(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086488
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】設定装置、設定方法および設定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/017 20060101AFI20240620BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20240620BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240620BHJP
【FI】
G08G1/017
G08G1/14 A
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201645
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 健吾
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA45
3E127CA14
3E127FA20
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC12
5H181DD10
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181KK01
(57)【要約】
【課題】関連付け処理の精度を高めることができる設定装置、設定方法および設定プログラムを提案すること。
【解決手段】設定装置は、関連付け部と、抽出部と、設定部とを備える。関連付け部は、所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付ける。抽出部は、車両番号および識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす通行履歴を抽出する。設定部は、抽出した通行履歴に基づいて、所定の関連付け期間の長さを設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に前記車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付ける関連付け部と、
前記車両番号および前記識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす前記通行履歴を抽出する抽出部と、
抽出した前記通行履歴に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する設定部と
を備える設定装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記抽出部が抽出した前記通行履歴における前記識別情報および前記車両番号それぞれの検出時刻の差である検出時刻差に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する
請求項1に記載の設定装置。
【請求項3】
登録車両として予め登録された識別情報および車両番号を含む登録情報データベースを記憶する記憶部をさらに備え、
前記抽出部は、
前記登録車両の前記通行履歴を抽出する
請求項1に記載の設定装置。
【請求項4】
前記抽出部は、
前記登録車両の前記通行履歴のうち、所定の除外条件を満たす前記登録車両の前記通行履歴を抽出対象から除外する
請求項3に記載の設定装置。
【請求項5】
前記抽出部は、
前記登録車両の前記通行履歴のうち、前後に生成された他の通行履歴との時間差が所定値未満、かつ、当該他の通行履歴が識別情報または車両番号のいずれか一方のみ含む前記登録車両の前記通行履歴が存在する場合、当該記登録車両の当該通行履歴を抽出対象から除外する
請求項4に記載の設定装置。
【請求項6】
前記設定部は、
前記抽出部が抽出した前記通行履歴毎に前記検出時刻差を算出して作成したヒストグラムに基づいて前記関連付け期間の長さを設定する
請求項2に記載の設定装置。
【請求項7】
前記設定部は、
前記ヒストグラムにおける所定の標準偏差に対応した前記検出時刻差を前記関連付け期間の長さとして設定する
請求項6に記載の設定装置。
【請求項8】
前記設定部は、
前記車両の車両状態および外的要因の少なくとも一方と、前記検出時刻差と、前記関連付け期間の長さとをデータセットとして機械学習を行うことで、前記関連付け期間の長さを出力するモデルに対して、前記車両の車両状態および外的要因の少なくとも一方と、前記検出時刻差とを入力することで、当該モデルから出力される前記関連付け期間の長さを設定する
請求項6に記載の設定装置。
【請求項9】
前記車両状態は、
前記車両の車種および運転者の運転技術に関する情報の少なくとも1つを含む
請求項8に記載の設定装置。
【請求項10】
前記外的要因は、
天気、時刻、周辺の車両の有無、入退場ゲートの有無、前記入退場ゲートの開閉状態の少なくとも1つを含む
請求項8に記載の設定装置。
【請求項11】
前記関連付け期間は、
前記車両番号の検出時刻の前の時間である関連付け有効時間と、前記車両番号の検出時刻の後の時間である関連付け待ち時間とを含み、
前記設定部は、
前記関連付け有効時間および前記関連付け待ち時間の少なくとも一方の長さを、前記通行履歴における前記識別情報および前記車両番号それぞれの検出時刻に基づいて設定する 請求項1に記載の設定装置。
【請求項12】
前記設定部は、
前記識別情報の取得可能範囲の外部に前記車両番号の検出可能範囲が位置するとともに、前記取得可能範囲が前記検出可能範囲よりも上流に位置している場合に、前記関連付け有効時間の長さを設定する
請求項11に記載の設定装置。
【請求項13】
前記設定部は、
前記識別情報の取得可能範囲の外部に前記車両番号の検出可能範囲が位置するとともに、前記検出可能範囲が前記取得可能範囲よりも上流に位置している場合に、前記関連付け待ち時間の長さを設定する
