(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086517
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ビークルデータ処理装置、ビークルデータ処理方法およびビークルデータ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/10 20120101AFI20240620BHJP
B60W 50/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B60W40/10
B60W50/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020649
(22)【出願日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2022200066
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】西村 雅史
(72)【発明者】
【氏名】品川 晃徳
(72)【発明者】
【氏名】南雲 修一
(72)【発明者】
【氏名】安間 仁保
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241DB01Z
3D241DB05Z
3D241DB08Z
(57)【要約】
【課題】ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度を向上する。
【解決手段】走行軌跡データDAと走行中のビークルに関する物理量に関する走行データDBとが関連付けられた、または、走行軌跡データDAを少なくとも含む走行データDCを取得および処理して生成された出力データDOを出力するビークルデータ処理装置1のプロセッサ2は、走行軌跡データDAに含まれる位置情報IA、または、物理量に関する走行データDBを取得するデータ取得処理S1と、位置情報IAまたは物理量に関する走行データDBと、走行軌跡Tを横断する複数の線分Sを含むように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理S2と、指標が関連付けられた位置情報IAまたは物理量に関する走行データDBに基づいて生成された出力データDOを出力する出力処理とを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと、走行中の前記ビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む走行データを取得および処理して生成された出力データを出力する、ビークルデータ処理装置であって、
前記走行軌跡データに含まれる位置情報、または、前記物理量に関する走行データを取得するデータ取得処理と、
取得された前記位置情報または、取得された前記物理量に関する走行データと、前記走行軌跡の時系列方向における前記走行軌跡の右領域に一端が存在し、前記走行軌跡の左領域に他端が存在し、前記走行軌跡を一度だけ横断する線分を複数含むように構成され、かつ、前記走行軌跡が複数存在する場合に前記複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理と、
前記指標関連付け処理によって前記指標が関連付けられた前記位置情報または前記物理量に関する走行データに基づいて生成された前記出力データを出力する出力処理と、
を少なくとも実行するプロセッサを有することを特徴とする、ビークルデータ処理装置。
【請求項2】
前記ビークルデータ処理装置は、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを複数取得し、
前記プロセッサは、
前記データ取得処理において、複数の前記走行軌跡データに含まれる前記位置情報、または、前記物理量に関する複数の走行データを取得し、
前記指標関連付け処理において、取得された複数の前記走行軌跡データに含まれる前記位置情報、または、取得された前記物理量に関する複数の走行データが、同じ前記指標に関連付けられ、
前記出力処理において、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記複数の走行データを、前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に基づいて比較して、前記出力データを生成することを特徴とする、請求項1に記載のビークルデータ処理装置。
【請求項3】
前記ビークルデータ処理装置は、前記走行軌跡データと複数種類の前記物理量に関する走行データとが関連付けられた前記走行データを取得し、
前記プロセッサは、前記データ取得処理において、複数種類の前記物理量に関する走行データを取得し、
前記指標関連付け処理において、取得された複数種類の前記物理量に関する走行データが前記指標に関連付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のビークルデータ処理装置。
【請求項4】
前記指標関連付け処理において前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に含まれる前記複数の線分は、1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分であるか、または、前記ビークルが走行するコースの少なくとも一部を均等に分割し、前記コースの縁または中心軸線に直交する複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のビークルデータ処理装置。
【請求項5】
前記1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる前記複数の直線状の線分を含むように構成された前記指標が、前記複数の直線状の線分の基準方向に対する角度を有することを特徴とする、請求項4に記載のビークルデータ処理装置。
【請求項6】
前記出力データは、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを、前記指標を用いて表示させるためのデータ、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データに対する、前記指標を用いた評価を示すデータ、および、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを、前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に基づいて比較した結果から生成された、前記指標を用いたデータの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項2に記載のビークルデータ処理装置。
【請求項7】
前記出力データは、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを、前記指標を用いて表示させるためのデータ、および、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データに対する、前記指標を用いた評価を示すデータ
の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のビークルデータ処理装置。
【請求項8】
ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと、走行中の前記ビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む走行データを取得および処理して生成された出力データを出力する、ビークルデータ処理装置におけるビークルデータ処理方法であって、
前記走行軌跡データに含まれる位置情報、または、前記物理量に関する走行データを取得するデータ取得処理と、
取得された前記位置情報または、取得された前記物理量に関する走行データと、前記走行軌跡の時系列方向における前記走行軌跡の右領域に一端が存在し、前記走行軌跡の左領域に他端が存在し、前記走行軌跡を一度だけ横断する線分を複数含むように構成され、かつ、前記走行軌跡が複数存在する場合に前記複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理と、
前記指標関連付け処理によって前記指標が関連付けられた前記位置情報または前記物理量に関する走行データに基づいて生成された前記出力データを出力する出力処理と、
を少なくとも有することを特徴とする、ビークルデータ処理方法。
【請求項9】
ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと、走行中の前記ビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む走行データを取得および処理して生成された出力データを出力する、ビークルデータ処理装置におけるビークルデータ処理プログラムであって、
前記走行軌跡データに含まれる位置情報、または、前記物理量に関する走行データを取得するデータ取得処理と、
取得された前記位置情報または、取得された前記物理量に関する走行データと、前記走行軌跡の時系列方向における前記走行軌跡の右領域に一端が存在し、前記走行軌跡の左領域に他端が存在し、前記走行軌跡を一度だけ横断する線分を複数含むように構成され、かつ、前記走行軌跡が複数存在する場合に前記複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理と、
前記指標関連付け処理によって前記指標が関連付けられた前記位置情報または前記物理量に関する走行データに基づいて生成された前記出力データを出力する出力処理と、
を少なくとも含む処理を、前記ビークルデータ処理装置が有するプロセッサに実行させることを特徴とする、ビークルデータ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行中のビークルに関するデータを処理するビークルデータ処理装置、ビークルデータ処理方法およびビークルデータ処理プログラムに関する。
【0002】
従来、走行中のビークルに関するデータを処理するビークルデータ処理装置速装置がある。例えば、特許文献1には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して取得された走行軌跡に関する走行軌跡データと、ビークルの加速度に関する加速度データとが関連付けられた走行データを取得して処理するビークルデータ処理装置が開示されている。このビークルデータ処理装置は、走行軌跡データと加速度に関する走行データとが関連付けられた複数の走行データを比較する処理を行い、比較結果のデータを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビークルデータ処理装置は、ハードウェアリソースの設計自由度が高いことが望まれる。
