(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086516
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】配線回路基板および配線回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/16 20060101AFI20240620BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240620BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240620BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20240620BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H05K1/16 B
H05K1/11 H
H05K3/40 E
H05K3/42 620B
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017039
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2022200410
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】今谷 梨乃
(72)【発明者】
【氏名】市川 和志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 誉大
(72)【発明者】
【氏名】長岡 将太郎
【テーマコード(参考)】
4E351
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
4E351AA03
4E351AA04
4E351BB10
4E351BB11
4E351BB33
4E351CC03
4E351CC06
4E351DD04
4E351DD11
4E351DD17
4E351DD19
4E351GG20
5E317AA21
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB15
5E317CC25
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD25
5E317CD32
5E317GG20
5E338AA02
5E338AA16
5E338AA18
5E338BB25
5E338CD13
5E338EE22
(57)【要約】
【課題】さらなる小型化を可能とする配線回路基板および配線回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線回路基板100は、絶縁層20、導通部31c、第1の配線31aおよび第2の配線31bを含む。絶縁層20は、厚み方向に貫通する開口部21を有する。導通部31cは、絶縁層20の開口部21内に形成される。第1の配線31aは、絶縁層20の一方の面に形成され、導通部31cの第1の接続部31xに接続される。第2の配線31bは、絶縁層20の他方の面に形成され、導通部31cの第2の接続部31yに接続される。第1の方向において、第1の配線31aの一端部と他端部との間の距離が、導通部31cの第1の接続部31xの幅と同一である。また、第1の方向において、第2の配線31bの一端部と他端部との間の距離が、導通部31cの第2の接続部31yの幅と同一である構造を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に貫通する開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層の前記開口部内に形成された導通部と、
前記絶縁層の一方の面に形成され、前記導通部の第1の接続部に接続された第1の配線と、
前記絶縁層の他方の面に形成され、前記導通部の第2の接続部に接続された第2の配線とを備え、
第1の方向において、前記第1の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第1の接続部の幅と同一であり、
前記第1の方向において、前記第2の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第2の接続部の幅と同一である構造を含む、配線回路基板。
【請求項2】
前記厚み方向および前記第1の方向に交差する第2の方向において、前記第1の配線の端部と、前記導通部の前記第1の接続部の端部とが同一直線上または同一曲線上にある、請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記第2の方向において、前記第2の配線の端部と、前記導通部の前記第2の接続部の端部とが同一直線上または同一曲線上にある、請求項2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記第1の配線、前記第2の配線および前記導通部がコイル部を構成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項5】
磁性体材料により形成されたコアを少なくとも前記絶縁層の一面上にさらに備え、
前記コイル部は、前記絶縁層を介して前記コアに巻回されている、請求項4記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記第1の配線、前記第2の配線および前記導通部が金属めっきにより一体で形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項7】
前記絶縁層が感光性樹脂組成物から形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項8】
厚み方向に貫通する絶縁層の開口部内に導通部を形成することと、
前記絶縁層の一方の面に前記導通部の第1の接続部に接続された第1の配線を形成することと、
前記絶縁層の他方の面に前記導通部の第2の接続部に接続された第2の配線を形成することとを含み、
前記第1の配線を形成することは、第1の方向において、前記第1の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第1の接続部の幅と同一である前記第1の配線を形成することを含み、
前記第2の配線を形成することは、前記第1の方向において、前記第2の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第2の接続部の幅と同一である前記第2の配線を形成することを含む、配線回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1の方向における前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部を有する第1のパターン開口を含む第1のレジスト膜を前記絶縁層の一方の面に形成することをさらに含み、
