(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086504
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】稼働状況管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240620BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 301W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201666
(22)【出願日】2022-12-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月に稼働状況管理システムに係る製品を販売
(71)【出願人】
【識別番号】519354234
【氏名又は名称】丸北研磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(74)【代理人】
【識別番号】100224661
【弁理士】
【氏名又は名称】牧内 直征
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】水谷 敏史
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA59
3C100AA68
3C100BB13
3C100CC02
3C223AA12
3C223BA03
3C223CC01
3C223DD03
3C223EB02
3C223FF13
3C223FF16
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH15
(57)【要約】
【課題】複数の加工装置の稼働状況を一元的に管理でき、視認性に優れる稼働状況管理システムを提供する。
【解決手段】稼働状況管理システム1は、被加工物tを加工する複数の加工装置2A、2B、2Cと、加工装置2A、2B、2Cの稼働に関わる態様を検出するセンサ3A、3B、3Cと、センサ3A、3B、3Cの検出結果を取得する情報処理装置4とを有し、情報処理装置4は、取得されるセンサ3A、3B、3Cの検出結果に基づいて、少なくとも加工装置2A、2B、2Cの稼動状態および停止状態を判定する判定部42と、判定部42の判定結果に基づいて、時間軸上に加工装置2A、2B、2Cの稼働状況を区別して示す稼働状況表示バーを、加工装置毎に並べて表示画面に表示させる表示部43とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する複数の加工装置と、該加工装置にそれぞれ設けられ、前記加工装置の稼働に関わる態様を検出するセンサと、前記センサの検出結果を取得する情報処理装置とを有する稼働状況管理システムであって、
前記情報処理装置は、取得される前記センサの検出結果に基づいて、少なくとも前記加工装置の稼動状態および停止状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、時間軸上に前記加工装置の稼働状況を区別して示す稼働状況表示バーを、前記加工装置毎に並べて表示画面に表示させる表示部とを有することを特徴とする稼働状況管理システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記稼働状況表示バーの時間軸の表示幅を可変にでき、表示する表示幅毎に設定される単位時間領域において前記センサの検出結果の判定結果が所定回数以上切り替わっている場合には、その単位時間領域における前記加工装置の稼働状況を稼働状態として表示することを特徴とする請求項1記載の稼働状況管理システム。
【請求項3】
前記センサは対象までの距離を計測する距離センサであり、前記判定部は、前記加工装置における前記被加工物の有無に応じて変化する前記距離センサの検出結果に基づいて、前記加工装置の稼働状態および停止状態を判定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の稼働状況管理システム。
【請求項4】
前記センサは光センサであり、前記判定部は、前記加工装置に設けられる点灯ランプの点灯形態に応じて変化する前記光センサの検出結果に基づいて、前記加工装置の稼働状態および停止状態を判定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の稼働状況管理システム。
【請求項5】
