(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086474
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ワーク運搬システム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201618
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】宮城島 史智
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS09
3C707DS01
3C707ES19
3C707KS03
3C707KS36
3C707KT02
3C707KT05
3C707KX07
3C707LS14
3C707MT09
3C707NS02
3C707NS06
(57)【要約】
【課題】従来のワーク運搬システムでは、刺し棒の突き刺し方向でワークの位置がばらつくと、対応が困難であった。
【解決手段】本開示のワーク運搬システムは、ワークに刺し棒を突き刺すことで前記ワークを保持するワーク保持部を移動して、前記ワークを運搬するワーク運搬システムであって、前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒から先方に離れた第1位置よりワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第1センサと、前記第1センサが感知したことを条件にして、前記刺し棒の前記ワークに対する突き刺し動作を許可する動作制御部と、備えるワーク運搬システムである。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに刺し棒を突き刺すことで前記ワークを保持するワーク保持部を移動して、前記ワークを運搬するワーク運搬システムであって、
前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒から先方に離れた第1位置よりワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第1センサと、
前記第1センサが感知したことを条件にして、前記刺し棒の前記ワークに対する突き刺し動作を許可する動作制御部と、備えるワーク運搬システム。
【請求項2】
前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒の先端から基端側に離れた第2位置より前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第2センサを備え、
前記動作制御部は、前記第1センサの感知後に前記第2センサが感知したことを条件にして、前記ワークに対する運搬動作を許可する請求項1に記載のワーク運搬システム。
【請求項3】
前記刺し棒は、1対設けられ、
前記第2センサは、前記1対の刺し棒の間に配置されている請求項2に記載のワーク運搬システム。
【請求項4】
前記第1センサは、前記刺し棒を間に挟んで1対設けられ、
前記動作制御部は、前記突き刺し動作を、少なくとも一方の前記第1センサが感知したことを条件にして行う請求項1又は3に記載のワーク運搬システム。
【請求項5】
前記動作制御部は、前記刺し棒を予め設定された規定距離だけ進出させて前記突き刺し動作を実行し、前記第2センサが感知しない場合には、予め設定された基準高さ以上まで前記刺し棒を戻し、再度、前記突き刺し動作を行う請求項2に記載のワーク運搬システム。
【請求項6】
前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒の先端の位置に前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第3センサを備え、
前記動作制御部は、前記第3センサ、前記第2センサの順番でそれらが感知したことを条件にして、前記運搬動作を許可する請求項2又は3に記載のワーク運搬システム。
【請求項7】