前記第1の配線を形成することは、前記第1のレジスト膜の前記第1のパターン開口を通して前記絶縁層の一方の面に前記第1の配線を形成することを含む、請求項8記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1の方向における前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部を有する第2のパターン開口を含む第2のレジスト膜を前記絶縁層の他方の面に形成することをさらに含み、
前記第2の配線を形成することは、前記第2のレジスト膜の前記第2のパターン開口を通して前記絶縁層の他方の面に前記第2の配線を形成することを含む、請求項9記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1のレジスト膜の前記第1のパターン開口は、前記厚み方向および前記第1の方向に交差する第2の方向における端部において、前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部をさらに有する、請求項10記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2のレジスト膜の前記第2のパターン開口は、前記第2の方向における端部において、前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部をさらに有する、請求項11記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記導通部、前記第1の配線および前記第2の配線を形成することは、前記絶縁層の前記開口部内、前記絶縁層の一方の面および前記絶縁層の他方の面に導体層を一括で形成することを含み、
前記絶縁層の前記開口部内、前記絶縁層の一方の面および前記絶縁層の他方の面に形成された前記導体層の部分がそれぞれ前記導通部、前記第1の配線および前記第2の配線となる、請求項8~12のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1の配線、前記第2の配線および前記導通部を形成することは、前記導体層を金属めっきにより形成することを含む、請求項13記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁層が感光性樹脂組成物から形成されている、請求項8~12のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板および配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線回路基板においては、複数の配線が積層されることがある。例えば、特許文献1には、第1配線層と第2配線層とが絶縁層を介して積層された配線基板が記載されている。この配線基板においては、レーザ加工により絶縁層を厚み方向に貫通するビアホールが形成される。第1配線層には、絶縁層の加工時のレーザのストッパとして、ビアホールより大きな径を有するランドが絶縁層の加工前に形成される。形成された絶縁層のビアホールには、第1配線層のランドと第2配線層とを電気的に接続するビア導体が充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の配線基板においては、第1配線層にはランドが形成されるため、第2配線層を形成する際のフォトリソグラフィの位置合わせ精度が緩和されるとともに、プロセスの難易度が低減される。また、第2配線層の配線密度を高めることにより、配線基板を小型化することが可能である。しかしながら、第1配線層の配線の幅と配線間の間隔との計をランドの幅以上にする必要がある。そのため、第1配線層を高密度に形成することができない。近年、配線回路基板を搭載する製品の小型化が進んでおり、配線回路基板をより小型化することが求められるが、特許文献1記載の配線基板では、さらなる小型化には限界があった。
【0005】
本発明の目的は、さらなる小型化を可能とする配線回路基板および配線回路基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に従う配線回路基板は、厚み方向に貫通する開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層の前記開口部内に形成された導通部と、前記絶縁層の一方の面に形成され、前記導通部の第1の接続部に接続された第1の配線と、前記絶縁層の他方の面に形成され、前記導通部の第2の接続部に接続された第2の配線とを備え、第1の方向において、前記第1の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第1の接続部の幅と同一であり、前記第1の方向において、前記第2の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第2の接続部の幅と同一である構造を含む。
【0007】
本発明の他の局面に従う配線回路基板の製造方法は、厚み方向に貫通する絶縁層の開口部内に導通部を形成することと、前記絶縁層の一方の面に前記導通部の第1の接続部に接続された第1の配線を形成することと、前記絶縁層の他方の面に前記導通部の第2の接続部に接続された第2の配線を形成することとを含み、前記第1の配線を形成することは、第1の方向において、前記第1の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第1の接続部の幅と同一である前記第1の配線を形成することを含み、前記第2の配線を形成することは、前記第1の方向において、前記第2の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第2の接続部の幅と同一である前記第2の配線を形成することを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線回路基板によれば、第1の方向において、第1の配線の一端部と他端部との間の距離が導通部の第1の接続部の幅と同一であり、第1の方向において、第2の配線の一端部と他端部との間の距離が導通部の前記第2の接続部の幅と同一である構造を含むため、第1の配線および第2の配線をともに第1の方向に複数配列する場合において、複数の第1の配線および複数の第2の配線を互いに干渉させることなく十分に近接させることができる。そのため、三次元的に高密度な配線接続が可能となり、配線回路基板を従来になく小型化することができる。
【0009】
また、本発明の配線回路基板の製造方法によれば、三次元的に高密度な配線接続の形成が可能となり、配線回路基板を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る配線回路基板の平面図である。
【
図2】
図1の配線回路基板のA-A線断面図である。
【
図3】
図1の配線回路基板のB-B線断面図である。
【
図5】
図4のコイル部のX部の一例を示す図である。
【
図6】
図4のコイル部のX部の他の例を示す図である。
【
