IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JapanTaxi株式会社の特許一覧

特開2024-86572情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086572
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240620BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176436
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2022200832の分割
【原出願日】2022-12-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年12月12日、ウェブサイト(https://mo-t.com/news/pr/2022/12/12/auayzwmrowbjpuvurmjtp/)に掲載。 ほか
(71)【出願人】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷 歴
(72)【発明者】
【氏名】藤井 海太
(72)【発明者】
【氏名】西川 大亮
(72)【発明者】
【氏名】織田 拓磨
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】車両が蓄電池を利用しやすくする。
【解決手段】情報処理装置1は、複数の車両Vそれぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び設置場所を示す利用計画を作成する計画作成部134と、利用計画に基づいて、複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定する所要数特定部136と、所要数とに基づいて、設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定する配送数決定部137と、を有する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両それぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び前記設置場所を示す利用計画を作成する計画作成部と、
前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定する所要数特定部と、
前記所要数に基づいて、前記設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定する配送数決定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の車両の蓄電池の残量を示す電力残量データを取得する電力残量取得部をさらに有し、
前記計画作成部は、前記電力残量データが示す電力によって走行できる距離に基づいて、前記車両が走行を開始してから、前記電力残量データが示す電力によって走行できる距離を走行するために要する時間が経過する前に利用予定日時を設定した前記利用計画を作成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の車両の蓄電池の残量を示す電力残量データを取得する電力残量取得部をさらに有し、
前記計画作成部は、前記車両の種別と、前記車両に搭載されている蓄電池の仕様との組み合わせに対応する、前記蓄電池の電力残量と前記車両が走行可能な距離との関係を示す走行可能距離データを用いて前記利用計画を作成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の設置場所それぞれの属性を記憶する記憶部をさらに有し、
前記配送数決定部は、前記記憶部に記憶された属性を参照することにより、蓄電池の性能に影響する前記複数の設置場所それぞれの属性に対応する仕様の蓄電池の前記配送数を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記計画作成部は、前記設置場所の蓄電池を用いて前記車両の蓄電池を充電するために要する時間、又は前記設置場所の蓄電池と前記車両の蓄電池とを交換するために要する時間よりも長く停車する確率が相対的に高い場所を前記設置場所に決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
蓄電池の利用の利用日時及び設置場所を含む予約を受け付ける予約部をさらに有し、
