(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086565
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
B21B 19/06 20060101AFI20240620BHJP
B21B 17/02 20060101ALI20240620BHJP
B21C 37/06 20060101ALI20240620BHJP
B21B 27/02 20060101ALI20240620BHJP
B21B 19/02 20060101ALI20240620BHJP
B21B 13/00 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
B21B19/06 A
B21B17/02 Z
B21C37/06 B
B21B27/02 H
B21B19/02
B21B13/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159102
(22)【出願日】2023-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】202211618913.0
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519274219
【氏名又は名称】太原理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】季 策
(72)【発明者】
【氏名】王 涛
(72)【発明者】
【氏名】黄 慶学
(72)【発明者】
【氏名】任 忠凱
(72)【発明者】
【氏名】劉 文文
(72)【発明者】
【氏名】陳 鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉 元銘
(72)【発明者】
【氏名】韓 建超
【テーマコード(参考)】
4E016
【Fターム(参考)】
4E016AA09
4E016BA09
4E016CA10
4E016DA07
4E016DA14
4E016DA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異質金属からなる複合薄肉管を成形する際のバランスの崩れ、ちりやひびなどを抑制する複合装置及びその方法を提供する。
【解決手段】特に、大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置及びその方法を提供し、装置は、圧延軸線に沿って順次に設置された芯棒搬送車1、芯棒2、予め被覆仕掛品3、電磁誘導加熱装置4、漸進的傾斜圧延機器5及び送り軌道6を含み、漸進的傾斜圧延機器は、圧延ロールと間隔板を含み、圧延ロールは、円錐形とされた圧延ロールであり、圧延ロールは、圧延軸線方向に沿って順次に設置された入り口円角領域、入り口円錐領域、漸進的肉減少領域、仕上領域、出口円錐領域及び出口円角領域からなるものであり、漸進的肉減少領域は、入れ替えて設置されたN個だけの強い肉減少部と弱い肉減少部からなるものであり、多数の段階で継続的に小さな圧延を経て大きな変形を累積して実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延軸線に沿って順次に配置された芯棒搬送車(1)、芯棒(2)、予め被覆仕掛品(3)、電磁誘導加熱装置(4)、漸進的傾斜圧延機器(5)、及び、送り軌道(6)を含み、
前記芯棒搬送車(1)は、芯棒(2)が圧延軸線に沿って前後移動を行うように連動するためのものであり、前記予め被覆仕掛品(3)は、芯棒(2)を被覆しており、前記電磁誘導加熱装置(4)は、漸進的傾斜圧延機器(5)の入り口側に設置されるものであって、漸進的傾斜圧延機器(5)に入る直前の予め被覆仕掛品(3)を加熱するためのものであり、前記漸進的傾斜圧延機器(5)は、予め被覆仕掛品(3)を圧延するためのものであり、前記送り軌道(6)は、漸進的傾斜圧延機器(5)の出口に設置されるものであって、圧延と複合がされた予め被覆仕掛品(3)を送るためのものであり、前記漸進的傾斜圧延機器(5)は、圧延ロール(501)と間隔板(502)を含み、