図8】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図9】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図11】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図12】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図13】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図14】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図15】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図16】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図17】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図18】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図19】配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図20】第1の変形例に係る配線回路基板の製造方法の一工程を示す図である。
【
図21】第2の変形例に係る配線回路基板の製造方法の一工程を示す図である。
【
図22】本発明の第2の実施の形態に係る配線回路基板の一部を示す平面図である。
【
図25】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図26】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図27】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図28】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図29】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図30】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図31】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図32】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図33】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図34】第3の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1の実施の形態
(1)配線回路基板
以下、本発明の実施の形態に係る配線回路基板および配線回路基板の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る配線回路基板の平面図である。
図1に示すように、配線回路基板100は、コア10、絶縁層20および導体層30を含む。
【0012】
コア10は、金属材料または磁性体材料により形成される。金属材料は、例えば、ステンレスまたは42アロイを含む。磁性体材料は、例えばSUS430、アモルファス、ケイ素鋼、鉄またはパーマロイを含む。コア10は、ケイ素鋼、鉄またはパーマロイ等の強磁性体材料により形成されてもよい。コア10は、一方向に延びる平板形状を有する。コア10の厚みは、例えば10μm以上500μm以下である。以下、配線回路基板100において、コア10が延びる方向を長手方向(第1の方向)と呼び、長手方向(第1の方向)に直交する方向を幅方向(第2の方向)と呼ぶ。
【0013】
絶縁層20は、ポリイミド等の樹脂により形成される。絶縁層20は、コア10の周囲を取り囲み、コア10と後述する導体層30のコイル部31との間を電気的に絶縁する。絶縁層20の厚みは、例えば2μm以上30μm以下である。絶縁層20の幅方向における一端部および他端部には、厚み方向に貫通しかつ長手方向に並ぶ複数の開口部21(後述する
図2および
図3参照)が形成される。
【0014】
導体層30は、コイル部31、引出配線32,33および端子34,35を含む。コイル部31は、絶縁層20を介してコア10に巻回される。コイル部31の一端部は、コア10から引き出され、引出配線32の一端部に接続される。コイル部31の他端部は、コア10から引き出され、引出配線33の一端部に接続される。端子34,35は、配線回路基板100の長手方向における一端側に配置され、引出配線32,33の他端部にそれぞれ接続される。幅方向において、端子34,35は、引出配線32,33よりも大きい。
【0015】
図2は、
図1の配線回路基板100のA-A線断面図である。
図3は、
図1の配線回路基板100のB-B線断面図である。
図2および
図3に示すように、導体層30のコイル部31は、複数の配線31a(第1の配線)、複数の配線31b(第2の配線)および複数の導通部31cを含む。複数の配線31a(第1の配線)は、絶縁層20の一方の面に設けられる。複数の配線31b(第2の配線)は、絶縁層20の他方の面に設けられる。各導通部31cは、絶縁層20の開口部21内に形成される。
【0016】
具体的には、絶縁層20の幅方向における一端部に形成された複数の開口部21に略半数の導通部31cがそれぞれ形成される。幅方向における配線31aの一端部と配線31bの一端部とが当該略半数の導通部31cにより接続される。また、絶縁層20の幅方向における他端部に形成された複数の開口部21に残りの略半数の導通部31cがそれぞれ形成される。幅方向における配線31aの他端部と配線31bの他端部とが当該残りの略半数の導通部31cにより接続される。各導通部31cにおいて、配線31a(第1の配線)との接続部分を接続部31x(第1の接続部)と呼び、配線31b(第2の配線)との接続部分を接続部31y(第2の接続部)と呼ぶ。
【0017】
なお、
図1においては、視認を容易にするため、コイル部31は、複数の配線31a間の間隔および複数の配線31b間の間隔が比較的大きく、かつ巻数が比較的少ないように図示されている。しかしながら、実際には、
図3に示すように、コイル部31は、複数の配線31a間の間隔および複数の配線31b間の間隔が
図1における間隔よりも密であり、かつ巻数が
図1における巻数よりも多くなるように巻回される。したがって、各配線31aと各配線31bとは、略平行に幅方向に延びる。
【0018】
複数の配線31aおよび複数の配線31bは、高密度に形成される。具体的には、各配線31a,31bの幅の下限は、例えば2μmであり、好ましくは10μmである。各配線31a,31bの幅の上限は、例えば500μmであり、好ましくは、300μmである。各配線31a,31bの厚みの下限は、例えば2μmであり、好ましくは5μmであり、より好ましくは10μmである。各配線31a,31bの厚みの上限は、例えば500μmである。隣接する配線31a,31bの間隔の下限は、例えば2μmである。隣接する配線31a,31bの間隔の上限は、例えば200μmである。
【0019】
図4は、
図1の配線回路基板100のX部の拡大図である。
図4の左欄には絶縁層20の一方の面の配線31a(第1の配線)が図示され、
図4の右欄には絶縁層20の他方の面の配線31b(第2の配線)が図示されている。
