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特開2024-86546スプール、スプールを含む締付装置、及び、スプールと紐との結合方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086546
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】スプール、スプールを含む締付装置、及び、スプールと紐との結合方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/22 20060101AFI20240620BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20240620BHJP
   A43C 11/08 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65B13/22 B
A44B99/00 611M
A44B99/00 611N
A43C11/08
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106022
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】202211616513.6
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211616327.2
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523015530
【氏名又は名称】深▲せん▼市愛康偉達智能医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN ICOMWELL INTELLIGENT MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1004, Building 18, Zhonghaixin Innovation Industry City, No. 11 Ganli 2nd Road, Longgang District,Shenzhen city, Guangdong Province, 518116, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉
【テーマコード(参考)】
3E052
4F050
【Fターム(参考)】
3E052AA05
3E052BA16
3E052CA20
3E052GA13
3E052JA14
3E052LA01
3E052LA08
4F050MA06
4F050MA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スプール、スプールを含む締付装置、及び、スプールと紐との結合方法の提供。
【解決手段】第一紐自由端及び第二紐自由端は、それぞれ第一紐走行経路及び第二紐走行経路に沿って対向方向の紐通しを行い、第一紐走行経路と第二紐走行経路とは、分離して立体交差しており、2つの自由端が同時に紐通しを行っても、互いに衝突することがなく、紐を結ぶとき、確保される尾部の長さについては、厳しい要件が求められず、ケースの外部に残されている場合でも、締付装置の正常な動作に影響を与えることなく、スプールを回転させることで、残されている紐をスプールに巻き付けることができるため、本発明によるスプール、スプールを含む締付装置、及び、それらと紐との結合方法は、便利で迅速であり、紐通しの正確率が高く、技術的難易度が低い。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐の結合及び巻付用のスプールであって、前記スプールは、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されているスプールにおいて、
前記軸筒は、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、
第一紐通し孔と、軸筒の内部空洞と、第一紐引出孔とによって第一紐走行経路が構成され、第二紐通し孔と、軸筒の内部空洞と、第二紐引出孔とによって第二紐走行経路が構成され、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とは、分離して立体交差している、ことを特徴とするスプール。
【請求項2】
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心は、軸筒の異なる軸方向高さに位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項3】
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、進入端及び退出端を含み、前記退出端の寸法は、進入端の寸法よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項4】
前記第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、何れも前記第一底盤又は第二底盤に平行である、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項5】
前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項6】
前記第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、何れも対向方向の紐走行経路である、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項7】
前記第一紐引出孔の寸法は、前記第一紐通し孔の寸法よりも大きく、前記第二紐引出孔の寸法は、前記第二紐通し孔の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項8】
スプールを含む締付装置であって、
内部領域を有するケースと、
前記ケースに回転可能に接続された回転蓋と、
前記ケースの内部領域内に回転可能に設けられた、紐の結合及び巻付用のスプールとを含み、前記スプールは、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されている締付装置において、
前記ケースは、紐がケースの外部領域からケースの内部領域に進入するための第一入口、第二入口を有し、前記ケースは、紐がケースの内部領域からケースの外部領域に退出するための第一出口、第二出口を更に有し、且つ前記第一入口及び第一出口は、ケースの対向する側に位置し、前記第二入口及び第二出口は、ケースの対向する側に位置し、
前記軸筒は、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔も、軸筒の対向する側に位置し、
前記スプールが回転されて前記ケースとスプールとのアライメント位置に到達すると、前記ケースの第一入口、前記スプールの第一紐通し孔、軸筒の内部空洞、前記スプールの第一紐引出孔、前記ケースの第一出口によって、締付装置の第一紐走行経路が構成され、前記ケースの第二入口、前記スプールの第二紐通し孔、軸筒の内部空洞、前記スプールの第二紐引出孔、前記ケースの第二出口によって、締付装置の第二紐走行経路が構成され、前記締付装置の第一紐走行経路と締付装置の第二紐走行経路とは、分離して立体交差する、ことを特徴とする締付装置。
【請求項9】
前記スプールの第一紐引出孔と第二紐引出孔とは、対称に設けられる、ことを特徴とする請求項8に記載の締付装置。
【請求項10】
前記スプールの第二底盤の端面に止めピンが更に設けられ、前記回転蓋に止め輪部材が設けられており、前記止め輪部材と回転蓋とは、一体に作製されるか、又は個別に製造された後に互いに接続され、前記止め輪部材と前記止めピンとが協働して前記締付装置の止め位置切替機構を形成している、ことを特徴とする請求項8に記載の締付装置。
【請求項11】
前記スプール及び前記ケースは、スプールの前記第一紐通し孔とケースの前記第一入口とのアライメント、スプールの前記第二紐通し孔とケースの前記第二入口とのアライメント、スプールの前記第一紐引出孔とケースの前記第一出口とのアライメント、スプールの前記第二紐引出孔とケースの前記第二出口とのアライメントを指示するためのアライメント可能マークを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の締付装置。
【請求項12】
前記締付装置は、台座を更に含み、前記台座は、締付装置の他の部品とは独立して着用可能物品に装着される、ことを特徴とする請求項8に記載の締付装置。
【請求項13】
前記台座は、内部空洞を含み、前記ケースの底部は、前記台座の内部空洞内に装着され、且つ前記ケースの第一出口及び第二出口の少なくとも一部は、前記台座の内部空洞外に露出される、ことを特徴とする請求項12に記載の締付装置。
【請求項14】
スプールと紐との結合方法であって、
軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されているスプールであって、前記軸筒が、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置するスプールを用意するステップS1と、
第一紐自由端及び第二紐自由端を含む紐であって、第一紐自由端が前記第一紐通し孔を通って軸筒の内部空洞に進入してから第一紐走行経路に沿って前記第一紐引出孔に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、第二紐自由端が前記第二紐通し孔を通って軸筒の内部空洞に進入してから第二紐走行経路に沿って前記第二紐引出孔に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とが分離して立体交差している紐を用意するステップS2と、
軸筒の外部領域に退出した第一紐自由端、第二紐自由端を結ぶステップであって、結んだ後の紐自由端に尾部及び結び目が含まれるステップS3と、
紐を引き戻して、少なくとも紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻され、前記紐が前記スプールに結合されるようにするステップS4とを含む、ことを特徴とするスプールと紐との結合方法。
【請求項15】
ステップS2における前記第一紐自由端及び第二紐自由端は、1本の紐からの2つの自由端又は2本の紐からの2つの自由端である、ことを特徴とする請求項14に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項16】