請求項11に記載の設定装置。
【請求項14】
コンピュータによって実行される設定方法であって、
所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に前記車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付けし、
前記車両番号および前記識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす前記通行履歴を抽出し、
抽出した前記通行履歴に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する
設定方法。
【請求項15】
コンピュータに実行させる設定プログラムであって、
所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に前記車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付けし、
前記車両番号および前記識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす前記通行履歴を抽出し、
抽出した前記通行履歴に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する
設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設定装置、設定方法および設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、駐車場等の出入口を通過する車両を検出することで、駐車場の入退を管理する技術がある。この種の技術には、例えば、予め設定された関連付け期間内でそれぞれ検出された車載器のWCN(Wireless Call Number)と、自動車登録番号(車両番号)とを関連付けた通行履歴を生成する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、関連付け期間の長さの設定に誤りがあった場合に、検出した車両同士のWCNおよび車両番号を誤って関連付けてしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、本開示では、関連付け処理の精度を高めることができる設定装置、設定方法および設定プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係る設定装置は、関連付け部と、抽出部と、設定部とを備える。前記関連付け部は、所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に前記車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付ける。前記抽出部は、前記車両番号および前記識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす前記通行履歴を抽出する。前記設定部は、抽出した前記通行履歴に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する。
【0007】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0008】
また、本開示に係る前記設定部は、前記抽出部が抽出した前記通行履歴における前記識別情報および前記車両番号それぞれの検出時刻の差である検出時刻差に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する。
【0009】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0010】
また、本開示に係る設定装置は、記憶部をさらに備える。前記記憶部は、登録車両として予め登録された識別情報および車両番号を含む登録情報データベースを記憶する。前記抽出部は、前記登録車両の前記通行履歴を抽出する。
【0011】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0012】
また、本開示に係る前記抽出部は、前記登録車両の前記通行履歴のうち、所定の除外条件を満たす前記登録車両の前記通行履歴を抽出対象から除外する。
【0013】
これにより、設定装置は、関連付け期間の設定精度を高めることができる。
【0014】
また、本開示に係る前記抽出部は、前記登録車両の前記通行履歴のうち、前後に生成された他の通行履歴との時間差が所定値未満、かつ、当該他の通行履歴が識別情報または車両番号のいずれか一方のみ含む前記登録車両の前記通行履歴が存在する場合、当該記登録車両の当該通行履歴を抽出対象から除外する。
【0015】
これにより、設定装置は、関連付け期間の設定精度を高めることができる。
【0016】
また、本開示に係る前記設定部は、前記抽出部が抽出した前記通行履歴毎に前記検出時刻差を算出して作成したヒストグラムに基づいて前記関連付け期間の長さを設定する。
【0017】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0018】
また、本開示に係る前記設定部は、前記ヒストグラムにおける所定の標準偏差に対応した前記検出時刻差を前記関連付け期間の長さとして設定する。
【0019】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0020】
また、本開示に係る前記設定部は、前記車両の車両状態および外的要因の少なくとも一方と、前記検出時刻差と、前記関連付け期間の長さとをデータセットとして機械学習を行うことで、前記関連付け期間の長さを出力するモデルに対して、前記車両の車両状態および外的要因の少なくとも一方と、前記検出時刻差とを入力することで、当該モデルから出力される前記関連付け期間の長さを設定する。