図4の左欄に示すように、長手方向において、導通部31cの接続部31x(第1の接続部)の幅W1は、配線31a(第1の配線)の一端部と他端部との間の距離L1と同一である。
図4の右欄に示すように、長手方向において、導通部31cの接続部31y(第2の接続部)の幅W2は、配線31b(第2の配線)の一端部と他端部との間の距離L2と同一である。
【0020】
この構成においては、配線31a,31bの各々は、長手方向に突出するランド部等の構造を有さない。また、配線31aと接続部31xとの間の接続面積が十分に大きく維持される。同様に、配線31bと接続部31yとの間の接続面積が十分に大きく維持される。これにより、配線31aと、導通部31cと、配線31bとの間の接続信頼性が向上する。また、ランド部等の構造がないため、スペース(抜き幅)のデザインの自由度が高く、配線の高密度化だけでなく、導通部も高密度に形成できる。
【0021】
図5は、
図4のコイル部31のX部の一例を示す図である。すなわち、
図5は、長手方向に直交するコイル部31の一端部の断面を示す。
図5の例では、太い実線で示すように、配線回路基板100を断面視した場合(第2の方向)において、配線31a(第1の配線)の端部と、導通部31cの接続部31x(第1の接続部)の端部とが同一直線上にある。また、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31b(第2の配線)の端部と、導通部31cの接続部31y(第2の接続部)の端部とが同一直線上にある。
【0022】
図6は、
図4のコイル部31のX部の他の例を示す図である。
図6の例では、太い実線で示すように、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31aの端部と、導通部31cの接続部31xの端部とは、同一曲線上にある。また、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31bの端部と、導通部31cの接続部31yの端部とは、同一曲線上にある。
【0023】
あるいは、配線31aの端部と導通部31cの接続部31xの端部とが同一直線上にあり、配線31bの端部と導通部31cの接続部31yの端部とが同一曲線上にあってもよい。また、配線31aの端部と導通部31cの接続部31xの端部とが同一曲線上にあり、配線31bの端部と導通部31cの接続部31yの端部とが同一直線上にあってもよい。
【0024】
(2)配線回路基板の製造方法
図7は、回路基板集合体シートを示す斜視図である。
図7に示すように、本実施の形態においては、ロール・トゥ・ロール方式により複数の配線回路基板100が整列された状態で回路基板集合体シート1上に形成される。以下、回路基板集合体シート1上に形成される1つの配線回路基板100の断面を参照しつつ、配線回路基板100の製造方法を説明する。
【0025】
図8~
図19は、配線回路基板100の製造方法の一例を説明するための図である。
図8~
図14においては、上段に配線回路基板100の一方の面の平面図の一部を示す。
図15~
図19においては、上段に配線回路基板100の他方の面の平面図の一部を示す。また、
図8~
図19においては、中段に上段の配線回路基板100のD-D線断面図を示し、下段に上段の配線回路基板100のE-E線断面図を示す。また、各図の上段の平面図においては、構成の理解を容易にするために、中段または下段の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。
【0026】
まず、
図8に示すように、磁性体材料からなるシート10Aを準備し、シート10Aの上面の所定の領域に絶縁層20Aを形成する。絶縁層20Aは、シート10Aの上面に感光性樹脂前駆体を塗布し、紫外線を用いて感光性樹脂前駆体を部分的に露光することにより形成されてもよい。本例では、絶縁層20Aの材料は、ポリイミドであるが、エポキシ等の他の樹脂であってもよい。
【0027】
次に、
図9に示すように、
図2の導通部31cが形成されるべき絶縁層20の複数の領域に、厚み方向に貫通する開口部21Aが形成される。開口部21Aは、例えばエッチング液を用いた化学エッチングにより形成されてもよい。シート10Aの上面の一部は、絶縁層20Aの開口部21Aから露出する。
【0028】
続いて、
図10に示すように、絶縁層20Aの上面および絶縁層20Aの開口部21Aから露出するシート10Aの上面を覆うようにシード層36を形成する。シード層36は、例えばスパッタリングにより形成される。シード層36の材料としては、例えば、クロム、銅、ニッケル、チタンまたはこれらの合金が挙げられる。
【0029】
その後、
図11に示すように、シード層36の上面にレジスト膜110(第1のレジスト膜)を形成する。レジスト膜110は、シード層36の下面の全面に感光性のレジスト前駆体が形成された後、レジスト前駆体が所定のパターンに現像されることにより形成されてもよい。レジスト膜110(第1のレジスト膜)は、シード層36の上面の所定の領域を露出させる複数のパターン開口111(第1のパターン開口)を有する。
【0030】
複数のパターン開口111は、絶縁層20Aの複数の開口部21Aにそれぞれ対応する。
図11に太い一点鎖線で示すように、長手方向(第1の方向)において、各パターン開口111(第1のパターン開口)の縁部は、対応する開口部21Aの縁部と重なる。また、
図11に太い二点鎖線で示すように、幅方向(第2の方向)における端部において、各パターン開口111(第1のパターン開口)の縁部は、対応する開口部21Aの縁部と重なる。
【0031】
次に、
図12に示すように、例えば銅めっきによりレジスト膜110のパターン開口111(第1のパターン開口)を通してシード層36の上面に導体層30Aを形成する。導体層30Aは、
図1のコイル部31における複数の配線31a(第1の配線)と、引出配線32,33と、端子34,35とを含む。また、導体層30Aは、絶縁層20Aの各開口部21に形成される導通部31Xを含む。各導通部31Xにおいて、配線31a(第1の配線)との接続部分が接続部31x(第1の接続部)となる。
【0032】
続いて、
図13に示すように、レジスト膜110およびシード層36の露出部分を除去する。なお、
図13以降の工程では、シード層36の図示を省略する。その後、シート10Aの不要部分が露出するようにシート10Aの他面に図示しないマスクを形成し、エッチング液を用いてマスクから露出するシート10Aの部分にエッチングを行う。この場合、
図14に示すように、シート10Aの不要部分が除去されることによりコア10が形成される。エッチング液は、例えば塩化第二鉄液であってもよい。
【0033】
次に、
図15に示すように、コア10の下面を覆うように絶縁層20Aの下面に絶縁層20Bを形成する。絶縁層20Bには、絶縁層20Aの複数の開口部21Aにそれぞれ重なる複数の開口部21Bが形成される。絶縁層20Bの形成手順は、
図8および
図9の絶縁層20Aの形成手順と同じである。絶縁層20Aと絶縁層20Bとが接続されることにより絶縁層20が形成される。また、各開口部21Bと、それに対応する開口部21Aとが連なることにより、開口部21が形成される。導通部31Xの下面は、絶縁層20Bの開口部21Bから露出する。
【0034】
続いて、
