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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086533
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01G4/30 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076351
(22)【出願日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0175793
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ホン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジ ヒェ
(72)【発明者】
【氏名】カン、ビュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 ス ユン
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ウーク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ミン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AC09
5E001AD04
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ02
5E082PP10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】導電性樹脂層の電気的連結性を向上させる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品の本体に配置される導電性樹脂層を含む外部電極において、導電性樹脂層131bは、Cu粒子、CuSn、CuSnのうち少なくとも一つを含む導電性粒子31a及び樹脂31bを含み、導電性樹脂層の第1、第2方向の断面において、Cu粒子(金属粒子31a1)、CuSn及びCuSn(第1金属間化合物31a2)が占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は1.88%~38.89%であり、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は31.54%~97.23%である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と内部電極とが第1方向に交互に配置され、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面及び第4面に配置される電極層及び前記電極層上に配置される導電性樹脂層を含む外部電極と、を含み、
前記導電性樹脂層は、Cu粒子、CuSn、CuSnのうち少なくとも一つを含む導電性粒子及び樹脂を含み、
前記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、
前記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は1.88%~38.89%であり、
前記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は31.54%~97.23%である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、
前記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率は0.3%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、
前記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率は58.79%以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面は、前記本体の第3方向の中央で切断した断面である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記CuSnが占める面積の比率及びCuSnが占める面積の比率は、前記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、第2方向の中央を基準にして第1方向のサイズが59μm~149μmであり、第2方向のサイズが25μm~50μmである領域で測定されたものである、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記導電性粒子はAgSnをさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、
前記導電性粒子が占める総面積に対するAgSnが占める面積の比率は、前記導電性粒子が占める総面積に対するCuSnが占める面積の比率より小さい、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外部電極は、前記電極層及び導電性樹脂層の間に配置され、金属間化合物を含む界面層をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層上に配置されるめっき層を含み、
前記導電性粒子のうち少なくとも一部は、前記界面層とめっき層とを連結する、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記電極層は第1金属及びガラスを含む、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記金属間化合物は、前記電極層に含まれた第1金属と前記電極層に含まれた第1金属より低い融点を有する低融点金属との間の金属間化合物である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記内部電極は、前記第3面と連結される第1内部電極及び前記第4面と連結される第2内部電極を含み、
前記外部電極は、前記第3面に配置されて前記第1内部電極と連結される第1外部電極、及び前記第4面に配置されて前記第2内部電極と連結される第2外部電極を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
一方、従来は、機械的又は熱的環境で発生する引張応力から積層セラミックキャパシタを保護するために、焼結電極層及び導電性樹脂層の2層構造を有する外部電極が適用されてきた。しかし、導電性樹脂層は、高温リフロー(reflow)環境に適用すると、導電性樹脂層で発生するアウトガス(out gas)によって焼結電極層と樹脂電極層との間の界面に浮き不良が発生する可能性がある。
【0005】
