(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086482
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】クロマメノキを含んでなる体質改善剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/45 20060101AFI20240620BHJP
A61K 36/47 20060101ALI20240620BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240620BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240620BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240620BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240620BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240620BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240620BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240620BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240620BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240620BHJP
【FI】
A61K36/45
A61K36/47
A61P43/00 121
A61P25/20
A61P3/02
A61P19/02
A61P19/00
A61P29/00
A61P21/00
A61P17/00
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201637
(22)【出願日】2022-12-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】内山 太郎
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD48
4B018ME14
4C088AB44
4C088AB46
4C088AC01
4C088BA06
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA05
4C088ZA08
4C088ZA89
4C088ZA94
4C088ZA96
4C088ZC21
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】体質を改善するための、クロマメノキを提供する。
【解決手段】体質を改善するための、クロマメノキ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体質を改善するための、クロマメノキを含んでなる組成物。
【請求項2】
体質の改善が、ほてりもしくはホットフラッシュの改善、または熟睡感もしくは寝起きの改善である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
クロマメノキの乾燥重量が20~200mgである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
経口用組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
クロマメノキを含んでなる、体質を改善するための組成物であって、アムラを含んでなる組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
【請求項6】
アムラを含んでなる、体質を改善するための組成物であって、クロマメノキを含んでなる組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
【請求項7】
クロマメノキおよびアムラを含んでなる、体質を改善するための組成物。
【請求項8】
体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、熟睡感または寝起きの改善、疲労回復、関節痛または腰痛の改善、顔のむくみの改善、筋肉痛の改善、目の疲れの改善、および頭皮のかゆみの改善からなる群から選択される1種以上である、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
クロマメノキの乾燥重量をCA、アムラの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2になるように使用するための、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
経口用組成物である、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマメノキを含んでなる体質改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
働く人の多くは、疲労感やだるさ、慢性的な消化器系の不快感、睡眠不足等に悩まされており、特に女性は、特に更年期と呼ばれる時期では、これら症状に加え、手足の冷え、肌の不調等の症状が、日常的な悩みとなっており、特にほてりや熟眠感は、更年期の女性が悩まされることが多い症状である。
【0003】