【0005】
本発明は、ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データを処理するビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度を向上できる、ビークルデータ処理装置、ビークルデータ処理方法およびビークルデータ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、以下の構成を有する。
ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと、走行中の前記ビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む走行データを取得および処理して生成された出力データを出力する、ビークルデータ処理装置であって、前記走行軌跡データに含まれる位置情報、または、前記物理量に関する走行データを取得するデータ取得処理と、取得された前記位置情報または、取得された前記物理量に関する走行データと、前記走行軌跡の時系列方向における前記走行軌跡の右領域に一端が存在し、前記走行軌跡の左領域に他端が存在し、前記走行軌跡を一度だけ横断する線分を複数含むように構成され、かつ、前記走行軌跡が複数存在する場合に前記複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理と、前記指標関連付け処理によって前記指標が関連付けられた前記位置情報または前記物理量に関する走行データに基づいて生成された前記出力データを出力する出力処理と、を少なくとも実行するプロセッサを有する。
【0007】
上記の構成によると、指標関連付け処理において走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データと、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標とが関連付けられることで、指標関連付け処理の後に、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データの処理がより容易となる。具体的には例えば、指標に基づいて物理量に関する走行データを表示させることができるため、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた走行データを表示させるための処理が行いやすい。また、例えば、指標に基づいて物理量を評価することができるため、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた走行データを評価する処理が行いやすい。また、例えば、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた複数の走行データを取得した場合に、指標が関連付けられた物理量に関する複数の走行データを、指標に基づいて比較することができる。そのため、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた複数の走行データを比較する処理を行いやすい。また、例えば、走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを取得した場合に、指標が関連付けられた位置情報を有する複数の走行軌跡データを、指標に基づいて比較することができる。そのため、走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを比較する処理を行いやすい。
また、同じコースを走行しても、例えば個人差によって、走行軌跡は異なる場合がある。そのため、複数の走行軌跡データの比較、または、物理量に関する走行データの比較を適切に行うことが難しい場合がある。一方、車速や経過時間から算出された走行距離または経過時間を用いて、複数の走行軌跡データの比較、または、物理量に関する複数の走行データの比較を行った場合、精度良く比較しようとすると複雑な処理が必要となる場合がある。しかし、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられることで、同じ指標に基づいて、複数の走行軌跡データの比較、または、物理量に関する複数の走行データの比較を行うことができる。そのため、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを比較する処理を容易に行うことができる。
例えばGNSSを利用して取得された位置情報は、GNSS衛星からの電波を受信した時間の違いなどによって誤差が生じる場合がある。そのため、指標関連付け処理を行わない場合、誤差を補正するための複雑な処理が必要になる場合がある。しかし、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられることで、同じ指標に基づいて、複数の走行軌跡データの比較、または、物理量に関する複数の走行データの比較を行うことが可能となるため、誤差を修正する処理を軽減できる。そのため、指標関連付け処理の後、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを比較する処理を容易に行うことができる。
また、コースの形状が異なる場合、走行軌跡の形状と位置情報が異なる。そのため、指標関連付け処理を行わない場合、コースごとに異なる複雑な処理を必要とする場合がある。しかし、走行軌跡データに含まれる位置情報が、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられることで、コースごとに必要な処理を軽減できる。そのため、指標関連付け処理の後、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データの処理を容易に行うことができる。
また、走行軌跡データに含まれる位置情報が、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられるため、指標を設定するために、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データを解析して走行軌跡の領域ごとに走行シーン(例えば旋回、直進など)を読み取るという複雑な処理を行う必要がない。そのため、指標関連付け処理は行いやすい。
このように、例えば、コースの形状が変更されたり、走行軌跡に個人差が生じたり、GNSSを利用して取得された位置情報に誤差が生じたりしても、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられることで、指標が関連付けられた位置情報または物理量に関する走行データに基づいて出力データを生成する処理を容易に行うことができる。そのため、例えば、ビークルデータ処理装置のプロセッサに求められる必要な処理能力およびビークルデータ処理装置のメモリに求められる必要な容量の少なくとも一方を低減することができる。それにより、ビークルデータ処理装置のプロセッサやメモリなどのハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。
【0008】
(2)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ビークルデータ処理装置は、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを複数取得し、前記プロセッサは、前記データ取得処理において、複数の前記走行軌跡データに含まれる前記位置情報、または、前記物理量に関する複数の走行データを取得し、前記指標関連付け処理において、取得された複数の前記走行軌跡データに含まれる前記位置情報、または、取得された前記物理量に関する複数の走行データが、同じ前記指標に関連付けられ、前記出力処理において、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記複数の走行データを、前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に基づいて比較して、前記出力データを生成する。
【0009】
この構成によると、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成された指標に関連付けられているため、複数の走行データを比較する処理を容易に行うことができる。そのため、ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。
【0010】
(3)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、上記(1)または(2)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ビークルデータ処理装置は、前記走行軌跡データと複数種類の前記物理量に関する走行データとが関連付けられた前記走行データを取得し、前記プロセッサは、前記データ取得処理において、複数種類の前記物理量に関する走行データを取得し、前記指標関連付け処理において、取得された複数種類の前記物理量に関する走行データが前記指標に関連付けられる。
【0011】
この構成によると、複数種類の物理量に関する複数の走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられるため、走行軌跡データと複数種類の物理量に関する複数の走行データとが関連付けられていても、指標が関連付けられた位置情報または物理量に関する走行データに基づいて出力データを生成する処理を容易に行うことができる。そのため、ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。
【0012】
(4)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、上記(1)~(3)のいずれか1つの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記指標関連付け処理において前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に含まれる前記複数の線分は、1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分であるか、または、前記ビークルが走行するコースの少なくとも一部を均等に分割し、前記コースの縁または中心軸線に直交する複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分である。