前記圧延ロール(501)は、圧延軸線方向に沿って順次に設置された入り口円角領域(5011)、入り口円錐領域(5012)、漸進的肉減少領域(5013)、仕上領域(5014)、出口円錐領域(5015)及び出口円角領域(5016)からなる円錐形圧延ロールであり、前記漸進的肉減少領域(5013)は、交互に設置されたN個だけの強い肉減少部(50131)と弱い肉減少部(50132)からなるものであり、
前記入り口円錐領域(5012)は、長さL2が圧延ロール(501)の長さの20%~40%であり、円錐角α2が2°~6°であり、前記仕上領域(5014)は、長さL4が圧延ロール(501)の長さの20%~40%であり、円錐角α4が0°~1°であり、前記出口円錐領域(5015)は、長さL5が圧延ロール(501)の長さの5%~15%であり、円錐角α5が0°~2°であり、
前記漸進的肉減少領域(5013)は、長さL3が圧延ロール(501)の長さの30%~50%であり、そのうち、強い肉減少部(50131)の円錐角α31が10°~20°であり、弱い肉減少部(50132)の円錐角α32が1°~10°であり、前記弱い肉減少部(50132)は、長さL32が強い肉減少部(50131)の長さL31の2~10倍である、
ことを特徴とする大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置。
【請求項2】
前記入り口円角領域(5011)は、半径をrとする円弧であり、当該円弧は、両端がそれぞれ圧延ロール(501)の入り口端面と入り口円錐領域(5012)の円錐面と接し、長さL1がrと等しく、rが仕上領域(5014)の外径の1%~4%と等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載の大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置。
【請求項3】
前記出口円角領域(5016)は、半径をrとする円弧であり、当該円弧は、両端がそれぞれ圧延ロール(501)の出口端面と出口円錐領域(5015)の円錐面と接し、長さL6がrと等しく、rが仕上領域(5014)の外径的1%~4%となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置。
【請求項4】
仕掛品を柔性で被覆して組み合わせるというステップS1であって、外層管材(301)と内層管材(302)について表面を洗浄処理し、外層管材(301)を外、内層管材(302)を内にするという順番に従って、仕掛品を柔性で被覆して組み合わせを行い、外層管材(301)と内層管材(302)との間に被覆隙間(304)を置き、二つの位置付け円環(303)を用いて密封と溶接を行ってから真空引きを行い、予め被覆仕掛品(3)の生産を済ませるステップS1と、
電磁誘導で加熱するというステップS2であって、芯棒搬送車(1)と芯棒(2)を接続し、芯棒(2)が予め被覆仕掛品(3)の中を通り抜けるようにし、加熱を行うように芯棒搬送車(1)と共に速度vで電磁誘導加熱装置(4)に送り、加熱の仕事率と周波数を調整し、予め被覆仕掛品(3)が電磁誘導加熱装置(4)から離れる場合に、外層管材(301)及び/又は内層管材(302)における複合すべき表面が目標温度Tまで加熱されて、目標温度Tになると芯棒(2)を介して予め被覆仕掛品(3)を漸進的傾斜圧延機器(5)に送り圧延と複合を行うステップS2と、
漸進的に傾斜圧延と複合を行うというステップS3であって、漸進的傾斜圧延機器(5)の圧延ロール(501)と間隔板(502)を調整し、目標穴の形状と形状Dを設定し、漸進的傾斜圧延機器(5)を起動させ、芯棒搬送車(1)により芯棒(2)と予め被覆仕掛品(3)を共に漸進的傾斜圧延機器(5)に送り、予め被覆仕掛品(3)を、芯棒(2)、圧延ロール(501)及び間隔板(502)で共に囲まれたローラー隙間に送って漸進的に傾斜圧延と複合を行い、順次に入り口円角領域(5011)、入り口円錐領域(5012)、漸進的肉減少領域(5013)、仕上領域(5014)、出口円錐領域(5015)、出口円角領域(5016)を経て、直径が次第に減り、肉が次第に薄くなり、複合界面を冶金して結合するように実現し、最終に複合薄肉管を圧延して取得すると、送り軌道(6)を介して送る、ステップS3と、
