(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008653
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】冷却装置付キャビネット
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20240112BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240112BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20240112BHJP
H02B 1/56 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H05K7/18 K
H05K7/20 U
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H02B1/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110693
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝政
【テーマコード(参考)】
5E322
5G016
【Fターム(参考)】
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB10
5E322EA05
5E322EA06
5G016AA04
5G016CG17
(57)【要約】
【課題】 冷却した空気をキャビネット内に循環させて冷却し、加えて冷媒を冷却する冷却機を別途必要としない冷却装置付キャビネットを提供する。
【解決手段】 冷媒を冷却する冷却機及び空気を冷却する熱交換器を具備した冷却装置11が、キャビネット1の左側板2aに取り付けられると共に、取付面のキャビネット1奥側に吸い込み口11a、前側に吹き出し口11bを具備し、キャビネット1内の空気を吸い込み口11aから吸引して冷却し、冷却した空気を吹き出し口11bからキャビネット1内に吹き出す。吹き出し口11bの前方となるキャビネット1内には、吹き出された空気をキャビネット1の前側に案内する風向板9が配置され、キャビネット1に収納された機器に対して前から後方に空気を循環させて冷却する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を冷却する冷却装置を備えて、前記冷却装置から吹き出される冷風によりキャビネットの内部を冷却する冷却装置付キャビネットであって、
前記冷却装置は、冷媒を冷却する冷却機及び空気を冷却する熱交換器を具備して、前記キャビネットの側板に取り付けられると共に、取り付けた前記キャビネットの奥側に吸い込み口、前側に吹き出し口が配置され、
前記キャビネットの内部空気を前記吸い込み口から吸引して冷却し、冷却した空気を前記吹き出し口から吹き出すよう構成されると共に、
前記吹き出し口の前方となる前記キャビネット内には、吹き出された空気を前記キャビネットの前側に案内する風向板が配置され、
前記キャビネットに収納された機器に対して前から後方に空気を循環させて冷却することを特徴とする冷却装置付キャビネット。
【請求項2】
前記キャビネットは、ラックマウント型の機器を収容するためのマウントアングルを前側の左右に具備し、双方の前記マウントアングルの間に機器収納空間を形成し、
前記風向板は、前記側板と前記機器収納空間の間に配置され、且つ前記機器収納空間の上下に亘って配置され、
前記風向板が、前記吸い込み口の近傍の前記キャビネット内の空気が、前記機器収納空間の前側へ逆流するのを防止することを特徴とする請求項1記載の冷却装置付キャビネット。
【請求項3】
前記冷却装置が取り付けられた側板には、前記冷却装置の外形に合わせて形成された金属製の補強枠が取り付けられ、当該補強枠に冷却装置が連結される一方、
前記風向板は金属製であり、前側の一端が前記冷却装置に近い一方の前記マウントアングルに連結され、後側の他端が前記側板及び前記補強枠のうちの少なくとも前記補強枠に連結されて成ることを特徴とする請求項2記載の冷却装置付キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器を収納するキャビネットに関し、特に収納機器を冷却する機能を備えた冷却装置付キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器や蓄電池等の発熱を伴う電気機器を収納するキャビネットには、冷却装置を備えたものがある。例えば特許文献1では、ラック(キャビネット)に隣接させて冷却装置を配置して、キャビネットの側方から冷風を送り込んで冷却する構成が開示されている。この場合、冷却装置はキャビネットの側部に配置された2つの冷却ユニットと、床下に配置された二次冷却器とで構成され、二次冷却器で冷却された水を冷却ユニットへ送り、冷却ユニットに設けられているラジエターにより外気を冷却し、冷却した外気をファンでキャビネット内へ送り込んで冷却した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の冷却装置は、冷却した空気をキャビネット内に送り込むことで良好な冷却を実施できた。しかしながら、屋外に設置するキャビネットに対しては、外気自体が高温になる場合があり、空気を循環しない構成は、せっかく冷却しても空気が使い捨てになるため、効率の悪い冷却形態であった。
