化対象から除外される。例えば、受信状態検知機能(後述)が不能化の対象から除かれる場合には、受信状態検知機能が利用する通信機能(後述)も不能化対象から除外される。
【0083】
(2-8-2)駆動機能の不能化方法
機能制御部151は、例えば、電池パック181から駆動部11への電力供給を停止させることで、駆動機能の実現を不能化する。
【0084】
(2-8-3)1つ以上の検知機能の不能化方法
機能制御部151は、例えば、検知部13に命じて、不能化対象である「1つ以上の検知機能」に対応する1つ以上の検知処理、の実行を停止させる(又は禁止する)ことで、1つ以上の検知機能の実現を不能化する。
【0085】
(2-8-4)待機モードでの「1つ以上の検知機能」の不能化の利点
このように、本実施形態の電動工具10では、検知部13は複数の検知機能を実現可能であり、設定部14が、複数の検知機能に対応する複数の検知結果のうち少なくとも一の検知結果を用いて、駆動機能及び複数の検知機能に関するモードを作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。そして、モードが待機モードに設定された場合に、機能制御部151が、駆動機能の実現を不能化し、かつ複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化することで、電力消費の抑制を図ることができる。
【0086】
(2-8-5)不能化対象からの「少なくとも一の検知機能」の除外の利点
また、電動工具10では、待機モードでの不能化対象から、少なくとも一の検知機能が除かれたことで、当該一の検知機能を利用して、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0087】
(2-8-6)作業モードでの機能実現の可能化
機能制御部151は、モードが作業モードに設定された場合に、駆動機能の実現を可能化し、かつ複数の検知機能の実現を可能化する。なお、作業モードでは、通常、複数の検知機能の全部の実現が可能化されるが、可能化されない検知機能があってもよい。
【0088】
(2-8-7)駆動機能の可能化方法
機能制御部151は、例えば、電池パック181から駆動部11への電力供給を開始させることで、駆動機能の実現を可能化する。
【0089】
(2-8-8)複数の検知機能の可能化方法
機能制御部151は、例えば、検知部13に命じて、複数の検知機能に対応する複数の検知処理の実行を開始させる(又は許可する)ことで、複数の検知機能の実現を可能化する。
【0090】
このように、設定部14によってモードが作業モードに設定された場合、機能制御部151は、駆動機能の実現を可能化し、かつ複数の検知機能の実現を可能化する。従って、モードが待機モードから作業モードに変化した後は、当該複数の検知機能に対応する複数の検知結果を用いた駆動機能の制御が可能となる。
【0091】
(2-8-9)通信機能の制御
機能制御部151は、少なくともモードが待機モードである場合に受信機能の実現を可能化する。
【0092】
なお、機能制御部151は、モードが待機モードである場合だけでなく、モードが作業モードである場合にも、受信機能の実現を可能化してもよい。また、機能制御部151は、モードが作業モードである場合には、受信機能に加えて送信機能の実現を更に可能化してもよい。
【0093】
さらに、機能制御部151は、モードが作業モードか待機モードかに関わらず、通信機能(すなわち、送信機能及び受信機能)の実現を可能化してもよい。
【0094】
本実施形態における機能制御部151は、作業モードでは、通信機能の実現を可能化し、待機モードでは、受信機能の実現を可能化し、かつ送信機能の実現を不能化する。
【0095】
(3)特徴的な機能の詳細
次に、図1及び図2を用いて、電動工具の特徴的な機能の詳細を説明する。
【0096】
(3-1)第1状態変化検知機能
検知部13によって実現可能な複数の検知機能は、第1状態変化検知機能を含む。第1状態変化検知機能とは、第1状態変化を検知する機能である。第1状態変化とは、第1トリガとなる状態変化である。第1トリガとは、設定部14がモードを待機モードから作業モードに変更するトリガである。
【0097】
(3-1-1)第1状態変化の具体例
第1状態変化は、例えば、未受信状態から受信済状態への状態変化であるが、非手持ち状態から手持ち状態への間の状態変化などでもよい。
【0098】
(3-1-2)第1状態変化検知機能の具体例
第1状態変化検知機能は、例えば、未受信状態から受信済状態への状態変化を検知する受信状態変化検知機能であるが、非手持ち状態から手持ち状態への状態変化を検知する手持ち状態変化検知機能などでもよい。
【0099】
(3-1-3)待機モードでの不能化対象からの第1状態変化検知機能の除外