熱処理を制御するというステップS4であって、最終的に圧延された複合薄肉管について先端と尾端を取り除いて、所定のサイズに従って切断し、熱処理を経て目標組織性能を取得して、仕上げられた複合薄肉管を取得する、ステップS4とを含む、請求項1に記載の大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置による、
ことを特徴とする複合方法。
【請求項5】
前記ステップS3において、漸進的に傾斜圧延と複合を行う際に、径減少量が予め被覆仕掛品(3)の外径の20%よりも大きく、肉減少量が予め被覆仕掛品(3)全体の肉の40%よりも大きく、肉に不均一の程度が不均一度≦5%となる、
ことを特徴とする請求項4に記載の複合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属複合管を成形する技術分野に関し、特に、大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異質金属からなる複合管とは、剛性、強度、耐腐食性や耐磨耗性など総合的な性能を同時に備えている構成と機能素材であり、基体と被覆層との間に、特別な変形技術と接続技術により緊密に結合を形成することから、各成分の金属元素による優位性を最大限で生み出すと共に単一の金属的性能の欠陥を克服し、適用されるコストを著しく削減し、優れた総合的な性能と経済利益を持たせ、原子力発電、石油化学工業、海洋工業、電力電子、機械製造や建築装飾などの分野に適用される見通しが幅広くある。
【0003】
近年では、国内外の研究者は、異質金属からなる複合管を生産する工程について大量の研究を展開しつつあり、爆発複合法、引抜き複合法、持続圧延複合法など典型的生産技術を提供してきた。それは、業界を速めて発展するようになった。爆発複合法は、爆発物が爆発している瞬間に生じた衝撃波と高温度・高エネルギーにより、複数の成分金属間における複合界面に冶金を結合させることが可能であるが、継続的に成形を実現できず、しかも、化学や騒音による汚染が存在している。引抜き複合法とは、異質金属管材を被覆してから、円錐型により外管と内管を軸方向に縮径/拡径を行うように引抜き、塑性変形と弾性回復を経て、緊密な機械結合を内外管間に形成することができる。その特色について工程が易く、成形効率が高いものの、円錐型と管材との間に接触面積が比較的大きい故に、必要な成形力が比較的大きく、エネルギー消費も比較的高い。持続圧延複合法は、複数のグループとなったY型圧延機を用いて、高温度で複数のステップを経て連続的に小さな変形を行わせることにより界面に冶金を結合させることが実現される。その特色について生産効率が高く、歩留まりが大きいものの、必要な装置のコストが比較的大きく、生産ラインが数百メートルと長くなり、継続的に熱圧延を行うプロセスを制御することが極めて複雑になり、しかも、製品の規格を調整することが難しい。
【0004】
異質金属からなる複合管を成形させる過程には、外層管材と内層管材について仕掛品を被覆して組み合わせることが必要になる。組立ての精度、同軸度、表面品質などに対する要求が比較的高い。大きな長さ直径比を持った製品については、被覆を行う難しさが高く、成形效率が比較的低く、異質金属からなる複合管を適用したり普及させたりすることに制限が大きく生じてしまった。また、異質金属からなる複合薄肉管にとっては、外層管材と内層管材肉がいずれも比較的薄いことから、成形を行う際に、バランスの崩れ、ちりやひびなどの典型的な欠陥が極めて現れやすく、連続的かつ安定的に成形を行わせることに大きなチャレンジが直面している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題に対して、大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置及びその方法を提供する。
【0006】
