IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日陸の特許一覧

<>
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図1
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図2
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図3
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図4
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図5
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図6
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図7
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図8
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図9
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図10
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図11
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図12
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図13
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図14
  • 特開-タンクコンテナ用の安全防護具 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086570
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】タンクコンテナ用の安全防護具
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/22 20060101AFI20240620BHJP
   E06C 5/32 20060101ALI20240620BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20240620BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D90/22 Z
E06C5/32
E04G21/32 C
B65D90/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175157
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2022200807
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596059141
【氏名又は名称】NRS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186026
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 研自
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】和田 三四郎
【テーマコード(参考)】
2E044
3E170
【Fターム(参考)】
2E044AA07
2E044EE13
3E170AA02
3E170AA22
3E170AB01
3E170AB11
3E170BA10
3E170QA02
3E170RA02
3E170VA16
3E170WF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】梯子等の昇降用具を使用して作業員がタンクコンテナの上部に昇り降りする際に、作業員を落下の危険から防護することが可能なタンクコンテナ用の安全防護具を提供する。
【解決手段】車両により運搬されるタンクコンテナの上部に昇降する作業員を落下の危険から防護するタンクコンテナ用の安全防護具である。本安全防護具50は、タンクコンテナの上部に作業員が昇降するための梯子に沿って配置され、タンクコンテナの上端部に配置されたコーナー金具に係止される係止部54を上部に備えるとともに、タンクコンテナの下端部に配置されたコーナー金具に挿入した状態で回転させることで抜け止め状態に固定される固定部を下部に備える支柱部材51と、支柱部材51の上端部に取り付けられ、作業員に連結された補助ワイヤーを巻き取り可能な安全ブロックと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両により運搬されるタンクコンテナの上部に昇降する作業員を落下の危険から防護するタンクコンテナ用の安全防護具において、