前記所要数特定部は、前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である第1所要数を特定し、前記予約部が受け付けた前記予約の内容に基づいて、前記設置場所に設けておく蓄電池の数である第2所要数を特定し、前記第1所要数に前記第2所要数を加算することにより前記設置場所に設けておく蓄電池の所要数を特定する
請求項2から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
複数の車両それぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び前記設置場所を示す利用計画を作成するステップと、
前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定するステップと、
前記所要数に基づいて、前記設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の車両それぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び前記設置場所を示す利用計画を作成するステップと、
前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定するステップと、
前記所要数に基づいて、前記設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に充電をするための充電スタンドに蓄電池を設置することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-78235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が蓄電池を利用する確率が高い場所に蓄電池を設置しないと、蓄電池の利用頻度が低く無駄が生じてしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両が蓄電池を利用しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、複数の車両それぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び前記設置場所を示す利用計画を作成する計画作成部と、前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定する所要数特定部と、前記所要数に基づいて、前記設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定する配送数決定部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記複数の車両の蓄電池の残量を示す電力残量データを取得する電力残量取得部をさらに有し、前記計画作成部は、前記電力残量データが示す電力によって走行できる距離に基づいて、前記車両が走行を開始してから、前記電力残量データが示す電力によって走行できる距離を走行するために要する時間が経過する前に利用予定日時を設定した前記利用計画を作成してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記複数の車両の蓄電池の残量を示す電力残量データを取得する電力残量取得部をさらに有し、前記計画作成部は、前記車両の種別と、前記車両に搭載されている蓄電池の仕様との組み合わせに対応する、前記蓄電池の電力残量と前記車両が走行可能な距離との関係を示す走行可能距離データを用いて前記利用計画を作成してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記複数の設置場所それぞれの属性を記憶する記憶部をさらに有し、前記配送数決定部は、前記記憶部に記憶された属性を参照することにより、蓄電池の性能に影響する前記複数の設置場所それぞれの属性に対応する仕様の蓄電池の前記配送数を決定してもよい。
【0010】
前記計画作成部は、前記設置場所の蓄電池を用いて前記車両の蓄電池を充電するために要する時間、又は前記設置場所の蓄電池と前記車両の蓄電池とを交換するために要する時間よりも長く停車する確率が相対的に高い場所を前記設置場所に決定してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、蓄電池の利用の利用日時及び設置場所を含む予約を受け付ける予約部をさらに有し、前記所要数特定部は、前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である第1所要数を特定し、前記予約部が受け付けた前記予約の内容に基づいて、前記設置場所に設けておく蓄電池の数である第2所要数を特定し、前記第1所要数に前記第2所要数を加算することにより前記設置場所に設けておく蓄電池の所要数を特定してