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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008650
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】乗用型苗植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240112BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A01C11/02 311Z
A01B69/00 303T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110685
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AB12
2B043BA02
2B043BB06
2B043EB05
2B043EB08
2B043EB23
(57)【要約】
【課題】従来、水田圃場を走行しながら苗を植え付ける乗用型苗植機において、走行車体前部の左右に設けた予備苗フレームにGPSアンテナを設けたものがある。乗用型苗植機は、多段の予備苗載台や折畳み状態と水平状態に姿勢変更自在の苗箱レールを設けた機体の上方に向けて高く延びる予備苗フレームにGPSアンテナを設けており、予備苗フレームが上方に突出したままで機体の格納性に課題があった。そこで、格納性が良い乗用型苗植機を提供する。
【解決手段】走行車体2の後部に苗載置台31を装備した苗植付部30を装着し、走行車体2の前端部の左右中央位置に設けたアンテナ支持フレーム40上部にGPSアンテナ50を設けた乗用型苗植機において、該アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)と倒伏状態(ロ)に姿勢変更自在に設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に苗載置台(31)を装備した苗植付部(30)を装着し、走行車体(2)の前端部の左右中央位置に設けたアンテナ支持フレーム(40)上部にGPSアンテナ(50)を設けた乗用型苗植機において、該アンテナ支持フレーム(40)を略直立した起立状態(イ)と倒伏状態(ロ)に姿勢変更自在に設けたことを特徴とする乗用型苗植機。
【請求項2】
アンテナ支持フレーム(40)を平行な左右縦フレーム(41L,41R)と該左右縦フレーム(41L,41R)を姿勢変更する基部が機体に枢支された回動支持フレーム(43)にて構成し、アンテナ支持フレーム(40)を水平状の倒伏状態(ロ)にした時に左右縦フレーム(41L,41R)が走行車体(2)前部から後部まで亘り、その左右縦フレーム(41L,41R)の上部に苗箱(N)を載置及び前後方向にスライド移動自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の乗用型苗植機。
【請求項3】
アンテナ支持フレーム(40)を水平状の倒伏状態(ロ)にした時に、左右縦フレーム(41L,41R)の傾斜角度を変更自在に構成したことを特徴とする請求項2に記載の乗用型苗植機。
【請求項4】
GPSアンテナ(50)を左右縦フレーム(41L,41R)の上端の前方に突出した状態で固定したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の乗用型苗植機。
【請求項5】
左右縦フレーム(41L,41R)の間隔(D)を機体左右中央部に設けたステアリングハンドル(9)及び操縦席(8)の左右幅よりも広く設けたことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の乗用型苗植機。
【請求項6】
左右縦フレーム(41L,41R)の間隔を機体左右中央部に設けたステアリングハンドル(9)及び操縦席(8)の左右幅よりも広く設けたことを特徴とする請求項4に記載の乗用型苗植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体に苗植付部を装着した乗用型苗植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水田圃場を走行しながら苗を植え付ける乗用型苗植機において、走行車体前部の左右に設けた予備苗フレームにGPSアンテナを設けたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-076116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗用型苗植機は、多段の予備苗載台や折畳み状態と水平状態に姿勢変更自在の苗箱レールを設けた機体の上方に向けて高く延びる予備苗フレームにGPSアンテナを設けており、予備苗フレームが上方に突出したままで機体の格納性に課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、格納性が良い