図16に示すように、絶縁層20Bの下面および絶縁層20Bの開口部21Bから露出する導通部31Xの下面を覆うようにシード層37を形成する。シード層37の形成手順は、
図10のシード層36の形成手順と同じである。その後、
図17に示すように、シード層37の下面にレジスト膜120(第2のレジスト膜)を形成する。レジスト膜120(第2のレジスト膜)の形成手順は、
図11のレジスト膜110の形成手順と同じである。レジスト膜120(第2のレジスト膜)は、シード層37の下面の所定の領域を露出させる複数のパターン開口121(第2のパターン開口)を有する。
【0035】
複数のパターン開口121(第2のパターン開口)は、絶縁層20Bの複数の開口部21Bにそれぞれ対応する。
図17に太い一点鎖線で示すように、長手方向(第1の方向)において、各パターン開口121(第2のパターン開口)の縁部は、対応する開口部21Bの縁部と重なる。また、
図17に太い二点鎖線で示すように、幅方向(第2の方向)における端部において、各パターン開口121(第2のパターン開口)の縁部は、対応する開口部21Bの縁部と重なる。
【0036】
次に、
図18に示すように、例えば銅めっきによりレジスト膜120のパターン開口121(第2のパターン開口)を通してシード層37の下面に導体層30Bを形成する。導体層30Bは、複数の配線31b(第2の配線)を含む。また、導体層30Bは、絶縁層20Bの各開口部21Bに形成される導通部31Yを含む。各導通部31Yにおいて、配線31b(第2の配線)との接続部分が接続部31y(第2の接続部)となる。以降の工程では、シード層37の図示を省略する。
【0037】
導通部31Xと導通部31Yとがシード層36,37を介して接続されることにより導通部31cが形成される。また、配線31aと配線31bとが導通部31cを介して接続されることにより、コイル部31が形成される。これにより、導体層30Aと導体層30Bとが接続された導体層30が形成される。最後に、
図19に示すように、レジスト膜120およびシード層37の露出部分を除去することにより、
図4~
図6に例示された形状のコイル部31を有する配線回路基板100が完成する。
【0038】
(3)効果
本実施の形態に係る配線回路基板100においては、配線31a,31bの各々は、長手方向に突出するランド部等の構造を有さない。そのため、複数の配線31aを長手方向に配列する場合において、複数の配線31aを互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。同様に、複数の配線31bを長手方向に配列する場合において、複数の配線31bを互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。これにより、複数の配線31aおよび複数の配線31bを高密度で形成しつつ、互いに接続することができる。
【0039】
また、幅方向において、配線31aの端部と、導通部31cの接続部31xの端部とが同一直線上または同一曲線上にある。そのため、配線31aは、導通部31cの接続部31xの端部から幅方向に突出しない。同様に、幅方向において、配線31bの端部と、導通部31cの接続部31yの端部とが同一直線上または同一曲線上にある。そのため、配線31bは、導通部31cの接続部31yの端部から幅方向に突出しない。これらの結果、配線回路基板100を小型化することができる。
【0040】
本実施の形態においては、複数の配線31aおよび複数の配線31bによりコイル部31が構成されるので、コイル部31を長手方向に小型化することが可能である。これにより、コイル部31を含む配線回路基板100を小型化することができる。また、コイル部31は、磁性体材料により形成されたコア10に絶縁層20を介して巻回される。この場合、配線回路基板100を小型化しつつコイル部31のインダクタンスを大きくすることができる。
【0041】
また、上記の絶縁層20A,20Bの形成方法によれば、絶縁層20A,20Bにレーザ加工を行う必要がない。そのため、絶縁層20A,20Bの上面および下面のいずれにもランド部を形成する必要がない。これにより、配線31a,31bを高密度に形成することが可能になる。
【0042】
(4)変形例
図15の工程において、絶縁層20Bに絶縁層20Aの複数の開口部21Aにそれぞれ重なる複数の開口部21Bが形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。
図20は、第1の変形例に係る配線回路基板100の製造方法の一工程を示す図である。
図20の工程は、
図15の工程に対応する。
図20に示すように、絶縁層20Bには、絶縁層20Aの複数の開口部21Aに重なるように長手方向に延びる1つの開口部21Bが形成されてもよい。
【0043】
この構成においては、絶縁層20Aの開口部21Aが絶縁層20の開口部21となる。また、導通部31Yが設けられないため、絶縁層20Aの開口部21Aに形成された導通部31Xが導通部31cとなる。第1の変形例に係る配線回路基板100の製造方法によれば、開口部21Bの形状および位置合わせに要求される精度が緩和される。そのため、開口部21Bをより容易に形成することができる。また、配線回路基板100をより容易に小型化することができる。
【0044】
図21は、第2の変形例に係る配線回路基板100の製造方法の一工程を示す図である。
図21の工程は、
図15の工程に対応する。
図15の絶縁層20Bと同様に、本例における絶縁層20Bは、コア10の下面を覆うように絶縁層20Aの下面に絶縁層20Bを形成する。ここで、本例における絶縁層20Bは、
図15の絶縁層20Bよりも幅方向に小さい。そのため、
図21に示すように、絶縁層20Bは、絶縁層20Aの幅方向における両端部に形成された複数の開口部21Aを覆わない。この場合、絶縁層20Bには、開口部21Bを形成する必要がない。
【0045】
この構成においても、絶縁層20Aの開口部21Aが絶縁層20の開口部21となる。また、導通部31Yが設けられないため、絶縁層20Aの開口部21Aに形成された導通部31Xが導通部31cとなる。第2の変形例に係る配線回路基板100の製造方法によれば、絶縁層20Bに開口部21Bを形成する必要がないため、開口部21Bをより容易に形成することができる。また、配線回路基板100をより容易に小型化することができる。
【0046】
2.第2の実施の形態
第1の実施の形態においては、コイル部31の一部として、複数の配線31aが互いに電気的に接続され、複数の配線31bが互いに電気的に接続されるが、実施の形態はこれに限定されない。配線31aと、それに対応する配線31bとが導通部31cを介して電気的に接続される限り、複数の配線31aが互いに電気的に接続されなくてもよく、複数の配線31bが互いに電気的に接続されなくてもよい。以下、第2の実施の形態に係る配線回路基板100について、第1の実施の形態に係る配線回路基板100と異なる点を説明する。
【0047】
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る配線回路基板100の一部を示す平面図である。
図22の配線回路基板100のF-F線断面図は、
図5または
図6と同様である。
図5、
図6および