検出軸上の異なる2箇所に感知点を有し、第1の感知点より前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近すると第1作動状態になると共に、第2の感知点より前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近すると第2作動状態になる複合センサが、前記第3センサと、前記第1センサ又は前記第2センサとに、兼用されている請求項6に記載のワーク運搬システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワーク運搬システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワーク運搬システムとして、ワークに刺し棒を突き刺すことでワークを保持して、ワークを運搬するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-74989(第2頁の第13~19行目等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のワーク運搬システムでは、刺し棒の突き刺し方向でワークの位置がばらつくと、対応が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の第1態様は、ワークに刺し棒を突き刺すことで前記ワークを保持するワーク保持部を移動して、前記ワークを運搬するワーク運搬システムであって、前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒から先方に離れた第1位置よりワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第1センサと、前記第1センサが感知したことを条件にして、前記刺し棒の前記ワークに対する突き刺し動作を許可する動作制御部と、備えるワーク運搬システムである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】ワークに刺し棒を突き刺したときのワーク運搬システムの側面図
【
図3】ワークを持ち上げているワーク運搬システムの側面図
【
図4】ワークに刺し棒を突き刺すときのワーク運搬システムの平面図
【
図5】ワークを持ち上げて上側回転部を回転し始めたときのワーク運搬システムの平面図
【
図6】ワークをコンベア上に持ち運んだときのワーク運搬システムの平面図
【
図7】ワークをコンベア上に持ち運んだときのワーク運搬システムの側面図
【
図11】ワークに刺し棒を突き刺したときのワーク保持部の後方斜視図
【
図12】ワーク運搬システムの電気的な構成を示すブロック図
【
図16】1対の刺し棒の間にワーク対向部を受容させたときのワーク運搬システムの側面図
【
図17】ワーク対向部をワークに宛がって刺し棒をワークから引き抜くときのワーク運搬システムの側面図
【
図18】刺し棒をワークから引き抜いたときのワーク運搬システムの側面図
【
図19】ワーク保持部を次のピック位置に配置したときのワーク運搬システムの側面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、本開示の第1実施形態に係るワーク運搬システム10は、ワークWに刺し棒30を突き刺すことでワークWを保持して、ワークWを運搬する。本実施形態の例では、ワーク運搬システム10には、ワーク運搬機11が設けられ、ワーク運搬機11が、刺し棒30を備えて、ワークWの一時置き場であるワーク載置ラック81(
図3、
図4参照)から、ワーク回収部82へと運搬するように制御される(
図6、
図7参照)。
【0008】
ワーク運搬機11は、ロボットアーム15と、それを支持するアーム支持部12とを備えたロボットである。ロボットアーム15は、複数の関節部16(
図1の例では、2つ)を備えると共に、刺し棒30を支持してワークWを保持するワーク保持部20を先端部に備え、ワーク保持部20を移動させる。
【0009】
アーム支持部12は、床に固定される下側固定部12Aと、それに搭載された上側回転部12Bと、を備えている(
図2参照)。上側回転部12Bは、下側固定部12Aに鉛直軸回りに回転可能に支持されている(
図3、
図4参照)。そして、上側回転部12Bにロボットアーム15が支持されている。これにより、ロボットアーム15を鉛直軸回りに旋回可能になっていて、ワーク運搬機11は、ワーク運搬機11の前側に設けられるワーク載置ラック81(
図3参照)から、ワーク運搬機11の側方に設けられるワーク回収部82の載置ステージ82S(
図5、
図6参照)へと、ワークWを移動可能になっている。なお、本実施形態の例では、ワーク回収部82は、コンベアを備え、載置ステージ82Sは、コンベアの一部が一段上にシフトした部分になっていて、ワークWが載置されると、一段下がってコンベアによりワークWが搬送される。
【0010】
