(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008655
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】壁加飾用ユニットパネル、それを利用した壁加飾装置およびその施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
E04F13/08 G
E04F13/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110695
(22)【出願日】2022-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】522276471
【氏名又は名称】鹿内 浩樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】鹿 内 浩 樹
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA51
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB23
2E110AB27
2E110AB28
2E110BA04
2E110BA12
2E110BC01
2E110BD03
2E110CA03
2E110DA03
2E110DA12
2E110DC01
2E110DC21
2E110DC23
2E110DC31
2E110GB63X
(57)【要約】 (修正有)
【課題】日曜大工用品や文房具程度の日用品などを用い、誰でも簡単に、各人の理想どおりの壁に自由に改装できる新技術を提供する。
【解決手段】シート表面に加飾体結合域20が配され、該加飾体結合域20の外周囲に雌サネ裏帯域40を有し、同雌サネ裏帯域40の外周囲に雄サネ縁5が設けられ、シート裏面が装飾対象の壁WLに接合される接合壁22とされたベースシート2、および、三次元基体30の裏がわに裏結合域31が配され、該裏結合域31が当該ベースシート2の加飾体結合域20に結合され、同裏結合域31の外周囲に当該ベースシート2の雌サネ裏帯域40と対峙し雌サネ4をなす雌サネ表帯域41が設けられ、同三次元基体30の表がわに膨出装飾部32が設けられた立体加飾体3からなるものとされた壁加飾用ユニットパネル1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート表面に加飾体結合域が配され、該加飾体結合域の外周囲に雌サネ裏帯域を有し、同雌サネ裏帯域の外周囲に雄サネ縁が設けられ、シート裏面が装飾対象の壁に接合される接合壁とされたベースシート、および、三次元基体の裏がわに裏結合域が配され、該裏結合域が当該ベースシートの加飾体結合域に結合され、同裏結合域の外周囲に当該ベースシートの雌サネ裏帯域と対峙し雌サネをなす雌サネ表帯域が設けられ、同三次元基体の表がわに膨出装飾部が設けられた立体加飾体からなるものとされたことを特徴とする壁加飾用ユニットパネル。
【請求項2】
シート表面に加飾体結合域が配され、該加飾体結合域の外周囲に雌サネ裏帯域を有し、同雌サネ裏帯域の外周囲に雄サネ縁が設けられ、該雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線から、該雄サネ縁の幅寸法よりも狭い一定幅となる該雌サネ裏帯域内に目透かし雌サネ帯域が設定され、当該雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線から、該雄サネ縁の幅寸法よりも狭い一定幅外がわとなる該雄サネ縁内に目透かし帯域が設定され、シート裏面が装飾対象の壁に接合される接合壁とされたベースシート、および、三次元基体の裏がわに裏結合域が設けられ、該裏結合域が当該ベースシートの加飾体結合域に結合され、同裏結合域の外周囲に当該ベースシートの雌サネ裏帯域と対峙し雌サネをなす雌サネ表帯域が設けられ、同三次元基体の表がわに膨出装飾部が設けられた立体加飾体からなるものとされたことを特徴とする壁加飾用ユニットパネル。
【請求項3】
ベースシートおよび立体加飾体が切断容易な材質からなり、少なくともベースシートが吸湿性を有するものとされ、該ベースシートの雄サネ縁の外角の全てが鈍角か、または、円弧形かの少なくとも何れか一方の面取り形状とされ、しかも同雄サネ縁の外角の外縁が、雌サネ裏帯域よりも外がわから雄サネ縁の幅の範囲内に配されるか、または、目透かし帯域が設定されたものの場合には、該目透かし帯域よりも外がわから雄サネ縁の幅の範囲内に配されるかの何れか一方とされたクリアランス角が設けられた、請求項1または請求項2何れか一方記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項4】
ベースシートのシート表面の加飾体結合域の外がわであって、雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線上に、立体加飾体の固定位置を表示する位置決め表示が設けられてなる、請求項1ないし請求項3何れか一記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項5】
ベースシートのシート表面の、目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、目透かし配置とする場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端の挿し込み深さの目安となる目標表示が設けられた、請求項2を選択した請求項3または請求項2を選択した請求項4何れか一方記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項6】
ベースシートの目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、目透かし配置とされた場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端に係合し、同隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端を目透かし配置とする位置に規制するものとされた外向き舌片が起伏自在に設けられた、請求項2を選択した請求項3、請求項2を選択した請求項4または請求項2を選択した請求項5何れか一記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項7】
ベースシートの目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、外向き舌片がその輪郭形状に沿って打ち抜き形成されると共に、同外向き舌片の基部に噛合用孔が開口された上、当該ベースシートの雄サネ縁に、複数個の壁加飾用ユニットパネルが互いにマス目配列の目透かし配置とされた場合、または、千鳥配列の目透かし配置とされた場合の少なくとも何れか一の場合に、当該噛合用孔に対して噛合状に組み合わせられる外向き凹凸片が設けられた、請求項6記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項8】
立体加飾体の三次元基体が矩形状のものとされ、該三次元基体の少なくとも表がわの一部または全部の何れか一方が装飾用の皮膜で被覆されてなる、請求項1ないし請求項7何れか一記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項9】
立体加飾体の三次元基体の表面が平壁状のものとされ、該三次元基体の平壁状の表がわに、装飾層が貼着されてなる、請求項1ないし請求項8何れか一記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項10】
立体加飾体の三次元基体が、その表がわに埋設用の表凹欠部が設けられ、該表凹欠部に時計、写真、絵画または照明灯の少なくとも何れか一が埋設されてなるか、または、当該三次元基体それ自体が壁時計、額縁入りの写真、額縁入りの絵画またはランプシェードの少なくとも何れか一に置き換えられたものかの何れか一方とされた、請求項1ないし請求項9何れか一記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項11】
