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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086487
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】異物除去具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240620BHJP
   B08B 1/00 20240101ALI20240620BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
B08B1/00
H01L21/304 646
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201644
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】596041928
【氏名又は名称】株式会社PFA
(74)【代理人】
【識別番号】100129573
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博正
(72)【発明者】
【氏名】飯島 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭一
【テーマコード(参考)】
3B116
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB03
3B116AB48
3B116BA08
3B116BA23
3B116BC07
3B116CD43
5F157AB03
5F157AB33
5F157AB98
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA10
5F157CB31
5F157CE29
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF56
5F157DB02
5F157DB18
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】より簡単な構成で、より確実に異物を除去しつつ、コストをより抑える。
【解決手段】異物除去具は、半導体素子の表面に付着している異物を除去する。異物除去具は、粘着性のゲル状のエラストマーで、粒径が0.5mm乃至5mmの球状または凸多面体状の粒状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子の表面に付着している異物を除去するための異物除去具において、
粘着性のゲル状のエラストマーで、粒径が0.5mm乃至5mmの球状または凸多面体状の粒状に形成されている
異物除去具。
【請求項2】
請求項1に記載の異物除去具において、
六面体状または正十二面体状に形成されている
異物除去具。
【請求項3】
請求項1に記載の異物除去具において、
自己吸着性を有する前記エラストマーで形成されている
異物除去具。
【請求項4】
請求項3に記載の異物除去具において、
ウレタン化合物で形成されている
異物除去具。
【請求項5】
請求項1に記載の異物除去具において、
表面抵抗率が3×10Ω/square以下である
異物除去具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異物除去具に関し、特に、半導体素子の表面に付着している異物を除去する異物除去具に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラなどに使用されるイメージセンサや、レンズやガラスフィルタ等の光学製品は異物が付着していると製品不良となる。そのため、顕微鏡を通して目視で確認し、異物が付着している場合、エラストマー等の半固形の粘着物質が付いた棒(以下、ゲルスティックと称する。)で、異物を粘着物質側に転写することで異物除去する方法が一般的に行われている。
【0003】
また、ゲルスティックによる異物の除去を自動機で行う場合もある。高解像度カメラを用いた画像検査装置で異物を検出し、異物のある場所にゲルスティックを自動で押し当て転写し、異物を除去する装置が知られている。
【0004】
しかしながら、この方式の場合、スティックの下面側で異物を吸着させるため、数回使うと異物除去効果が落ちるので、頻繁にゲルスティックを交換する必要がある。ゲルスティックの角度を変えて除去する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。これも、異物除去したい部位の近傍に周辺部材が存在する場合、周辺部材に当接してしまうので、角度を付けてアクセスすることができないため、用途が限られていた。
【0005】
また交換用スティック待機ステーションや、スティック交換の機構も複雑である。
【0006】
さらに、ゲルスティックにおいては、棒の部分(以下、スティックと称する。)が有ると、スティックとの接続部分の粘着物質は異物除去に使えないため、使用する面も球体の半分以下に限られていた。
【0007】
さらに、ゲルスティックにはスティックが設けられているので、消耗品である材料コストが余計にかかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第114000495号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、ゲルスティックにはスティックが設けられているので、消耗品である材料コストが余計にかかっている。また、交換用スティック待機ステーションや、スティック交換の機構も複雑である。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で、より確実に異物を除去しつつ、コストをより抑えることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面の異物除去具は、半導体素子の表面に付着している異物を除去するための異物除去具であって、粘着性のゲル状のエラストマーで、粒径が0.5mm乃至5mmの球状または凸多面体状の粒状に形成されている。
【0012】
六面体状または正十二面体状に形成することができる。
【0013】
自己吸着性を有する前記エラストマーで形成することができる。
【0014】
ウレタン化合物で形成することができる。
【0015】
表面抵抗率が3×10Ω/square以下とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、より簡単な構成で、より確実に異物を除去しつつ、コストをより抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】異物除去装置11の構成の概要を説明する図である。
図2】ゲルボールハンドリングユニット21の構成およびパレット31に載置されているゲルボール101の吸着を説明する図である。
図3】ゲルボール101をイメージセンサ41の表面に押し付けるように駆動される吸着ノズル51を説明する図である。
図4】吸着ノズル51における負圧の生成について説明する図である。
図5】使用部位変更ステージ25の構成を示す図である。
図6】使用部位変更吸着ノズル81における負圧の生成について説明する図である。
図7】制御部26のハードウェアの構成の例を示す図である。
図8】プログラムを実行する制御部26により実現される機能の構成の例を示すブロック図である。
図9】異物除去の処理を説明するフローチャートである。
図10】ゲルボールの装着の処理の詳細を説明するフローチャートである。
図11】ゲルボールの使用する部位の変更の処理の詳細を説明するフローチャートである。
図12】ゲルボールの使用する部位の変更の動作を説明する図である。
図13】ゲルボールの廃棄の処理の詳細を説明するフローチャートである。
図14】ゲルボールの使用する部位の変更の処理の詳細を説明するフローチャートである。
図15】ゲルボールの使用する部位の変更の他の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0019】
本発明の一側面の異物除去具は、半導体素子の表面に付着している異物を除去するための異物除去具(例えば、図3のゲルボール101)であって、粘着性のゲル状のエラストマーで、粒径が0.5mm乃至5mmの球状または凸多面体状の粒状に形成されている。
【0020】
以下、図1乃至図15を参照して、本発明の実施の形態の異物除去具および異物除去具を用いる異物除去装置について説明する。
【0021】