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、コンピュータが実行する、複数の車両それぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び前記設置場所を示す利用計画を作成するステップと、前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定するステップと、前記所要数に基づいて、前記設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、複数の車両それぞれが所定の設置場所に設置された蓄電池を利用する時刻及び前記設置場所を示す利用計画を作成するステップと、前記利用計画に基づいて、前記複数の車両が蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定するステップと、前記所要数に基づいて、前記設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両が蓄電池を利用しやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】情報処理システムSの概要を説明するための図である。
図2】情報処理装置1が作成した利用計画を含む走行計画の一例を示す図である。
図3】情報処理装置1の構成を示す図である。
図4】設置場所データの一例を示す図である。
図5】走行可能距離データの一例を示す図である。
図6】配車管理部138の動作を説明するための図である。
図7】利用予定日時が近づいた時点で車両端末2に表示される画面の例を示す図である。
図8】情報処理装置1が配送数を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、蓄電池に蓄えられた電力を使用して走行する車両Vが、他の蓄電池を利用することができる場所(以下、「設置場所」という。)に、適切な数の蓄電池を確保しておけるようにするためのシステムである。車両Vは、例えば、設置場所に設置されており車両Vの蓄電池の容量よりも大きな容量の蓄電池に蓄えられた電力の充電を受けることにより、設置場所に設置された蓄電池を利用する。車両Vは、設置場所に設置されており車両Vの蓄電池と同等の仕様で残量が多い蓄電池と、車両Vの蓄電池とを交換することにより、設置場所に設置された蓄電池を利用してもよい。
【0017】
車両Vは、例えばタクシー又はバスのように乗客を乗せて走行する電気自動車であるが、事業者自身の業務のために走行する電気自動車であってもよい。以下においては、車両Vがタクシーである場合を中心に説明する。
【0018】
図1に示す例においては、蓄電池の設置場所としてタクシー営業所、商業施設A、商標施設Bが例示されているが、設置場所は、複数の蓄電池を保管できる限りにおいて任意の場所でよい。車両Vの運転手は、走行中に蓄電池に蓄えられた電力の残量(以下、「電力残量」という。)が少なくなってきた場合に、設置場所において、例えば夜間電力を用いて十分に充電された蓄電池を利用することができる。なお、図1における三角形(△)は、蓄電池を模式的に示している。
【0019】
複数の設置場所には、例えば充電施設に収容されている蓄電池が、トラックTにより配送される。車両Vから取り出された蓄電池は、設置場所に保管された後に、トラックTにより回収される。回収された蓄電池は、例えば設置場所と異なる充電施設に設置された充電器により充電される。この際、回収された蓄電池は急速充電ではなく普通充電されることが望ましい。普通充電されることにより、蓄電池の劣化を抑制することができる。また、充電施設には、太陽光発電又は風力発電等のように自然エネルギーを利用した発電設備が設けられており、この発電設備で発電した電力を用いて蓄電池が普通充電されることが望ましい。蓄電池の設置場所に太陽光発電又は風力発電等のような発電設備が設けられており、この発電設備で発電した電力を用いて蓄電池が普通充電されてもよい。
【0020】
設置場所に設置された蓄電池が、車両Vの蓄電池と交換可能である場合、各設置場所には、蓄電池の残数を管理するためのコンピュータが設置されていてもよい。新たな蓄電池が配送されると、配送された蓄電池の数だけ充電済の蓄電池の残数が増え、充電済の蓄電池が車両Vに搭載されると、搭載された蓄電池の数だけ残数が減る。蓄電池が配送されて所定の場所に保管されたり、所定の場所から蓄電池が取り出されたりすることにより、自動的にコンピュータが管理する残数が変化するように構成されていてもよく、各設置場所の管理者の操作によってコンピュータが管理する残数が変化するように構成されていてもよい。なお、「充電済の蓄電池」は、車両Vに搭載されている使用済の蓄電池と交換することができる蓄電池であれば、満充電された状態でなくてもよい。