ベースシートの雌サネ裏帯域が、装飾対象の壁に対し貼着される場合に金具類が打ち込まれる結合代を兼ねるものとされた、請求項1ないし請求項10何れか一記載の壁加飾用ユニットパネル。
【請求項12】
複数個の壁加飾用ユニットパネルの互いの雄サネ縁と雌サネとが組み合わせられ、夫々のベースシートが装飾対象の壁に対し、互いの立体加飾体同士がマス目配列、千鳥配列、有織菱配列、目透し配列の少なくとも何れか一つに配置、結合されてなるものとされた、請求項1ないし請求項11何れか一記載の壁加飾用ユニットパネルを利用した壁加飾装置。
【請求項13】
壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する直線状の切り込みを刻設した後、同直線状の切り込みを境に、該立体加飾体の表がわをV字形の谷折りにした上、装飾対象の壁の入隅に沿って貼着するようにした、請求項12記載の壁加飾装置の施工方法。
【請求項14】
壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する平面視V字形となる範囲を切除した後、同平面視V字形の切除断面同士を接合し、該立体加飾体の表がわをV字形の山折りにした上、装飾対象の壁の出隅に沿って貼着するようにした、請求項12記載の壁加飾装置の施工方法。
【請求項15】
装飾対象の壁の壁加飾用ユニットパネルを貼着する範囲に立体加飾体に納まる輪郭寸法の壁面アクセス部が有る場合、該壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに貫通し、当該壁面アクセス部が納まる輪郭寸法および形状のアクセス口を開設し、当該壁面アクセス部が該アクセス口を通じて露出するよう配した上、該ベースシートを装飾対象の壁に沿って貼着するようにした、請求項12記載の壁加飾装置の施工方法。
【請求項16】
装飾対象の壁の壁加飾用ユニットパネルを貼着する範囲に立体加飾体に納まる外郭寸法の凸部が有る場合、該壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の肉厚中に達し、当該凸部が納まる内郭寸法および形状の裏凹欠部を刳り抜いた上、当該凸部が該裏凹欠部内に納まるよう配した上、該ベースシートを装飾対象の壁に沿って貼着するようにした、請求項12記載の壁加飾装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物の壁の装飾性、機能性および耐久性を高める建築技術、および、それに用いられる建築資材の技術に関連するものであり、特に、施工の対象となる壁の美観を高めるよう外装する建築資材を製造、提供し、さらに施工する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係って行う輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
かつて、我が国では、住宅の購入と言えば新築住宅または新築マンションの購入が主流とされてきたものの、昨今の建築資材や人件費を含む建築コストの高騰、および、長引く経済の低迷に加え、省エネやエコロジーといった地球環境に配慮した住生活への志向の変化などに伴い、中古住宅や中古マンションを購入し、リフォームやリノベーションを施すという選択が注目され始めている。
【0003】
また、永年住み続けている既存の住宅の場合にも、老朽のためだけでなく大雨や大地震の増加など度重なる自然災害に伴う壁の汚れや、変形、ひび割れなどが頻繁に発生するようになり、その度毎に、被災地では注文の殺到によってリフォーム業者の人手が足りなくなり、リフォーム業者自体が疲弊してしまい、さらには工期が延びてしまうといった悪循環が生じているのが現状である。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況の中、建築やリフォームの作業効率を高め工期を短縮し、より低コストにて施工可能となる技術の提案も、これまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、一方の化粧板に設けられた段部からなる表向き接合部と、他方の化粧板に設けられた突出し部分および切欠き部からなる裏向き接合部とによって両化粧板を接合し、下地に対して化粧板を連続的に固着した場合、両化粧板は前記段部と前記突出し部分との接触面で固着されると共に、他方の化粧板における接合側縁付近は下地から離れた状態となるから、下地の立て付け状態の良し悪しに拘わらず、化粧板同士の突き合わせ部分に段差を生じることなく綺麗に仕上げることができるものとされた化粧板の接合構造や、同特許文献1(2)に見られるような、複数のタイルが接着されている接着シートを壁材に貼り付け、従前まで使用していた仮止め用の釘に替えてスティプルを目地部に埋め込むようにして接着シートを通し壁材に打ち込み、次にスティプルを残したまま目地材を充填するようにし、従前までの仮止め用の釘の抜き取り作業を不要としたタイル貼り方法などが散見される。
【0005】
しかし、前記特許文献1(1)に示されているような化粧板の接合構造などは、柱部材および胴縁などの骨格部材に対し、複数枚の壁板を段差なく連続して固着する技術にあり、大掛かりなリフォームには有効なものであるが、壁紙の張り替えや簡単な模様替えなどには適さないものであり、また、後者特許文献1(2)のタイル貼り方法に示されたものなどは、タッカーによるスティプルの打ち込みや、タイルの隙間に目地を埋め込む作業など、専用の工具や左官の技術などを要するため熟練を要し、作業者によって仕上がりの品質に大きな差が生じることが懸念されるものであった。
【特許文献1】(1)特開平4-7452号公報 (2)特開平4-238955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種壁材の施工技術は、何れも専門的技術を有する建築業者やリフォーム業者などが、専用の工具類を用いて施工することを前提に開発された技術であるが、本願出願人が、永年に亘る大工および家具職人として日々接する関連業者や様々な顧客のニーズなどから得られた情報によると、近年は、趣味とリフォーム費用の節約とを兼ねて建築主自らがセルフリフォームし、壁の汚れやひび割れなどを修繕、改装することも多くなってきており、こうした市場のニーズの変化を鑑みると、今後は、専門的な技術を持たない作業者、および、DIY(Do it yourself、以降省略する)に興味が少ない施工者などにも、リフォーム業者と遜色ない施工仕上がりを簡単に達成できる上、賃貸アパート等のように契約の関係上、本格的な改装が困難な建築物であっても、より入居者の好みに応じた自由度の高いインテリアのコーディネートを実現化できる新技術の開発が必要になるとの着想に至った。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、本願出願人の永年の経験から培った建築現場および建築資材の知識と経験に基づき、専用の工具類の使用や、熟練の技術を要さずとも日曜大工用品や文房具程度の日用品などを用いて誰でも簡単に、且つ各人の理想どおりの壁に自由に改装できる新技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘って試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の壁加飾用ユニットパネル、それを利用した新規な壁加飾装置およびその新規な施工方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の壁加飾用ユニットパネルは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、シート表面に加飾体結合域が配され、該加飾体結合域の外周囲に雌サネ裏帯域を有し、同雌サネ裏帯域の外周囲に雄サネ縁が設けられ、シート裏面が装飾対象の壁に接合される接合壁とされたベースシート、および、三次元基体の裏がわに裏結合域が配され、該裏結合域が当該ベースシートの加飾体結合域に結合され、同裏結合域の外周囲に当該ベースシートの雌サネ裏帯域と対峙し雌サネをなす雌サネ表帯域が設けられ、同三次元基体の表がわに膨出装飾部が設けられた立体加飾体からなるものとされた構成を要旨とする壁加飾用ユニットパネルである。