乗用型苗植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行車体2の後部に苗載置台31を装備した苗植付部30を装着し、走行車体2の前端部の左右中央位置に設けたアンテナ支持フレーム40上部にGPSアンテナ50を設けた乗用型苗植機において、該アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)と倒伏状態(ロ)に姿勢変更自在に設けた乗用型苗植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)と倒伏状態(ロ)に姿勢変更自在に設けたので、アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)にしてGPSアンテナ50が機体の高い位置にある状態にすることにより、衛星測位システムを適切に作動させて作業や路上走行を行うことができる。
【0008】
また、アンテナ支持フレーム40を倒伏状態(ロ)にすれば機体高さが低くなり低い納屋等にも格納できて格納性が良い。
【0009】
請求項2記載の発明は、アンテナ支持フレーム40を平行な左右縦フレーム41L,41Rと該左右縦フレーム41L,41Rを姿勢変更する基部が機体に枢支された回動支持フレーム43にて構成し、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)にした時に左右縦フレーム41L,41Rが走行車体2前部から後部まで亘り、その左右縦フレーム(41L,41R)の上部に苗箱Nを載置及び前後方向にスライド移動自在に構成した請求項1に記載の乗用型苗植機である。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、アンテナ支持フレーム40を平行な左右縦フレーム41L,41Rと該左右縦フレーム41L,41Rを姿勢変更する基部が機体に枢支された回動支持フレーム43にて構成し、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)にした時に左右縦フレーム41L,41Rが走行車体2前部から後部まで亘り、その上部に苗箱Nを載置及び前後方向にスライド移動自在に構成したので、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更すれば、機体左右中央位置にある左右縦フレーム41L,41Rが苗箱レールを兼用し、圃場内で走行車体2前部を畦や道路に着けて、畦や道路に居る作業者が左右縦フレーム41L,41R前部に容易に苗箱Nを畦や道路から載置供給でき、機体上の作業者は該左右縦フレーム41L,41Rに載置された苗箱Nを後方にスライド移動させて、機体後方の苗植付部30の苗載置台31に効率良く且つ容易に供給することができる。
【0011】
また、アンテナ支持フレーム40は走行車体2の左右中央部にあるので、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更した時、苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41Rが苗植付部30の苗載置台31の左右中央に位置し、苗載置台31の各苗載せ面に作業性良く容易に苗供給することができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)にした時に、左右縦フレーム41L,41Rの傾斜角度を変更自在に構成した請求項2に記載の乗用型苗植機である。
【0013】
請求項4記載の発明は、GPSアンテナ50を左右縦フレーム41L,41Rの上端の前方に突出した状態で固定した請求項2または請求項3に記載の乗用型苗植機である。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、GPSアンテナ50を左右縦フレーム41L,41Rの上端の前方に突出した状態で固定したので、GPSアンテナ50下面が左右縦フレーム41L,41R上を前方に向けてスライド移動してきた苗箱Nのストッパとして機能し、適切に左右縦フレーム41L,41R前部位置に苗箱Nを移動規制して停止できる。
【0015】
請求項5記載の発明は、左右縦フレーム41L,41Rの間隔Dを機体左右中央部に設けたステアリングハンドル9及び操縦席8の左右幅よりも広く設けた請求項1~請求項3の何れか1項に記載の乗用型苗植機である。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、左右縦フレーム41L,41Rの間隔Dを機体左右中央部に設けたステアリングハンドル9及び操縦席8の左右幅よりも広く設けたので、アンテナ支持フレーム40を倒伏状態(ロ)に姿勢変更しても、作業者は左右縦フレーム41L,41Rの間隔D内で操縦席8に着座してステアリングハンドル9を操作して機体を操縦できる。
【0017】
請求項6記載の発明は、左右縦フレーム41L,41Rの間隔を機体左右中央部に設けたステアリングハンドル9及び操縦席8の左右幅よりも広く設けた請求項4に記載の乗用型苗植機である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の作用説明用の側面図である。