待機モードで不能化対象から除かれる少なくとも一の検知機能には、第1状態変化検知機能が含まれる。
【0100】
このように、複数の検知機能の中に、待機モードから作業モードへの変更のトリガ(第1トリガ)となる状態変化(第1状態変化)を検知する状態変化検知機能(第1状態変化検知機能)が含まれており、待機モードでの不能化対象から第1状態変化検知機能が除かれることで、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0101】
(3-2)第1状態変化検知機能と、モード設定用の検知機能との関係
第1状態変化検知機能は、設定部14がモードの設定に用いる少なくとも一の検知結果に対応する1つ以上の検知機能、のいずれとも異なる検知機能である。本実施形態では、例えば、モード設定に手持ち状態検知機能及び駆動状態検知機能が用いられるため、第1状態変化検知機能は、受信状態検知機能である。
【0102】
このように、第1状態変化検知機能は、モード設定用の1つ以上の検知機能とは異なる検知機能であるため、モード設定用の1つ以上の検知機能が待機モードで不能化されても、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0103】
(3-3)第2状態変化検知機能
複数の検知機能は、第2状態変化検知機能を含む。第2状態変化検知機能とは、第2状態変化を検知する機能である。第2状態変化とは、第2トリガとなる状態変化である。第2トリガとは、設定部14がモードを作業モードから待機モードに変更するトリガである。
【0104】
第2状態変化は、例えば、未完了状態から完了状態への状態変化であるが、手持ち状態から非手持ち状態への状態変化(例えば、動き状態から非動き状態への状態変化)などでもよい。
【0105】
待機モードで不能化対象となる1つ以上の検知機能は、第2状態変化検知機能を含む。
【0106】
このように、複数の検知機能の中には、作業モードから待機モードへの変更のトリガ(第2トリガ)となる状態変化(第2状態変化)を検知する状態変化検知機能(第2状態変化検知機能)が更に含まれている。そして、待機モードでの不能化対象に第2状態変化検知機能が含まれる(すなわち、待機モードで、第2状態変化検知機能の実現が不能化される)ことで、電力消費の抑制を図ることができる。
【0107】
(3-4)手持ち/非手持ち状態及び駆動/非駆動状態に基づくモード設定
本実施形態における設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が手持ち状態を示し、かつ駆動状態検知機能に対応する検知結果が駆動状態を示す場合、又は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が手持ち状態を示し、かつ駆動状態検知機能に対応する検知結果が非駆動状態を示す場合に、モードを作業モードに設定する。
【0108】
また、設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が非手持ち状態を示し、かつ駆動状態検知機能に対応する検知結果が非駆動状態を示す場合に、モードを待機モードに設定する。
【0109】
なお、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が手持ち状態を示し、かつ駆動状態検知機能に対応する検知結果が駆動状態を示す場合とは、作業者が工具本体20を手で把持して所定の作業を行っている状態(つまり作業状態)である。また、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が手持ち状態を示し、かつ駆動状態検知機能に対応する検知結果が非駆動状態を示す場合とは、作業者が工具本体20を手で把持したまま作業の開始を待っている状態(つまり作業待ち状態)である。さらに、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が非手持ち状態を示し、かつ駆動状態検知機能に対応する検知結果が非駆動状態を示す場合とは、作業者が電動工具10を使わない別の作業を行っている又は休憩している状態(つまり待機状態)である。
【0110】
(3-5)手持ち/非手持ち状態間の変化に基づくモード変更
設定部14は、駆動状態検知機能に対応する検知結果が駆動状態から非駆動状態に変化しただけではモード変更を行わず、更に、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が、非手持ち状態から手持ち状態に変化したことに応じて、モードを待機モードから作業モードに変更する。
【0111】