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、進入端及び退出端を含み、前記退出端の寸法は、進入端の寸法よりも小さく、ステップS4では、紐の結び目が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の退出端に引っ掛かるまで紐を引き戻す、ことを特徴とする請求項14に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項17】
前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含み、ステップS2では、前記開口を介して、軸筒の内部空洞内での第一紐自由端、第二紐自由端の紐走行状況を観察する、ことを特徴とする請求項14に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項18】
ステップS4では、紐を引き戻して、紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるとともに紐の尾部の末端が軸筒の外部領域に残されるようにする、ことを特徴とする請求項14に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項19】
ステップS4では、紐を引き戻して、紐の結び目及び尾部の末端が何れも前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるようにする、ことを特徴とする請求項14に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項20】
ステップS2では、第一紐自由端、第二紐自由端のうち、一方の紐自由端が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の最上方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入し、他方の紐自由端が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の最下方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入する、ことを特徴とする請求項14に記載のスプールと紐との結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐締め技術の分野に関し、具体的に、スプール、スプールを含む締付装置、及び、スプールと紐との結合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動締付装置は、靴や鞄の分野に適用され、人々の生活に大きな便利を提供している。自動締付装置の普及に伴い、市場の需要がますます高まっており、生産及び組立手順の簡易化は、締付装置メーカに注目される重要な課題になっている。スプールは、自動締付装置に欠かせない部材であり、紐をその上に巻き付けて物品を締めたり、紐を解放して物品を緩めたりするために使用される。スプールは、通常、工字形のスプールであり、2つの底盤と、軸筒とを含み、2つの底盤間の軸筒の外部領域に形成された環状溝によって、紐巻取用の収容空間が構成される。スプールによる紐の巻き取りを可能にするためには、紐をスプールに結合する必要がある。
【0003】
現在一般的に用いられているスプール構造の一種は、軸筒の内部にチャネルを設けることで紐通しを案内するため、誤って紐通しを行い、紐通しが漏れる問題が存在し、かつこのような誤った紐通し経路は肉眼で観察できず、紐とスプールの結合が失敗に至る恐れがある。
【0004】
しがたって、紐とスプール、又はスプールを含む締付装置とを結合するためには、便利で迅速であり、紐通しの正確率が高い紐通し方法を切望している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくともある程度で関連技術における課題の1つを解決しようとしている。そのため、本発明の目的の1つは、スプール、及び当該スプールと紐との結合方法を提案することにある。
【0006】
本発明は、紐の結合及び巻付用のスプールであって、前記スプールは、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されているスプールにおいて、
前記軸筒は、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、
第一紐通し孔と、軸筒の内部空洞と、第一紐引出孔とによって第一紐走行経路が構成され、第二紐通し孔と、軸筒の内部空洞と、第二紐引出孔とによって第二紐走行経路が構成され、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とは、分離して立体交差している、スプールを提供している。
【0007】
本願における前述した「分離して立体交差」することは、離隔して立体交差すること又は非連通して立体交差することとも呼ばれ、2本の経路が互いに連通せずに交差することを指し、分離して立体交差することは、空間的に交錯した位置での上の経路と下の経路との距離差を持つ完全な分離だけでなく、空間的に交錯した位置での上の経路の下縁と下の経路の上縁との距離ゼロの接触も含む。ここでの「上の経路」、「下の経路」、「上縁」、「下縁」は、何れも、スプールが紐通し状態にあるときの2本の経路の実際の空間位置に応じて決定され、更に、ここでの上下とは、空間的に交錯した箇所での上下を指し、これは、第一紐走行経路と第二紐走行経路とは、他の空間位置での上下位置関係が、空間的に交錯した箇所での上下位置関係とは異なり得るからである。ここでいう「空間的に交錯した箇所」については、その第一底盤又は第二底盤の位置する平面に平行な投影が、2本の経路の投影線の交差点となる。
【0008】
好ましくは、前記第一底盤と第二底盤とは、平行に設けられている。
【0009】
本願における軸筒は、「軸筒対称面」を基準とした両側を含み、前記「軸筒対称面」は、「第一底盤の対称軸線」と「軸筒中軸線」とによって確立された平面である。ここで、ステップS1における「軸筒の同じ側」とは、軸筒対称面の同じ側に位置することを指し、「軸筒の対向する側」とは、それぞれ軸筒対称面の両側に位置することを指す。
【0010】
好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐引出孔は、軸筒の同じ側に位置し、前記第二紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の同じ側に位置する。
【0011】
好ましくは、前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔の中心軸線は、第一底盤の位置する平面での投影線が、135°~180°の夾角を持つか又は互いに平行である。
【0012】
好ましくは、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔の中心軸線は、第一底盤の位置する平面での投影線が、135°~180°の夾角を持つか又は互いに平行である。
【0013】
好ましくは、前記第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、略直線である。
【0014】
本願における前述した「略直線」であるとは、直線、又は弧度の小さな曲線であることを指す。略直線であるとは、線の曲率が0に等しいか又は0に近いことを指す。
【0015】
好ましくは、前記第一紐走行経路又は第二紐走行経路の曲率は、0.1未満である。
【0016】
好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、何れも対称孔である。
【0017】
好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心は、軸筒の異なる軸方向高さに位置する。本願における前述した「軸方向高さ」とは、軸筒における或る点を貫通しかつ下の底盤に平行する平面と下の底盤の軸方向距離を指す。スプールの実際使用時に上方に位置する底盤を「上の底盤」と呼び、下方に位置する底盤を「下の底盤」と呼ぶ。具体的に、本願では、スプールが紐通しを行うとき、第一底盤が上の底盤となり、第二底盤が下の底盤となる。前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心間の軸方向高さの差により、第一紐走行経路と第二紐走行経路とが分離して立体交差することを実現される。
【0018】
好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、ホーン状構造である。ホーン状構造における寸法の小さい方の一端は、退出端であり、退出端は、紐が紐通し孔を退出して軸筒の内部空洞に進入するためのものであり、紐が結ばれた後に結び目を引っ掛けて、紐とスプールとが結合されるようにする役割を更に持っている。
【0019】
より好ましくは、前記ホーン状構造の紐通し孔の中心軸線は、前記第一底盤又は前記第二底盤の位置する平面に平行である。
【0020】
更に好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心軸線は、何れも前記第一底盤又は第二底盤に平行であるが、第一底盤又は第二底盤までの距離が異なり、且つ前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心軸線は、第一底盤又は第二底盤での投影が交差している。
【0021】
好ましくは、前記第一紐引出孔の寸法は、前記第一紐通し孔の寸法よりも大きく、前記第二紐引出孔の寸法は、前記第二紐通し孔の寸法よりも大きい。
【0022】
好ましくは、前記第一紐引出孔及び第二紐引出孔の中心は、軸筒の同じ軸方向高さに位置してもよいし、軸筒の異なる軸方向高さに位置してもよい。紐引出孔の寸法が紐通し孔の寸法よりも大きくてもよいため、2つの紐通し孔が軸筒の異なる軸方向高さに位置する場合でも、対応する紐引出孔の寸法が十分に大きければ、紐通し孔から軸筒の内部空洞に退出した紐は、直線に沿って紐引出孔に到達して紐引出孔から軸筒の内部空洞を退出することが可能であり、更に、紐が紐引出孔から退出する位置については、紐引出孔から退出可能な位置であればよく、孔の中心位置に限定されない。例えば、紐引出孔の中心、紐引出孔の中心よりも上、中心よりも左又は中心よりも右の位置であってもよい。したがって、2つの紐引出孔は、軸筒の異なる軸方向高さに位置してもよいし、軸筒の同じ軸方向高さに位置してもよい。
【0023】
更に好ましくは、前記第一紐引出孔と第二紐引出孔とは、大きさ及び形状が一致し、且つ対称に設けられる。「対称に設けられる」とは、第一紐引出孔と第二紐引出孔とが、「軸筒対称面」に関して対称に設けられ、両者の形状及び大きさが一致することを指す。
【0024】
より好ましくは、前記第一紐引出孔及び第二紐引出孔の軸方向高さは、前記紐の巻付用の溝の高さの80%から100%の間にある。具体的に、第一紐引出孔及び第二紐引出孔の軸方向高さは、何れもhであり、紐の巻付用の溝の軸方向高さはHであると、80%H≦h≦Hである。