【0021】
情報処理装置1は、車両Vが蓄電池を利用する場所及び時刻を予測することにより、蓄電池の利用計画を作成する。情報処理装置1は、蓄電池を利用する予定に加えて、走行する予定の区間に関する情報も含む走行計画を作成してもよい。走行計画は、例えば1日単位で作成され、1日間に蓄電池を利用する予定及び走行する予定を含む。
【0022】
情報処理装置1は、例えば無線通信回線W及びネットワークNを介して車両V及びトラックTとの間でデータを送受信するように構成されている。詳細については後述するが、情報処理装置1は、例えば、車両Vから受信した電力残量データに基づいて、車両Vが蓄電池を利用する場所及び時刻を予測することにより利用計画を作成する。
【0023】
情報処理装置1は、作成した利用計画に基づいて、各設置場所に配送するべき蓄電池の数である配送数を決定する。情報処理装置1は、決定した配送数を、トラックT又はトラックTの運行管理をしているサーバに通知する。
【0024】
車両Vには、運転手が操作をしたり、表示された情報を見たりすることができる車両端末2が搭載されている。車両端末2は、無線通信回線W及びネットワークNを介して情報処理装置1との間でデータを送受信することができる。車両端末2は、情報処理装置1から受信した走行計画を表示する。運転手は、表示された走行計画を見ることによって、計画された日時に設置場所に移動して蓄電池を利用することができる。
【0025】
情報処理装置1は、車両Vに乗車したいユーザが使用するユーザ端末3から受信した配車依頼データを受信し、配車依頼データが示す乗車希望日時に配車するための管理をすることもできる。詳細については後述するが、情報処理装置1は、作成した利用計画も参照して、どの車両Vを配車するかを決定する。
【0026】
図2は、情報処理装置1が作成した利用計画を含む走行計画の一例を示す図である。図2に示す走行計画には、乗客を乗せて走行することが予約された実車の予定と、蓄電池を利用する予定を示す利用計画とが含まれている。蓄電池の利用予定には、設置場所を示す情報も含まれている。図2に示す走行計画においては実車の予定も示されているが、走行計画には電池利用の予定のみが含まれていてもよい。以下の説明において、予約された実車の区間を走行予約区間という場合がある。
【0027】
情報処理装置1は、このような走行計画における蓄電池の利用予定に基づいて、各設置場所において確保しておくべき蓄電池の数を算出し、各設置場所に保管されている充電済の蓄電池の数との差に基づいて配送数を算出する。情報処理装置1は、予め登録された複数の設置場所それぞれに対応する配送数を算出する。
【0028】
なお、情報処理装置1は、複数の車両Vの過去の走行履歴に基づいて複数の車両Vが停車しやすい場所を特定することにより、新たな設置場所を決定してもよい。情報処理装置1は、決定した設置場所において蓄電池を利用できる状況になった場合に、当該設置場所も、配送数を算出する対象に加えてもよい。
以下、情報処理装置1の構成及び動作を詳細に説明する。
【0029】
[情報処理装置1の構成]
図3は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、電力残量取得部131と、履歴取得部132と、電池残数取得部133と、計画作成部134と、予約部135と、所要数特定部136と、配送数決定部137と、配車管理部138と、を有する。
【0030】
通信部11は、情報処理装置1が車両V又はトラックTとの間でデータの送受信をするための通信インターフェースを含む。通信部11は、車両Vから電力残量を示す電力残量データを受信し、受信した電力残量データを電力残量取得部131に入力する。通信部11は、車両Vの現在位置や過去の走行位置を示す履歴データを受信し、受信した履歴データを履歴取得部132に入力する。また、通信部11は、計画作成部134が作成した走行計画を車両Vに送信したり、配送数決定部137が算出した配送数をトラックT又はトラックTの運行管理をしているサーバに送信したりする。
【0031】
さらに、通信部11は、各設置場所に設置されているコンピュータから、設置場所において利用可能な充電済の蓄電池の数、及び使用済の蓄電池の数等を示す電池残数データを取得し、取得した電池残数データを電池残数取得部133に入力する。
【0032】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、設置場所に関する情報を含む設置場所データを記憶する。
【0033】
図4は、設置場所データの一例を示す図である。図4に示す設置場所データにおいては、設置場所名と、設置場所の住所と、設置場所の属性と、充電済の蓄電池の数と、使用済の蓄電池の数と、が関連付けられている。設置場所データは、各設置場所から電池残数データが受信されるたびに更新される。