また、設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が、手持ち状態から非手持ち状態に変化したことに応じて、モードを待機モードから作業モードに変更する。
【0112】
こうして、手持ち状態検知機能に対応する検知結果と、駆動状態検知機能に対応する検知結果とに基づいて、作業モード及び待機モードの間でのモード設定を行える。
【0113】
(3-6)モード設定の変形例:手持ち/非手持ち状態に基づくモード設定
この変形例における設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が手持ち状態を示す場合に、モードを作業モードに設定する。また、設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が非手持ち状態を示す場合に、モードを待機モードに設定する。
【0114】
なお、この変形例でも、設定部14は、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が、非手持ち状態から手持ち状態に変化したことに応じて、モードを待機モードから作業モードに変更し、手持ち状態から非手持ち状態に変化したことに応じて、モードを待機モードから作業モードに変更する。
【0115】
なお、この変形例において、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が手持ち状態を示す場合とは、作業者が工具本体20を手で把持して所定の作業を行っている状態(つまり作業状態)、又は作業者が工具本体20を手で把持したまま作業の開始を待っている状態(つまり作業待ち状態)である。また、手持ち状態検知機能に対応する検知結果が非手持ち状態を示す場合とは、作業者が電動工具を使わない別の作業を行っている又は休憩している状態(つまり待機状態)である。
【0116】
このように、モードが、手持ち状態では作業モード、非手持ち状態では待機モードに設定されることで、駆動機能及び複数の検知機能に関する制御を簡易かつ的確に行える。
【0117】
(3-7)動き検知機能
複数の検知機能は、動き検知機能を更に含む。動き検知機能とは、工具本体20の動きを検知する機能である。
【0118】
本実施形態における手持ち状態検知機能は、動き検知機能が動きを検知している場合に手持ち状態と判断し、動きを検知していない場合に非手持ち状態と判断する。
【0119】
このように、本実施形態では、工具本体20に動きセンサが内蔵されており、工具本体20の動きの有無を基に手持ち状態か否かが判断されるので、工具本体20のどの部分が把持されても、手持ち状態であることを判断できる。
【0120】
なお、例えば、工具本体20のグリップ部21に力センサが設けられている場合は、グリップ部21以外の部分(例えば、電池装着部23、又は電池装着部23に装着された電池パック181など)が把持されると、手持ち状態であることの判断は困難となる。
【0121】
(3-8)待機モードでの駆動状態検知機能の不能化と、手持ち状態検知機能の不能化対象からの除外
本実施形態において、待機モードで不能化対象から除かれる少なくとも一の検知機能は、手持ち状態検知機能を含む。また、待機モードで不能化対象となる1つ以上の検知機能は、駆動状態検知機能を含む。
【0122】
このように、本実施形態では、待機モードでの不能化対象から手持ち検知機能が除外され、手持ち検知機能に対応する検知結果を基に待機モードから作業モードへの変更が行われる。つまり、駆動状態検知機能に対応する検知結果を利用することなく、待機モードから作業モードへの変更を行えるため、待機モードでの不能化対象に駆動状態検知機能を含めることによって、電力消費の抑制を効果的に図ることができる。
【0123】
(4)その他の機能:表示機能
本実施形態における電動工具10は、表示部17を更に備える。表示部17は、表示機能を実現可能である。ただし、表示部17は省略されてもよい。
【0124】
(4-1)モード表示機能
本実施形態における表示機能は、例えば、モード表示機能である。モード表示機能とは、モードが作業モードか待機モードかに関するモード表示を行う機能である。モード表示は、例えば、作業モードの場合は連続点灯、待機モードの場合は点滅、である。または、モード表示は、作業モードの場合は点灯(表示機能の実現の可能化)、待機モードの場合は消灯(表示機能の実現の不能化)であってもよい。
【0125】
(4-2)表示機能の変形例:状態表示機能
表示機能は、状態表示機能でもよい。状態表示機能とは、作業者の状態に関する状態表示を行う機能である。
【0126】
