(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086506
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両の置去対処システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20240620BHJP
G08B 21/22 20060101ALI20240620BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240620BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/22
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201669
(22)【出願日】2022-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英明
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA10
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA37
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD06
5C087DD13
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両での乗員の置去りに対して、早期の救助を可能にする車両の置去対処システムを提供する。
【解決手段】駐停車中の車両2に置去りにされている乗員12に対処する車両2の置去対処システム1において、車両2は、駐停車中の車両2に置去りにされている乗員12を検出可能な第一センサと、車両2に置去りにされている乗員を救助するための救助制御を実行する主制御装置と、車両2から外へ向けて音を出力可能な外出力デバイスと、車両2の周囲にいる第三者を検出する外検出デバイスと、を有する。主制御装置は、救助制御において、第一センサの検出に基づいて乗員の置去り救助をする場合、外出力デバイスから、車両2の外へ向けて救助要請音を出力させ、出力開始後に外検出デバイスにより車両2の周囲に第三者が検出されると、外出力デバイスから救助案内音を出力させ、その後に車両2を開錠する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐停車中の車両に置去りにされている乗員の置去りに対処するための車両の置去対処システムであって、
前記車両は、
前記車両の施錠装置により施錠されている駐停車中の前記車両に置去りにされている乗員を検出可能な第一センサと、
前記車両に置去りにされている乗員を救助するための救助制御を実行する主制御装置と、
前記車両から前記車両の外へ向けて音を出力可能な外出力デバイスと、
前記車両の周囲にいる第三者を検出する外検出デバイスと、
を有し、
前記主制御装置は、
前記第一センサの検出に基づいて前記車両についての乗員の置去り救助の必要性を判断し、
前記車両にいる乗員について置去り救助の必要性がある場合には、前記救助制御において、前記外出力デバイスから、前記車両の外へ向けて救助要請音を出力させ、
前記外出力デバイスからの救助要請音の出力を開始した後において前記外検出デバイスにより前記車両の周囲に第三者が検出されると、前記外出力デバイスから、前記車両の外へ向けて救助案内音を出力させ、
少なくとも前記救助要請音を出力し、さらに前記救助案内音の出力を開始した後において、前記車両の周囲にいる該第三者が救助するために前記施錠装置を開錠するための処理を実行する、
車両の置去対処システム。
【請求項2】
前記車両と通信可能なサーバ装置、を有し、
前記主制御装置は、
前記車両に置去りにされている乗員を救助する場合、前記車両に設けられる外通信装置から前記サーバ装置へ緊急通報を送信し、
前記サーバ装置は、
前記緊急通報の受信に基づいて、予め登録されている登録者の中で、前記車両の近くにいる登録者を、前記車両へ案内する、
請求項1記載の、車両の置去対処システム。
【請求項3】
前記主制御装置は、前記救助制御において、
前記外検出デバイスの検出に基づいて前記車両へ近づいてくる第三者または前記車両から所定距離以下の近くの周囲にいる第三者が検出されるか否かを判断し、
前記第三者が検出されると判断する場合に、前記外出力デバイスから出力する音を、前記救助要請音から、前記救助案内音へ切り替えて、前記救助案内音の出力を開始する、
前記第三者が検出されると判断しない場合には、前記外出力デバイスからの、前記救助要請音の出力を継続する、
請求項2記載の、車両の置去対処システム。
【請求項4】
前記主制御装置は、前記救助制御において、
前記外出力デバイスから、前記救助案内音の出力を開始した後において前記外検出デバイスにより、前記車両の周囲に第三者が検出されなくなった場合には、前記外検出デバイスから再度、前記救助要請音を出力させる、
請求項3記載の、車両の置去対処システム。
【請求項5】
前記主制御装置は、前記救助制御の前段階制御として、
前記車両の乗員を検出することができる第二センサにより駐停車中の前記車両において乗員が確認できた場合には、前記車両に置去りにされている乗員の生体情報を前記第二センサにより取得し、
生体情報を取得したことを、前記車両に設けられる内出力デバイスから、乗員へ向けて出力し、
前記内出力デバイスへの出力に対しての乗員による前記車両に対する操作または応答がない場合には、前記車両にいる乗員が、前記車両に置去りにされていて救助を必要としている場合であるとして、前記車両に設けられる外通信装置から、前記サーバ装置へ前記緊急通報を送信するとともに、前記救助制御を開始する、
請求項2から5のいずれか一項記載の、車両の置去対処システム。
【請求項6】
駐停車中の前記車両において前記第一センサとともに動作して、前記主制御装置より低消費電力な副制御装置、を有し、
前記副制御装置は、前記第一センサとしての加速度センサの検出に基づいて前記車両に乗員が置去りにされている可能性がある振動を検出すると、前記主制御装置とともに前記車両に設けられる第二センサを起動し、
前記主制御装置は、前記救助制御の前段階制御として、
前記第二センサの検出に基づいて駐停車中の前記車両における乗員の有無を確認し、
前記第二センサの検出に基づいて駐停車中の前記車両において乗員が確認できる場合には、前記救助制御へ向けた制御を実行し、
前記第二センサの検出に基づいて駐停車中の前記車両において乗員が確認できない場合には、前記第二センサとともに停止して、前記救助制御を実行することなく処理を終了する、
請求項5記載の、車両の置去対処システム。
【請求項7】
前記主制御装置は、前記施錠装置を開錠するための処理において、
前記車両から前記緊急通報を受けたサーバ装置または前記車両から、前記車両の周囲にいる第三者の携帯端末へ送信されたデジタルキーを用いた前記第三者の操作に基づいて、前記施錠装置により前記車両を遠隔開錠し、
前記サーバ装置から前記車両の管理者の携帯端末へ向けて、前記車両に置去りにされている乗員の救助のために前記デジタルキーが配信されたことを通知し、
前記車両に置去りにされていた乗員の搬出後に、前記施錠装置により前記車両を施錠し、
前記第二センサおよび前記主制御装置の動作を停止させる、
請求項6記載の、車両の置去対処システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の置去対処システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、ドライバ以外の乗員も乗車することができる。
このため、駐停車中の車内に、乗員が置去りにされる可能性はゼロではない。
このような車両での乗員の置去りが発生している状況において、その車両の近くにドライバなどの車両の管理者がいない可能性がある。
この場合、管理者などは、車両に置去りにされている乗員を救助することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-128920号公報
