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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086541
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20240620BHJP
   A43B 7/083 20220101ALI20240620BHJP
【FI】
A43B13/14 Z
A43B7/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092542
(22)【出願日】2023-06-05
(62)【分割の表示】P 2022201426の分割
【原出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】509050915
【氏名又は名称】株式会社データマックス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】林 宗揚
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050AA06
4F050AA11
4F050BB04
4F050DA07
4F050JA30
4F050MA90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、簡便な構成により、二酸化炭素の低減に貢献できる履物を提供する。
【解決手段】着用者の歩行に応じて二酸化炭素を吸収する履物1であって、履物の底面を構成する、弾力性のあるソール部3と、ソール部に配設される吸気口31と、ソール部内に配設され、吸気口に連通する空気室32と、空気室に連通し、空気室から流入する空気中の二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収部33と、を備える。空気室は、歩行時にソール部が接地されるのに応じてソール部に生じる圧力により圧縮され、空気室内の空気は二酸化炭素吸収部に流入する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の歩行に応じて二酸化炭素を吸収する履物であって、
前記履物の底面を構成する、弾力性のあるソール部と、
前記ソール部に配設される吸気口と、
前記ソール部内に配設され、前記吸気口に連通する空気室と、
前記空気室に連通し、前記空気室から流入する空気中の二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収部と、
を備える、履物。
【請求項2】
前記空気室は、前記歩行時に前記ソール部が接地されるのに応じて前記ソール部に生じる圧力により圧縮され、前記空気室内の前記空気は前記二酸化炭素吸収部に流入する、
請求項1記載の履物。
【請求項3】
前記吸気口は、前記ソール部のかかと側に穿設されている、
請求項1記載の履物。
【請求項4】
前記二酸化炭素吸収部と外部とを連通する排気口をさらに備え、
前記排気口は着用状態において内股側に穿設されている、
請求項1記載の履物。
【請求項5】
前記吸気口、前記空気室、前記二酸化炭素吸収部および前記排気口は、かかと側からつま先側に向かってこの順に配設され、連通している、
請求項4記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に着用者の歩行等の力を利用して二酸化炭素を吸収する履物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球全体で二酸化炭素の排出量を低減する取り組みが注目されている。しかしながら、従来の低減方法として、二酸化炭素を吸収するために大型の装置を用いる例があるが、多額の投資が必要であり、個人での取り組みは困難であった。また、装置を用いる場合には、装置自体が二酸化炭素を排出するため、二酸化炭素の低減効率が十分でなかった。そこで、簡便な構成により、個人であっても二酸化炭素の低減に協力できるような構成が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-528173号公報
【特許文献2】特開2015-116286号公報
【特許文献3】特開2021-176474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡便な構成により、二酸化炭素の低減に貢献できる履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る履物は、着用者の歩行に応じて二酸化炭素を吸収する履物であって、前記履物の底面を構成する、弾力性のあるソール部と、前記ソール部に配設される吸気口と、前記ソール部内に配設され、前記吸気口に連通する空気室と、前記空気室に連通し、前記空気室から流入する空気中の二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収部と、を備える。