【0013】
この構成によると、指標関連付け処理をより容易に行うことができる。また、指標関連付け処理の後に、指標が関連付けられた位置情報または物理量に関する走行データに基づいて出力データを生成する処理がより容易となる。そのため、ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度をより向上できる。
【0014】
(5)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、上記(4)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる前記複数の直線状の線分を含むように構成された前記指標が、前記複数の直線状の線分の基準方向に対する角度を有する。
【0015】
この構成によると、指標関連付け処理をより容易に行うことができる。また、指標関連付け処理の後に、指標が関連付けられた位置情報または物理量に関する走行データに基づいて出力データを生成する処理がより容易となる。そのため、ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度をより向上できる。
【0016】
(6)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、上記(2)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記出力データは、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを、前記指標を用いて表示させるためのデータ、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データに対する、前記指標を用いた評価を示すデータ、および、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを、前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に基づいて比較した結果から生成された、前記指標を用いたデータの少なくとも1つを含む。
【0017】
この構成によると、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成された指標に関連付けられることで、指標関連付け処理の後に、このような出力データを生成する処理を容易に行うことができる。そのため、ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。
【0018】
(7)本発明の一実施形態のビークルデータ処理装置は、上記(1)~(5)のいずれか1つの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記出力データは、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを、前記指標を用いて表示させるためのデータ、および、前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データに対する、前記指標を用いた評価を示すデータの少なくとも一方を含む。
【0019】
この構成によると、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが、走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられることで、指標関連付け処理の後に、このような出力データを生成する処理を容易に行うことができる。そのため、ビークルデータ処理装置のハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。
【0020】
(8)本発明の一実施形態のビークルデータ処理方法は、以下の構成を有する。
ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと、走行中の前記ビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む走行データを取得および処理して生成された出力データを出力する、ビークルデータ処理装置におけるビークルデータ処理方法であって、前記走行軌跡データに含まれる位置情報、または、前記物理量に関する走行データを取得するデータ取得処理と、取得された前記位置情報または、取得された前記物理量に関する走行データと、前記走行軌跡の時系列方向における前記走行軌跡の右領域に一端が存在し、前記走行軌跡の左領域に他端が存在し、前記走行軌跡を一度だけ横断する線分を複数含むように構成され、かつ、前記走行軌跡が複数存在する場合に前記複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理と、前記指標関連付け処理によって前記指標が関連付けられた前記位置情報または前記物理量に関する走行データに基づいて生成された前記出力データを出力する出力処理と、を少なくとも有する。
【0021】
この構成によると、上述の(1)の構成のビークルデータ処理装置と同様の効果が得られる。即ち、このビークルデータ処理方法によると、ビークルデータ処理装置のプロセッサやメモリなどのハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。なお、ビークルデータ処理方法は、上述の(2)~(7)の少なくとも1つと同様の構成を有してもよい。
【0022】
(9)本発明の一実施形態のビークルデータ処理プログラムは、以下の構成を有する。
ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データと、走行中の前記ビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む走行データを取得および処理して生成された出力データを出力する、ビークルデータ処理装置におけるビークルデータ処理プログラムであって、前記走行軌跡データに含まれる位置情報、または、前記物理量に関する走行データを取得するデータ取得処理と、取得された前記位置情報または、取得された前記物理量に関する走行データと、前記走行軌跡の時系列方向における前記走行軌跡の右領域に一端が存在し、前記走行軌跡の左領域に他端が存在し、前記走行軌跡を一度だけ横断する線分を複数含むように構成され、かつ、前記走行軌跡が複数存在する場合に前記複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される指標とを関連付ける指標関連付け処理と、前記指標関連付け処理によって前記指標が関連付けられた前記位置情報または前記物理量に関する走行データに基づいて生成された前記出力データを出力する出力処理と、を少なくとも含む処理を、前記ビークルデータ処理装置が有するプロセッサに実行させる。
【0023】
この構成によると、上述の(1)の構成のビークルデータ処理装置と同様の効果が得られる。即ち、このビークルデータ処理プログラムによると、ビークルデータ処理装置のプロセッサやメモリなどのハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。なお、ビークルデータ処理プログラムは、上述の(2)~(7)の少なくとも1つと同様の構成を有してもよい。
【0024】
なお、本発明において、ビークルは、車輪を有してもよく、有さなくてもよい。本発明において、ビークルは、地面、雪上、水面、空中の少なくとも1つを走行する。ここでの地面とは、舗装面でもよく、土のある面でもよい。本発明において、ビークルは、走行するための動力を発生させる動力源を有してもよく、有さなくてもよい。本発明において、ビークルは、鞍乗型車両を含んでもよい。鞍乗型車両は、運転者が鞍にまたがるような状態で乗車するビークル全般を指す。鞍乗型車両は、自動二輪車、自動三輪車(motor tricycle)、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、スノーモービル、水上オートバイ(パーソナルウォータークラフト)等を含む。自動二輪車は、スクータ、原動機付き自転車、モペット等を含む。本発明において、ビークルは、鞍乗型車両以外の四輪車両(自動車)を含んでいてもよい。本発明において、ビークルは、鞍乗型車両以外の船舶を含んでもよい。本発明において、ビークルは、ドローンなどの飛行体でもよい。本発明において、ビークルは、運転者の操作によらずに自動的に走行可能でもよい。本発明において、走行軌跡データおよび物理量に関する走行データは、運転者の操作によって走行しているときのビークルに関するデータでもよく、運転者の操作によらずに自動的に走行しているときのビークルに関するデータでもよい。
【0025】
本発明において、ビークルの走行軌跡に関する走行軌跡データは、例えば、GNSSを利用して生成されたデータでもよい。本発明において、走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データは、例えば、GNSSを利用して生成されたデータを含んでもよい。GNSSを利用して生成されたデータとは、GNSS衛星から送信された電波を利用して生成されたデータである。GNSSを利用して生成されたデータは、GNSS衛星から送信された電波と、ビークルの挙動を検出するセンサの信号とに基づいて生成されてもよい。走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データは、GNSSを利用せずに生成されたデータを含んでもよい。本発明における走行軌跡データおよび走行データは、例えば、特許6619914号、特許6619915号、または、特許6620268号に記載されているようなデータでもよい。
【0026】