また、冷媒としての水を冷却する二次冷却器(冷却機)は床下に配置されるため、施工が複雑であり容易に設置できる構成では無かった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、冷却した空気をキャビネット内に循環させて冷却し、加えて冷媒を冷却する冷却機を別途必要としない冷却装置付キャビネットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、空気を冷却する冷却装置を備えて、冷却装置から吹き出される冷風によりキャビネットの内部を冷却する冷却装置付キャビネットであって、冷却装置は、冷媒を冷却する冷却機及び空気を冷却する熱交換器を具備して、キャビネットの側板に取り付けられると共に、取り付けたキャビネットの奥側に吸い込み口、前側に吹き出し口が配置され、キャビネットの内部空気を吸い込み口から吸引して冷却し、冷却した空気を吹き出し口から吹き出すよう構成されると共に、吹き出し口の前方となるキャビネット内には、吹き出された空気をキャビネットの前側に案内する風向板が配置され、キャビネットに収納された機器に対して前から後方に空気を循環させて冷却することを特徴とする。
この構成によれば、冷却空気はキャビネットと冷却装置との間で循環させるため、効率の良い冷却を実施できる。また、冷却空気は機器に対して前方から後方へ送られるため、収容した機器の上下の配置に因らず均等に冷却できる。更に、冷却装置は冷却機及び熱交換器を備えるため、外部に別途機器を設置する必要がない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、キャビネットは、ラックマウント型の機器を収容するためのマウントアングルを前側の左右に具備し、双方のマウントアングルの間に機器収納空間を形成し、風向板は、側板と機器収納空間の間に配置され、且つ機器収納空間の上下に亘って配置され、風向板が、吸い込み口の近傍のキャビネット内の空気が、機器収納空間の前側へ逆流するのを防止することを特徴とする。
この構成によれば、風向板は機器収納空間の上下に亘って配置され、吸い込み口近傍の空気が機器収納空間の前側へ逆流するのを防止するヒートシャッターとしての機能を備えており、効率の良い冷却を実施できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、冷却装置が取り付けられた側板には、冷却装置の外形に合わせて形成された金属製の補強枠が取り付けられ、当該補強枠に冷却装置が連結される一方、風向板は金属製であり、前側の一端が冷却装置に近い一方のマウントアングルに連結され、後側の他端が側板及び補強枠のうちの少なくとも補強枠に連結されて成ることを特徴とする
この構成によれば、金属製の風向板がマウントアングルと側板に取り付けられた補強枠とに連結されることで、補強枠と風向板とで側板を補強でき、冷却装置を取り付けたことによる側板の歪みを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷却空気はキャビネットと冷却装置との間で循環するため、効率の良い冷却を実施できる。また、冷却空気は機器に対して前方から後方へ送られるため、収容した機器の上下の配置に因らず均等に冷却できる。更に、冷却装置は冷却機及び熱交換器を備えるため、外部に別途機器を設置する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】冷却装置付キャビネットの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の冷却装置付キャビネットの正面図である。
【
図3】
図1の冷却装置付キャビネットを異なる角度から見た斜視図であり、前後の扉及び右側板を外した状態を示している。
【
図6】風向板単体の斜視図であり、(a)は上部に配置した風向板、(b)は下部に配置した風向板である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1~5は本発明に係る冷却装置付キャビネットの一例を示し、
図1は左方向から見た斜視図、
図2は正面図、
図3は右方向から見た斜視図、
図4はA-A線横断面図、
図5はB-B線縦断面図である。但し、
図3は前面に設けられた前扉、及び側板を外した状態を示している。
冷却装置付キャビネット(以下、単に「キャビネット」と称する)1は、左右側板2(左側板2a,右側板2b)、底板3、天板4を有し、それぞれの面は閉塞されている。また、前面に前扉5a、背面に後扉5bを有し、キャビネット1は密閉可能に構成されている。
キャビネット1の内部は、前面側の左右にマウントアングル7が立設されており、ラックマウント型の機器を組み付けて収納可能としている。
【0012】
そして左側板2aに対して、その外側に冷却装置11が取り付けられている。冷却装置11は、上部と下部の2箇所に取り付けられ、計2台取り付けられている。
具体的に、左側板2aの冷却装置取付部位には、冷却装置11の取付面の形状に合致する四角形に形成された金属製の補強枠8が取り付けられている。補強枠8は、ネジ止め等で側板2に取り付けられ、この補強枠8に対して冷却装置11が取り付けられている。