【0025】
好ましくは、前記第一紐引出孔は、矩形又は角丸矩形である。
【0026】
好ましくは、前記第二紐引出孔は、矩形又は角丸矩形である。
【0027】
好ましくは、本発明の一実施例によれば、前記第一底盤及び第二底盤は、軸筒から径方向外方に延在する。
【0028】
本願によるスプールは、軸筒の側壁に紐通し孔のみが設けられ、紐通しの案内用のチャネルが設けられていないため、軸筒の内部空洞の空間が比較的小さくて済み、ホーン状構造をなす紐通し孔であっても、ホーン状構造が軸筒の肉厚を利用して構成されているため、紐通し用のチャネルを設ける場合に比べて、必要となる軸筒の内部空洞の空間が小さいので、軸筒全体の外径を小さくすることができ、その結果、スプールの紐収容能力が向上される。
【0029】
本発明は、上記スプールと紐との結合方法であって、
軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されているスプールであって、前記軸筒が、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置するスプールを用意するステップS1と、
第一紐自由端及び第二紐自由端を含む紐であって、第一紐自由端が前記第一紐通し孔を通って軸筒の内部空洞に進入してから第一紐走行経路に沿って前記第一紐引出孔に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、第二紐自由端が前記第二紐通し孔を通って軸筒の内部空洞に進入してから第二紐走行経路に沿って前記第二紐引出孔に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とが分離して立体交差している紐を用意するステップS2と、
軸筒の外部領域に退出した第一紐自由端、第二紐自由端を結ぶステップであって、結んだ後の紐自由端に尾部及び結び目が含まれるステップS3と、
紐を引き戻して、少なくとも紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻され、前記紐が前記スプールに結合されるようにするステップS4とを含む、スプールと紐との結合方法を更に提案している。
【0030】
本願における紐は、スプールの第一紐通し孔を通過してから軸筒の内部空洞に進入した後に第一紐走行経路に沿って、対向する側の前記第一紐引出孔に到達し、即ち第一紐走行経路は、対向方向の紐通し経路であり、同様に、第二紐走行経路も、対向方向の紐通し経路である。対向方向の紐通し経路が短いため、紐は、基本的に自然状態での慣性による走行となる。これに対して、従来技術では、紐走行の案内用のチャネルを設けて紐に一定の力を加えることで、紐を所定の軌道に従って弧状に走行させているため、対向方向の紐通しの方は、ブラインドスレッディングを実現し易い。一方、観察窓がないままで、チャネルを設けることで紐走行を案内する場合は、紐通しの漏れの事態が発生し易い。
【0031】
好ましくは、S2では、第一紐自由端は、第一紐通し孔の上方空間、中軸線付近領域又は下方空間に沿って第一紐通し孔を通った後に軸筒の内部空洞に進入する。
【0032】
好ましくは、S2では、第二紐自由端は、第二紐通し孔の上方空間、中軸線付近領域又は下方空間に沿って第二紐通し孔を通った後に軸筒の内部空洞に進入する。
【0033】
ここで、紐通し孔の上方空間、中軸線付近領域及び下方空間は、紐通し孔の中軸線を基準として紐通し孔の軸方向高さを区画してなったものであり、例えば、中軸線の上下20%以内の領域が「中軸線付近領域」として区画され、中軸線付近領域の最上縁より上の領域が紐通し孔の上方空間として区画され、中軸線付近領域の最下縁より下の領域が紐通し孔の下方空間として区画される。
【0034】
ステップS2では、第一紐自由端及び第二紐自由端の紐通しについて、前後順序を問わず、第一紐自由端及び第二紐自由端のうち、一方が先に紐通しされて他方がその後に紐通しされてもよいが、どれが先になるかを問わず、また、第一紐自由端及び第二自由端は、同時に紐通しされてもよい。
【0035】
好ましくは、ステップS2では、第一紐自由端、第二紐自由端のうち、一方の自由端が紐通し孔の上方空間に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入し、他方の自由端が紐通し孔の下方空間に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入する。
【0036】
更に好ましくは、ステップS2では、第一紐自由端、第二紐自由端のうち、一方の紐自由端が2つの紐通し孔の最上方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入し、他方の紐自由端が2つの紐通し孔の最下方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入する。2つの紐通し孔の最上方とは、2つの紐通し孔のうち、上方の紐通し孔の最上方の空間を指し、同様に、2つの紐通し孔の最下方とは、2つの紐通し孔のうち、下方の紐通し孔の最下方の空間を指す。
【0037】
2つの紐通し孔が軸筒の異なる軸方向高さに位置するため、本願では、紐通し過程において高い軸方向高さに位置する紐通し孔を上方の紐通し孔として定義し、紐通し過程において低い軸方向高さに位置する紐通し孔を下方の紐通し孔として定義する。紐通し過程では、紐が走行する第一紐走行経路及び第二紐走行経路の延在方向は、基本的に、第一紐通し孔又は第二紐通し孔内での紐の走行方向によって決定される。したがって、一方の紐自由端を上方の紐通し孔の最上方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入させ、他方の紐自由端を下方の紐通し孔の最下方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入させることで、2つの紐通し孔の中心高さの差が決まっている場合、第一紐走行経路と第二紐走行経路とは、軸方向空間において最大の分離を実現でき、その結果、スプールの高さの低減により有利となり、締付装置の体積の小型化が実現される。
【0038】
本願において、第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、何れも第一底盤又は第二底盤の位置する平面に平行であってもよいし、何れか1本の経路は、第一底盤又は第二底盤の位置する平面に平行であってもよく、また、第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、何れも第一底盤又は第二底盤の位置する平面に非平行であってもよい。要するに、2本の経路は、空間的に交錯した箇所において、分離して立体交差することを実現すればよい。
【0039】
好ましい実施例において、前記第一紐走行経路及び第二紐走行経路のうち、少なくとも1本の紐走行経路は、前記第一底盤又は第二底盤の位置する平面に平行である。
【0040】
好ましくは、ステップS2における前記第一紐自由端及び第二紐自由端は、1本の紐の2つの自由端又は2本の紐の2つの自由端である。
【0041】
好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、進入端及び退出端を含み、前記退出端の寸法は、進入端の寸法よりも小さく、ステップS4では、紐の結び目が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の退出端に引っ掛かるまで紐を引き戻す。
【0042】
更に好ましくは、前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、ホーン状構造であり、ステップS4では、紐の結び目がホーン状の紐通し孔の退出端に引っ掛かるまで紐を引き戻す。
【0043】
好ましくは、前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含み、ステップS2では、前記開口を介して、軸筒の内部空洞内での第一紐自由端及び第二紐自由端の紐走行状況を観察する。前記開口は、紐通しの正確率が向上されるように、軸筒の内部空洞内の紐走行状況を観察するために使用される。
【0044】
好ましくは、ステップS4では、紐を引き戻して、紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるとともに紐の尾部の末端が軸筒の外部領域に残されるようにする。
【0045】
好ましくは、紐の尾部の末端が軸筒の外部領域に残される場合、スプールを回転させて、紐の尾部が前記スプールの溝内に巻き付けられるようにするステップS5を更に含む。
【0046】
好ましくは、ステップS4では、紐を引き戻して、紐の結び目及び尾部の末端が何れも前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるようにする。
【0047】
本発明の別の目的は、上記スプールを含む締付装置、及び、それと紐との結合方法を提案することにある。
【0048】
本発明は、上記スプールを含む締付装置であって、内部領域を有するケースと、前記ケースに回転可能に接続された回転蓋と、前記ケースの内部領域内に回転可能に設けられた、紐の結合及び巻付用のスプールとを含み、前記スプールは、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されている締付装置において、
前記ケースは、紐がケースの外部領域からケースの内部領域に進入するための第一入口、第二入口を有し、前記ケースは、紐がケースの内部領域からケースの外部領域に退出するための第一出口、第二出口を更に有し、且つ前記第一入口及び第一出口は、ケースの対向する側に位置し、前記第二入口及び第二出口は、ケースの対向する側に位置し、
前記軸筒は、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、
前記スプールが回転されて前記ケースとスプールとのアライメント位置に到達すると、前記ケースの第一入口、前記スプールの第一紐通し孔、軸筒の内部空洞、前記スプールの第一紐引出孔、前記ケースの第一出口によって、締付装置の第一紐走行経路が構成され、前記ケースの第二入口、前記スプールの第二紐通し孔、軸筒の内部空洞、前記スプールの第二紐引出孔、前記ケースの第二出口によって、締付装置の第二紐走行経路が構成され、前記締付装置の第一紐走行経路と締付装置の第二紐走行経路とは、分離して立体交差する、締付装置を更に提供している。
【0049】
前記ケース与スプールがアライメント位置にあるとき、スプールの前記第一紐通し孔がケースの前記第一入口にアライメントされ、スプールの前記第二紐通し孔がケースの前記第二入口にアライメントされ、スプールの前記第一紐引出孔がケースの前記第一出口にアライメントされ、スプールの前記第二紐引出孔がケースの前記第二出口にアライメントされる。
【0050】