また、導電性樹脂層の場合、導電性を有する金属粒子が樹脂内に分散している形態で存在し、ホッピング伝導(Hopping Conduction)により電気的連結性を確保した。そのため、電気的連結性が焼結電極層に比べて低いという問題点が存在した。
【0006】
このような問題点を解決するために、外部電極にCuSn、CuSnなどの金属間化合物を含む導電性樹脂層を適用する方案を考えることができる。ただし、焼結電極層と樹脂電極層との間の界面で浮きが発生することをより効果的に防止するために、CuSn及びCuSnの存在比率を適宜調節する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、導電性樹脂層に発生するアウトガスによって浮き不良が発生することを防止することである。
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、導電性樹脂層の電気的連結性を向上させることである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、導電性樹脂層の内部の残余Snが導電性樹脂層の外部表面に溶出して積層型電子部品のめっき性を低下させるという問題を解決することである。
【0010】
ただし、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、誘電体層と内部電極とが第1方向に交互に配置され、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第3面及び第4面に配置される電極層及び上記電極層上に配置される導電性樹脂層を含む外部電極と、を含み、上記導電性樹脂層は、Cu粒子、CuSn、CuSnのうち少なくとも一つを含む導電性粒子及び樹脂を含み、上記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は1.88%~38.89%であり、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は31.54%~97.23%である積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果の一つとして、導電性樹脂層で発生するアウトガスにより浮き不良が発生することを防止することができる。
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、導電性樹脂層の電気的連結性を向上させることができる。
【0014】
本発明の様々な効果の一つとして、導電性樹脂層の内部の残余Snが外部導電性樹脂層の外部表面に溶出して積層型電子部品のめっき性を低下させるという問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示す分解斜視図である。
図4図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
図5図2のK1領域の拡大図である。
図6図5の変形例である。
図7a】導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージである。
図7b図7aのボックスで表した領域のうち、Cu粒子が配置された領域を示すイメージである。
図7c図7aのボックスで表した領域のうち、CuSnが配置された領域を示すイメージである。
図7d図7aのボックスで表した領域のうち、CuSnが配置された領域を示すイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0017】
そして、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されるものではない。なお、同一思想の範囲内の機能が同じである構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示す分解斜視図であり、図4は、図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図であり、図5は、図2のK1領域の拡大図である。
【0020】
図1図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111と内部電極121、122とが第1方向に交互に配置され、上記第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記第3面及び第4面に配置される電極層131a、132a及び上記電極層上に配置される導電性樹脂層131b、132bを含む外部電極131、132と、を含み、上記導電性樹脂層は、Cu粒子、CuSn、CuSnのうち少なくとも一つを含む導電性粒子31a及び樹脂31bを含み、上記導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は1.88%~38.89%であり、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は31.54%~97.23%であることができる。
【0021】
上述したように、機械的又は熱的環境で発生する応力から積層型電子部品を保護するために導電性樹脂層を適用する場合、導電性樹脂層で発生するアウトガス(out gas)により上記電極層と導電性樹脂層との間の界面に浮き不良が発生することがあり、電気的連結性が低下するという問題が発生する可能性がある。
【0022】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の場合、導電性樹脂層131b、132bの第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が1.88%~38.89%であり、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が31.54%~97.23%であって、電極層131a、132aと導電性樹脂層131b、132bとの間の界面で浮きが発生することを防止し、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【0023】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれる各構成についてより詳細に説明する。
【0024】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなってもよい。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0025】