上記の目的を達成するためには、本発明が以下の技術手段を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置は、圧延軸線に沿って順次に設置された芯棒搬送車、芯棒、予め被覆仕掛品、電磁誘導加熱装置、漸進的傾斜圧延機器及び送り軌道を含む。前記芯棒搬送車は、芯棒が圧延軸線に沿って前後移動するように連動するためのものである。前記予め被覆仕掛品は、芯棒を覆う。前記電磁誘導加熱装置は、漸進的傾斜圧延機器の入り口側に設置され、漸進的傾斜圧延機器に入る直前の予め被覆仕掛品を加熱するためのものである。前記漸進的傾斜圧延機器は、予め被覆仕掛品を圧延するためのものであり、前記送り軌道は、漸進的傾斜圧延機器の出口に設置され、圧延複合がされた予め被覆仕掛品を送るためのものである。前記漸進的傾斜圧延機器は、圧延ロールと間隔板を含み、前記圧延ロールは、円錐形圧延ロールであり、前記圧延ロールは、圧延軸線方向に沿って順次に設置された入り口円角領域、入り口円錐領域、漸進的肉減少領域、仕上領域、出口円錐領域及び出口円角領域からなり、前記漸進的肉減少領域は、交互に設置されたN個だけの強い肉減少部と弱い肉減少部からなる。
【0008】
さらに、前記入り口円角領域は、半径をrとする円弧であり、当該円弧は、両端がそれぞれ圧延ロールの入り口端面と入り口円錐領域の円錐面と接し、その長さL1がrと等しく、rが仕上領域外径の1%~4%となる。
【0009】
さらに、前記入り口円錐領域は、長さL2が圧延ロール長さの20%~40%であり、その円錐角α2が2°~6°である。前記仕上領域は、その長さL4が圧延ロール長さの20%~40%であり、その円錐角α4が0°~1°である。前記出口円錐領域は、その長さL5が圧延ロール長さの5%~15%であり、その円錐角α5が0°~2°である。
【0010】
さらに、前記漸進的肉減少領域は、その長さL3が圧延ロール長さの30%~50%であり、強い肉減少部の円錐角α31が10°~20°であり、弱い肉減少部の円錐角α32が1°~10°である。前記弱い肉減少部は、その長さL32が強い肉減少部の長さL31の2~10倍となる。
【0011】
さらに、前記出口円角領域は、半径をrとする円弧であり、当該円弧は、両端がそれぞれ圧延ロールの出口端面と出口円錐領域の円錐面と接し、その長さL6がrと等しく、rが仕上領域外径の1%~4%と等しい。
【0012】
さらに、前記予め被覆仕掛品は、外層管材、内層管材及び位置付け円環を含み、前記外層管材の内径が内層管材の外径よりも大きく、前記内層管材は、外層管材の内部に覆われ、前記位置付け円環が二つあり、前記外層管材と内層管材との両端がいずれも二つの位置付け円環と接続され、前記外層管材、内層管材及び位置付け円環が同軸で設置され、前記外層管材と内層管材との間に被覆隙間を置いている。
【0013】
大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合方法は、以下のステップを含む。
ステップS1は、仕掛品を柔性で被覆して組み合わせる。外層管材と内層管材について表面を洗浄処理し、外層管材を外、内層管材を内にするという順番に従って仕掛品を柔性で被覆して組み合わせを行い、外層管材と内層管材との間に被覆隙間を置き、二つの位置付け円環を用いて密封と溶接を行ってから真空引きを行い、予め被覆仕掛品の生産を済ませる。
ステップS2は、電磁誘導で加熱する。芯棒搬送車と芯棒を接続し、芯棒が予め被覆仕掛品中を通り抜けるようにし、加熱を行うように芯棒搬送車と共に速度vで電磁誘導加熱装置に送り、加熱の仕事率と周波数を調整し、予め被覆仕掛品が電磁誘導加熱装置から離れる場合に、外層管材及び/又は内層管材における複合すべき表面が目標温度Tまで加熱され、目標温度Tになると芯棒を介して予め被覆仕掛品を漸進的傾斜圧延機器に送り圧延と複合を行う。
ステップS3は、漸進的に傾斜圧延と複合を行う。漸進的傾斜圧延機器の圧延ロールと間隔板を調整し、目標穴の形状と形状Dを設定し、漸進的傾斜圧延機器を起動させ、芯棒搬送車により芯棒と予め被覆仕掛品を共に漸進的傾斜圧延機器に送り、予め被覆仕掛品を芯棒、圧延ロール及び間隔板で共に囲まれたローラー隙間に送って漸進的に傾斜圧延と複合を行い、順次に入り口円角領域、入り口円錐領域、漸進的肉減少領域、仕上領域、出口円錐領域、出口円角領域を経て、直径が次第に減り、肉が次第に薄くなり、複合界面を冶金して結合するように実現し、最終に複合薄肉管を圧延して取得すると、送り軌道を介して送る。
ステップS4は、熱処理を制御する。最終的に圧延された複合薄肉管について先端と尾端を取り除いて、所定のサイズに従って切断し、熱処理を経て目標組織性能を取得すると、仕上げられた複合薄肉管を取得する。