図22に示すように、本実施の形態に係る配線回路基板100は、絶縁層20、複数の配線31a、複数の配線31bおよび複数の導通部31cを含む。複数の配線31aと、複数の配線31bと、複数の導通部31cとは互いに対応する。本実施の形態に係る配線回路基板100は、コア10を含まなくてもよい。
【0048】
複数の配線31aは、幅方向に延びかつ長手方向に並ぶように、絶縁層20の一方の面に設けられる。複数の配線31aは、互いに電気的に絶縁されている。複数の配線31bは、幅方向に延びかつ長手方向に並ぶように、絶縁層20の他方の面に設けられる。複数の配線31bは、互いに電気的に絶縁されている。各導通部31cは、絶縁層20に形成された開口部に形成され、対応する配線31aと配線31bとを接続する。
【0049】
本実施の形態に係る配線回路基板100においても、配線31a,31bの各々は、長手方向に突出するランド部等の構造を有さない。そのため、複数の配線31aを長手方向に配列する場合において、複数の配線31aを互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。同様に、複数の配線31bを長手方向に配列する場合において、複数の配線31bを互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。
【0050】
また、配線31aは、導通部31cの接続部31xの端部から幅方向に突出しない。同様に、配線31bは、導通部31cの接続部31yの端部から幅方向に突出しない。これらの結果、配線回路基板100を小型化することができる。
【0051】
本例では、配線31aと配線31bとは、導通部31cから同一の方向に延びるように設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。
図23および
図24は、配線31a,31bの他の例を示す断面図である。
図23または
図24に示すように、配線31aと配線31bとは、導通部31cから互いに反対の方向に延びるように設けられてもよい。
【0052】
ここで、
図23の例では、太い実線で示すように、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31aの端部と、導通部31cの接続部31xの端部とが同一直線上にある。また、太い一点鎖線で示すように、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31bの端部と、導通部31cの接続部31yの端部とが同一直線上にある。
【0053】
図24の例では、太い実線で示すように、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31aの端部と、導通部31cの接続部31xの端部とは、同一曲線上にある。また、太い一点鎖線で示すように、配線回路基板100を断面視した場合において、配線31bの端部と、導通部31cの接続部31yの端部とは、同一曲線上にあってもよい。
【0054】
あるいは、配線31aの端部と導通部31cの接続部31xの端部とが同一直線上にあり、配線31bの端部と導通部31cの接続部31yの端部とが同一曲線上にあってもよい。また、配線31aの端部と導通部31cの接続部31xの端部とが同一曲線上にあり、配線31bの端部と導通部31cの接続部31yの端部とが同一直線上にあってもよい。
【0055】
3.第3の実施の形態
第1または第2の実施の形態に係る配線回路基板100の製造方法においては、配線回路基板100の上面に加工が行われた後に下面に加工が行われるが、実施の形態はこれに限定されない。配線回路基板100の両面に同時に加工が行われてもよい。以下、第3の実施の形態に係る配線回路基板100の製造方法について、第1の実施の形態に係る配線回路基板100の製造方法と異なる点を説明する。
【0056】
図25~
図34は、第3の実施の形態に係る配線回路基板100の製造方法の一例を説明するための図である。
図25~
図29および
図32~
図34においては、上段に、シート10Aに形成される2つの配線回路基板100の一方の面の平面図の一部を示す。中段に、上記の2つの配線回路基板100の他方の面の平面図の一部を示す。下段に、上段の2つの配線回路基板100のG-G線断面図を示す。
図30および
図31には、
図25~
図29および
図32~
図34の下段と同様の配線回路基板100の断面図が示される。
図25~
図29および
図32~
図34の上段および中段の平面図においては、構成の理解を容易にするために、下段の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。
【0057】
まず、
図25に示すように、磁性体材料からなるシート10Aを準備し、シート10Aの上面の所定の領域に絶縁層20Aを形成する。絶縁層20Aの形成方法は、
図8における絶縁層20Aの形成方法と同様である。次に、
図26に示すように、シート10Aを加工することにより、複数の配線回路基板100にそれぞれ対応する複数のコア10を形成する。シート10Aの加工方法は、
図13~
図14におけるシート10Aの加工方法と同様である。
【0058】
続いて、
図27に示すように、各コア10の下面を覆うように絶縁層20Aの下面に絶縁層20Bを形成する。絶縁層20Bの形成方法は、
図15における絶縁層20Bの形成方法と同様である。絶縁層20Aと絶縁層20Bとが接続されることにより絶縁層20Cが形成される。
【0059】
その後、
図28に示すように、絶縁層20Cにおける隣り合う2つのコア10の間の領域に、絶縁層20Cを厚み方向に貫通する開口部21Cを形成する。これにより、絶縁層20Cが複数の部分に分断される。絶縁層20Cにおいて、各コア10を覆う部分が絶縁層20となる。
【0060】
次に、
図29に示すように、絶縁層20Cの全面を覆うようにシード層38を形成する。これにより、絶縁層20Cの上面、絶縁層20Cの下面および開口部21Cの内周面にシード層38が形成される。シード層38の形成方法は、
図10におけるシード層36の形成方法および
図16におけるシード層37の形成方法と同様である。
【0061】
続いて、
図30に示すように、シード層38の上面および下面にレジスト膜130を形成する。レジスト膜130は、シード層38の上面、下面および側面の所定の領域を露出させる。レジスト膜130の形成方法は、
図11におけるレジスト膜110の形成方法および
図17におけるレジスト膜120の形成方法と同様である。
【0062】
その後、
図31に示すように、レジスト膜130から露出するシード層38の上面、下面および側面の領域にコイル部31(導体層30)を形成する。この構成においては、絶縁層20Cの開口部21C内でシード層38の側面に形成されるコイル部31が導通部31cとなる。また、シード層38の上面に形成されるコイル部31が配線31aとなり、シード層38の下面に形成されるコイル部31が配線31bとなる。コイル部31の形成方法は、
図12における導体層30Aの形成方法および
図18における導体層30Bの形成方法と同様である。
【0063】
次に、
図32に示すように、レジスト膜130を除去する。続いて、
図33に示すように、シード層38の露出部分を除去する。これにより、複数の配線回路基板100が完成する。なお、
図33以降の工程では、シード層38の図示を省略する。
【0064】