前記稼働状況管理システムは、加工装置毎に、それらの稼働状況に基づいて算出される二酸化炭素排出量を表示させる機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の稼働状況管理システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、各加工装置の日毎の任意の稼働状況パターンに基づいて基準パターンを作成するパターン作成部を有し、前記表示部は、作成された基準パターン同士、または作成された基準パターンと任意の加工装置の個別の稼働状況パターンを比較可能に表示させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の稼働状況管理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記加工装置の稼働状態または停止状態が所定時間以上継続した場合に、外部に通知する通知部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の稼働状況管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の加工装置が設置される工場などにおいて各加工装置の稼働状況を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場内には、被加工物に対して所望の加工(例えば切削加工や溶接加工など)を行う加工装置が複数設置されている。これらの加工装置は日夜、稼働状態・停止状態などを繰り返しており、オペレータの操作によって様々な加工が行われている。
【0003】
ここで、工場全体の能率や稼働率を向上させるためには、加工装置の停止状態などのロスを一元的に把握することが重要となる。また、加工装置毎にオペレータが決められている場合が多く、各加工装置の稼働状況は、そのオペレータの技量や作業意欲、作業効率などに依存しやすい。そのため、複数の加工装置の稼働状況を一元管理することは、工場全体の能率を向上させるだけでなく、オペレータの労働管理にも繋がり得る。
【0004】
従来、複数の加工装置を管理するシステムとして、各加工装置から加工具情報や加工条件を自動的に収集するシステムが提案されている(特許文献1参照)。しかし、管理者などが稼働状況を一元管理するシステムとして、特に視認性の向上には改善の余地があるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複数の加工装置の稼働状況を一元的に管理でき、視認性に優れる稼働状況管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の稼働状況管理システムは、被加工物を加工する複数の加工装置と、該加工装置にそれぞれ設けられ、上記加工装置の稼働に関わる態様を検出するセンサと、上記センサの検出結果を取得する情報処理装置とを有する稼働状況管理システムであって、上記情報処理装置は、取得される上記センサの検出結果に基づいて、少なくとも上記加工装置の稼動状態および停止状態を判定する判定部と、上記判定部の判定結果に基づいて、時間軸上に上記加工装置の稼働状況を区別して示す稼働状況表示バーを、上記加工装置毎に並べて表示画面に表示させる表示部とを有することを特徴とする。本発明において、加工装置の稼働状況とは、少なくとも加工装置の稼働状態および停止状態を含む概念であり、その他に、ロットを変更する際に加工装置の加工条件などを変更する準備状態なども含まれる。
【0008】
上記表示部は、上記稼働状況表示バーの時間軸の表示幅を可変にでき、表示する表示幅毎に設定される単位時間領域において上記センサの検出結果の判定結果が所定回数以上切り替わっている場合には、その単位時間領域における上記加工装置の稼働状況を稼働状態として表示することを特徴とする。
【0009】
上記センサは対象までの距離を計測する距離センサであり、上記判定部は、上記加工装置における上記被加工物の有無に応じて変化する上記距離センサの検出結果に基づいて、上記加工装置の稼働状態および停止状態を判定することを特徴とする。
【0010】
上記センサは光センサであり、上記判定部は、上記加工装置に設けられる点灯ランプの点灯形態に応じて変化する上記光センサの検出結果に基づいて、上記加工装置の稼働状態および停止状態を判定することを特徴とする。
【0011】
上記稼働状況管理システムは、加工装置毎に、それらの稼働状況に基づいて算出される二酸化炭素排出量を表示させる機能を有することを特徴とする。
【0012】