【0009】
この基本的な構成からなる壁加飾用ユニットパネルは、その表現を変えて示すならば、シート表面に加飾体結合域が配され、該加飾体結合域の外周囲に雌サネ裏帯域を有し、同雌サネ裏帯域の外周囲に雄サネ縁が設けられ、該雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線から、該雄サネ縁の幅寸法よりも狭い一定幅となる該雌サネ裏帯域内に目透かし雌サネ帯域が設定され、当該雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線から、該雄サネ縁の幅寸法よりも狭い一定幅外がわとなる該雄サネ縁内に目透かし帯域が設定され、シート裏面が装飾対象の壁に接合される接合壁とされたベースシート、および、三次元基体の裏がわに裏結合域が設けられ、該裏結合域が当該ベースシートの加飾体結合域に結合され、同裏結合域の外周囲に当該ベースシートの雌サネ裏帯域と対峙し雌サネをなす雌サネ表帯域が設けられ、同三次元基体の表がわに膨出装飾部が設けられた立体加飾体からなるものとされた構成からなる壁加飾用ユニットパネルとなる。
【0010】
(関連する発明1)
上記した壁加飾用ユニットパネルに関連し、この発明には、それを利用した壁加飾装置を包含している。
即ち、複数個の壁加飾用ユニットパネルの互いの雄サネ縁と雌サネとが組み合わせられ、夫々のベースシートが装飾対象の壁に対し、互いの立体加飾体同士がマス目配列、千鳥配列、有織菱配列、目透し配列の少なくとも何れか一つに配置、結合されてなるものとされた、この発明の基本をなす前記何れか一記載の壁加飾用ユニットパネルを利用した壁加飾装置である。
【0011】
(関連する発明2)
上記した壁加飾用ユニットパネルに関連し、この発明には、壁加飾装置の施工方法も包含している。
即ち、壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する直線状の切り込みを刻設した後、同直線状の切り込みを境に、該立体加飾体の表がわをV字形の谷折りにした上、装飾対象の壁の入隅に沿って貼着するようにした、この発明の前記壁加飾装置の施工方法である。
【0012】
この発明の壁加飾装置の施工方法は、その表現を変えて示すと、壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する平面視V字形となる範囲を切除した後、同平面視V字形の切除断面同士を接合し、該立体加飾体の表がわをV字形の山折りにした上、装飾対象の壁の出隅に沿って貼着するようにした、この発明の前記壁加飾装置の施工方法となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の壁加飾用ユニットパネルによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、通常のクロスの張り替え作業や塗装作業などのように熟練の技術や専用の工具類などを必要とせずとも、誰でも簡単且つ短時間の中に、美観に優れた壁面装飾を施すことができる上、加工性に優れているから立体加飾体の形や色を簡単且つ自由に変えることができ、従前までならば建築業者やリフォーム業者などに依頼しなければ実現化するのが困難とされてきたような、既製品にさらに装飾を加えなければ達成出来ない、より個性的な壁面装飾を安全且つ低コストにて実現化し、DIYに興味の無い作業者であっても好みに応じた壁面装飾のコーディネートを自由に楽しむことができる上、例えば、賃貸アパートのように契約上の理由などから、壁の凹凸を削除するような改装や壁紙の変更などが不可能な建築物であっても、既存の壁に簡単に施工し得る上、当該壁加飾用ユニットパネルが老朽化や汚損した場合には簡便に交換することができ、しかも不要となった場合にも簡単に撤去可能であるから、気軽に安心して施工することができるという秀でた特徴が得られるものである。
【0014】
加えて、ベースシートの雄サネ縁を、隣接配置された壁加飾用ユニットパネルの雌サネに挿し込むように組み合わせ、粘着テープやビス、スティプルなどによる取付けによって装飾対象の壁に結合するだけで、簡単且つ確実に設置することができるから、作業を格段に効率化する上、設置後の美的外観に優れ、充分な耐久性も得られるから長期の利用に耐えるものとなり、しかも立体加飾体に壁面装飾として充分な厚みを有するから、老朽化やDIY修繕などによる装飾対象の壁の凹凸を隠し、優れた装飾効果を達成できるものとなる。
【0015】
さらに、ベースシートの雄サネ縁が、立体加飾体の周囲に延出されているから、周囲の何れのがわに配された壁加飾用ユニットパネルの雌サネにも挿し込むことが可能であり、隣接する何れの壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁が表面がわに配されるか、または、裏面がわに配されるかに関わらず、自由に組み合わせ設置することができる上、ベースシートの雄サネ縁の外角の全てがクリアランス角とされた壁加飾用ユニットパネルによれば、ベースシートの雄サネ縁の外角(クリアランス角)が、隣接して配された壁加飾用ユニットパネルの雌サネに対し、何れの周囲方向から挿し込まれても不要な干渉が発生せず、円滑に組み込み作業を進めることができる。
そして、ベースシートに目透かし雌サネ帯域および目透かし帯域が設定された壁加飾用ユニットパネルによれば、隣接して配設された各壁加飾用ユニットパネル同士の間に一定幅のベースシートが露出する目透かし配置とされた壁加飾装置を完成することができるものとなり、より幅広い装飾のバリエーションを提供できるものになる。
【0016】
ベースシートのシート表面に、立体加飾体の固定位置を表示する位置決め表示が設けられてなる壁加飾用ユニットパネルは、ベースシートに立体加飾体を貼着する製造工程における位置決めが容易且つ正確に行えるから、生産効率を高めると共に、品質の安定化を実現化するものとなる。また、ベースシートのシート表面に、目透かし配置とする場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端の挿し込み深さの目安となる目標表示が設けられた壁加飾用ユニットパネルによれば、目透かし配置とする場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルとの間の目透かし帯域の幅を一定に設定する施工が格段に容易になり、目透かし配列の施工効率を大幅に高めると共に、未経験者であっても高品質の施工仕上がりを達成できるものとなる。
【0017】
さらに、ベースシートの目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、外向き舌片が起伏自在に設けられた壁加飾用ユニットパネルによれば、目透かし配置とされた場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端に当該外向き舌片が係合し、同隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端を目透かし配置とする位置に規制するものとなり、雄サネ縁の先端に当該外向き舌片が係合する位置まで、挿し込む作業を行うだけで正確な位置決めが行えるから、より正確な目透かし配列を実現すると共に、より効率的に施工できるものとなる。
【0018】
加えて、ベースシートの目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、外向き舌片がその輪郭形状に沿って打ち抜き形成されると共に、同外向き舌片の基部に噛合用孔が開口された上、当該ベースシートの雄サネ縁に、複数個の壁加飾用ユニットパネルが互いにマス目配列の目透かし配置とされた場合、または、千鳥配列の目透かし配置とされた場合の少なくとも何れか一の場合に、当該噛合用孔に対して噛合状に組み合わせられる外向き凹凸片が設けられた壁加飾用ユニットパネルによれば、外向き凹凸片を、対応する外向き舌片およびその基部の噛合用孔に嵌合させるように組み合わせることにより、マス目配列の目透かし配置か、または、千鳥配列の目透かし配置の少なくとも何れか一方の配置とするよう誰でも簡単、迅速且つ正確に組み合わせることができ、しかも外向き凹凸片と外向き舌片およびその基部の噛合用孔との嵌合が確りと双方のずれ動きを阻止するものとなり、設置後も設置当初の姿勢を安定して維持するものとなる。