このような日常的かつ慢性的な症状を総合的に緩和あるいは治療するため、漢方薬が服用されることが多いが、その効果は長期間服用することによって徐々に現れるため、症状のすばやい改善を求めることは困難である。
【0004】
一方、各症状に対し西洋医薬を服用することも可能ではあるが、予防薬として日常的に服用することは困難であり、長期間に服用した場合には副作用等による弊害が生じる危険性も考えられる。
【0005】
このため、日常的な疲労感等の症状に対して、すぐれた効果を有するとともに、継続的に適用することが可能な安全性の高い有効成分を配合した体質改善剤が現在でも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、クロマメノキにより、ホットフラッシュの改善等、体質が効果的に改善されることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0008】
よって、本発明は、クロマメノキを含んでなる体質改善剤を提供する。
【0009】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)体質を改善するための、クロマメノキを含んでなる組成物。
(2)体質の改善が、ほてりもしくはホットフラッシュの改善、または熟睡感もしくは寝起きの改善である、(1)に記載の組成物。
(3)クロマメノキの乾燥重量が20~200mgである、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)経口用組成物である、(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)クロマメノキを含んでなる、体質を改善するための組成物であって、アムラを含んでなる組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
(6)アムラを含んでなる、体質を改善するための組成物であって、クロマメノキを含んでなる組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
(7)クロマメノキおよびアムラを含んでなる、体質を改善するための組成物。
(8)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、熟睡感または寝起きの改善、疲労回復、関節痛または腰痛の改善、顔のむくみの改善、筋肉痛の改善、目の疲れの改善、および頭皮のかゆみの改善からなる群から選択される1種以上である、(5)~(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)クロマメノキの乾燥重量をCA、アムラの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2になるように使用するための、(5)~(8)のいずれかに記載の組成物。
(10)経口用組成物である、(5)~(9)のいずれかに記載の組成物。
(11)体質の改善を目的とする薬剤の製造のための、クロマメノキの使用。
(12)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、または熟睡感または寝起きの改善である、(11)に記載の使用
(13)クロマメノキの乾燥重量が20~200mgである、(11)または(12)に記載の使用。
(14)クロマメノキが経口用組成物の形態である、(11)~(13)のいずれかに記載の使用。
(15)体質の改善を目的とする薬剤の製造のための、クロマメノキとアムラとの組み合わせの使用。
(16)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、熟睡感または寝起きの改善、疲労回復、関節痛または腰痛の改善、顔のむくみの改善、筋肉痛の改善、目の疲れの改善、および頭皮のかゆみの改善からなる群から選択される1種以上である、(15)に記載の使用
(17)クロマメノキの乾燥重量をCA、アムラの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2になるように使用するための、(15)または(16)に記載の使用。
(18)クロマメノキまたはアムラが経口用組成物の形態である、(15)~(17)のいずれかに記載の使用。
(19)クロマメノキの体質を改善するための使用。
(20)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、または熟睡感または寝起きの改善である、(19)に記載の使用。
(21)クロマメノキの乾燥重量が20~200mgである、(19)または(20)に記載の使用。
(22)クロマメノキが経口用組成物の形態である、(19)~(21)のいずれかに記載の使用。
(23)クロマメノキとアムラとの組み合わせの、体質を改善するための使用。
(24)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、熟睡感または寝起きの改善、疲労回復、関節痛または腰痛の改善、顔のむくみの改善、筋肉痛の改善、目の疲れの改善、および頭皮のかゆみの改善からなる群から選択される1種以上である、(23)に記載の使用
(25)クロマメノキの乾燥重量をCA、アムラの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2になるように使用するための、(23)または(24)に記載の使用。
(26)クロマメノキまたはアムラが経口用組成物の形態である、(23)~(25)のいずれかに記載の使用。
(27)体質を改善するための、クロマメノキ。
(28)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、または熟睡感または寝起きの改善である、(27)に記載のクロマメノキ。