図1は、異物除去装置11の構成の概要を説明する図である。異物除去装置11は、異物除去具である粘着性のゲル状のエラストマーの粒を保持して、半導体素子である対象物の一例であるイメージセンサ41の表面に付着している異物に、保持している、粘着性のゲル状のエラストマーの粒を押し付けて、イメージセンサ41の表面に付着している異物を除去する。イメージセンサ41の表面とは、イメージセンサ41を使用する場合、イメージセンサ41に光が入射する側の面である。
【0022】
なお、ワークであるイメージセンサ41が配置されている側を右側として、左右方向をX軸で図示し、上下の方向をZ軸で図示し、前後の方向をY軸で図示する。また、以下、Y軸方向のうち、図1中の右下側を単に前側と称し、Y軸方向のうち、図1中の左上側を単に奥側と称する。さらに、以下、X軸方向のうち、図1中の左下側を単に左側と称し、X軸方向のうち、図1中の右上側を単に右側と称する。さらにまた、以下、Z軸方向のうち、図1中の上側を単に上側と称し、Z軸方向のうち、図1中の下側を単に下側と称する。なお、奥側がY軸の正の方向であり、右側がX軸の正の方向であり、上側がZ軸の正の方向である。また、Z軸方向を、単に上下方向とも称し、X軸およびY軸に平行な面に沿う方向を単に水平方向とも称する。さらに、水平方向に対して比較的小さい角度を挟む方向および水平方向を横方向とも称し、上下方向に対して比較的小さい角度を挟む方向および上下方向を縦方向とも称する。以下の図においても同様である。
【0023】
異物除去装置11は、ゲルボールハンドリングユニット21、画像検査ユニット22、ワークステージ23、ワークステージ駆動部24、使用部位変更ステージ25および制御部26を含み構成されている。また、異物除去装置11には、数個乃至数十個のゲルボールが載置されているパレット31が配置される。さらに、ワークステージ23には、ワークである、数個乃至数十個のイメージセンサ41が載置される。なお、ワークステージ23には、イメージセンサ41の表面を上側にして、イメージセンサ41が載置される。以下、イメージセンサ41の表面を上面とも称する。
【0024】
ゲルボールハンドリングユニット21は、粘着性のゲル状のエラストマーの粒を保持する。ゲルボールハンドリングユニット21は、保持している粘着性のゲル状のエラストマーの粒をイメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けて、イメージセンサ41の表面に付着している異物を除去する。
【0025】
画像検査ユニット22は、静止画像を撮像するカメラであり、ワークステージ23に載置されているイメージセンサ41の表面を撮像する。画像検査ユニット22の光軸は、下向きとされている。画像検査ユニット22は、下側の物体の画像を撮像する。ワークステージ23は、載置されているイメージセンサ41を保持する。ワークステージ駆動部24は、ワークステージ23をX軸方向またはY軸方向に変位させる。すなわち、ワークステージ駆動部24は、ゲルボールハンドリングユニット21および画像検査ユニット22の位置に対するワークステージ23の位置をX軸方向またはY軸方向に変えるようにワークステージ23を駆動する。X軸方向またはY軸方向にワークステージ23の位置を変えるので、ゲルボールハンドリングユニット21の位置を変える場合に比較して、ゲルボールハンドリングユニット21からのゴミの落下をより少なくすることができる。
【0026】
使用部位変更ステージ25は、粘着性のゲル状のエラストマーの粒の部位のうち、イメージセンサ41の表面に押し付ける部位を変更する場合、ゲルボールハンドリングユニット21が保持している粘着性のゲル状のエラストマーの粒を一時的に保持する。また、使用部位変更ステージ25は、ゲルボールハンドリングユニット21と協働して、ゲルボールハンドリングユニット21に対する粘着性のゲル状のエラストマーの粒の角度位置を変える。制御部26は、ゲルボールハンドリングユニット21、画像検査ユニット22、ワークステージ23、ワークステージ駆動部24および使用部位変更ステージ25を制御する。
【0027】
なお、異物除去装置11には、使用済みの粘着性のゲル状のエラストマーの粒を回収して廃棄するための廃棄ボックス(図示せず)が設けられている。廃棄ボックスは、上側が開かれている箱である。廃棄ボックスは、ワークステージ23と共に、ワークステージ駆動部24によって変位させられる。
【0028】
図2は、ゲルボールハンドリングユニット21の構成およびパレット31に載置されているゲルボール101の吸着を説明する図である。ゲルボール101は、異物除去具の一例である。ゲルボールハンドリングユニット21は、吸着ノズル51、吸着ノズル駆動部52および吸着ノズル駆動部53を含み構成される。吸着ノズル51は、所定の長さの筒状に形成されている。例えば、吸着ノズル51は、円筒状に形成されている。なお、吸着ノズル51は、角筒状に形成してもよい。吸着ノズル51の下側の端部には、円形の開口が形成されている。吸着ノズル51の下端の円形の開口の直径は、ゲルボール101の直径より小さくされている。例えば、吸着ノズル51の下側の端部の円形の開口の直径は、0.3mm乃至4.8mmとされている。吸着ノズル51は、内部の内圧を大気圧に対して負圧にすることで、粘着性のゲル状のエラストマーの粒であるゲルボール101を開口に吸着して保持する。吸着ノズル51の吸着による保持力は、ゲルボール101の粘着力によって、イメージセンサ41に粘着した場合の粘着力より強くされている。
【0029】
吸着ノズル51は、金属または樹脂により成形されている。例えば、吸着ノズル51は、非粘着性の表面処理が施されたアルミニウム合金により成形されている。例えば、吸着ノズル51は、非粘着性のフッ素樹脂により成形することができる。
【0030】
吸着ノズル駆動部52は、モータおよび減速機などからなり、イメージセンサ41の表面に対して吸着ノズル51を傾斜させるように駆動する。より詳細には、吸着ノズル駆動部52は、Y軸を中心として吸着ノズル51を所定の角度位置に回動させる。すなわち、吸着ノズル駆動部52は、Y軸を中心とした所定の角度位置であるピッチ方向角度φに吸着ノズル51を回動させる。なお、吸着ノズル駆動部52は、X軸を中心として吸着ノズル51を所定の角度位置に回動させるようにしてもよい。すなわち、この場合、吸着ノズル駆動部52は、X軸を中心とした所定の角度位置であるロール方向角度θに吸着ノズル51を回動させる。
【0031】
吸着ノズル駆動部53は、モータ並びにボールねじおよびリニアガイドなどの直動機構などからなり、吸着ノズル51を上下させるように駆動する。すなわち、吸着ノズル駆動部53は、吸着ノズル51をZ軸方向に変位させるように駆動する。図3に示されるように、吸着ノズル駆動部53は、吸着ノズル51に保持されているゲルボール101をイメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けるように吸着ノズル51を駆動する。
【0032】
詳細は後述するが、異物除去装置11においては、常に、ゲルボール101の粘着力を有する部位をイメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けるので、吸着ノズル51を傾ける必要がない。従って、図3に示されるように、イメージセンサ41の近傍に周辺部材があったとしても、確実に異物を除去することができる。
【0033】
ここで、本発明の実施の形態のゲルボール101について説明する。ゲルボール101は、球形状の半固体粘着物である。ゲルボール101は、異物除去具の一例であり、粘着性のゲル状のエラストマーで形成されている。ゲルボール101が、ゲル状のエラストマーで形成されているので、イメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けられた場合、変形して、イメージセンサ41に損傷を与えない。また、ゲルボール101が、粘着性のゲル状のエラストマーで形成されているので、イメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けられた場合、イメージセンサ41の表面に付着している異物を取り込んで、異物に粘着するので、より確実に異物を除去できる。
【0034】
ゲルボール101は、球状に形成されている。なお、ゲルボール101は、六面体状または正十二面体状などの凸多面体状に形成することもできる。すなわち、ゲルボール101は、球状または凸多面体状の粒状に形成されている。ゲルボール101の粒径は、0.5mm乃至5mmとされている。例えば、ゲルボール101が球状である場合、ゲルボール101の直径は、0.5mm乃至5mmとされている。
【0035】
例えば、ゲルボール101は、ウレタン化合物などの自己吸着性を有するエラストマーで形成されている。このようにすることで、より確実に異物を粘着して除去して、イメージセンサ41の表面に、いわゆる糊残りが無いようにすることができる。ゲルボール101の表面抵抗率は3×10Ω/square以下とされている。このようにすることで、イメージセンサ41の帯電を除去して、より確実に異物を除去することができる。
【0036】