図2】同乗用型田植機の作用説明用の平面図である。
図3】同乗用型田植機の要部の斜視図である。
図4】同要部の斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態を示す作用説明用の側面図である。
図6】同第2実施形態を示す作用説明用の斜視図である。
図7】同第2実施形態を示す作用説明用の側面図である。
図8】(A)、(B)本発明の上部カバーと前部カバーの別実施形態を示す斜視図である。
図9】本発明の第3実施形態を示す作用説明用の側面図である。
図10】同第3実施形態を示す作用説明用の斜視図である。
図11】本発明の第4実施形態を示す作用説明用の側面図である。
図12】同第4実施形態を示す作用説明用の斜視図である。
図13】同第4実施形態を示す作用説明用の平面図である。
図14】同第4実施形態を示す作用説明用の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本願の開示する乗用型苗植機の実施形態である乗用型田植機を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
<全体構成>
図1及び図2に示すように、乗用型田植機1は、水田圃場を走行可能な走行車体2を備える。走行車体2は、左右一対の前輪3と、左右一対の後輪4とを備える。なお、走行車体2は、前輪3及び後輪4が駆動する四輪駆動車である。
【0021】
走行車体2の後部には、昇降装置によって昇降駆動される苗植付部30が装着されている。
【0022】
走行車体2前端部の中央位置に設けたアンテナ支持フレーム40上部には、GPSアンテナ50が設けられている。
【0023】
<走行車体2>
走行車体2は、機体フレームと、機体フレーム上に設けられたエンジンEと、エンジンEで発生した動力を前後輪3,4、苗植付部30に伝達する動力伝達装置とを備える。すなわち、動力源であるエンジンEで発生した動力は、走行車体2を前進または後進させるために使用されるだけでなく、苗植付部30を駆動するためにも使用される。
【0024】
エンジンEは、走行車体2の前部に搭乗される。なお、エンジンEとしては、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。
【0025】
エンジンEの上部は、ボンネット6に覆われている。ボンネット6の左右両側方及び後方には、フロアステップ7が設けられている。
【0026】
フロアステップ7は、機体フレーム上に取り付けられる。フロアステップ7のうち、たとえば、後述する操縦席8付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを水田圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0027】
フロアステップ7の後部中央部は、凸状に形成されており、その上面に操縦席8が設けられている。
【0028】
フロアステップ7の後端部には、高く構成された後輪4のフェンダを兼ねるリヤステップ7Rが設けられている。
【0029】
動力伝達装置は、エンジンEから動力が伝達されるベルト式動力伝達部と、エンジンEからベルト式動力伝達部を介して伝達される動力を変速する変速装置である静油圧式無段変速機と、ミッションケースとを備える。
【0030】
静油圧式無段変速機は、ボンネット6上端後部の操作パネル部に設けた主変速レバーが操作されることで、出力(回転速度)と出力方向(回転方向)とを変更可能である。すなわち、静油圧式無段変速機は、回転速度や回転方向を変更することで、走行車体2の前後進や走行速度を変更可能である。
【0031】
ミッションケースには、静油圧式無段変速機によって変速されたエンジンEからの動力を各部に伝達する伝動装置が設けられる。ミッションケースは、走行時や作業時における走行速度を切り替える副変速機構を備える。ミッションケースは、ボンネット6上端後部の操作パネル部に設けた副変速レバーが操作されると、走行車体2の走行速度を、植付作業時における苗植付速度と苗植付速度よりも高速な路上走行速度に切り替える。
【0032】
走行車体2は、フロアステップ7上に操縦席8を備える。操縦席8は、作業者が操縦時に着席する座席である。走行車体2は、操縦席8の前方に、ステアリングハンドル9や植付レバーなどを備える。
【0033】
ステアリングハンドル9は、走行車体2のボンネット6上部の後方中央位置に設けられ、作業者に回動操作されることで、左右前輪3が操向されて走行車体2を操舵するものである。
【0034】
走行車体2は、操作パネル部に植付レバーを備える。植付レバーは、苗植付部30を昇降させたり、苗植付部30による苗の植え付けを開始及び停止させるために操作するレバーである。
【0035】
