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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086503
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】カラス捕獲具
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/24 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A01M23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201665
(22)【出願日】2022-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】515027439
【氏名又は名称】工藤 まほ
(71)【出願人】
【識別番号】515027048
【氏名又は名称】河野 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三重野 丈一
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BA25
2B121EA21
2B121FA02
(57)【要約】
【課題】1人でも容易に設置でき、捕獲対象物を捕獲した後でも容易に再設置できると共に捕獲対象物を確実に捕獲可能なカラス捕獲具を提供する。
【解決手段】この発明は、底面メッシュを張設した底部フレームと、天井メッシュを張設した天井フレームと、底面メッシュと天井メッシュとは互いに上下対応して形成し、その間の空間に形成したカラス捕獲用空間と、天井フレームをフレーム折り返し部を中心として回動自在に構成すると共に、カラス待ち状態でカラス捕獲用空間を開放状態とした天井フレームをカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構と、天井フレームの先端フレーム部と底部フレームの基端フレーム部とを一体に連結したロック機構と、外力をパラメータとしてロック機構を解除するためのロック解除機構とで構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面メッシュを張設した底部フレームと、
天井メッシュを張設した天井フレームと、
底面メッシュと天井メッシュとは互いに上下対応して形成し、その間の空間に形成したカラス捕獲用空間と、
天井フレームを底部フレームの略中間部分に設けたフレーム折り返し部を中心として回動自在に構成すると共に、カラス待ち状態でカラス捕獲用空間を開放状態とした天井フレームをカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構と、
天井フレームの先端フレーム部と底部フレームの基端フレーム部とを一体に連結したロック機構と、
外力をパラメータとしてロック機構を解除するためのロック解除機構と、
よりなるカラス捕獲具。
【請求項2】
ロック機構は、底部フレームに起立自在に枢支した固定杆支持板には固定杆挿入穴を穿設すると共に、天井フレームの先端フレーム部上面には固定杆を交差状に載置すると共に、固定杆の先端部は固定杆支持板の固定杆挿入穴に挿入して、固定杆を介して天井フレームにおける先端フレーム部と底部フレームに枢支連設した固定杆支持板とを一体作動可能に連結して天井フレームの跳ね上がりを抑制するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のカラス捕獲具。
【請求項3】
固定杆支持板の長手方向に沿って固定杆挿入孔を複数穿設したことを特徴とする請求項2に記載のカラス捕獲具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラスの捕獲具に関する。
【0002】
従来、カラスなどの鳥類の捕獲は、天面に鳥類が侵入するための開口部を設け、この開口部の周縁に返し針を垂設することにより、開口部を通じて罠内に侵入した鳥類が再び開口部を通じて脱出することを規制する箱罠や、捕獲用の網を圧縮空気と共に発射筒内に収納し、筒内に収納された網を捕獲対象物に発射することで捕獲する投網式の捕獲具が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1には、箱形に形成された捕獲篭本体と、捕獲篭本体の上部に設けた飛来口と、飛来口近傍に垂設した脱出防止部材と、を備えたカラス捕獲装置が記載されている。このカラス捕獲装置は、飛来口近傍に脱出防止部材を垂設した構成により、捕獲篭本体の内部空間に侵入したカラスが捕獲篭本体から脱出しようと試みても飛来口近傍に垂設した脱出防止部材が飛行中のカラスの羽根と接触してカラスの飛行を妨害し、飛来口からカラスが脱出することを防止できるように構成されている。