「前記スプールの第一紐通し孔がケースの第一入口にアライメントされる」とは、厳密的に紐通し孔の中心が第一入口の中心にアライメントされているわけではなく、第一入口が第一紐通し孔の一部にアライメントできればよい。本願における全ての「孔と孔と」、「孔と口と」のアライメントについては、両者の間に一部の領域がアライメントされていれば、この解釈に従うものとする。
【0051】
好ましくは、前記第一入口及び第二出口は、ケースの同じ側に位置し、前記第二入口及び第一出口は、前記ケースの同じ側に位置する。
【0052】
前述した「軸筒の両側」の定義方法と一致して、本願では、ケースも、「ケース対称面」を基準とした両側を含む。ここで、「ケースの同じ側」とは、ケース対称面の同じ側に位置することを指し、「ケースの対向する側」とは、それぞれケース対称面の両側に位置することを指す。
【0053】
好ましくは、前記第一入口及び第二入口の中心軸線は、同一平面内で交わる。当該平面は、ケースの中軸線に垂直である。
【0054】
好ましくは、前記第一入口と第二入口とは、対称に設けられる。対称に設けられるとは、ケースの対称面の両側にそれぞれ設けられ、且つ対称に設けられ、両方の形状及び大きさが一致することを指す。
【0055】
好ましくは、前記第一入口及び第二入口は、ラグ構造である。
【0056】
好ましくは、前記第一出口及び第二出口の中心軸線は、同一平面内で交わる。当該平面は、ケースの中軸線に垂直である。
【0057】
好ましくは、前記第一出口と第二出口とは、対称に設けられる。対称に設けられるとは、ケースの対称面の両側にそれぞれ設けられ、且つ対称に設けられ、両者の形状及び大きさが一致することを指す。
【0058】
好ましくは、前記締付装置の第一紐走行経路は、略直線である、前記締付装置の第二紐走行経路は、略直線である。本願において、前述スプールの第一紐走行経路によって、締付装置の第一紐走行経路の一部が構成され、同様に、前述スプールの第二紐走行経路によって、締付装置の第二紐走行経路の一部が構成される。
【0059】
好ましくは、前記第二底盤の底面に止めピンが設けられ、前記回転蓋に止め輪部材が設けられており、前記止め輪部材と前記止めピンとが協働して前記締付装置の止め位置切替機構を形成している。
【0060】
前記止め位置切替機構は、締付装置に少なくとも2つの止め位置を提供可能であり、ケースに対する回転蓋の軸方向移動により、2つの止め位置の切替が実現される。
【0061】
好ましくは、前記止めピンと前記スプールとは、一体成形して作製されている。
【0062】
好ましくは、前記止めピンは、軸筒の軸方向に沿って、前記第二底盤から離れた側に延在する。
【0063】
より好ましくは、本発明の一実施例によれば、前記止めピンは、弾性止めピンである。
【0064】
好ましくは、前記第二底盤の端面に噛合歯が設けられている。
【0065】
好ましくは、前記噛合歯は、前記止めピンを取り囲んで設けられている。
【0066】
好ましくは、前記止め輪部材と回転蓋とは、一体に作製されている。
【0067】
好ましくは、前記止め輪部材と回転蓋とは、個別に製造された後に互いに接続される。
【0068】
好ましくは、前記止め輪部材の中央は、中空柱であり、前記中空柱の側壁に止め輪が設けられている。止め位置の切替の際、ケースに対する回転蓋の軸方向移動の位置固定は、主に止めピンと止め輪との協働によって実現される。
【0069】
好ましくは、前記止め輪部材に噛合歯が更に設けられ、前記噛合歯は、前記中空柱を囲んで設けられており、前記噛合歯は、前記スプールの噛合歯と歯み合わせ可能である。
【0070】
好ましくは、前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含む。
【0071】
本願における止めピンは、スプールの第二底盤側に設けられているため、第一底盤側の内部空洞が空くようになって外部領域と連通して開口を形成可能となり、当該開口は、紐走行経路を観察するために使用可能であり、紐通しの正確率が向上される。これに対して、従来技術では、止めピンは、独立した部品として、軸筒の内部空洞の中央を貫通して位置決めするものになっているため、紐は、対向方向の紐通しができず、止めピンを迂回して同じ側の紐走行しかできなくなり、更に、止めピンの遮蔽により、軸筒の内部空洞内の紐走行状況を外部から観察することもできず、それに、紐については、紐通し用のチャネルによる同じ側の紐走行への強制的な介入により、紐通しの漏れ、紐通しの誤りの事態がよく発生する。その一方で、本願におけるスプール構造によれば、紐通しの漏れ又は紐通しの誤りの事態を最大限に回避できる。そして、スプールの第二底盤側に止めピンを設けることで、止めピンの取付工程が省かれており、スプールと止めピンとを一体構造として設けることにより、締付装置の小型化及び一体化により有利となる。第三に、本願における軸筒の内部空洞の空間が十分に大きく、紐を結んだ後の結び目を完全に収納できるため、紐の結び目により、他の部品の正常な動作に影響が与えられないのに対して、従来技術では、軸筒の内部空洞の中央を貫通した止めピンは、紐の結び目との間に接触及び摩擦する場合があり、スプールが回転時に大きな抵抗を受けてしまう。
【0072】
スプールには、通常、2つの紐通し孔が設計されており、2つの紐通し孔は、1本の紐の2つの自由端に対応するか、又は2本の紐の2つの自由端に対応し、当該設計によれば、紐を締めたときの締付装置全体のバランスにより有利となる。紐と締付装置のスプールとを結合するとき、対向方向の紐通し方式を用いており、対向方向の紐通し経路が短く、紐は、基本的に自然状態での慣性に従う走行となるため、ブラインドスレッディングの実現により有利となるとともに、2つの紐自由端が同時に紐通しされることで、より便利且つ迅速となる。
【0073】
好ましくは、本発明の一実施例によれば、前記スプール及び前記ケースは、ケースとのアライメント位置へのスプールの到達を指示するためのアライメント可能マークを含む。
【0074】
好ましくは、前記締付装置は、台座を更に含み、前記台座は、締付装置の他の部品とは独立して着用可能物品に装着される。
【0075】
好ましくは、前記台座は、内部空洞を含み、前記ケースは、前記台座の内部空洞内に装着される。
【0076】
好ましくは、前記スプールの第一底盤側は、前記台座に臨んでいる。本願において、紐を結んだ後の結び目は、軸筒の内部空洞内に隠れることができ、軸筒の内部空洞から第一底盤の端面までの深さが十分に深いため、紐の結び目が第一底盤の端面から突き出さず、その結果、結び目によりスプールの回転に影響が与えられない。これに対して、従来技術におけるガイド法面を利用して紐通しを行うとともに第一底盤の開口外で紐を結ぶスプール構造では、ガイド法面により、軸筒の内部空洞の深さ及び面積が減少されているため、紐を結んだ後の結び目が第一底盤の端面外に飛び出し易くなり、その結果、結び目がスプールと台座との間に引っ掛かってしまい、更に、スプールは、自由かつスムーズに回転できなくなる。
【0077】
好ましくは、前記台座は、装着フランジ及び止め壁を含み、前記止め壁は、前記装着フランジの表面に凸設されるとともに、周設されて前記台座の内部空洞を形成し、前記ケースの底部は、前記台座の内部空洞内に装着され、且つ前記ケースの第一出口及び第二出口の少なくとも一部は、前記台座の内部空洞外に露出される。
【0078】
本発明は更に、上記スプールを含む締付装置と紐との結合方法を提案することにあり、当該結合方法は、
締付装置の本体部分であって、内部領域を有するケースと、前記ケースに回転可能に接続された回転蓋と、前記ケースの内部領域内に回転可能に設けられた、紐の結合及び巻付用のスプールとを含み、前記スプールが、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されており、前記軸筒が、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置し、
前記ケースが、紐がケースの外部領域からケースの内部領域に進入するための第一入口、第二入口を有し、前記ケースが、紐がケースの内部領域からケースの外部領域に退出するための第一出口、第二出口を更に有し、且つ前記第一入口及び第一出口が、ケースの対向する側に位置し、前記第二入口及び第二出口が、ケースの対向する側に位置する本体部分を用意するステップS1と、
前記スプールを回転させて、スプールの前記第一紐通し孔がケースの前記第一入口にアライメントされ、スプールの前記第二紐通し孔がケースの前記第二入口にアライメントされ、スプールの前記第一紐引出孔がケースの前記第一出口にアライメントされ、スプールの前記第二紐引出孔がケースの前記第二出口にアライメントされるようにするステップS2と、
第一紐自由端及び第二紐自由端を含む紐であって、第一紐自由端が前記第一入口、第一紐通し孔を通ってから軸筒の内部空洞内に進入して第一紐走行経路に沿って前記第一紐引出孔に到達した後に前記第一出口からケースの外部領域に退出し、前記第二紐自由端が前記第二入口、第二紐通し孔を通ってから軸筒の内部空洞内に進入して第二紐走行経路に沿って前記第二紐引出孔に到達した後に前記第二出口からケースの外部領域に退出し、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とが分離して立体交差している紐を用意するステップS3と、
ケースの外部領域に退出した第一紐自由端、第二紐自由端を結ぶステップであって、結んだ後の紐自由端に尾部及び結び目が含まれるステップS4と、
紐を引き戻して、少なくとも紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻され、前記紐が前記締付装置の本体部分に結合されるようにするステップS5とを含む。
【0079】
好ましくは、ステップS5では、紐を引き戻して、紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるとともに、紐の尾部の末端が軸筒の外部領域又はケースの外部領域に位置するようにする。
【0080】
紐の尾部の末端が軸筒の外部領域に位置するとは、紐の尾部の末端がケースの内部領域に位置するとともに軸筒の外部領域に位置すること、つまり、紐の尾部の末端がスプールの溝内に位置することを指す。
【0081】
好ましくは、ステップS5では、紐を引き戻して、紐の結び目及び尾部の末端が何れも前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるようにする。
【0082】
現在の締付装置が対向方向の紐通しを用いていない理由として、従来のスプールでは、2つの紐通し孔が軸筒の同一軸方向高さにあり、もし2つの自由端は、同時に対向方向の紐通しがされると、同一平面にある紐通し経路が交差点で衝突してしまうため、一方の自由端についての紐通し、結び及び引き戻しを完了した後に、他方の自由端についての紐通しを行う必要があり、そうなると、紐通しの効率が大幅に低下し、更に、紐通し及び結びステップが分けられず、流れ作業を実現することもできず、ひいては、もし結び目が大きすぎる場合は、引き戻された結び目により、他方の自由端の紐通しが阻害されてしまう。本願では、対向方向の紐通し用の2つの経路が分離して立体交差するように巧妙に設けられているため、紐通し時に互いに影響せず、紐通しの正確率及び利便性が大幅に向上されるとともに、2本の紐間の相互衝突が効果的に回避され、更に、2つの紐自由端の紐通し及び結びステップを別々に行うことができ、紐通し工程の流れ作業の実現が容易となる。