【0034】
なお、設置場所の属性は、蓄電池の性能に影響する設置場所の性質であり、例えば海に近いかどうかを示す。属性は、設置場所に保管することができる蓄電池の仕様であってもよい。図4に示す例においては、海から遠い設置場所の属性は0となっており、海に近い設置場所の属性は1になっている。設置場所データには、蓄電池の複数の種別それぞれに対応する充電済の蓄電池の数と使用済の蓄電池の数とが含まれていてもよい。設置場所データには、設置場所それぞれに設置された、蓄電池を充電する設備の数及び種別が含まれていてもよい。
【0035】
記憶部12は、計画作成部134が作成した走行計画を車両Vの識別情報に関連付けて記憶する。また、記憶部12は、履歴取得部132が走行計画を作成するために用いる各種のデータを記憶する。記憶部12は、例えば、車両Vの蓄電池の電力残量と車両Vが走行可能な距離との関係を示す走行可能距離データを記憶する。記憶部12は、車両Vの識別情報に関連付けて走行可能距離データを記憶してもよく、車両Vの種別に関連付けて走行可能距離データを記憶してもよい。記憶部12は、車両Vの種別と、車両Vに搭載されている蓄電池の仕様との組み合わせごとに走行可能距離データを記憶してもよい。
【0036】
図5は、走行可能距離データの一例を示す図である。図5に示す走行可能距離データにおいては、横軸に電力残量が示されており、縦軸に走行可能距離が示されている。電力残量は満充電のときの電力に対する割合で示される。図5に示す例においては、1%に相当する電力により車両Vが1kmを走行できるものとしている。
【0037】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、電力残量取得部131、履歴取得部132、電池残数取得部133、計画作成部134、予約部135、所要数特定部136、配送数決定部137及び配車管理部138として機能する。
【0038】
電力残量取得部131は、通信部11を介して、複数の車両Vの蓄電池の残量を示す電力残量データを取得する。電力残量データは、複数の車両Vそれぞれの蓄電池の種別を示すデータを含んでいてもよい。すなわち、電力残量データにおいては、蓄電池の種別と残量とが関連付けられていてもよい。電力残量データは、実際の残量を示すデータであってもよく、将来の日時において予想される残量を示すデータであってもよい。電力残量取得部131は、複数の車両Vそれぞれから電力残量データを取得してもよく、複数の車両Vの電力残量データを管理する外部装置から電力残量データを取得してもよい。電力残量取得部131は、取得した電力残量データを計画作成部134に入力する。
【0039】
履歴取得部132は、通信部11を介して、複数の車両Vの走行履歴を示す履歴データを取得する。電力残量取得部131は、車両Vから履歴データを取得してもよく、履歴データを管理する外部装置から履歴データを取得してもよい。電力残量取得部131は、取得した履歴データを計画作成部134に入力する。
【0040】
電池残数取得部133は、通信部11を介して、設置場所に残っている充電済の蓄電池の残数を示す電池残数データを取得する。電池残数取得部133は、複数の設置場所に対応する電池残数データを、複数の設置場所それぞれを識別するための情報に関連付けて取得する。充電済の蓄電池は、例えば、トラックTにより配送された蓄電池である。電池残数データには、充電済の蓄電池と交換された使用済の蓄電池の残数が含まれていてもよい。電池残数取得部133は、取得した電池残数データを配送数決定部137に通知する。電池残数取得部133は、電池残数データを記憶部12に記憶させることにより、電池残数データを配送数決定部137に通知してもよい。電池残数データは蓄電池の種別(例えば容量又は形状)ごとの残数を示すデータであってもよい。
【0041】
計画作成部134は、複数の車両Vそれぞれが蓄電池を利用する時刻(以下、「利用予定日時」という場合がある)及び設置場所を示す利用計画を作成する。計画作成部134は、作成した利用計画を所要数特定部136に入力する。計画作成部134は、例えば、電力残量データが示す電力によって走行できる距離に基づいて利用計画を作成する。具体的には、計画作成部134は、車両Vが走行を開始してから、電力残量データが示す電力によって走行できる距離を走行するために要する時間が経過する前に利用予定日時を設定した利用計画を作成する。
【0042】
計画作成部134は、複数の車両Vの過去の走行履歴を示す履歴データに基づいて、複数の車両Vそれぞれが複数の設置場所それぞれで蓄電池を利用する確率を算出し、算出した確率が相対的に高い場所を設置場所に決定してもよい。計画作成部134は、履歴データに基づいて、車両Vが走行する経路又はエリアを予測し、利用予定日時の時点で車両Vが走行している位置から相対的に近い設置場所が、蓄電池を利用する確率が高い設置場所であると判定する。計画作成部134は、例えば、車両Vの運転手が昼の休憩を取る確率が高い場所や、待機する確率が高いタクシー待機列がある場所を設置場所に決定する。