【特許文献2】特開2020-086855号公報
【特許文献3】特開2022-099183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2は、車両が乗員の置去りを検知すると、車両を開錠したり、車両の周囲へ警報画面などを出力することを開示する。
しかしながら、特許文献1、2のように単に車両の周囲へ警報を出力するなどしたとしても、車両の周囲には、救助にあたるドライバだけでなく、第三者すらいない可能性がある。また、車両の周囲にいる人は、警報画面に気づかない可能性もある。
特許文献3では、サーバ装置からドライバの端末や警察署へ救助を要請することを開示する。
しかしながら、この特許文献3のようにドライバや警察署へ救助を要請したとしても、それらのドライバや警察署が車両から遠方にある場合には、早期の救助を実現することは難しい。
【0005】
このように車両では、乗員の置去りに対して、早期の救助を可能にすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る車両の置去対処システムは、駐停車中の車両に置去りにされている乗員の置去りに対処するための車両の置去対処システムであって、前記車両は、前記車両の施錠装置により施錠されている駐停車中の前記車両に置去りにされている乗員を検出可能な第一センサと、前記車両に置去りにされている乗員を救助するための救助制御を実行する主制御装置と、前記車両から前記車両の外へ向けて音を出力可能な外出力デバイスと、前記車両の周囲にいる第三者を検出する外検出デバイスと、を有し、前記主制御装置は、前記第一センサの検出に基づいて前記車両についての乗員の置去り救助の必要性を判断し、前記車両にいる乗員について置去り救助の必要性がある場合には、前記救助制御において、前記外出力デバイスから、前記車両の外へ向けて救助要請音を出力させ、前記外出力デバイスからの救助要請音の出力を開始した後において前記外検出デバイスにより前記車両の周囲に第三者が検出されると、前記外出力デバイスから、前記車両の外へ向けて救助案内音を出力させ、少なくとも前記救助要請音を出力し、さらに前記救助案内音の出力を開始した後において、前記車両の周囲にいる該第三者が救助するために前記施錠装置を開錠するための処理を実行する、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、車両の主制御装置は、第一センサ検出に基づいて、車両についての乗員の置去り救助の必要性を判断する。そして、車両にいる乗員について置去り救助の必要性がある場合には、救助制御において、外出力デバイスから、車両の外へ向けて救助要請音を出力する。さらに、外出力デバイスからの救助要請音の出力を開始した後において外検出デバイスにより車両の周囲に第三者が検出されると、主制御装置は、外出力デバイスから出力する音を切り替えて、車両の外へ向けて救助案内音を出力させる。これにより、車両の外にいる人がその車両のドライバなどの管理者ではない第三者であったとしても、救助要請音により車両へ注意を向けて車両へ近づくことができ、さらに車両の周囲にきたことによる切り替わる救助案内音により救助が必要であることを速やかに理解することができる。車両の周囲にいる人は、それが第三者であったとしても、救助要請音と救助案内音とで切り替わって変化する音により、車両に救助を必要とする乗員の置き去りがあることをしっかりと認識して、その置去りにされている乗員を速やかに車両から救助することが可能である。
このように本発明では、車両の周辺などにいた第三者を、車両への乗員の置去りに対して対処させて、車両に置去りにされている乗員を、早期に救助させることが可能となる。
【0008】
しかも、本発明において、主制御装置は、少なくとも救助要請音を出力し、さらに救助案内音の出力を開始した後において、車両の周囲にいる該第三者が救助するために施錠装置により車両を開錠するための処理を実行する。車両に置去りにされている乗員の救助は、救助要請音と救助案内音とで切り替わる音により救助の案内がなされた後において、可能となる。車両の周囲にいる該第三者が救助の必要性などを理解していない状態において、早期に車両を開錠しないようにできる。車両を早期に開錠したことによる不用意な事態は、発生し難くなることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る自動車の置去対処システムの説明図である。
【
図3】
図3は、
図1の自動車において、乗員置去対処装置として機能する制御系の構成図である。
【
図4】
図4は、
図3の自動車の制御系による、置去対処の起動制御(救助制御の第一前処理)のフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図3の自動車の制御系による、乗員異変検知制御(救助制御の第二前処理)のフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図1のサーバ装置による、緊急通報対応制御のフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図3の自動車の制御系による、救助制御のフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図1のサーバ装置による、応援通報対応制御のフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図1のサーバ装置による、開錠許可通報対応制御のフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の第二実施形態における、救助制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る自動車の置去対処システム1の説明図である。
図1の自動車の置去対処システム1は、自動車2と、複数の基地局4に接続されている通信網5を通じて、自動車2と通信可能なサーバ装置3と、を有する。
また、
図1には、基地局4との間で無線通信回線を確立可能なものとして、自動車2の他にも、自動車2の管理者であるドライバ11の携帯端末(以下、管理者端末21という。)や、自動車2の近くにいる第三者13の携帯端末(以下、第三者端末22という。)が示されている。
【0012】
図2は、
図1のサーバ装置3の構成図である。
図2のサーバ装置3は、サーバ通信デバイス31、サーバモニタ32、サーバ通話デバイス33、サーバCPU34(Central Processing Unit)34、サーバメモリ35、および、これらが接続されるサーババス36、を有する。
【0013】
サーバ通信デバイス31は、
図1の通信網5に接続される。サーバ通信デバイス31は、基地局4との間で無線通信回線を確立している、自動車2、管理者端末21、第三者端末22などの間で通信可能である。
【0014】
サーバモニタ32は、サーバ装置3が設けられるサービス機関のオペレータ14などへ向けて、たとえば乗員の置去りなどへ対処するための各種の画面を表示する。
【0015】
サーバ通話デバイス33は、オペレータ14が、サーバ通信デバイス31が通信可能なたとえば自動車2のドライバや乗員などと通話するために用いるものである。サーバ通話デバイス33は、たとえば、スピーカおよびマイクロホンで構成されてよい。
【0016】
サーバメモリ35は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などで構成されてよい。サーバメモリ35は、サーバCPU34が実行するプログラム、乗員置去りのログデータなどを記録する。
図2のサーバメモリ35には、乗員の置去りに対応可能な登録者の情報を記録する登録者データベース(DB)37、が例示されている。登録者データベース37には、たとえば登録者の携帯端末の情報、登録者の携帯端末の位置情報、などが記録されてよい。位置情報は、携帯端末の移動に応じてリアルタイムに更新されてよい。
【0017】
サーバCPU34は、サーバメモリ35に記録されているプログラムを実行する。これにより、サーバ装置3には、サーバ制御部が実現される。サーバ制御部は、サーバ装置3の動作や、サーバ装置3が提供する各種のサービスのための制御を実行する。