上記情報処理装置は、各加工装置の日毎の任意の稼働状況パターンに基づいて基準パターンを作成するパターン作成部を有し、上記表示部は、作成された基準パターン同士、または作成された基準パターンと任意の加工装置の個別の稼働状況パターンとを比較可能に表示させることを特徴とする。
【0013】
上記情報処理装置は、上記加工装置の稼働状態または停止状態が所定時間以上継続した場合に、外部に通知する通知部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の稼働状況管理システムは、複数の加工装置と、該加工装置の稼働に関わる態様を検出するセンサと、センサの検出結果を取得する情報処理装置とを有し、情報処理装置は、取得されるセンサの検出結果に基づいて、少なくとも加工装置の稼動状態および停止状態を判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて、例えば情報処理装置と通信可能な端末に、時間軸上に加工装置の稼働状況を区別して示す稼働状況表示バーを、加工装置毎に並べて表示画面に表示させる表示部とを有するので、例えば工場における複数の加工装置の稼働状況を一元的に管理でき、視認性に優れることから稼働状況を直感的に把握しやすくなる。
【0015】
表示部は、稼働状況表示バーの時間軸の表示幅を可変にできるので、目的などに応じて稼働状況の把握を行いやすくなる。また、表示する表示幅毎に設定される単位時間領域においてセンサの検出結果の判定結果が所定回数以上切り替わっている場合には、その単位時間領域における加工装置の稼働状況を稼働状態として表示する。加工作業上、一般に加工装置を一時的に停止する停止状態(チョコ停)がよく発生することから、単位時間領域においてセンサの検出結果の判定結果が所定回数以上切り替わっている場合には、纏めて稼働状態とみなして表示することで、時間軸の表示幅を変更した場合であっても、視認性を損なわず、稼働状況を管理できる。
【0016】
近年、地球温暖化防止の取り組みとして、二酸化炭素排出量などの温室効果ガスの削減に向けた取り組みが行われている。例えば、日本では、J-クレジット制度を活用して、温室効果ガスの排出量の削減に寄与する取り組みがなされている。上記稼働状況管理システムは、加工装置毎に、それらの稼働状況に基づいて算出される二酸化炭素排出量を表示させる機能を有する。これにより、管理者やオペレータに省エネルギーに対する意識付けを行うことができ、また、J-クレジット制度などへの活用も期待される。なお、J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や森林管理などの取り組みによる、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度である。
【0017】
情報処理装置は、各加工装置の日毎の任意の稼働状況パターンに基づいて(例えば加工装置毎に)基準パターンを作成するパターン作成部を有し、表示部は、作成された基準パターン同士、または作成された基準パターンと任意の加工装置の個別の稼働状況パターンとを比較可能に表示させるので、例えば加工装置毎の稼働状況パターンを把握でき、工場全体の能率の向上や、オペレータの指導などに活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の稼働状況管理システムの概略構成の説明図である。
【
図5】基準パターンと任意のパターンとの比較の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の稼動状況管理システムの概略構成の一例を、
図1に基づいて説明する。稼動状況管理システム1は、工場などに設置される複数の加工装置の稼働状況を管理するシステムである。
図1において、稼動状況管理システム1は、 複数の加工装置2A、2B、2Cと、加工装置に設けられるセンサ3A、3B、3Cと、情報処理装置4と、端末5とを備える。情報処理装置4は、ネットワークNを介して、センサ3A、3B、3C、および端末5それぞれと相互に通信可能に、有線または無線により接続されている。
【0020】
端末5は、工場の管理者などのユーザによって操作される装置であり、パーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット端末などである。端末5は、ポータブル端末に限らず、工場などに備え付けの端末であってもよい。端末5の51は、ユーザが目視できるディスプレイであり、情報処理装置4を参照して、
図3などに示される表示画面を表示する。
【0021】