本発明において、走行軌跡データは、位置情報を含む。走行軌跡データに含まれる位置情報は、例えば、緯度と経度の情報である。走行軌跡データが含む位置情報は、ビークルの走行軌跡を示す。但し、走行軌跡データに含まれる位置情報は、ビークルの内部または表面上の位置情報でもよく、ビークルの近傍の位置情報でもよい。ビークルの近傍の位置情報とは、例えば、運転者の頭部や腕など、ビークルに対する特定の位置の情報である。走行軌跡データがGNSSを利用して生成されたデータの場合、走行軌跡データに含まれる位置情報は、例えば、GNSS衛星からの電波を受信する装置の位置情報でもよい。GNSS衛星からの電波を受信する装置は、ビークルに取り付けられてもよく、運転者が装着している物(例えばヘルメットやリストバンドなど)に取り付けられてもよい。また、走行軌跡データは、GNSS衛星からの電波を受信する装置の位置情報を補正して得られたデータでもよい。本発明において、走行軌跡は、地図上のどの道路を走行したかということしか特定できないものは含まない。走行軌跡データに含まれる位置情報が示す走行軌跡は、実際の走行軌跡から若干ずれる場合がある。例えば、走行軌跡データがGNSSを利用して生成されたデータの場合、GNSSの精度によってずれる場合がある。本発明において、走行軌跡データに含まれる位置情報が示す走行軌跡は、曲線状の軌跡を含む。走行軌跡は、環状でもよく、環状でなくてもよい。走行軌跡は、直線状の軌跡とこの直線状の軌跡に連続する円弧状の軌跡を含んでもよい。ここでの直線状の軌跡とは、略直線状の軌跡を意味し、厳密な意味での1つの直線状の軌跡でなくてよい。ここでの円弧状の軌跡とは、略円弧状の軌跡を意味し、厳密な意味での1つの円弧状の軌跡でなくてよい。
【0027】
本発明において、走行軌跡に関する走行軌跡データに含まれる位置情報は、時系列の情報を有する。時系列の情報に基づいて、位置情報を時系列方向につなげた線は、走行軌跡を示す。時系列の情報は、時間に関する情報(例えば、年月日と時刻を含む情報)でもよい。つまり、走行軌跡データに含まれる位置情報は、時間に関する情報を有してもよい。物理量に関する走行データは、時系列の情報を有してもよい。物理量に関する走行データは、時間に関する情報を有してもよい。本発明において、走行軌跡データと、物理量に関する走行データとは、例えば、時間に関する情報によって関連付けられていてもよい。
【0028】
本発明において、走行軌跡データは、所定の時間間隔の時間に関する情報を有する点の位置情報を含んでいてもよい。例えば、指標に含まれる線が、走行軌跡データに含まれる走行軌跡上の位置情報を有している2つの点の間を通る場合、この2つの点の位置情報に基づいて、指標に含まれる線と走行軌跡の交差する点の位置情報が算出(補完)されてもよい。走行軌跡データと、物理量に関する走行データとが、時間に関する情報によって関連付けられている場合、位置情報の補完の代わりに、または、位置情報の補完に加えて、時間に関する情報が補完されてもよい。つまり、走行軌跡データが、指標に含まれる1つの線分に関連付けられる位置情報を予め有していない場合、指標関連付け処理において、当該1つの線分に関連付けられる位置情報が算出(補完)されてもよい。本発明において、物理量に関する走行データに含まれる物理量の情報は、所定の時間間隔の時間に関する情報を有する点の位置情報でもよい。物理量に関する走行データが、指標に含まれる1つの線分に関連付けられる物理量を予め有していない場合、指標関連付け処理において、当該1つの線分に関連付けられる物理量が算出(補完)されてもよい。指標関連付け処理は、このような走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データの少なくとも一方を補完する処理を伴うことを含む。また、本発明のデータ取得処理において、このような補完処理が既になされた走行軌跡データまたは物理量に関連する走行データが取得されてもよい。
【0029】
本発明において、走行データが示す走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データは、ビークルの加速度に関する走行データを含んでもよい。本明細書において、特に限定がない限り、ビークルの加速度とは、ビークルの前方向における加速度と、ビークルの左右方向における加速度の両方の意味を有する。本明細書において、ビークルの前方向の加速度は、負の加速度を含む用語である。走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データは、ビークルの速度に関する走行データを含んでもよい。ビークルの速度は、例えば、ビークルの前方向における速度である。走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データは、ビークルの加速度または速度のピッチに関する走行データを含んでもよい。加速度のピッチとは、所定の時間内に加速度の増減を繰り返す回数である。速度のピッチの定義も同様である。走行中のビークルに関する走行軌跡以外の物理量に関する走行データは、ビークルの加速度または速度の増加と減少の繰り返しの時間間隔に関する走行データを含んでもよい。加速度の増加と減少の繰り返しの時間間隔とは、加速度がある値となった時から次にこの値になるまでの時間を意味する。速度の増加と減少の繰り返しの時間間隔の定義も同様である。本発明において、走行軌跡データと関連付けられる物理量に関する走行データは、1種類の物理量に関する走行データであってもよく、複数種類の物理量に関する走行データであってもよい。走行軌跡データに関連付けられる複数種類の物理量に関する走行データは、少なくとも、ビークルの前方向におけるビークルの加速度に関する走行データと、ビークルの左右方向におけるビークルの加速度に関する走行データを含んでもよい。なお、本明細書において、ビークルの前方向とは、直立した状態のビークルが水平面上を直進する方向である。本明細書において、ビークルの左右方向とは、ビークルの前後方向に直交する方向であって、ビークルに乗車する運転者から見た左右方向である。
【0030】
本発明において、指標に含まれる複数の線分は、走行軌跡が複数存在する場合に複数の線分が複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しないように構成される。つまり、指標に含まれる複数の線分のうち、走行軌跡の時系列方向において隣り合う2つの線分は、複数の走行軌跡の間の領域において互いに交差しない。
【0031】
本発明において、指標に含まれる複数の線分は、少なくとも1つの直線状の線分を含んでもよい。指標に含まれる複数の線分は、全て直線状でもよい。指標に含まれる複数の線分は、少なくとも1つの曲線状の線分を含んでもよい。指標に含まれる複数の線分は、直線部分と曲線部分の両方を有する少なくとも1つの線分を含んでもよい。指標は、複数の線分に対応付けられた角度を有してもよい。指標は、複数の線分に対して走行軌跡の時系列の順番に付けられた番号を有してもよい。
【0032】
本発明において、指標は、1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分を含むように構成されてもよい。基準点は、走行軌跡に基づいて設定された点でもよい。例えば、基準点は、走行軌跡の幾何学的中心でもよい。また、基準点は、走行軌跡に基づかずに設定された点でもよい。例えば、基準点は、コースに応じて予め設定された点でもよい。基準点は、走行軌跡上に存在しない点でもよい。指標が、1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分を含むように構成される場合、指標は、例えば、複数の直線状の線分の基準方向に対する角度を有してもよく、複数の直線状の線分に対して走行軌跡の時系列の順に付けられた番号を有してもよい。基準方向は、1つの基準点に対して1つだけ設定される。基準方向は、走行軌跡に基づいて設定されてもよい。基準方向は、コースに応じて予め設定されてもよい。直線状の線分の基準方向に対する角度は、直線状の線分を、直線状の線分と基準方向に平行な直線との交点を中心に、直線状の線分が基準方向に平行な直線と重なるまで、所定の方向に回転させた場合の回転角度である。
【0033】
本発明において、指標は、ビークルが走行するコースの少なくとも一部を均等に分割し、コースの縁または中心軸線に直交する複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分を含むように構成されてもよい。コースの少なくとも一部を均等に分割する複数の直線とは、例えば、コースの少なくとも一部の縁または中心軸線を均等な長さに分割する複数の直線である。コースの曲線部分において、コースの縁または中心軸線に直交する直線とは、コースの縁または中心軸線の接線に直交する直線である。コースを均等に分割する複数の直線は、走行軌跡に基づいて設定されるものではなく、予め設定される。
【0034】
本発明において、指標は、第1の基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分と、第2の基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分の両方を含むように構成されてもよい。本発明において、指標は、ビークルが走行するコースの少なくとも一部を不均等に分割し、コースの縁または中心軸線に直交する複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分を含むように構成されてもよい。例えば、コースの形状に応じて分割する直線状の線分の間隔が変更されてもよい。
【0035】
本発明において、ビークルデータ処理装置のプロセッサは、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データと、1つの基準点を通る複数の直線にそれぞれ重なる複数の直線状の線分を含むように構成された指標とを関連付ける処理と、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データと、ビークルが走行するコースの少なくとも一部を均等に分割し、コースの縁または中心軸線に直交する複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分を含むように構成された指標とを関連付ける処理の両方を実行可能でもよい。
【0036】
本発明において、出力データは、指標関連付け処理によって指標が関連付けられた位置情報または物理量に関する走行データに基づいて生成されるデータである。本発明の指標関連付け処理が実行されているかどうかは、以下の方法で判断することができる。出力された出力データから、指標が用いられていると判断できた場合、ビークルデータ処理装置のプロセッサは、本発明の指標関連付け処理を実行していると判断することができる。
【0037】
本発明において、出力データは、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データを、指標を用いて表示させるためのデータを含んでもよい。この場合、出力データから、指標が用いられていると判断することができる。出力データは、指標を用いて走行軌跡データまたは物理量に関する走行データを表示させるためのデータを含んでもよい。指標を用いて物理量に関する走行データを表示させるためのデータは、例えば、指標を1つの軸として、物理量と指標との関係を示すグラフを表示させるデータでもよい。本発明において、出力データは、指標を用いずに物理量に関する走行データを表示させるためのデータを含んでもよい。