【0043】
計画作成部134は、予め登録された複数の設置場所のうち、複数の車両Vそれぞれに適した設置場所を決定してもよいが、履歴データに基づいて、複数の車両Vが所定の時間以上停車する頻度が高い場所を新たな設置場所として追加してもよい。この場合、計画作成部134は、複数の車両Vが所定の時間以上停車している確率が相対的に高い場所を設置場所に決定する。所定の時間は、設置場所の蓄電池を用いて車両Vの蓄電池を充電したり、設置場所の蓄電池と車両Vの蓄電池とを交換したりするために要する時間であり、例えば15分である。計画作成部134は、決定した設置場所が、車両端末2に表示される地図に表示されるようにしてもよい。
【0044】
複数の車両Vが所定の時間以上停車する頻度が高い場所として、例えば、鉄道の駅の前、タクシーの営業所、商業施設の駐車場等が想定される。計画作成部134は、例えば、新たな設置場所として適した場所を検索するための指示を外部装置から取得したことに応じて、新たな設置場所の候補を決定し、決定した候補を外部装置に通知する。
【0045】
計画作成部134は、走行予約区間において車両Vが走行し続けることができるように、走行予約区間を走行している間を除く期間に蓄電池を利用する日時を含む走行計画を作成する。また、走行予約区間を走行する前に電力残量が不足していることが想定される場合、計画作成部134は、走行予約区間の走行を開始する時点で、走行予約区間を車両が走行するために要する電力が蓄電池に残っている状態になるように決定した利用予定日時を含む走行計画を作成する。計画作成部134は、例えば、走行予約区間の走行が開始する前に利用予定日時が設定された走行計画を作成する。
【0046】
計画作成部134は、利用予定日時を含む走行計画を作成するために、まず、記憶部12に記憶された走行可能距離データを参照することにより、電力残量取得部131が取得した電力残量データが示す電力残量の状態の車両Vの蓄電池が、設置場所で充電されたり新たな蓄電池に交換されたりするまでに走行可能な距離を特定する。計画作成部134は、特定した走行可能な距離と走行予約区間の距離とを比較することにより、走行予約区間の走行が開始する前に充電をすることなく走行予約区間を車両Vが走行できるか否かを判定する。
【0047】
計画作成部134は、特定した走行可能な距離が走行予約区間の距離よりも短い場合、走行予約区間の走行が開始する前に蓄電池を利用しないと車両Vが走行予約区間を走行できないと判定し、走行予約区間の走行が開始する前の時間帯に利用予定日時を設定する。計画作成部134は、特定した走行可能な距離が走行予約区間の距離以上であり、走行予約区間の走行が開始する前に設置場所の蓄電池を利用しなくても車両Vが走行予約区間を走行できると判定した場合、走行予約区間の走行が開始する前の時間帯に利用予定日時を設定しないでもよい。
【0048】
走行予約区間の走行が終了したとしても、走行予約区間が終了した地点から設置場所がある地点まで移動できないと、車両Vが走行不能に陥ってしまう。そこで、計画作成部134は、特定した走行可能な距離が、走行予約区間の距離と、走行予約区間が終了する地点から設置場所がある地点までの距離とを加算した距離よりも短い場合に、走行予約区間の走行が開始する前の時間帯に利用予定日時を設定してもよい。
【0049】
また、走行予約区間の走行が開始する前に、車両Vが走行予約区間の開始位置まで移動したり、走行予約区間の走行を開始する時刻までの間に他の区間を走行したりすることも想定される。走行可能な距離が走行予約区間の距離以上であっても、このような走行により消費される電力が大きいと、走行予約区間を走行中に電力が不足してしまうというおそれがある。
【0050】
そこで、計画作成部134は、走行計画を作成する対象となる車両Vの走行履歴に基づいて、走行予約区間の走行を開始するまでの時間帯における走行累積距離を予測した結果を用いて、走行予約区間の走行が開始する前の時間帯に利用予定日時を設定するか否かを判定してもよい。すなわち、計画作成部134は、走行履歴に基づいて、走行計画を作成する対象日の複数の時刻それぞれにおける走行累積距離を予測し、予測した走行累積距離と、走行可能距離データが示す走行可能距離とに基づいて決定した利用予定日時を含む走行計画を作成してもよい。
【0051】