前記タンクコンテナの上部に前記作業員が昇降するための昇降用具に沿って配置され、前記タンクコンテナの上端部に配置されたコーナー金具に係止される係止部を上部に備えるとともに、前記タンクコンテナの下端部に配置されたコーナー金具に挿入した状態で回転させることで抜け止め状態に固定される固定部を下部に備える支柱部材と、
前記支柱部材の上端部に取り付けられ、前記作業員に連結された補助ワイヤーを巻き取り可能な巻取手段と、
を備えるタンクコンテナの安全防護具。
【請求項2】
前記巻取手段は、前記補助ワイヤーに前記作業員の体重を支持する張力を付与して巻き取る請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具。
【請求項3】
前記巻取手段は、水平面内において回転可能に配置された請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具。
【請求項4】
前記支柱部材は、カーボン繊維を用いた繊維強化プラスチックからなる請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具。
【請求項5】
前記支柱部材の係止部は、側面略L字形状に形成され、前記タンクコンテナの上端部に配置されたコーナー金具の上端面に開口された係合孔に先端を挿入することにより係止される請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具。
【請求項6】
前記支柱部材の固定部には、回動操作することにより前記タンクコンテナの下端部に配置されたコーナー金具の係合孔に挿入した状態で固定片を回転させる操作レバーを備える請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具。
【請求項7】
前記昇降用具は、前記タンクコンテナの後方の一側部に当該タンクコンテナの鉛直方向に沿って設けられた梯子からなる請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクコンテナ用の安全防護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンクコンテナの安全防護具に関する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、液体もしくは粉体の送出入を可能にする開閉可能なマンホールを上面に備える前後方向に長いタンク、該タンクの両側面の前端と後端との各々に立設配置されている支柱及び該支柱の内、タンクの各側面に配置された一対の支柱を互いに連結している梁材とを含む枠体、該タンクの上方で且つ少なくとも一方の梁材に沿って配置されている、タンクの前後方向に伸びる足場、そして該足場に近接してタンクの上下に架けられている梯子を備えるタンクコンテナに、上記梯子に近接する梁材もしくは足場にタンクの前後方向に沿って互いに間隔をあけて接続され、該梁材もしくは足場との接続部位を支点とする前後方向の回転により立ち上げ可能な複数の支柱と、該複数の支柱の間に架設され、各支柱との接続部位を支点とする上記回転により上昇する手摺りとが備えられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-131332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、梯子等の昇降用具を使用して作業員がタンクコンテナの上部に昇り降りする際に、作業員を落下の危険から防護することが可能なタンクコンテナ用の安全防護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、車両により運搬されるタンクコンテナの上部に昇降する作業員を落下の危険から防護するタンクコンテナ用の安全防護具において、
前記タンクコンテナの上部に前記作業員が昇降するための昇降用具に沿って配置され、前記タンクコンテナの上端部に配置されたコーナー金具に係止される係止部を上部に備えるとともに、前記タンクコンテナの下端部に配置されたコーナー金具に挿入した状態で回転させることで抜け止め状態に固定される固定部を下部に備える支柱部材と、
前記支柱部材の上端部に取り付けられ、前記作業員に連結された補助ワイヤーを巻き取り可能な巻取手段と、