(29)クロマメノキの乾燥重量が20~200mgである、(27)または(28)に記載のクロマメノキ。
(30)クロマメノキが経口用組成物の形態である、(27)~(29)のいずれかに記載のクロマメノキ。
(31)体質を改善するための、クロマメノキとアムラとの組み合わせ。
(32)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、熟睡感または寝起きの改善、疲労回復、関節痛または腰痛の改善、顔のむくみの改善、筋肉痛の改善、目の疲れの改善、および頭皮のかゆみの改善からなる群から選択される1種以上である、(31)に記載のクロマメノキとアムラとの組み合わせ。
(33)クロマメノキの乾燥重量をCA、アムラの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2になるように使用するための、(31)または(32)に記載のクロマメノキとアムラとの組み合わせ。
(34)クロマメノキまたはアムラが経口用組成物の形態である、(31)~(33)のいずれかに記載のクロマメノキとアムラとの組み合わせ。
(35)被験体において、体質を改善するための方法であって、クロマメノキの有効量を投与することを含む、方法。
(36)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、または熟睡感または寝起きの改善である、(35)に記載の方法。
(37)クロマメノキの乾燥重量が20~200mgである、(35)または(36)に記載の方法。
(38)クロマメノキが経口用組成物の形態である、(35)~(37)のいずれかに記載の方法。
(39)被験体において、体質を改善するための方法であって、クロマメノキとアムラとの組み合わせの有効量を投与することを含む、方法。
(40)体質の改善が、ほてりまたはホットフラッシュの改善、熟睡感または寝起きの改善、疲労回復、関節痛または腰痛の改善、顔のむくみの改善、筋肉痛の改善、目の疲れの改善、および頭皮のかゆみの改善からなる群から選択される1種以上である、(39)に記載の方法。
(41)クロマメノキの乾燥重量をCA、アムラの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2になるように投与するための、(39)または(40)に記載の方法。
(42)クロマメノキまたはアムラが経口用組成物の形態である、(39)~(41)のいずれかに記載の方法。
【0010】
本発明によれば、クロマメノキを含んでなる体質改善剤が提供される。本発明の体質改善剤を用いることにより、効果的に体質を改善することが可能である。また、本発明によれば、クロマメノキおよびアムラの組み合わせが提供される。本発明の組み合わせを用いることにより、より効果的に体質を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ほてり・ホットフラッシュの改善効果を示すグラフである。
【
図2】
図2は、熟睡感・寝起きの改善効果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、関節痛・腰痛の改善効果を示すグラフである。
【
図5】
図6は、顔のむくみの改善効果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、筋肉痛の改善効果を示すグラフである。
【
図7】
図7は、眼の疲れの改善効果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、頭皮のかゆみの改善効果を示すグラフである。
【発明の具体的説明】
【0012】
本発明の一つの態様によれば、クロマメノキを含んでなる体質改善剤が提供される。このようなクロマメノキを含んでなる体質改善剤は、体質を改善するための、クロマメノキを含んでなる組成物であってもよい。
【0013】
本発明のクロマメノキを含んでなる体質改善剤により改善される体質としては、限定されるわけではないが、例えば、ほてり・ホットフラッシュ、熟睡感・寝起き、疲れの回復しやすさ、関節痛・腰痛、顔のむくみ、筋肉痛、眼の疲れの回復しやすさ、頭皮のかゆみ、寝つき、体のだるさ、お腹の調子、歯茎のやせ、全体的な体調等が挙げられる。本発明のクロマメノキを含んでなる体質改善剤により改善される体質としては、好ましくは、ほてり・ホットフラッシュ、および/または熟睡感・寝起きである。
【0014】
本明細書では、クロマメノキをアムラと組み合わせて用いることにより、さらに優れた体質改善効果が得られることが実証されている。したがって、本発明の別の一つの態様によれば、アムラ、またはアムラを含んでなる組成物と組み合わせて使用するための、クロマメノキを含んでなる体質改善剤が提供される。このようなクロマメノキを含んでなる体質改善剤は、体質を改善するための、クロマメノキを含んでなる組成物であってもよい。本発明の別の一つの態様によれば、クロマメノキ、またはクロマメノキを含んでなる組成物と組み合わせて使用するための、アムラを含んでなる体質改善剤が提供される。このようなアムラを含んでなる体質改善剤は、体質を改善するための、アムラを含んでなる組成物であってもよい。本発明のさらに別の一つの態様によれば、クロマメノキおよびアムラを含んでなる体質改善剤が提供される。このようなクロマメノキおよびアムラを含んでなる体質改善剤は、体質を改善するための、クロマメノキおよびアムラを含んでなる組成物であってもよい。クロマメノキおよびアムラの組み合わせにより改善される体質としては、限定されるわけではないが、例えば、ほてり・ホットフラッシュ、熟睡感・寝起き、疲れの回復しやすさ、関節痛・腰痛、顔のむくみ、筋肉痛、眼の疲れの回復しやすさ、頭皮のかゆみ、寝つき、体のだるさ、お腹の調子、歯茎のやせ、全体的な体調等が挙げられ、好ましくは、ほてり・ホットフラッシュ、熟睡感・寝起き、疲れの回復しやすさ、関節痛・腰痛、顔のむくみ、筋肉痛、眼の疲れの回復しやすさ、および頭皮のかゆみから選択される1種以上である。