具体的には、計画作成部134は、設置場所に到達するまでに走行可能な距離が、予測した走行累積距離と走行予約区間の距離とを加算した距離よりも短い場合に、走行予約区間の走行が開始する前の時間帯に利用予定日時を設定する。計画作成部134は、設置場所に到達するまでに走行可能な距離が、予測した走行累積距離と、走行予約区間の距離と、走行予約区間が終了する地点から設置場所がある地点までの距離と、を加算した距離よりも短い場合に、走行予約区間の走行が開始する前の時間帯に利用予定日時を設定してもよい。このように計画作成部134が、走行予定区間の前後の走行距離も考慮して利用予定日時を設定した走行計画を作成することで、車両Vが走行できない状況が発生することを予防できる。
【0052】
計画作成部134は、通信部11を介して、作成した走行計画を車両端末2に送信したり、情報処理装置1に接続されたディスプレイ又はコンピュータに表示させたりする。すなわち、計画作成部134は、車両Vの運転手又は車両Vの管理者が図2に示したような走行計画を確認できるようにする。
【0053】
計画作成部134は、利用予定日時まで所定の時間以内になった場合に、車両端末2に対して、蓄電池の利用に関する通知を送信してもよい。所定の時間は、例えば30分である。蓄電池の利用に関する通知は、設置場所と設置場所に到着するべき時刻とを示す通知である。車両端末2は、通知を受信した場合に、通知の内容をディスプレイに表示したり音声出力したりする。このような通知を運転手が把握することにより、運転手は利用予定日時に設置場所に到着するように移動を開始することができる。ただし、運転手が実車中に通知の音声が出力されると乗客にとって迷惑である。そこで、車両端末2は、実車中である場合には通知を音声出力せず、通知の内容を表示するだけにしてもよい。
【0054】
なお、計画作成部134が通知を送信するタイミングが遅すぎると、運転手が通知を見てから設置場所に向けて移動を開始しても、利用予定日時までに設置場所に到着できないという事態が生じ得る。そこで、計画作成部134は、例えば、利用予定日時に対して所定の余裕時間だけ前の日時(例えば15分前)までに設置場所がある位置に車両Vが到着できない状態であると判定した場合、利用予定日時まで所定の時間よりも前であっても、その時点で利用に関する通知を送信してもよい。
【0055】
具体的には、計画作成部134は、まず、車両Vの現在位置から設置場所までの移動に要する時間を算出する。計画作成部134は、算出した時間が、現在時刻から利用予定日時の15分前までの時間よりも長いと判定した場合、利用に関する通知を車両端末2に送信する。計画作成部134がこのように動作することで、車両Vが利用予定日時までに設置場所がある施設に到達できなくなる確率を下げることができる。
【0056】
ところで、計画作成部134が走行計画を作成する際に過去の車両Vの走行履歴に基づいて予測した走行距離や走行位置と、車両Vの実際の走行距離や走行位置とは異なることが想定される。そこで、計画作成部134は、電力残量取得部131を介して取得した車両Vの走行実績に基づいて走行計画を更新してもよい。計画作成部134は、例えば、実車と空車とが切り替わるたびに、走行計画を更新する。計画作成部134は、例えば、利用予定日時までに車両Vが設置場所に到着できないと判定した場合に、走行計画を更新し、更新後の走行計画を車両端末2に通知する。
【0057】
計画作成部134は、車両Vの走行実績が示す走行距離が、走行計画を作成する際に想定していた走行予測距離よりも大きく、走行予定区間の走行ができなくなる可能性が生じたと判定した場合に、利用予定日時を早めるように走行計画を更新してもよい。このように計画作成部134が動作することで、走行予定区間において走行できなくなるリスクを低減することができる。
【0058】
逆に、計画作成部134は、車両Vの走行実績が示す走行距離が、走行計画を作成する際に想定していた走行予測距離よりも小さく、走行予定区間の走行を開始する前に蓄電池を利用しなくても走行予定区間を走行できると判定した場合に、利用予定日時を遅らせたり、蓄電池を利用する予定を取り消したりしてもよい。このように計画作成部134が動作することで、車両Vが設置場所に立ち寄って蓄電池を利用することによる時間のロスを防ぐことができる。
【0059】
計画作成部134は、電力残量取得部131から入力された乗車状態を示すデータに基づいて、乗車状態が、車両Vに乗客が乗っている実車状態から車両Vに乗客が乗っていない空車状態に変化したことに応じて、走行計画を更新してもよい。計画作成部134がこのように動作することで、実車中に走行計画が更新されることで運転手の集中力が低下することを防げる。
【0060】
なお、計画作成部134は、電力の価格に基づいて、設置場所に設置された蓄電池に充電する時間帯を決定してもよい。電力の価格は、需要と供給のバランスによって変動する。また、天候によって太陽光発電や風力発電の発電量が変動する。計画作成部134は、電力の価格が閾値以下であると推定される時間帯に、設置場所に設置された蓄電池を充電するという計画を作成し、各設置場所に通知するようにしてもよい。このように計画作成部134が動作することで、設置場所に設置された蓄電池の充電に要する費用を抑えることができる。