このように特許文献1のカラス捕獲装置では、カラスが侵入するための侵入口の近傍にカラスの飛行を阻害する脱出防止部材を設けるだけの単純な構造で捕獲したカラスの脱出を防止できるように構成している。
【0004】
特許文献2には、圧縮空気の充填および鳥類を捕獲するための網を収納可能とする発射筒を備えた捕獲装置について記載されている。この捕獲装置は、捕獲対象物に発射筒の発射口を向けて捕獲対象物に接近し、引き金を引くことにより発射口から捕獲用の網を捕獲対象物に発射して捕縛できる構成としている。
このように特許文献2の捕獲装置では、捕獲装置の捕獲操作を単純化することで鳥類の捕獲行為を誰でも容易に行える捕獲具の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-290137号公報
【特許文献2】特開2002-355323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の鳥類の捕獲具では、大量に鳥類を捕獲でき、さらには、捕獲した鳥類が罠から逃げ出すことができない構造を実現しているものの、罠構造が大規模であるため、1人での設置作業が困難であり、罠設置に多大な労力を必要としていた。
また、特許文献1に記載の箱罠で鳥類を捕獲した場合、箱罠内から鳥類を移送する時に捕獲した鳥類を箱罠内で再度捕獲する必要があり、同一の捕獲対象物を2度捕獲することから、鳥類の捕獲が手間であった。
【0007】
また、特許文献2に記載されている投網タイプの鳥類の捕獲具では、捕獲対象物を捕獲するために捕獲対象物の近傍まで接近する必要があり、捕獲網の発射前に逃げられる虞があった。また、特許文献2に記載の捕獲具では、発射口から投射された網が自然落下することで捕獲する構成のため、捕獲網が落下するまでの間に捕獲対象物が逃走する虞があり、確実に捕獲対象物を捕獲できるものではなかった。
また、一度捕獲用の網を発射した後には、再度、投射用具内に捕獲用の網が絡まることなく収納する必要があり、捕獲前の準備が手間であった。
【0008】
本発明は、かかる従来の課題を解決すべく、1人でも容易に設置でき、一度捕獲対象物を捕獲した後でも容易に再設置できると共に捕獲対象物を確実に捕獲可能なカラス捕獲具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、底面メッシュを張設した底部フレームと、天井メッシュを張設した天井フレームと、底面メッシュと天井メッシュとは互いに上下対応して形成し、その間の空間に形成したカラス捕獲用空間と、天井フレームを略中間部分に設けたフレーム折り返し部を中心として回動自在に構成すると共に、カラス待ち状態においてカラス捕獲用空間を開放状態とした天井フレームをカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構と、天井フレームの先端フレーム部と底部フレームの基端フレーム部とを一体に連結したロック機構と、外力をパラメータとしてロック機構を解除するためのロック解除機構と、よりなることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様は、ロック機構は、底部フレームに起立自在に枢支した固定杆支持板には固定杆挿入穴を穿設すると共に、天井フレームの先端フレーム部上面には固定杆を交差状に載置すると共に、固定杆の先端部は支持板の固定杆挿入穴に挿入して、固定杆を介して天井フレームにおける先端フレーム部と底部フレームに枢支連設した固定杆支持板とを一体作動可能に連結して天井フレームの跳ね上がりを抑制するように構成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様は、固定杆支持板の長手方向に沿って固定杆挿入穴を複数穿設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、底面メッシュを張設した底部フレームと、天井メッシュを張設した天井フレームと、底面メッシュと天井メッシュとは互いに上下対応して形成し、その間の空間に形成したカラス捕獲用空間と、天井フレームをフレーム折り返し部を中心として回動自在に構成すると共に、カラス待ち状態においてカラス捕獲用空間を開放状態とした天井フレームをカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構と、天井フレームの先端フレーム部と底部フレームの基端フレーム部とを一体に連結したロック機構と、外力をパラメータとしてロック機構を解除するためのロック解除機構と、よりなるため、捕獲具全体が簡易的に構成されており、1人でも容易に設置できる。
【0013】