【0038】
本発明において、出力データは、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データに対する、指標を用いた評価を示すデータを含んでもよい。この場合、出力データから、指標が用いられていると判断することができる。出力データは、走行軌跡データまたは物理量に関する走行データに対する、指標を用いた評価を示すデータを含んでもよい。指標を用いた物理量に関する走行データに対する評価は、走行軌跡の特定の領域の指標に関連付けられた物理量に対する評価でもよい。指標を用いた物理量に関する走行データに対する評価は、走行軌跡全体の指標に関連付けられた物理量に対する評価でもよい。指標を用いた走行軌跡データに対する評価は、走行軌跡の特定の領域に対する評価でもよく、走行軌跡全体に対する評価でもよい。指標を用いた走行軌跡データまたは物理量に関する走行データに対する評価は、運転者の運転技術についての評価でもよい。運転技術についての評価は、運転技術の成長度に対する評価でもよく、運転技術の技量に対する評価でもよい。指標を用いた走行軌跡データまたは物理量に関する走行データに対する評価を示すデータは、評価を示すコメント、評価を示す点数、「良」などの評価を示す単語、および、「〇」などの評価を示す記号の少なくとも1つを含んでもよい。評価を示すコメントとは、運転技術の改善点をアドバイスするコメントと、運転技術の成長点を褒めるコメントの両方の意味を有する。本発明において、出力データは、指標を用いていることを当業者が判断できないような、走行軌跡データまたは物理量に関する走行データに対する評価を示すデータを含んでもよい。
【0039】
本発明において、出力データは、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを、位置情報または物理量に関する走行データに関連付けられた指標に基づいて比較した結果から生成された、指標を用いたデータを含んでもよい。この場合、出力データから、指標が用いられていると判断することができる。出力データは、複数の走行軌跡データを、指標に基づいて比較した結果から生成された、指標を用いたデータを含んでもよい。出力データは、物理量に関する複数の走行データを、指標に基づいて比較した結果から生成された、指標を用いたデータを含んでもよい。比較した結果から生成された、指標を用いたデータは、比較結果を指標を用いて表示させるためのデータを含んでもよい。比較した結果から生成された、指標を用いたデータは、比較結果に対する指標を用いた評価を示すデータを含んでもよい。比較結果に対する評価は、走行軌跡の特定の領域に対応する指標に関連付けられた物理量の比較結果に対する評価でもよい。また、比較結果に対する指標を用いた評価は、走行軌跡全体に対応する指標に関連付けられた物理量の比較結果に対する評価でもよい。比較結果に対する指標を用いた評価は、走行軌跡の特徴の領域の比較結果に対する評価でもよく、走行軌跡全体の比較結果に対する評価でもよい。比較結果に対する評価は、運転者の運転技術についての評価でもよい。運転技術についての評価は、運転技術の成長度に対する評価でもよく、運転技術の技量に対する評価でもよい。比較結果に対する評価を示すデータは、評価を示すコメント、評価を示す点数、「良」などの評価を示す単語、および、「〇」などの評価を示す記号の少なくとも1つを含んでもよい。評価を示すコメントとは、運転技術の改善点をアドバイスするコメントと、運転技術の成長点を褒めるコメントの両方の意味を有する。比較結果に対する評価を示すコメントは、比較されたデータの類似点についてのコメントでもよく、比較されたデータの相違点についてのコメントでもよく、その両方を含んでもよい。本発明において、出力データは、指標を用いていることを当業者が判断できないような、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む複数の走行データを、指標に基づいて比較した結果に基づいて生成されたデータを含んでもよい。
【0040】
本発明において、出力データは、指標関連付け処理によって指標が関連付けられた位置情報または物理量に基づいて生成されるデータに加えて、例えば、特許6619914号、特許6619915号、または、特許6620268号に記載されている出力処理で出力されるデータを含んでいてもよい。
【0041】
本発明において、出力データを出力するとは、ビークルデータ処理装置の外部の装置に出力データを出力することでもよく、データ取得処理、指標関連付け処理および出力処理を実行するプロセッサと同じまたは異なる、ビークルデータ処理装置に含まれるプロセッサに出力データを出力することでもよい。出力された出力データは、種々な使い方がなされてよい。出力された出力データは、例えば、表示装置または印刷装置に送信されてもよい。
【0042】
本発明において、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データの取得とは、ビークルデータ処理装置の外部の少なくとも1つの装置から取得することでもよい。走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データの取得とは、ビークルデータ処理装置の外部の少なくとも1つの装置からビークルデータ処理装置が取得したデータに基づいて、走行軌跡データと物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、走行軌跡データを少なくとも含む走行データが生成(取得)されることでもよい。本発明において、データ取得処理における走行軌跡データに含まれる位置情報、または、物理量に関する走行データの取得の定義も、上述の取得の定義と同様である。ビークルデータ処理装置の外部の装置は、センサでもよく、センサから受信した信号を処理する装置でもよい。
【0043】
本発明におけるビークルデータ処理装置は、例えば、ビークルの運転の教習に使用され、走行中のビークルに関するデータを用いるビークル教習支援システムや、走行中のビークルに関するデータに基づいてビークルの走行状態を解析するビークル解析システムや、走行中のビークルに関するデータを蓄積するデータ収録システムや、走行中のビークルに関するデータに基づいてビークルを制御するビークル制御装置のような、走行中のビークルに関するデータを処理するビークルデータ処理装置である。ビークルデータ処理装置は、ビークルに搭載されない装置でもよく、ビークルに搭載される装置でもよい。本発明において、ビークルデータ処理装置は、1つの装置で構成されてもよいし、互いにデータ通信可能に構成された複数の装置で構成されてもよい。
【0044】
本発明において、ビークルデータ処理装置のプロセッサは、マイクロコントローラ、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マルチプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能な論理回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および本明細書に記載する処理を実行することができる任意の他の回路を含む。ビークルデータ処理装置は、各種データを記憶する記憶部を有する。
【0045】
本発明および本明細書において、あるデータに基づいて、取得する、生成する、または制御するとは、特に限定しない限り、このデータだけに基づいた取得、生成または制御であってもよく、このデータと他のデータに基づいた取得、生成または制御であってもよい。この定義は、あるデータに基づいた、取得、生成または制御以外の動作にも適用される。本発明および本明細書において、Aから取得するとは、特に限定しない限り、Aから直接取得する場合と、AからBを介して取得する場合の両方を含む。
【0046】
本発明において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテムおよびその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。
本発明において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合および支持も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的または機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
【0047】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0048】
本発明および本明細書において、複数の選択肢のうちの少なくとも1つとは、複数の選択肢から考えられる全ての組み合わせを含む。複数の選択肢のうちの少なくとも1つとは、複数の選択肢のいずれか1つであってもよく、複数の選択肢の全てであってもよい。例えば、AとBとCの少なくとも1つとは、Aのみであってもよく、Bのみであってもよく、Cのみであってもよく、AとBであってもよく、AとCであってもよく、BとCであってもよく、AとBとCであってもよい。
【0049】
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。
【0050】
本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する実施形態および変形例を適宜組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明のビークルデータ処理装置、ビークルデータ処理方法およびビークルデータ処理プログラムによると、例えば、コースの形状が変更されたり、走行軌跡に個人差が生じたり、GNSSを利用して取得された位置情報に誤差が生じたりしても、走行軌跡データに含まれる位置情報または物理量に関する走行データが走行軌跡を横断する複数の線分を含むように構成される指標に関連付けられることで、指標が関連付けられた位置情報または物理量に関する走行データに基づいて出力データを生成する処理を容易に行うことができる。そのため、例えば、ビークルデータ処理装置のプロセッサに求められる必要な処理能力およびビークルデータ処理装置のメモリに求められる必要な容量の少なくとも一方を低減することができる。それにより、ビークルデータ処理装置のプロセッサやメモリなどのハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の第1実施形態のビークルデータ装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態のビークルデータ装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の第3実施形態のビークルデータ装置の構成を示す図である。