を備えるタンクコンテナの安全防護具である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記巻取手段は、前記補助ワイヤーに前記作業員の体重を支持する張力を付与して巻き取る請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記巻取手段は、水平面内において回転可能に配置された請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記支柱部材は、カーボン繊維を用いた繊維強化プラスチックからなる請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記支柱部材の係止部は、側面略L字形状に形成され、前記タンクコンテナの上端部に配置されたコーナー金具の上端面に開口された係合孔に先端を挿入することにより係止される請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記支柱部材の固定部には、回動操作することにより前記タンクコンテナの下端部に配置されたコーナー金具の係合孔に挿入した状態で固定片を回転させる操作レバーを備える請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具である。
【0012】
請求項7に記載された発明は、前記昇降用具は、前記タンクコンテナの後方の一側部に当該タンクコンテナの鉛直方向に沿って設けられた梯子からなる請求項1に記載のタンクコンテナ用の安全防護具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、梯子等の昇降用具を使用して作業員がタンクコンテナの上部に昇り降りする際に、作業員を落下の危険から防護することが可能なタンクコンテナ用の安全防護具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本実施の形態1に係る安全防護具を示す斜視構成図である。
図2図2は本実施の形態1に係る安全防護具を適用し得るタンクコンテナを示す斜視構成図である。
図3図3はタンクコンテナを運搬する車両を示す概略斜視図である。
図4図4はタンクコンテナのコーナー金具を示す斜視図である。
図5図5は本実施の形態1に係る安全防護具の上部を示す斜視構成図である。
図6図6(a)(b)は本実施の形態1に係る安全防護具の使用状態を示す正面図及び側面図である。
図7図7は本実施の形態1に係る安全防護具の下端部を示す一部破断の側面図である。
図8図8(a)(b)は本実施の形態1に係る安全防護具の固定解除状態と固定状態を示す構成図である。
図9図9は本実施の形態1に係る安全防護具の上部の動作を示す斜視構成図である。
図10図10は本実施の形態1に係る安全防護具の使用状態を示す説明図である。
図11図11は本実施の形態2に係る安全防護具を示す斜視構成図である。
図12図12は本実施の形態2に係る安全防護具の支柱部材を分割した状態を示す斜視構成図である。
図13図13は本実施の形態2に係る安全防護具の下端部を示す一部破断の側面図である。
図14図14は本実施の形態2に係る安全防護具の上部の動作を示す斜視構成図である。
図15図15(a)(b)は本実施の形態2に係る安全防護具の使用状態を示す正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るタンクコンテナ用の安全防護具を示す一部破断の斜視構成図である。
【0017】
タンクコンテナ1は、図2に示されるように、直方体形状の箱体として構成される通常のコンテナと異なり、液体や粉体等の内容物を収容した略円筒形状のタンク本体2を直方体形状の枠体3に内挿するよう固定して取り付けることで構成されている。
【0018】
国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)では、輸送インフラの共通化を図り、輸送作業の効率化を担保するため、コンテナを規格化しており、ISO規格のコンテナは、その外寸(外形寸法)がコンテナを製造したメーカーにかかわらず同一の寸法となっている。ISO規格のコンテナには、20フィート、40フィートなど、複数サイズのものが用意されている。
【0019】
タンクコンテナ1は、通常のコンテナと同様、直方体形状の枠体3がISO等の規格に適合したサイズに形成されている。タンクコンテナ1は、例えば、20フィートの規格に沿ったものであれば、枠体3は、外寸が縦6058mm、横2438mm、高さ2591mmに設定される。
【0020】
タンク本体2は、ステンレス等の金属により略円筒形状に形成されている。タンク本体2は、その上端面の前方に、内容物である液体や粉体の流入や流出などを可能とする開閉可能なマンホール4を備えている。そのため、タンクコンテナ1は、タンク本体2の内部に液体や粉体等の内容物を流入乃至流出させる際など、作業員がタンク本体2の上部に昇ってマンホール4を開閉する操作を行う必要がある。
【0021】
タンクコンテナ1の枠体3は、上部に配置される平面矩形状の上部枠体5と、下部に配置される平面矩形状の下部枠体6を、角部に各々配置される4本の支柱7~10によって互いに連結した直方体形状の文字通り枠体として構成されている。上部枠体5は、タンクコンテナ1の長手方向に沿って配置された相対的に長い上部縦梁11,12と、タンクコンテナ1の長手方向と交差する短手方向に沿って配置された相対的に短い上部横梁13,14を平面矩形状に連結して構成されている。同様に、下部枠体6は、タンクコンテナ1の長手方向に沿って配置された相対的に長い下部縦梁15,16と、タンクコンテナ1の長手方向と交差する短手方向に沿って配置された相対的に短い下部横梁17、18を平面矩形状に連結して構成されている。上部枠体5の上部横梁13,14と支柱7~10は、図2及び図3に示されるように、短い筋交い19~22によって互いに連結されている。また、下部枠体6の上部横梁17、18と支柱7~10は、同じく短い筋交い23~26によって互いに連結されている。