また、天井フレームの先端フレーム部と底部フレームの基端フレーム部とをロック機構で一体に連結し、天井フレームと底部フレームとの一体連結状態をロック解除機構で解除し、閉鎖付勢機構の付勢力でカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に天井フレームを回動して鳥類を捕獲する構成のため、天井フレームでカラス捕獲用空間を早く閉鎖して捕獲対象物を確実に捕獲できるとともに、天井フレームを底部フレームにロック機構を介して一体に連結するだけの簡易な構成であるため、1度捕獲具を作動した後にも容易に設置し直すことができる。
【0014】
また、天井フレームをフレーム折り返し部を中心として回動自在に構成すると共に、カラス待ち状態においてカラス捕獲用空間を開放状態とした天井フレームをカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構を備えた構成により、カラス捕獲用空間にカラスが飛来してロック解除機構を引っ張るだけで自動的にカラスを捕獲することができる。すなわち、罠の傍に罠設置者が待機することなく罠を作動することができ、また、罠作動後は、閉鎖付勢機構により、カラス捕獲用空間が閉鎖されているため、捕獲したカラスをカラス捕獲用空間に留めておくことができる。また、設置した罠の近傍に罠設置者がいないため、警戒心を抱かせることなくカラスを接近させることができる。つまり、カラスが無警戒で捕獲罠に接近するため、カラスの捕獲確率を向上させることができる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、ロック機構は、底部フレームに起立自在に枢支した固定杆支持板には固定杆挿入穴を穿設すると共に、天井フレームの先端フレーム部上面には固定杆を交差状に載置すると共に、固定杆の先端部は支持板の固定杆挿入穴に挿入して、固定杆を介して天井フレームにおける先端フレーム部と底部フレームに枢支連設した固定杆支持板とを一体作動可能に連結して天井フレームの前半部の跳ね上がりを抑制するように構成したため、カラスが飛来して底部フレームの露出した底面メッシュ上に降り立つと底面メッシュの露出部分に伸延張設したロック解除機構である捕獲ワイヤにカラス脚体が係合して捕獲ワイヤが引っ張られることで底部フレームの基端フレーム部に設けたロック機構が解除されて天井フレームがカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に回動し、カラスを捕獲することができる。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、固定杆支持板の長手方向に沿って固定杆挿入孔を複数穿設したため、設置環境に応じてロック機構を解除するための解除応力を調整でき、捕獲対象物が接近していない状態で不用意にロック機構が解除されることを防止して、捕獲対象物が接近した場合にだけ罠が作動するようにロック機構の解除応力を調整でき、捕獲対象物を確実に捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態におけるカラス捕獲具を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるカラス捕獲具の分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態におけるカラス捕獲具のロック機構と閉鎖付勢機構を示す拡大斜視図である。
図4】本発明の実施形態におけるカラス捕獲具の設置状態を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態におけるカラス捕獲具のロック機構の動作を示す模式図であり、(a)は天井フレームをロックした状態を示す図であり、(b)はロックが解除された状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態におけるカラス捕獲具の動作を示す模式図であり、(a)は罠を設置前の状態を示す図であり、(b)は罠を設置した状態を示す図であり、(c)は罠がカラスを捕獲した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の要旨は、底面メッシュを張設した底部フレームと、天井メッシュを張設した天井フレームと、底面メッシュと天井メッシュとは互いに上下対応して形成し、その間の空間に形成したカラス捕獲用空間と、天井フレームをフレーム折り返し部を中心として回動自在に構成すると共に、カラス待ち状態でカラス捕獲用空間を開放状態とした天井フレームをカラス捕獲用空間を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構と、天井フレームの先端フレーム部と底部フレームの基端フレーム部とを一体に連結したロック機構と、外力をパラメータとしてロック機構を解除するためのロック解除機構と、よりなることを特徴とする。