【0006】
前記空気室は、前記歩行時に前記ソール部が接地されるのに応じて前記ソール部に生じる圧力により圧縮され、前記空気室内の前記空気は前記二酸化炭素吸収部に流入するものとしてもよい。
【0007】
前記吸気口は、前記ソール部のかかと側に穿設されているものとしてもよい。
【0008】
前記二酸化炭素吸収部と外部とを連通する排気口をさらに備え、前記排気口は着用状態において内股側に穿設されているものとしてもよい。
【0009】
前記吸気口、前記空気室、前記二酸化炭素吸収部および前記排気口は、かかと側からつま先側に向かってこの順に配設され、連通しているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便な構成により、二酸化炭素の低減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る履物の第1実施形態を示す図であって、ソール部の一部を透過させて示す概略側面図である。
図2】上記履物のソール部の一部を透過させて示す概略底面図である。
図3】上記履物の概略背面図である。
図4】上記履物が備える二酸化炭素吸収部の様子を説明する概略図である。
図5】本発明に係る二酸化炭素吸収装置の第1実施形態を示す図である。
図6】本発明に係る二酸化炭素吸収装置の第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
●履物
以下、本発明の実施形態に係る履物について、図を参照して説明する。
本発明に係る履物は、着用者の歩行等の力を利用して二酸化炭素を吸収するものである。履物は、主に人が足に装着する、いわゆる靴であり、革靴、スニーカー、サンダル、ブーツ、長靴等、任意の種類のものであってよい。
【0013】
図1に示すように、履物1は、主としてアッパー部2およびソール部3を備える。アッパー部2は、履物1の上部を構成する部分であり、着用者の足が挿入される開口部を備える。本発明において、アッパー部2の構成は任意であり、適宜の公知技術を採用してよい。
【0014】
図1乃至図3に示すように、ソール部3は、アッパー部2の下方に連結される部分であり、履物1の底面を構成する。ソール部3は弾力性を有し、履物1の使用時、すなわち例えば歩行時又は走行時において、アッパー部2と地面とに挟まれ、圧縮される。
【0015】
ソール部3は、主として、吸気口31、空気室32、二酸化炭素吸収部33、および排気口34を備える。吸気口31、空気室32、二酸化炭素吸収部33、および排気口34は、直接又は適宜の連結路を介してこの順に連結されている。
【0016】
吸気口31は、空気室32と外部とを連通する孔である。吸気口31は、本実施形態においては2個であるが、個数は任意である。吸気口31は、ソール部3の背面側、すなわちかかと側に穿設されている。この構成によれば、つま先側に穿設されている構成に比べて、歩行時に泥等の汚れが入り込みにくく、吸気機能を維持できる。また、スニーカーは、その機能を発揮するため通常つま先側のソール部3が薄く構成されている。この点、本願構成によれば、吸気口31がかかと側に設けられるため、履物1をスニーカー形状に構成する場合にも、スニーカーの機能性を維持することができる。なお、履物1を、革靴等、つま先側のソール部3に厚みを有する種類の靴に構成する場合には、吸気口31がつま先に設けられていてもよい。
【0017】
空気室32は、所定容積を有する空間であり、吸気口31を介して外部と連通している。吸気口31と空気室32との間には、逆止弁40が配置されていてもよい。空気室32は、歩行によりソール部3が接地すると、ソール部3に生じる圧力により圧縮される。圧縮に応じて、空気室32内の空気は二酸化炭素吸収部33に流入する。また、歩行により履物1が地面から離れると、空気室32はソール部3の復帰に応じてほぼ元の容積に回復する。すなわち、空気室32は、歩行に応じて圧縮と回復を繰り返し、二酸化炭素吸収部33に空気を送るポンプの役割を果たす。
【0018】
二酸化炭素吸収部33は、空気室32に連通する空間である。二酸化炭素吸収部33の後端(かかと側)には空気室32が連通する。また、二酸化炭素吸収部33の前端(つま先側)には排気口34が連通する。すなわち、吸気口31から導入される空気は、空気室32、二酸化炭素吸収部33をこの順に通過して、排気口34から排出される。
【0019】
図4に示すように、二酸化炭素吸収部33は、二酸化炭素分離膜331と、二酸化炭素吸収材332とを備える。二酸化炭素分離膜331と二酸化炭素吸収材332は、それぞれ二酸化炭素吸収部33の左右方向に渡って形成されており、両端は左右の内壁に連結されている。すなわち、空気室32から流入した空気は、必ず二酸化炭素分離膜331および二酸化炭素吸収材332を通過するようになっている。
【0020】