【0018】
ところで、
図1の自動車の置去対処システム1は、自動車2とサーバ装置3が協働して、自動車2への乗員の置去りに対処するためのものである。
図1では、管理者であるドライバ11が降車して離れた自動車2の後部座席に、子供12が置去りにされている。
この状況では、たとえば自動車2が子供12の置去りを検知して、それに基づいてサーバ装置3から管理者端末21へ通知をすることが可能である。
しかしながら、自動車2から降車したドライバ11は、自動車2から既に遠くへ離れている。このため、ドライバ11が自動車2へ戻って子供12の置去りに対処しようとしても、子供12の救助が完了するまでに時間がかかってしまう可能性がある。
図1とは異なり、サーバ装置3からたとえば警察署へ通報したとしても、警察官が自動車2に到達するまでに、時間がかかってしまう可能性がある。
このように自動車2では、子供12などの乗員の置去りに対して、できるだけ早期の救助を可能にすることが求められる。
【0019】
図3は、
図1の自動車2において、乗員置去対処装置として機能する制御系40の構成図である。
図3の制御系40は、乗員監視装置(DMS:Driver Monitoring System)60、駐停車中制御装置41、および、これらが接続される車ネットワーク57、を有する。車ネットワーク57には、さらに、加速度センサ42、着座センサ43、ドアロック装置44、イグニションスイッチ45、ハザードランプ46、サイドブレーキセンサ47、シフトセンサ48、車内カメラ49、車外カメラ50、外スピーカ51、外通信装置52、空調装置53、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)装置54、が接続される。
車ネットワーク57は、自動車2のためのたとえばCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)に準拠した有線の通信ネットワークでよい。車ネットワーク57は、LANなどの通信用ネットワークでも、これらを組み合わせたものであってもよい。車ネットワーク57の一部には、無線方式の通信ネットワークが含まれてよい。車ネットワーク57に接続される上述した各種の機器は、車ネットワーク57を通じて、検出データや制御データを相互に送受できる。
【0020】
加速度センサ42は、自動車2に作用する加速度を検出する。加速度センサ42は、直交3軸方向の加速度を検出するものでよい。この場合、加速度センサ42の検出情報に基づいて、自動車2のピッチ、ヨー、ロールの各方向の角加速度や角速度を演算することができる。また、自動車2の加速度を積分することにより、自動車2の速度を得ることができる。加速度センサ42は、自動車2が駐停車中であっても、自動車2の車体に生じる振動などを検出することができる。たとえば、自動車2に乗員が置去りにされている場合、加速度センサ42は、その乗員の動作により生じる振動を検出可能である。
【0021】
着座センサ43は、自動車2に設けられるシートの座面などに設けられ、シートに着座している乗員の体重に応じた検出値を出力できる。シートに着座している乗員がいない場合、着座センサ43は、乗員がいないことを示す検出値を出力することかできる。
【0022】
ドアロック装置44は、自動車2のドアを施錠または開錠する施錠装置である。ドアロック装置44は、自動車2に設けられる複数のドアのすべてをまとめて施錠したり、開錠したりしても、個別のドアを施錠したり、開錠したりしてもよい。
【0023】
イグニションスイッチ45は、ドライバが自動車2を走行させる場合に操作するスイッチである。イグニションスイッチ45がオン状態に操作されると、自動車2は、走行可能な状態となる。イグニションスイッチ45がオフ状態に操作されると、自動車2は、走行できない状態となる。
【0024】
ハザードランプ46は、自動車2の車体の前後左右四角の外面などに設けられる灯火器である。自動車2は、一般的に、この他にも、ヘッドランプ、ブレーキランプ、ADAS(Advanced Driving Assistant System)ランプなどの灯火器を有する。ハザードランプ46などの灯火器は、自動車2から離れた遠方からも点灯状態を視認することが可能である。
【0025】
サイドブレーキセンサ47は、自動車2において制動装置として設けられるサイドブレーキの位置を検出する。サイドブレーキは、自動車2の走行中は、操作されていないポジションにある。これに対し、自動車2の駐車中などにおいては、サイドブレーキは、操作されたポジションにある。サイドブレーキセンサ47は、サイドブレーキのこれらのポジションを検出してよい。
【0026】
シフトセンサ48は、自動車2に設けられるシフトレバーの位置を検出する。シフトレバーは、自動車2を走行させる場合には、ドライブ位置などに操作される。これに対し、自動車2の駐車中などにおいては、シフトレバーは、パーキング位置に操作される。シフトセンサ48は、シフトレバーのこれらのポジションを検出してよい。
【0027】
車内カメラ49は、自動車2の車内を撮像する。自動車2の車内に乗員がいる場合、車内カメラ49は、その乗員を含む画像を撮像する。自動車2の車内に乗員がいない場合、車内カメラ49は、乗員を含まない画像を撮像する。
なお、自動車2の車内の乗員は、車内カメラ49以外にも、車内へ向けたレーダ、ミリ波センサ、赤外線センサなどによっても、検出可能である。
【0028】
車外カメラ50は、自動車2の外を撮像する。車外カメラ50は、複数のカメラで構成されても、360度カメラで構成されてもよい。車外カメラ50は、自動車2の周囲などに人がいる場合、その人を含む画像を撮像する。自動車2の周囲などに人がいない場合、車外カメラ50は、人を含まない画像を撮像する。
なお、自動車2の周囲などにいる人は、車外カメラ50以外にも、Lidar、レーザ、などによっても、検出可能である。このような車外カメラ50、Lidar、またはレーザは、自動車2の周囲にいる第三者を検出する外検出デバイスとして機能し得る。
【0029】
外スピーカ51は、自動車2の外へ向けて音を出力可能な外出力デバイスである。外スピーカ51は、従来のホーンと同様に自動車2のエンジンルームに設けられても、車室内などに設けられてもよい。
【0030】
外通信装置52は、自動車2の近くにある基地局4などとの間で無全通信回線を確立し、サーバ装置3などどの間での情報送受を制御する。
外通信装置52は、他の自動車などとの間で無全通信回線を確立してもよい。
【0031】
空調装置53は、自動車2の車室の温度などを制御する。
【0032】
HMI装置54は、自動車2の車室に設けられ、自動車2における乗員とのインタフェース装置である。HMI装置54は、モニタ、タッチパネル、スピーカ、マイクロホン、などを備えてよい。
図3では、通話ボタン55、通話デバイス56、がHMI装置54に接続されている。
【0033】
駐停車中制御装置41は、自動車2が駐車中において動作する制御装置である。駐停車中制御装置41は、駐車中のバッテリ消費を抑えるために、低消費電力で動作するものが望ましい。駐停車中制御装置41は、自動車2へ乗員が乗車する場合に、乗員監視装置60などへ起動信号を出力してよい。駐車中に停止していた乗員監視装置60は、起動信号によりその動作を開始することができる。
そして、
図3において、駐停車中制御装置41には、加速度センサ42と、着座センサ43と、が接続される。これにより、駐停車中制御装置41は、駐車中の自動車2の車内において乗員がシートに着座していたり、動いたりすると、それを検出することができる。この場合、加速度センサ42、および着座センサ43は、駐停車中の自動車2に置去りにされている乗員を検出する第一センサとして機能することになる。
【0034】
乗員監視装置60は、自動車2に乗車する乗員を監視する。
図3の乗員監視装置60は、入出力部61、タイマ62、CPU63、メモリ64、および、これらが接続される装置バス65、を有する。
【0035】
入出力部61は、車ネットワーク57に接続される。入出力部61は、車ネットワーク57を通じて、車ネットワーク57に接続されている他の機器との間で通信する。