本体110は、第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、第1面1から第4面4と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0026】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていてもよい。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0027】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートの焼成により形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系粉末を使用することができる。
【0028】
誘電体層111の平均厚さは特に限定する必要はないが、例えば、10μm以下であってもよい。また、誘電体層111の平均厚さは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、高電圧電装用電子部品の場合、誘電体層111の平均厚さは4.8μm未満であってもよく、小型IT用電子部品の場合、小型化及び高容量化を達成するために誘電体層111の平均厚さは0.5μm以下であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
ここで、誘電体層111の平均厚さとは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向のサイズを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111における多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0030】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されてもよく、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122とが誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されてもよい。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。第1内部電極121は上記第3面と連結されることができ、第2内部電極122は上記第4面と連結されることができる。
【0031】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布し、焼成することにより形成することができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
内部電極121、122の平均厚さは特に限定する必要はないが、例えば、3μm以下であってもよい。また、内部電極121、122の平均厚さは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、高電圧電装用電子部品の場合、内部電極121、122の平均厚さは1.3μm未満であってもよく、小型IT用電子部品の場合、小型化及び高容量化を達成するために内部電極121、122の平均厚さは0.4μm以下であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
内部電極121、122の平均厚さは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味する。ここで、内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極121、122における多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0035】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に対向する両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0036】
カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部112、113の平均厚さは100μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0037】
カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向への平均サイズを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面において等間隔である5個の地点で測定した第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0038】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に対向する両面上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。このとき、マージン部114、115は、本体110の第5面5と連結される第1マージン部114及び本体110の第6面6と連結される第2マージン部115を含むことができる。
【0039】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0040】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除き、内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することにより形成されたものであってもよい。あるいは、内部電極121、122による段差を抑制するために、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に対向する両面上に積層することにより、マージン部114、115を形成することもできる。
【0041】
マージン部114、115の平均厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さは100μm以下、20μm以下、又は15μm以下であってもよい。ここで、マージン部114、115の平均厚さは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0042】
マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができ、本体110の第1方向及び第3方向の断面において等間隔である5個の地点で測定した第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0043】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができ、上記第1面、第2面、第5面及び第6面の一部上に延長することができる。また、上記外部電極は、上記第3面に配置されて第1内部電極121と連結される第1外部電極131、及び上記第4面に配置されて第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0044】