【0022】
タンクコンテナ1の枠体3には、図2に示されるように、通常のコンテナと同様、各角部にコーナー金具27~34が溶接等の手段により取り付けられている。
【0023】
コーナー金具27~34は、タンクコンテナ1を吊り上げるための吊り上げ治具や、タンクコンテナ1を所定の位置に固定するための固定治具を挿入して連結固定するためのものである。コーナー金具27~34は、図4に示されるように、中空の略直方体形状に形成されている。コーナー金具27~34は、外部に露出した三方の面に、タンクコンテナ1を吊り上げるための吊り上げ治具や、タンクコンテナ1を所定の位置に固定するための固定治具を挿入して連結するための挿通孔35~37が開口されている。
【0024】
図4は、図2において、枠体3の後部右側の上端部に配置されるコーナー金具28を示している。コーナー金具27~34の上端面あるいは下端面に開口される挿通孔35は、いずれもタンクコンテナ1の長手方向に沿って開口された長孔から構成されている。また、コーナー金具27~34の側面に開口される挿通孔36,37は、いずれも鉛直方向に沿って開口された長孔から構成されている。
【0025】
円筒形状に形成されたタンク本体2は、図2に示されるように、直方体形状の枠体3に略内接した状態で固定して取り付けられている。タンク本体2の後端部には、その下方に内容物を取り出すバルブ38が設けられている。タンクコンテナ1の枠体3の上端部には、作業員が通る踏板39,40が幅方向に沿った両側且つ長手方向に沿って全長にわたり設けられている。
【0026】
タンクコンテナ1には、タンク本体2の後端部の一側にタンク本体2の上部に作業員が昇り降りするための昇降用具の一例としての梯子41が固定された状態で設けられている。
【0027】
ところで、タンクコンテナ1の梯子41は、アルミニウム等の金属からなる2本の縦木42,43に足を掛ける複数本の横木44を一定間隔で固定したものであるが、作業員が梯子41を昇り降りする際に手を掛ける部位は2本の縦木42,43と横木44のみしか存在せず、特に梯子41の上端部に手摺のようなものは設けられていない。そのため、タンクコンテナ1のタンク本体2の上部に作業員が昇り降りする際、特に、作業員が梯子41の上部に達した際に、作業員の体重を支持する部材がないため、作業員が足を踏み外してタンクコンテナ1から落下する危険性を有していた。
【0028】
特に、タンクコンテナ1は、図3に示されるように、当該タンクコンテナ1を運搬するトラックやトレーラー等の運搬車両45の上部に載置されて運搬される。そのため、タンクコンテナ1の上部は、運搬車両45の荷台の高さを含めて相当な高さとなり、タンクコンテナ1の上部から作業員が誤って落下すると大怪我をする危険性があった。
【0029】
近年、タンクコンテナ1の需要は飛躍的に増加しており、SDGs等の提唱とともに様々な作業の安全性が見直されており、タンクコンテナ1を操作乃至取り扱う作業員の安全性を確保することが求められてきている。
【0030】
そこで、この実施の形態1に係るタンクコンテナの安全防護具は、梯子等の昇降用具を使用して作業員がタンクコンテナの上部に昇り降りする際に、作業員を落下の危険から防護することが可能なタンクコンテナ用の安全防護具を提供するため、車両により運搬されるタンクコンテナの上部に昇降する作業員を落下の危険から防護するタンクコンテナ用の安全防護具において、タンクコンテナの上部に前記作業員が昇降するための昇降用具に沿って配置され、タンクコンテナの上端部に配置されたコーナー金具に係止される係止部を上部に備えるとともに、前記タンクコンテナの下端部に配置されたコーナー金具に挿入した状態で回転させることで抜け止め状態に固定される固定部を下部に備える支柱部材と、支柱部材の上端部に取り付けられ、前記作業員に連結された補助ワイヤーを巻き取り可能な巻取手段と、を備えるように構成されている。
【0031】
すなわち、この実施の形態1に係るタンクコンテナの安全防護具50は、図1に示されるように、大別して、タンクコンテナ1の上部に作業員が昇降するための梯子41に沿って配置される支柱部材51と、支柱部材51の上端部に取り付けられ、作業員に連結された補助ワイヤーを巻き取り可能な巻取手段の一例としての安全ブロック52(図6参照)とを備えるように構成されている。
【0032】