【0021】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0022】
また、本開示に係る前記車両状態は、前記車両の車種および運転者の運転技術に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0023】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0024】
また、本開示に係る前記外的要因は、天気、時刻、周辺の車両の有無、入退場ゲートの有無、前記入退場ゲートの開閉状態の少なくとも1つを含む。
【0025】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0026】
また、本開示に係る前記関連付け期間は、前記車両番号の検出時刻の前の時間である関連付け有効時間と、前記車両番号の検出時刻の後の時間である関連付け待ち時間とを含む。前記設定部は、前記関連付け有効時間および前記関連付け待ち時間の少なくとも一方の長さを、前記通行履歴における前記識別情報および前記車両番号それぞれの検出時刻に基づいて設定する。
【0027】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0028】
また、本開示に係る前記設定部は、前記識別情報の取得可能範囲の外部に前記車両番号の検出可能範囲が位置するとともに、前記取得可能範囲が前記検出可能範囲よりも上流に位置している場合に、前記関連付け有効時間の長さを設定する。
【0029】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0030】
また、本開示に係る前記設定部は、前記識別情報の取得可能範囲の外部に前記車両番号の検出可能範囲が位置するとともに、前記検出可能範囲が前記取得可能範囲よりも上流に位置している場合に、前記関連付け待ち時間の長さを設定する。
【0031】
これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0032】
また、本開示に係る設定方法は、コンピュータによって実行される設定方法であって、所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に前記車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付けし、前記車両番号および前記識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす前記通行履歴を抽出し、抽出した前記通行履歴における前記識別情報および前記車両番号それぞれの検出時刻に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する。
【0033】
これにより、設定方法は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0034】
また、本開示に係る設定プログラムは、コンピュータに実行させる設定プログラムであって、所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間内に前記車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付けし、前記車両番号および前記識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす前記通行履歴を抽出し、抽出した前記通行履歴における前記識別情報および前記車両番号それぞれの検出時刻に基づいて、前記所定の関連付け期間の長さを設定する。
【0035】
これにより、設定プログラムは、関連付け処理の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】実施形態に係る設定方法の概要を示す図である。
【
図1B】実施形態に係る設定方法の概要を示す図である。
【
図1C】実施形態に係る設定方法の概要を示す図である。
【
図1D】実施形態に係る設定方法の概要を示す図である。
【
図2】実施形態に係る管理装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図5】抽出部の抽出処理を説明するための図である。
【
図8】実施形態に係る管理装置が実行する関連付け期間の設定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0038】
まず、
図1A~
図1Dを用いて、実施形態に係る設定方法の概要について説明する。
図1A~
図1Dは、実施形態に係る設定方法の概要を示す図である。
図1Aでは、設定方法を実行する設定装置(管理装置)を含んだ入退管理システムSの構成例を示している。
【0039】
図1Aに示すように、入退管理システムSは、車両が入場可能な領域Rに設けられる。車両は、例えば、自動車や、バス、トラック、二輪車等の各種車両である。領域Rは、領域R内を車両が移動可能な領域であり、例えば、駐車場や、会社の敷地等である。また、領域Rには、出入口110が設けられ、車両は、出入口110を通過することで、領域Rへの入場や、領域Rからの退場を行う。
【0040】
なお、
図1Aでは、出入口110は、領域Rに入場する車両と、領域Rから退場する車両とが共有して使用する道路である場合を例に挙げたが、入口と出口とが別々に設けられてもよい。また、出入口110には、車両が入退場する際に開閉する入退ゲートが設けられてもよい。
【0041】
実施形態に係る入退管理システムSは、出入口110を通過する車両から取得される情報に基づいて、車両の領域Rにおける入退場を管理する。具体的には、実施形態に係る入退管理システムSは、所定の関連付け期間内に検出された車両の車両番号(いわゆるナンバープレート)と、車両に搭載された車載器の識別情報とを関連付けた通行履歴を生成することで入退場を管理する。特に、本開示では、既に作成した通行履歴を基にして最適な関連付け期間の長さを設定する。