加工装置2A、2B、2Cは、作業者が被加工物tを加工するために使用する装置である。加工装置としては特に限定されず、例えば、木材などの切削加工などを行なうための木工機械や、汎用旋盤、汎用旋盤に数値制御(Numerical Control)装置を組み込んだNC旋盤などが挙げられる。加工装置の数は特に制限されず、2以上であればよい。
【0022】
例えば、加工装置2A、2B、2Cの各テーブル上に被加工物tが載置され、主軸に取り付けられた加工具が回転駆動し、載置された被加工物tに対して相対移動することで加工が行われる。例えば、被加工物tは加工が終わるまで所定時間加工スペース(テーブルなど)に静置される。
【0023】
センサ3A、3B、3Cは、加工装置の稼働に関わる態様を検出するセンサである。加工装置の稼働に関わる態様として、例えば、加工装置の加工スペースにおける被加工物の状態(有無を含む)や、加工具の状態、加工装置に備えられるランプの点灯形態などを検出する。センサ3A、3B、3Cの検出結果(計測データや検出信号など)は、情報処理装置4に送信される。
【0024】
図1では、センサ3A、3B、3Cは、対象までの距離を計測する距離センサである。センサ3A、3B、3Cは、加工装置の加工スペースに向けて設置され、加工装置における被加工物tの有無に応じて検出結果が変化する。具体的には、被加工物tが有る場合は、被加工物tが無い場合に比べて、対象までの距離が短く検出される。距離センサは、超音波式やレーザ式などを用いることができる。
【0025】
なお、センサ3A、3B、3Cは距離センサに限らず、例えば光センサであってもよい。この場合、光センサは、加工装置に備えられるランプ(所謂パトランプ)に向けて設置され、当該ランプの点灯形態に応じてその検出結果が変化する。例えば、加工装置が稼働状態の場合にランプが点灯し、停止状態の場合にランプが点かない構成では、光センサがランプの点灯の有無を検出する。
【0026】
情報処理装置4は、クラウドコンピューティングシステム、その他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。
図1では、情報処理装置4の機能ブロック構成を示している。なお、各機能部は、複数の情報処理装置で備えるようにしてもよい。
【0027】
情報処理装置4は、取得部41と、判定部42と、表示部43とを有しており、
図1の構成では、さらに、各種演算を行う演算部44と、外部へ通知を行う通知部45と、記憶部46と、パターンを作成する作成部47とを有する。
【0028】
取得部41は、各センサの検出結果を取得する。検出結果の取得タイミングは、特に限定されないが、所定時間毎(例えば数分間隔など)に取得される。また、各センサと情報処理装置4とが有線または無線で接続されている場合、取得部41は、検出結果を各センサから直接取得する。なお、各センサが検出結果をリアルタイムなどでクラウド上にアップロードする場合には、取得部41は当該クラウド上の検出結果を取得するようにしてもよい。
【0029】
判定部42は、取得部41により取得されるセンサの検出結果に基づいて、少なくとも加工装置の稼動状態および停止状態を判定する。
図2には、この判定手法の一例を示す。
図2の上段のグラフは、センサの検出値の時間的推移を示している。センサの検出値には閾値が設定されており、判定部42はこの閾値とセンサの検出値とを用いて稼働状況を判定する。例えば、
図2では、検出値がTh1以上Th2未満の場合には、加工装置が停止状態であると判定し、検出値がTh2以上Th3未満の場合には、加工装置が稼働状態であると判定する。
【0030】
上記の閾値は、加工装置の種類や使用形態などに応じて適宜設定・変更可能である。例えば、加工の際に生じる粉塵や経年変化などによってランプのカバーが汚れる場合がある。そして、その汚れによって透光性が低下し、光センサによってランプの点灯が検出しにくくなることが考えられる。このような場合、閾値を変更する(例えば、
図2のTh2を小さい値に変更する)ことで、透光性が低下した状態でもランプの点灯を適正に検出することができる。閾値の設定・変更は手動で行ってもよく、自動で行ってもよい。例えば、時間経過とともに、所定の状態(稼働状態または停止状態)を検出しにくくなる態様の場合には、時間が経過するとともに、当該閾値を、上記所定の状態を検出しやすくなる側に段階的または連続的に変更するようにしてもよい。
【0031】
また、判定部42の判定精度を向上させるべく、さらに条件を設定してもよい。例えば、境界閾値(
図2ではTh2)を検出値が跨いだ際には、検出値が跨いだ後の状態を所定時間継続した場合に、判定部42が状態が変更したと判定するようにしてもよい。また、フィルタリング機能を設けて、誤検知を防ぐようにしてもよい。
【0032】