【0083】
好ましくは、本発明の一実施例によれば、前記スプール及び前記ケースは、アライメント可能マークを含み、ステップS2では、ケースの内部領域にて前記スプールを回転させて、スプールのアライメントマークと前記ケースのアライメントマークとが揃われるようにすることで、スプールの前記第一紐通し孔がケースの前記第一入口にアライメントされ、スプールの前記第二紐通し孔がケースの前記第二入口にアライメントされ、スプールの前記第一紐引出孔がケースの前記第一出口にアライメントされ、スプールの前記第二紐引出孔がケースの前記第二出口にアライメントされる。
【0084】
好ましくは、前記締付装置は、台座を更に含み、前記台座は、締付装置の本体部分とは独立して着用可能物品に装着される。本願では、締付装置における台座以外の部品やアセンブリを「締付装置の本体部分」と呼び、締付装置の本体部分は、紐の締め及び緩め機能を実現するために使用され、台座の主な役割は、締付装置を着用可能物品に着脱可能に装着することである。したがって、締付装置は、台座を有していなくてもよいが、その締付機能を実現するための本体部分を有していなければならない。
【0085】
好ましくは、前記スプールを含む締付装置の取付方法は、内部空洞を含む台座を用意し、紐が結合された前記締付装置の本体部分を前記台座の内部空洞内に装着するステップS6を更に含む。
【0086】
さらに、前記スプールの第一底盤側を前記台座に臨ませ、ケースにおける回転蓋から離れた端を前記台座の内部空洞内に装着する。
【0087】
本願において、紐を結んだ後の結び目は、軸筒の内部空洞内に隠れるようになっており、軸筒の内部空洞から第一底盤の端面までの深さが十分に深いため、紐の結び目が第一底盤の端面から突き出さず、その結果、結び目によりスプールの回転に影響が与えられない。これに対して、従来技術におけるガイド法面を利用して第一底盤の開口外で紐を結ぶスプール構造では、ガイド法面により、軸筒の内部空洞の深さ及び面積が減少されているため、紐を結んだ後の結び目が第一底盤の端面外に飛び出してしまい、その結果、結び目がスプールと台座との間に引っ掛かり、更に、スプールは、自由かつスムーズに回転できなくなる。
【0088】
好ましくは、ステップS6では、台座は、装着フランジ及び止め壁を含み、前記止め壁は、前記装着フランジの表面に凸設されるとともに、周設されて前記台座の内部空洞を形成し、紐が結合された前記締付装置の本体部分を前記台座の内部空洞内に装着するとともに、前記ケースの第一出口及び第二出口の少なくとも一部を前記台座の内部空洞外に露出させる。
【0089】
好ましくは、紐の尾部の末端がケースの外部領域に残される場合、ステップS6は、紐を締める方向に沿って回転蓋を回転させて、スプールを締め方向に沿って回転させ、ケースの外部領域に位置する紐の尾部が前記スプールの溝内に巻き付けられるようにする。
【0090】
本願におけるケースの第一出口及び第二出口は、少なくとも一部が前記台座の内部空洞外に露出されるため、紐を引き戻した後、一部の紐の尾部がケースの外部領域に残されている場合でも、この一部の紐の尾部がスプールの回転に伴ってスプールの溝内に巻き付けられるようになり、ケースと台座の内部空洞との間に引っ掛かることで締付装置を正常に動作できなくなることがない。したがって、本願の紐と締付装置との結合では、紐を結ぶとき、確保されるの尾部について、それほど厳しく規制する必要がなく、紐の尾部は、紐の引き戻しに伴って軸筒の内部空洞内に収納されるような短いものであってもよいし、スプールの溝内に引き戻されるような長いものであってもよく、ケースの外部領域に残されるような長いものであっても、スプールを回転させることで、外に露出されている尾部をスプールの溝内に巻き付けて収納可能であり、締付装置の外観だけではなく、機能の実現にも影響を与えることがなく、更に、確保される尾部の長さの許容範囲が大きく、工具を使用せずに手で結びを遂行できるため、結び工程も比較的容易かつ迅速となり、作業者の技術レベル要件も大幅に緩和される。
【0091】
本発明の追加の態様及び利点については、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか、又は本発明の実施によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介するが、明らかなことに、以下で説明される図面は、あくまでも本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】ケースとスプールアセンブリの断面図、及び紐の紐通し経路図である。
図2】別のケースとスプールアセンブリの平面図、及び紐の紐通し経路図である。
図3】本発明によるスプールの実施例の構造模式図である。
図4図3に示すスプールの実施例の正面図である。
図5図4に示すスプール正面図におけるO-O方向に沿った断面図である。
図6図3に示すスプールと紐との結合過程の紐通し状態図である。
図7図6に示す紐通し状態の平面図である。
図8図3に示すスプールと紐との結合過程における紐結びの平面図である。
図9図3に示すスプールと紐とを結合した後の一実施例の平面図である。
図10図3に示すスプールと紐とを結合した後の別の実施例の平面図である。
図11図7に示す平面図におけるJ-Jに沿った断面図である。
図12図3に示すスプールの実施例の平面図である。
図13図12におけるK-K方向に沿った断面図である。
図14図3に示すスプールの実施例の反転後の斜視模式図である。
図15図14に示すスプールにおけるC-C方向に沿った断面図である。
図16】本発明によるスプールに基づく締付装置の分解構造図である。
図17図16に示す締付装置の組立後の背面構造模式図である。
図18図16に示す締付装置における回転蓋が反転された後の構造模式図である。
図19図16に示す締付装置におけるケースが反転された後の構造模式図である。
図20図16に示す締付装置における台座以外の部品組み合わせ構造と紐との結合過程における紐通し状態の平面図である。
図21図20に示す紐通し状態の正面図である。
図22図21におけるD-D方向に沿った断面図である。
図23図23は、16に示す締付装置における台座以外の部品組み合わせ構造と紐との結合過程における紐結びの平面図である。
図24図16に示す締付装置における台座以外の部品組み合わせ構造と紐とを結合した後の一実施例の平面図である。
図25図16に示す締付装置における台座以外の部品組み合わせ構造と紐とを結合した後の別の実施例の平面図である。
図26図16に示す締付装置における台座以外の部品組み合わせ構造と紐とを結合した後の更に別の実施例の平面図である。
図27】本発明によるスプールに基づく別の締付装置の分解構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本発明の目的の実現、機能的特徴及び利点は、実施例と併せて、図面を参照しながら更に説明される。
【0094】
以下、本発明の実施例を詳しく説明し、前記実施例が図面に例示的に示される。そのうち、終始同一又は類似の符号は、同一又は類似の要素や同一又は類似の機能を有する要素を示す。図面を参照して次に説明される実施例は、例示的なものであり、本発明を解釈するために使用されるが、本発明に対する制限としてりかいされてはいけない。本発明における実施例に基づき、当業者によって創造的な労働を払わずに得られた他の実施例は、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0095】
本願の説明において、理解されたいのは、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「周方向」、「径方向」等の用語によって指し示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にし、説明を簡素化するために使用されるが、示される装置又は要素が特定の方位を持たなければならず、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを指し示したり、暗示したりするものではないため、本発明に対する制限として理解されてはいけない。
【0096】
また、「第一」、「第二」という用語は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指し示したり、暗示したりするものではなく、指し示される技術的特徴の数量を暗黙的に示すものでもない。したがって、「第一」、「第二」によって限定された特徴は、当該特徴を1つ又はそれ以上明示的又は暗黙的に含み得る。本願の説明において、「複数」とは、明確な限定が別途にない限り、2つ又はそれ以上を意味する。
【0097】
本発明において、別途に規定や特段のない限り、「装着」、「繋ぐ」、「接続」、「固定」等の用語については、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定的な接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよい。又は、一体的な接続であってもよい。機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよい。直接的な接続であってもよいし、中間媒介を介した間接的な接続であってもよい。また、2つの要素の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0098】
本発明において、別途に規定や特段のない限り、第一特徴が第二特徴の「上」又は「下」にあることは、第一特徴と第二特徴とが直接接触することを含んでもよいし、第一特徴と第二特徴とが直接接触せずにそれらの間の別の特徴を介して接触することを含んでもよい。更に、第一特徴が第二特徴「の上」、第二特徴の「上方」及び第二特徴の「上の方」にあることは、第一特徴が第二特徴の真上及び斜め上方にあることを含むか、又は第一特徴の水平高さが第二特徴よりも高いことだけを示す。第一特徴が第二特徴「の下」、第二特徴の「下方」及び第二特徴の「下の方」にあることは、第一特徴が第二特徴の真下及び斜め下方にあることを含むか、又は第一特徴の水平高さが第二特徴よりも小さいことだけを示す。
【0099】
図1を参照して、現在広く用いられているスプールの一種としてのスプール1310の内部には、第一チャネル1316及び第二チャネル1314が形成されており、スプール1310と紐との結合方式としては、紐1360が第一チャネル1316及び第二チャネル1314を順次に通過し、出口1324から退出する。しかし、このようなスプールの紐通し方式には、下記の欠点がある。