【
図4】(a)は、指標関連付け処理の具体例を説明するための図であり、(b)は、指標関連付け処理の他の具体例を説明するための図である。
【
図5】表示装置に表示された出力データの具体例1を示す図である。
【
図6】表示装置に表示された出力データの具体例2を示す図である。
【
図7】表示装置に表示された出力データの具体例3を示す図である。
【
図8】表示装置に表示された出力データの具体例4を示す図である。
【
図9】表示装置に表示された出力データの具体例5を示す図である。
【
図10】(a)は、2つの走行データの物理量と指標との関係を示すグラフであって、(b)は、(a)と同じ2つの走行データの物理量と走行距離との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態のビークルデータ処理装置1について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態のビークルデータ処理装置1の概要、本実施形態のビークルデータ処理方法の処理の手順、および本実施形態のビークルデータ処理プログラムの処理の手順を示す。第1実施形態のビークルデータ処理装置1は、ビークル100の走行軌跡Tに関する走行軌跡データDAと、走行中のビークル100に関する走行軌跡Tを除く物理量に関する走行データDBとが関連付けられた、または、走行軌跡データDBを少なくとも含む走行データDCを取得および処理して生成された出力データDOを出力するように構成されている。ビークルデータ処理装置1は、プロセッサ2と記憶部3とを有する。プロセッサ2は、記憶部3に予め記憶されたプログラムを読み込むことで、データ取得処理S1と指標関連付け処理S2と出力処理S3とを少なくとも実行する。プロセッサ2は、データ取得処理S1において、走行軌跡データDAに含まれる位置情報IA、または、物理量に関する走行データDBを取得する。プロセッサ2は、指標関連付け処理S2において、取得された位置情報IA、または、取得された物理量に関する走行データDBと、指標を関連付ける。指標は、走行軌跡Tの時系列方向における走行軌跡Tの右領域に一端が存在し、走行軌跡Tの左領域に他端が存在し、走行軌跡Tを一度だけ横断する線分Sを複数含むように構成され、かつ、走行軌跡Tが複数存在する場合に複数の線分Sが複数の走行軌跡Tの間の領域において互いに交差しないように構成される。プロセッサ2は、出力処理S3において、指標関連付け処理S2によって指標が関連付けられた位置情報IAまたは物理量に関する走行データに基づいて生成された出力データDOを出力する。第1実施形態により、ビークルデータ処理装置1のプロセッサ2やメモリなどのハードウェアリソースの設計自由度を向上できる。なお、走行軌跡Tの形状は、
図1に示す走行軌跡Tの形状に限らない。走行軌跡Tは、
図1では環状であるが、環状でなくてもよい。
図1では、走行軌跡Tは、ビークル100が左旋回した時の走行軌跡Tである。しかし、走行軌跡Tは、ビークル100が右方旋回した時の走行軌跡Tでもよく、ビークル100が左旋回と右旋回の両方を行った時の走行軌跡Tでもよい。指標が示す線Lは、
図1に示すものに限らない。
【0054】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態のビークルデータ処理装置1について
図2を用いて説明する。第2実施形態は、第1実施形態の構成を有する。第2実施形態のビークルデータ処理装置1は、複数の走行データDCを取得する。プロセッサ2は、データ取得処理S1において、複数の走行軌跡データDAに含まれる位置情報IA、または、物理量に関する複数の走行データDBを取得する。
図2は、複数の走行データDCとして、2つの走行データDCa、DCbが取得された場合を示している。走行データDCaは、走行軌跡データDAa(DA)と、走行データDBa(DB)とが関連付けられた、または、走行軌跡データDAa(DA)を少なくとも含むデータである。走行データDCbは、走行軌跡データDAb(DA)と、走行データDBb(DB)とが関連付けられた、または、走行軌跡データDBa(DB)を少なくとも含むデータである。データ取得処理S1において、複数の走行軌跡データDAに含まれる位置情報IAとして、走行軌跡データDAa(DA)に含まれる位置情報IAa(IA)と、走行軌跡データDAb(DA)に含まれる位置情報IAb(IA)とが取得されるか、または、物理量に関する複数の走行データDBとして、走行データDBa(DB)と走行データDBb(DB)が取得される。走行データDCaと走行データDCbは、互いに異なる運転者がビークル100を運転した時のデータでもよく、同じ運転者がビークル100を運転した時のデータでもよい。プロセッサ2は、指標関連付け処理S2において、取得された複数の走行軌跡データDA(DAa、DAb)に含まれる位置情報IA(IAa、IAb)、または、取得された物理量に関する複数の走行データDB(DBa、DBb)を、同じ指標に関連付ける。プロセッサ2は、出力処理S3において、位置情報IAまたは物理量に関する走行データDBに関連付けられた指標に基づいて、複数の走行データDC(DCa、DCb)を比較して、出力データDOを生成する。
図2は、指標に基づいた走行データDC(DCa、DCb)の比較の一例を示すグラフを含む。このグラフは、横軸を指標とし、縦軸を、指標に基づいた複数の走行軌跡データDA(DAa、DAb)の差分または指標に基づいた複数の走行データDB(DBa、DBb)の差分とする。但し、このグラフは、走行データDCの比較を視覚的に示した一例に過ぎない。出力処理S3において、このような差分を必ずしも算出する必要はない。
【0055】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態のビークルデータ処理装置1について
図3を用いて説明する。第3実施形態は、第1実施形態の構成を有する。第3実施形態は、第2実施形態の構成を有してもよい。第3実施形態のビークルデータ処理装置1のプロセッサ2は、走行軌跡データDAと複数種類の物理量に関する走行データDBとが関連付けられた走行データDCを取得する。プロセッサ2は、データ取得処理S1において、複数種類の物理量に関する走行データDBを取得する。
図3に示すように、走行データDBは、物理量の種類の数と同じ数のデータDB1~DBnを含む。データDB1~DBnの各々は、1種類の物理量に関するデータである。複数種類の物理量は、例えば、ビークル100の前方向におけるビークル100の加速度、ビークル100の左右方向におけるビークル100の加速度、ビークル100の前方向におけるビークル100の速度、ビークル100の前方向におけるビークル100の加速度のピッチ、ビークル100の左右方向におけるビークル100の加速度のピッチ、ビークル100の前方向におけるビークル100の速度のピッチ、ビークル100の前方向におけるビークル100の加速度の増加と減少の繰り返しの間隔、ビークル100の左右方向におけるビークル100の加速度の増加と減少の繰り返しの間隔、および、ビークル100の前方向におけるビークル100の速度の増加と減少の繰り返しの間隔のうちの少なくとも2つでもよい。なお、ビークル100の前方向およびビークル100の左右方向の定義は上述した通りである。また、加速度または速度のピッチの定義、加速度または速度の増加と減少の繰り返しの間隔の定義も上述した通りである。
【0056】
<指標関連付け処理の具体例>
次に、第1~第3実施形態の少なくとも1つの構成を有するビークルデータ処理装置1における指標関連付け処理S2の具体例について
図4(a)を用いて説明する。指標関連付け処理S2において、位置情報IAまたは物理量に関する走行データDBに関連付けられる指標に含まれる複数の線分Sは、1つの基準点BPを通る複数の直線Laとそれぞれ重なる複数の直線状の線分Sa(S)である。複数の直線状の線分Sa(S)を含むように構成される指標は、複数の直線Laの基準線BLに対する角度θを含む。角度θは、基準線BLに平行な基準方向BDに対する複数の線分Sa(S)の角度に相当する。
図4(a)では、基準点BPは、走行軌跡Tの幾何学的中心である。基準点BPは、これに限らない。
図4(a)では、基準線BLは、基準点BPの緯度と同じ緯度を示す直線である。基準線BLはこれに限らない。
【0057】
<指標関連付け処理の他の具体例>
次に、第1~第3実施形態の少なくとも1つの構成を有するビークルデータ処理装置1における指標関連付け処理S2の他の具体例について
図4(b)を用いて説明する。指標関連付け処理S2において、位置情報IAまたは物理量に関する走行データDBに関連付けられる指標に含まれる複数の線分Sは、ビークル100が走行するコースの少なくとも一部を均等に分割し、コースの縁Eまたは中心軸線に直交する複数の直線(図示省略)とそれぞれ重なる複数の直線状の線分Sb(S)である。
図4(b)では、直線状の線分Sb(S)は、コースの縁Eに直交する直線(図示省略)と重なる。複数の直線Sb(S)を含むように構成される指標は、例えば、複数の直線状の線分Sbに対して走行軌跡の時系列の順番に付けられた番号を有してもよい。
【0058】
<出力データの具体例1>
次に、少なくとも第1実施形態および第3実施形態の構成を有するビークルデータ処理装置1のプロセッサ2によって出力される出力データDOの具体例1について
図5を用いて説明する。ビークルデータ処理装置1は、出力データDOを表示装置(図示せず)に出力する場合がある。
図5は、表示装置に表示された具体例1の出力データDOを示す。具体例1の出力データDOは、運転技術情報I1として表示される。具体例1の出力データDOは、指標を用いて物理量に関する走行データDBを表示させるためのデータを含む。具体例1の出力データDOは、指標を用いて複数種類の物理量に関する走行データDBを表示させるためのデータを含む。複数種類の物理量は、ビークル100の前方向におけるビークル100の速度Vfと、ビークル100の前方向におけるビークル100の加速度Afと、ビークル100の左右方向におけるビークル100の加速度Arlとを含む。運転技術情報I1は、物理量の種類ごとに、指標と物理量との関係を示した3つのグラフG1~G3を含む。具体例1の場合、ビークル100は鞍乗型車両である。
【0059】
<出力データの具体例2>