その後、
図34に示すように、コイル部31を含む導体層30を覆うように、絶縁層20Cの上面、絶縁層20Cの下面および開口部21Cの内周面にカバー層40を形成されてもよい。カバー層40は、ポリイミド等の樹脂により形成される。カバー層40の形成方法は、絶縁層20A,20Bの形成方法と同様である。なお、第1の実施の形態または第2の実施の形態においても、導体層30を覆うように、絶縁層20の上面、絶縁層20の下面および開口部21の内周面にカバー層が形成されてもよい。
【0065】
上記の配線回路基板100の製造方法によれば、配線31a,31bおよび導通部31cが継ぎ目なく形成される。そのため、配線31aと導通部31cとの間、および配線31bと導通部31cとの間で界面剥離が発生することが防止される。したがって、配線回路基板100の信頼性が向上する。また、配線31aと導通部31cとの間、および配線31bと導通部31cとの間の接続が不十分になることによる抵抗の増大が発生しない。これにより、配線回路基板100を低抵抗化することができる。
【0066】
4.他の実施の形態
上記実施の形態においては、幅方向において、配線31aの端部と、導通部31cの接続部31xの端部とが同一直線上または同一曲線上にある。また、配線31bの端部と、導通部31cの接続部31yの端部とが同一直線上または同一曲線上にある。しかしながら、実施の形態はこれに限定されない。配線回路基板100を幅方向に小型化する必要がない場合、幅方向において、配線31aの端部と、導通部31cの接続部31xの端部とが同一直線上または同一曲線上になくてもよい。また、幅方向において、配線31bの端部と、導通部31cの接続部31yの端部とが同一直線上または同一曲線上になくてもよい。
【0067】
第1の実施の形態においては、配線回路基板100はコア10を含むが、実施の形態はこれに限定されない。コイル部31が十分に大きいインダクタンスを有する場合には、配線回路基板100はコア10を含まなくてもよい。また、コア10は、必要に応じて、エッチングまたは外形加工により除去されてもよい。
【0068】
第3の実施の形態においては、配線回路基板100の両面に同時にシード層38、レジスト膜130およびカバー層40の各々が形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。絶縁層20の上面、絶縁層20の下面および開口部21C内にコイル部31(導体層30)が継ぎ目なく一括で形成される限り、シード層38、レジスト膜130およびカバー層40の各々は、配線回路基板100の両面に同時に形成されなくてもよく、配線回路基板100の片面ずつに順次形成されてもよい。
【0069】
5.対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0070】
上記実施の形態においては、開口部21または開口部21Cが開口部の例であり、絶縁層20が絶縁層の例であり、導通部31cが導通部の例であり、接続部31x,31yがそれぞれ第1および第2の接続部の例である。配線31a,31bがそれぞれ第1および第2の配線の例であり、配線回路基板100が配線回路基板の例であり、コイル部31がコイル部の例であり、コア10がコアの例である。パターン開口111,121がそれぞれ第1および第2のパターン開口の例であり、レジスト膜110,120がそれぞれ第1および第2のレジスト膜の例であり、導体層30が導体層の例である。
【0071】
6.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る配線回路基板は、
厚み方向に貫通する開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層の前記開口部内に形成された導通部と、
前記絶縁層の一方の面に形成され、前記導通部の第1の接続部に接続された第1の配線と、
前記絶縁層の他方の面に形成され、前記導通部の第2の接続部に接続された第2の配線とを備え、
第1の方向において、前記第1の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第1の接続部の幅と同一であり、
前記第1の方向において、前記第2の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第2の接続部の幅と同一である構造を含む。
【0072】
この配線回路基板においては、第1の配線および第2の配線の各々は、第1の方向に突出するランド部等の構造を有さない。そのため、第1の配線を第1の方向に複数配列する場合において、複数の第1の配線を互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。同様に、第2の配線を第1の方向に複数配列する場合において、複数の第2の配線を互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。これにより、複数の第1の配線および複数の第2の配線を高密度で形成しつつ、互いに接続することができる。その結果、配線回路基板を小型化することができる。
【0073】
(第2項)第1項に記載の配線回路基板において、
前記厚み方向および前記第1の方向に交差する第2の方向において、前記第1の配線の端部と、前記導通部の前記第1の接続部の端部とが同一直線上または同一曲線上にあってもよい。
【0074】
この場合、第1の配線は、導通部の第1の接続部の端部から第2の方向に突出しない。これにより、配線回路基板をより小型化することができる。
【0075】
(第3項)第2項に記載の配線回路基板において、
前記第2の方向において、前記第2の配線の端部と、前記導通部の前記第2の接続部の端部とが同一直線上または同一曲線上にあってもよい。
【0076】
この場合、第2の配線は、導通部の第2の接続部の端部から第2の方向に突出しない。これにより、配線回路基板をより小型化することができる。
【0077】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の配線回路基板は、
前記第1の配線、前記第2の配線および前記導通部がコイル部を構成していてもよい。
【0078】
この場合、コイル部は第1の配線および第2の配線により構成されるので、コイル部を第1の方向に小型化することが可能である。これにより、コイル部を含む配線回路基板を小型化することができる。また、第1の配線および第2の配線によりコイルが構成される場合には、多数の接続部が形成されるため、配線回路基板を小型化および薄型化する意義が大きい。
【0079】
(第5項)第4項に記載の配線回路基板は、
磁性体材料により形成されたコアを少なくとも前記絶縁層の一面上にさらに備え、
前記コイル部は、前記絶縁層を介して前記コアに巻回されていてもよい。
【0080】
この場合、配線回路基板を小型化しつつコイル部のインダクタンスを大きくすることができる。
【0081】
(第6項)第1項~第5項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記第1の配線、前記第2の配線および前記導通部が金属めっきにより一体で形成されていてもよい。
【0082】