一方、ゲルボール101の表面抵抗率をより大きくして、ゲルボール101の表面に帯電させることで、粘着力と共に静電引力で、イメージセンサ41の表面から異物を引き離して除去するようにすることもできる。例えば、ゲルボール101の表面抵抗率を1×1011Ω/square以上とすることができる。この場合、吸着ノズル51に電圧を印加して、ゲルボール101に帯電させることができる。このようにすることで、より確実に異物を除去することができる。この場合、例えば、ゲルボール101は、シリコーンゲルで形成することができる。
【0037】
また、例えば、ゲルボール101は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとしたアクリル系ポリマーを主成分とした、常態下で粘着力、すなわち感圧接着性を有するもの成形し、ゲル分率を50%乃至95%とすることができる。なお、ゲル分率は、トルエン(20℃)中に24時間浸漬し、浸漬前後の重量変化から算出される値である。
【0038】
ゲルボール101の表面は、いずれの部位においても、同様の粘着力を有している。ここで、ゲルボール101の部位とは、外面の所定の広さの領域をいう。例えば、ゲルボール101の部位の大きさは、異物を除去する場合ゲルボール101がイメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けられて、イメージセンサ41の表面に接触する面積で決められる。球状または凸多面体状に形成されているゲルボール101は、イメージセンサ41の表面に付着している異物に押し付けられる部位が変わるように使用されるので、より確実に異物を除去しつつ、より多くの回数使用できるので、コストをより抑えることができる。
【0039】
なお、ゲルボール101に核を設けるようにしてもよい。この場合、ゲルボール101は、核の全体を粘着性のゲル状のエラストマーで包み込んで形成されている。すなわち、ゲルボール101の核は、ゲルボール101から露出しない。ゲルボール101の核は、球形またはゲルボール101の形状と相似形とされている。ゲルボール101の核は、エラストマーなど、ゲルボール101の表面の粘着性のゲル状のエラストマーに比較して、より硬い材料で形成されている。ゲルボール101の核の材料として、イメージセンサ41の表面を傷つけない材料が選択される。このようにすることで、核に粘着性のゲル状のエラストマーを塗布するなどして、ゲルボール101を容易に形成することができる。また、吸着ノズル51に吸着されたときなど、ゲルボール101の形状を維持することができる。
【0040】
次に、図4を参照して、ゲルボール101の吸着のための吸着ノズル51における負圧の生成について説明する。図4中の左側は、吸着ノズル51およびゲルボール101の断面を示す図である。図4中の右側は、吸着ノズル51の内部の内圧を負圧、正圧または大気圧のいずれかに変える構成を説明する図である。図4に示されるように、吸着ノズル51は、筒状なので、吸着ノズル51の内部には空洞が形成されている。吸着ノズル51の内部の空洞は、下端は開口のみが開かれていて、他の部分は閉じられている。吸着ノズル51の下端の円形の開口の直径は、ゲルボール101の直径より小さくされている。
【0041】
吸着ノズル51の内部には、配管を介して、真空ポンプ61、バルブ63およびバルブ64が接続されている。真空ポンプ61は、気体を排出して、真空または負圧を得るためのポンプである。真空ポンプ61は、配管を介して、バルブ63の1つのポートに接続されている。バルブ63は、いわゆる3ポートの電磁弁である。バルブ63の他の1つのポートには、加圧されている空気(圧縮空気)であるエアが供給される。バルブ63の残りの1つのポートは、配管を介して、バルブ64の1つのポートに接続されている。バルブ63は、真空ポンプ61に接続されているポートまたはエアが供給されているポートのいずれか一方をバルブ64に接続されているポートに接続する。すなわち、バルブ63は、制御部26の制御により、バルブ64の1つのポートから気体を排出して、バルブ64の1つのポートを負圧にするか、または、バルブ64の1つのポートにエアを供給して、バルブ64の1つのポートを正圧にする。
【0042】
バルブ64は、いわゆる3ポートの電磁弁である。バルブ64の他の1つのポートは、大気に開放されている。すなわち、バルブ64の他の1つのポートは、リリース用のポートである。バルブ64の残りの1つのポートは、配管を介して、吸着ノズル51の内部に接続されている。バルブ64は、制御部26の制御により、バルブ63のポートと吸着ノズル51の内部とを接続して、吸着ノズル51の内部を負圧または正圧にするか、または吸着ノズル51の内部を大気に開放して、吸着ノズル51の内部を大気圧にする。
【0043】
このように、真空ポンプ61、バルブ63およびバルブ64は、吸着ノズル51の内部の内圧を負圧または大気圧のいずれかに変える。また、真空ポンプ61、バルブ63およびバルブ64は、吸着ノズル51の内部の内圧を負圧、正圧または大気圧のいずれかに変える。
【0044】
なお、真空ポンプ61とバルブ63との間、および供給されるエアとバルブ63との間のそれぞれに、圧力調整弁を設けるようにしてもよい。
【0045】
次に、図5および図6を参照して、使用部位変更ステージ25の構成を説明する。図5は、使用部位変更ステージ25の構成を示す図である。使用部位変更ステージ25は、ゲルボール101を一時的に吸着して保持し、ゲルボールハンドリングユニット21に対する粘着性のゲル状のエラストマーの粒の角度位置を変える。使用部位変更ステージ25は、使用部位変更吸着ノズル81、吸着ノズル駆動部82、ステージ83および吸着ノズル駆動部84を含み構成される。
【0046】
使用部位変更吸着ノズル81は、所定の長さの筒状に形成されている。例えば、使用部位変更吸着ノズル81は、円筒状に形成されている。なお、使用部位変更吸着ノズル81は、角筒状に形成してもよい。使用部位変更吸着ノズル81の上側の端部には、円形の開口が形成されている。使用部位変更吸着ノズル81の上端の円形の開口の直径は、ゲルボール101の直径より小さくされている。例えば、使用部位変更吸着ノズル81の上側の端部の円形の開口の直径は、0.3mm乃至4.8mmとされている。使用部位変更吸着ノズル81は、内部の内圧を負圧にすることで、粘着性のゲル状のエラストマーの粒であるゲルボール101を開口に吸着して保持する。
【0047】
使用部位変更吸着ノズル81は、金属または樹脂により成形されている。例えば、使用部位変更吸着ノズル81は、非粘着性の表面処理が施されたアルミニウム合金により成形されている。例えば、使用部位変更吸着ノズル81は、非粘着性のフッ素樹脂により成形することができる。
【0048】
吸着ノズル駆動部82は、モータおよび減速機などからなり、水平方向の軸を中心に使用部位変更吸着ノズル81を傾斜させるように駆動する。より詳細には、吸着ノズル駆動部82は、X軸およびY軸で規定される平面に沿った仮想的な直線を中心として使用部位変更吸着ノズル81を所定の角度位置に回動させる。吸着ノズル駆動部82の回転軸を延ばした仮想的な直線は、使用部位変更吸着ノズル81の開口に接する。すなわち、吸着ノズル駆動部82が使用部位変更吸着ノズル81を傾斜させるように使用部位変更吸着ノズル81を回動させた場合、使用部位変更吸着ノズル81の傾きは変化するが、使用部位変更吸着ノズル81の開口の位置であって、X軸、Y軸およびZ軸上の位置は変化しない。
【0049】
ステージ83は、いわゆるターンテーブルであり、使用部位変更吸着ノズル81および吸着ノズル駆動部82を支え、Z軸を中心として回動可能に構成されている。吸着ノズル駆動部84は、モータおよび減速機などからなり、ステージ83を回動させる。ステージ83の回転軸を延ばした仮想的な直線は、使用部位変更吸着ノズル81の開口に接する。すなわち、吸着ノズル駆動部84がステージ83を回動させた場合、使用部位変更吸着ノズル81のZ軸廻りの角度位置(Z軸を中心としたヨー方向角度ψ)は変化するが、使用部位変更吸着ノズル81の開口の位置であって、X軸、Y軸およびZ軸上の位置は変化しない。例えば、ステージ83の回転軸は、使用部位変更吸着ノズル81の長手方向に延びる仮想的な直線がZ軸方向である場合、使用部位変更吸着ノズル81の上端の円形の開口の中心を通る。
【0050】
次に、図6を参照して、ゲルボール101の吸着のための使用部位変更吸着ノズル81における負圧の生成について説明する。図4中の左側は、使用部位変更吸着ノズル81の断面を示す図である。図6中の右側は、使用部位変更吸着ノズル81の内部の内圧を負圧、正圧または大気圧のいずれかに変える構成を説明する図である。図6に示されるように、使用部位変更吸着ノズル81は、筒状なので、使用部位変更吸着ノズル81の内部には空洞が形成されている。使用部位変更吸着ノズル81の内部の空洞は、上端は開口のみが開かれていて、他の部分は閉じられている。使用部位変更吸着ノズル81の上端の円形の開口の直径は、ゲルボール101の直径より小さくされている。