また、判定部42は、加工装置の「稼働状態」および「停止状態」に加えて、加工装置のその他の状態を判定するようにしてもよい。例えば、加工装置の「準備状態」を判定するようにしてもよい。
【0033】
図1において、表示部43は、判定部42の判定結果に基づいて、時間軸上に加工装置の稼働状況を区別して示す稼働状況表示バーを、加工装置毎に並べて表示させる。その表示画面の一例を
図3に示す。
【0034】
図3に示すように、端末のディスプレイ51には、加工装置2A、2B、2Cのそれぞれについて、時間軸上に稼働状況表示バーが並列に並べて表示されている。すなわち、帯状グラフが上下方向に並ぶように表示されている。また、各稼働状況表示バーでは、稼働状況について「稼働状態」と「停止状態」が区別して示されている。例えば、「稼働状態」を示す色彩と、「停止状態」を示す色彩を異ならせることでグラフィカルに表示している。また、2つの色彩として互いに識別容易な色彩を採用することで、各状態の境界の把握がさらに容易となる。なお、加工装置のその他の状態(例えば準備状態)を判定する形態では、その状態を示す色彩は、「稼働状態」および「停止状態」とは異なる色彩で表示されることが好ましい。
【0035】
図3に示すように、同一画面に複数の加工装置の稼働状況表示バーを並べて表示することで、互いに比較しやすく、また複数の加工装置の「稼働状態」および「停止状態」を直感的に把握しやすくなる。これにより、複数の加工装置の稼働状況の一元的な管理が容易となる。
【0036】
図3では、さらに、稼働状況表示バーの左側に稼働率・非稼働率情報も示している。稼働率・非稼働率情報は、例えば演算部44(
図1参照)により算出される。稼働率[%]は、例えば、対象とする日の実働時間(例えば8:00~17:00)に対する稼働状態の合計時間の割合として算出される。非稼働率[%]は、残りの割合(100[%]-稼働率[%])として算出される。稼働率・非稼働率情報については、
図3に示すように、各数値とともに、各数値の割合を帯状グラフの長短で示しており、直感的に認識しやすくなっている。この場合も、「稼動率」を示す色彩と、「非稼働率」を示す色彩を異ならせることでグラフィカルに表示している。
【0037】
なお、稼働状況表示バーで使用される色彩と、稼働率・非稼働率の帯状グラフで使用される色彩を互いに異ならせてもよい。この場合、色彩豊かでグラフィカル性に優れる。また、「稼働状態」を示す色彩と「稼働率」を示す色彩に同一の色彩を用い、「停止状態」を示す色彩と「非稼働率」を示す色彩に同一の色彩を用いるようにしてもよい。この場合、複数の帯状グラフの全体に統一性を与えることができるとともに、使用する色彩の種類を削減できる。
【0038】
なお、演算部44は、その他の情報を演算してもよい。例えば、加工装置の稼働回数や、被加工物の処理数を演算するようにしてもよい。加工装置の稼働回数は、例えば稼働状態の数をカウントすることで行なわれる。
図3では、一例として、稼働率・非稼働率情報の左側に、加工装置毎の処理数を示している。
図3に示すように、加工装置毎に処理数を並べて表示させることで、加工装置やオペレータ毎の実績などを一覧性良く把握しやすくなる。なお、処理数は、稼働状態の数と必ずしも一致するものではない。例えば、切削装置などを用いて複数の被加工物に対して同じ加工作業を行う際には、テスト加工と本加工を行う場合がある。この場合、テスト加工は、本加工に比べて、加工装置を連続して稼働させる時間が短くなる。そのため、上記稼働状況管理システムにおいて、加工装置の一回の連続稼働時間が所定未満の場合には処理数にカウントせず、一回の連続稼働時間が所定以上の場合には処理数にカウントするようにしてもよい。これにより、加工作業の実態に沿った形で、処理数を適正にカウントすることができる。
【0039】
また、表示部43は、稼働状況表示バーについて、時間軸の表示幅を可変にできる機能を有することが好ましい。
図3では、時間軸が1時間間隔で表示されている。また、稼働状況表示バーの単位時間領域も細かく設定されており、数分レベルで稼働状況を区別して表示することが可能である。
【0040】
一方、
図4には、稼働状況表示バーの時間軸の表示幅を大きくした態様の一例を示す。
図4では、時間軸が4時間間隔で表示されている。また、それに合わせて、稼働状況表示バーの単位時間領域も大きく設定されており、例えば数十分レベルで稼働状況を区別して表示する。
【0041】