【0042】
ここで、入退管理システムSの構成について説明する。
図1Aに示すように、入退管理システムSは、設定装置である管理装置1と、路側機10と、取得装置11と、撮像装置12と、サーバ装置200とを含む。なお、本開示では、設定装置が管理装置1である場合を例に挙げたが、管理装置1とは別に設定装置が設けられてもよい。
【0043】
取得装置11は、例えば、出入口110の上方に配置され、通信アンテナの通信可能範囲に位置する車両に搭載された車載器と通信を行い、車載器の識別情報を取得する。具体的には、取得装置11は、車両が通信可能範囲に位置する期間に、所定間隔で複数回に亘って識別情報を取得する。
【0044】
車載器は、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)機器であり、識別情報としてWCN(Wireless Call Number)を取得装置11へ送信する。取得装置11は、車載器から取得した識別情報を路側機10へ送信する。
【0045】
なお、
図1Aに示す例では、取得装置11は、出入口110の入口側に配置され、領域Rに入場する車両と通信を行う例を示しているが、出入口110の出口側に配置され、領域Rから退場する車両と通信を行ってもよい。
【0046】
撮像装置12は、出入口110の周辺を撮像範囲とするカメラである。例えば、撮像装置12は、路側機10に対して所定の高さ位置に配置される。所定の高さ位置は、例えば、車両のナンバープレート(車両番号の一例)の高さ位置に対応した高さ位置である。つまり、撮像装置12は、車両のナンバープレートを含む領域を撮像する。撮像装置12は、撮像した車両画像を路側機10へ送信する。
【0047】
なお、
図1Aに示す例では、撮像装置12は、出入口110の入口側に配置され、領域Rに入場する車両を撮像する例を示しているが、出入口110の出口側に配置され、領域Rから退場する車両を撮像してもよい。
【0048】
路側機10は、出入口110の側方に配置されるポール状の機器である。路側機10は、管理装置1と通信可能に接続され、取得装置11から取得した識別情報と、撮像装置12から取得した車両画像とを管理装置1へ送信する。
【0049】
サーバ装置200は、管理装置1と無線または有線により通信可能に接続されるサーバ装置である。サーバ装置200は、管理装置1から取得した車両情報(車両番号および識別情報)を登録情報DB210に登録して記憶する。なお、登録情報DB210の詳細については、
図3で後述する。
【0050】
管理装置1は、入退管理システムSを管理する管理者が扱う端末装置である。例えば、管理装置1は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの端末装置を用いることができる。
【0051】
管理装置1は、路側機10から識別情報および車両画像を取得する。具体的には、管理装置1は、撮像装置12が所定の間隔で連続して撮像した車両画像を取得する。また、管理装置1は、取得した車両画像に基づいて、車両のナンバープレートの番号(車両番号の一例)を検出する。
【0052】
そして、管理装置1は、取得した識別情報と、車両番号とを関連付ける関連付け処理を行う。具体的には、管理装置1は、車両から検出した車両番号の検出時刻(車両画像の撮像時刻)を基準とした所定の関連付け期間内に車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付け、関連付けた車両番号および識別情報を含む通行履歴を生成する。
【0053】
ここで、
図1B~
図1Dを用いて、関連付け期間について説明する。
図1B~
図1Dでは、取得装置11の通信可能範囲11Rと、撮像装置12の撮像範囲12Rとを示している。なお、撮像範囲12Rは、車両番号の検出可能範囲でもある。つまり、管理装置1は、撮像範囲12Rに存在する車両の車両画像であれば、車両番号の検出が可能となる。また、
図1B~
図1Dにおける時刻t1は、管理装置1が車両番号を検出した検出時刻であり、言い換えれば、車両番号の検出に用いた車両画像の撮像時刻である。
【0054】
また、
図1Bでは、通信可能範囲11Rの内部に撮像範囲12Rが位置している例を示す。また、
図1Cでは、通信可能範囲11Rの外部に撮像範囲12Rが位置するとともに、通信可能範囲11Rが撮像範囲12Rよりも上流に位置している例を示す。また、
図1Dでは、通信可能範囲11Rの外部に撮像範囲12Rが位置するとともに、撮像範囲12Rが通信可能範囲11Rよりも上流に位置している例を示す。
【0055】
図1B~
図1Dに示すように、関連付け期間Dは、車両番号の検出時刻t1を基準にして前後の期間が設定される。具体的には、関連付け期間Dは、検出時刻t1の前の時間である関連付け有効時間d1と、検出時刻t1の後の時間である関連付け待ち時間d2とを含む。
【0056】
図1Bに示すように、通信可能範囲11Rの内部に撮像範囲12Rが位置している場合、関連付け有効時間d1および関連付け待ち時間d2は、それぞれ比較的小さな値が設定される。これは、車両番号の検出とほぼ同じタイミングで識別情報を取得しているため、関連付け期間Dを長くせずとも比較的精度良く関連付け処理が行えるためである。なお、
図1Bに示す状況の場合には、関連付け期間Dを長くせずとも比較的精度良く関連付け処理が行えるため、本開示で示す関連付け期間Dの設定方法を適用しなくてもよい。
【0057】
また、
図1Cに示すように、通信可能範囲11Rが撮像範囲12Rよりも上流に位置している場合、関連付け有効時間d1を比較的長く設定し、関連付け待ち時間d2をゼロに設定する。つまり、
図1Cに示す例では、関連付け期間Dは、関連付け有効時間d1のみとなる。これは、検出時刻t1よりも以前に既に識別情報の取得を終えているためであり、関連付け有効時間d1を長くすることで、識別情報と車両番号とを正しく関連付けすることが可能となる。
【0058】