なお、例えば、ワークWは、粉砕機で粉砕されて再利用されるものであってもよく(例えば発泡体等)、例えば、ワーク回収部82のコンペアにより粉砕機へと搬送される。本実施形態の例では、ワークWは、シート状に成形された成形品のうちトリミングされた端辺部(例えば4辺部)であり、例えば、略角棒状をなしている(
図1、
図3参照)。
【0011】
図1に示すように、ワーク保持部20は、ワークWに突き刺す刺し棒30を、下側に突出させた状態に備えている。ワーク保持部20には、関節部16のうちロボットアーム15の最も先端側の第1関節部16Aよりも先端側にベース部22が設けられ、刺し棒30は、ベース部22に支持されている(
図8参照)。なお、本実施形態では、刺し棒30は、ベース部22に対して相対移動しないように固定され、刺し棒30の突き刺し動作ではワーク保持部20ごと下降するが、刺し棒30がベース部22に対してスライド可能になっていて、突き刺し動作で刺し棒30のみが下降する構成であってもよい。
【0012】
刺し棒30は、複数(例えば1対)設けられていてもよく、その場合、例えば、互いに平行に配置されてもよい。本実施形態の例では、
図8及び
図9に示すように、互いに平行になった1対の刺し棒30が設けられている。例えば、1対の刺し棒30は、ロボットアーム15におけるベース部22を支える第1関節部16Aの回動軸方向(適宜、左右方向と呼ぶ。)に並んだ配置になっている。
【0013】
ここで、本実施形態の例では、ワーク保持部20に対してワークが相対的に接近したことを感知するセンサが設けられている。即ち、本実施形態の例では、ワーク保持部20が下降して突き刺し動作を行うにあたって、ワーク保持部20の下方のワークWの有無を感知できるようになっている。
【0014】
具体的には、
図10に示すように、本実施形態のワーク運搬システム10には、刺し棒30から先方に(刺し棒30の突出方向先端側に)離れた第1位置P1よりワークWがワーク保持部20に対して相対的に接近したことを感知する第1センサS1が備えられている。例えば、第1センサS1は、ワーク保持部20に対するワークWの相対位置が第1位置P1になったときにオンオフが切り替わる構成になっている。
【0015】
例えば、第1センサS1は、ワーク保持部20(例えばベース部22)に設けられている。本実施形態では、第1センサS1は、刺し棒30(本実施形態の例では、1対の刺し棒30)を挟んで両側に(左右方向両側に)配置されている。なお、第1センサS1は、刺し棒30の両側に設けられていなくてもよく、一方側にのみ設けられていてもよい。第1センサS1は、この配置に限定されるものではなく、例えば、ベース部22の他の位置に配置されていてもよい。
【0016】
また、本実施形態のワーク運搬システム10には、刺し棒30の先端から基端側に離れた第2位置P2よりワークWが接近したことを感知する第2センサS2が備えられている。例えば、第2センサS2は、ワーク保持部20に対するワークWの相対位置が第2位置P2になったときに、オンオフが切り替わる構成になっている。
【0017】
例えば、第2センサS2は、ワーク保持部20(例えばベース部22)に設けられている。本実施形態の例では、第2センサS2は、1対の刺し棒30の間に配置されている。なお、第2センサS2は、この配置に限定されるものではなく、例えば、ベース部22の他の位置に配置されていてもよい。例えば、刺し棒30が1本だけ設けられている場合、刺し棒30の側方に配置されていてもよい。
【0018】
さらに、本実施形態のワーク運搬システム10には、刺し棒30の先端の位置(以下、先端位置P3という。)にワークWがワーク保持部20に対して相対的に接近したことを感知する第3センサも備えられている。本実施形態の例では、第1センサS1は、第3センサにも兼用されていて、その検出軸上の異なる2箇所に感知点(第1位置P1と先端位置P3)を有する複合センサになっている。また、本実施形態の例では、第2センサS2も、第3センサに兼用されていて、その検出軸上の異なる2箇所に感知点(第2位置P2と先端位置P3)を有する複合センサになっている。例えば、複合センサは、第1の感知点よりワークWがワーク保持部20に対して相対的に接近すると第1作動状態となり、第2の感知点よりワークWがワーク保持部20に対して相対的に接近すると第2作動状態となる。
【0019】