第1外部電極131は、上記第3面に配置される第1電極層131a、上記第1電極層上に配置される第1導電性樹脂層131b、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層131cを含むことができる。
【0045】
第2外部電極132は、上記第4面に配置される第2電極層132a、上記第2電極層上に配置される第2導電性樹脂層132b、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層132cを含むことができる。
【0046】
電極層131a、132aは、内部電極121、122と外部電極131、132とを連結させる役割を果たすことができる。電極層131a、132aは第1金属及びガラスを含むことができ、例えば、Cu及びガラスを含むことができる。ただし、本発明がこれに限定されるものではなく、電極層131a、132aが含む上記第1金属は、例えば、Cu、Ni、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、Ti及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよい。一方、電極層131a、132aに含まれるガラスは、本体110と外部電極131、132との間の結合力を向上させる役割を果たすことができる。
【0047】
電極層131a、132aは、本体110の第3面3及び第4面4を第1金属及びガラスを含む導電性ペーストにディッピング(dipping)するか、又は第1金属及びガラスを含むシートを転写した後、焼成することにより形成することができる。
【0048】
以下、図5を参照して第1外部電極131についてより詳細に説明する。ただし、第1外部電極131と第2外部電極132とは第2方向を基準にして互いに対称な関係にあるため、第1外部電極131に関する説明は第2外部電極132にも同様に適用することができる。
【0049】
第1導電性樹脂層131bは、金属粒子31a1及び第1金属間化合物31a2のうち少なくとも一つを含む導電性粒子31a、及び樹脂31bを含むことができる。第1導電性樹脂層131bに含まれる樹脂31bは、基本的に積層型電子部品に加わる衝撃を吸収する役割を果たすことができる。これにより、基板実装時に加わる応力や引張ストレスを吸収して、積層型電子部品にクラックが発生することを防止することができる。第1導電性樹脂層131bに含まれる樹脂31bは特に限定する必要はないが、例えば、熱硬化性樹脂であってもよい。
【0050】
第1導電性樹脂層131bに含まれる金属粒子31a1はCu粒子であってもよい。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の金属粒子31a1のうち少なくとも一部はAg粒子であってもよい。図5に示すように、金属粒子31a1の形態は球状粒子であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属粒子31a1は球状粒子及びフレーク(flake)状粒子のうち一つ以上を含むことができる。
【0051】
ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粒子とは、平たいかつ細長い形態を有する粒子を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸及び短軸の長さは、本体110の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した第1導電性樹脂層131bの断面を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0052】
第1導電性樹脂層131bに含まれる第1金属間化合物31a2は、CuSn及びCuSnを含むことができる。CuSn及びCuSnは、第1導電性樹脂層131bの乾燥及び硬化熱処理過程を経る過程で、上記Cu粒子とSn又はSn合金を含む低融点金属が相互反応することにより形成されることができる。
【0053】
第1金属間化合物31a2は、第1導電性樹脂層131b内にネットワーク状に形成されることができ、第1金属間化合物31a2の少なくとも一部は第1電極層131a及び第1めっき層131cを連結することができる。これにより、第1電極層131aと第1導電性樹脂層131bとの間の界面で浮き不良が発生することを防止し、第1導電性樹脂層131b内の電気的連結性を向上させることができる。
【0054】
本発明の一実施形態によると、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は1.88%~38.89%であり、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率は31.54%~97.23%であることができる。
【0055】
Cu及びSnの間の相互反応過程において、CuSnはCuSnに比べて反応速度が速いため、CuSn及びCuSnのうちCuSnが優先的に形成されることができる。一方、CuSnが形成されて第1導電性樹脂層131b内にSnに比べてCuが豊富な環境が造成されると、CuSnの一部がCuSnに相転位(phase transition)することができる。
【0056】
一方、CuSnの熱膨張係数(Thermal expansion coefficient)は、CuSnの熱膨張係数より大きいため、CuSnはリフロー適用による膨張率及び常温での収縮率がCuSnより大きい。これにより、第1導電性樹脂層131b内にCuSnの形成比率が過度になると、CuSnの膨張及び収縮による第1導電性樹脂層の浮き不良が発生する可能性がある。よって、CuSnが占める面積の比率及びCuSnが占める面積の比率を制御することにより、浮き不良を効果的に防止することが重要である。
【0057】
そこで、本発明者らは、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSn及びCuSnのそれぞれが占める面積の比率が上記範囲を満たすとき、第1電極層131a及び第1導電性樹脂層131bの間の界面で浮き不良が発生することを効果的に防止できることを見出した。
【0058】
これは、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が31.54%未満であるか、又は上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が38.89%を超える場合、第1金属間化合物31a2が十分に形成されないか、又は第1金属間化合物31a2のうち熱膨張係数が高いCuSnの面積の比率が過度となるため、浮きの防止効果が低下するものと予想される。
【0059】