【0019】
ベースシートの雌サネ裏帯域が、装飾対象の壁に対し貼着される場合に金具類が打ち込まれる結合代を兼ねるものとされた壁加飾用ユニットパネルによれば、結合用の金具類が、該雌サネ裏帯域に対峙する立体加飾体の雌サネ表帯域によって隠蔽状とされるから表面に露出して外的美観を損ねることを防止できる上、装飾対象の壁への結合強度が格段に高められたものとなり、しかも撤去や交換などの際には金具類を除去するだけで簡便に取り外すことができる。
【0020】
立体加飾体の三次元基体が矩形状のものとされ、該三次元基体の少なくとも表がわの一部または全部の何れか一方が装飾用の皮膜で被覆されてなる壁加飾用ユニットパネルによれば、当該三次元基体の素材を自由に選択することができ、吸湿素材、防湿素材、断熱素材、防音素材、緩衝素材など、外観に拘らずに採用することができ、装飾用の皮膜の色や模様、材質などを自由に選択し、装飾対象の壁の壁面デザインの幅を格段に広げることができる。
【0021】
また、立体加飾体の三次元基体の表面が平壁状のものとされ、該三次元基体の平壁状の表がわに、装飾層が貼着されてなる壁加飾用ユニットパネルは、装飾層の材質や色などを変えるだけで外観デザインを大幅に変えることができ、従前までであれば、施工に多大な工数を要するタイルやモザイクなどでしか実現化できなかったような変化に富んだ配色やデザインの壁面装飾を格段に効率的に施工できるものとなる。
【0022】
立体加飾体の三次元基体が、その表がわに埋設用の表凹欠部が設けられ、該表凹欠部に時計、写真、絵画または照明灯の少なくとも何れか一が埋設されてなるか、または、当該三次元基体それ自体が壁時計、額縁入りの写真、額縁入りの絵画またはランプシェードの少なくとも何れか一に置き換えられたものかの何れか一方とされた壁加飾用ユニットパネルによれば、立体加飾体に壁掛け時計や額縁または照明灯具などの機能を有するものとなり、タイル壁面の一枚のタイルを時計や写真、絵画、照明などに置き変えて嵌め込まれたもののように、より個性的な装飾を実現化できるものとなる。
【0023】
複数個の壁加飾用ユニットパネルの互いの雄サネ縁と雌サネとが組み合わせられて、夫々のベースシートが装飾対象の壁に対し、互いの立体加飾体同士がマス目配列、千鳥配列、有織菱配列、目透し配列の少なくとも何れか一つに配置、結合されてなるものとされた、この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルを利用した壁加飾装置によれば、個々の壁加飾用ユニットパネルを順次貼り付けて行くだけで美観に優れた仕上がりを達成できるから、従前までの壁紙やタイル類などのように熟練の度合いによって完成後の美観に大きな差を生じ易いものとは異なり、誰でも綺麗な仕上がりが得られるものとなる上、部分的に汚損や破損などを生じた場合には、該汚損や破損した箇所の壁加飾用ユニットパネルのみを差し替え交換してしまえば、より簡単且つ経済的に修繕することができるという秀でた特徴を発揮するものとなる。
【0024】
壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する直線状の切り込みを刻設した後、同直線状の切り込みを境に、該立体加飾体の表がわをV字形の谷折りにした上、装飾対象の壁の入隅に沿って貼着するようにした壁加飾装置の施工方法によれば、専用の工具類を要さず、しかも熟練も必要とせずに、日常品の範囲の工具類を利用して誰でも簡単に入隅の装飾対象の壁を装飾することができる。
【0025】
壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する平面視V字形となる範囲を切除した後、同平面視V字形の切除断面同士を接合し、該立体加飾体の表がわをV字形の山折りにした上、装飾対象の壁の出隅に沿って貼着するようにした壁加飾装置の施工方法によれば、専用の工具類を要さず、しかも熟練も必要とせずに、日常品の範囲の工具類を利用して誰でも簡単に出隅の装飾対象の壁を装飾することができる。
【0026】
装飾対象の壁の壁加飾用ユニットパネルを貼着する範囲に立体加飾体に納まる輪郭寸法の壁面アクセス部が有る場合、該壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに貫通し、当該壁面アクセス部が納まる輪郭寸法および形状のアクセス口を開設し、当該壁面アクセス部が該アクセス口を通じて露出するよう配した上、該ベースシートを装飾対象の壁に沿って貼着するようにした壁加飾装置の施工方法によれば、専用の工具類を要さず、しかも熟練も必要とせずに、日常品の範囲の工具類を利用して誰でも簡単に、コンセントや埋込スイッチ、埋込型照明灯などのような当該壁面アクセス部を有した装飾対象の壁を装飾することができる。
【0027】
装飾対象の壁の壁加飾用ユニットパネルを貼着する範囲に立体加飾体に納まる外郭寸法の凸部が有る場合、該壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の肉厚中に達し、当該凸部が納まる内郭寸法および形状の裏凹欠部を刳り抜き、当該凸部が該裏凹欠部内に納まるよう配した上、該ベースシートを装飾対象の壁に沿って貼着するようにした壁加飾装置の施工方法によれば、専用の工具類を要さず、しかも熟練も必要とせずに、日常品の範囲の工具類を利用して誰でも簡単に、当該立体加飾体に納まる外郭寸法の真壁の柱や梁の凸部、使用しないコンセント、使用しない埋込スイッチ、配線カバー、配管類などのような凸部を、同立体加飾体の肉厚中に埋設するようにして装飾対象の壁を装飾することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ベースシートは、この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルを、装飾対象の壁に貼着すると共に、隣接して配置される壁加飾用ユニットパネルの雌サネに組み合わせられる雄サネとしての機能を担い、シート表面に加飾体結合域が配され、該加飾体結合域の外周囲に雌サネ裏帯域を有し、同雌サネ裏帯域の外周囲に雄サネ縁が設けられ、シート裏面が装飾対象の壁に接合される接合壁とされたものとしなければならず、雌サネと雄サネとの組み合わせ作業や、装飾対象の壁への貼着作業の妨げとならない程度の柔軟性と、装飾対象の壁に沿って撓むことなく立体加飾体を支持するに充分な強度を有するものとし、装飾対象の壁への貼着作業の際にカッターナイフや鋏、目の細かな鋸などによって容易に切断可能であってしかも粘着テープや接着剤などによる貼着が可能な材質のものとすべきであり、吸湿性、通気性、断熱性、吸音性などの少なくとも何れか一つの性質を有する素材からなるものとするのが良く、より具体的には、例えば、厚紙(ボール紙、板紙、台紙、馬糞紙、段ボールなど)、薄い木製シート、薄い金属板、合成樹脂シート、織り布、布生地や不織布、和紙などが樹脂で固められた複合樹脂シート、ガラス繊維や炭素繊維などが樹脂で固められた複合材製シートなどとすることができる。
【0029】
また、ベースシートは、後述する実施例にも示すように、その雌サネ裏帯域が、装飾対象の壁に対し貼着される場合にビスや鋲、画鋲、釘、スティプルなどの金具類が打ち込まれる結合代を兼ねるものとされたものとするのが良く、シート表面に加飾体結合域が配され、該加飾体結合域の外周囲に雌サネ裏帯域を有し、同雌サネ裏帯域の外周囲に雄サネ縁が設けられ、該雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線から、該雄サネ縁の幅寸法よりも狭い一定幅となる該雌サネ裏帯域内に目透かし雌サネ帯域が設定され、当該雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線から、該雄サネ縁の幅寸法よりも狭い一定幅外がわとなる該雄サネ縁内に目透かし帯域が設定され、シート裏面が装飾対象の壁に接合される接合壁とされたものとするのが望ましい。
【0030】