また、走行車体2は、主変速レバーと副変速レバーとを備える。主変速レバーは、静油圧式無段変速機を変速操作して走行車体2の前後進及び走行速度を変更する場合に操作されるレバーである。副変速レバーは、走行車体2の走行速度を、走行する場所(水田圃場や路上)に応じた速度に切り替える場合に操作されるレバーである。
【0036】
また、ボンネット6は、走行車体2前部でフロアステップ7左右中央部から上方に突出して設けられ、前述のように内部にエンジンEが搭載されている。
【0037】
ボンネット6上部には、操作パネル部が設けられる。操作パネル部は、操縦席8に着席して前方を向いた作業者と対面するように、後下がりに傾斜した表示面を有する。
【0038】
操作パネル部は、たとえば、水田圃場面に直進の目安となる進行基準線を形成する後述する線引きマーカが走行車体の左右側部に出ていることを検知するマーカセンサ、植付レバーの操作位置を検知する植付レバーポジションセンサなどの各種センサ類からの情報を表示する。
【0039】
乗用型田植機1は、昇降装置と苗植付部30を備える。昇降装置は、昇降リンクを備える。昇降リンクは、走行車体2の後部と苗植付部30とを連結する平行リンクであり、走行車体2の後部のリンクフレームと苗植付部30とのそれぞれに対して上下方向に回動自在に連結されることで、走行車体2に対して苗植付部30を昇降可能に連結する。
【0040】
また、昇降装置は、油圧式の昇降シリンダを備える。昇降シリンダは、植付レバーが操作されて油圧バルブが切り替えられることで、伸縮動作する。昇降シリンダは、伸縮動作することで昇降リンクを駆動して、苗植付部30を昇降させる。すなわち、昇降シリンダは、植付レバーが操作されることで、苗植付部30を上昇させた非作業位置、苗植付部30を下降させた対地作業位置(植付位置)に切り替える。
【0041】
<苗植付部30>
苗植付部30は、上記したように、昇降リンクを介して走行車体2の後部に取り付けられる。苗植付部30は、たとえば、複数の列(条)で苗を植え付けることが可能である。苗植付部30は、苗載置台31と、フロート32と、植付装置とを備える。
【0042】
苗載置台31は、機体の左右方向において、植付条数分の6つの苗載せ面を有する。各苗載せ面は、上下方向に複数枚のマット状土付苗を載置可能な後下がりの傾斜面である。フロート32は、走行車体2の移動に伴い水田圃場の泥面上を滑走しながら整地する。フロート32は、機体の左右方向において、機体中央部に配置されるセンターフロートと、センターフロートを挟んで左右方向の外側に配置されるサイドフロートとを備える。
【0043】
フロート32(センターフロート及びサイドフロート)は、水田圃場面の凹凸に応じて前部が上下動するように、走行車体2に後部が回動自在に取り付けられ、センターフロート前部の上下動を迎角制御用の回動センサで検知する。苗植付部30では、植付作業時にはセンターフロートの前部の上下動が回動センサによって検知され、回動センサの検知結果に応じて制御部によって昇降シリンダの伸縮動作を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部30を昇降させ、苗の植え付け深さを自動制御で調節することができる。
【0044】
植付装置は、苗載置台31の植付支持フレームによって支持されることで、苗載置台31の下方に配置される。植付装置は、苗載置台31に載置されたマット状土付苗を水田圃場に植え付ける。植付装置は、植込杆とロータリーケースを備える。植込杆は、苗載置台31に載置されたマット状土付苗から一株分の苗をとって水田圃場面に植え付ける。
【0045】
<アンテナ支持フレーム>
前述のように、走行車体2前端部の中央位置に設けたアンテナ支持フレーム40上部には、GPSアンテナ50が設けられている。
【0046】
図1図3に示すように、アンテナ支持フレーム40は、フロアステップ7下方位置から機体上方位置まで延びる平行な左右縦フレーム41L,41Rの上端を上部横フレーム42にて連結し、上下中央部を門型状の回動支持フレーム43にて連結して構成される。
【0047】
アンテナ支持フレーム40の上部横フレーム42には、GPSアンテナ50が左右縦フレーム41L,41Rの上端の前方に突出した状態で固定されている。
【0048】
アンテナ支持フレーム40の回動支持フレーム43は、左右基部をボンネット6の左右側面に左右枢支軸43aにて回動自在に支持され、固定機構にて所定位置で回動を固定できる構成となっている。
【0049】
アンテナ支持フレーム40の左右縦フレーム41L,41Rには、L字状のレール部材44L,44Rが設けられ、該レール部材44L,44Rに苗箱Nが横にして載置してスライド自在に構成される(図面は略示している)。即ち、アンテナ支持フレーム40の左右縦フレーム41L,41Rは、苗箱レールを兼用している。
【0050】
従って、アンテナ支持フレーム40は、略直立した起立状態(イ)と水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更自在である。
【0051】
そして、アンテナ支持フレーム40の左右縦フレーム41L,41Rの間隔Dは、ボンネット6の左右幅、ステアリングハンドル9の左右幅及び操縦席8の左右幅よりも広く設定している。
【0052】