ここで、時間軸の表示幅を変更する場合、本来は単位時間領域内において「稼働状態」と「停止状態」が混在する場合であっても、単位時間領域毎にまとめた形で表示する必要が生じることがある。その場合、例えば、単位時間領域においてセンサの検出結果の判定結果が所定回数(例えば5回)以上切り替わっている場合には、その単位時間領域における加工装置の稼働状況を「稼働状態」として表示させるようにしてもよい。加工作業上、一般に加工装置のチョコ停がよく発生することから、単位時間領域においてセンサの検出結果の判定結果が所定回数以上切り替わっている場合には、まとめて稼働状態とみなして表示させることができる。
【0042】
なお、時間軸の表示幅の変更に伴いまとめて表示する際には、上記の切り替え回数に限らず、他の条件によってまとめて表示するようにしてもよい。例えば、単位時間領域において稼働状態の合計時間と停止状態の合計時間のうち、多い方の状態を表示するようにしてもよい。
【0043】
図4では、加工装置2cについては「稼働状態」および「停止状態」に加えて、「準備状態」も表示されている。
【0044】
図1に戻り、通知部45は、加工装置の稼働状況が所定の状態になった際に外部に通知を行う。これにより、加工装置の異常検知などに活用できる。例えば、所定の加工装置の「稼働状態」または「停止状態」が所定時間以上(例えば10分以上)継続した場合に、外部に通知するようにしてもよい。通知条件は、加工装置毎に適宜設定することができる。通知手段としては、特に限定されず、外部の端末などに対してメール通知や、モニタ表示、ランプ表示で知らせる手段などを採用できる。また、通知部45は、各加工装置の日毎の稼働状況パターンが更新された場合に端末5などに通知するようにしてもよい。
【0045】
記憶部46は、取得部41により取得された各センサの検出結果や、判定部42により判定された判定結果、その判定結果に基づく各加工装置の日毎の稼働状況パターン、各種演算値などを記憶する。稼働状況パターンは、時間軸との関係で表される少なくとも「稼働状態」と「停止状態」を含むパターンであり、例えば、稼働状況表示バー形式で表されるパターンである。
【0046】
作成部47は、記憶部46に記憶された各加工装置の日毎の任意の稼働状況パターンに基づいて基準パターンを作成する。例えば、加工装置毎に基準パターンを作成する。また、同一加工を行う日毎の稼働状況パターンから、基準となるパターンを作成する。そして、表示部43は、作成された基準パターン同士、または作成された基準パターンと任意の加工装置の個別日の稼働状況パターンを比較可能に表示させる。例えば、
図5には、基準パターンと任意のパターンを比較可能に上下に並べて表示させている。また、比較する両者のパターンの適合率などを演算して表示させるようにしてもよい。
【0047】
なお、表示部43は基準パターンに限らず、任意の加工装置の個別日の稼働状況パターン同士をそれぞれ選択して比較可能に表示させるようにしてもよい。また、比較するパターンは2つに限らず、それ以上比較可能に表示させてもよい。
【0048】
このように比較可能に表示させることで、基準となるパターンとの一致・不一致を把握しやすくなり、工場全体の能率の向上や、オペレータの作業効率の改善化、技量のレベルアップなどに活用することができる。
【0049】
上記稼働状況管理システムにおいて、例えば表示部43は、加工装置毎に、それらの稼働状況に基づいて算出される二酸化炭素排出量を表示させてもよい。例えば、各加工装置の消費電力に基づいて所定のプログラムで二酸化炭素排出量を算出し、算出された二酸化炭素排出量を表示させてもよい。当該二酸化炭素排出量は、任意の時間帯毎の数値として表示させてもよい。なお、二酸化炭素排出量は、上記判定部によって判定された「稼働状態」の合計時間に基づいて算出されてもよく、また、加工装置が電力センサや電流センサなどを備える構成では、それらセンサの検出値に基づいて算出されてもよい。また、二酸化炭素排出量は、端末5のディスプレイ51に表示させる形態に限らず、加工装置毎に設置される表示モニタに表示させるようにしてもよい。これにより、管理者やオペレータに省エネルギーに対する意識付けを行うことができる。
【0050】
本発明の稼働状況管理システムの構成は、上記
図1~
図5の構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の稼働状況管理システムは、複数の加工装置の稼働状況を一元的に管理でき、視認性に優れるので工場の見える化に有効であり、広く利用することができ、工場全体の能率の向上に加えて、働き方改革などにも繋がる。
【符号の説明】
【0052】
1 稼働状況管理システム
2A、2B、2C 加工装置
3A、3B、3C センサ
4 情報処理装置
41 取得部
42 判定部
43 表示部
44 演算部
45 通知部
46 記憶部
47 作成部
5 端末
51 ディスプレイ(表示画面)
N ネットワーク