ベースシートの雄サネ縁は、装飾対象の壁に対し、複数個の壁加飾用ユニットパネルを組み合わせてなる壁加飾装置を施工する際にあって、当該装飾対象の壁に固着された一方の壁加飾用ユニットパネルの雌サネに挿し込まれる他方の壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁である場合に、当該一方の壁加飾用ユニットパネルの結合代を兼ねた雌サネ裏帯域に重ね合わせられた上、該他方の壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の表面がわから、当該一方の壁加飾用ユニットパネルの雌サネ裏帯域を厚み方向に貫通し、当該装飾対象の壁に達するよう鋲や釘、スティプルなどの金具類が打ち込まれるか、または、該他方の壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁と、当該一方の壁加飾用ユニットパネルの雌サネとの間に介在された両面粘着テープや接着剤などの接着材類かの少なくとも何れか一方により、同装飾対象の壁に対して該他方の壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁が結合されたものとすることが可能であり、同他方の壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁およびそれを固着した金具類や接着材類は、当該一方の壁加飾用ユニットパネルの立体加飾体の雌サネ表帯域によって表面がわに露出しないよう隠蔽されたものとなる。
【0031】
さらに、ベースシートは、後述する実施例にも示す通り、シート表面の加飾体結合域の外がわであって、雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線上に、立体加飾体の固定位置を表示する位置決め表示が設けられてなるものや、シート表面の、目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、目透かし配置とする場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端の挿し込み深さの目安となる目標表示が設けられたもの、または、シート表面の、目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、目透かし配置とされた場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端に係合し、同隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端を目透かし配置とする位置に規制するものとされた外向き舌片が当該ベースシートから切り起こされたものか、または、ベースシートとは別体の外向き舌片が同ベースシートに対し起伏自在に貼着されたものかの少なくとも何れか一方とすることができる。
【0032】
ベースシートの加飾体結合域は、同ベースシートのシート表面に、立体加飾体の後述する裏結合域を一体的に支持する機能を分担し、該立体加飾体の裏結合域が、接着剤、粘着剤、コーキング材、両面粘着テープ、ビス、鋲、画鋲、釘、スティプル、ボルト・ナット、熔着またはその他の貼着技術の少なくとも一によって一体化されたものとすることが可能である。
ベースシートの加飾体結合域の外周囲に設けられた雌サネ裏帯域は、立体加飾体の後述する雌サネ裏帯域と対をなし、雌サネとなる機能を担い、さらに、同雌サネ裏帯域は、前述の通り、当該ベースシートが装飾対象の壁に対し貼着される場合にビス、鋲、画鋲、釘、スティプルなどの金具類が打ち込まれる結合代を兼ねる機能を分担するものとすることができる。
【0033】
そして、ベースシートは、後述する実施例にも示すように、吸湿性を有するものとされ、該ベースシートの雄サネ縁の外角の全てが鈍角か、または、円弧形かの少なくとも何れか一方の面取り形状とされ、しかも同雄サネ縁の外角の外縁が、雌サネ裏帯域よりも外がわから雄サネ縁の幅の範囲内に配されるか、または、目透かし帯域が設定されたものの場合には、該目透かし帯域よりも外がわから雄サネ縁の幅の範囲内に配されるかの何れか一方とされたクリアランス角が設けられたものとするのが望ましい。
【0034】
シート表面に目透かし帯域が設定されたベースシートは、その目透かし帯域に、目地テープ(粘着テープ、図示せず)が貼着されたものとすることができ、該目地テープは、当該目透かし帯域を漆喰などを表現した白色に留まらず、様々な色、さらに、様々な柄、模様などが施されたものとすることができる外、様々な材質が表現されたものとすることができ、より具体的には、例えば、和紙、木目、大理石、木の皮、竹、金属、鏡、布、皮革、毛革、その他様々なものが印刷表示されたものとすることができ、さらにそれらは、印刷表示に留まらず、各素材そのものが貼着されたものとすることが可能である。
【0035】
ベースシートの接合壁は、同シート裏面を装飾対象の壁に沿って層をなすよう接するよう配され、装飾対象の壁に対して貼着状に結合可能とする機能を分担し、装飾対象の壁に対し、接着剤、粘着剤、粘着テープ、両面粘着テープ、コーキング材、熔着、ビス、鋲、画鋲、スティプル等の様々な結合構造によって固着可能なものとすべきであり、予め粘着剤が塗布された上、剥離紙で保護されたものとし、装飾対象の壁に対し貼着する段階で、該剥離紙を剥がし、貼着可能なものとすることができ、コーキング材を用いた場合には、ソーラートン(登録商標:吉野石膏製)などの表面の全面に多数の孔が有るような天井壁などに対しても、該表面の多数の孔を埋めて密に結合し、不用意に落下しないよう強固に結合されたものとすることができる。
【0036】
ベースシートのシート表面の加飾体結合域の外がわであって、雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線上に、前述した通り、立体加飾体の固定位置を表示する位置決め表示が設けられてなるものとすることができ、該位置決め表示は、ベースシートに対し立体加飾体を一体化する製造工程の際に、立体加飾体の固定位置を明確に表示する目安としての機能を分担し、当該ベースシートのシート表面に印刷表示されたものとすることが出来る外、着色フィルム片や小紙片の貼着、または、プレス加工(例えばスジ押し加工)によって膨出された凸条やミシン目孔などからなる表示部などとすることが可能であり、さらにまた、加飾体結合域の全体に模様やその他の表示または接着剤層などを施し、その結果として加飾体結合域の外がわであって、雌サネ裏帯域と雄サネ縁との間に仮想される境界線を明確に認識可能とするようにされたものとすることが可能である。
【0037】
ベースシートのシート表面の、目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、前述の通り、目透かし配置とする場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端の挿し込み深さの目安となる目標表示が設けられたものとすることができ、該目標表示は、複数個の壁加飾用ユニットパネルを互いに目透かし配列する場合に、雌サネに対する雄サネ縁の挿し込み深さ位置の目安を明確に表示する機能を担い、当該目標表示に雄サネ縁先端が一致するよう配置することで目透かしの幅を一定に保つよう位置決め可能とし、前述の位置決め表示と同様に印刷表示、シールの貼り付け、ミシン目孔、プレス加工(例えばスジ押し加工)その他の表示構造からなるものとすることができる。
【0038】
ベースシートの目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、前述したように、目透かし配置とされた場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端に係合し、同隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端を目透かし配置とする位置に規制するものとされた外向き舌片が設けられたものとすることができ、該外向き舌片は、目透かし配置とされた場合に隣接する壁加飾用ユニットパネルの雄サネ縁の先端の、雌サネへの挿し込み深さ位置を規制する機能を担い、雌サネ裏帯域と外向き舌片との間に雄サネ縁の先端が挟み込まれた状態に規制するものとしなければならず、雌サネ裏帯域に対して別体の外向き舌片が一体に結合されたものとすることができる外、後述する実施例にも示しているように、雌サネ裏帯域からU字形またはV字形などの輪郭形状をもつよう抜き型を用いた抜き加工などにより、起伏自在な舌片状に形成されたものとすることができる。