1つ目は、紐紐通しの漏れの事態が発生し易い。図1に示すように、紐1370の自由端が第一チャネル1316及び第二チャネル1314を通過しておらず、第一チャネル1316及び第二チャネル1314が紐を案内することで、紐の自然状態及び慣性での走行が変えられており、紐が強制的に偏向されて所定経路に従って走行した結果、紐は、所定経路に従って走行せずにケース入口1322から進入してからそのままスプール1310の環状溝(破線部分で示す)を通った後にケース出口1324から退出することがあり、このような紐通し方式では、紐1370とスプール1310との結合が実現されていない。更に、このような間違った紐通し方式は、肉眼で観察されることが困難であり、止めピンがスプールの内部空洞の中央に貫通して装着されているため、スプールの内部空洞内の紐走行状況を肉眼で視認できない。
【0100】
2つ目は、このようなスプールの内部に第一チャネル及び第二チャネルを形成するためには、スプールの内部空洞が十分に大きいことを求められる。スプールの内部空間が大きくなると、その分、軸筒の外径が増大してしまい、その結果、環状溝の収納空間が比較的小さくなり、紐巻取容量が低くなる。
【0101】
3つ目は、当該締付機構のケース出口1324が台座部材の内部空洞内に装着されており(図1に示されていない)、且つ台座部材の止め壁とケース出口との間の隙間が非常に小さいため、紐を結んだ時に確保された尾部が長すぎると、尾部は、ケース出口の外部領域に残されることになり、ケースが台座部材の内部空洞内に装着されたとき、当該露出されている尾部が台座部材とケースとの間に引っ掛かってしまい、その結果、スプールが回転できなくなり、締付装置が正常に動作できない。したがって、当該従来技術では、締付装置の紐通しの際、紐の結びについて、高い要件が求められ、結んだ後の紐の尾部が十分に短いことを求められ、結びは、手作業で実現され難く、工具を介して遂行する必要があるため、紐結び工程の難易度が高くなる。
【0102】
図2を参照して、別のスプールと紐との結合過程としては、スプールの軸筒の一方側にガイド法面SLが設けられ、当該一方側の底盤に紐出口Eが開設されており、紐が軸筒の内部空洞を通ってガイド法面で案内され、紐出口Eからスプールの外部領域に退出し、スプールの外部領域で紐の末端を結んだ後に紐を引き戻すと、結び目Tが軸筒の内部空洞内に戻される。しかし、実際の応用では、結び目Tが軸筒内に固定できずにスプールの外部領域に飛び出す場合、又は、結び目Tの尾部が、紐出口Eの外に露出されるような長いものである場合、締付装置の台座と残りの部品が取り付けられた後、露出されている結び目T又はその尾部は、台座とスプールとの間に引っ掛かってしまい、その結果、スプールは、自由に回転できなくなる。
【0103】
このような問題の原因としては、スプールの紐通し孔Hが結び目Tをできず、結び目Tが軸筒の内部空洞内で運動でき、また、ガイド法面SLの存在により、軸筒の内部空洞が小さくなり、それに、軸筒の内部空洞の底部から紐出口Eまでの深さが比較的浅く、結び目Tがガイド法面SLに沿って紐出口Eの外面まで摺動し易く、更に台座とスプールとの間に引っかかってスプールの回転が妨害されることにある。
【0104】
上記問題を解決するために、本発明は、新規なスプール構造、及び、スプールと紐との結合方法を提供している。以下、図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。
【0105】
実施例1
図3を参照して、本発明の実施例による紐の結合及び巻付用のスプール1は、軸筒10と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤11及び第二底盤12とを含み、第一底盤11及び第二底盤12は、互いに平行であり、且つ軸筒10に対して径方向外方に延在し、第一底盤11と第二底盤12との間の軸筒10の外部領域には、紐の巻付用の溝13が形成されている。
【0106】
図3図5に示すように、軸筒10は、内部空洞100を有し、軸筒10の側壁には、第一紐通し孔101、第二紐通し孔102、第一紐引出孔103及び第二紐引出孔104が開設されており、そのうち、軸筒10の対称面Sを基準面として、第一紐通し孔101及び第一紐引出孔103は、軸筒10の対向する側(即ち基準面Sの両側)に位置し、第二紐通し孔102及び第二紐引出孔104も、軸筒10の対向する側に位置する。さらに、図4及び図5に示すように、第一紐通し孔101及び第二紐通し孔102は、軸筒の異なる軸方向高さに設けられ、且つ2つの紐通し孔101、102の中心間の軸方向高さの差はdであり、さらに、第一紐通し孔101の中心軸線S1及び第一紐引出孔103の中心軸線S2は、第一底盤11の位置する平面での投影線が互いに平行であることにより、対向方向の紐通しが可能となり、それに、紐の第一自由端L1及び第二自由端L2が同時に紐通しされても、第一紐走行経路R1及び第二紐走行経路R2は、空間的に互いに衝突することなく自由な紐走行が可能であり、図6及び図11に示すような分離して立体交差する状態を表している。第一紐通し孔101及び第二紐通し孔102は、ホーン状構造をなし、紐通し孔101、102の退出端Exの寸法が進入端Enの寸法よりも小さい。
【0107】
図6図11を参照して、紐と当該スプールとの結合方法は、以下のステップS1~S4を含む。
S1、スプールを図3に示す方向に従ってセットし、即ち第一底盤11が上にされ、第一紐通し孔101及び第二紐通し孔102が正面に向けられ、第一紐引出孔102及び第二紐引出孔104が背面に位置されるようにセットする。
S2、紐を用意し、図6図7に示すように、当該紐は、第一紐自由端L1及び第二紐自由端L2を含み、第一紐自由端L1が第一紐通し孔101を通って軸筒10の内部空洞100に進入してから第一紐走行経路R1に沿って第一紐引出孔103に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、第二紐自由端L2が第二紐通し孔102を通って軸筒10の内部空洞100に進入してから第二紐走行経路R2に沿って第二紐引出孔104に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、第一紐走行経路R1と第二紐走行経路R2とが分離して立体交差しており、図11に示すように、紐の第二自由端L2と第一自由端L1との間には、紐走行経路R1、R2の空間的に交錯した箇所Cで僅かな距離差がある。勿論、他の実施例において、紐の第二自由端L2の下縁と第一自由端L1の上縁とが、空間的に交錯した箇所Cで距離ゼロの接触となるように設けられてもよい。
S3、図8を参照して、軸筒の外部領域に退出した第一紐自由端L1、第二紐自由端L2を結び、結んだ後の紐自由端に尾部T11、T21及び結び目T12、T22が含まれる。
S4、紐を引き戻して、少なくとも紐の結び目T12、T22が軸筒の内部空洞100内に引き戻されるようにすると、紐がスプール1に結合される。好ましくは、紐通し孔の退出端Exの寸法≦結び目T12、T22の寸法である。こうすれば、軸筒の内部空洞に引き戻された結び目T12、T22は、紐通し孔の退出端Exに引っかかることができ、紐の固定により有利となる。そのうち、ステップS4には、以下の2パターンがある。
S41、紐を引き戻して、図9に示すように、紐の結び目T12、T22が軸筒の内部空洞100内に引き戻されるが、紐の尾部T11、T21の末端が軸筒の外部領域に残されるようにする。
S42、紐を引き戻して、図10に示すように、紐の結び目T12、T22及び尾部T11、T21の末端が何れも軸筒の内部空洞100内に引き戻されるようにする。
【0108】
また、紐の第一端L1及び第二端L2について、それぞれ第一紐走行経路R1及び第二紐走行経路R2に沿って対向方向の紐通しを行うとき、理想状態としては、第一紐通し孔101の中心軸線が第一紐引出孔103の中心軸線と同一線上にあり、第二紐通し孔102の中心軸線が第二紐引出孔104の中心軸線と同一線上にあるように配置されることであり、このような構造では、紐通し孔と、対向方向の紐引出孔とが厳密的にアライメントされるが、第一紐引出孔及び第二紐引出孔も軸筒の異なる軸方向高さに位置することを求められ、当該構造は、加工成形時に比較的複雑となる。したがって、加工成形を容易にするためには、紐が第一紐通し孔101を経て軸筒の内部空洞内に進入した後に所定の直線経路に沿って第一紐引出孔103の孔空間に到達可能にし、紐が第二紐通し孔102を経て軸筒の内部空洞内に進入した後も所定の直線経路に沿って第二紐引出孔104の孔空間に到達可能にすればよく、ここでの「所定の直線経路」とは、対応する紐通し孔内での紐の走行方向を指す。このような構造は、スプールの紐引出孔とそれに対応する紐通し孔とのアライメント度合について、それほど厳しい要件を求められず、加工成形が容易となる。具体的に、図12図13における第一紐通し孔101、第二紐通し孔102、第一紐引出孔103(不図示)、第二紐引出孔104の上下左右関係を参照して、第一紐通し孔101の退出端Exの最上縁が第一紐引出孔103(不図示)の最上縁よりも高くなっておらず、その退出端Exの最下縁が第一紐引出孔103(不図示)の最下縁よりも低くなっておらず、第二紐通し孔102の退出端Exの最上縁が第二紐引出孔104の最上縁よりも高くなっておらず、その退出端Exの最下縁が第二紐引出孔104の最下縁よりも低くなっていなければ、第一紐通し孔101、第二紐通し孔102を経て軸筒10の内部空洞100内に進入した全ての紐が直線に沿って対向方向の紐引出孔の孔領域内に到達できることを満たせる。加工成形をより容易にするためには、紐引出孔103、104の寸法を2つの紐通し孔101、102の各々の寸法よりも大きくなるように設定することが好ましい。図13に示すように、本実施例では、2つの紐引出孔103、104の軸方向高さが溝13の軸方向高さに略等しくなるように設定されている。こうして、2つの紐通し孔の退出端Exの最上縁及び最下縁は、何れも紐引出孔の孔領域内に位置し、且つ成形がより容易となり、更に、紐引出孔103、104が十分に大きく設けられることで、紐を結んだ後の結び目は、軸筒の内部空洞内にスムーズに引き戻され易くなる。より好ましくは、図14及び図15に示すように、本実施例における2つの紐引出孔103、104は、軸筒10の対称面Sに関して対称に設けられ、即ち2つの紐引出孔は、大きさ及び形状が一致し、何れも角丸矩形である。
【0109】
さらに、図3に示すように、第一底盤11は、前記軸筒10の内部空洞100に連通している開口110を含む。これにより、内部空洞100の全体は、外部領域に開放される。好ましくは、紐とスプールとを結合するステップS2では、開口110を介して、軸筒の内部空洞100内での第一紐自由端L1及び第二紐自由端L2の紐走行状況を観察する。こうすれば、紐通しの正確率を向上させることができる。
【0110】
図14及び図15に示すように、第二底盤12の中心に円柱状の座ぐり溝120に開設され、座ぐり溝の底面に弾性止めピン123が設けられており、弾性止めピン123は、スプールの外部領域に延在し、第二底盤12の端面には、座ぐり溝120の外周を囲んで噛合歯122が設けられている。軸筒10の内部空洞の底面と座ぐり溝120の底面とが接している。