【0019】
また、ロック機構は、底部フレームに起立自在に枢支した固定杆支持板には固定杆挿入穴を穿設すると共に、天井フレームの先端フレーム上面には固定杆を交差状に載置すると共に、固定杆の先端部は支持板の固定杆挿入穴に挿入して、固定杆を介して天井フレームにおける先端フレーム部と底部フレームに枢支連設した固定杆支持板とを一体作動可能に連結して天井フレームの前半部の跳ね上がりを抑制するように構成したことにも特徴を有する。
【0020】
また、固定杆支持板の長手方向に沿って固定杆挿入孔を複数穿設したことにも特徴を有する。
【0021】
本発明の実施形態を図面に基づき詳説する。図1から図6は、本発明のカラス捕獲具Cの構成を示す図である。なお、本実施形態を説明する上で、図1の方向矢印で示した方向を前後方向・左右方向として説明する。また、図2および図5は、各部の構成を確認し易くするため底面メッシュ13および天井メッシュ44からなる網体Nの図示を省略している。
【0022】
カラス捕獲具Cは、図1に示すように、底部フレーム1と、フレーム折返し部43を介して底部フレーム1に回動自在に連結した天井フレーム4と、天井フレーム4をカラス捕獲用空間S(図6(c)参照)を閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構3と、を有する。
【0023】
底部フレーム1は、図1に示すように、フレーム本体10と、フレーム本体10の左右略中央部近傍に設けた付勢支持部11と、フレーム本体10の左右いずれかの一端部近傍に設けたロック解除機構固定部12と、フレーム本体10のロック解除機構固定部12が設けられた側と反対側の端部に設けたロック機構2と、フレーム本体10に張設してフレーム本体10の開口部を覆うように設けた底面メッシュ13を有する。なお、本実施形態においては、ロック解除機構固定部12をフレーム本体10の右半分に設けた先端フレーム部10b側に設けロック機構2をフレーム本体10の左半分に設けた基端フレーム部10a側に設けている。
【0024】
フレーム本体10は、図2に示すように、鉛直断面を略円形状とする中空状の金属パイプを折曲して平面視において略方形状に形成した枠体である。フレーム本体10は、左半分に設けた基端フレーム部10aと、右半分に設けた先端フレーム部10bとを有する。基端フレーム部10aおよび先端フレーム部10bの連結部近傍、すなわち、フレーム本体10の左右略中央部に付勢支持部11,11を対向配置している。また、フレーム本体10は、先端フレーム部10bにロック解除機構固定部12を設け、基端フレーム部10aにロック機構を設けている。
【0025】
付勢支持部11は、図2に示すように、基端フレーム部10aと先端フレーム部10bの連結部近傍に突設した枢支部11aと、基端フレーム部10aに枢支部11aと平行状に伸延した補強部11bと、枢支部11aと補強部11bの先端部に架設した回動固定部11cとを有する。付勢支持部11は、枢支部11aと補強部11bと回動固定部11cとにより略“コ”字状に形成している。付勢支持部11の枢支部11aには、後述する閉鎖付勢機構3を係合固定している。
【0026】
ロック解除機構固定部12は、断面略円形状で中空状に形成された直線状の金属パイプにより構成されており、先端フレーム部10bの先端部側の近傍であって、先端フレーム部10bを構成する前後フレーム部10b1,10b2に直線状に架設している。ロック解除機構固定部12には、後述するロック解除機構5の一端部を固設している。
【0027】
ロック機構2は、図2に示すように、支持固定部20と、支持固定部20に回動自在に連結した固定杆支持体21を有する。
支持固定部20は、フレーム本体10を構成する基端フレーム部10aに突設した固定支持部20aと、固定支持部20aの先端部から前後いずれかの方向に直角に屈曲した回動支持部20bとを有する。固定支持部20aおよび回動支持部20bは、それぞれ断面略円形状で中空状に形成された金属パイプからなる。支持固定部20は固定支持部20aと回動支持部20bにより略“L”字状に形成している。回動支持部20bには、固定杆支持体21を回動自在に連結している。
【0028】
固定杆支持体21は、図3に示すように、回動軸部21aと、回動軸部21aから伸延した固定杆支持板21bとを有する。回動軸部21aは、中空状の円筒体であり、前述の回動支持部20bに遊嵌している。固定杆支持板21bは、長円状の板体に構成しており、長手方向の一端部を回動軸部21aに溶接している。また、固定杆支持板21bは、固定杆挿入穴21cを長手方向に沿って一定間隔離隔して複数穿設している。固定杆挿入穴21cには、固定杆22を挿脱自在としている。
【0029】
固定杆22は、図3に示すように、基端フレーム部10a側の底面メッシュ13に係合固定するメッシュ係合部22aと、メッシュ係合部22aから伸延した係合固定部22bを有する。