【0036】
タイマ62は、時間や時刻を計測する。
【0037】
メモリ64は、たとえばHDD、SSDなどで構成されてよい。メモリ64は、CPU63が実行するプログラム、各種のデータを記録する。
図3のメモリ64には、救助案内音声データ71、救助要請音声データ72、が記録されている。
ここで、救助案内音声データ71は、自動車2に置去りにされている乗員を救助するための救助手順などを案内するための音声データである。
救助要請音声データ72は、自動車2の周囲やその近くにいる人へ向けて、自動車2へ注意を向けさせるための音声データである。救助要請音声データ72は、ホーン音やサイレン音による音声データであってもよい。
【0038】
CPU63は、メモリ64に記録されているプログラムを実行する。これにより、乗員監視装置60には、制御部が実現される。制御部は、乗員監視装置60の動作や、乗員監視装置60を用いた各種のサービスのための制御を実行する。
【0039】
次に、
図3の制御系40を用いた、自動車2に置去りにされている乗員を救助するための各種の制御について、説明する。
ここでは、
図3の制御系40において、乗員監視装置60が、自動車2に置去りにされている乗員を救助するための救助制御を実行する主制御装置であるものとして説明する。また、駐停車中制御装置41が、自動車2の駐車中に動作する副制御装置であるものとして説明する。駐停車中制御装置41は、乗員監視装置60より低消費電力にて動作することができる。
なお、救助制御を実行する主制御装置は、制御系40に設けられる他の制御装置により実行されてもよい。このような目的に使用できる他の制御装置としては、たとえば自動車2のシステム管理に用いられるセントラル制御装置(C-ECU)、HMI装置54などのヘッドユニットのための制御装置などのように、比較的に高性能のCPUを備えている制御装置が適している。
【0040】
図4は、
図3の自動車2の制御系40による、置去対処の起動制御(救助制御の第一前処理)のフローチャートである。
図3の自動車2の制御系40において、駐停車中制御装置41と乗員監視装置60とは、自動車2が走行中であるか駐停車中であるかにかかわらず、
図4の置去対処の起動制御を繰り返しに実行してよい。
駐停車中制御装置41と乗員監視装置60とは、救助制御の第一の前段階制御として、
図4の置去対処の起動制御を実行する。
【0041】
ステップST1において、駐停車中制御装置41は、イグニションスイッチ45がオフ状態であるか否かを判断する。イグニションスイッチ45がオフ状態でない場合、駐停車中制御装置41は、本制御を終了する。イグニションスイッチ45がオフ状態である場合、駐停車中制御装置41は、処理をステップST2へ進める。
【0042】
ステップST2において、駐停車中制御装置41は、自動車2のすべてのドアが、ドアロック装置44により施錠されているか否かを判断する。自動車2のすべてのドアがロックされていない場合、駐停車中制御装置41は、本制御を終了する。自動車2のすべてのドアがロックされている場合、駐停車中制御装置41は、処理をステップST3へ進める。
【0043】
ステップST3において、駐停車中制御装置41は、自動車2が駐車中であるか否かを判断する。イグニションスイッチ45がオフ状態であり、かつ、自動車2のすべてのドアがロックされている場合、自動車2は、基本的に駐車中である。駐停車中制御装置41は、これ以外の情報に基づいて、自動車2が駐車中であるか否かを判断してよい。自動車2が駐車中でない場合、駐停車中制御装置41は、本制御を終了する。自動車2が駐車中である場合、駐停車中制御装置41は、処理をステップST4へ進める。
【0044】
ステップST4において、駐停車中制御装置41は、通報ボタンが操作されているか否かを判断する。たとえば駐停車中の自動車2において乗員に不具合がある場合、その乗員は、通報ボタンを操作可能である。通報ボタンが操作されている場合、駐停車中制御装置41は、処理ステップST8へ進める。通報ボタンが操作されていない場合、駐停車中制御装置41は、処理ステップST5へ進める。
【0045】
ステップST5において、駐停車中制御装置41は、タイマ62により計測されている経過時間が閾値以上であるか否かを判断する。この経過時間を判断するための閾値は、駐停車中制御装置41がステップST6の判断を繰り返すための周期に相当する。閾値を大きくすると、駐車中の消費電力を抑えることができる。経過時間が閾値以上でない場合、駐停車中制御装置41は、本処理を繰り返す。経過時間が閾値以上になると、駐停車中制御装置41は、処理をステップST6へ進める。
【0046】
ステップST6において、駐停車中制御装置41は、加速度センサ42が閾値以上の振動を検知しているか否かを判断する。加速度センサ42が閾値以上の振動を検知していない場合、駐停車中制御装置41は、処理をステップST7へ進める。加速度センサ42が閾値以上の振動を検知している場合、駐停車中制御装置41は、処理をステップST8へ進める。
ここで、振動を検知するための閾値は、車内で乳幼児などの乗員が動いたことにより加速度センサ42が検出するレベルにするとよい。これにより、駐停車中制御装置41は、第一センサとしての加速度センサ42の検出に基づいて自動車2に乗員が置去りにされている可能性がある振動を検出すると、処理をステップST8へ進めることになる。
また、振動を検知するための閾値は、軽度の地震や路面の振動などにより加速度センサ42が検出するレベルより高くするとよい。また、振動を検知するための閾値は、強風などにより加速度センサ42が検出するレベルより高くするとよい。これにより、駐停車中制御装置41が、誤って、乗員の置去りの可能性を判断し難くすることができる。
【0047】
ステップST7において、駐停車中制御装置41は、タイマ62により計測している経過時間をリセットする。その後、駐停車中制御装置41は、処理をステップST5へ戻す。なお、駐停車中制御装置41は、処理をステップST4へ戻してもよい。
【0048】
ステップST8において、駐停車中制御装置41は、自動車2に設けられる第二センサとしての車内カメラ49と、乗員監視装置60とを起動する。
【0049】
ステップST9において、起動された乗員監視装置60は、起動された車内カメラ49の撮像画像に基づいて、自動車2に置去りにされている乗員が検知されるか否かを判断する。これにより、乗員監視装置60は、第二センサとしての車内カメラ49の検出に基づいて駐停車中の自動車2における乗員の有無を確認することができる。自動車2に置去りにされている乗員が検知されない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST10へ進める。自動車2に置去りにされている乗員が検知される場合、乗員監視装置60は、処理をステップST12へ進める。
【0050】
ステップST10において、乗員監視装置60は、乗員監視装置60および車内カメラ49の動作を終了するか否かを判断する。
乗員監視装置60は、たとえば、一定のリトライ回数に達するまでは、乗員監視装置60および車内カメラ49の動作を終了しないと判断してよい。
この他にもたとえば、乗員監視装置60は、自動車2の残電力か閾値以下となるまでは、乗員監視装置60および車内カメラ49の動作を終了しないと判断してよい。
そして、動作を終了しない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST9へ戻す。
動作を終了する場合、乗員監視装置60は、処理をステップST11へ進める。
【0051】
ステップST11において、乗員監視装置60は、車内カメラ49を停止し、自身の終了処理を実行する。これにより、乗員監視装置60および車内カメラ49は、停止する。駐停車中制御装置41は、乗員監視装置60の停止を確認すると、本制御を終了する。
乗員監視装置60は、たとえば駐車中の自動車2において乗員が複数回連続して確認できない場合において、または、自動車2の残電力が閾値以下である場合において、車内カメラ49とともに停止することになる。
また、乗員監視装置60は、救助制御へ向けた制御を実行することなく処理を終了して停止することになる。