【0039】
ベースシートの目透かし雌サネ帯域の内がわとなる位置に、外向き舌片がその輪郭形状に沿って打ち抜き形成されると共に、同外向き舌片の基部に噛合用孔が開口された上、当該ベースシートの雄サネ縁に、複数個の壁加飾用ユニットパネルが互いにマス目配列の目透かし配置とされた場合、または、千鳥配列の目透かし配置とされた場合の何れか一の場合に、当該噛合用孔に対して噛合状に組み合わせられる外向き凹凸片が設けられたものとすることができ、該外向き凹凸片は、複数個の壁加飾用ユニットパネルが互いにマス目配列の目透かし配置とされた場合、または、千鳥配列の目透かし配置とされた場合の何れか一の場合に、対応する外向き舌片と噛合し、雄サネ縁の雌サネに対する挿し込み深さ位置を、目透かし配置とするよう規制すると共に、雄サネ縁を雌サネに対してマス目配列、または、千鳥配列の何れか一の配置関係とするよう規制する機能を分担し、外向き舌片が、外向き凹凸片の挿し込み深さを規制し、噛合用孔に挿し込まれた外向き凹凸片が、その挿し込み方向に直交する方向への移動を規制するものであり、該外向き凹凸片は、マス目配列の目透かし配置とされた場合、および、千鳥配列の目透かし配置とされた場合の夫々の場合に、雌サネの外向き舌片および噛合用孔に対応する雄サネ縁に設けられたものとすべきであり、該雄サネ縁に別体の外向き凹凸片が結合されたものとすることができる外、後述する実施例にも示すように、該雄サネ縁それ自体に抜き加工を施し、目透かし配置とされた複数個の壁加飾用ユニットパネルの互いの外向き舌片および噛合用孔に噛合される概略W字形に抜き加工されてなるものとすることができる。
【0040】
壁加飾用ユニットパネルの装飾対象の壁への貼着構造は、ベースシートのシート裏面の略全面に渡って糊剤または粘着剤が塗布され、剥離紙で被覆されたものや、両面粘着テープが貼着されたものなどとされ、該剥離紙を剥がして装飾対象の壁に貼着することができるようにされたものとすることが可能である外、装飾対象の壁に直接貼着される壁加飾用ユニットパネルは、雄サネ縁を装飾対象の壁に対し、粘着剤、接着剤、コーキング材、粘着テープ、両面粘着テープ、ビス、画鋲、釘、スティプルなどの何れかによって結合され、該装飾対象の壁に結合された当該壁加飾用ユニットパネルは、その雌サネの雌サネ裏帯域または雌サネ表帯域の少なくとも何れか一方に、糊剤または粘着剤が塗布され、剥離紙で被覆されたものや、両面粘着テープが貼着されたものなどとされ、隣接して組み込まれる壁加飾用ユニットパネルは、その雄サネ縁が、該剥離紙を剥がした雌サネの雌サネ裏帯域または雌サネ表帯域の少なくとも何れか一方に結合されるものとすることが可能である。また、後述する実施例にも示しているように、雌サネ裏帯域が、装飾対象の壁に対し貼着される場合に、鋲、画鋲、釘、ビス、スティプルなどの金具類が打ち込まれる結合代を兼ねるものとすることができる。
【0041】
立体加飾体は、装飾対象の壁から膨出された厚みをもった形状をもって壁面を装飾する機能を分担し、装飾の外に断熱、吸湿、防音、緩衝などの機能を有するものとすることができ、三次元形状であればどのような形状のものとすることも可能であり、例えば、半球形、ピラミッド形、ミラミッドの先端を切除した立体台形、半裁されたラグビーボール形、峰の部分が高い星形、三角錐形、ハニカム形など様々な立体形状のものとすることができ、色や模様なども自由に選択することができ、施工者が好みの形や色のものに加工、変更することも可能であるが、装飾対象の壁の全面を覆うものとしたい場合には、正面視正四角形、正面視長方形、または、正面視パズル様形状のもの同士が組み合わせられる形状のものとするのが望ましい。より具体的には、立体加飾体の三次元基体が矩形状のものとされ、該三次元基体の少なくとも表がわの一部または全部の何れか一方が装飾用の、壁紙クロス、有色樹脂フィルム、和紙、色紙、英字新聞、ポスター、金属箔、包装紙、その他の壁紙に置き換わるようなシート類などの皮膜で被覆されてなるものとすることができ、後述する実施例にも示す通り、断熱性および加工性が求められることを考慮すると、立体加飾体の三次元基体が、ウレタン系断熱材からなるものとするのが望ましく、その他にも発泡ウレタン、インシュレーションボード、発泡スチロール、硬質ウレタン、ビーズ法ポリスチレンフォーム、フェノールフーム、軽量木材、コルクなどの素材製のものとすることができる。
【0042】
また、立体加飾体は、後述する実施例にも示しているが、その三次元基体の表がわに埋設用の表凹欠部が設けられており、該表凹欠部に時計、写真、絵画または照明灯の少なくとも何れか一が、表面を露出または透視、透光可能な透明カバーを有して埋設されてなるか、または、当該三次元基体それ自体が壁時計、額縁入りの写真、額縁入りの絵画、または、発光ダイオードや白熱球、蛍光灯、ネオンなどの照明灯が内蔵されたランプシェードの少なくとも何れか一に置き換えられたものかの何れか一方とされたものとすることができる。
【0043】
この発明の壁加飾装置は、複数マイの壁加飾用ユニットパネルが組み合わされて装飾対象の壁を装飾する機能を分担し、この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルの複数個が、互いの雄サネ縁と雌サネとが組み合わせられ、夫々のベースシートが装飾対象の壁に対し、互いの立体加飾体同士がマス目配列、千鳥配列、有織菱配列、目透し配列の少なくとも何れか一つに配置、結合されてなるものとしなければならない。
【0044】
この発明の壁加飾装置の施工方法は、この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルの複数個の、互いの雄サネ縁と雌サネとを組み合わせると共に、夫々のベースシートを装飾対象の壁に対し、互いの立体加飾体同士がマス目配列、千鳥配列、有織菱配列、目透し配列の少なくとも何れか一つとするよう配置、結合するようにしたことにある。
【0045】
また、この発明の壁加飾装置の施工方法は、壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する直線状の切り込みを刻設した後、同直線状の切り込みを境に、該立体加飾体の表がわをV字形の谷折りにし、装飾対象の壁の入隅に沿って貼着するようにしたことにある外、壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する平面視V字形となる範囲を切除した後、同平面視V字形の切除断面同士を接合し、該立体加飾体の表がわをV字形の山折りにした上、装飾対象の壁の出隅に沿って貼着するようにしたことにあるということができる。
【0046】
さらに、この発明の壁加飾装置の施工方法は、装飾対象の壁の壁加飾用ユニットパネルを貼着する範囲に立体加飾体に納まる輪郭寸法の、コンセントや埋込スイッチ、埋込型照明灯などの壁面アクセス部が有る場合、該壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の表がわに貫通し、当該壁面アクセス部が納まる輪郭寸法および形状のアクセス口を開設し、当該壁面アクセス部が該アクセス口を通じて露出するよう配した上、該ベースシートを装飾対象の壁に沿って貼着するようにしたことにある。
【0047】
そして、この発明の壁加飾装置の施工方法は、装飾対象の壁の壁加飾用ユニットパネルを貼着する範囲に立体加飾体に納まる外郭寸法の真壁、使用しないコンセント、使用しない埋込スイッチ、配線カバー、配管類などの埋設する凸部が有る場合、該壁加飾用ユニットパネルのベースシートのシート裏面から立体加飾体の肉厚中に達し、当該凸部が納まる内郭寸法および形状の裏凹欠部を刳り抜いた上、当該凸部が該裏凹欠部内に納まるよう配した上、該ベースシートを装飾対象の壁に沿って貼着するようにしたことにあるということができる。
【0048】