支柱部材51は、タンクコンテナ1の上部に作業員が昇降するための梯子41に沿って配置される支柱部材本体53を備えている。支柱部材本体53は、例えば、カーボン繊維を用いた繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics):以下、「CFRP」という。)からなる細長い円筒形状に形成されている。支柱部材本体53をCFRPから構成した場合には、ステンレスやアルミニウム等の金属と比較して軽量であって且つ強度的に強く、操作性及び安全性を確保する上で優れている。
【0033】
支柱部材本体53の上部には、図1及び図5に示されるように、タンクコンテナ1の上端部に配置されたコーナー金具28に係止される係止部54が設けられている。係止部54は、支柱部材本体53と同じくCFRP又はアルミニウム(A7075)等の金属からなり、側面略コ字形状の剛体により形成されている。係止部54は、支柱部材本体53に固定される固定部55と、固定部55と対向する対向部の上端部から水平方向に沿った外方へ向けて延在された中間部57と、中間部57の先端に下方へ向けてL字形状に折り曲げた状態で設けられた係合部58とを備えている。係止部54の固定部55は、中間部57及び係合部58と分離されており、中間部57の対向部と共に支柱部材本体53を挟持した状態でネジ56止め等の手段によって支柱部材本体53の所定位置に固定されている。なお、係止部54の固定部55は、支柱部材本体53に挿通される挿通孔を有して、支柱部材本体53に挿通された状態でネジ56止め等の手段によって支柱部材本体53の所定位置に固定されるように構成しても良い。
【0034】
支柱部材本体53は、図5に示されるように、係止部54の係合部58をタンクコンテナ1の上端部に配置されたコーナー金具28の挿通孔35に上方から挿入して係合することによって、タンクコンテナ1の上端部に係止される。なお、係合部58の固定部55側に位置する側面は、コーナー金具28の挿通孔35に合致した断面円弧形状に形成するのが望ましい。
【0035】
また、支柱部材51は、図1に示されるように、タンクコンテナ1の下端部に配置されたコーナー金具33に固定される固定部60を下端部に備えている。したがって、支柱部材51の係止部54と固定部60は、支柱部材本体53の長手方向に沿ってタンクコンテナ1の高さに対応した距離を隔てて配置されている。
【0036】
固定部60は、図7に示されるように、係止部54と同じくCFRP又はアルミニウム(A7075)等の金属からなり、縦長の直方体状に形成されている。固定部60は、その前面側の上方に位置する一部(着脱部)が固定部60と分離されており、当該着脱部と共に支柱部材本体53の下端部を挟持した状態でネジ62等の手段によって固定されて取り付けられている。なお、固定部60は、支柱部材本体53に挿通される図示しない挿通孔を有し、支柱部材本体53の下端部に挿通された状態でネジ62止め等の手段によって固定されるように構成しても良い。
【0037】
固定部60の下部には、回転軸63が回転可能に設けられている。回転軸63の外側に位置する端部には、当該回転軸63を回転操作するための操作ハンドル64が固定した徐状態で取り付けられている。
【0038】
また、回転軸63の内側(タンクコンテナ1側)に位置する端部には、タンクコンテナ1の下端部に配置されたコーナー金具32の挿通孔36に挿入した状態で回転させることで抜け止め状態に固定される固定板65が設けられている。固定板65は、図8に示されるように、細長い平面矩形状の平板又は側面略台形状の剛体から構成されている。
【0039】
固定部60は、図8(a)(b)に示されるように、回転軸63の先端に固定された固定板65をタンクコンテナ1の下端部に配置されたコーナー金具32の挿通孔36に正面から挿入し、操作ハンドル64を90度回転させる回転操作を行うことにより、固定板65をコーナー金具32の挿通孔36の内部に係止させることで固定される。なお、固定板65は、操作ハンドル64の向きと一致するよう回転軸63に取り付けられている。したがって、操作ハンドル64が鉛直方向に位置するときは、図8(a)に示されるように、固定板65も縦方向を向いている。また、操作ハンドル64が水平方向に位置するときは、図8(b)に示されるように、固定板65も水平方向を向いており、コーナー金具32の挿通孔36に挿入されて固定された状態となっている。
【0040】
さらに、支柱部材本体53の上端部には、図1に示されるように、安全ブロック52を吊り下げた状態で取り付けるための吊り下げ用ブロック部材70が設けられている。吊り下げ用ブロック部材70は、支柱部材本体53と同じくCFRP又はアルミニウム(A7075)等の金属からなり、側面略I字形状の剛体により形成されている。吊り下げ用ブロック部材70は、支柱部材本体53に挿通孔を介して挿通された状態で、その上下に配置された固定リング71,72によって支柱部材本体53の上端部にネジ73止め等の手段により固定されている。
【0041】
また、吊り下げ用ブロック部材70は、固定リング71,72によって上下方向の位置が固定されているが、水平面内において360度回転可能に取り付けられている。ただし、吊り下げ用ブロック部材70は、作業員の操作性などを考慮して360度より小さい角度(例えば、270度程度)にわたり回転可能となるよう回転角度を規制するように構成しても良い。