【0052】
ステップST12において、乗員監視装置60は、乗員異変検知制御を起動する。これにより、乗員監視装置60は、駐車中の自動車2において乗員が確認できる場合には、その乗員の救助へ向けた制御を実行することができる。
【0053】
ステップST13において、乗員監視装置60は、外通信装置52から、自動車2の管理者の管理者端末21へ、乗員の置去りが発生していることを通知する。なお、この通知は、サーバ装置3を経由して、管理者端末21へ通知されてもよい。
その後、乗員監視装置60は、本制御を終了する。
【0054】
これにより、乗員監視装置60は、自動車2についての乗員の有無を判断して、自動車2に乗員がいる場合には、乗員の置去り救助の必要性を判断するために、
図5の乗員異変検知制御を起動することができる。
【0055】
図5は、
図3の自動車2の制御系40による、乗員異変検知制御(救助制御の第二前処理)のフローチャートである。
乗員監視装置60は、
図4のステップST12において
図5の乗員異変検知制御を起動して実行する。
【0056】
ステップST21において、乗員監視装置60は、車内情報を取得する。ここで、車内情報は、たとえば車内カメラ49の撮像画像などでよい。
【0057】
ステップST22において、乗員監視装置60は、ステップST21で取得した車内情報に基づいて、駐車中の車内に乗員が置去りにされて残っているか否かを判断する。乗員が置去りにされて残っていない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST23へ進める。乗員が置去りにされて残っている場合、乗員監視装置60は、処理をステップST24へ進める。
【0058】
ステップST23において、乗員監視装置60は、ステップST21からステップST22による乗員残確認のリトライを終了するか否かを判断する。乗員監視装置60は、たとえばリトライ回数と閾値との比較により、リトライの終了の要否を判断してよい。リトライを終了しない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST21へ戻す。この場合、乗員監視装置60は、乗員異変検知制御での乗員残確認を繰り返す。リトライを終了する場合、乗員監視装置60は、本制御を終了する。なお、この場合、乗員監視装置60は、
図4のステップST11と同様の処理により、車内カメラ49とともに乗員監視装置60を停止してから、本制御を終了するとよい。
【0059】
ステップST24において、乗員監視装置60は、取得している車内情報から、車内に置去りにされて残っている乗員の生体情報を取得する。
撮像画像には、乗員の可視光による像成分の他にも、赤外線や紫外線による像成分が含まれ得る。この場合、乗員監視装置60は、撮像画像に含まれる赤外線や紫外線による像成分に基づいて、脈拍数などの脈動の情報や、体温の情報を得ることができる。
また、撮像画像には、乗員の目の像成分が含まれ得る。この場合、乗員監視装置60は、撮像画像に含まれる目の像成分に基づいて、眠っているか否かの情報を得ることができる。
また、撮像画像には、乗員の胸部の像成分が含まれ得る。この場合、乗員監視装置60は、撮像画像に含まれる胸部の像成分の動きに基づいて、呼吸数の情報を得ることができる。
【0060】
ステップST25において、乗員監視装置60は、ステップST24において乗員の生体情報を取得できているか否かを判断する。乗員の生体情報を取得てきていない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST26へ進める。乗員の生体情報を取得できている場合、乗員監視装置60は、処理をステップST27へ進める。
【0061】
ステップST26において、乗員監視装置60は、乗員監視装置60は、ステップST24からステップST25による乗員の生体情報取得についてのリトライを終了するか否かを判断する。乗員監視装置60は、たとえばリトライ回数と閾値との比較により、リトライの終了の要否を判断してよい。リトライを終了しない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST24へ戻す。この場合、乗員監視装置60は、乗員の生体情報の取得を繰り返す。リトライを終了する場合、乗員監視装置60は、本制御を終了する。なお、この場合、乗員監視装置60は、
図4のステップST11と同様の処理により、車内カメラ49とともに乗員監視装置60を停止してから、本制御を終了するとよい。
【0062】
ステップST27において、乗員監視装置60は、自動車2にいる乗員へ向けて、生体情報を取得していることを出力する。乗員監視装置60は、内出力デバイスとしてのHMI装置54のたとえばモニタまたはスピーカから、生体情報を取得していることを示すメッセージを出力してよい。
【0063】
ステップST28において、乗員監視装置60は、生体情報取得のメッセージに対する、乗員の応答があるか否かを判断する。乗員監視装置60は、ステップST27において、乗員の応答ボタンを、HMI装置54のモニタに出力してよい。この場合、乗員は、HMI装置54のタッチパネルを操作して応答することができる。また、乗員は、所定の確認音声により、応答してもよい。乗員監視装置60は、HMI装置54を通じて乗員の応答がない場合、またはHMI装置54を通じて乗員からの救助要請応答がある場合、処理をステップST29へ進める。これら以外の場合、たとえば、乗員監視装置60は、HMI装置54を通じて乗員からの単なる確認応答がある場合、本制御を終了する。なお、この場合、乗員監視装置60は、
図4のステップST11と同様の処理により、車内カメラ49とともに乗員監視装置60を停止してから、本制御を終了するとよい。
【0064】
ステップST29において、乗員監視装置60は、外通信装置52からサーバ装置3へ緊急通報を送信する。緊急通報は、自動車2の位置、駐車開始からの経過時間、残されている乗員の生体情報などを含むとよい。緊急通報は、外通信装置52から、基地局4、通信網5を通じて、サーバ装置3へ送信される。
【0065】
ステップST30において、乗員監視装置60は、サーバ装置3との間で通話を確立し、サーバ装置3のオペレータ14と通話する。
【0066】
ステップST31において、乗員監視装置60は、救助が必要と判断したオペレータ14によるサーバ装置3からの遠隔起動指示にしたがって、救助制御を起動する。
【0067】
このように、乗員監視装置60は、内出力デバイスとしてのHMI装置54への出力に対しての乗員による自動車2に対する操作または応答がない場合には、自動車2にいる乗員が、自動車2に置去りにされて救助を必要としている場合であるとして、自動車2に設けられる外通信装置52から、サーバ装置3へ緊急通報を送信することができる。乗員監視装置60は、単に自動車2に乗員がいる場合ではなく、さらに自動車2にいる乗員が、自動車2に置去りにされていて救助を必要としている場合においてのみ、自動車2に設けられる外通信装置52からサーバ装置3へ緊急通報を送信することができる。サーバ装置3へ緊急通報を過剰に送信し過ぎないようにできる。
また、乗員監視装置60は、その後に、乗員の状態を確認したオペレータ14による遠隔起動により救助制御を開始することができる。
乗員監視装置60は、自動車2にいる乗員について、置去り救助の必要性を判断して、置去り救助の必要性がある場合には、
図7の救助制御を起動することができる。
【0068】
図6は、
図1のサーバ装置3による、緊急通報対応制御のフローチャートである。
サーバ装置3は、そのサーバCPU34により、
図6の緊急通報対応制御を繰り返しに実行する。
【0069】
ステップST41において、サーバ装置3は、サーバ通信デバイス31が、自動車2から緊急通報を受信しているか否かを判断する。緊急通報を受信していない場合、サーバ装置3は、本処理を繰り返す。緊急通報を受信すると、サーバ装置3は、処理をステップST42へ進める。
【0070】
ステップST42において、サーバ装置3は、緊急通報に係る自動車2を特定する。
【0071】
ステップST43において、サーバ装置3は、緊急通報を送信した自動車2との間で、通話を確立する。