なお、ワーク運搬システム10は、上記第3センサを、第1センサS1と第2センサS2のうち少なくとも一方とは別に設けた構成としてもよく、この場合でも、第3センサが、ワーク保持部20(例えばベース部22)に設けられていてもよい。また、ワーク運搬システム10を、第3センサが設けられていない構成としてもよいし、第2センサS2が設けられていない構成としてもよい。なお、ワーク運搬システム10を、第1センサS1が設けられていない構成とすることもできる。
【0020】
なお、上述した第1センサS1、第2センサS2、第3センサは、ワーク保持部20に対するワークWの位置が感知できればよく、TOFセンサであってもよいし、その他のセンサ、例えば、近接センサや光センサ等であってもよい。
【0021】
なお、本実施形態の例では、刺し棒30が突き刺されたワークWと当接して、ベース部22とワークWとの間に、隙間S(
図11参照)を確保するストッパが設けられている。
図8及び
図9に示すように、本実施形態の例では、このストッパとして、刺し棒30の途中位置に外側に張り出す外周張出部33が設けられている。外周張出部33は、ワークWが外周張出部33を上側に超えて刺し棒30に深く刺さるのを規制する。
【0022】
詳細には、本実施形態の例では、刺し棒30の途中位置に環状溝が設けられ、この環状溝に嵌め込まれたリング部材が上記外周張出部33を構成している。例えば、刺し棒30は、先端部が尖った形状をなし、その先端部より基端側の部分に、上記環状溝(即ち、外周張出部33)が配置されている。なお、外周張出部33は、刺し棒30に一体形成されていてもよい。また、外周張出部33は、刺し棒30の外周面の周方向で、全体に形成されていてもよいし、一部にのみ形成されていてもよい。
【0023】
また、例えば、上記ストッパとして、ベース部22からワークW側に張り出す張出部を設けてもよい。本実施形態の例では、この張出部として、
図8及び
図9に示す張出片23が1対設けられている。張出片23は、その厚み方向が前後方向になるように配置されると共に、ベース部22のうち前側の部分(アーム支持部12から離れた側の部分)から下方に延び、さらに後側に曲がって各刺し棒30に近づくように延び、各外周張出部33に先端を近接配置させている。
【0024】
なお、刺し棒30のうちワークWに突き刺さる部分は、断面円形であってもよいし、断面非円形になっていてもよい。例えば、刺し棒30の上記突き刺さる部分の断面は、四角形等の多角形状(例えば正多角形状)になっていてもよく、本実施形態の例では、正方形状になっている。
【0025】
図12に示すように、ワーク運搬システム10には、ワーク保持部20の動作を制御する動作制御部70が備えられている。本実施形態の例では、動作制御部70は、制御プログラムとセンサ(ワークWを検出する第1センサS1、第2センサS2等)の検出結果とに基づいて、ロボットアーム15とアーム支持部12の動作を制御してワーク保持部20を移動させる。
【0026】
動作制御部70は、ワーク保持部20をワークWの上方に配置し、ワークWに上から接近させて突き刺し動作を行う。なお、このとき、例えば、
図3及び
図4に示すように、横長のワーク載置ラック81の長手方向に沿ってワークWを載置しておくと共に、ワーク載置ラック81の長手方向が左右方向となるようにワーク保持部20を配置する。
【0027】
ワーク運搬機11は、刺し棒30がワークWに所定の深さまで突き刺さると、ワーク保持部20を上昇させてワークWを持ち上げる(
図3参照)。そして、ワーク運搬機11は、ワークWを持ち上げつつ、上述のように、ワーク運搬機11の上側回転部12B(即ち、ロボットアーム15)が鉛直軸回りに回転し(
図4から
図6への変化を参照)、ワーク回収部82の載置ステージ82Sの上方へとワークWが運ばれる(
図7参照)。そして、ワーク運搬機11は、そこでワークWを刺し棒30から離脱させて、ワークWが落下し載置ステージ82S上に載置される(
図18参照)。その後、ワーク運搬機11は、次のワークWを取りにワーク載置ラック81へとワーク保持部20を戻す。
【0028】
以下では、本実施形態のワーク運搬システム10によるワークWの運搬について、動作制御部70によるワーク保持部20の動作の制御フローを説明する。
【0029】
まず、ワークWへの突き刺し動作を行うに先立って、サーチ処理(S10)が行われる(
図13参照)。サーチ処理S10では、まず、ワーク保持部20が、第1原点位置からワーク載置ラック81の上方のピック位置(
図1参照)に配置される(S11)。このピック位置は、ワーク載置ラック81に段積みされたワークWよりも高い位置となるように設定される。また、ピック位置は、ワーク載置ラック81の短手方向(
図1における横方向)に複数設定される(