【0042】
吊り下げ用ブロック部材70の側方に延びたアーム部74には、図1に示されるように、その先端部に安全ブロック52を取り付けるための略U字形状の金具75がボルト76とナット77等により取り付けられている。吊り下げ用ブロック部材70の金具75には、図6に示されるように、安全ブロック52がカラビナ78等を介して取り付けられている。
【0043】
安全ブロック52は、作業員を落下から防護するための部材である。安全ブロック52には、作業員の体に連結されるワイヤー(あるいはロープ)80を巻き取り可能に収容している。ワイヤー80の先端には、錘81及びフック82が取り付けられている。
【0044】
安全ブロック52は、作業員の落下発生時に、ワイヤー80にロックが掛かり落下を防止する。また、安全ブロック52は、作業員の通常の移動時に、ワイヤー80がスムーズに引き出されたたり、ワイヤー80に一定のテンションを掛けて作業員の体重を支持した状態で巻き取り可能に構成されており、作業員の行動を妨げることがないよう構成されている。
【0045】
以上の構成において、この実施の形態1に係るタンクコンテナ用の安全防護具は、次のようにして、梯子等の昇降用具を使用して作業員がタンクコンテナの上部に昇り降りする際に、作業員を落下の危険から防護することが可能となっている。
【0046】
すなわち、この実施の形態1に係るタンクコンテナ用の安全防護具50は、通常、図3に示されるように、タンクコンテナ1を運搬する運搬車両45の荷台45a等の所定の収納位置に収納されている。タンクコンテナ1を運搬する運搬車両45が所定の場所に到着し、タンクコンテナ1のタンク本体2の上部に作業員が昇る際には、所定の収納位置に収納されたタンクコンテナ用の安全防護具50が作業員によって取り出される。
【0047】
タンクコンテナ1は、通常のコンテナと異なり、タンク本体2の内部に内容物を収容する際や、目的地において、タンク本体2の内部に収容された内容物を取り出す際など、タンク本体2の上端部に設けられたマンホール4等を開閉する操作などを行う必要がある。そのため、作業員は、タンクコンテナ1が輸送車両45の荷台45a上に載せられた状態で、タンクコンテナ1の上部に昇ってマンホール4の開閉操作などを行う必要がある。
【0048】
作業員90によって取り出されたタンクコンテナ用の安全防護具50は、図10に示されるように、タンクコンテナ1の枠体3に装着される。その際、安全ブロック52は、ワイヤー80が最下端部まで引き出された状態となっている。タンクコンテナ用の安全防護具50は、図5に示されるように、その係止部54が作業員90によってタンクコンテナ1の枠体3の上端部に位置するコーナー金具28に係止される。
【0049】
また、タンクコンテナ用の安全防護具50は、図7に示されるように、その下端部に位置する固定部60が作業員90によってタンクコンテナ1の枠体3の下端部に位置するコーナー金具32に固定される。
【0050】
その後、タンクコンテナ用の安全防護具50は、図10に示されるように、安全ブロック52のワイヤー80の先端に取り付けられたフック82が作業員90の安全ベルト91に係止されることにより、作業員90が安全ブロック52のワイヤー80に連結された状態となる。
【0051】
そして、作業員90は、運搬車両45の荷台45aに昇り、更にタンクコンテナ1に設けられた梯子41を介してタンクコンテナ1の上端部に昇る。このとき、作業員90の安全ベルト91に連結されたワイヤー81は、作業員90がタンクコンテナ1の上端部に昇る動作に伴って安全ブロック52に所定のテンションで巻き取られる。
【0052】
仮に、作業員90がタンクコンテナ1の上端部に昇る際に梯子41を踏み外したり、不本意にバランスを崩してタンクコンテナ1から落下しそうになった場合であっても、作業員90の体は、安全ブロック52の作用によってワイヤー81がロックされ、作業員90が地上に落下することが防止される。
【0053】
その際、作業員90の体は、安全ブロック52の作用によってワイヤー81がロックされて支持されているため、姿勢を立て直してタンクコンテナ1の梯子41等に掴まることにより安全にタンクコンテナ1から降りることが可能となる。
【0054】
タンクコンテナ用の安全防護具50をタンクコンテナ1から取り外す際は、固定部60の操作ハンドル64を反時計回り方向に90度回転させることで、固定板65によるタンクコンテナ1のコーナー金具32との連結が解除され、固定部60を手前に引き出すとともに、支柱部材本体53を上方へ持ち上げることにより、係止部54とタンクコンテナ1のコーナー金具28との係止状態が解除され、タンクコンテナ1から容易に取り外すことができる。
【0055】
[実施の形態2]
図11は本発明の実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具を示す一部破断の斜視構成図である。
【0056】