よって、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更しても、作業者は左右縦フレーム41L,41Rの間隔D内で操縦席8に着座してステアリングハンドル9を操作して機体を操縦できる。
【0053】
また、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更した際に、回動支持フレーム43の固定機構にて、水平状態、前上がり傾斜状態及び後上がり傾斜状態の所定の角度で固定することができる。
【0054】
以上要するに、アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)に固定してGPSアンテナ50が機体の高い位置にある状態にすることにより、衛星測位システムを適切に作動させて作業や路上走行を行うことができる。
【0055】
また、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更すれば、機体左右中央位置にある左右縦フレーム41L,41Rが苗箱レールを兼用し、圃場内で走行車体2前部を畦や道路に着けて、畦や道路に居る作業者が左右縦フレーム41L,41R前部に容易に苗箱Nを畦や道路から載置供給でき、機体上の作業者は該左右縦フレーム41L,41Rに載置された苗箱Nを後方にスライド移動させて、機体後方の苗植付部30の苗載置台31に効率良く且つ容易に供給することができる。
【0056】
また、アンテナ支持フレーム40は走行車体2の左右中央部にあるので、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更した時、苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41Rが苗植付部30の苗載置台31の左右中央に位置し、苗載置台31の6つの苗載せ面に作業性良く容易に苗供給することができる。
【0057】
また、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更した際に、回動支持フレーム43の固定機構にて、水平状態、前上がり傾斜状態及び後上がり傾斜状態の所定の角度で固定することができるので、苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41Rを水平状態、前上がり傾斜状態及び後上がり傾斜状態に固定することができる。
【0058】
従って、例えば、畦や道路に居る作業者が左右縦フレーム41L,41R前部に苗箱Nを畦や道路から載置して、該左右縦フレーム41L,41Rに載置された苗箱Nを後方にスライド移動させて、機体後方の苗植付部30の苗載置台31に供給する際には、苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41Rを前上がり傾斜状態に固定しておけば、左右縦フレーム41L,41R前部に載置された苗箱Nが自重で後方にスライド移動するので、機体上の作業者は左右縦フレーム41L,41R後端部に居てスライド移動してきた苗箱Nを苗載置台31に供給すればよく、作業性が良い。
【0059】
この時、GPSアンテナ50が左右縦フレーム41L,41Rの上端の前方に突出した状態で固定されているので、GPSアンテナ50下面が苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41R上を前方に向けてスライド移動してきた苗箱Nのストッパとして機能し、適切に苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41R前部位置に苗箱Nを移動規制して停止できる。
【0060】
また、苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41Rを後上がり傾斜状態に固定しておけば、苗載置台31に苗供給した後の空になった苗箱Nを苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41R後端部に載置すれば、苗箱Nが自重で前方にスライド移動し、畦や道路に居る作業者が左右縦フレーム41L,41R前部にスライド移動してきた苗箱Nを機体から取り出して畦や道路に容易に回収することができる。
【0061】
また、圃場内で機体が前後傾斜した状態で停止しても、回動支持フレーム43の固定機構にて、苗箱レールを兼用する左右縦フレーム41L,41Rを水平状態に調節して固定できる。
【0062】
乗用型田植機1を納屋等に格納する場合には、アンテナ支持フレーム40を水平な倒伏状態(ロ)にすれば機体高さが低くなり低い納屋等にも格納できる。
【0063】
更に、図4に示すように、アンテナ支持フレーム40を水平な倒伏状態(ロ)にして、左右縦フレーム41L,41R上に載置板55並べて載せて、上から格納カバー60で覆う。
【0064】
従って、アンテナ支持フレーム40が格納カバー60の支持ステーとして機能し、格納カバー60がボンネット6、ステアリングハンドル9及び操縦席8をきれいに覆うことができる。