【0014】
さらに、前記被覆隙間は、サイズが予め被覆仕掛品の外径の0.2%~5%である。そして、大きな長さ直径比をもって外層管材と内層管材との間に仕掛品を柔性で被覆して組み合わせることが実現される。
【0015】
さらに、前記ステップS3は、漸進的に傾斜圧延して複合を行う過程に径減少量が予め被覆仕掛品の外径の20%よりも大きく、肉減少量が予め被覆仕掛品全体の肉の40%よりも大きく、肉に不均一度が≦5%となる。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明が以下の利点を備えている。
【0017】
本発明は、電磁誘導加熱という原理を用いて予め被覆仕掛品における外層管材又は内層管材について誘導と加熱を行うことにより、複合すべき界面の温度を正確で制御する。そして、成分の金属材料に性能がバラバラであることによって全体として加熱の時間が長くなり、エネルギー消費が大きく、装置が複雑になり、土地に占めている面積が大きくなるなどの問題を避けることができ、エネルギー消費を著しく削減すると共に処理の流れを短くすることができる。
【0018】
本発明は、大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合管にける外層管材と内層管材を被覆するうちに組立ての精度、同軸度や表面品質などに対する要求が比較的高い問題について、予め隙間を置いて外層管材と内層管材とを柔性で被覆すると共に、両側端部における位置付け円環により予め置かれた隙間を正確で制御するように実現するという形態が採用されており、大きな長さ直径比を持った管材を効果的に被覆して仕掛品を組み合わせることが実現される。
【0019】
本発明に係る圧延ロールは、円錐形表面に、順次に入り口円角領域、入り口円錐領域、漸進的肉減少領域、仕上領域、出口円錐領域及び出口円角領域が設けられており、そのうち、漸進的肉減少領域が、入れ替えて設置されたN個だけの強い肉減少部と弱い肉減少部からなり、複数のステップを経て連続的に小さな変形を累積して行わせることにより、異質金属からなる複合薄肉管を成形する際によく現れるバランスの崩れ、ちりやひびなどの典型的な欠陥を解決することができると共に、複数のステップを経て連続的に小さな圧延を行うことが同一のロック型に集中設置されていることから、連続的かつ安定的に成形を実現でき、高效率が高く、流れが短いなどの著しい利点を備えている。
【0020】
本発明に係る装置は、構成がコンパクトになり、装置と場所への投資が少なく、漸進的傾斜圧延機器により、異質金属からなる複合薄肉管を連続的に成形させることが実現される。予め被覆仕掛品は、芯棒、圧延ロール及び間隔板で共に囲まれたローラー隙間に、漸進的に傾斜圧延と複合が行われる。芯棒のサイズ、圧延ロール型及び間隔板の位置を調整することにより、規格が異なる製品を生産できると共に、例えば銅とアルミニウム、鋼とアルミニウムなど変形がし易い金属を室温で加工することに適用されたり、ステンレス・炭素鋼、チタン・ステンレス、チタン・銅など変形が難しい金属を加熱で加工することに適用したりすることができ、製品の種類が豊かになり、サイズと規格の範囲が大きく、生産効率が高く、成形精度が高く、表面品質が良いなどの利点を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本発明に係る予め被覆仕掛品の構成を示した模式図である。
【
図3】本発明に係る漸進的傾斜圧延機器を示した正面図である。
【
図4】本発明に係る圧延ロールの構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術手段を詳しく説明するためには、以下、実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。
【実施例0023】
図1乃至