前述したように、作業者の状態には、作業状態、作業待ち状態及び待機状態の3つがある。作業状態は、工具本体20の状態が手持ち状態かつ駆動部11の状態が駆動状態の場合と対応し、作業待ち状態は、工具本体20の状態が手持ち状態かつ駆動部11の状態が駆動状態の場合と対応し、待機状態は、工具本体20の状態が非手持ち状態かつ駆動部11の状態が非駆動状態の場合と対応している(図6参照)。
【0127】
状態表示は、例えば、作業状態の場合は連続点灯、作業待ち状態の場合は点滅、待機状態の場合は消灯、である。
【0128】
(5)動作
次に、図3及び図4を用いて電動工具10の動作を説明する。
【0129】
(5-1)モード設定動作
設定部14は、例えば、図3のフロ-チャートに従って動作する。なお、このフローチャートの処理(モード設定処理)は、電動工具10の電源オンに応じて開始し、電源オフに応じて終了する。
【0130】
処理が開始されると、設定部14は、モードを作業モードに設定する(ステップS1)。次に、設定部14は、検知部13によって第1状態変化が検知されたか否かを判断する(ステップS2)。第1状態変化は検知されていないと判断された場合、処理はステップS2に戻る。
【0131】
第1状態変化が検知されたと判断した場合、設定部14は、モードを作業モードに設定する(ステップS3)。次に、設定部14は、検知部13によって第2状態変化が検知されたか否かを判断する(ステップS4)。第2状態変化は未だ検知されていないと判断された場合、処理はステップS4に戻る。
【0132】
第2状態変化が検知されたとステップS4で判断された場合、処理はステップS1に戻る。
【0133】
(5-2)機能制御動作
機能制御部151は、例えば、図4のフロ-チャートに従って動作する。なお、このフローチャートの処理は、電動工具10の電源オンに応じて開始し、電源オフに応じて終了する。
【0134】
機能制御部151は、モードが変化したか否かを判断する(ステップS11)。モードは未だ変化していないと判断された場合、処理はステップS11に戻る。
【0135】
モードが変化したとステップS11で判断された場合、機能制御部151は、モードが作業モードか否かを判断する(ステップS12)。モードが作業モードでない(つまり待機モードである)と判断された場合、処理はステップS15(後述)に進む。
【0136】
モードが作業モードであると判断した場合、機能制御部151は、駆動機能の実現を可能化する(ステップS13)。次に、機能制御部151は、複数の検知機能の実現を可能化する(ステップS14)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0137】
ステップS12でモードが作業モードであると判断した場合、機能制御部151は、駆動機能の実現を不能化する(ステップS15)。次に、機能制御部151は、複数の検知機能のうち第1状態変化検知機能等を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化する(ステップS16)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0138】
なお、ステップS16で「複数の検知機能のうち第1状態変化検知機能等を除く1つ以上の検知機能」つまり不能化対象から除かれる1つ以上の検知機能は、図9に示すように、第1状態検知機能と、検知以外の機能であって、第1状態変化検知機能が利用する機能、である。
【0139】
なお、図14のフローチャートにおいて、2つのステップS13及びS14の順序は逆でもよい。また、2つのステップS15及びS16の順序も逆でもよい。
【0140】
(6)具体例
次に、図5図9を用いて工具本体20の動作の具体例を説明する。
【0141】
(6-1)6つの検知機能
本例において、検知部13は、図5に示すような6つの検知機能、すなわち、手持ち状態検知機能、駆動状態検知機能、手持ち状態変化検知機能、駆動状態変化検知機能、作業状態変化検知機能、及び受信状態変化検知機能、を有する。
【0142】
手持ち状態検知機能は、工具本体20が手持ち状態か非手持ち状態かを、動きセンサからの信号を基に検知する。駆動状態検知機能は、駆動部11が駆動状態か非駆動状態かを、操作部12からの信号を基に検知する。
【0143】
手持ち状態変化検知機能は、非手持ち状態から手持ち状態への状態変化及び手持ち状態から非手持ち状態への状態変化を、動きセンサからの信号及びメモリ内の直近の状態情報を基に検知する。駆動状態変化検知機能は、非駆動状態から駆動状態への状態変化及び駆動状態から非駆動状態への状態変化を、操作部12からの信号及びメモリ内の直近の状態情報を基に検知する。
【0144】
作業状態変化検知機能は、所定の作業の未完了状態から完了状態への状態変化を、トルクセンサからの信号及びメモリ内の直近の状態情報を基に検知する。受信状態変化検知機能は、外部装置30からの指示の未受信状態から受信済み状態への状態変化を、通信部16からの信号及びメモリ内の直近の状態情報を基に検知する。