本発明の一実施形態によると、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率は0.3%以上であってもよい。上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率が0.3%未満である場合、第1導電性樹脂層131b内には上記Cu粒子に比べてSnが過度に含まれるため、残余Snが第1導電性樹脂層131bの外部表面に溶出する現象が発生する可能性がある。これにより、第1導電性樹脂層131b上に均一なめっき層を形成することができず、実装特性が低下する恐れがある。
【0060】
また、本発明の一実施形態によると、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率は58.79%以下であってもよい。上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率が58.79%を超える場合、上記CuSn及びCuSnの面積比率を満たすことが困難であり、上記Cu粒子による樹脂の酸化に伴うアウトガスが大量に発生する可能性がある。
【0061】
このとき、上記第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面は、本体110の第3方向の中央で切断した断面であってもよい。上記CuSnが占める面積の比率及びCuSnが占める面積の比率は、本体110の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した第1導電性樹脂層131bの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で2000倍以上の倍率で観察して測定したものであってもよい。
【0062】
また、上記CuSnが占める面積の比率及びCuSnが占める面積の比率は、上記第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、上記第2方向の中央を基準にして上記第1方向のサイズが59μm~149μmであり、上記第2方向のサイズが25μm~50μmである領域で測定されたものであることができる。
【0063】
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記CuSnが占める面積の比率及びCuSnが占める面積の比率は、第1導電性樹脂層131bの第2及び第3方向の断面で測定されたものであってもよい。
【0064】
上記導電性粒子31aに含まれたCu粒子、CuSn及びCuSnを互いに区別する方法は、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージをエネルギー分散型分光分析法(EDS:Energy Dispersive Spectroscopy)により成分分析し、導電性粒子31aの各領域に含まれたCu及びSnの成分比率を測定することにより区別することができる。
【0065】
また、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージにおいて、Cu粒子、CuSn、CuSnのうちCu粒子が最も暗く、CuSnが最も明るいため、このような明暗の差を用いて上記Cu粒子、CuSn及びCuSnを互いに区別することもできる。
【0066】
上記Cu粒子、CuSn及びCuSnのそれぞれが占める面積の比率は、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージを得た後、上記イメージをImageJプログラム で処理して測定することができる。
【0067】
一実施形態において、導電性粒子31aはAgSnをさらに含むことができる。上記AgSnは第1金属間化合物31a2内に配置されることができる。AgSnは、上記Ag粒子又はSn合金に含まれるAgがSnと相互反応して形成された金属間化合物であり得る。
【0068】
一方、Agは金属の中でもSnとの反応性の高い金属に該当する。このとき、第1導電性樹脂層131bにAgが過度に添加される場合、過度な金属間化合物の形成により積層型電子部品100の曲げ強度が低下する可能性がある。したがって、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面において、導電性粒子31aが占める総面積に対するAgSnが占める面積の比率は、導電性粒子31aが占める総面積に対するCuSnが占める面積の比率より小さいことが好ましいと言える。
【0069】
導電性粒子31aが占める総面積に対するAgSnが占める面積の比率及び導電性粒子31aが占める総面積に対するCuSnが占める面積の比率は、上述したように、第1導電性樹脂層131bの第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージを得た後、上記イメージをImageJプログラムで処理してその比率を測定することができる。
【0070】
第1導電性樹脂層131bは、例えば、第1電極層131a上に、Cu粉末、Sn又はSn合金粉末を含む低融点金属粉末及び熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂組成物を塗布し、硬化熱処理することにより形成することができる。上記熱硬化性樹脂は、例えば、ビスフェノールA樹脂、グリコールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、又はこれらの誘導体のうち分子量が小さく、常温で液状である樹脂であってもよい。上記低融点金属粉末は、Sn、Sn96.5Ag3.0Cu0.5、Sn42Bi58及びSn72Bi28のうち一つ以上を含むことができる。
【0071】
一方、CuSnが占める面積の比率及びCuSnが占める面積の比率を調節する方法は特に限定する必要はない。例えば、上記導電性樹脂組成物において、低融点金属粉末に対するCu粉末の含量が高いほど、硬化熱処理時間が増加するにつれて、CuSnが占める面積の比率が高くなり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
図6は、図5の変形例である。上述したように、第1外部電極131と第2外部電極132とは第2方向を基準にして互いに対称な関係にあるため、第1外部電極131に関する説明は第2外部電極132にも同様に適用することができる。
【0073】
図6を参照すると、一実施形態において、第1外部電極131は、第1電極層131a及び第1導電性樹脂層131bの間に配置され、第2金属間化合物131d1を含む第1界面層131dを含むことができる。第2金属間化合物131d1は、第1電極層131aに含まれた上記第1金属と上記第1金属より低い融点を有する低融点金属との間の金属間化合物であってもよい。例えば、上記第1金属がCuを含み、上記低融点金属がSn又はSn合金を含む場合、第2金属間化合物131d1はCuSnを含むことができる。
【0074】