また、この発明の壁加飾用ユニットパネルは、そのベースシートのシート裏面の接合壁に、剥がせる粘着剤(例えばシリコン粘着剤)が塗布されるか、剥がせる両面粘着テープの片面が貼着され、粘着面が露出しないよう剥離紙が貼着されたものとされ、該剥離紙を剥がし取るだけで装飾対象の壁に貼着することができ、貼り付け位置がズレた場合には簡単に剥がして位置合わせすることができ、不要になった場合にも簡便に撤去することが出来るものとすることができる。
さらにまた、寸法あわせのために切断された壁加飾用ユニットパネルの切断小口に、別部品のF見切りが組和合わせられたものとして装飾対象の壁に結合されたものとすることにより、簡単に切断小口の美観を確保することができる上、隙間風を防止する機能を付加することができるものとなる。
【0049】
この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルの施工に用いる工具類は、文房具類や日曜大工用品などであり、より具体的には、カッターナイフ、鋏、定規の外、必要に応じて目の細かな鋸、ドライバー、木槌、プラスチックハンマー、カット用の下敷き、タッカーなどとすることができ、装飾対象の壁への固定や複数個の壁加飾用ユニットパネル同士の連結などには、ガムテープや荷造り用粘着テープなどの粘着テープ、両面粘着テープ、木工用ボンドなどの接着剤、コーキング材、画鋲、ビス、スティプルなどを使用するのが良い。
【0050】
装飾対象の壁は、この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルの貼着および装飾の対象となるものであり、様々な建築物の内・外壁面、または、平面形または曲面形、それらの形状の組み合わせからなる様々な工業製品などとすることが可能であり、より具体的には、例えば、建築物の室内壁や天井壁とすることができ、後述する実施例にも示しているように、室内壁の下地に貼設された石膏ボード、または、該石膏ボードに外装されたクロスや漆喰などとすることができる外、インシュレーションボード、発泡スチロール系、硬質ウレタンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム、ソーラートン(登録商標:吉野石膏製)などの各種遮熱材、防音材など、ビス、鋲、画鋲、釘、スティプルなどの金具類の打ち込みか、または、接着剤、粘着剤、粘着テープ、コーキング材などによる接着などかの少なくとも何れか一に適応可能な素材からなるものとするのが良い。
【0051】
また、装飾対象の壁は、様々な建築物の内外壁や、機械、装置の内外装壁、その他の壁とすることができ、例えば、通常はビニールクロスを直接貼ったり、塗装したりするのが困難な下地の悪い壁および天井、より具体的には、例えば、中古住宅の和室や古いベニヤ壁などの下地の悪い壁、クラックや古い住宅に多い枠周りや真壁の凹凸のある壁、ソーラトン(登録商標:吉野石膏製)などのロックウール吸音材製の壁などにも施工可能であり、また、DIYで大雑把に下地のみが製作された壁であっても下地のみ出来上がっていれば、この発明の基本をなす壁加飾用ユニットパネルおよびそれを利用した壁加飾装置を施工することができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図面は、この発明の壁加飾用ユニットパネル、それを利用した壁加飾装置およびその施工方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】壁加飾用ユニットパネルを示す正面図である。
【
図5】立体加飾体の皮膜が展開された状態を示す正面図である。
【
図6】立体加飾体を被覆する皮膜を示す側面図である。
【
図7】目透かし配列用の構造を有したベースシートを示す正面図である。
【
図8】目透かし配列用の構造を有したベースシートを示す側面図である。
【
図9】壁加飾用ユニットパネルがマス目配列された壁加飾装置の組み立て状態を示す正面図である。
【
図11】壁加飾装置が施工された装飾対象の壁を示す斜視図である。
【
図12】壁加飾用ユニットパネルが千鳥配列された壁加飾装置の組み立て状態を示す正面図である。
【
図13】壁加飾用ユニットパネルが有織菱配列された壁加飾装置の組み立て状態を示す正面図である。示す平面図である。
【
図14】壁加飾用ユニットパネルがマス目配列の目透かし配置とされた壁加飾装置の組み立て状態を示す正面図である。
【
図15】マス目配列の目透かし配置とされた壁加飾装置を示す正面図である。
【
図16】入隅に沿って貼着された壁加飾用ユニットパネルを平面視した断面図である。
【
図17】シート裏面からV字形に切除した壁加飾用ユニットパネルを平面視した断面図である。
【
図18】出隅に沿って貼着された壁加飾用ユニットパネルを平面視した断面図である。
【
図19】アクセス口を開設した壁加飾用ユニットパネルを示す正面図である。
【
図21】壁面アクセス部が露出された状態に貼着された壁加飾用ユニットパネルを示す正面図である。
【
図23】シート裏面から裏凹欠部が刳り抜かれた壁加飾用ユニットパネルを示す正面図である。
【
図25】立体加飾体に時計が埋設された壁加飾用ユニットパネルを示す正面図である。
【
図27】立体加飾体に装飾層が貼着されてなる壁加飾用ユニットパネルを示す斜視図である。
【
図29】外向き舌片、噛合用孔および外向き凹凸片を有した壁加飾用ユニットパネルが、マス目配列の目透かし配置とされる状態を示す正面図である。
【
図30】外向き舌片、噛合用孔および外向き凹凸片を有した壁加飾用ユニットパネルが、マス目配列の目透かし配置とされた状態を示す正面図である。
【
図31】外向き舌片、噛合用孔および外向き凹凸片を有した壁加飾用ユニットパネルが、千鳥配列の目透かし配置とされる状態を示す正面図である。
【
図32】ひび割れや汚れの有る中古住宅の装飾対象の壁を示す斜視図である。
【実施例0053】
図1ないし
図8に示す事例は、シート表面に加飾体結合域20、雌サネ裏帯域40、雄サネ縁5が設けられたベースシート2、および、三次元基体30の裏がわに配された裏結合域31が当該ベースシート2の加飾体結合域20に結合され、同裏結合域31の外周囲に当該雌サネ裏帯域40と対峙する雌サネ表帯域41が設けられ、同三次元基体30の表がわに膨出装飾部32が設けられた立体加飾体3からなるものとされたこの発明の壁加飾用ユニットパネルにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0054】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この壁加飾用ユニットパネル1のベースシート2は、例えば、厚さ0.8mmの厚紙(台紙)製であって一辺の長さL1が510mmの正方形とされ、四角の夫々に仮想される直角二等辺三角形の長さ30mmの各等辺で囲まれた範囲が、同直角二等辺三角形の仮想される底辺に沿って(該ベースシート2の一辺に対し45°の角度α)に沿って切除され、クリアランス角21,21,……が設けられており、同クリアランス角21,21,……の夫々の角は135°の鈍角βとなっている。夫々のクリアランス角21,21,……は、雌サネ裏帯域40の各外角を中心とする半径30mmの円弧形状の外縁を有するものに置き換えられたものとすることができる。
【0055】
さらに、ベースシート2のシート表面の縦横寸法の中央(形状の重心位置)には、一辺の長さL2が450mmの正方形の範囲が、外周囲に雄サネ縁5となる30mm幅W5の帯状域を確保するよう配置され、該30mm幅W5の雄サネ縁5のベースシート2の縦横寸法の中央(形状の重心位置)寄りとなる際には、
図7中に二点鎖線で示される境界線BDが仮想され、該仮想境界線BD上となる四角の夫々には、立体加飾体3の固定位置を表示するL字形の位置決め表示6,6,……が印刷表示されている。
【0056】
また、ベースシート2は、そのシート表面の仮想境界線BDからベースシート2の縦横寸法の中央(形状の重心位置)寄りの60mm幅W4の帯状域が結合代40を兼ねた雌サネ裏帯域40とされ、該雌サネ裏帯域40よりもベースシート2の縦横寸法の中央(形状の重心位置)寄りとなる一辺の長さL3が330mmの正方形の範囲が、接着剤層20が塗布された加飾体結合域20とされ、該ベースシート2のシート表面に対し、立体加飾体3が、当該位置決め表示6,6,……に沿って位置決めされ、同立体加飾体3の裏結合域31が当該接着剤層20を介して結合されたものとなっている。