図19参照)。例えば、ピック位置は、
図1に示す例のようにワーク載置ラック81の短手方向にワークWが5つ並ぶ場合には、5つ以上設定されることが好ましい。本実施形態の例では、初期状態においてステップS11でワーク保持部20が配置されるピック位置は、ワーク載置ラック81の短手方向で最もワーク運搬機11側の第1ピック位置(
図1参照)である。
【0030】
ステップS11の後に、ワーク保持部20の下降動作が行われ(S12)、その後、刺し棒30の先端位置P3(
図10参照)にワークWが配置されているか(ワーク保持部20に対してワークWが相対的に接近しているか)否かが判断される(S13)。このステップS13では、1対の第1センサS1と、第2センサS2との何れか1つのセンサの感知が行われれば、ワークWが先端位置P3に配置されていると判断される(S13でYES)。そして、その感知されたときの刺し棒30の先端の位置が、基準位置(基準高さ)として決定され、記憶部に記憶される(S14)。その後、ワーク保持部20を上昇させて(S15)、上記ピック位置へと戻し、サーチ処理(S10)が終了する。
【0031】
一方、ステップS13において、1対の第1センサS1と、第2センサS2とのうち、何れのセンサによっても先端位置P3の感知がなかった場合には、ワーク保持部20(刺し棒30)が上記ピック位置(
図1参照)から所定の下降限度まで下降したか否かが判断される(S16)。ワーク保持部20が上記下降限度まで達していない場合には(S16でNO)、ステップS12に戻りワーク保持部20の下降動作が続けられる。一方、ワーク保持部20が上記下降限度まで達した場合には(S16でYES)、ワーク保持部20を上昇させて(S17)、次のピック位置へと移動させる(S18)。次のピック位置は、初期状態からサーチ処理(S10)が行われた場合には、第1ピック位置に対してワーク運搬機11から離れる側で隣合う第2ピック位置(
図19参照)となる。そして、次のピック位置において、前のピック位置と同様に、サーチ処理(S10)が行われる。
【0032】
なお、例えば、ワーク保持部20の上記下降限度は、ワーク載置ラック81の底に到達する手前でかつ、ワーク載置ラック81の底面からワークW一つ分よりは離れていない位置に設定される。このようにすれば、ワーク載置ラック81の底に刺し棒30が干渉することが防がれると共に、ワーク載置ラック81上に配置されているワークWを感知できずに見逃すことを防ぐことが可能となる。
【0033】
上述のサーチ処理(S10)で、基準高さが決定された場合には(S14)、ワーク保持部20の下方でワークWが感知されたことと判断されるため、サーチ処理(S10)に続いて、ワークWに刺し棒30を突き刺してワークWを運搬する、突き刺し運搬処理(S20)が実行される(
図14参照)。この処理では、まず、ワーク保持部20が、サーチ処理(S10)で設定されたピック位置に配置されているか確認され、配置されていない場合には、そのピック位置に配置される(S21)。次に、下降動作が行われる(S22)。ここでは、刺し棒30の先端が上記基準高さよりも所定量高い位置になるまでワーク保持部20が下降する。この所定量は、刺し棒30の先端(先端位置P3)から第1位置P1までの距離と同じかそれより短く設定される。
【0034】
次に、第1センサS1による第1位置P1(
図10参照)の感知があったか否かが判断される(S23)。即ち、刺し棒30の先方に(本実施形態の例では、下方に)ワークWがあるか否かが判断される。ここで、1対の第1センサS1の何れの感知もなかった場合(S23でNO)、刺し棒30の先方にワークWが無いと判断され、ワーク保持部20をさらに次のピック位置へと移動する(S31)。そして、突き刺し運搬処理(S20)が終了し、そのピック位置において
図13に示すサーチ処理(S10)が実行される。一方、ステップS23において、1対の第1センサS1の何れかによる第1位置P1の感知があった場合(S23でYES)、刺し棒30の先方にワークWがあると判断され、突き刺しのための下降動作(突き刺し動作)が行われる(S24)。この突き刺し動作では、例えば、ワークW一つを突き刺すような下降量だけワーク保持部20(刺し棒30)が下降される。
【0035】
突き刺し動作(S24)が行われると、第2センサS2による第2位置P2の感知があったか否かが判断され(S25)、これにより、ワークWに刺し棒30が所定量(例えばワークWを保持できる突き刺し量が設定される。)以上突き刺さっているか否かが判断される。感知があった場合には(S25でYES)、ワークWを持ち上げるための上昇動作(S26)が行われ(