【0111】
図3を参照して、スプールには、アライメントマーク14が更に設けられており、アライメントマーク14は、矢印であることが好ましい。
【0112】
実施例2
本実施例は、実施例1に示すスプールに基づく締付装置を提供しており、図16に示すように、当該締付装置は、台座2、スプール1、ケース3、ラチェットリング4、回転蓋5及び化粧シート6を含み、そのうち、スプール1の構造が実施例1におけるスプール1と同じであり、化粧シート6が回転蓋5の表面に設けられており、スプール1と回転蓋5との接続方式、回転蓋5とケース3との接続方式、ラチェットリング4の構造及びそれとケース3との接続方式については、特許文献CN208993976Uの内容を参照可能である。
【0113】
図18に示すように、回転蓋5には、止め輪部材51が更に一体成形されており、止め輪部材51がスプール1の弾性止めピン123と協働して締付装置の止め位置切替機構を形成しており、止め輪部材51の中央は、中空柱であり、中空柱の内壁に止め輪511が設けられており、止め輪511がスプール1の弾性止めピン123と協働して締付装置の止め位置切替機能を実現している。止め輪部材51には、中空柱を囲むように、噛合歯122に対応する噛合歯512も1周設けられており、回転蓋5とスプール1との噛合歯を介した歯み合わせにより、分離可能な接続が実現され、噛合歯が歯み合わせられると、回転蓋5の回転により、スプール1を回転させることが可能となる。
【0114】
さらに、図19を参照して、ケース3は、内部領域Iを有し、スプール1は、当該内部領域I内に回転可能に設けられている。ケース3は、紐がケース3の外部領域Oから内部領域Iに進入するための、対向して設けられた2つの第一入口31、第二入口32を含み、第一入口31及び第二入口32は、何れもラグ構造であり、且つ対称に設けられており、ケース3は、紐がケース3の内部領域Iからケースの外部領域Oに退出するための第一出口33、第二出口34を更に有している。そのうち、図19に示すように、ケース3の対称面SSを基準面として、第一入口31及び第一出口33は、ケースの対向する側(即ち基準面SSの両側)に位置し、第二入口32及び第二出口34は、ケースの対向する側に位置する。ケース3には、ケース3とスプール1とのアライメント位置を指示するために、スプール1のアライメントマーク14と協働して使用されるアライメントマーク35が更に設けられている。
【0115】
本実施例に係る締付装置与紐の結合方法は、以下のステップS1~S6を含む。
S1、締付装置の本体部分を組み立てるステップであり、ケース3、ラチェットリング4及び回転蓋5を前述した内容で言及された方式で互いに組み立てた後、組み立てられたアセンブリを反転させ、図20に示す方式でケース3をその底面が上向きになるようにセットしてから、スプール1をケース3の内部領域I内に装着する。
S2、スプール1を回転させて、アライメントマーク14とケースのアライメントマーク35とが揃われるようにすることで、図20~22に示すように、スプールの第一紐通し孔101がケースの前記第一入口31にアライメントされ、スプールの第二紐通し孔102がケースの第二入口32にアライメントされ、スプールの第一紐引出孔103がケースの第一出口33にアライメントされ、スプールの第二紐引出孔104がケースの第二出口34にアライメントされる。
S3、紐を用意し、当該紐は、第一紐自由端L1及び第二紐自由端L2を含み、図22に示すように、第一紐自由端L1が第一入口31、第一紐通し孔101を通ってから軸筒10の内部空洞100内に進入して第一紐走行経路R1に沿って第一紐引出孔103に到達した後に第一出口33からケースの外部領域Oに退出し、第二紐自由端L2が第二入口32、第二紐通し孔102を通ってから軸筒10の内部空洞内に進入して第二紐走行経路R2に沿って第二紐引出孔104に到達した後に第二出口34からケースの外部領域Oに退出し、第一紐走行経路R1と第二紐走行経路R2とが分離して立体交差している。
S4、図23を参照して、ケースの外部領域Oに退出した第一紐自由端L1、第二紐自由端L2を結び、結んだ後の紐自由端に尾部T11、T21及び結び目T12、T22が含まれる。
S5、図24図26を参照して、紐を引き戻して、少なくとも紐の結び目T12、T22が前記軸筒の内部空洞100内に引き戻され、前記紐が締付装置の本体部分に結合されるようにする。そのうち、ステップS5には、以下の3パターンが含まれる。
S51、図24を参照して、紐を引き戻して、紐の結び目T12、T22が軸筒の内部空洞100内に引き戻されるとともに、紐の尾部T11、T21の末端がケースの外部領域に位置するようにする。
S52、図25を参照して、紐を引き戻して、紐の結び目T12、T22が軸筒の内部空洞100内に引き戻されるとともに、紐の尾部T11、T21の末端がケースの内部領域に位置し且つ軸筒の外部領域に位置し、つまり、紐の尾部T11、T21の末端がスプールの溝内に位置するようにする。
S53、図26を参照して、紐を引き戻して、紐の結び目T12、T22及び尾部T11、T21の末端が何れも軸筒の内部空洞100内に引き戻されるようにする。
S6、紐が結合された締付装置の本体部分を反転させてから、当該本体部分を台座2の内部空洞内に装着し、具体的に、図16を参照して、台座2は、装着フランジ21及び止め壁22を含み、止め壁22は、装着フランジ21の表面に凸設されるとともに、周設されて台座2の内部空洞20を形成し、紐が結合されたスプール1の第一底盤側を台座2に臨ませ、ケース3における回転蓋から離れた端を台座2の内部空洞20内に装着すると、締付装置全体の取付が完了する。
【0116】
組立後の締付装置の背面構造では、図17に示すように、ケース3の第一出口33及び第二出口34は、少なくとも一部が台座の内部空洞外に露出され、且つ止め壁22よりも高くなっている。台座2の他の構造及びそれとケース3との接続方式については、実用新案CN217524127Uを参照可能である。台座2は、予め締付すべき物品に固定されておき、締付装置の本体部分は、紐が結合された後に台座の内部空洞内に装着されるようにしてもよい。台座2は、靴のアッパー、シュータン、ヒール、衣服や帽子又は鞄に固設可能である。また、ケース3の第一出口33及び第二出口34は、少なくとも一部が台座の内部空洞外に露出され、且つ止め壁22よりも高くなっているため、先に締付装置の本体部分を台座2の内部空洞内に固定した場合でも、紐と締付装置との結合が実現できる。このような構造は、締付装置を解体しない場合の紐の交換の実現に有利である。
【0117】
本実施例では、ケース3の入口31、32の軸方向高さが比較的大きいため、スプール1の第一紐通し孔101の少なくとも一部がケース3の第一入口31の開孔領域内に位置し、スプール1の第二紐通し孔102の少なくとも一部がケース3の第二入口32の開孔領域内に位置している。これにより、ケース3及びスプール1がアライメント位置にあるとき、対向方向の紐通しが可能となる。
【0118】
回転蓋を押圧すると、締付装置が第一止め位置となり、回転蓋とスプールとが接続され、紐を締める方向に沿って回転蓋を回転させると、スプールが締め方向に回転され、紐の尾部の末端がケースの外部領域に位置していても、スプールの回転に伴い、外に露出されている紐の尾部がスプールの溝内に巻き付けられると同時に、紐もスプールの溝内に巻き取られるようになり、回転蓋を引き抜くと、締付装置が第二止め位置となり、このとき、回転蓋とスプールとの歯み合わせが離脱され、スプールが自由に回転可能となり、紐を引っ張ることで、紐の緩めを実現できる。
【0119】
本実施例における紐の第一紐自由端L1、第二紐自由端L2は、1本の紐からの2つの自由端であってもよいし、2本の紐からの2つの自由端であってもよい。具体的には、第一紐自由端L1は第一紐の自由端であり、第二紐自由端L2は第二紐の自由端である。
【0120】
本実施例では、現在一般的に使用されているパウル-ラチェットをバックストップ機構として用いているが、凹溝-伸縮可能スイングアーム-斜め止めブロックをバックストップ機構として用いてもよく、図27に示すように、伸縮可能スイングアーム4’が係止構造を介してケース3に固設され、斜め止めブロック36がケース3に一体成形して設けられており、具体的に、伸縮可能スイングアーム-斜め止めブロックの構造及びそのバックストップメカニズムについては、実用新案CN216723374Uを参照可能である。また、図27に示す締付装置は、図16に示す締付装置に比べて、以下の相違点もあり、即ち、止め輪部材51’と回転蓋とが個別に製造された後、係止構造を介して大概に接続され、止め輪部材51’も止め輪及び噛合歯を含み、噛合歯を介してスプールと回転蓋との分離可能な接続が実現される。
【0121】
他の実施例において、バックストップ機構としては、実用新案CN216256587Uにおける凹溝-ピンロッド弾性アセンブリ-ズレ防止部材を用いてもよいし、特許CN215837385におけるスイングアーム-凹溝-止めブロック構造を用いてもよく、つまり、当該スプール構造は、弾性止めピンを止め位置切替機構として用いた全ての締付装置に適用可能である。
【0122】
本実施例において、締め付けられる物品は、履物、衣服や帽子及び鞄であってもよいし、様々な袋体等であってもよく、当該締め付けられる物品は、上記の締付装置を用いて紐を締めて開口が閉塞され、そして、上記の締付装置を用いた場合、上記紐締め装置の全ての技術的効果を実現できるが、ここで一々繰り返して述べない。
【0123】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の参照用語の表現は、当該実施例又は例と併せて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも一実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を対象とする必要がない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、何れか1つ又は複数の実施例又は例において適切な形で組み合せられてもよい。また、相互に矛盾しない場合、当業者は、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び、異なる実施例又は例における特徴を統合させたり、組み合わせたりすることが可能である。
【0124】
上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、それによって本発明の特許請求の範囲を制限するものではおらず、本発明の発明構想の元で、本発明の明細書及び図面の内容を利用してなされた等価な構造変換、又は他の関連技術分野への直接/間接的な運用は、全て本発明の特許保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0125】