また、
図1Dに示すように、撮像範囲12Rが通信可能範囲11Rよりも上流に位置している場合、関連付け待ち時間d2を比較的長く設定し、関連付け有効時間d1をゼロに設定する。つまり、
図1Dに示す例では、関連付け期間Dは、関連付け待ち時間d2のみとなる。これは、検出時刻t1よりも以降に識別情報の取得が行われるためであり、関連付け待ち時間d2を長くすることで、識別情報と車両番号とを正しく関連付けすることが可能となる。
【0059】
本開示では、上記した関連付け期間Dを適切に設定することで、識別情報および車両番号の関連付けの精度を高めることができる。特に、本開示は、
図1Cや
図1Dのように、関連付け有効時間d1や関連付け待ち時間d2を比較的が長く設定する場合に好適である。
【0060】
以下、関連付け期間Dの設定について詳細に説明する。具体的には、管理装置1は、車両番号および識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす通行履歴を抽出し、抽出した通行履歴における識別情報および車両番号それぞれの検出時刻に基づいて、所定の関連付け期間Dの長さを設定する。なお、本開示で示す関連付け期間Dの長さを設定する前の関連付け処理については、仮決めした関連付け期間Dを用いる。仮決めした関連付け期間Dは、例えば、通信可能範囲11Rおよび撮像範囲12Rの位置関係や、範囲間の距離に基づいて仮決め可能である。つまり、関連付け期間Dの長さを設定する前の初期段階では、仮決めした関連付け期間Dを用いて生成された通行履歴に基づいて関連付け期間Dの長さを設定する。
【0061】
ここで、所定の履歴条件は、通行履歴に対応する車両が登録情報DB210に登録されていることである。つまり、管理装置1は、登録情報DB210に登録されている車両の通行履歴を抽出して関連付け期間Dの長さを設定する。
【0062】
例えば、管理装置1は、抽出した通行履歴毎に、通行履歴における識別情報の検出時刻(取得時刻)と、車両番号の検出時刻との時刻差を算出し、時刻差を階級とし通行履歴数を度数とするヒストグラムを作成する。かかる時刻差は、車両の走行速度に依存しており、走行速度が高い程、時刻差は小さくなり、走行速度が低い程、時刻差は大きくなる。そして、管理装置1は、作成したヒストグラムにおける所定の標準偏差に対応した時刻差を関連付け期間Dとして設定する。
【0063】
つまり、実施形態に係る管理装置1は、通行履歴における識別情報および車両番号それぞれの検出時刻を用いて関連付け期間Dを設定することで、例えば、通過する速度が極端に遅い少数の車両を除いた大部分の車両の関連付け処理を正しく行うことができる。また、通過する速度が極端に遅い少数の車両を除く関連付け期間Dを設定する、言い換えれば、関連付け期間Dの長さが極端に長くならないようにすることで、関連付けの対象車両の1台前の車両の車両情報が誤って関連付けられることを回避することができる。すなわち、実施形態に係る管理装置1によれば、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0064】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る管理装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る管理装置1の構成例を示す機能ブロック図である。なお、
図2のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0065】
換言すれば、
図2のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0066】
図2に示すように、管理装置1は、制御部2と、記憶部3とを備える。制御部2は、取得部21と、検出部22と、関連付け部23と、抽出部24と、設定部25と、評価部26とを有する。記憶部3は、通行履歴情報31を記憶する。
【0067】
ここで、管理装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0068】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶された受信プログラムを読み出して実行することによって、制御部2の取得部21、検出部22、関連付け部23、抽出部24、設定部25および評価部26として機能する。
【0069】
また、制御部2の取得部21、取得部21、検出部22、関連付け部23、抽出部24、設定部25および評価部26の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0070】
また、記憶部3は、例えば、半導体素子メモリや、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部3には、通行履歴情報31や、各種プログラム(設定プログラム等)や、制御部2の処理に必要な各種情報が記憶される。
【0071】
次に、
図3を用いて、サーバ装置200に記憶される登録情報DB210について説明する。
図3は、登録情報DB210の一例を示す図である。なお、本開示では、登録情報DB210は、サーバ装置200に記憶される例を示したが、管理装置1に記憶されてもよい。
【0072】
図3に示すように、登録情報DB210は、「車両ID」と、「登録車番」と、「識別情報」とを含む。「車両ID」は、車両を識別する識別情報である。「登録車番」は、事前に登録された車両の車両番号である。「識別情報」は、車載器の識別情報である。
【0073】
例えば、車両ID「C1」で識別される車両は、登録車番「福岡,500,は,12-34」と、識別情報「WCN#a」とが関連付けられたことを示している。
【0074】
次に、
図4を用いて、管理装置1の記憶部3に記憶される通行履歴情報31について説明する。
図4は、通行履歴情報31の一例を示す図である。