また、左側板2aの補強枠8の内側の領域は開口形成され、冷却装置11がキャビネット内に露出するよう取り付けられる。
尚、冷却装置11は、四角形の箱形状を成し、取付面は略正方形となっている。また、補強枠8に取り付けられた冷却装置11は、左側板2aに対して隙間なく取り付けられる。
【0013】
図4の縦断面図に示すように、冷却装置11は、取付面のキャビネット1の奥側となる部位に空気の吸い込み口11aを備え、前面側となる部位に吹き出し口11bを備えている。吸い込み口11aから吸い込んだ空気(暖気)を冷却し、吹き出し口11bから吹き出すよう構成されている。
尚、冷却装置11は、内部にコンプレッサ等の冷媒を冷却する冷却機、ラジエター等の空気を冷却する熱交換器を備えており、外部の機器と接続すること無く空気の冷却が可能となっている。
【0014】
一方、
図5の横断面図に示すように、キャビネット1の内部は、左右に配置したマウントアングル7の間の上下に亘る空間が、機器を収納する機器収納空間E1であり、キャビネット1の主領域を形成している。一方、右側板2bと機器収納空間E1との間の空間はケーブル等を配設するケーブル収納空間E2として使用され、左側板2aと機器収納空間E1との間の空間は、冷却空気を案内する空気ガイド空間E3として使用される。
この空気ガイド空間E3には、冷却された空気と暖められた空気とが混ざらないように風向板9が配置されている。
【0015】
尚、右側のマウントアングル7には、ケーブル収納空間E2を上下に亘り閉塞するヒートシャッター12が取り付けられ、前方から内部が見えないよう構成されている。このヒートシャッター12により、冷却装置11から吹き出されて機器収納空間E1の前方に案内された冷気が、ケーブル収納空間E2に入り込むのを防止し、機器収納空間E1に流れ込むよう構成されている。
【0016】
図6は風向板9単体の斜視図である。
図6に示すように、風向板9は上下2枚(上側風向板9a、下側風向板9b)で構成されている。この2枚が、空気ガイド空間E3内に上下に亘って連続するように取り付けられ、1つの風向板9が形成されている。即ち、機器収納空間E1の上下に渡って風向板9が配設されている。
風向板9は金属板で形成され、冷却装置11から吹き出された冷気がキャビネット1の後方へ流れ出るのを防止する隔離壁9cが形成され、冷気が確実に前方へ案内されるよう構成されている。
そして、図面左側の一端が左側のマウントアングル7にネジ止めされて連結される前側固定部91を有し、図面右側の他端が補強枠8にネジ止めされて連結される後側固定部92を有している。結果、風向板9の幅方向の両端が固定される。
【0017】
但し、後部の連結位置は、冷却装置11の吸い込み口11aと吹き出し口11bとの間に位置する補強枠8の中央位置に連結され、吹き出し口11bから吹き出される冷却空気と、収納機器により温められて吸い込み口11aに吸い込まれる暖気とが混ざらないように配置されている。
【0018】
この結果、吹き出し口11bから吹き出された空気は、風向板9によりキャビネット1の前側に案内され、吸い込み口11aに入り込む空気と混ざることがない。
矢印A1,A2は、この風向板9を設けた事によるキャビネット1内の空気の流れを示し、冷却装置11により冷却された空気が機器収納空間E1を前から後へ流れ、その後冷却装置11に回収されることで、効果的に収納機器を冷却することを示している。
【0019】
このように、冷却空気はキャビネット1と冷却装置11との間で循環するため、効率の良い冷却を実施できる。また、冷却空気は組み付けられた機器に対して前方から後方へ送られるため、収容した機器の上下の配置に因らず均等に冷却できる。更に、冷却装置11は冷却機及び熱交換器を備えるため、外部に別途機器を設置する必要がない。
また、風向板9は機器収納空間E1の上下に亘って配置され、吸い込み口11a近傍の空気が機器収納空間E1の前側へ逆流するのを防止するヒートシャッターとしての機能を備えており、効率の良い冷却を実施できる。
加えて、金属製の風向板9がマウントアングル7と左側板2aに取り付けられた補強枠8とに連結されることで、補強枠8と風向板9とで左側板2aを補強でき、左側板2aの歪みを防止できる。
【0020】
尚、上記実施形態では、冷却装置11を2台設置しているが、1台であっても良い。また、左側板2aに取り付けているが、右側板2bに取り付けても良い。
また、キャビネット1はマウントアングル7を備えたラック構造としているが、マウントアングル7を持たないキャビネットであっても良く、風向板9を配置して前から後方に送風することで、収納した電気機器が上下何れの位置に配置されても、均等に冷却することができる。
更に、風向板9の後端を補強枠8に連結しているが、補強枠8に加えて側板2に連結しても良い。
また、風向板9は上下に渡り1枚で形成しても良いし、隔離壁9cを設けて側板2に並行する空気の案内空間を形成しているが、前側固定部91と後側固定部92との間全体に緩やかな傾斜面を配置して、傾斜面全体で隔離壁9cを形成しても良い。
【符号の説明】
【0021】
1・・冷却装置付キャビネット、2・・側板、3・・底板、4・・天板、5a・・前扉、5b・・後扉、7・・マウントアングル、8・・補強枠、9・・風向板、11・・冷却装置、11a・・吸い込み口、11b・・吹き出し口、E1・・機器収納空間。