メッシュ係合部22aは、環状に形成されており、その一部に切欠部を有する。メッシュ係合部22aは、切欠部を介して底面メッシュ13の一部を環状内部に挿通して底面メッシュ13に係合固定している。
係合固定部22bは、メッシュ係合部22aから直線状に伸延した円柱部であり、外径を固定杆挿入穴21cの内径よりも小径に形成している。すなわち、係合固定部22bは、固定杆支持板21bの固定杆挿入穴21cに挿脱自在に構成している。これにより、係合固定部22bを固定杆挿入穴21cに挿入した状態において、固定杆22は、天井フレーム4の回動を規制できる。すなわち、固定杆22のメッシュ係合部22aを底面メッシュ13に係合し、固定杆22の係合固定部22bを固定杆挿入穴21cに挿入することで固定杆22と底部フレーム1との間に天井フレーム4の係止空間TSが形成される(図6(b)参照。)。この係止空間TSにより、天井フレーム4がカラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に回動しようとしても天井フレーム4の先端フレーム部40が固定杆22の係合固定部22bと干渉して天井フレーム4の回動が規制され、カラス捕獲用空間Sを開放した状態に維持できる。
【0030】
このように構成した底部フレーム1の上部には、天井フレーム4を配設している。
天井フレーム4は、図2および図6(a),(b),(c)に示すように、底部フレーム1のフレーム本体10に設けた前後の付勢支持部11,11の各枢支部11a,11aに回動自在に遊嵌したフレーム折返し部43と、フレーム折返し部43から伸延した前後フレーム部41,42と、前後フレーム部41,42の先端部に架設した先端フレーム部40と、各フレーム部に張設した天井メッシュ44を有する。
天井フレーム4は、前後フレーム部41,42と、先端フレーム部40とにより平面視略“コ”字状に形成している。
天井フレーム4のフレーム折返し部43は、図2および図6(a),(b),(c)に示すように、側面視において略円形の回動軸部43aを有する。天井フレーム4は、回動軸部43aを付勢支持部11の枢支部11aに遊嵌することにより、枢支部11aを中心として回動自在としている。
天井フレーム4は、図4に示すように、底部フレーム1の前後幅員よりも短く形成しており、また、先端フレーム部10bの左右幅員よりも短く形成している。すなわち、天井フレーム4は、底部フレーム1の基端フレーム部10aおよび先端フレーム部10bに接触することなく回動できる。
このように天井フレーム4の前後幅員および左右幅員を底部フレーム1よりも短く形成することにより、天井フレーム4でカラス捕獲用空間Sを閉鎖した際、底部フレーム1の先端フレーム部10bと天井フレーム4を構成する各フレームが干渉する虞を可及的に低減して、カラス捕獲具Cが破損することを防止できる。また、各フレーム部には天井メッシュ44を張設している。天井メッシュ44は、先端フレーム部40および前後フレーム部41,42で囲われた開口部を閉鎖するように設けられている。これにより、天井フレーム4でカラス捕獲用空間Sを閉鎖した際には、底部フレーム1と天井フレーム4との間に隙間が生じる虞がないため、カラス捕獲用空間Sに捕獲したカラスVが当該空間から脱出することを防止できる。
なお、本実施形態において、底面メッシュ13および天井メッシュ44は、一枚の網体Nで構成しており、網体Nの全長は、底部フレーム1の上下面を閉鎖できる長さに構成している。つまり、網体Nの全長は、底部フレーム1を長手方向に2つ併設した長さに相当する。網体Nは、底部フレーム1の下面に張設して底面メッシュ13を形成しつつ、基端フレーム部10a側から底部フレーム1の上面側に折返し、底部フレーム1の左半分を形成する基端フレーム部10aの上面を閉鎖するように基端フレーム部10aに張設しつつ、残り1/4を天井フレーム4に張設して天井メッシュ44を形成している。これにより、天井フレーム4で先端フレーム部10bの上部を閉鎖した状態において、底部フレーム1に張設した底面メッシュ13と天井フレーム4に張設した天井メッシュ44との間にカラス捕獲用空間Sを形成できる。
このように構成されたカラス捕獲用空間Sは、1枚の網体Nを先端フレーム部10bで折り返して形成されている。すなわち、カラス捕獲用空間Sは、網体Nの長手方向を半分に折畳み、網体Nの前後端部および右端部をそれぞれ底部フレーム1および天井フレーム4に固設する構成により、カラス捕獲用空間Sを天井フレーム4で閉鎖した状態において、折り畳んだ網体Nの四辺が閉塞され、当該空間に捕獲したカラスVの脱出を防止することができる。
【0031】
このように構成した底部フレーム1および天井フレーム4は、ロック機構2で固定されており、捕獲対象物であるカラスがカラス捕獲具Cに接近した際、ロック機構2のロック状態をロック解除機構5で解除することにより天井フレーム4の回動規制を解除してカラス捕獲用空間Sを閉鎖してカラスVを捕獲できる。