【0051】
使用部位変更吸着ノズル81の内部には、配管を介して、真空ポンプ91、バルブ93およびバルブ94が接続されている。真空ポンプ91は、気体を排出して、真空または負圧を得るためのポンプである。真空ポンプ91は、配管を介して、バルブ93の1つのポートに接続されている。バルブ93は、いわゆる3ポートの電磁弁である。バルブ93の他の1つのポートには、加圧されている空気(圧縮空気)であるエアが供給される。バルブ93の残りの1つのポートは、配管を介して、バルブ94の1つのポートに接続されている。バルブ93は、真空ポンプ91に接続されているポートまたはエアが供給されているポートのいずれか一方をバルブ94に接続されているポートに接続する。すなわち、バルブ93は、制御部26の制御により、バルブ94の1つのポートから気体を排出して、バルブ94の1つのポートを負圧にするか、または、バルブ94の1つのポートにエアを供給して、バルブ94の1つのポートを正圧にする。
【0052】
バルブ94は、いわゆる3ポートの電磁弁である。バルブ94の他の1つのポートは、大気に開放されている。すなわち、バルブ94の他の1つのポートは、リリース用のポートである。バルブ94の残りの1つのポートは、配管を介して、使用部位変更吸着ノズル81の内部に接続されている。バルブ94は、制御部26の制御により、バルブ93のポートと使用部位変更吸着ノズル81の内部とを接続して、使用部位変更吸着ノズル81の内部を負圧または正圧にするか、または使用部位変更吸着ノズル81の内部を大気に開放して、使用部位変更吸着ノズル81の内部を大気圧にする。
【0053】
このように、真空ポンプ91、バルブ93およびバルブ94は、使用部位変更吸着ノズル81の内部の内圧を負圧または大気圧のいずれかに変える。また、真空ポンプ91、バルブ93およびバルブ94は、使用部位変更吸着ノズル81の内部の内圧を負圧、正圧または大気圧のいずれかに変える。
【0054】
なお、真空ポンプ91とバルブ93との間、および供給されるエアとバルブ93との間のそれぞれに、圧力調整弁を設けるようにしてもよい。
【0055】
次に、図7および図8を参照して、制御部26について説明する。図7は、制御部26のハードウェアの構成の例を示す図である。コンピュータである制御部26において、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read only memory)202,RAM(Random access memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0056】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、画像検査ユニット22などから所定のデータや信号を入力する入力部206、ワークステージ駆動部24、ゲルボールハンドリングユニット21、バルブ63、バルブ64、画像検査ユニット22、使用部位変更ステージ25、バルブ93またはバルブ94などに所定の指令などの信号や座標値などのデータなどを出力する出力部207、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性のメモリなどよりなる記憶部208、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部209、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続されている。なお、出力部207は、アライメントカメラ82、顕微鏡カメラ81またはマルチヘッドカメラ61に撮像を指令し、制御する信号を供給する。
【0057】
以上のように構成される制御部26では、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、後述する一連の処理が行われる。
【0058】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0059】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータにあらかじめインストールしておくことができる。
【0060】
図8は、プログラムを実行する制御部26により実現される機能の構成の例を示すブロック図である。制御部26がプログラムを実行することにより、ワークステージ駆動制御部221、吸着ノズル位置姿勢制御部222、吸着ノズル内圧制御部223、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225、判定部226、選択部227、記憶制御部228、撮像制御部229、画像処理部230、異物除去動作回数カウンタ241、使用済み部位記憶部242および使用済みゲルボール位置記憶部243が実現される。
【0061】
ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を制御して、ワークステージ駆動部24にワークステージ23をX軸方向またはY軸方向の所定の位置に変位させる。吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部52および吸着ノズル駆動部53を制御して、吸着ノズル51をZ軸方向の所定の位置に変位させるか、またはロール方向角度θまたはピッチ方向角度φの所定の角度に回動させる。吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を制御して、吸着ノズル51の内部の内圧を負圧、正圧または大気圧のいずれかに変える。
【0062】
使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部82および吸着ノズル駆動部84を制御して、使用部位変更吸着ノズル81を所定の角度に回動させる。使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を制御して、使用部位変更吸着ノズル81の内部の内圧を負圧、正圧または大気圧のいずれかに変える。
【0063】
判定部226は、異物があるか否かなどの各種の判定をする。選択部227は、異物を除去するイメージセンサ41を選択するなど各種の選択をする。記憶制御部228は、異物除去動作回数カウンタ241、使用済み部位記憶部242または使用済みゲルボール位置記憶部243に記憶されているそれぞれの値を更新するかまたはクリアする。
【0064】
撮像制御部229は、画像検査ユニット22による撮像を制御する。画像処理部230は、画像検査ユニット22により撮像された画像を処理する。異物除去動作回数カウンタ241は、ゲルボール101の所定の部位がイメージセンサ41に接触した回数をカウントする。使用済み部位記憶部242は、ゲルボール101の部位のうち、異物を除去して使用済みになった部位を記憶する。使用済みゲルボール位置記憶部243は、パレット31に載置されているゲルボール101のうち、使用済みのゲルボール101の位置を記憶する。
【0065】
次に、異物除去装置11による異物除去の動作について説明する。図9は、異物除去の処理を説明するフローチャートである。異物除去の処理の実行の前に、複数のイメージセンサ41および複数のゲルボール101が配置されているパレット31のそれぞれがワークステージ23の所定の位置に載置される。異物除去の処理の実行の前に、ワークステージ23、ゲルボールハンドリングユニット21および使用部位変更ステージ25は、作業原点位置に配置される。この場合、吸着ノズル51は、吸着ノズル51の長手方向に延びる仮想的な直線がZ軸方向とされる姿勢とされ、吸着ノズル51の開口は下側とされる。吸着ノズル51の開口は、イメージセンサ41、使用部位変更吸着ノズル81およびゲルボール101のそれぞれの上端より高い位置とされ、吸着ノズル51の開口からワークステージ23の上面までの距離は、所定の距離とされる。また、使用部位変更吸着ノズル81は、使用部位変更吸着ノズル81の長手方向に延びる仮想的な直線がZ軸方向とされる姿勢とされ、使用部位変更吸着ノズル81の開口は上側とされる。
【0066】
ステップS11において、ゲルボールの装着の処理が実行される。図10は、ゲルボールの装着の処理の詳細を説明するフローチャートである。ステップS41において、判定部226は、使用済みゲルボール位置記憶部243を参照して、パレット31上に使用していないゲルボール101があるか否かを判定する。ステップS41において、パレット31上に使用していないゲルボール101があると判定された場合、手続きはステップS42に進み、選択部227は、パレット31上の使用していないゲルボール101のうち、今回使用するゲルボール101を選択する。ステップS43において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、ワークステージ23を変位させることで、吸着ノズル51の下に選択されたゲルボール101を移動させる。