【0015】
本発明における体質が改善される対象としては、限定されるわけではないが、例えば、ヒト、チンパンジーを含む霊長類、イヌ、ネコなどのペット動物、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギなどの家畜動物、マウス、ラットなどの齧歯類等の哺乳動物等が挙げられる。
【0016】
本発明の体質を改善するための、クロマメノキを含んでなる組成物におけるクロマメノキの使用量は、用途に応じて適宜決定できるが、1日当たり、乾燥質量換算で、好ましくは、20~200mgであり、より好ましくは40~120mgであり、より好ましくは50~70mgである。本発明におけるクロマメノキの乾燥重量の値は、限定されるわけではないが、例えば、クロマメノキ果汁のBrix(クロマメノキ果汁100g当たりの可溶性固形物重量)を換算すること等により得てもよい。Brixから乾燥重量への換算は以下の式1を用いて行うことができる。
【数1】
例えば、Brix60のエキス100gの乾燥重量は、100×60/100=60gと求めることができる。
【0017】
本発明の体質を改善するための、アムラを含んでなる組成物におけるアムラの使用量は、用途に応じて適宜決定できるが、1日当たり、乾燥質量換算で、好ましくは、20~200mgであり、より好ましくは30~120mgであり、より好ましくは40~60mgである。本発明におけるアムラの乾燥重量の値は、限定されるわけではないが、例えば、アムラの乾燥粉末を直接測定すること等により得てもよい。
【0018】
本発明の組成物におけるクロマメノキおよびアムラの使用量は、用途に応じて適宜決定できるが、好ましくは、アムラの乾燥重量をCA、クロマメノキの乾燥重量をCBとした場合、CA/CBが0.2~2であり、より好ましくは、CA/CBが0.5~1.5であり、より好ましくは0.8~1である。
【0019】
本発明の「クロマメノキ」は、ツツジ科スノキ属の植物である「Vaccinium uliginosum」を意味し、俗称として、bog bilberry、great bilberryと呼ばれることもあり、また、日本ではアサマブドウ、コウザン(高山)ブドウと呼ばれることもある。本発明の「クロマメノキ」は、好ましくはその一部であり、例えば、果実であってもよく、必要に応じてそのもの(例えば、生果)または乾燥させたもの(例えば、乾燥粉末)を使用することができる。本発明の一つの態様によれば「クロマメノキ」は、クロマメノキ果汁であり、これは果実を搾汁することにより得てもよい。このクロマメノキ果実由来の果汁は、例えば、英語ではWild blueberry juice concentrate(Vaccinium uliginosum)と表記されることもあり、また、中国語では
と表記されることもある。また、本発明の別の一つの態様によれば「クロマメノキ」は、クロマメノキの全体またはその一部を使用して製造したクロマメノキエキスである。
【0020】
本発明の「アムラ」は、トウダイグサ科コミカンソウ属(Emblica)の植物である「Phyllanthus emblicaまたはEmblica officinale」を意味する。アムラは各地方または言語によりそれぞれ固有の名称を有しており、限定されるわけではないが、例えば、余柑子、油柑、アンマロク、マラッカノキ、インディアングーズベリー等とも称されている。本発明の「アムラ」は、好ましくはその一部であり、例えば、果実(未熟果実、完熟果実、乾燥果実)、葉、塊根、花、種子等であってもよく(好ましくは果実)、必要に応じてそのもの(例えば、生果)または乾燥させたもの(例えば、乾燥粉末)を使用することができる。本発明の一つの態様によれば「アムラ」は、アムラ果汁であり、これは果実を搾汁することにより得てもよい。また、本発明の別の一つの態様によれば「アムラ」は、アムラの全体またはその一部を使用して製造したアムラエキスである。
【0021】
本発明におけるクロマメノキエキスまたはアムラエキスの製造方法は、特に制限されず、当該技術分野において通常使用される方法に応じて製造することができ、例えば、エキスの原料を抽出することにより行ってもよい。前記抽出方法としては、限定されるわけではないが、例えば、熱水抽出法、超音波抽出法、ろ過法、還流抽出法、溶媒(例えばエタノール)抽出法等が挙げられる。これらは単独で実行、または2種以上の方法を併用して行ってもよい。また、高純度の抽出物を得るために抽出物を同様の方法で1回以上ずつさらに抽出してもよい。また、抽出を経ないエキスの製造方法としては、限定されるわけではないが、例えば、果実の搾汁と濃縮が挙げられ、当該技術分野において通常使用される任意の方法で行うことが可能である。
【0022】
本発明におけるクロマメノキエキスまたはアムラエキスの製造のために使用される溶媒の種類は特に制限されず、本発明の目的効果を有するエキスが得られるものであれば、当該技術分野において公知となっている任意の溶媒を使用してもよい。そのような溶媒の例としては、限定されるわけではないが、例えば、水、炭素数1~4のアルコール、酢酸エチル、アセトン、クロロホルム等が挙げられ、これらは2つ以上組み合わせて使用してもよい。
【0023】
クロマメノキ(果汁、乾燥粉末、エキス等を含む)またはアムラ(果汁、乾燥粉末、エキス等を含む)が市販されている場合、本発明の目的効果を有するものが得られるのであれば、それを使用してもよい。
【0024】