タンクコンテナ用の安全防護具50は、支柱部材51の支柱部材本体53がタンクコンテナ1の高さ以上の長さを有する長尺な部材であるため、支柱部材51を収納場所から取り出してタンクコンテナ1の所要の位置に設置する際の取り回しなどの可搬性が低いという技術的課題を有している。
【0057】
また、タンクコンテナ用の安全防護具50は、支柱部材51の支柱部材本体53が長尺であるため、収納する場所が限定されてしまい、収納性が低いという技術的課題も有している。
【0058】
さらに、タンクコンテナ用の安全防護具50が使用されるタンクコンテナ1は、タンク本体2の容量に応じて種々のサイズのものが製造されている。タンクコンテナ1のタンク本体2の容量としては、例えば、7m、10.15mm、12m、13m、16.1m、23.3mm、36.5mなどである。
【0059】
タンクコンテナ1は、図2に示されるように、その容量に応じて支柱7~10の長さが異なり、それに伴って下部枠体6の下部横梁17に対する上部横梁13の高さが異なる。タンクコンテナ1の高さは、タンク本体2の容量が7mの場合2326mm、10.15mmの場合2438mm、12mの場合種類によって1980mm及び2134mm、16.1mの場合2591mm、23.3mmの場合2670mm、36.5mの場合2740mmなどと区々である。
【0060】
そのため、タンクコンテナ用の安全防護具50は、支柱部材51の支柱部材本体53の長さが一種類のみである場合、安全防護具50がタンクコンテナ1の高さに適合せず使用することができないか、使用したとしても当該安全防護具50をタンクコンテナ1に確実に固定することができず、タンクコンテナ1の上部で作業を行う作業員の安全が必ずしも確保されない虞れがあるという技術的課題を有している。
【0061】
そこで、本発明の実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具は、支柱部材を複数の部材に分割して当該支柱部材の長さを調節可能としたものである。
【0062】
また、本発明の実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具では、支柱部材は、高さが異なるタンクコンテナ1に対しても適用可能に構成されている。
【0063】
すなわち、本発明の実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具50は、図11及び図12に示されるように、支柱部材51の支柱部材本体53が上端部53aと下端部53bの2つの部材に分割されている。支柱部材本体53の上端部53a及び下端部53bは、いずれも長尺な円筒形状に形成されている。また、支柱部材本体53は、下端部53bの外径が上端部53aの外径より小さく設定されており、下端部53bが上端部53aの内部に挿入可能に構成されている。
【0064】
支柱部材本体53の上端部53aには、下端部53bを挿入した状態で、当該下端部53bを固定する収納用の調節孔を含む複数(図示例では、2つ)の調節孔101,102が穿孔されている。支柱部材本体53の上端部53aの調節孔101には、下端部53bに設けられた調節孔を貫通した状態で固定するロックピン103が挿通されるようになっている。
【0065】
支柱部材本体53の上端部53aには、図12に示されるように、例えば、2つの調整孔101,102が穿孔されており、支柱部材本体53の下端部53bにも収納用の調節孔104及び複数(図示例では、4つ)の調節孔105~108が穿孔されている。
【0066】
収納用の調節孔104は、支柱部材本体53の下端部53bにおける固定部60寄りの位置に設けられている。
【0067】
そして、支柱部材本体53は、上端部53aの2つの調整孔101,012と、下端部53bの4つの調整孔105~108を組み合わせることにより、支柱部材本体53の長さを8段階に調節可能となっている。
【0068】
また、本実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具50では、係止部54の位置をタンクコンテナ1のコンテナフレームの高さに合わせて調節するように構成しても良い。
【0069】
このように、支柱部材本体53の長さを8段階に調節可能とすることにより、タンクコンテナ1の高さに応じて、タンク本体2の容量が7mの場合2326mm、10.15mmの場合2438mm、12mの場合種類によって1980mm及び2134mm、16.1mの場合2591mm、23.3mmの場合2670mm、36.5mの場合2740mmなどに対応することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具50は、図13に示されるように、固定部60の操作ハンドル64の回転軸63に弾性部材の一例として圧縮スプリングからなるコイルスプリングSが挿入されており、固定板65をコーナー金具32の挿通孔36の端面に確実に当接させるように構成されている。固定板65をコーナー金具32の挿通孔36の端面に確実に当接させることにより、固定板65の位置ずれ等により、固定部60がコーナー金具32から離間するのを防止することが可能となる。