二酸化炭素分離膜331は、二酸化炭素を選択的に透過する膜である。二酸化炭素分離膜331は、図中右方から流入した空気は、歩行によりソール部3に生じる圧力により、二酸化炭素分離膜331に圧接することで二酸化炭素が分離され、二酸化炭素分離膜331の左方へ通過する。
【0021】
二酸化炭素吸収材332は、二酸化炭素を吸収する適宜の材料により構成される。二酸化炭素吸収材332は、二酸化炭素分離膜331を透過した二酸化炭素を吸収する。二酸化炭素吸収材332は、二酸化炭素の吸収量に応じて色が変わるようになっていてもよい。この場合、ソール部3に配設される適宜の窓により、二酸化炭素吸収材332の色が視認できるようになっていてもよい。この構成によれば、履物1における二酸化炭素の吸収機能を随時確認できる。また、二酸化炭素吸収材332は、当該窓又は別の適宜の窓により取り出すことで、交換可能となっていてもよい。
【0022】
吸収されなかった気体は、二酸化炭素吸収部33に連通する排気口34から排出される。
排気口34は、吸気口31よりも履物の前方、すなわちつま先側に配設されている。歩行は通常、まず踵を接地し、体重の重心は順次前方に移動する。したがって、空気および二酸化炭素は、歩行の体重移動により、吸気口31から排気口34に向かって順次圧力がかけられる。すなわち、当該構成によれば、歩行の体重移動を利用して気体を吸気口31から排気口34に案内することができる。
【0023】
また、排気口34は、履物の外装のうち着用状態において内股側(土踏まず側)に穿設されている。すなわち、対をなす左右の履物の排気口34は互いに対向する。この構成によれば、歩行時の汚れや泥はねの影響を受けにくく、排気口34を開口した状態に保つことが出来る。また、図2に示すように、排気口34は複数設けられていてもよい。なお、排気口34と二酸化炭素吸収部33との境界に弁41が設けられていてもよい。この構成により、排気口34から入り込んだ汚れが二酸化炭素吸収部33に至るのを防止できる。この弁41は、二酸化炭素吸収部33から排気口34へ至る方向のみ気体を流出させる逆止弁であってもよい。
【0024】
以上の本実施形態に係る履物によれば、着用者の歩行等の力を利用して、簡便な構成により二酸化炭素の低減に貢献できる。
【0025】
●二酸化炭素吸収装置(1)
図5は自転車エルゴメータ110を漕ぐ運動を利用して二酸化炭素の吸収を行う二酸化炭素吸収装置100の例である。自転車エルゴメータ110はペダル120を備え、このペダル120の回転に応じて二酸化炭素吸収装置100が作動するようになっている。
【0026】
二酸化炭素吸収装置100は、主として、自転車エルゴメータ110の駆動部121、送風機122、および二酸化炭素吸収部123により構成されている。駆動部121は、ペダル120のシャフトの回転を送風機122に伝達する部材である。送風機122は、駆動部121から伝達された力により、空気を二酸化炭素吸収部123に送風する装置である。二酸化炭素吸収部123は、履物1における二酸化炭素吸収部33(図4参照)と同様の構成であり、送風機122から送風された空気は、二酸化炭素吸収部123に流入し、内部の二酸化炭素吸収材により吸収される。このような構成によっても、電力消費等によりさらなる二酸化炭素を排出することなく、人力を利用して二酸化炭素を削減することができる。
【0027】
●二酸化炭素吸収装置(2)
図6は、いわゆるステッパーとよばれる足踏み式運動装置210で足踏みをする運動を利用して二酸化炭素の吸収を行う二酸化炭素吸収装置200の例である。足踏み式運動装置210はペダル220を備え、このペダル220の上下運動に応じて二酸化炭素吸収装置200が作動するようになっている。
【0028】
二酸化炭素吸収装置200は、主として、足踏み式運動装置210のペダル220下方に備え付けられたふいご222および二酸化炭素吸収部223により構成されている。ふいご222の移動部はペダル220が下がった場合にペダル220の裏面に当接し、押圧される。二酸化炭素吸収部223は、履物1における二酸化炭素吸収部33(図4参照)と同様の構成であり、ふいご222から送風された空気は、二酸化炭素吸収部223に流入し、内部の二酸化炭素吸収材により吸収される。このような構成によっても、電力消費等によりさらなる二酸化炭素を排出することなく、人力を利用して二酸化炭素を削減することができる。
【0029】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本説明では二酸化炭素を吸収する構成を例に説明したが、二酸化炭素とは別の温室効果ガスを吸収する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 :履物
2 :アッパー部
3 :ソール部
31 :吸気口
32 :空気室
33 :二酸化炭素吸収部
34 :排気口
100 :二酸化炭素吸収装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6