【0067】
ステップS44において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51の下端、すなわち開口からゲルボール101までの距離が所定の距離になるように吸着ノズル51を下げる。例えば、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51の下端がゲルボール101の面の上端に接するように吸着ノズル51を下げる。例えば、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51の下端からゲルボール101の面の上端までの距離が、吸着ノズル51の下端とゲルボール101の面の上端とが触るか触らないかの距離で完全な引き渡しが可能な距離となるように吸着ノズル51を下げる。
【0068】
ステップS45において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部に負圧を加える。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部に接続されている配管を真空ポンプ61に通じさせて、吸着ノズル51の内部を負圧にする。これにより、ゲルボール101は、吸着ノズル51に吸着されて保持される。
【0069】
ステップS46において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51の高さを戻す(Z軸方向の位置を戻す)。ステップS47において、記憶制御部228は、吸着ノズル51に吸着しているゲルボール101のパレット31上の位置を使用済みゲルボール位置記憶部243に記憶させる。
【0070】
ステップS48において、記憶制御部228は、使用済み部位記憶部242に記憶されている、ゲルボール101の使用済みの部位の記憶をクリアする。ステップS49において、記憶制御部228は、異物除去動作回数カウンタ241でカウントされている、イメージセンサ41に接触した回数をクリアする。
【0071】
ステップS41において、パレット31上に使用していないゲルボール101がないと判定された場合、手続きはステップS50に進み、ワークステージ23に載置されているパレット31が、使用していないゲルボール101が載置されているパレット31に交換される。パレット31の交換は、異物除去装置11が行うようにしても、異物除去装置11を操作するオペレーターが行うようにしてもよい。
【0072】
ステップS51において、記憶制御部228は、使用済みゲルボール位置記憶部243に記憶されている、使用済みゲルボール101のパレット上の位置の記憶をクリアして、手続きは、ステップS41に戻る。
【0073】
ステップS49の後、手続きは、リターンして、異物除去の処理のステップS11に戻る。
【0074】
図9に戻り、ゲルボールの装着の処理が完了すると、手続きはステップS12に進み、選択部227は、パレット31上のイメージセンサ41のうち、異物を除去するイメージセンサ41を選択する。ステップS13において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、ワークステージ23を変位させることで、画像検査ユニット22の下に、異物を除去するイメージセンサ41を移動させる。ステップS14において、撮像制御部229は、画像検査ユニット22に、異物を除去するイメージセンサ41の表面(上面)を撮像させる。ステップS15において、画像処理部230は、画像検査ユニット22で撮像された画像を処理して、イメージセンサ41の表面(上面)上の異物を特定し、異物の位置を取得する。
【0075】
ステップS16において、判定部226は、ステップS15における画像処理の結果を参照して、イメージセンサ41の表面(上面)上に異物があるか否かを判定する。ステップS16において、異物があると判定された場合、手続きはステップS17に進み、選択部227は、イメージセンサ41の表面(上面)上の異物のうち、除去する異物を選択する。ステップS18において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101の下に異物を移動させる。ステップS19において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51を下げて、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101を異物に押し付けて、ゲルボール101に異物を粘着させる。
【0076】
例えば、ステップS19において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101が所定の力以下でイメージセンサ41の表面に接するように、吸着ノズル51を下げる。
【0077】
例えば、異物を粘着して除去するのに最も良い押し付けの距離を予め測定し、ステップS19において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101の下端とイメージセンサ41の表面との距離とが異物を粘着させるのに最も良い押し付けの距離になるように、吸着ノズル51を下げる。より具体的には、例えば、異物除去装置11外にて、撮像手段で異物除去治具の先端の位置を認識し、イメージセンサの表面の位置を認識し、押し付けの距離である0.1mm、0.2mmまたは0.3mmの差異のそれぞれでどれほど異物が除去できるかをデータ化し、データに基づいて、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51を下げる。
【0078】
ステップS20において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51の高さを戻す(Z軸方向の位置を戻す)。これにより、異物は、ゲルボール101に粘着されて、イメージセンサ41の表面(上面)から除去される。ステップS21において、記憶制御部228は、異物除去動作回数カウンタ241でカウントされている、イメージセンサ41に接触した回数をインクリメントする。
【0079】
ステップS22において、判定部226は、異物除去動作回数カウンタ241を参照して、イメージセンサ41に接触した回数が所定の回数(所定の閾値)に達したか否かを判定する。ステップS22において、イメージセンサ41に接触した回数が所定の回数に達したと判定された場合、手続きは、ステップS23に進み、ゲルボールの使用する部位の変更の処理が実行される。ステップS22において、イメージセンサ41に接触した回数が所定の回数に達していないと判定された場合、ステップS23の手続きはスキップされる。
【0080】
図11は、ゲルボールの使用する部位の変更の処理の詳細を説明するフローチャートである。ステップS71において、判定部226は、使用済み部位記憶部242から、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101の使用済みの部位の記憶を読みだす。ステップS72において、判定部226は、読みだした記憶を参照して、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101に使用していない部位があるか否かを判定する。ステップS72において、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101に使用していない部位があると判定された場合、手続きは、ステップS73に進む。
【0081】
ステップS73において、選択部227は、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101に使用していない部位のうち、ゲルボール101の使用する部位を選択する。ステップS74において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51の下に使用部位変更ステージ25を移動させる。より詳細には、ステップS74において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51の下に使用部位変更吸着ノズル81を移動させる。これにより、吸着ノズル51の下端の開口と使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口とは、ゲルボール101を挟んで対向することになる。ステップS75において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、ゲルボール101の下端から使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口までの距離が所定の距離になるように吸着ノズル51を下げる。