【0065】
また、アンテナ支持フレーム40を覆った格納カバー60上が載置台となって物置として活用できる。なお、フロアステップ7も物置として活用できるので、2段の物置として活用できる。
【0066】
<別実施形態>
【0067】
(1)図5図7は、アンテナ支持フレーム40の第2実施形態を示す。
【0068】
即ち、アンテナ支持フレーム40の左右縦フレーム41L,41Rにボンネット6の上部カバー6aと前部カバー6bをスライド移動及び所定の位置で固定自在に設けている。
【0069】
従って、図5及び図6に示すように、アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)に固定して、上部カバー6aと前部カバー6bを左右縦フレーム41L,41Rの最下端部までスライド移動して固定すると、上部カバー6aと前部カバー6bはボンネット6の他のカバーと一体状態となって通常作業時のボンネット6となる。
【0070】
そして、メンテナンス時には、上部カバー6aと前部カバー6bを左右縦フレーム41L,41Rに沿って上方に移動させて固定すると、ボンネット6の上方及び前方が全開放され、作業者の手や身体をボンネット6内に近づけやすくてメンテナンスが容易に行える。
【0071】
また、図7に示すように、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更して固定し、上部カバー6aと前部カバー6bを左右縦フレーム41L,41Rに沿ってスライド移動させると、該前部カバー6bが載置面となり、前部カバー6b上に苗箱Nや肥料などの育苗資材を載せて容易に機体前部から後部に移動させることができ、作業労力軽減が図れる。
【0072】
図8(A)、(B)は、上部カバー6aと前部カバー6bの別実施形態で、上部カバー6aと前部カバー6bを接合部6c’にて回動自在に連結し、上部カバー6aと前部カバー6bが互いに折れ曲がって連結したボンネット形状状態Aと上部カバー6aと前部カバー6bの上面が同一平面となる同一平面状態Bに姿勢変更自在としている。
【0073】
また、上部カバー6a前部にヘッドライト6dを設け、上部カバー6aと前部カバー6bの上面が同一平面となる同一平面状態Bに姿勢変更した際には、ヘッドライト6dが同一平面の内方に隠される構成としている。
【0074】
従って、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更して固定し、上部カバー6aと前部カバー6bの上面が同一平面となる同一平面状態Bに姿勢変更して上部カバー6aと前部カバー6bを左右縦フレーム41L,41Rに沿ってスライド移動させると、上部カバー6aと前部カバー6bの上面が広い載置面となり、多くの苗箱Nや肥料などの育苗資材を載せて容易に機体前部から後部に移動させることができ、作業労力軽減が図れる。
【0075】
また、アンテナ支持フレーム40から下方に上部カバー6aが突出しないので、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更する場合の上下位置を低くなるように設定してもステアリングハンドル9や操縦席8と干渉しない。よって、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に姿勢変更する場合の上下位置を低くなるように設定して、作業労力の軽減が更に図れる。
【0076】
また、上部カバー6a前部にヘッドライト6dを設け、上部カバー6aと前部カバー6bの上面が同一平面となる同一平面状態Bに姿勢変更した際には、ヘッドライト6dが同一平面の内方に隠されるので、上部カバー6aと前部カバー6bの上面に苗箱Nや肥料などの育苗資材を載せてもヘッドライト6dが損傷することがない。
【0077】
(2)図9は、アンテナ支持フレーム40の第3実施形態を示す。
【0078】
即ち、アンテナ支持フレーム40の左右縦フレーム41L,41R下部にボンネット6の上部カバー6aと前部カバー6bを固定している。
【0079】
従って、アンテナ支持フレーム40を略直立した起立状態(イ)に固定すると、上部カバー6aと前部カバー6bはボンネット6の左右側部カバー6cと一体状態となって通常作業時のボンネット6となる。
【0080】
そして、メンテナンス時には、アンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に固定すると、上部カバー6aと前部カバー6bは左右縦フレーム41L,41Rと共に上方に回動して開いてボンネット6の上方及び前方が全開放され、作業者の手や身体をボンネット6内に近づけやすくてメンテナンスが容易に行える。
【0081】
また、左右側部カバー6cを左右枢支軸43aにて回動自在に支持し、上部カバー6aと前部カバー6bに連結及び連結解除自在に構成する。
【0082】