【0057】
図1ないし
図6に示すように、立体加飾体3は、その三次元基体30が、厚さdを30mm(または15mm)とされたウレタン系断熱材製であって一辺の長さL2が450mmの正方形板形とされ、該三次元基体30の表がわとなる平面形の表面壁、外周囲壁、および、裏がわの外周囲壁から内がわに60mm幅となる帯状域の雌サネ表帯域41におよぶ範囲には、壁紙、色紙、和紙、英字新聞、樹脂フィルム、その他の壁紙に利用できる装飾用の皮膜33で被覆され、膨出装飾部32とされたものとなっており、該三次元基体30の裏がわの雌サネ表帯域41を除く、中央がわの330mm(L3)四方の正方形の範囲が裏結合域31とされ、該裏結合域31が、当該ベースシート2のシート表面の加飾体結合域20に対し、その接着剤層20を介して結合され、ベースシート2のシート表面の雌サネ裏帯域40と、これに対峙された立体加飾体3の雌サネ表帯域41とによって雌サネ4が形成されたものとなっている。
この発明の壁加飾用ユニットパネル1は、その各部の寸法および形状が、この実施例に示したものに限定されず、装飾対象の壁WLの形状や寸法に応じて自由に設定されたものとすることができる。
【0058】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の壁加飾用ユニットパネル1は、
図9ないし
図11および
図32に示すように、装飾対象の壁WLに対し、ベースシート2のシート裏面の接合壁22が、糊剤や接着剤、コーキング材などを介して貼着されるか、または、同ベースシート2のシート表面から、結合代40としての雌サネ裏帯域40に打ち込まれ、立体加飾体3にて隠蔽された複数本のビスSW,SW,……や図示しないスティプルなどの打ち込み金具類によって固着されるかの少なくとも何れか一方によって結合されたものとされ、さらに、該装飾対象の壁WLに固着された壁加飾用ユニットパネル1の雌サネ4に対し、続いてもう一の壁加飾用ユニットパネル1の雄サネ縁5が挿し込まれ、立体加飾体3,3の対峙する一辺同士が密に突き合わせた状態に組み合わせられた上、前述と同様に、接着剤類による貼着か、または打ち込み金具類による固着かの少なくとも何れか一方によって該装飾対象の壁WLに固着され、以降同様に、該装飾対象の壁WLを複数枚の縦横に連結された壁加飾用ユニットパネル1,1,……で覆い尽くすよう固着され、壁加飾装置10となす。
【0059】
壁加飾用ユニットパネル1は、ベースシート2および立体加飾体3が、厚紙(台紙)とウレタン系断熱材とから構成されたものとなっており、専用の工具類を要さずとも、日用品であるカッターや鋏などを用いて簡単に裁断したり、刳り抜いたりすることができ、
図32に示すようなひび割れやシミなどによって汚損した装飾対象の壁WLであっても、誰でも簡単に、
図11に示すようなマス目配列の壁加飾装置10にリフォームすることができる上、
図1,
図2,
図9および
図10に示すように、幅寸法W4の雌サネ4と幅寸法W5の雄サネ縁5との互いの重なり幅が充分に大きく設定されているから、多少の装飾対象の壁WLの凹凸にも対応することができ、しかも、壁加飾装置10に組み込まれた場合に、高い強度をもって一体化されたものとなり、地震などにも、個々の壁加飾用ユニットパネル1,1,……に応力が分散されるから、壁加飾装置10の全体として高い耐久性を発揮できるものとなる。
【0060】
加えて、
図12に示すように、複数枚の壁加飾用ユニットパネル1,1,……は、それらの配置関係を変えることによって千鳥配列の壁加飾装置10とすることができる外、
図13に示すような有織菱配列や、
図14および
図15に示すような目透し配列の壁加飾装置10とすることができ、同
図15のように、余剰となった外周囲の雄サネ縁5は、カッターや鋏などを用いて切除し、外観を整えられたものとすることが可能であり、また、目透かしに表れる雄サネ縁5,5同士の重なり段差線は、目地テープを貼着して美観を高められたものとすることができる。
【0061】
さらに、
図16に示すように、壁加飾用ユニットパネル1のベースシート2のシート裏面から立体加飾体3の三次元基体30の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達するよう、カッターや定規などの日用品を用いて、直線状の切り込みSCを刻設した後、同直線状の切り込みSCを境に、該立体加飾体3の表がわをV字形の谷折りにした上、装飾対象の壁WLの入隅に沿って貼着するよう施工されたものとすることが可能である。
【0062】
また、
図17および
図18に示すように、壁加飾用ユニットパネル1のベースシート2のシート裏面から立体加飾体3の三次元基体30の表がわに僅かな厚みを残した深さまで達する平面視V字形となる範囲VRを、カッターや定規などの日用品を用いて切除した後、同平面視V字形の切除断面同士を接合し、該立体加飾体3の表がわをV字形の山折りにした上、装飾対象の壁WLの出隅に沿って貼着するよう施工されたものとすることができる。
【0063】
そして、
図19ないし
図22に示すように、装飾対象の壁WLの壁加飾用ユニットパネル1を貼着する範囲に立体加飾体3に納まる輪郭寸法のコンセントなどの壁面アクセス部OTが有る場合、該壁加飾用ユニットパネル1のベースシート2のシート裏面から立体加飾体3の表がわに貫通し、当該壁面アクセス部OTが納まる輪郭寸法および形状のアクセス口APを、カッターや定規などの日用品を用いて開設し、その開設範囲の皮膜33を該アクセス口APの内側壁に貼着して仕上げ、当該壁面アクセス部OTが該アクセス口APを通じて露出するよう配した上、該ベースシート2を装飾対象の壁WLに沿って貼着するよう施工されたものとすることができる。
【0064】
さらに、
図23および
図24に示すように、装飾対象の壁WLの壁加飾用ユニットパネル1を貼着する範囲に立体加飾体3に納まる外郭寸法の使用しないコンセントなどの凸部CPが有る場合、該壁加飾用ユニットパネル1のベースシート2のシート裏面から立体加飾体3の三次元基体30の肉厚中に達し、当該凸部CPが納まる内郭寸法および形状の裏凹欠部BPをカッターや定規などの日用品を用いて刳り抜いた上、当該凸部CPが該裏凹欠部BP内に納まるよう配した上、該ベースシート2を装飾対象の壁WLに沿って貼着するよう施工されたものとすることができる。
【0065】
また、
図25および
図26に示すように、壁加飾用ユニットパネル1は、その立体加飾体3の皮膜33に被覆された三次元基体30が、その表がわから、カッターや定規などの日用品を用いて壁時計を埋設可能な寸法および形状とされた矩形状の表凹欠部35を刳り抜き、ムーブメントMVに対応する部分は、ベースシート2を貫通するようにし、該表凹欠部35に壁時計CKを、該三次元基体30それ自体の材質による弾発力によって脱着可能に固定されるよう嵌め込んで埋設されたものとした上、ベースシート2を装飾対象の壁WLに貼着するよう施工することができ、壁時計CK以外にも額縁入りの写真、額縁入りの絵画またはランプシェードなどが嵌め込まれたものとすることができる外、子供用のお絵描きキット、思い出の物をアクリル樹脂製のケースに封入するキット、思い出の服を素材にミニチュアの衣類を作るための型紙と、製作したミニチュアの衣類を収容する透明ケースとを有するキット、好きな素材でパネルクロスを作る型紙キットなどの何れか一つが同梱された壁加飾用ユニットパネル1とすることができる。
【0066】
そしてまた、
図27および
図28に示すように、壁加飾用ユニットパネル1は、立体加飾体3の少なくとも周囲側壁面が皮膜33に被覆された三次元基体30の表面が平壁状のものとされ、該三次元基体30の平壁状の表がわに、非磁性金属板、磁性金属板(マグネットが付く金属板)、コルク(コルクボード)、木目、鏡(アクリルミラー)、アクリルボード、ホワイトボード(金属板や木製板などにフッ素コーティング処理された樹脂フィルムをラミネート加工したものなど)、ビニールクロス、皮革、合成皮革、畳、木、樹皮、布、フェルト、人工芝、畳表、金属箔、和紙、茣蓙、壁時計、照明パネル、間接照、明、写真、絵画、アート作品、ポスターなどの何れかからなる装飾層34が、接着剤や粘着剤、コーキング材、両面粘着テープ、自在ファスナー、釘、鋲、スティプルなどの何れかを介して貼着されてなるものとすることができる。