【0145】
(6-2)工具本体及び駆動部の状態、作業者の状態、及びモード
本例において、工具本体20及び駆動部11の状態には、図6に示すような3通りの組み合わせ、すなわち、「手持ち状態かつ駆動状態」、「手持ち状態かつ駆動状態」、及び「非手持ち状態かつ非駆動状態」、がある。
【0146】
また、作業者の状態には、図6に示すような3つの状態、すなわち、「手持ち状態かつ駆動状態」に対応する「作業実行状態」、「手持ち状態かつ非駆動状態」に対応する「作業待ち状態」、及び「非手持ち状態かつ非駆動状態」に対応する「待機状態」、がある。
【0147】
さらに、モードには、図6に示すような2つのモード、すなわち、「手持ち状態かつ駆動状態」及び「手持ち状態かつ非駆動状態」の2通りの組み合わせ(「作業実行状態」及び「作業待ち状態」の2つの状態)に対応する「作業モード」、及び「非手持ち状態かつ非駆動状態」(「待機状態」)に対応する「待機モード」、がある。
【0148】
(6-3)各モードで可能化/不能化される各種の機能の第1例
作業モードでは、図7に示すような3種類の機能、すなわち、通信機能、複数の検知機能、及び表示機能、の全てが可能化される(可能化対象となる)。待機モードでは、通信機能と、複数の検知機能のうち受信状態検知機能と、が可能化(不能化対象から除外)される一方、複数の検知機能のうち他の機能(受信状態検知機能以外の機能)と、表示機能とが不能化される。
【0149】
(6-4)状態変化に応じたモード変更
(6-4-1)第1状態変化とそれに応じたモード変更
本例における第1状態変化は、図8に示すような2種類の状態変化、すなわち、未受信状態から受信済み状態への状態変化、及び非手持ち状態から手持ち状態への状態変化、である。これら2種類のいずれかの状態変化が検知されると、モードが待機モードから作業モードに変化する。
【0150】
(6-4-2)第2状態変化とそれに応じたモード変更
本例における第2状態変化は、図8に示すような2種類の状態変化、すなわち、未完了状態から完了状態への状態変化、及び手持ち状態から非手持ち状態への状態変化、である。これら2種類のいずれかの状態変化が検知されると、モードが作業モードから待機モードに変化する。
【0151】
(6-5)各モードで可能化/不能化される各種の機能の第2例
一般に、作業モードでは、図9に示すように、複数の検知機能及び検知以外の機能(通信機能、表示機能等)、の全てが可能化される。
【0152】
待機モードでは、複数の検知機能のうち第1状態変化検知機能以外の検知機能と、検知以外の機能であって、第1状態変化検知機能が利用しない機能と、が不能化される。一方、検知以外の機能であって、第1状態変化検知機能が利用する機能と、複数の検知機能のうち第1状態変化検知機能と、は可能化(不能化対象から除外)される。
【0153】
(7)まとめ
本開示の第1の態様に係る電動工具(10)は、工具本体(20)と、駆動部(11)と、検知部(13)と、設定部(14)と、機能制御部(151)と、を備える。工具本体(20)は、所定の作業を行うための先端工具(24)の装着が可能であり、かつ前記所定の作業を行う作業者による手持ちが可能である。駆動部(11)は、工具本体(20)に設けられ、駆動機能を実現可能である。前記駆動機能は、工具本体(20)に装着された先端工具(24)を駆動する機能である。検知部(13)は、工具本体(20)に設けられ、複数の検知機能を実現可能である。前記複数の検知機能は、工具本体(20)及び駆動部(11)の少なくとも一方に関連する状態又は状態変化をそれぞれ検知する機能である。設定部(14)は、前記複数の検知機能に対応する複数の検知結果のうち少なくとも一の検知結果を用いて、前記駆動機能及び前記複数の検知機能に関するモードを、作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。機能制御部(151)は、前記モードが前記待機モードに設定された場合に、前記駆動機能の実現を不能化し、かつ前記複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化する。
【0154】
この態様によれば、検知部(13)は複数の検知機能を実現可能であり、設定部(14)が、当該複数の検知機能に対応する複数の検知結果のうち少なくとも一の検知結果を用いて、駆動機能及び複数の検知機能に関するモードを作業モード及び待機モードの間で変更可能に設定する。そして、モードが待機モードに設定された場合に、機能制御部(151)が、駆動機能の実現を不能化し、かつ複数の検知機能のうち少なくとも一の検知機能を除く1つ以上の検知機能の実現を不能化することで、電力消費の抑制を図ることができる。また、待機モードでの不能化対象から少なくとも一の検知機能が除かれたことで、当該一の検知機能を利用して、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。従って、作業の再開が困難となる可能性を低減しつつ、電力消費の抑制を図ることができる。