図4に示すように、通行履歴情報31は、「通行履歴ID」と、「WCN検出情報」と、「車番検出情報」と、「登録情報」とを含む。通行履歴情報31における各通行履歴は、後述する関連付け部23によって生成される。
【0075】
「通行履歴ID」は、各通行履歴を識別する識別情報である。「WCN検出情報」は、識別情報の検出に関する情報を示し、例えば、「検出時刻」および「検出WCN」の項目を含む。「検出時刻」は、識別情報を検出(取得)した時刻の情報である。「検出WCN」は、検出(取得)した識別情報である。「車番検出情報」は、車両番号の検出に関する情報を示し、例えば、「検出時刻」および「検出車番」の項目を含む。「検出時刻」は、車両番号を検出した時刻(撮像時刻)の情報である。「検出車番」は、検出した車両番号である。「登録情報」は、登録情報DB210に登録されている情報を示し、例えば、「登録WCN」および「登録車番」の項目を含む。「登録WCN」は、登録情報DB210に登録されている識別情報である。「登録車番」は、登録情報DB210に登録されている車両番号である。
【0076】
次に、
図2に戻って、制御部2の各機能(取得部21、検出部22、関連付け部23、抽出部24、設定部25および評価部26)について詳細に説明する。
【0077】
取得部21は、各種情報を取得する。例えば、取得部21は、取得装置11が取得した識別情報を路側機10から取得する。具体的には、取得部21は、取得装置11が通信可能範囲において複数回に亘って取得した識別情報を取得時刻が紐付けられた状態で取得する。取得時刻と識別情報との紐付けは、路側機10で行われてよく、取得装置11で行われてもよい。
【0078】
また、取得部21は、撮像装置12が撮像した車両画像を路側機10から取得する。具体的には、取得部21は、撮像装置12が撮像した車両画像を撮像時刻が紐付けられた状態で取得する。
【0079】
検出部22は、取得部21が取得した車両画像に基づいて、車両の車両番号を検出する。具体的には、検出部22は、画像解析により、ナンバープレートに示されたナンバー情報を車両番号として検出する。ナンバー情報は、地名、分類番号、ひらがな、および、一連指定番号等の項目を含む情報である。なお、検出部22は、ナンバー情報のうち、一部の項目(例えば、一連指定番号)のみを車両番号として検出してもよい。
【0080】
関連付け部23は、取得部21が取得した識別情報と、検出部22が検出した車両番号とを関連付ける。具体的には、関連付け部23は、車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間Dにおいて取得された識別情報を当該車両番号に関連付ける。
【0081】
まず、登録情報DB210に登録された登録車両について、かかる登録車両から識別情報が先に検出(取得)され、後に車両番号が検出される場合(
図1Cの場合)について考える。かかる場合、関連付け部23は、まず、識別情報が取得された時点で、識別情報が登録情報DB210に登録されているか否かを判定し、登録されている場合、登録情報DB210において識別情報に紐付いた車両番号(登録車番)と取得した識別情報とを関連付ける。そして、関連付け部23は、当該車両について、後に撮像画像から検出された車両番号(検出車番)が登録車番と一致する場合には、WCN検出情報、車番検出情報および登録情報を関連付けた通行履歴を生成し通行履歴情報31として記憶する。また、関連付け部23は、検出車番と登録車番とが一致しない場合には、WCN情報および登録情報を関連付けた通行履歴と、車番検出情報を関連付けた通行履歴とを生成する。
【0082】
次に、登録情報DB210に登録された登録車両について、かかる登録車両から車両番号が先に検出され、後に識別情報が取得される場合(
図1Dの場合)について考える。かかる場合、関連付け部23は、まず、車両番号が検出された時点で、車両番号が登録情報DB210に登録されているか否かを判定し、登録されている場合、登録情報DB210において車両番号に紐付いた識別情報と検出した車両番号とを関連付ける。そして、関連付け部23は、当該車両について、後に取得された識別情報が登録情報DB210に登録されている識別情報と一致する場合には、WCN検出情報、車番検出情報および登録情報を関連付けた通行履歴を生成し通行履歴情報31として記憶する。また、関連付け部23は、識別情報が一致しない場合には、車番検出情報および登録情報を関連付けた通行履歴と、WCN検出情報を関連付けた通行履歴とを生成する。
【0083】
次に、登録情報DB210に登録されていない未登録車両について考える。かかる場合、
図1Cおよび
図1Dのいずれの場合であっても、関連付け部23は、取得した識別情報と、検出した車両番号とを関連付けた通行履歴(登録情報無し)を生成する。なお、識別情報および車両番号のうち、車載器の未搭載車や、車両番号の検出失敗により、いずれか一方のみ検出された場合には、検出された情報(識別情報または車両番号)を紐付けた通行履歴を生成する。
【0084】
なお、関連付け期間Dの長さを設定する前の関連付け処理については、例えば、予め仮決めした関連付け期間Dを用いる。仮決めした関連付け期間Dは、例えば、通信可能範囲11Rおよび撮像範囲12Rの位置関係や、範囲間の距離に基づいて仮決め可能である。具体的には、仮決めした関連付け期間Dは、通信可能範囲11Rおよび撮像範囲12Rの遠い側の端部(
図1Cの場合、通信可能範囲11Rの上流側の端部と撮像範囲12Rの下流側の端部)の距離を所定速度(例えば、他の場所に設置された入退管理システムSで計測された速度の平均値等)で除した値が仮決めした関連付け期間Dとして設定される。従って、関連付け期間Dの長さを設定する前の初期段階では、関連付け部23は、仮決めした関連付け期間Dを用いて関連付け処理を行い、通行履歴を生成する。
【0085】
抽出部24は、車両番号および識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす通行履歴を抽出する。例えば、抽出部24は、登録車両の通行履歴を抽出する。具体的には、抽出部24は、通行履歴情報31のうち、登録情報が紐付けられ、かつ、WCN検出情報および車番検出情報が紐付けられた通行履歴を抽出する。なお、抽出部24は、未登録車両の通行履歴のうち、WCN検出情報および車番検出情報が紐付けられた通行履歴を抽出してもよい。