次に、少なくとも第1実施形態の構成を有するビークルデータ処理装置1のプロセッサ2によって出力される出力データDOの具体例2について
図6を用いて説明する。ビークルデータ処理装置1は、出力データDOを表示装置(図示せず)に出力する場合がある。
図6は、表示装置に表示された具体例2の出力データDOを示す。具体例2の出力データDOは、運転技術情報I2として表示される。運転技術情報I2は、コースと走行軌跡Tの表示を含む。走行軌跡Tは太線で表示され、コースの両縁は破線で表示されている。なお、運転技術情報I2は、コースと走行軌跡Tの表示を含まなくてもよい。
【0060】
具体例2の出力データDOは、指標を用いた物理量に関する走行データDBに対する評価を示すデータを含む。指標を用いた物理量に関する走行データDBに対する評価を示すデータは、走行軌跡Tの特定の領域ごとに、各領域の指標に関連付けられた物理量に関する走行データDBに対する評価を示すデータを含む。評価は、点数とコメントで示されている。走行軌跡Tの特定の領域とは、指標によって分けられた領域である。
図6では、走行軌跡Tは、例えば、指標が0からN
iまでの領域と、指標がN
i+1からN
jまでの領域と、指標がN
j+1からN
kまでの領域と、指標がN
k+1からN
lまでの領域と、指標がN
l+1からN
mまでの領域と、指標がN
m+1からN
nまでの領域に分けられている。
【0061】
<出力データの具体例3>
次に、少なくとも第1実施形態~第3実施形態の構成を有するビークルデータ処理装置1のプロセッサ2によって出力される出力データDOの具体例3について
図7を用いて説明する。ビークルデータ処理装置1は、出力データDOを表示装置(図示せず)に出力する場合がある。
図7は、表示装置に表示された具体例3の出力データDOを示す。具体例3の出力データDOは、指標を用いて物理量に関する走行データDBを表示させるためのデータを含む。具体例3の出力データDOは、指標を用いた物理量に関する走行データDBに対する評価を示すデータを含む。具体例3の出力データDOは、指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、指標を用いたデータを含む。指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、指標を用いたデータは、指標を用いて比較結果を表示させるためのデータを含む。
【0062】
具体例3の場合、プロセッサ2は、運転者Bの走行データDCと、運転者Aの1回目の走行データDCと、運転者Aの2回目の走行データDCとを取得する。運転者Aは、例えば、ビークル100の運転技術の講習会の受講者でもよい。この場合、運転者Bは講習会のインストラクターでもよい。運転者Aが運転するビークル100は、運転者Bが運転するビークル100とは異なってもよい。プロセッサ2は、出力処理S3において、少なくとも、運転者Bの走行データDCと運転者Aの1回目の走行データDCとを比較する処理、および、運転者Bの走行データDCと運転者Aの2回目の走行データDCとを比較する処理を実行する。プロセッサ2は、出力処理S3において、運転者Aの1回目の走行データDCと運転者Aの2回目の走行データDCとを比較する処理を実行してもよい。
【0063】
具体例3の場合、走行軌跡データDAの位置情報には、走行データDBの複数種類の物理量が関連付けられている。プロセッサ2は、出力処理S3において、指標に基づいて同じ種類の物理量に関する複数の走行データDBを比較することで、複数の走行データDCを比較する。複数種類の物理量は、ビークル100の前方向におけるビークル100の速度Vfと、ビークル100の前方向におけるビークル100の加速度Afと、ビークル100の左右方向におけるビークル100の加速度Arlとを含む。
【0064】
運転技術情報I3は、物理量の種類ごとに、指標と、運転者Bの走行データDBの物理量および運転者Aの1回目の走行データDBの物理量との関係を示した3つのグラフG11~G13を含む。また、運転技術情報I3は、物理量の種類ごとに、指標と、運転者Bの走行データDBの物理量および運転者Aの2回目の走行データDBの物理量との関係を示した3つのグラフG14~G16を含む。6つのグラフG11~G16の横軸は指標を示し、縦軸は物理量(速度Vf、加速度Af、加速度Arl)を示す。具体例3の場合、ビークル100は鞍乗型車両である。
【0065】
6つのグラフG11~G16において、ドットのハッチングは、運転者Bの走行データDBの物理量と運転者Aの走行データDBの物理量とによって囲まれた領域を示す。プロセッサ2は、出力処理S3において、ドットのハッチングで示された領域の面積を算出する。面積を算出するとは、指標が関連付けられた物理量の差の絶対値の累積値を算出することでもよい。面積は、運転者Bの走行データDCと運転者Aの走行データDCの差分を示す。つまり、面積は、指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果を示すデータの1種である。速度VfのグラフG11、G14における、差分を示す面積を、面積SΔVfと称する。加速度AfのグラフG12、G15における、差分を示す面積を、面積SΔAfと称する。加速度ArlのグラフG13、G16における、差分を示す面積を、面積SΔArlと称する。
【0066】
運転技術情報I3は、加速度AfのグラフG12における面積SΔAfと、加速度ArlのグラフG13における面積SΔArlとの関係、および、加速度AfのグラフG15における面積SΔAfと、加速度ArlのグラフG16における面積SΔArlとの関係を示すグラフG17を含む。グラフG17の横軸は面積SΔAfを示し、縦軸は面積SΔArlを示す。グラフG17において、加速度AfのグラフG12における面積SΔAfと、加速度ArlのグラフG13における面積SΔArlとによってプロットされる位置には、速度VfのグラフG11における面積SΔVfの大きさに応じた円が表示されている。同様に、加速度AfのグラフG15における面積SΔAfと、加速度ArlのグラフG16における面積SΔArlとによってプロットされる位置には、速度VfのグラフG14における面積SΔVfの大きさに応じた円が表示されている。つまり、グラフG17は、指標に基づいて比較された速度Vfの差分と、指標に基づいて比較された加速度Afの差分と、指標に基づいて比較された加速度Arlの差分との関係を示す。左下に近いほど、運転者Aの加速度Afおよび加速度Arlの変化が、運転者Bの加速度Afおよび加速度Arlの変化に近いことを意味する。また、円が小さいほど、運転者Aの速度Vfの変化が、運転者Bの速度Vfの変化に近いことを意味する。なお、指標に基づいて比較された3種類の物理量の差分を示すグラフは、グラフG17に限らない。指標に基づいて比較された3種類の物理量の差分を示すグラフは、3軸を有するグラフでもよい。また、運転技術情報I3は、面積SΔAfと面積SΔArlとの関係を示すグラフと、面積SΔVfと面積SΔAfとの関係を示すグラフと、面積SΔVfと面積SΔArlとの関係を示すグラフの3つのグラフを含んでいてもよい。
【0067】
また、具体例3の出力データDOは、指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果から生成された、比較結果に対する評価を示すデータを含む。評価は、コメントで示されている。運転技術情報I3は、例えば、運転者Bの走行データDCと運転者Aの1回目の走行データDCとの比較結果に対する評価を示すコメントと、運転者Bの走行データDCと運転者Aの2回目の走行データDCとの比較結果に対する評価を示すコメントを含む。運転技術情報I3は、運転者Aの1回目の走行データDCと運転者Aの2回目の走行データDCとの比較結果に対する評価を示すコメントも含んでいてもよい。比較結果に対する評価を示すコメントは、例えば、本願と出願人が一部共通する国際特許出願PCT/JP2021/45854の明細書に記載されているコメントの具体例と同様の文章を含んでいてもよい。比較結果に対する評価を示すコメントは、例えば、「1回目よりも2回目の方がインストラクターに近い」などの文章を含んでもよい。また、運転技術情報I3に含まれるコメントは、指標以外の要素に基づいて生成されたコメントを含んでいてもよい。
【0068】
<出力データの具体例4>
次に、少なくとも第1実施形態~第3実施形態の構成を有するビークルデータ処理装置1のプロセッサ2によって出力される出力データDOの具体例4について
図8を用いて説明する。ビークルデータ処理装置1は、出力データDOを表示装置(図示せず)に出力する場合がある。
図8は、表示装置に表示された具体例4の出力データDOを示す。具体例4の出力データDOは、運転技術情報I4として表示される。具体例4の出力データDOは、指標を用いて物理量に関する走行データDBを表示させるためのデータを含む。具体例4の出力データDOは、指標を用いた物理量に関する走行データDBに対する評価を示すデータを含む。具体例4の出力データDOは、指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、指標を用いたデータを含む。指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、指標を用いたデータは、指標を用いて比較結果を表示させるためのデータを含む。
【0069】
具体例4の場合にプロセッサ2が実行する処理は、具体例3の場合にプロセッサ2が実行する処理とおおむね同じである。但し、具体例4の場合、プロセッサ2は、出力処理S3において、指標が関連付けられた2種類の物理量を比較する。2種類の物理量は、ビークル100の前方向におけるビークル100の加速度Afと、ビークル100の左右方向におけるビークル100の加速度Arlである。運転技術情報I4は、物理量の種類ごとに、指標と、運転者Bの走行データDBの物理量および運転者Aの1回目の走行データDBの物理量との関係を示した2つのグラフG21、G22を含む。なお、運転技術情報I4は、物理量の種類ごとに、指標と、運転者Bの走行データDBの物理量および運転者Aの2回目の走行データDBの物理量との関係を示した2つのグラフも含んでもよい。具体例4の場合、ビークル100は鞍乗型車両である。具体例4の場合、指標によって示される線Lは、
図4(a)に示したような基準点BPを通る直線Laであって、指標は角度θである。グラフG21、G22の横軸は角度θ(指標)を示し、縦軸は物理量(加速度Af、加速度Arl)を示す。
【0070】
具体例4の場合、走行軌跡Tは、ビークル100(鞍乗型車両)が、2つの円弧状の部分と2つの直線部分がつながった環状のコースを走行したときの走行軌跡である。基本的に、運転者Bと運転者Aの走行データDCは、同じ日、同じコースを走行した時のデータが使用される。それにより、天候による影響やコース状況の違いの影響を受けにくくしている。