【0071】
以上の構成において、本実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具では、次のようにして、高さの異なる複数のタンクコンテナにおいて、梯子等の昇降用具を使用して作業員がタンクコンテナの上部に昇り降りする際に、作業員を落下の危険から防護することが可能となっている。
【0072】
すなわち、本実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具50は、図11に示されるように、収納時、支柱部材51の支柱部材本体53における上端部53aの内部に下端部53bを収容することにより、支柱部材本体53の長さを使用時に比較して1/3~1/2程度に短縮することが可能となる。
【0073】
そのため、タンクコンテナ用の安全防護具50は、支柱部材51の支柱部材本体53の長さが大幅に短縮され、可搬性や収納性を向上させることができる。
【0074】
また、本実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具50は、図12に示されるように、支柱部材本体53の上端部53aの2つの調整孔と、下端部53bの3つの調整孔を組み合わせることにより、支柱部材本体53の長さを8段階に調節することができる。
【0075】
その結果、タンク本体2の容量に応じて7mの場合2326mm、10.15mmの場合2438mm、12mの場合種類によって1980mm及び2134mm、16.1mの場合2591mm、23.3mmの場合2670mm、36.5mの場合2740mmというように、コンテナフレームの高さが異なるタンクコンテナ1に対しても、支柱部材本体53の長さをコンテナフレームの高さに応じて調節することで、タンクコンテナ用の安全防護具50をタンクコンテナ1に確実に固定することができ、作業員の安全性を担保することが可能となる。
【0076】
本実施の形態2に係るタンクコンテナ用の安全防護具50は、通常、図3に示されるように、タンクコンテナ1を運搬する運搬車両45の荷台45a等の所定の収納位置に収納されている。タンクコンテナ1を運搬する運搬車両45が所定の場所に到着し、タンクコンテナ1のタンク本体2の上部に作業員が昇る際には、所定の収納位置に収納されたタンクコンテナ用の安全防護具50が作業員によって取り出される。
【0077】
作業員90によって取り出されたタンクコンテナ用の安全防護具50は、図11に示されるように、支柱部材51の支柱部材本体53における上端部53aの2つの調整孔101,012と、下端部53bの4つの調整孔105~108を適宜組み合わせることにより、支柱部材本体53の長さをタンクコンテナ1のコンテナフレームの高さに適合した長さに調節されてロックピン103によって固定される。
【0078】
そして、支柱部材51の長さが調節されたタンクコンテナ用の安全防護具50は、図14に示されるように、その係止部54が作業員90によってタンクコンテナ1の枠体3の上端部に位置するコーナー金具28に係止される。
【0079】
また、タンクコンテナ用の安全防護具50は、図15に示されるように、その下端部に位置する固定部60が作業員90によってタンクコンテナ1の枠体3の下端部に位置するコーナー金具32に固定される。
【0080】
その後、タンクコンテナ用の安全防護具50は、図15に示されるように、安全ブロック52のワイヤー80の先端に取り付けられたフック82が作業員90の安全ベルト91に係止されることにより、作業員90が安全ブロック52のワイヤー80に連結された状態となる。
【0081】
また、タンクコンテナ用の安全防護具50をタンクコンテナ1から取り外す際は、固定部60の操作ハンドル64を反時計回り方向に90度回転させることで、固定板65によるタンクコンテナ1のコーナー金具32との連結が解除され、固定部60を手前に引き出すとともに、支柱部材本体53を上方へ持ち上げることにより、係止部54とタンクコンテナ1のコーナー金具28との係止状態が解除され、タンクコンテナ1から容易に取り外すことができる。
【0082】
そして、タンクコンテナ1から取り外されたタンクコンテナ用の安全防護具50は、図11に示されるように、支柱部材51の支柱部材本体53における上端部53aの内部に下端部53bが収納されて長さが短縮された状態で、ロックピン103によって固定される。
【0083】
そのため、収納時、タンクコンテナ用の安全防護具50は、支柱部材51の長さが大幅に短くなり、取り回しや収納作業を容易に行うことができる。
【0084】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0085】
1…タンクコンテナ
2…タンク本体
3…枠体
4…マンホール
41…梯子
50…タンクコンテナの安全防護具
51…支柱部材
52…安全ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15