【0086】
なお、抽出部24は、登録車両の通行履歴のうち、所定の除外条件を満たす通行履歴については抽出対象から除外する。かかる点について、
図5を用いて説明する。
図5は、抽出部24の抽出処理を説明するための図である。なお、
図5の通行履歴は、
図1Cの場合に生成される通行履歴を例に挙げる。
【0087】
図5に示す通行履歴ID「Pn」および「Pn+1」は、1台の登録車両が通過した際に生成された通行履歴であることとする。このような状況は、登録情報DB210における登録車両の登録情報が誤りである場合に起こりうる。具体的には、
図5では、本来、WCN#nと、車番#nとが正しい組み合わせであるが、WCN#nと、他の車両の車番#kとが誤って関連付けられて登録されてしまっている。この場合、
図5に示すように、検出WCNであるWCN#nが検出された時点で、登録情報である車番#kが関連付けられて通行履歴が生成されるとともに、後に検出される検出車番である車番#nが異なる通行履歴として生成されてしまう。より具体的には、車番#nは、WCN#nが検出された時刻#nからわずかな時間差である時刻#n+Δt(Δtはごくわずかな時間)に検出されることとなる。つまり、通行履歴ID「Pn」および「Pn+1」の時間差は、Δtとなる。このように、登録情報が誤って登録されてしまった場合には、通行履歴ID「Pn」および「Pn+1」のように特殊なパターンとして現れる。
【0088】
抽出部24は、そのような特殊なパターンを利用して、登録情報が誤っている登録車両については抽出対象から除外する。具体的には、抽出部24は、登録車両の通行履歴(登録情報が紐付けられた通行履歴)のうち、前後に生成された他の通行履歴(
図5の場合は後)との時間差が所定値未満、かつ、車両番号または識別情報のみ含んだ通行履歴が存在する場合、上記通行履歴「Pn」を抽出対象から除外する。これにより、登録情報が誤っている登録車両を抽出対象から除外できるため、後段の設定部25における関連付け期間Dの設定精度を高めることができる。
【0089】
なお、
図5では、
図1Cの場合の通行履歴を例に挙げたが、
図1Dの場合には、WCNのみか紐付いた通行履歴が登録車両の通行履歴の前に生成されることとなる。
【0090】
設定部25は、抽出部24が抽出した通行履歴における識別情報および車両番号それぞれの検出時刻に基づいて、関連付け期間Dの長さを設定する。例えば、設定部25は、通信可能範囲11Rが撮像範囲12Rよりも上流に位置している場合(
図1Cの場合)、関連付け期間Dである関連付け有効時間d1の長さを設定する。また、設定部25は、撮像範囲12Rが通信可能範囲11Rよりも上流に位置している場合(
図1Dの場合)、関連付け期間Dである関連付け待ち時間d2の長さを設定する。
【0091】
ここで、
図6を用いて、設定部25の設定処理について説明する。
図6は、設定部25の設定処理を示す図である。
図5に示すように、設定部25は、識別情報の検出時刻(取得時刻)と、車両番号の検出時刻との時間差(検出時刻差)を算出し、算出した時間差に基づいて関連付け期間Dを設定する。具体的には、設定部25は、通行履歴毎に検出時刻差を算出し、検出時刻差を階級とするヒストグラムを作成する。なお、車両が領域Rに入場または退場する際には、通行速度が極端に遅い車両や、極端に速い車両が一定数存在するため、作成されるヒストグラムは
図6のように正規分布に従う可能性が高い。
【0092】
設定部25は、作成したヒストグラムに基づいて関連付け期間Dの長さを設定する。例えば、設定部25は、作成したヒストグラムにおける所定の標準偏差に対応した検出時刻差を関連付け期間Dとして設定する。これにより、例えば、通過する速度が極端に遅い少数の車両を除いた大部分の車両の関連付け処理を正しく行うことができる。また、通過する速度が極端に遅い少数の車両を除く関連付け期間Dを設定することで、関連付け期間Dの長さが極端に長くならないようにできるため、関連付けの対象車両の1台前の車両の車両情報が誤って関連付けられることを回避することができる。すなわち、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0093】
なお、設定部25は、ヒストグラムにおける所定の標準偏差に対応した検出時刻差を関連付け期間Dとして設定する場合に限らず、例えば、ヒストグラムにおける半値幅に対応した検出時刻差を関連付け期間Dとして設定してもよい。
【0094】
また、設定部25は、ヒストグラムを積分して得られる確率密度関数により、所定の割合以上の通行履歴を含むような関連付け期間Dを設定してもよい。
【0095】
また、設定部25は、検出時刻差と他の要因とを加味して関連付け期間Dを設定してもよい。かかる点について、
図7を用いて説明する。
図7は、設定部25の設定処理を示す図である。
図7では、天気が晴れ、時刻が朝の時間帯の通行履歴を基に作成されたヒストグラムと、天気が雨、時刻が夜の時間帯の通行履歴を基に作成されたヒストグラムとを示している。例えば、作成されるヒストグラムにおいて、天気および時刻の違いにより
図7のようなヒストグラムの差が表れたとする。具体的には、晴れ・朝の場合が、雨・夜の場合に比べて全体的に検出時刻差が短くなる傾向があったとする。言い換えれば、晴れ・朝の場合は、雨・夜の場合に比べて車両の通行速度が速くなる傾向があったとする。
【0096】
この場合、設定部25は、車両が通行する際の天気や時刻等の外的要因に基づいて関連付け期間Dを設定する。具体的には、設定部25は、車両が通行する際の外的要因が晴れ・朝である場合には、雨・夜の場合に比べて関連付け期間Dを短くする。あるいは、設定部25は、車両が通行する際の外的要因が雨・夜の場合には、晴れ・朝である場合に比べて関連付け期間Dを長くする。このように、外的要因に基づいて関連付け期間Dを設定することで、関連付け期間Dの設定精度をさらに高めることができる。