1、スプール;10、軸筒;100、軸筒の内部空洞;11、第一底盤;110、開口;12、第二底盤;120、座ぐり溝;122、噛合歯;123、弾性止めピン;13、溝;14、アライメントマーク;101、102、第一紐通し孔、第二紐通し孔;103、104、第一紐引出孔、第二紐引出孔;2、台座;21、装着フランジ;22、止め壁;20、台座の内部空洞;3、ケース;31、32、第一入口、第二入口;33、34、第一出口、第二出口;35、アライメントマーク;36、斜め止めブロック;4、ラチェットリング;4’、伸縮可能スイングアーム;5、5’、回転蓋;51、51’、止め輪部材;511、止め輪;512、噛合歯;R1、第一紐走行経路;R2、第二紐走行経路;T11、T21、紐の尾部;T12、T22、紐の結び目。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐の結合及び巻付用のスプールであって、前記スプールは、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されているスプールにおいて、
前記軸筒は、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、
第一紐通し孔と、軸筒の内部空洞と、第一紐引出孔とによって第一紐走行経路が構成され、第二紐通し孔と、軸筒の内部空洞と、第二紐引出孔とによって第二紐走行経路が構成され、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とは、分離して立体交差しており、
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心は、軸筒の異なる軸方向高さに位置し、
前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含み、
前記第一底盤の前記開口と前記前記軸筒の前記内部空洞を介して、前記第一紐走行経路または前記第二紐走行経路を通過する前記紐をを外部から視認可能である
ことを特徴とするスプール。
【請求項2】
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、進入端及び退出端を含み、前記退出端の寸法は、進入端の寸法よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項3】
前記第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、何れも前記第一底盤又は第二底盤に平行である、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項4】
前記第一紐走行経路及び第二紐走行経路は、何れも対向方向の紐走行経路である、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項5】
前記第一紐引出孔の寸法は、前記第一紐通し孔の寸法よりも大きく、前記第二紐引出孔の寸法は、前記第二紐通し孔の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のスプール。
【請求項6】
スプールを含む締付装置であって、
内部領域を有するケースと、
前記ケースに回転可能に接続された回転蓋と、
前記ケースの内部領域内に回転可能に設けられた、紐の結合及び巻付用のスプールとを含み、前記スプールは、軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されている締付装置において、
前記ケースは、紐がケースの外部領域からケースの内部領域に進入するための第一入口、第二入口を有し、前記ケースは、紐がケースの内部領域からケースの外部領域に退出するための第一出口、第二出口を更に有し、且つ前記第一入口及び第一出口は、ケースの対向する側に位置し、前記第二入口及び第二出口は、ケースの対向する側に位置し、
前記軸筒は、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔は、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔も、軸筒の対向する側に位置し、
前記スプールが回転されて前記ケースとスプールとのアライメント位置に到達すると、前記ケースの第一入口、前記スプールの第一紐通し孔、軸筒の内部空洞、前記スプールの第一紐引出孔、前記ケースの第一出口によって、締付装置の第一紐走行経路が構成され、前記ケースの第二入口、前記スプールの第二紐通し孔、軸筒の内部空洞、前記スプールの第二紐引出孔、前記ケースの第二出口によって、締付装置の第二紐走行経路が構成され、前記締付装置の第一紐走行経路と締付装置の第二紐走行経路とは、分離して立体交差し、
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心は、軸筒の異なる軸方向高さに位置し、
前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含み、
前記第一底盤の前記開口と前記前記軸筒の前記内部空洞を介して、前記第一紐走行経路または前記第二紐走行経路を通過する前記紐をを外部から視認可能である
ことを特徴とする締付装置。
【請求項7】
前記スプールの第一紐引出孔と第二紐引出孔とは、対称に設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の締付装置。
【請求項8】
前記スプールの第二底盤の端面に止めピンが更に設けられ、前記回転蓋に止め輪部材が設けられており、前記止め輪部材と回転蓋とは、一体に作製されるか、又は個別に製造された後に互いに接続され、前記止め輪部材と前記止めピンとが協働して前記締付装置の止め位置切替機構を形成している、ことを特徴とする請求項に記載の締付装置。
【請求項9】
前記スプール及び前記ケースは、スプールの前記第一紐通し孔とケースの前記第一入口とのアライメント、スプールの前記第二紐通し孔とケースの前記第二入口とのアライメント、スプールの前記第一紐引出孔とケースの前記第一出口とのアライメント、スプールの前記第二紐引出孔とケースの前記第二出口とのアライメントを指示するためのアライメント可能マークを含む、ことを特徴とする請求項に記載の締付装置。
【請求項10】
前記締付装置は、台座を更に含み、前記台座は、締付装置の他の部品とは独立して着用可能物品に装着される、ことを特徴とする請求項に記載の締付装置。
【請求項11】
前記台座は、内部空洞を含み、前記ケースの底部は、前記台座の内部空洞内に装着され、且つ前記ケースの第一出口及び第二出口の少なくとも一部は、前記台座の内部空洞外に露出される、ことを特徴とする請求項10に記載の締付装置。
【請求項12】
スプールと紐との結合方法であって、
軸筒と、軸筒の対向する端に位置する第一底盤及び第二底盤とを含み、前記第一底盤と第二底盤との間の軸筒の外部領域には、紐の巻付用の溝が形成されているスプールであって、前記軸筒が、内部空洞を有し、前記軸筒の側壁には、第一紐通し孔、第二紐通し孔、第一紐引出孔及び第二紐引出孔が開設されており、且つ前記第一紐通し孔及び第一紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置し、前記第二紐通し孔及び第二紐引出孔が、軸筒の対向する側に位置するスプールを用意するステップS1と、
第一紐自由端及び第二紐自由端を含む紐であって、第一紐自由端が前記第一紐通し孔を通って軸筒の内部空洞に進入してから第一紐走行経路に沿って前記第一紐引出孔に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、第二紐自由端が前記第二紐通し孔を通って軸筒の内部空洞に進入してから第二紐走行経路に沿って前記第二紐引出孔に到達した後に軸筒の外部領域に退出し、前記第一紐走行経路と第二紐走行経路とが分離して立体交差している紐を用意するステップS2と、
軸筒の外部領域に退出した第一紐自由端、第二紐自由端を結ぶステップであって、結んだ後の紐自由端に尾部及び結び目が含まれるステップS3と、
紐を引き戻して、少なくとも紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻され、前記紐が前記スプールに結合されるようにするステップS4とを含み、
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の中心は、軸筒の異なる軸方向高さに位置し、
前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含み、
前記第一底盤の前記開口と前記前記軸筒の前記内部空洞を介して、前記第一紐走行経路または前記第二紐走行経路を通過する前記紐をを外部から視認可能である
ことを特徴とするスプールと紐との結合方法。
【請求項13】
ステップS2における前記第一紐自由端及び第二紐自由端は、1本の紐からの2つの自由端又は2本の紐からの2つの自由端である、ことを特徴とする請求項12に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項14】
前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔は、進入端及び退出端を含み、前記退出端の寸法は、進入端の寸法よりも小さく、ステップS4では、紐の結び目が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の退出端に引っ掛かるまで紐を引き戻す、ことを特徴とする請求項12に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項15】
前記第一底盤は、前記軸筒の内部空洞に連通している開口を含み、ステップS2では、前記開口を介して、軸筒の内部空洞内での第一紐自由端、第二紐自由端の紐走行状況を観察する、ことを特徴とする請求項12に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項16】
ステップS4では、紐を引き戻して、紐の結び目が前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるとともに紐の尾部の末端が軸筒の外部領域に残されるようにする、ことを特徴とする請求項12に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項17】
ステップS4では、紐を引き戻して、紐の結び目及び尾部の末端が何れも前記軸筒の内部空洞内に引き戻されるようにする、ことを特徴とする請求項12に記載のスプールと紐との結合方法。
【請求項18】
ステップS2では、第一紐自由端、第二紐自由端のうち、一方の紐自由端が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の最上方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入し、他方の紐自由端が前記第一紐通し孔及び第二紐通し孔の最下方に沿って通った後に軸筒の内部空洞に進入する、ことを特徴とする請求項12に記載のスプールと紐との結合方法。