【0155】
第2の態様に係る電動工具(10)では、第1の態様において、機能制御部(151)は、前記モードが前記作業モードに設定された場合に、前記駆動機能の実現を可能化し、かつ前記複数の検知機能の実現を可能化する。
【0156】
この態様によれば、モードが作業モードに設定された場合に、機能制御部(151)が、駆動機能の実現を可能化し、かつ複数の検知機能の実現を可能化するので、モードが待機モードから作業モードに変化した後は、当該複数の検知機能に対応する複数の検知結果を用いた駆動機能の制御が可能となる。
【0157】
第3の態様に係る電動工具(10)では、第1又は第2の態様において、前記複数の検知機能は、設定部(14)が前記モードを前記待機モードから前記作業モードに変更する第1トリガとなる第1状態変化を検知する第1状態変化検知機能を含み、前記待機モードで不能化対象から除かれる前記少なくとも一の検知機能は、前記第1状態変化検知機能を含む。
【0158】
この態様によれば、複数の検知機能の中に、待機モードから作業モードへの変更のトリガ(第1トリガ)となる状態変化(第1状態変化)を検知する第1状態変化検知機能が含まれており、待機モードでの不能化対象から第1状態変化検知機能が除かれることで、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0159】
第4の態様に係る電動工具(10)では、第3の態様において、前記第1状態変化検知機能は、設定部(14)が前記モードの設定に用いる前記少なくとも一の検知結果に対応する1つ以上の検知機能、のいずれとも異なる検知機能である。
【0160】
この態様によれば、第1状態変化検知機能が、モード設定用の1つ以上の検知機能とは異なる検知機能であることで、モード設定用の1つ以上の検知機能が待機モードで不能化されても、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0161】
第5の態様に係る電動工具(10)は、第4の態様において、外部装置(30)からの指示を受信する受信機能を実現可能な通信部(16)を更に備える。機能制御部(151)は、少なくとも前記モードが前記待機モードである場合に前記受信機能の実現を可能化する。前記第1状態変化検知機能は、通信部(16)が前記指示を未だ受信していない未受信状態から既に受信している受信済状態への状態変化を検知する受信状態変化検知機能である。
【0162】
この態様によれば、第1状態変化検知機能が受信状態変化検知機能であることで、通信機能を利用して、待機モードから作業モードへの変化のトリガ検知の可能化を図ることができる。
【0163】
第6の態様に係る電動工具(10)では、第5の態様において、前記複数の検知機能は、設定部(14)が前記モードを前記作業モードから前記待機モードに変更する第2トリガとなる第2状態変化を検知する第2状態変化検知機能を含む。前記待機モードで不能化対象となる前記1つ以上の検知機能は、前記第2状態変化検知機能を含む。
【0164】
この態様によれば、複数の検知機能の中に、作業モードから待機モードへの変更のトリガ(第2トリガ)となる状態変化(第2状態変化)を検知する第2状態変化検知機能が更に含まれており、この第2状態変化検知機能が、待機モードでの不能化対象に含まれる(すなわち、待機モードで第2状態変化検知機能の実現が不能化される)ことで、電力消費の抑制を図ることができる。
【0165】
第7の態様に係る電動工具(10)では、第6の態様において、前記第2状態変化検知機能は、前記所定の作業が未だ完了していない未完了状態から既に完了している完了状態への状態変化を検知する作業状態変化検知機能である。設定部(14)は、前記作業状態変化検知機能によって前記未完了状態から前記完了状態への状態変化が検知された場合に、前記モードを、前記作業モードから前記待機モードに変更する。
【0166】
この態様によれば、第2状態変化検知機能が作業状態変化検知機能であることで、作業の完了に応じて、作業モードから待機モードへの変化を図ることができる。
【0167】
第8の態様に係る電動工具(10)では、第1又は第2の態様において、前記複数の検知機能は、工具本体(20)が前記作業者によって手持ちされている手持ち状態か手持ちされていない非手持ち状態かを検知する手持ち状態検知機能を含む。設定部(14)が前記モードの設定に用いる前記少なくとも一の検知結果は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果を含む。