【0032】
ロック解除機構5は、図4に示すように、ロック機構2とロック解除機構固定部12に架設されており、カラス捕獲具Cを作動するための作動機構として機能する。ロック解除機構5は、本実施形態においては、複数の紐を撚り合わせて形成された捕獲ワイヤ50で構成されている。捕獲ワイヤ50は、一端部を固定杆支持板21bの長手方向に沿って穿設した固定杆挿入穴21cのうち、回動支持部20bから最も離隔した位置に穿設した固定杆挿入穴21cに固定し、他端部をロック解除機構固定部12に固設している。このように捕獲ワイヤ50により固定杆支持板21bに生起される荷重を回動軸である回動支持部20bから最も離隔した固定杆支持板21bの上部に生起されるように構成することで、捕獲ワイヤ50に生起される荷重が小さくてもカラス捕獲具Cが作動できるように構成している。
また、本実施形態においては、ロック解除機構5である捕獲ワイヤ50をロック機構2とロック解除機構固定部12の間に複数架設している。これにより、底部フレーム1の先端フレーム部10b側の底面メッシュ13上に設けたカラス捕獲用空間Sに捕獲対象物であるカラスVが飛来して、ロック解除機構5を構成する捕獲ワイヤ50を引っ張るだけでカラス捕獲具Cを作動させることができる。
なお、本実施形態においてロック解除機構5を複数本の捕獲ワイヤ50で構成しているが、本発明はこれに限定されることなく、ロック機構2の固定杆支持板21bがカラス捕獲用空間SにカラスVが飛来した際、ロック機構2のロック状態が解除できればどのように構成されていてもよい。
【0033】
このように構成した天井フレーム4は、閉鎖付勢機構3により常時カラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に付勢されている。
閉鎖付勢機構3は、トーションバネで構成されており、ばね本体部30と、ばね本体部30の両端部に環状に形成した係合部30a,30bを有する。各係合部30a,30bは、付勢支持部11の回動固定部11cと、天井フレーム4の前フレーム部41(または、後フレーム部42)の基端部近傍に係合固定している。
これにより、天井フレーム4は、カラス捕獲用空間Sを開放状態とした際、常時カラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に閉鎖付勢機構3の弾性力で付勢されている。
【0034】
このように構成されたカラス捕獲具Cは、底面メッシュ13を張設した底部フレーム1と、天井メッシュ44を張設した天井フレーム4と、底面メッシュ13と天井メッシュ44とは互いに上下対応して形成し、その間に形成したカラス捕獲用空間Sと、天井フレーム4をフレーム折り返し部43を中心として回動自在に構成すると共に、カラスV待ち状態においてカラス捕獲用空間Sを開放状態とした天井フレーム4をカラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構3と、天井フレーム4の先端フレーム部40と底部フレーム1の基端フレーム部10aとを一体に連結したロック機構2と、外力をパラメータとしてロック機構2を解除するためのロック解除機構5と、よりなるため、捕獲具全体が簡易的に構成され、捕獲具を1人でも容易に設置できる。
【0035】
また、天井フレーム4の先端フレーム部40と底部フレーム1の基端フレーム部10aとをロック機構2で一体に連結し、天井フレーム4と底部フレーム1との一体連結状態をロック解除機構5で解除し、閉鎖付勢機構3の付勢力でカラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に天井フレーム4を回動してカラスVを捕獲する構成のため、天井フレーム4でカラス捕獲用空間Sを素早く閉鎖して捕獲対象物を確実に捕獲できるとともに、天井フレーム4を底部フレーム1にロック機構2を介して一体に連結するだけの簡易な構成であるため、1度捕獲具を作動した後にも容易に設置し直すことができる。
【0036】
また、フレーム折り返し部43を中心として天井フレーム4を回動自在に構成すると共に、カラスV待ち状態においてカラス捕獲用空間Sを開放状態とした天井フレーム4をカラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に付勢した閉鎖付勢機構3を備えた構成により、カラスVが飛来してロック解除機構5を引っ張るだけで自動的にカラスVを捕獲することができる。すなわち、罠の傍に設置者が待機することなく罠を作動することができ、また、罠作動後は、閉鎖付勢機構3により、カラス捕獲用空間Sの閉鎖状態が維持されているため、捕獲したカラスVをカラス捕獲用空間Sに留めておくことができる。また、設置した罠の近傍に罠設置者がいないため、警戒心を抱かせることなくカラスVを接近させることができる。つまり、カラスVが無警戒で捕獲罠に接近するため、カラスVの捕獲確率を向上することができる。