【0082】
図12は、ゲルボールの使用する部位の変更の動作を説明する図である。例えば、ステップS75において、図12(A)に示されるように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、ゲルボール101の面の下端がゲルボール101に使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口に接するように吸着ノズル51を下げる。例えば、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、ゲルボール101の面の下端から使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口までの距離が、使用部位変更吸着ノズル81の上端とゲルボール101の面の下端とが触るか触らないかの距離で完全な引き渡しが可能な距離となるように吸着ノズル51を下げる。
【0083】
ステップS76において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部に正圧を加える。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部にエアを供給して、吸着ノズル51の内部を正圧にする。また、ステップS76において、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えて、使用部位変更吸着ノズル81の内部に負圧を加える。すなわち、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えることで、使用部位変更吸着ノズル81の内部に接続されている配管を真空ポンプ91に通じさせて、使用部位変更吸着ノズル81の内部を負圧にする。これにより、ゲルボール101は、使用部位変更吸着ノズル81に吸着されて保持される。
【0084】
なお、ステップS76において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部の圧力を抜いて大気圧にするようにしてもよい。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部を大気に開放して、吸着ノズル51の内部を大気圧にする。
【0085】
ステップS77において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51を上げる(Z軸方向の位置を戻す)。図12(B)に示されるように、ゲルボール101は、吸着ノズル51から離れて、使用部位変更吸着ノズル81に吸着されて保持される。
【0086】
ステップS78において、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部82を駆動させて、水平方向の軸を中心に使用部位変更吸着ノズル81を傾斜させるか、または、吸着ノズル駆動部84を駆動させて、Z軸を中心としてステージ83を回動させて、ゲルボール101の使用する部位の対向する部位が、吸着ノズル51の下端側になるように使用部位変更吸着ノズル81の位置および姿勢を変える。なお、ステップS78において、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部82および吸着ノズル駆動部84を駆動させるようにしてもよい。
【0087】
例えば、ステップS78において、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224が、吸着ノズル駆動部82を駆動させる場合、図12(C)に示されるように、水平方向の軸を中心に使用部位変更吸着ノズル81が傾斜させられる。また、ステップS78において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、ワークステージ23を変位させて、吸着ノズル51の下端と使用部位変更吸着ノズル81の上端との位置を変えるようにしてもよい。
【0088】
このように、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部82に、使用部位変更吸着ノズル81の開口と吸着ノズル51の開口との相対的な角度位置を変えるように吸着ノズル51または使用部位変更吸着ノズル81を駆動させる。また、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部82に、筒状に形成されている吸着ノズル51の長手方向に延びる仮想的な直線と筒状に形成されている使用部位変更吸着ノズル81の長手方向に延びる仮想的な直線とで挟まれる角度を変化させるように使用部位変更吸着ノズル81を駆動させる。
【0089】
さらにまた、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部84に、使用部位変更吸着ノズル81の開口の中心を通り、筒状に形成されている使用部位変更吸着ノズル81の長手方向に延びる仮想的な直線を中心軸として回動の角度を変化させるように使用部位変更吸着ノズル81を駆動する。
【0090】
ステップS79において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51の下端、すなわち開口からゲルボール101までの距離が所定の距離になるように吸着ノズル51を下げる。例えば、ステップS79において、図12(D)に示されるように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51の下端の開口がゲルボール101の面の上端に接するように吸着ノズル51を下げる。例えば、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51の下端からゲルボール101の面の上端までの距離が、吸着ノズル51の下端とゲルボール101の面の上端とが触るか触らないかの距離で完全な引き渡しが可能な距離となるように吸着ノズル51を下げる。
【0091】
ステップS80において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部に負圧を加える。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部に接続されている配管を真空ポンプ61に通じさせて、吸着ノズル51の内部を負圧にする。また、ステップS80において、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えて、使用部位変更吸着ノズル81の内部に正圧を加える。すなわち、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えることで、使用部位変更吸着ノズル81の内部にエアを供給して、使用部位変更吸着ノズル81の内部を正圧にする。ゲルボール101は、吸着ノズル51に吸着されて保持される。
【0092】
なお、ステップS80において、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えて、使用部位変更吸着ノズル81の内部の圧力を抜いて大気圧にするようにしてもよい。すなわち、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ94を切り替えることで、使用部位変更吸着ノズル81の内部を大気に開放して、使用部位変更吸着ノズル81の内部を大気圧にする。
【0093】
ステップS81において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51を上げる(Z軸方向の位置を戻す)。図12(E)に示されるように、ゲルボール101は、吸着ノズル51に吸着されて保持され、使用部位変更吸着ノズル81から離れる。
【0094】
ステップS82において、使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部224は、吸着ノズル駆動部82または吸着ノズル駆動部84を駆動させて、使用部位変更吸着ノズル81の位置および姿勢を戻す。例えば、図12(F)に示されるように、使用部位変更吸着ノズル81は、開口が上を向いて、長手方向がZ軸に沿うように位置および姿勢が戻される。
【0095】
ステップS83において、記憶制御部228は、使用済み部位記憶部242に記憶されている、ゲルボール101の使用済みの部位の記憶を更新する。
【0096】
ステップS72において、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101に使用していない部位がないと判定された場合、手続きは、ステップS84に進む。ステップS84において、ゲルボールの廃棄の処理が実行される。図13は、ゲルボールの廃棄の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0097】