【0168】
この態様によれば、複数の検知機能の中に、手持ち状態か非手持ち状態かを検知する手持ち状態検知機能が含まれており、モード設定用の「少なくとも一の検知結果」が、手持ち状態検知機能に対応する検知結果を含むことで、工具本体(20)の手持ち状態に基づくモード設定を行える。
【0169】
第9の態様に係る電動工具(10)では、第8の態様において、設定部(14)は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記手持ち状態を示す場合に、前記モードを前記作業モードに設定する。また、設定部(14)は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記非手持ち状態を示す場合に、前記モードを前記待機モードに設定する。
【0170】
この態様によれば、モードが、手持ち状態では作業モード、非手持ち状態では待機モードに設定されることで、駆動機能及び複数の検知機能に関する制御を簡易かつ的確に行える。
【0171】
第10の態様に係る電動工具(10)では、第8又は第9の態様において、前記複数の検知機能は、駆動部(11)が駆動されている駆動状態か駆動されていない非駆動状態かを検知する駆動状態検知機能を更に含む。設定部(14)が前記モードの設定に用いる前記少なくとも一の検知結果は、前記駆動状態検知機能に対応する検知結果を更に含む。
【0172】
この態様によれば、複数の検知機能の中に、駆動状態か非駆動状態かを検知する駆動状態検知機能が含まれており、モード設定用の「少なくとも一の検知結果」が、駆動状態検知機能に対応する検知結果を含むことで、工具本体(20)の手持ち状態に基づくモード設定を行える。
【0173】
第11の態様に係る電動工具(10)では、第10の態様において、設定部(14)は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記手持ち状態を示し、かつ前記駆動状態検知機能に対応する検知結果が前記駆動状態を示す場合、又は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記手持ち状態を示し、かつ前記駆動状態検知機能に対応する検知結果が前記非駆動状態を示す場合に、前記モードを前記作業モードに設定する。また、設定部(14)は、前記手持ち状態検知機能に対応する検知結果が前記非手持ち状態を示し、かつ前記駆動状態検知機能に対応する検知結果が前記非駆動状態を示す場合に、前記モードを前記待機モードに設定する。
【0174】
この態様によれば、手持ち状態検知機能に対応する検知結果と、駆動状態検知機能に対応する検知結果とに基づいて、作業モード及び待機モードの間でのモード設定を行える。
【0175】
第12の態様に係る電動工具(10)は、第8~第10のいずれかの態様において、複数の検知機能は、動き検知機能を更に含む。動き検知機能は、工具本体(20)の動きを検知する機能である。前記手持ち状態検知機能は、検知部(13)が前記動きを検知している場合に前記手持ち状態と判断し、前記動きを検知していない場合に前記非手持ち状態と判断する。
【0176】
この態様によれば、工具本体(20)の動きの有無を基に手持ち状態か否かが判断されるので、工具本体(20)のどの部分が把持されても、手持ち状態であることを判断できる。
【0177】
なお、工具本体(20)のグリップ部(21)に力センサ(不図示)が設けられている場合は、グリップ部(21)以外の部分(例えば、工具本体20の電池装着部23、又は電池装着部23に装着された電池パック181など)が把持されると、手持ち状態であることの判断は困難となる。
【0178】
第13の態様に係る電動工具(10)では、第11の態様において、前記待機モードで不能化対象から除かれる前記少なくとも一の検知機能は、前記手持ち状態検知機能を含む。前記待機モードで不能化対象となる前記1つ以上の検知機能は、前記駆動状態検知機能を含む。
【0179】
この態様によれば、待機モードでの不能化対象から手持ち検知機能が除外され、手持ち検知機能に対応する検知結果を基に待機モードから作業モードへの変更が行われるので、待機モードでの不能化対象に駆動状態検知機能を含めることで、電力消費の抑制を効果的に図ることができる。
【符号の説明】
【0180】
10 電動工具
11 駆動部
12 操作部
13 検知部
14 設定部
15 制御部
151 機能制御部
16 通信部
17 表示部
20 工具本体
24 先端工具
30 外部装置
図1
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図9