【0072】
ステップST44において、サーバ装置3は、サーバ装置3のオペレータ14と、自動車2にいる乗員とで通話をさせる。これにより、サーバ装置3のオペレータ14は、自動車2にいる乗員について、救助の必要性がある状況であるか否かを確認して、乗員の置去り救助の実行を確定するための判断をすることができる。
【0073】
ステップST45において、サーバ装置3は、オペレータ14による遠隔操作の入力の有無を判断する。オペレータ14による遠隔操作の入力がある場合、サーバ装置3は、処理をステップST46へ進める。オペレータ14による遠隔操作の入力がない場合、サーバ装置3は、本制御を終了する。
【0074】
ステップST46において、サーバ装置3は、緊急通報を送信した自動車2において、救助制御を遠隔起動する。
このようなサーバ装置3の遠隔支援により、自動車2の乗員監視装置60は、
図5のステップST31において、救助制御を起動することができる。
【0075】
ステップST47において、サーバ装置3は、緊急通報を送信した自動車2の管理者端末21へ、救助制御を遠隔起動したことを通知する。その後、サーバ装置3は、本制御を終了する。
【0076】
なお、サーバ装置3は、自動車2から緊急通報を受信した場合、その後に自動車2で発生する各種のデータや、サーバ装置3の処理に係る各種のデータなどを、乗員置去りのログデータとしてサーバメモリ35に蓄積して記録してよい。これにより、後から救助についての検証か可能となる。
【0077】
図7は、
図3の自動車2の制御系40による、救助制御のフローチャートである。
乗員監視装置60は、
図5のステップST31において
図7の救助制御を起動して実行する。
【0078】
ステップST51において、乗員監視装置60は、空調装置53を起動する。これにより、自動車2に置去りにされている乗員がいる車室は、快適な温度に保たれ得る。過度な気温の変化などを抑制できる。
【0079】
ステップST52において、乗員監視装置60は、車内カメラ49による車内の録画を開始する。また、乗員監視装置60は、外通信装置52により、車内カメラ49の録画画像を、サーバ装置3へ送信させる。
【0080】
ステップST53において、乗員監視装置60は、車外カメラ50などによる車外情報を取得する。車外カメラ50の撮像画像には、自車である自動車2の周囲だけでなく、その周囲から少し離れた場所の画像が含まれる。自動車2の周囲から少し離れた場所に第三者などがいる場合、車外カメラ50の撮像画像には、その自動車2から少し離れた場所にいる第三者などの像が含まれ得る。
【0081】
ステップST54において、乗員監視装置60は、ステップST53で取得している車外情報に基づいて、車外に第三者がいるか否かを判断する。
乗員監視装置60は、たとえば車外カメラ50の撮像画像に、自動車2の周囲から少し離れた場所にいる第三者などの像が含まれている場合、車外に第三者がいると判断する。この場合、乗員監視装置60は、処理をステップST56へ進める。
車外に第三者がいないと判断すると、乗員監視装置60は、処理をステップST55へ進める。
【0082】
ステップST55において、乗員監視装置60は、乗員監視装置60は、応援要請を、外通信装置52からサーバ装置3へ送信する。その後、乗員監視装置60は、処理をステップST53へ戻す。乗員監視装置60は、ステップST54において車外に第三者がいると判断するまで、ステップST53からステップST55までの処理を繰り返し、救助可能な第三者などが現れることを待つ。
【0083】
ステップST56において、乗員監視装置60は、自動車2の周囲から少し離れた場所にいる第三者などへ向けた注意喚起を開示する。乗員監視装置60は、まず、自動車2のハザードランプ46などを点灯させる。乗員監視装置60は、ハザードランプ46以外の自動車2の灯火器を点灯させてよい。また、乗員監視装置60は、基本的に後述するステップST66において救助完了と判断するまで、ハザードランプ46などの灯火器を点灯させ続けてよい。
【0084】
ステップST57において、乗員監視装置60は、メモリ64から救助要請音声データ72を取得して、外スピーカ51らから救助要請音を出力する。これにより、自動車2の周囲から少し離れた場所にいる第三者などは、自車である自動車2へ注意を向けることができる。また、第三者などは、自動車2の周囲から少し離れた場所から、自動車2へ向けて移動することができる。
【0085】
ステップST58において、乗員監視装置60は、車外カメラ50などによる車外情報を取得する。
【0086】
ステップST59において、乗員監視装置60は、ステップST58で取得している車外情報に基づいて、自車の周囲に第三者がいるか否かを判断する。
自車の周囲に第三者がいない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST58へ戻す。乗員監視装置60は、自車の周囲に第三者がいるようになるまで、ステップST58からステップST59の処理を繰り返す。
そして、自車の周囲に第三者が来たり、いたりすると、乗員監視装置60は、処理をステップST60へ進める。
【0087】
ステップST60において、乗員監視装置60は、メモリ64から救助案内音声データ71を取得して、外スピーカ51から救助案内音を出力する。外スピーカ51から出力される音が、自動車2へ近づいたことにより救助要請音から救助案内音へ切り替わることにより、自動車2の周囲にいる第三者などは、その救助案内音に対して注意を払いやすくなる。これにより、自動車2の周囲にいる第三者などは、自動車2に置去りにされている乗員を救助する必要性があることを理解して認識することができる。
なお、第三者が検出されると判断しない場合には、乗員監視装置60は、外スピーカ51からの救助要請音の出力を継続することになる。
【0088】
ステップST61において、乗員監視装置60は、救助者が確定されているか否かを判断する。乗員監視装置60は、たとえば車外情報において救助をしようとして自車にさらに近づこうとしている人がいる場合などにおいて、救助者が確定されていると判断してよい。救助者が確定されていない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST60へ戻す。乗員監視装置60は、救助案内音を出力しながら、救助者を確定するまでを待つ。救助者を確定すると、乗員監視装置60は、処理をステップST62へ進める。
【0089】
ステップST62において、乗員監視装置60は、開錠許可通報を、外通信装置52からサーバ装置3へ送信する。
【0090】
ステップST63において、乗員監視装置60は、遠隔開錠を実行するか否かを判断する。サーバ装置3から、遠隔開錠が実行されたことの通知を受けていない場合、乗員監視装置60は、本処理を繰り返す。サーバ装置3から、遠隔開錠が実行されたことの通知を受信すると、乗員監視装置60は、処理をステップST64へ進める。
【0091】
ステップST64において、乗員監視装置60は、ドアロック装置44により、自動車2のドアを開錠する。これにより、救助者は、自動車2のドアを開けて、自動車2に置去りにされている乗員を車外へ運び出して、救助することができる。
【0092】
ステップST65において、乗員監視装置60は、車内情報を取得する。
【0093】
ステップST66において、乗員監視装置60は、ステップST65で取得する車内情報に基づいて、乗員の救助が完了したか否かを判断する。たとえば車内カメラ49による車内の画像に人が映ってない場合、乗員監視装置60は、乗員の救助が完了したと判断してよい。
そして、乗員の救助が完了していない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST65へ戻す。乗員の救助が完了するまで、乗員監視装置60は、ステップST65からステップST66の処理を繰り返す。
乗員の救助が完了すると、乗員監視装置60は、処理をステップST67へ進める。
【0094】
ステップST67において、乗員監視装置60は、ドアロック装置44により、自動車2のドアを施錠する。これ以降、自動車2には、第三者が入ることができなくなる。