図3参照)、ワーク保持部20をワーク状態確認位置へと移動する(S27)。なお、例えば、このワーク状態確認位置は、ワークWを持ち上げる上昇動作が行われてからワークWが載置ステージ82Sの上方位置に配置されるまでの間にワークWが配置される位置である(ワーク保持部20が配置される
図5の位置と
図6の位置の間の位置である)。
【0036】
一方、ステップS25において、第2センサS2による第2位置P2の感知が無かった場合(S25でNO)、刺し棒30をワークWに刺し直すためにワーク保持部20を所定位置まで上昇させる(S28)。本実施形態では、刺し棒30の先端が上記基準高さ以上になるまで上昇させる。その後、再度の突き刺し動作のためにワーク保持部20を下降させる(S29)。例えば、基準高さより所定量下方まで下降スピードを増速させてもよい。次に、刺し棒30の先端位置P3にワークWが配置されているか否かが判断される(S30)。ここでは、第2センサS2による先端位置P3の感知があったか否かに基づいて判断されるが、第1センサS1による先端位置P3の感知があったか否かに基づいて判断されてもよい。ステップS30において、センサによる先端位置P3の感知があった場合(S30でYES)、上述のように、ワークWを持ち上げるための上昇動作(S26)が行われ、ワーク保持部20がワーク状態確認位置へと移動する(S27)。一方、ステップS30において、センサによる先端位置P3の感知がなかった場合(S30でNO)、ワーク保持部20が次のピック位置へと移動され(S31)、突き刺し運搬処理(S20)が終了する。その後、そのピック位置で上述のサーチ処理(S10)が実行される。なお、再度の突き刺し動作(S29)では、刺し棒30を1回目の突き刺し動作よりも低い位置まで下降させてもよい。また、ステップS25でNOの場合、さらに刺し棒30を所定量下降させる動作が行われてもよい。また、ステップS25でNOの場合、再度の突き刺し動作が行われずに、ステップS31へと進む制御が行われてもよい。なお、例えば、刺し棒30の下降は、上記下降限度より下方に超えないように制御されることが好ましい。
【0037】
ステップS27でワーク保持部20をワーク状態確認位置(例えば上述のように
図5と
図6の間の位置)へと配置した後、片刺し確認が行われる(S32)。ここでは、1対の第1センサS1の両方による先端位置P3の感知があったか否かが判断され、両方の感知があった場合、1対の刺し棒30の両方がワークWに刺さったままと判断され、ワーク回収部82の載置ステージ82Sの上方位置(
図7参照)にワークWが移動される(S33)。一方、ステップS32において、1対の第1センサS1のうち少なくとも一方の第1センサS1による先端位置P3の感知がなかった場合(S32でNO)、振り落とし動作が行われる(S39)。ここでは、例えば、上側回転部12Bを回動させてロボットアーム15を左右に振り、ワークWが振り落とされるか否かが試され、振り落とされるか否かが判断される(S40)。ここで、ワークWが振り落とされなかった場合(例えば、1対の第1センサS1の少なくとも一方による先端位置P3の感知があった場合)、上述のステップS33へと進む。一方、ワークWが振り落とされた場合(例えば、1対の第1センサS1の何れによっても先端位置P3の感知がなかった場合)、次のピック位置へとワーク保持部20が移動され(S41)、突き刺し運搬処理(S20)が終了する。その後、そのピック位置で上述のサーチ処理(S10)が実行される。なお、ステップS40において、ワークWが振り落とされたか否かの判断は、1対の第1センサS1の何れかによる先端位置P3の感知に基づいて行わるが、第2センサS2による先端位置P3の感知に基づいて行われてもよい。
【0038】
上述のステップS33で載置ステージ82Sの上方位置にワークWが移動されると、ワーク抜き動作が行われる(S34)。ここでは、後述するように、ワークWが刺し棒30から離脱し、載置ステージ82S上に載置される。次いで、刺し棒30の先端部が破損していないかを検出するためのセンサの位置に、ワーク保持部20が移動される(S35)。そして、刺し棒30の破損が検出されなかった場合には、ワーク回収部82のコンベアが駆動されると共に(S37)、ワーク保持部20が次のピックへと移動され、突き刺し運搬処理(S20)が終了する。そして、
図13に示すサーチ処理(S10)が実行される。なお、刺し棒30の破損が検出された場合には、ワーク運搬システム10が停止される(S38)。以上が、動作制御部70の制御フローの説明である。