ステップS101において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、ワークステージ23を変位させることで、廃棄ボックスを吸着ノズル51の下に移動させる。ステップS102において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、ゲルボール101の下端が廃棄ボックス内に入るように吸着ノズル51を下げる。
【0098】
ステップS103において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部に正圧を加える。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部にエアを供給して、吸着ノズル51の内部を正圧にする。このようにすることで、ゲルボール101は、廃棄ボックス内に入れられる。
【0099】
ステップS104において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51の高さを戻して、ゲルボールの廃棄の処理は終了し、手続きはリターンして、ゲルボールの使用する部位の変更の処理のステップS84に戻る。
【0100】
図11に戻り、ステップS84のゲルボールの廃棄の処理の後、手続きはステップS85に進み、図10のフローチャートを参照して説明したゲルボールの装着の処理が実行される。ステップS85の後、手続きはリターンして、図9の異物除去処理のステップS23に戻る。
【0101】
ステップS83の後、手続きはリターンして、図9の異物除去処理のステップS23に戻る。手続きはステップS24に進み、判定部226は、ステップS15における画像処理の結果を参照して、イメージセンサ41の表面(上面)上に異物がまだあるか否かを判定する。ステップS24において、異物がまだあると判定された場合、手続きはステップS17に戻り、上述した手続きが繰り返され、次の異物が除去される。
【0102】
ステップS24において、異物がもうないと判定された場合、手続きはステップS25に進み、判定部226は、異物を除去したイメージセンサ41の記憶を参照して、異物を除去していないイメージセンサ41があるか否かを判定する。ステップS25において、異物を除去していないイメージセンサ41があると判定された場合、ステップS12に戻り、次のイメージセンサ41から異物を除去するように、上述した手続きが繰り返される。
【0103】
ステップS16において、異物がないと判定された場合、表面を撮像したイメージセンサ41に異物を除去する手続きは必要ないので、手続きはステップS25に進む。
【0104】
ステップS25において、異物を除去していないイメージセンサ41がないと判定された場合、異物除去の処理は終了する。
【0105】
次に、ゲルボールの使用する部位の変更の他の処理を説明する。
【0106】
図14は、ゲルボールの使用する部位の変更の処理の詳細を説明するフローチャートである。ステップS121乃至ステップS123の手続きは、それぞれ、図11のステップS71乃至ステップS73の手続きのそれぞれと同様なので、その説明は省略する。
【0107】
ステップS124において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51の下に使用部位変更ステージ25を移動させる。より詳細には、ステップS124において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51の下に使用部位変更吸着ノズル81を移動させる。これにより、吸着ノズル51の下端の開口と使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口とは、ゲルボール101を挟んで対向することになる。図15は、ゲルボールの使用する部位の変更の動作を説明する図である。例えば、ステップS124において、図12(A)に示されるように、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51の下に使用部位変更吸着ノズル81を移動させる。
【0108】
ステップS125において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部52を駆動させて、吸着ノズル51に吸着して保持しているゲルボール101の使用する部位が下側になるように吸着ノズル51を傾ける。例えば、ステップS125において、図12(B)に示されるように、図12(A)おけるゲルボール101の右側面が下側になるように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部52を駆動させて、吸着ノズル51を傾ける。
【0109】
このように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部52に、使用部位変更吸着ノズル81の開口と吸着ノズル51の開口との相対的な角度位置を変えるように吸着ノズル51を駆動させる。
【0110】
ステップS126において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51を傾けたまま、ゲルボール101の面の下端から使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口までの距離が所定の距離になるように吸着ノズル51を下げる。
【0111】
例えば、ステップS126において、図15(C)に示されるように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51を傾けたまま、ゲルボール101の面の下端が使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口に接するように吸着ノズル51を下げる。例えば、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、ゲルボール101の面の下端から使用部位変更吸着ノズル81の上端の開口までの距離が、使用部位変更吸着ノズル81の上端とゲルボール101の面の下端とが触るか触らないかの距離で完全な引き渡しが可能な距離となるように吸着ノズル51を下げる。
【0112】
ステップS127において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部に正圧を加える。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部にエアを供給して、吸着ノズル51の内部を正圧にする。また、ステップS127において、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えて、使用部位変更吸着ノズル81の内部に負圧を加える。すなわち、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えることで、使用部位変更吸着ノズル81の内部に接続されている配管を真空ポンプ91に通じさせて、使用部位変更吸着ノズル81の内部を負圧にする。これにより、ゲルボール101は、使用部位変更吸着ノズル81に吸着されて保持される。
【0113】
なお、ステップS127において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部の圧力を抜いて大気圧にするようにしてもよい。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部を大気に開放して、吸着ノズル51の内部を大気圧にする。
【0114】
ステップS128において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51を傾けたまま、吸着ノズル51を上げる(Z軸方向の位置を戻す)。図15(D)に示されるように、ゲルボール101は、吸着ノズル51から離れて、使用部位変更吸着ノズル81に吸着されて保持される。また、ステップS128において、ワークステージ駆動制御部221は、ワークステージ駆動部24を駆動させて、ワークステージ23を変位させて、吸着ノズル51の下端と使用部位変更吸着ノズル81の上端との位置を変えるようにしてもよい。
【0115】
ステップS129において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部52を駆動させて、吸着ノズル51を垂直にする。ステップS129において、図15(E)に示されるように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部52を駆動させて、吸着ノズル51の長手方向に沿った仮想的な直線がZ軸に沿うように、吸着ノズル51を垂直にする。