この場合、導通部、第1の配線および第2の配線が継ぎ目なく形成される。そのため、導通部と第1の配線との間、および導通部と第2の配線との間で界面剥離が発生することが防止される。したがって、配線回路基板の信頼性が向上する。また、導通部と第1の配線との間、および導通部と第2の配線との間の接続が不十分になることによる抵抗の増大が発生しない。これにより、配線回路基板を低抵抗化することができる。
【0083】
(第7項)第1項~第6項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記絶縁層が感光性樹脂組成物から形成されていてもよい。
【0084】
この場合、絶縁層に開口部を形成するために、絶縁層にレーザ加工を行う必要がない。そのため、ランド部等の構造を有さない絶縁層を容易に形成することができる。これにより、第1の配線および第2の配線を容易に高密度に形成することが可能になる。
【0085】
(第8項)第8項に係る配線回路基板の製造方法は、
厚み方向に貫通する絶縁層の開口部内に導通部を形成することと、
前記絶縁層の一方の面に前記導通部の第1の接続部に接続された第1の配線を形成することと、
前記絶縁層の他方の面に前記導通部の第2の接続部に接続された第2の配線を形成することとを含み、
前記第1の配線を形成することは、第1の方向において、前記第1の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第1の接続部の幅と同一である前記第1の配線を形成することを含み、
前記第2の配線を形成することは、前記第1の方向において、前記第2の配線の一端部と他端部との間の距離が、前記導通部の前記第2の接続部の幅と同一である前記第2の配線を形成することを含む。
【0086】
この配線回路基板の製造方法によれば、第1の配線および第2の配線の各々は、第1の方向に突出するランド部等の構造を有さない。そのため、第1の配線を第1の方向に複数配列する場合において、複数の第1の配線を互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。同様に、第2の配線を第1の方向に複数配列する場合において、複数の第2の配線を互いに干渉させることなく十分に近接させることが可能である。これにより、配線回路基板を小型化することができる。
【0087】
(第9項)第8項に記載の配線回路基板の製造方法は、
前記第1の方向における前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部を有する第1のパターン開口を含む第1のレジスト膜を前記絶縁層の一方の面に形成することをさらに含み、
前記第1の配線を形成することは、前記第1のレジスト膜の前記第1のパターン開口を通して前記絶縁層の一方の面に前記第1の配線を形成することを含んでもよい。
【0088】
この配線回路基板の製造方法によれば、第1の方向に突出する構造を有さない第1の配線を容易に形成することができる。
【0089】
(第10項)第9項に記載の配線回路基板の製造方法は、
前記第1の方向における前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部を有する第2のパターン開口を含む第2のレジスト膜を前記絶縁層の他方の面に形成することをさらに含み、
前記第2の配線を形成することは、前記第2のレジスト膜の前記第2のパターン開口を通して前記絶縁層の他方の面に前記第2の配線を形成することを含んでもよい。
【0090】
この配線回路基板の製造方法によれば、第1の方向に突出する構造を有さない第2の配線を容易に形成することができる。
【0091】
(第11項)第9項または第10項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記第1のレジスト膜の前記第1のパターン開口は、前記厚み方向および前記第1の方向に交差する第2の方向における端部において、前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部をさらに有してもよい。
【0092】
この配線回路基板の製造方法によれば、導通部の第1の接続部の端部から第2の方向に突出しない第1の配線を容易に形成することができる。これにより、配線回路基板をより小型化することができる。
【0093】
(第12項)第10項または第11項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記第2のレジスト膜の前記第2のパターン開口は、前記第2の方向における端部において、前記絶縁層の前記開口部の縁部と重なる縁部をさらに有してもよい。
【0094】
この配線回路基板の製造方法によれば、導通部の第2の接続部の端部から第2の方向に突出しない第2の配線を容易に形成することができる。これにより、配線回路基板をより小型化することができる。
【0095】
(第13項)第8項~第12項のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記導通部、前記第1の配線および前記第2の配線を形成することは、前記絶縁層の前記開口部内、前記絶縁層の一方の面および前記絶縁層の他方の面に導体層を一括で形成することを含み、
前記絶縁層の前記開口部内、前記絶縁層の一方の面および前記絶縁層の他方の面に形成された前記導体層の部分がそれぞれ前記導通部、前記第1の配線および前記第2の配線となってもよい。
【0096】
この配線回路基板の製造方法によれば、導通部、第1の配線および第2の配線が継ぎ目なく形成される。そのため、導通部と第1の配線との間、および導通部と第2の配線との間で界面剥離が発生することが防止される。したがって、配線回路基板の信頼性が向上する。また、導通部と第1の配線との間、および導通部と第2の配線との間の接続が不十分になることによる抵抗の増大が発生しない。これにより、配線回路基板を低抵抗化することができる。
【0097】
(第14項)第13項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記第1の配線、前記第2の配線および前記導通部を形成することは、前記導体層を金属めっきにより形成することを含んでもよい。
【0098】
この場合、絶縁層の開口部内、絶縁層の一方の面および絶縁層の他方の面に導体層を容易に一括で形成することができる。
【0099】
(第15項)第8項~第14項のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記絶縁層が感光性樹脂組成物から形成されていてもよい。
【0100】
この場合、絶縁層に開口部を形成するために、絶縁層にレーザ加工を行う必要がない。そのため、ランド部等の構造を有さない絶縁層を容易に形成することができる。これにより、第1の配線および第2の配線を容易に高密度に形成することが可能になる。
【符号の説明】
【0101】
1…回路基板集合体シート,10…コア,10A…シート,20,20A,20B,20C…絶縁層,21,21A,21B,21C…開口部,30,30A,30B…導体層,31…コイル部,31a,31b…配線,31c,31X,31Y…導通部,31x,31y…接続部,32,33…引出配線,34,35…端子,36,37,38…シード層,40…カバー層,100…配線回路基板,110,120,130…レジスト膜,111,121…パターン開口