図4に示すように、大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延する複合装置は、圧延軸線に沿って順次に設置された芯棒搬送車1、芯棒2、予め被覆仕掛品3、電磁誘導加熱装置4、漸進的傾斜圧延機器5及び送り軌道6を含む。前記芯棒搬送車1は、芯棒2が圧延軸線に沿って前後移動するように連動するためのものである。前記予め被覆仕掛品3は、芯棒2を覆う。前記電磁誘導加熱装置4は、漸進的傾斜圧延機器5の入り口側に設置され、漸進的傾斜圧延機器5へ入る直前の予め被覆仕掛品3を加熱するためのものである。前記漸進的傾斜圧延機器5は、予め被覆仕掛品3を圧延するためのものであり、前記送り軌道は、漸進的傾斜圧延機器5の出口に設置され、圧延複合がされた予め被覆仕掛品3を送りするためのものである。
【0024】
前記漸進的傾斜圧延機器5は、圧延ロール501と間隔板502を含み、前記圧延ロール501は、円錐形圧延ロールである。前記圧延ロール501は、圧延軸線方向に沿って順次に設置された入り口円角領域5011、入り口円錐領域5012、漸進的肉減少領域5013、仕上領域5014、出口円錐領域5015及び出口円角領域5016からなる。前記入り口円角領域5011は、半径をrとする円弧であり、当該円弧は、両端がそれぞれ圧延ロール501の入り口端面と入り口円錐領域5012の円錐面と接し、その長さL1がrと等しく、rが仕上領域5014の外径の1%~4%と等しい。前記入り口円錐領域5012は、その長さL2が圧延ロール501の長さの20%~40%であり、その円錐角α2が2°~6°である。前記仕上領域5014は、その長さL4が圧延ロール501の長さの20%~40%であり、その円錐角α4が0°~1°である。前記出口円錐領域5015は、その長さL5が圧延ロール501の長さの5%~15%であり、その円錐角α5が0°~2°である。前記出口円角領域5016は、半径をrとする円弧であり、当該円弧は、両端がそれぞれ圧延ロール501の出口端面と出口円錐領域5015の円錐面と接し、その長さL6がrと等しく、rが仕上領域5014の外径の1%~4%と等しい。前記漸進的肉減少領域5013は、入れ替えて設置されたN個だけの強い肉減少部50131と弱い肉減少部50132からなる。前記漸進的肉減少領域5013は、その長さL3が圧延ロール501の長さの30%~50%であり、そのうち、強い肉減少部50131の円錐角α31が10°~20°であり、弱い肉減少部50132の円錐角α32が1°~10°である。前記弱い肉減少部50132は、その長さL32が強い肉減少部50131の長さL31の2~10倍となる。
【0025】
前記予め被覆仕掛品3は、外層管材301、内層管材302及び位置付け円環303を含む。前記外層管材301は、内径が内層管材302の外径よりも大きい。前記内層管材302は、外層管材301の内部に覆われる。前記位置付け円環303は、二つある。前記外層管材301と内層管材302との両端が、いずれも二つの位置付け円環303に接続される。前記外層管材301、内層管材302及び位置付け円環303は、同軸で設置され、前記外層管材301と内層管材302との間に被覆隙間304が置かれている。
【0026】
大きな長さ直径比をもって異質金属からなる複合薄肉管を漸進的に傾斜圧延して複合する方法は、以下のステップを含む。
ステップS1は、仕掛品を柔性で被覆して組み合わせる。外層管材301と内層管材302について表面を洗浄処理する。外層管材301を外、内層管材302を内にするという順番に従って仕掛品を柔性で被覆して組み合わせる。外層管材301と内層管材302との間には、被覆隙間304が置かれている。被覆隙間304は、サイズが予め被覆仕掛品3の外径の0.2%~5%である。また、二つの位置付け円環303を用いて密封と溶接を行ってから真空引きを行う。そして、予め被覆仕掛品3の生産が済む。
ステップS2は、電磁誘導で加熱する。芯棒搬送車1と芯棒2を接続して、芯棒2が予め被覆仕掛品3の中を通り抜けるようにする。芯棒搬送車1を用いて速度vで電磁誘導加熱装置4に送り加熱を行う。加熱の仕事率と周波数を調整し、予め被覆仕掛品3が電磁誘導加熱装置4から離れる場合に、外層管材301及び/又は内層管材302における複合すべき表面が目標温度Tに加熱され、目標温度Tになる場合に芯棒2を介して予め被覆仕掛品3を漸進的傾斜圧延機器5に送り圧延と複合を行う。