【0071】
図8の加速度AfのグラフG21では、運転者Bと運転者Aの波形はほぼ同じである。しかし、指標(角度θ)が150°付近では、運転者Aの加速度Afが十分に下がらず、運転者Bに比べて減速が足りないことが分かる。また、
図8の加速度ArlのグラフG22では、運転者Bと運転者Aの波形はおおよそ似ている。しかし、指標(角度θ)が200°から250°にかけて、運転者Aの加速度Arlは運転者Bの加速度Arlに比べて少し足りていないことが分かる。
【0072】
グラフG21、G22において、運転者Bの走行データDBの物理量と運転者Aの走行データDBの物理量とによって囲まれた領域は、薄い灰色で塗りつぶされている。プロセッサ2は、出力処理S3において、塗りつぶされた領域の面積を算出する。面積は、運転者Bの走行データDCと運転者Aの走行データDCの差分を示す。加速度AfのグラフG21における、差分を示す面積を、面積SΔAfと称する。加速度ArlのグラフG22における、差分を示す面積を、面積SΔArlと称する。
【0073】
運転技術情報I4は、加速度AfのグラフG21における面積SΔAfと、加速度ArlのグラフG22における面積SΔArlとの関係との関係を示すグラフG23を含む。グラフG23には、運転者Bと他の複数の運転者との加速度Afの差分を示す面積SΔAfと、運転者Bと他の複数の運転者との加速度Arlの差分を示す面積SΔArlとの関係を示す点も表示されている。より詳細には、グラフG23には、他の複数の運転者の1回目の走行データDCの面積SΔAfと面積SΔArlとの関係を示す点と、他の複数の運転者の2回目の走行データDCの面積SΔAfと面積SΔArlとの関係を示す点とが表示されている。運転者Aが受講者の場合、他の複数の運転者も受講者である。左下に近いほど、加速度Afおよび加速度Arlの変化が、運転者Bの加速度Afおよび加速度Arlの変化に近いことを意味する。運転技術情報I4において、グラフG21における面積SΔAfとグラフG22における面積SΔArlとの関係を示す点は、破線の円で囲まれている。
【0074】
具体例4の出力データDOは、指標に基づいて物理量に関する複数の走行データDBを比較することで複数の走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、比較結果に対する評価を示すデータを含む。評価は、コメントで示されている。
【0075】
<出力データの具体例5>
次に、少なくとも第1実施形態および第3実施形態の構成を有するビークルデータ処理装置1のプロセッサ2によって出力される出力データDOの具体例5について
図9を用いて説明する。ビークルデータ処理装置1は、出力データDOを表示装置(図示せず)に出力する場合がある。
図9は、表示装置に表示された具体例5の出力データDOを示す。具体例5の出力データDOは、運転技術情報I5として表示される。具体例5の出力データDOは、指標を用いた走行データDCに対する評価を示すデータを含む。具体例5の出力データDOは、指標に基づいた複数の走行軌跡データDAの比較と、指標に基づいた物理量に関する複数の走行データDBの比較によって複数の走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、指標を用いたデータを含む。
【0076】
具体例5の場合、プロセッサ2は、具体例3または具体例4と同様に、運転者Bと他の複数の運転者(運転者Aを含む)との加速度Afの差分を示す面積SΔAfを算出する。図示は省略するが、運転技術情報I5は、具体例3における加速度AfのグラフG12または具体例4における加速度AfのグラフG21を含んでいてもよい。
【0077】
具体例5の場合、プロセッサ2は、出力処理S3において、運転者Bの走行軌跡データDAと運転者Aの1回目の走行軌跡データDAとを比較する処理、および、運転者Bの走行軌跡データDAと運転者Aの2回目の走行軌跡データDAとを比較する処理を実行する。プロセッサ2は、運転者Bの走行軌跡データDAと、運転者A以外の運転者の走行軌跡データDAとを比較する処理も実行する。プロセッサ2は、出力処理S3において、同じ運転者の1回目と2回目の走行軌跡データDAを比較する処理を実行してもよい。
【0078】
運転技術情報I5は、運転者Bの走行軌跡データDAが示す走行軌跡Tbと、運転者Aの走行軌跡データDAが示す走行軌跡Taとを重ね合わせたグラフG31を含む。運転者Bの走行軌跡データDAに含まれる位置情報IAに関連付けられる指標は、運転者Aの走行軌跡データDAに含まれる位置情報IAに関連付けられる指標と同じである。指標が走行軌跡データDAごとに設定される場合、走行軌跡Tbと走行軌跡Taは指標に基づいて重ね合わされる。指標が、2つの走行軌跡Ta、Tbの一方のみに基づいて設定される場合、または、走行軌跡Ta、Tbに基づかずに例えばコースに応じて予め設定される場合、走行軌跡Tbと走行軌跡Taは、緯度と経度の情報に基づいて重ね合わされてもよい。
【0079】
グラフG31において、走行軌跡Tbと走行軌跡Taとの間の領域は、薄い灰色で塗りつぶされている。プロセッサ2は、出力処理S3において、塗りつぶされた領域の面積を算出する。この面積は、運転者Bの走行軌跡データDAと運転者Aの走行軌跡データDAの差分を示す。プロセッサ2は、運転者Bの走行軌跡データDAと複数の運転者(運転者Aを含む)の走行軌跡データDAとの差分を示す面積SΔTを算出する。
【0080】
運転技術情報I5は、運転者Bと他の運転者の走行軌跡データDAの差分を示す面積SΔTと、運転者Bと他の運転者の加速度Afの差分を示す面積SΔAfとの関係を示すグラフG32を含む。グラフG32の横軸は面積SΔAfを示し、縦軸は面積SΔTを示す。左下に近いほど、走行軌跡Tおよび加速度Afの変化が、運転者Bの走行軌跡Tおよび加速度Afの変化に近いことを意味する。グラフG32において、2つの点Cは、運転者Cの1回目と2回目の計測結果を示し、2つの点Dは、運転者Dの1回目と2回目の計測結果を示し、2つの点Eは、運転者Eの1回目と2回目の計測結果を示す。グラフG32では、全体的に2回目の方がより運転者Bに近づいた結果となっている。
【0081】
具体例5の出力データDOは、指標に基づいて走行データDCを比較した結果に基づいて生成された、比較結果に対する評価を示すデータを含む。評価は、コメントで示されている。
【0082】
具体例4と具体例5とは組み合わされてもよい。その場合、出力データDOは、走行軌跡データDAの差分を示す面積SΔTと、加速度Afの差分を示す面積SΔAfと、加速度Arlの差分を示す面積SΔArlを、技量の差として評価したコメントを含んでもよい。
【0083】
なお、グラフG32は、横軸が加速度Afの差分を示す面積SΔAfであるが、横軸は加速度Arlの差分を示す面積SΔArlでもよい。運転技術情報I5は、面積SΔT、面積SΔAfおよび面積SΔArlに関するその他のグラフを含んでもよい。また、運転技術情報I5は、面積SΔTと走行データDBに関する値と組み合わせた表示を含まなくてもよい。この場合、ビークルデータ処理装置1が取得する走行データDCは、走行軌跡データDAと物理量に関する走行データDBとに関連する走行データDCではなく、走行軌跡データDAを少なくとも含む走行データDCでもよい。
【0084】
なお、具体例1~5の出力データDOは、出力データDOの例示に過ぎない。指標を用いて物理量に関する走行データDBを表示させるためのデータを含む出力データDOは、具体例1、3に限らない。指標を用いた走行データDCに対する評価を示すデータを含む出力データDOは、具体例2、3、4、5に限らない。指標に基づいて複数の走行データDCを比較した結果から生成された、指標を用いたデータを含む出力データDOは、具体例3、4、5に限らない。
【0085】
図10(a)は、2つの走行データDCa、DCbの物理量と指標との関係を示すグラフである。
図10(b)は、
図10(b)と同じ2つの走行データDCa、DCbの物理量と走行距離との関係を示すグラフである。
図10(b)の走行距離は、車速と走行時間から算出された値である。例えば運転者の違いなどによって走行軌跡Tや速度は異なる。そのため、走行距離または経過時間ではコーナリングのタイミングなどの正確な比較ができない。例えば
図9のように走行軌跡Taが走行軌跡Tbよりも大回りしている場合、コーナリングまでの走行距離は一致しない。走行距離が一致しない場合、
図10(b)のようにグラフの端が一致しない。一方、本実施形態では、走行軌跡データDAの位置情報IAまたは物理量に関する走行データDBを、走行軌跡Tを横断する複数の線分Sを含むように構成される指標に関連付けることで、異なる走行データDCを指標に基づいて比較することが可能となる。そのため、例えば
図9のように走行軌跡Taが走行軌跡Tbよりも大回りしている場合であっても、概ね同一とみなせる位置での比較が可能となり、複数の走行データDCをより適切に比較できる。
【符号の説明】
【0086】
1:ビークルデータ処理装置、2:プロセッサ、100:ビークル、BD:基準方向、BL:基準線、BP:基準点、DA、DAa、DAb:走行軌跡データ、DB、DBa、DBb:物理量に関する走行データ、DC、DCa、DCb:走行データ、DO:出力データ、IA、IAa、IAb:位置情報、S、Sa、Sb:線分、S1:データ取得処理、S2:指標関連付け処理、S3:出力処理、T:走行軌跡
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記指標関連付け処理において前記位置情報または前記物理量に関する走行データに関連付けられた前記指標に含まれる前記複数の線分は、1つの基準点を通る複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分であるか、または、前記ビークルが走行するコースの少なくとも一部を均等に分割し、前記コースの縁または中心軸線に直交する複数の直線とそれぞれ重なる複数の直線状の線分であることを特徴とする、請求項1または2に記載のビークルデータ処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
前記出力データは、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データを、前記指標を用いて表示させるためのデータ、および、
前記走行軌跡データと前記物理量に関する走行データとが関連付けられた、または、前記走行軌跡データを少なくとも含む前記走行データに対する、前記指標を用いた評価を示すデータ
の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のビークルデータ処理装置。