本発明の組成物は、限定されるわけではないが、医薬組成物、化粧用組成物、食品組成物のいずれであってもよい。
【0025】
本発明の組成物は、経口用組成物、局所用組成物のいずれであってもよい。本発明におけるクロマメノキおよびアムラは、好ましくは、経口摂取により消化管より吸収されて、その有効成分が体内で作用すると考えられる。したがって、本発明の1つの好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、経口用組成物である。
【0026】
本発明の組成物を経口用組成物とする場合、経口用組成物に配合される公知の成分(添加剤)をさらに配合することができる。このような成分としては、特に限定されるわけではないが、例えば、乳化剤、水和剤、溶媒、エモリエント、安定剤、増粘剤、保存剤、滑沢剤、キレート剤、充填剤、賦形剤、粉末、芳香剤、香料、吸収剤、染料、乳白剤、抗酸化剤、防腐剤、ビタミン、アミノ酸、栄養剤、鉱物(電解質)、合成風味剤および天然風味剤等の風味剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、pH調節剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤等が挙げられる。
【0027】
本発明における経口用組成物は、液体、半固体、固体のいずれであってもよい。
【0028】
本発明の組成物を局所用組成物とする場合、局所用組成物に配合される公知の成分(添加剤)をさらに配合することができる。このような成分としては、限定されるわけではないが、例えば、乳化剤、水和剤、溶媒、エモリエント、安定剤、増粘剤、保存剤、滑沢剤、キレート剤、充填剤、賦形剤、粉末、芳香剤、香料、吸収剤、染料、乳白剤、抗酸化剤、ビタミン、アミノ酸等が挙げられる。
【0029】
本発明における局所用組成物は、液体、半固体、固体のいずれであってもよい。
【実施例0030】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。含有量は特記しない限り、質量%で示す。
【0031】
クロマメノキおよびアムラの体質改善効果の評価
パネラーによる連用テストを行い、以下に示す試験により本発明の効果を確認した。連用テストは、4種類の試験試料(錠剤)を用意し、A~D群に分かれて実施した。パネラーの数は、A群20名(プラセボ群)、B群20名(クロマメノキ果汁170mg/日)、C群20
名(アムラ乾燥粉末100mg/日)、D群20名(クロマメノキ果汁85mg+アムラ乾燥粉末50mg/日)である。パネラーは全員35~50歳の女性である。各パネラーは試験試料(錠剤)を1日4錠、4週間毎日、経口摂取により服用した。錠剤には、クロマメノキとしてはクロマメノキ果汁(Brix:65)を用い、アムラとしてはアムラの果実の乾燥粉末を用いた。
【0032】
試験1:アンケート評価
(試験方法)
連用テスト開始前と連用テスト開始1日後、3日後、7日後、14日後、21日後、28日後において、体質に関する複数項目についてアンケート調査を実施した。
【0033】
アンケートは、評価尺度として汎用されているVAS(視覚的アナログ尺度(visual analogue scale)の略称)により評価した。すなわち、それぞれの調査日に、被験者に10cmの横一直線に引いた直線を記載した用紙を配布し、直線の左端を「一番悪い状態」、右端を「一番良い状態」として、実感できる程度を直線上の位置として記入(被験者が線分上の一箇所に印を付す)してもらい、試験開始の位置を基準として右側(又は左側)に移動した距離を尺度値として評価した。「ほてり・ホットフラッシュ」の結果を
図1に、「熟睡感・寝起き」の結果を
図2に、「疲労」の結果を
図3に、「関節痛・腰痛」の結果を
図4に、「顔のむくみ」の結果を
図5に、「筋肉痛」の結果を
図6に、「眼の疲れ」の結果を
図7に、「頭皮のかゆみ」の結果を
図8にそれぞれ示す。群間差を検証するための統計解析はTukeyにて実施した。
【0034】
まず、「ほてり・ホットフラッシュ」、「熟睡感・寝起き」の2項目について、B群(クロマメノキ)およびA群(プラセボ)の群間比較を行い、p値を算出した。結果を表1に示す。
【0035】
【0036】
以上の結果より、B群(クロマメノキ)はA群(プラセボ)と比較してパネラーの「ほてり・ホットフラッシュ」および「熟睡感・寝起き」に対して優れた改善効果を有することが示された。この2つの項目は、更年期女性に悩む人が多い項目である。
【0037】
次に、「ほてり・ホットフラッシュ」、「熟睡感・寝起き」、「疲労」、「関節痛・腰痛」、「顔のむくみ」、「筋肉痛」、「眼の疲れ」、「頭皮のかゆみ」の8項目について、D群(クロマメノキ+アムラ)およびA群(プラセボ)の群間比較を行い、p値を算出した結果を表2に、D群(クロマメノキ+アムラ)およびB群(クロマメノキ)の群間比較を行い、p値を算出した結果を表3に、D群(クロマメノキ+アムラ)およびC群(アムラ)の群間比較を行い、p値を算出した結果を表4にそれぞれ示す。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
以上の結果より、D群(クロマメノキ+アムラ)はA群(プラセボ)、B群(クロマメノキ)およびC群(アムラ)のいずれと比較しても、「ほてり・ホットフラッシュ」、「熟睡感・寝起き」、「疲労」、「関節痛・腰痛」、「顔のむくみ」、「筋肉痛」、「眼の疲れ」、「頭皮のかゆみ」に対して優れた改善効果を有することが示された。また、D群(クロマメノキ+アムラ)の改善効果は、B群(クロマメノキ)の改善効果およびC群(アムラ)の改善効果を単純に合計したものよりも高く、クロマメノキおよびアムラの組み合わせは、体質改善に対して相乗効果を有することが示された。