【0095】
ステップST68において、乗員監視装置60は、ステップST52で開始した車内の録画送信を終了する。
【0096】
ステップST69において、乗員監視装置60は、外通信装置52から、自動車2の管理者の管理者端末21へ、救助完了を通知する。なお、この通知は、サーバ装置3を経由して、管理者端末21へ通知されてもよい。
その後、乗員監視装置60は、本制御を終了する。なお、この場合、乗員監視装置60は、
図4のステップST11と同様の処理により、車内カメラ49とともに乗員監視装置60を停止してから、本制御を終了するとよい。
【0097】
このように乗員監視装置60は、第一センサとしての加速度センサ42により自動車2の乗員などによる振動が検出され、さらに自動車2にいる乗員が、自動車2に置去りにされて救助を必要としている乗員である場合に、車内空調を動作させるとともに、車内の乗員を検出することができる第二センサとしての車内カメラ49を作動させることができる。車内カメラ49は、自動車2にいる乗員の有無または状態を確認する。そして、自動車2にいる乗員が、自動車2に置去りにされていて救助する必要があると判断される場合には、乗員監視装置60は、外出力デバイスとしての外スピーカ51から、自動車2の外にいる第三者へ向けて救助要請音を出力させる。
また、外スピーカ51からの救助要請音の出力を開始した後において、外検出デバイスとしての車外カメラ50により自動車2の周囲にいる第三者または自動車2の周囲まで近づいてきた第三者が検出されると、乗員監視装置60は、外スピーカ51から、自動車2の外へ向けて救助案内音を出力させる。
そして、少なくとも救助要請音を出力し、さらに救助案内音の出力を開始した後において、乗員監視装置60は、自動車2の周囲にいる該第三者が救助するために施錠装置を開錠するための処理を実行して、自動車2に置去りにされている乗員の救助可能にする。
乗員監視装置60は、自動車2に置去りにされている乗員がいる場合には、その乗員を自動車2から外へ救助するための救助制御を実行することができる。
【0098】
図8は、
図1のサーバ装置3による、応援通報対応制御のフローチャートである。
サーバ装置3は、そのサーバCPU34により、
図8の応援通報対応制御を繰り返しに実行する。
【0099】
ステップST71において、サーバ装置3は、サーバ通信デバイス31が、自動車2から応援通報を受信しているか否かを判断する。応援通報を受信していない場合、サーバ装置3は、本処理を繰り返す。応援通報を受信すると、サーバ装置3は、処理をステップST72へ進める。
【0100】
ステップST72において、サーバ装置3は、サーバメモリ35の登録者データベース37において、登録者の探索を開始する。登録者データベース37には、登録者の最新の位置などが記録されている。
【0101】
ステップST73において、サーバ装置3は、登録者データベース37から、応援通報を送信した自動車2の位置の近隣にいる登録者を抽出する。サーバ装置3は、登録者データベース37において、応援通報を送信した自動車2の位置に最も近い登録者から順番に、登録者を抽出してよい。
【0102】
ステップST74において、サーバ装置3は、抽出した登録者が、救助要請に対して対処することについて許諾したり、または可能な状態にあったりするか否かを判断する。抽出した登録者が救助要請に対処できる場合、サーバ装置3は、処理をステップST75へ進める。抽出した登録者が救助要請に対処できない場合、サーバ装置3は、処理をステップST76へ進める。
【0103】
ステップST75において、サーバ装置3は、抽出した登録者の携帯端末へ、応援通報を送信した自動車2の位置までの経路案内を送信する。ここでの経路案内は、経路を示した地図データなどでよい。
なお、登録者の携帯端末には、本サービスなどに対応するアプリケーションプログラムが、予めインストールされていてもよい。
【0104】
ステップST76において、サーバ装置3は、近隣の未処理の登録者が残っているか否かを判断する。サーバ装置3は、応援通報を送信した自動車2の位置までの移動時間が閾値以下の登録者が残っていない場合、未処理の登録者が残っていないと判断してよい。
そして、未処理の登録者が残っている場合、サーバ装置3は、処理をステップST73へ戻す。これにより、サーバ装置3は、未処理の登録者が残っていないと判断するまで、ステップST73からステップST76の処理を繰り返す。サーバ装置3は、自動車2の近隣にいる複数の登録者に対して、応援通報を送信した自動車2の位置までの経路案内を送信することができる。
未処理の登録者が残っていなくなると、サーバ装置3は、処理をステップST77へ進める。
【0105】
ステップST77において、サーバ装置3は、警察などの公的機関、駐車場の管理会社などに対して、通報を送信する。これにより、登録者以外のたとえば警察官なども、応援通報を送信した自動車2へ向けて出動することができる。
【0106】
このように、サーバ装置3は、緊急通報の受信に基づいて、予め登録されている登録者の中で、自動車2の近くにいる登録者を、自動車2へ案内することができる。
そして、登録者が
図8の経路案内により自動車2へ向かうことにより、自動車2の乗員監視装置60は、
図7のステップST58の車外情報に基づいて、ステップST59において自車の周囲に第三者がいると判断することができるようになる。自車の周囲に当初は第三者がいなくても、乗員監視装置60は、少しの待ち時間の後に、自車の周囲に第三者がいると判断できるようになることが期待できる。
【0107】
図9は、
図1のサーバ装置3による、開錠許可通報対応制御のフローチャートである。
サーバ装置3は、そのサーバCPU34により、
図9の開錠許可通報対応制御を繰り返しに実行する。
【0108】
ステップST81において、サーバ装置3は、サーバ通信デバイス31が、自動車2から、開錠許可通報を受信しているか否かを判断する。開錠許可通報を受信していない場合、サーバ装置3は、本処理を繰り返す。開錠許可通報を受信すると、サーバ装置3は、処理をステップST82へ進める。
【0109】
ステップST82において、サーバ装置3は、サーバ通信デバイス31を用いて、自動車2の周辺にいる第三者の第三者端末22情報を取得する。ここで、第三者は、自動車2までの経路を案内された登録者を含む。サーバ装置3は、サーバメモリ35に、取得した第三者端末22情報を記録してよい。
【0110】
ステップST83において、サーバ装置3は、自動車2に置去りにされている乗員の救助のためのデジタルキーを、サーバ通信デバイス31から第三者端末22へ送信する。
これにより、第三者端末22には、救助要請を受諾するためのデジタルキーが表示される。また、第三者端末22には、デジタルキーとともに、受諾ボタン、却下ボタン、などが表示されてよい。
この場合、第三者端末22を使用する第三者は、第三者端末22において、受諾ボタン、または却下ボタンの一方を操作する。
第三者端末22は、操作されたボタンに応じた受諾可否を示す情報を、サーバ装置3へ送信する。
【0111】
ステップST84において、サーバ装置3は、サーバ通信デバイス31が、デジタルキーに対する操作を受信しているか否かを判断する。
デジタルキーに対する操作を受信していない場合、サーバ装置3は、本処理を繰り返す。デジタルキーに対する操作を受信すると、サーバ装置3は、処理をステップST85へ進める。
【0112】
ステップST85において、サーバ装置3は、デジタルキーに対する操作情報として、受諾可を示す情報を受信している場合、遠隔開錠を実行する。サーバ装置3は、遠隔開錠が実行されたことの通知を、サーバ通信デバイス31から自動車2へ送信する。
自動車2の乗員監視装置60は、
図7のステップST62において開錠許可通報をサーバ装置3へ送信した後、ステップST63において遠隔開錠を実行するか否かを判断する。乗員監視装置60は、サーバ装置3から、遠隔開錠が実行されたことの通知を受信することにより、処理をステップST64へ進めて、自動車2のドアを遠隔開錠する。
これにより、デジタルキーに対して受諾可の操作をした第三者は、自動車2のドアを開けて、自動車2に置き去りにされている乗員を、自動車2の外へ救助することができる。