【0116】
ステップS130において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51の下端、すなわち開口からゲルボール101までの距離が所定の距離になるように吸着ノズル51を下げる。例えば、ステップS130において、図15(F)に示されるように、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51の下端の開口がゲルボール101の面の上端に接するように吸着ノズル51を下げる。例えば、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル51の下端からゲルボール101の面の上端までの距離が、吸着ノズル51の下端とゲルボール101の面の上端とが触るか触らないかの距離で完全な引き渡しが可能な距離となるように吸着ノズル51を下げる。
【0117】
ステップS131において、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えて、吸着ノズル51の内部に負圧を加える。すなわち、吸着ノズル内圧制御部223は、バルブ63およびバルブ64を切り替えることで、吸着ノズル51の内部に接続されている配管を真空ポンプ61に通じさせて、吸着ノズル51の内部を負圧にする。また、ステップS131において、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えて、使用部位変更吸着ノズル81の内部に正圧を加える。すなわち、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えることで配管を、使用部位変更吸着ノズル81の内部にエアを供給して、使用部位変更吸着ノズル81の内部を正圧にする。これにより、ゲルボール101は、吸着ノズル51に吸着されて保持される。
【0118】
なお、ステップS131において、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ93およびバルブ94を切り替えて、使用部位変更吸着ノズル81の内部の圧力を抜いて大気圧にするようにしてもよい。すなわち、使用部位変更吸着ノズル内圧制御部225は、バルブ94を切り替えることで、使用部位変更吸着ノズル81の内部を大気に開放して、使用部位変更吸着ノズル81の内部を大気圧にする。
【0119】
ステップS132において、吸着ノズル位置姿勢制御部222は、吸着ノズル駆動部53を駆動させて、吸着ノズル51を上げる(Z軸方向の位置を戻す)。図15(G)に示されるように、ゲルボール101は、吸着ノズル51に吸着されて保持され、使用部位変更吸着ノズル81から離れる。
【0120】
ステップS133において、記憶制御部228は、使用済み部位記憶部242に記憶されている、ゲルボール101の使用済みの部位の記憶を更新する。
【0121】
ステップS122において、吸着ノズル51で保持されているゲルボール101に使用していない部位がないと判定された場合、手続きは、ステップS134に進む。ステップS134において、図13のフローチャートを参照して説明したゲルボールの廃棄の処理が実行される。ステップS135において、図10のフローチャートを参照して説明したゲルボールの装着の処理が実行される。ステップS135の後、手続きはリターンして、図9の異物除去処理のステップS23に戻る。
【0122】
また、ステップS133の後、手続きはリターンして、図9の異物除去処理のステップS23に戻る。
【0123】
このように、より簡単な構成で、より確実に異物を除去しつつ、コストをより抑えることができる。
【0124】
ゲルボール101の全面を異物の除去に使用することができる。ゲルボール101にはスティックを設ける必要がない。
【0125】
イメージセンサ41の表面の異物を除去する場合、吸着ノズル51を傾ける必要が無いので、イメージセンサ41の周辺の部材との干渉を回避できる。
【0126】
ゲルボール101をパレット31に並べるだけで良いので、ゲルスティックの交換機構など複雑な機構が不要になり簡単な構成で安価に実現できる。
【0127】
使用済みのゲルボール101を簡単に回収できる。
【0128】
なお、異物除去装置11は、半導体素子の一例として個体撮像素子であるイメージセンサ41の異物を除去すると説明したが、これに限らず、メモリや信号処理などのデジタルやアナログなどの集積回路や電力用半導体素子など各種の半導体素子の異物を除去することができる。
【0129】
さらに、異物除去装置11は、レンズやガラスフィルタ、ミラー等の光学部品や微細な異物を嫌う物品を対象物として、その対象物の異物を除去することができる。
【0130】
また、ゲルボール101をパレット31に並べると説明したが、これに限らず、カセットなどの容器、例えば、蓋つきの容器に収容するようにしてもよい。
【0131】
なお、ワークステージ駆動部24は、ワークステージ23の位置をX軸方向またはY軸方向に変えるようにワークステージ23を駆動すると説明したが、これに限らず、ゲルボールハンドリングユニット21および画像検査ユニット22をX軸方向またはY軸方向に変位させる駆動部を設けるようにしてもよい。
【0132】
また、ワークステージ駆動部24は、ワークステージ23の位置をX軸方向またはY軸方向に変えるようにワークステージ23を駆動すると説明したが、これに限らず、ワークステージ23の位置をX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変えるようにワークステージ23を駆動するようにしてもよい。例えば、ステップS19、ステップS44、ステップS75、ステップS79、ステップS102、ステップS126またはステップS130において、ワークステージ駆動制御部221が、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51に対して、ワークステージ23の位置を上げるようにしてもよく、また、ステップS20、ステップS46、ステップS77、ステップS81、ステップS104、ステップS128またはステップS132において、ワークステージ駆動制御部221が、ワークステージ駆動部24を駆動させて、吸着ノズル51に対して、ワークステージ23の位置を下げるようにしてもよい。
【0133】
また、イメージセンサ41に接触した回数が所定の回数に達した場合、ゲルボール101の使用する部位を変更すると説明したが、これに限らず、ゲルボール101がイメージセンサ41に粘着する力を検知するようにして、粘着する力が所定の値より弱くなった場合、ゲルボール101の使用する部位を変更するようにしてもよい。
【0134】
このように、ゲルボール101は、半導体素子の表面に付着している異物を除去する。ゲルボール101は、粘着性のゲル状のエラストマーで、粒径が0.5mm乃至5mmの球状または凸多面体状の粒状に形成されている。
【0135】
ゲルボール101は、六面体状または正十二面体状に形成することができる。
【0136】
ゲルボール101は、自己吸着性を有する前記エラストマーで形成することができる。
【0137】
ゲルボール101は、ウレタン化合物で形成することができる。
【0138】
ゲルボール101の表面抵抗率は3×10Ω/square以下とすることができる。
【0139】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0140】
11 異物除去装置, 21 ゲルボールハンドリングユニット, 22 画像検査ユニット, 23 ワークステージ, 24 ワークステージ駆動部, 25 使用部位変更ステージ, 26 制御部, 31 パレット, 41 イメージセンサ, 51 吸着ノズル, 52 吸着ノズル駆動部, 53 吸着ノズル駆動部, 61 真空ポンプ, 63 バルブ, 64 バルブ, 81 使用部位変更吸着ノズル, 82 吸着ノズル駆動部, 83 ステージ, 84 吸着ノズル駆動部, 91 真空ポンプ, 93 バルブ, 94 バルブ, 101 ゲルボール, 201 CPU, 202 ROM, 203 RAM, 204 バス, 205 入出力インタフェース, 206 入力部, 207 出力部, 208 記憶部, 209 通信部, 210 ドライブ, 211 リムーバブルメディア, 221 ワークステージ駆動制御部, 222 吸着ノズル位置姿勢制御部, 223 吸着ノズル内圧制御部, 224 使用部位変更吸着ノズル位置姿勢制御部, 225 使用部位変更吸着ノズル内圧制御部, 226 判定部, 227 選択部, 228 記憶制御部, 229 撮像制御部,230 画像処理部, 241 異物除動作去回数カウンタ, 242 使用済み部位記憶部, 243 使用済みゲルボール位置記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15