ステップS3は、漸進的に傾斜圧延して複合する。漸進的傾斜圧延機器5の圧延ロール501と間隔板502を調整する。形状Dになるように目標穴の形状を設定する。漸進的傾斜圧延機器5を起動させ、芯棒搬送車1により芯棒2と予め被覆仕掛品3とを共に漸進的傾斜圧延機器5に送り、予め被覆仕掛品3を、芯棒2、圧延ロール501及び間隔板502で共に囲まれたローラー隙間に送り漸進的に傾斜圧延と複合を行う。順次に入り口円角領域5011、入り口円錐領域5012、漸進的肉減少領域5013、仕上領域5014、出口円錐領域5015、出口円角領域5016を経て、直径が次第に減り、肉が次第に薄くなり、複合界面を冶金して結合させることが実現される。最終的に圧延された複合薄肉管を取得すると、送り軌道6を介して送る。漸進的に傾斜圧延して複合する際に径減少量が予め被覆仕掛品3の外径の20%よりも大きく、肉減少量が予め被覆仕掛品3全体の肉の40%よりも大きく、肉に不均一程度が≦5%となる。
ステップS4は、熱処理を制御する。最終的に圧延された複合薄肉管について先端と尾端を取り除いて、所定のサイズに従って切断し、熱処理を経て目標組織性能を取得すると、仕上げられた複合薄肉管を取得する。
外層管材301は、45鋼薄肉管材であり、外径が63mm、肉が2.4mm、長さが8000mmある。内層管材302は、316Lステンレス薄肉管材であり、外径が57mm、肉が3mm、長さが8000mmである。外層管材301と内層管材302との間には、被覆隙間304が0.4mm、芯棒2の長さ10000mm、直径が45mmである。電磁誘導加熱装置4は、鋼鉄にのみ適用されるデジタル電磁気ヒーターであって、自体保護機能を持ち、最大加熱温度が1600℃となる。
漸進的傾斜圧延機器5は、サイズが以下の通りである。入り口円角領域5011は、半径r=5mmとされる円弧であり、その長さL1がrと等しく、入り口円錐領域5012の長さL2=60mmであり、その円錐角α2=2°であり、漸進的肉減少領域5013の長さL3=120mmであり、同じである八個だけの強い肉減少部50131と同じである八個の弱い肉減少部50132を含み、強い肉減少部50131は、その円錐角α31=12°であり、長さL31=5mmであり、弱い肉減少部50132は、その円錐角α32=2°であり、長さL32=10mmであり、仕上領域5014の長さL4=70mmであり、その円錐角α4=0°であり、出口円錐領域5015の長さL5=25mmであり、その円錐角α5=1°であり、出口円角領域5016が半径r=5mmとなる円弧であり、その長さL6がrと等しい。
ステップS1は、仕掛品を柔性で被覆して組み合わせる。外層管材301と内層管材302について表面を洗浄処理する。外層管材301を外、内層管材302を内にするという順番に従って仕掛品を柔性で被覆して組み合わせる。外層管材301と内層管材302との間には被覆隙間304が置かれている。二つの位置付け円環303を用いて密封と溶接を行ってから真空引きを行う。そして、予め被覆仕掛品3の生産が済む。
ステップS2は、電磁誘導で加熱する。芯棒搬送車1と芯棒2を接続し、芯棒2が予め被覆仕掛品3の中を通り抜けるようにし、加熱を行うように、芯棒搬送車1を用いて共に速度v=500mm/sで電磁誘導加熱装置4に送り、加熱の仕事率と周波数を調整し、予め被覆仕掛品3が電磁誘導加熱装置4から離れる場合に、外層管材301と内層管材302における複合すべき表面が目標温度T=1150℃まで加熱され、目標温度Tになる場合に芯棒2を介して予め被覆仕掛品3を漸進的傾斜圧延機器5に送り圧延を行う。
ステップS3は、漸進的に傾斜圧延して複合する。漸進的傾斜圧延機器5の圧延ロール501と間隔板502を調整し、形状D=50mmとなるように目標穴の形状を設定し、漸進的傾斜圧延機器5を起動させ、芯棒搬送車1を用いて芯棒2と予め被覆仕掛品3を共に漸進的傾斜圧延機器5に送り、予め被覆仕掛品3を、芯棒2、圧延ロール501及び間隔板502で共に囲まれたローラー隙間に送り漸進的に傾斜圧延と複合を行い、入り口円角領域5011、入り口円錐領域5012、漸進的肉減少領域5013、仕上領域5014、出口円錐領域5015及び出口円角領域5016を経て、直径が次第に減り、肉が次第に薄くなり、複合界面を冶金して結合することが実現される。最終的に圧延された複合薄肉管を取得すると、送り軌道6を介して送る。
ステップS4は、熱処理を制御する。最終的に圧延された複合薄肉管について先端と尾端を取り除いて、所定のサイズに従って切断し、熱処理を経て目標組織性能を取得すると、仕上げられた複合薄肉管を取得する。