第1界面層131dは、第1電極層131aと接するガラス131d2をさらに含むことができる。第1電極層131aの金属と上記Sn又はSn合金を含む低融点金属との相互反応により第2金属間化合物131d1を形成するとき、第1電極層131aに含まれたガラスのうち上記第1電極層の表面に露出したガラスは反応せずに残存することができ、上記残存したガラス131d2は第2金属間化合物131d1と共に第1界面層131dを形成することができる。
【0075】
第1界面層131dは、上記第1電極層上に連続的に配置されることもでき、上記第1電極層上に不連続的に配置されることもできる。
【0076】
一実施形態において、上記導電性粒子31aのうち少なくとも一部は、第1界面層131dと第1めっき層131cとを連結することができる。これにより、第1界面層131dと第1めっき層131cとの間の電気的連結性を向上させ、第1導電性樹脂層131bと第1界面層131dとの間の界面及び第1導電性樹脂層131bと第1めっき層131cとの間の界面で浮きが発生することを防止することができる。
【0077】
第1めっき層131cは実装特性を向上させることができる。第1めっき層131cの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及び/又はこれを含む合金等を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。例えば、第1めっき層131cは、上記第1導電性樹脂層上に順次積層された第1-1めっき層131c1及び第1-2めっき層131c2を含むことができ、かつ、第1-1めっき層131c1はNiを含み、第1-2めっき層131c2はSnを含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
(実験例)
まず、誘電体層及び内部電極を含む本体を設けた後、上記本体の第3面及び第4面を導電性及びガラスを含む導電性ペーストにディッピングした後、焼成して電極層を設けた。その後、上記電極層が形成された本体にCu粉末、Snを含む低融点金属粉末、及び熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂組成物を塗布し、硬化熱処理して導電性樹脂層を設け、上記導電性樹脂層上にNiめっき層及びSnめっき層を順次に形成して、第1及び第2外部電極を含むサンプルチップを設けた。
【0079】
その後、上記本体の第3方向の中央で上記外部電極を第1及び第2方向に切断した後、上記導電性樹脂層の断面領域を加速電圧:10kV、WD(Working Distance):10.4mm、分析倍率:5000倍の条件で走査電子顕微鏡(SEM)によりスキャンして上記導電性樹脂層のイメージを得た。
【0080】
図7aは、導電性樹脂層の第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージであり、図7bは、図7aのボックスで表した領域のうち、Cu粒子が配置された領域を示すイメージであり、図7cは、図7aのボックスで表した領域のうち、CuSnが配置された領域を示すイメージであり、図7dは、図7aのボックスで表した領域のうち、CuSnが配置された領域を示すイメージである。
【0081】
図7a~図7dを参照すると、上記導電性樹脂層の断面領域のうち、第2方向の中心を基準にして第1方向のサイズが59μm~149μmであり、第2方向のサイズが25μm~50μmである図7aのボックスで表した領域をエネルギー分散型分光分析法(EDS)で成分分析して、Cu粒子、CuSn及びCuSnを特定した後、ImageJプログラムにより処理した。
【0082】
図7bは、上記ボックスで表した領域のうち、Cu粒子が配置された領域を黒色、残りは白色で表したものであり、図7cは、上記ボックスで表した領域のうち、CuSnが配置された領域を黒色、残りは白色で表したものであり、図7dは、上記ボックスで表した領域のうち、CuSnが配置された領域を黒色、残りは白色で表したものである。
【0083】
次に、図7b~図7dのイメージを通じて各試験番号当たり10個のサンプルについて、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子、CuSn及びCuSnのそれぞれの面積の比率を測定した後、その平均値を下記表1に記載した。
【0084】
下記表1の浮きの発生の有無は、各試験番号当たり80個のサンプルを基板に実装した後、上記実装されたサンプルに対してリフロー(reflow)を適用した。その後、基板に実装されたサンプルを第1及び第2方向に切断した後、各サンプルの第1外部電極及び第2外部電極をそれぞれX-rayで撮影した。このとき、上記外部電極に明るい帯が存在する場合、浮きが発生したと評価し、80個のサンプルのうち浮きが発生したサンプルの個数を下記表1に記載した。
【0085】
Sn溶出の有無は、めっき層が形成される前の各サンプルを第1及び第2方向に切断した後、各サンプルの第1外部電極及び第2外部電極をそれぞれ走査電子顕微鏡(SEM)で撮影した後、上記導電性樹脂層の外部表面にSnが溶出している場合(NG)及び溶出していない場合(OK)を表した。
【0086】
【表1】
【0087】
表1を参照すると、試験番号1~8は、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が1.88%~38.89%であり、上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が31.54%~97.23%であって、浮き不良及びSn溶出不良が発生しないことを確認した。
【0088】
これに対し、試験番号9~10及び12~17は、Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が38.89%を超えるか、又は上記Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCuSnが占める面積の比率が31.54%未満であり、浮き不良が発生することを確認した。
【0089】
また、試験番号11の場合、Cu粒子、CuSn及びCuSnが占める合計面積に対するCu粒子が占める面積の比率が0.3%未満であり、導電性樹脂層の外部表面にSnが溶出する不良が発生することを確認した。これにより、導電性樹脂層上にめっき層を形成することができなかったため、浮き発生の評価は不可能であった。
【0090】
本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0091】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態に説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明と理解することができる。
【符号の説明】
【0092】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
131a、132a:電極層
131b、132b:導電性樹脂層
131c、132c:めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d