【0113】
ステップST86において、サーバ装置3は、サーバ通信デバイス31から管理者端末21へ、第三者への開錠が許可されたことの通知を送信する。この通知は、サーバ装置3から自動車2の管理者の管理者端末21へ向けて、デジタルキーが配信されたことを通知するものである。
その後、サーバ装置3は、本制御を終了する。
【0114】
以上のように、本実施形態では、自動車2の乗員監視装置60は、救助制御において、第一センサとしての加速度センサ42により自動車2にいる乗員などによる振動が検出されると、それに基づいて
図4、
図5および
図7の制御を順次実行する。
この際、乗員監視装置60は、加速度センサ42の検出に基づいて、自動車2についての乗員の置去り救助の必要性を判断し、置去り救助の必要性がある場合には、外出力デバイスとしての外スピーカ51から、自動車2の外へ向けて救助要請音を出力する。
さらに、外出力デバイスからの救助要請音の出力を開始した後において外スピーカ51により自動車2の周囲の第三者が検出されると、乗員監視装置60は、外スピーカ51から出力する音を切り替えて、自動車2の外へ向けて救助案内音を出力させる。
これにより、自動車2の外にいる人がその自動車2のドライバなどの管理者ではない第三者であったとしても、救助要請音により自動車2へ注意を向けて自動車1へ近づくことができ、さらに自動車2の周囲に接近したときにそれに応じて切り替わる救助案内音により救助が必要であることを速やかに理解することができる。自動車2の周囲にいる人は、それが第三者であったとしても、自動車2への接近による自動車2との距離の変化に応じて救助要請音と救助案内音とで切り替わって変化する音により、自動車2に救助を必要とする乗員が置去りにされていることをしっかりと認識して、その置去りにされている乗員を速やかに自動車2から救助することが可能である。
【0115】
また、本実施形態において、乗員監視装置60は、自動車2に置去りにされている乗員を救助する場合に、自動車2に設けられる外通信装置52からサーバ装置3へ緊急通報を送信する。サーバ装置3は、緊急通報の受信に基づいて、予め登録されている登録者を、自動車2へ案内する。これにより、たとえば自動車2から離れている管理者や警察署よりも自動車2の近くにいる登録者を、救助に向かわせることができる。
【0116】
このように本実施形態では、自動車2の周囲などにいた第三者を、自動車2への乗員の置去りに対して対処させて、自動車2に置去りにされている乗員を、早期に救助させることが可能となる。
【0117】
しかも、本実施形態において、乗員監視装置60は、少なくとも救助要請音を出力し、さらに救助案内音の出力を開始した後において、自動車2の周囲にいる該第三者が救助するために施錠装置により自動車2を開錠するための処理を実行する。自動車2に置去りにされている乗員の救助は、救助要請音と救助案内音とで切り替わる音により救助の案内がなされた後において、可能となる。自動車2の周囲にいる該第三者が救助の必要性などを理解していない状態において、早期に自動車2を開錠しないようにできる。自動車2を早期に開錠したことによる不用意な事態は、発生し難くなることが期待できる。
【0118】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る自動車の置去対処システム1について説明する。以下において、主に上述した実施形態との相違点について説明する。
【0119】
図10は、本発明の第二実施形態における、救助制御のフローチャートである。
乗員監視装置60は、ステップST61において救助者が確定されていない場合、処理をステップST91へ進める。
【0120】
ステップST91において、乗員監視装置60は、自動車2の周囲において第三者が不在となっているか否かを判断する。
自動車2の周囲まで来た第三者は、自らが救助を実行できないと判断する場合、自動車2の周囲から離れて、他の人を呼びに行く可能性がある。この場合、救助案内音を出力している自動車2の周囲には、第三者が不在となる可能性がある。
このような事態が生じているか否かを、乗員監視装置60は、ステップST91において判断することができる。
そして、自動車2の周囲において第三者が不在となっていない場合、乗員監視装置60は、処理をステップST60へ戻す。この場合、乗員監視装置60は、上述した実施形態と同様に、自動車2の周囲にいる第三者に対して、救助案内音を出力し続けることになる。
これに対し、自動車2の周囲において第三者が不在となっている場合、乗員監視装置60は、処理をステップST53へ戻す。この場合、乗員監視装置60は、救助要請音を再度出力することになる。自動車2の周囲から離れた第三者により呼び出された他の人は、救助要請音により、自動車2まで容易に到達することができる。
また、乗員監視装置60は、ステップST61において救助者を確定するまで、このような一連の音の切り替えを繰り返すことができる。
【0121】
以上の実施形態は、本発明に好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0122】
たとえば上述した実施形態では、自動車2の周囲などにいる第三者へ向けて出力する音は、救助要請音と救助案内音の二種類である。
この他にもたとえば、自動車2の周囲などにいる第三者へ向けて出力する音は、第三者と自動車2との距離に応じて三種類以上に切り替えられてもよい。
また、自動車2から外へ向けて出力する音は、たとえば登録者の場合と、登録者以外の第三者の場合などのように、自動車2の周囲などにいる人の属性に応じて、切り替えられてもよい。
【0123】
上述した実施形態では、主制御装置としての乗員監視装置60とともに、車内カメラ49が起動されて、上述した各種の制御に用いられている。
この他にもたとえば、自動車2に置去りにされている乗員を検出するために起動される第二センサには、たとえは車内へ向けたレーダ、ミリ波センサ、赤外線センサなどであってもよい。これらのセンサは、主制御装置としての乗員監視装置60とともに起動されて、上述した各種の制御に用いることが可能である。
【0124】
上述した実施形態では、第一センサとしての加速度センサ42により自動車2にいる乗員などによる振動を検出し、それに基づいて実行される制御において、乗員監視装置60は、自動車2にいる乗員が、自動車2に置去りにされていて救助を必要としているか否かを判断している。
この他にもたとえば、乗員監視装置60は、加速度センサ42により自動車2にいる乗員などによる振動そのものに基づいて、自動車2に置去りにされていて救助を必要としている乗員がいるか否かを判断してもよい。
また、乗員監視装置60は、
図5の乗員異変検知制御において、サーバ装置3のオペレータ14による確定判断を経ることなく、自動車2にいる乗員が、自動車2に置去りにされていて救助を必要としていると判断した場合には、
図5のステップST31の救助制御の起動処理を、遠隔によらずに直ちに実行してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…置去対処システム、2…自動車(車両)、3…サーバ装置、4…基地局、5…通信網、11…ドライバ(管理者)、12…子供、13…第三者、14…オペレータ、21…管理者端末、22…第三者端末、31…サーバ通信デバイス、32…サーバモニタ、33…サーバ通話デバイス、34…サーバCPU、35…サーバメモリ、36…サーババス、37…登録者データベース、40…制御系、41…駐停車中制御装置(副制御装置)、42…加速度センサ(第一センサ)、43…着座センサ、44…ドアロック装置(施錠装置)、45…イグニションスイッチ、46…ハザードランプ、47…サイドブレーキセンサ、48…シフトセンサ、49…車内カメラ(第二センサ)、50…車外カメラ(外検出デバイス)、51…外スピーカ(外出力デバイス)、52…外通信装置、53…空調装置、54…HMI装置(内出力デバイス)、55…通話ボタン、56…通話デバイス、57…車ネットワーク、60…乗員監視装置(主制御装置)、61…入出力部、62…タイマ、63…CPU、64…メモリ、65…装置バス、71…救助案内音声データ、72…救助要請音声データ