従って、左右側部カバー6cを上部カバー6aと前部カバー6bに連結すれば、図10に示すように、メンテナンス時にアンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に固定すると、上部カバー6aと前部カバー6bと左右側部カバー6cは左右縦フレーム41L,41Rと共に上方に回動して開いてボンネット6の上方、前方及び左右側方が全開放され、更に作業者の手や身体をボンネット6内に近づけやすくてメンテナンスが容易に行える。
【0083】
また、左右側部カバー6cを上部カバー6aと前部カバー6bに対して連結解除すれば、メンテナンス時にアンテナ支持フレーム40を水平状の倒伏状態(ロ)に固定すると、上部カバー6aと前部カバー6bのみが左右縦フレーム41L,41Rと共に上方に回動して開いてボンネット6の上方及び前方が開放される。
【0084】
(3)図11図14は、走行車体2後部上に機体左右方向に長い苗レール70を設けた第4実施形態を示す。
【0085】
即ち、苗レール70は、前部レール71と後部レール72の一対で構成され、前部レール71と後部レール72を対向配置した状態で、苗箱Nまたは苗箱Nから苗救い板で掬い取った苗を載せた状態の苗救い板を前後方向に長い状態で載置でき、また、載置した苗箱Nまたは苗救い板を苗レール70上で機体左右方向にスライド移動することができる。
【0086】
特に、前部レール71は、左右レール71aと中央レール71bに分割構成している。
【0087】
左右レール71aは、後部レール72に対向して配置され、機体に固定されている。
【0088】
中央レール71bは、左右長さが操縦席8の左右幅よりも少し長く、機体に枢支軸75にて枢支されている。
【0089】
更に詳述すると、機体に回動自在に設けた枢支軸75に操縦席8が固定され、該操縦席8の背凭れ部後面に配置され基部が枢支軸75に固定された左右支持杆76先端に中央レール71bが固定されている。
【0090】
従って、中央レール71bと操縦席8は一体で枢支軸75まわりに回動し、操縦席8が着座可能状態で中央レール71bが後方上方位置する状態(図11図13に示す状態)と操縦席8が背凭れが下方を向いた収納状態で中央レール71bが左右レール71aと一直線になり後部レール72と対向した状態(図14に示す状態)に切り換え固定自在に構成されている。
【0091】
また、リヤステップ7Rの左右中央部は、一段低く構成された窪み部7aとなっている。
【0092】
そして、窪み部7aの左右幅は、操縦席8の左右幅よりも広く、操縦席8が枢支軸75まわりに回動する際に、背凭れ部が当たらないような窪みとなっている。
【0093】
従って、リヤステップ7Rの左右中央部に窪み部7aが設けられているので、操縦席8が枢支軸75まわりに回動する際にリヤステップ7Rに干渉せずに苗レール70を比較的低い位置に配置することができ、苗レール70への苗箱Nまたは苗救い板の供給作業や苗レール70に載置した苗箱Nまたは苗救い板から苗植付部30の苗載置台31への苗供給作業が容易に且つ作業性良く行える。
【0094】
また、中央レール71bと操縦席8の枢支軸75は、側面視で前部レール71と後部レール72の中間位置に配置されており、即ち、操縦席8が苗レール70内に入り込んだ位置に配置されており、操縦席8の後方に苗レール70を設けた構成と比較して、機体長さを短く構成できて、圃場内での走行性能及び作業性能が向上する。
【0095】
また、リヤステップ7R左右中央部の窪み部7a下方位置に燃料タンク80を配置し、窪み部7a前部位置に燃料供給口80aを設けている。
【0096】
従って、燃料タンク80を機体の低い位置に配置して、機体重心を低くすることができ、走行性能が向上する。
【0097】
また、窪み部7a前部位置に燃料供給口80aを設けているので、操縦席8が背凭れが下方を向いた収納状態で中央レール71bが左右レール71aと一直線になり後部レール72と対向した状態(図14に示す状態)に切り換えれば、窪み部7a前部位置に設けた燃料供給口80a部分が開放されて、容易に燃料供給が行える。
【0098】
また、操縦席8が背凭れが下方を向いた収納状態で中央レール71bが左右レール71aと一直線になり後部レール72と対向した状態(図14に示す状態)に切り換えて、苗レール70への苗箱Nまたは苗救い板の供給作業や苗レール70に載置した苗箱Nまたは苗救い板から苗植付部30の苗載置台31への苗供給作業を行うが、この時、操縦席8が背凭れが下方を向いた収納状態になっているので、苗箱Nまたは苗救い板から落ちる泥土や泥水で操縦席8の座面や背凭れ面が汚れることが防止できる。
【0099】
また、操縦席8が収納状態になっており、苗レール70前方に操縦席8がないので、作業者は苗レール70への苗箱Nまたは苗救い板の供給作業や苗レール70に載置した苗箱Nまたは苗救い板から苗植付部30の苗載置台31への苗供給作業が容易に且つ作業性良く行える。
【符号の説明】
【0100】
2 走行車体
8 操縦席
9 ステアリングハンドル
30 苗植付部
31 苗載置台
40 アンテナ支持フレーム
41L 左縦フレーム
41R 右縦フレーム
43 回動支持フレーム
50 GPSアンテナ
D 間隔
N 苗箱
(イ) 起立状態
(ロ) 倒伏状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14