【0097】
なお、外的要因は、天気や時刻の他に、例えば、周辺(例えば前方)に車両が存在するか否かや、入退場ゲートの有無、入退場ゲートの開閉状態等がある。また、外的要因の他に、例えば、車両状態を加味してもよい。車両状態は、例えば、車種(セダン、軽自動車等)や、運転者の運転の運転技術に関する情報(運転の癖や、運転歴)を含む。
【0098】
また、設定部25は、上記した外的要因、車両情報および検出時刻差(ヒストグラム)と、関連付け期間Dとをデータセットとする機械学習により生成されたモデルを用いて関連付け期間Dを設定してもよい。つまり、設定部25は、モデルに対して外的要因、車両情報および検出時刻差を入力し、モデルから出力される関連付け期間Dを設定してもよい。
【0099】
このように、機械学習により生成したモデルを用いて関連付け期間Dを設定することで、関連付け期間Dの設定精度をさらに高めることができる。
【0100】
評価部26は、取得装置11および撮像装置12の設置位置を評価する。具体的には、評価部26は、関連付け部23により生成された通行履歴に基づいて、取得装置11および撮像装置12の設置位置が異常であるか否かを評価する。例えば、評価部26は、設定後の関連付け期間Dを用いて生成された通行履歴において、最初の所定期間では検出WCNと検出車番とが適切に関連付けられていたにもかからわず、所定期間後から突然検出WCNと検出車番とが適切に関連付けられずに別々の通行履歴として生成されている場合には、取得装置11および撮像装置12の少なくとも一方の設置位置が異常であると評価する。このような異常が発生する原因としては、例えば、近くを通行する人や通行車両による取得装置11および撮像装置12への接触や、台風等の強風に取得装置11および撮像装置12が晒されることで通信可能範囲11Rおよび撮像範囲12Rの位置がずれることが挙げられる。評価部26は、取得装置11および撮像装置12の設置位置が異常であると評価した場合には、例えば、入退管理システムSの設置や管理者(領域Rの管理者)に通知する。これにより、取得装置11および撮像装置12の設置位置に異常が生じた場合であっても、かかる設置位置を即座に適切な位置に修正できるため、関連付け処理の精度が低下することを最小限に抑えることができる。
【0101】
また、評価部26は、車室内における車載器の取付位置を評価する。例えば、評価部26は、関連付け部23により生成された通行履歴に基づいて、車室内における車載器の取付位置が適切であるか否かを評価する。具体的には、評価部26は、車両毎に、通行履歴における検出時刻差を時系列で並べた場合に、所定のタイミング以降の検出時刻差が所定のタイミング以前の検出時刻差よりも所定時間以上変化している場合に、車載器の取付位置が異常であると評価する。評価部26は、車載器の取付位置が異常であると評価した場合には、例えば、当該車両の運転者や、車両の管理者に対して通知を行う。これにより、車載器の取付位置に異常が生じた場合であっても、かかる取付位置を即座に修正できるため、当該車両の関連付け処理の精度が低下することを最小限に抑えることができる。
【0102】
次に、
図8を用いて、実施形態に係る管理装置1が実行する関連付け期間Dの設定処理の手順について説明する。
図8は、実施形態に係る管理装置1が実行する関連付け期間Dの設定処理の手順を示すフローチャートである。
【0103】
図8に示すように、まず、管理装置1は、記憶部3に記憶された通行履歴情報31の中から登録車両の通行履歴を抽出する(ステップS101)。
【0104】
つづいて、制御部2は、抽出した各通行履歴について、識別情報(WCN)および車両番号(車番)の検出時刻差を算出する(ステップS102)。
【0105】
つづいて、制御部2は、算出した検出時刻差を階級とするヒストグラムを作成する(ステップS103)。
【0106】
つづいて、制御部2は、作成したヒストグラムに基づいて、所定の標準偏差における検出時刻差を関連付け期間Dとして設定し(ステップS104)、処理を終了する。
【0107】
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、設定装置(管理装置1)は、関連付け部23と、抽出部24と、設定部25とを備える。関連付け部23は、所定位置を通過する際に車両から検出した車両番号の検出時刻を基準とした所定の関連付け期間D内に車両から検出した車載器の識別情報を当該車両番号に関連付ける。抽出部24は、車両番号および識別情報を関連付けて生成された通行履歴の中から、所定の履歴条件を満たす通行履歴を抽出する。設定部25は、抽出した通行履歴に基づいて、所定の関連付け期間の長さを設定する。これにより、設定装置は、関連付け処理の精度を高めることができる。
【0108】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0109】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0110】
また、本発明は上記実施形態に係る限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、処理内容を矛盾させない領域で上述の実施形態を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述の実施形態のフローチャート及びシーケンス図に示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 管理装置
2 制御部
3 記憶部
10 路側機
11 取得装置
11R 通信可能範囲
12 撮像装置
12R 撮像範囲
21 取得部
22 検出部
23 関連付け部
24 抽出部
25 設定部
26 評価部
31 通行履歴情報
110 出入口
200 サーバ装置
D 関連付け期間
210 登録情報DB
R 領域
S 入退管理システム