【0039】
なお、上述のワーク抜き動作(S34)では、以下のようにして、刺し棒30がワークWから引き抜かれてワークWから離脱する。
図7に示すように、ワーク運搬システム10には、ワークWを刺し棒30から引き抜くために用いられるワーク対向部83が設けられている。本実施形態では、ワーク対向部83は、ワーク回収部82(詳細には載置ステージ82S)の上方位置に固定されている。本実施形態の例では、ワーク対向部83は、片持ち梁状をなし、例えば、固定された支持部から側方に張り出している。
【0040】
そして、ワーク運搬機11は、ワーク保持部20を前進させて、
図7に示す位置から、
図16に示す位置にまで、ワークWを前進させる。
図16に示す位置では、ワーク対向部83が、ワークWに刺し棒30の基端側(上側)から対向する。
図16(B)に示すように、本実施形態の例では、この際、ワーク運搬機11は、ワーク対向部83を刺し棒30同士の間に形成される隙間S(
図11参照)に受容させる。なお、本実施形態の例では、この際、ワーク対向部83は、1対の張出片23の間に受容される。
【0041】
次いで、ワーク運搬機11は、ワークWを、
図16に示す位置から、ワーク対向部83に宛がわれる当接位置(
図17参照)まで上昇させる。そして、ワーク運搬機11は、さらにワーク保持部20を上昇させて、この当接位置のワークWに対してワーク対向部83を刺し棒30の基端側(上側)から宛がった状態にして刺し棒30をワークWから引き抜く(
図18参照)。すると、上記当接位置でワークWが刺し棒30から離脱され(本実施形態の例では、ワークWが下方へと落下して)、ワーク回収部82(詳細には載置ステージ82S)に載置される。
【0042】
本実施形態のワーク運搬システム10の例では、このようにして、ワーク運搬機11による1つのワークWの運搬が完了し、ワーク載置ラック81に載置された次に運搬するワークWの位置(次のピック位置)へとワーク保持部20が移動制御される(
図19参照)。なお、ワークWの当接位置への運搬は、予め設定された経路をワーク保持部20が移動することで行われてもよいし、ワーク対向部83の位置をセンサで検出してその検出結果に基づいて行われてもよい。
【0043】
本実施形態のワーク運搬システム10では、例えば、以下のような効果を奏することができる。本実施形態のワーク運搬システム10では、刺し棒30から先方に離れた第1位置P1よりワークWがワーク保持部20に対して相対的に接近したことを感知する第1センサS1が設けられ、第1センサS1が感知したことを条件にして、動作制御部70が、刺し棒30のワークWに対する突き刺し動作を許可する。これにより、刺し棒30の突き刺し方向でワークWの位置がばらついても、刺し棒30をワークWに容易に突き刺すことが可能となる。例えば、ワーク載置ラック81上でワークWが整列していなくても、刺し棒30をワークWに突き刺すことが可能となる。
【0044】
本実施形態では、第1センサS1による第1位置P1の感知後に、第2センサS2による第2位置P2の感知があったことを条件にして、動作制御部70によりワークWに対する運搬動作が許可される。これにより、ワーク保持部20が、刺し棒30にワークWが突き刺さっていない状態で載置ステージ82Sの上方位置に移動することを抑制可能となる。また、刺し棒30の先端から基端側に離れた第2位置P2におけるワークWの感知を行う第2センサS2の感知に基づいてワーク保持部20の移動制御を行うことで、ワークWが脱落し易い突き刺し運搬動作においても、ワークWの脱落を監視しながら突き刺し運搬動作を行うことが可能となる。
【0045】
本実施形態では、上述のようにワークを感知するためのセンサ(第1センサS1や第2センサS2等)を設けることで(例えばTOFセンサや近接センサや光センサ等を設けることで)、カメラを使用した画像処理を行わなくても、ワークの運搬が可能となる。これにより、コスト削減を図ることも可能となる。
【0046】
本実施形態では、刺し棒30が複数本設けられているので、ワークWの回転を規制し易くすることが可能となる。ここで、ワークWを運搬中に一部の刺し棒30からワークWが抜けてしまうことが考えられるが、仮に、ワークWに刺さった刺し棒30が一本だけになってしまっても、例えば刺し棒30のうちワークWに突き刺さる部分の断面を非円形にする等して、ワークWの回転を規制することが可能となる。
【0047】
[他の実施形態]