【0037】
また本実施形態におけるロック機構2は、底部フレーム1に起立自在に枢支した固定杆支持板21bには固定杆挿入穴21cを穿設すると共に、天井フレーム4の先端フレーム部40上面には固定杆22を交差状に載置すると共に、固定杆22の係合固定部22bは固定杆支持板21bの固定杆挿入穴21cに挿入して、固定杆22を介して天井フレーム4における先端フレーム部40と底部フレーム1に枢支連設した固定杆支持板21bとを一体作動可能に連結して天井フレーム4の跳ね上がりを抑制するように構成したため、カラスVが飛来して底部フレーム1の露出した底面メッシュ13上に降り立つと底面メッシュ13の露出部分に伸延張設したロック解除機構5である捕獲ワイヤ50にカラス脚体が係合して捕獲ワイヤ50が先端フレーム部10b側に引っ張られることで底部フレーム1の基端フレーム部10aに設けたロック機構2が解除され、天井フレーム4がカラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に回動してカラスVを捕獲することができる。
【0038】
また本実施形態において固定杆支持板21bの長手方向に沿って固定杆挿入穴21cを複数穿設したため、設置環境に応じてロック機構2が解除される解除応力を調整でき、捕獲対象物が接近していないにもかかわらず不用意にロック機構2が解除されることを防止して、捕獲対象物が接近した場合にだけ罠が作動できるようにロック機構2の解除応力を調整できる。
【0039】
このように構成したカラス捕獲具Cの動作について、図5および図6を参照して説明する。
罠設置作業者は、底部フレーム1が地面と接触するようにカラス捕獲具Cを載置する。
【0040】
次に、罠設置作業者は、図5および図6(a)に示すように、付勢支持部11の枢支部11aに設けた閉鎖付勢機構3の付勢力に抗するように天井フレーム4を回動して底部フレーム1の先端フレーム部10b側のカラス捕獲用空間Sを開放状態とする。
【0041】
次に、図6(b)に示すように、底面メッシュ13に固定杆22のメッシュ係合部22aを係合固定し、天井フレーム4の先端フレーム部10bを底部フレーム1の基端フレーム部10aに接触した状態で固定杆22の係合固定部22bを天井フレーム4と交差するように固定杆挿入穴21cに挿入する。この際、天井フレーム4は、作業者の手で先端フレーム部40が底部フレーム1の基端フレーム部10aに接触するように下方に向けて押圧されている。
その後、天井フレーム4の回動を規制する手を離して先端フレーム部40を固定杆22の係合固定部22bに接触させる。これにより、天井フレーム4は、固定杆22の係合固定部22bで回動が規制され、カラス捕獲具Cの設置が完了する。
なお、固定杆支持体21の固定杆挿入穴21cには、予めロック解除機構5の捕獲ワイヤ50の一端部を係合固定しており、固定杆支持体21を地面に対して垂直に立ち上げた時点で捕獲ワイヤ50がロック解除機構固定部12と固定杆支持体21との間に張設されている。
【0042】
設置されたカラス捕獲具Cのロック解除機構固定部12と固定杆支持体21との間に張設した捕獲ワイヤ50を捕獲対象物であるカラスVが引っ張ると、図6(c)に示すように、捕獲ワイヤ50の一端部に係合した固定杆支持板21bが回動支持部20bを中心として底部フレーム1の先端フレーム部10b側に回動して固定杆22の係合固定部22bと固定杆支持板21bの固定杆挿入穴21cとの係合状態が解除される。これにより、天井フレーム4は、係止空間TSから開放されてカラス捕獲用空間Sを閉鎖する方向に回動を開始する。
【0043】
捕獲ワイヤ50を引っ張ったカラスVは、天井フレーム4の天井メッシュ44と底部フレーム1の底面メッシュ13とで形成されたカラス捕獲用空間S内に捕獲され、カラス捕獲具CによるカラスVの捕獲作業が終了する。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0045】
1 底部フレーム
10 フレーム本体
10a基端フレーム部
10b先端フレーム部
11 付勢支持部
12 ロック解除機構固定部
13 底面メッシュ
2 ロック機構
20 支持固定部
21 固定杆支持体
21a回動軸部
21b固定杆支持板
21c固定杆挿入穴
22 固定杆
3 閉鎖付勢機構
30 ばね本体部
4 天井フレーム
40 先端フレーム部
41 前フレーム部
42 後フレーム部
43 フレーム折返し部
44 天井メッシュ
5 ロック解除機構
50 捕獲ワイヤ
C カラス捕獲具
S カラス捕獲用空間
V カラス
TS 係止空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6