(1)ワーク運搬システム10は、突き刺し動作において、上記実施形態では、刺し棒30(ワーク保持部20)を上下方向に移動する構成であったが、刺し棒30を上下方向とは交差する方向(例えば水平方向等)に移動する構成であってもよい。
【0048】
(2)上記実施形態において、ワーク対向部83が複数設けられていてもよい。例えば、刺し棒30が3本以上設けられて、それら刺し棒30同士の間に各ワーク対向部83が受容されてもよい。また、刺し棒30が1本だけ設けられてもよく、この場合、例えば、ワーク対向部83が、刺し棒30の側方に配置されてワークWに刺し棒30の基端側から宛がわれる。また、上記実施形態において、外周張出部33と張出片23のうち一方又は両方が設けられていなくてもよい。
【0049】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0050】
例えば、以下の特徴群は、ワーク運搬システムに関し、「従来のワーク運搬システムとして、ワークに刺し棒を突き刺すことでワークを保持して、ワークを運搬するものが知られている(例えば、実開昭62-74989(第2頁の第13~19行目等)参照)。」という背景技術について、「従来のワーク運搬システムでは、刺し棒の突き刺し方向でワークの位置がばらつくと、対応が困難であった。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。また、従来から、ワークを運搬するワーク運搬システムとして、新規なものが求められている。
【0051】
[特徴1]
ワークに刺し棒を突き刺すことで前記ワークを保持するワーク保持部を移動して、前記ワークを運搬するワーク運搬システムであって、
前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒から先方に離れた第1位置よりワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第1センサと、
前記第1センサが感知したことを条件にして、前記刺し棒の前記ワークに対する突き刺し動作を許可する動作制御部と、備えるワーク運搬システム。
【0052】
[特徴2]
前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒の先端から基端側に離れた第2位置より前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第2センサを備え、
前記動作制御部は、前記第1センサの感知後に前記第2センサが感知したことを条件にして、前記ワークに対する運搬動作を許可する特徴1に記載のワーク運搬システム。
【0053】
[特徴3]
前記刺し棒は、1対設けられ、
前記第2センサは、前記1対の刺し棒の間に配置されている特徴2に記載のワーク運搬システム。
【0054】
[特徴4]
前記第1センサは、前記刺し棒を間に挟んで1対設けられ、
前記動作制御部は、前記突き刺し動作を、少なくとも一方の前記第1センサが感知したことを条件にして行う特徴1又は3に記載のワーク運搬システム。
【0055】
[特徴5]
前記動作制御部は、前記刺し棒を予め設定された規定距離だけ進出させて前記突き刺し動作を終了させてから、予め設定された基準位置までかそれ以上前記刺し棒を戻し(予め設定された基準高さ以上まで前記刺し棒を戻し)、再度、前記突き刺し動作を行う特徴2に記載のワーク運搬システム。
【0056】
[特徴6]
前記ワーク保持部に設けられ、前記刺し棒の先端の位置に前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近したことを感知する第3センサを備え、
前記動作制御部は、前記第3センサ、前記第2センサの順番でそれらが感知したことを条件にして、前記運搬動作を許可する特徴2又は3に記載のワーク運搬システム。
【0057】
[特徴7]
検出軸上の異なる2箇所に感知点を有し、第1の感知点より前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近すると第1作動状態になると共に、第2の感知点より前記ワークが前記ワーク保持部に対して相対的に接近すると第2作動状態になる複合センサが、前記第3センサと、前記第1センサ又は前記第2センサとに、兼用されている特徴6に記載のワーク運搬システム。
【0058】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0059】
10 ワーク運搬システム
30 刺し棒
70 動作制御部
W ワーク