【0061】
予約部135は、設置場所の蓄電池の利用の予約を受け付ける。具体的には、予約部135は、通信部11を介して、車両端末2又は車両Vの管理者が使用する情報端末から、車両Vを識別するための情報と、蓄電池の利用を希望する日時と、設置場所と、を含む予約データを取得する。予約部135は、予約データの内容を所要数特定部136に通知する。
【0062】
所要数特定部136は、計画作成部134が作成した走行計画に含まれる利用計画に基づいて、複数の車両Vが蓄電池を利用することができる設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定する。所要数特定部136は、例えば電力残量データに基づいて作成された車両Vの走行計画に含まれている利用予定に基づいて、所要数を特定する。具体的には、所要数特定部136は、利用計画が示す複数の車両Vそれぞれが蓄電池を利用する設置場所に基づいて、複数の設置場所それぞれの所要数を特定する。
【0063】
図2に示すように、車両V1の走行計画に4回の利用予定が含まれている場合、所要数特定部136は、A交通X営業所における車両V1の所要数が2個、Yレストランにおける車両V1の所要数が1個、Zステーションにおける車両V1の所要数が1個であることを特定する。所要数特定部136は、予め登録された全ての車両Vに対して、各設置場所における所要数を特定し、設置場所ごとに車両Vごとの所要数を合算することで、各設置場所における所要数の合計値を算出する。所要数特定部136は、特定した所要数の合計値を配送数決定部137に通知する。
【0064】
車両Vの種別によって、使用する蓄電池の容量や形状等の種別が異なる。そこで、所要数特定部136は、蓄電池の種別ごとに所要数を特定してもよい。具体的には、所要数特定部136は、同じ種別の蓄電池を使用する車両Vごとの所要数を合算することにより、蓄電池の種別ごとに所要数の合計値を算出する。
【0065】
また、所要数特定部136は、予約部135から予約データが通知された場合、利用計画に基づく所要数に、予約データが示す利用日時及び設置場所に基づいて特定される所要数を加算することにより、配送数決定部137に通知する所要数を算出してもよい。予約データに対応する利用予定が利用計画に含まれている場合がある。そこで、所要数特定部136は、利用計画が示す車両Vを識別するための情報と、利用日時と、設置場所との組み合わせと一致する内容の予約データがある場合、当該予約データに対応する所要数を加算しないようにしてもよい。
【0066】
所要数特定部136は、設置場所に設置された蓄電池の電力の残量に基づいて所要数を特定してもよい。具体的には、所要数特定部136は、設置場所において確保しておくべき電力の容量と、設置場所に設置された蓄電池の電力の残量との差に相当する電力を供給するために必要な蓄電池の数を所要数として特定してもよい。
【0067】
配送数決定部137は、所要数特定部136から通知された所要数に基づいて、設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定する。配送数決定部137は、例えば所要数特定部136から通知された所要数を配送数としてもよく、所要数にマージンを加えた数を配送数としてもよい。
【0068】
配送数決定部137は、設置場所に残っている充電済の蓄電池の残数(すなわち電池残数取得部133から入力された電池残数データが示す量)と所要数特定部136から通知された所要数とに基づいて、設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定してもよい。具体的には、配送数決定部137は、所要数から充電済の蓄電池の残数を減算した数を配送数に決定する。配送数決定部137は、設置場所ごとに、所要数から充電済の蓄電池の残数を減算した数を算出することにより、複数の設置場所それぞれに対応する配送数を決定する。
【0069】
配送数決定部137は、蓄電池の種別ごとの配送数を決定してもよい。具体的には、配送数決定部137は設置場所データに含まれている蓄電池の種別ごとの残数から、蓄電池の種別ごとの所要数を減算することにより、蓄電池の種別ごとの配送数を決定する。
【0070】
配送数決定部137は、予約部135が予約データを取得した場合、予約部135が受け付けた予約の内容にさらに基づいて配送数を決定してもよい。すなわち、配送数決定部137は、予約データが示す予約の内容に基づいて算出された所要数を用いて配送数を決定してもよい。配送数決定部137は、予約データが示す車両Vの識別情報、利用日時、設置場所に関連付けた状態で配送する蓄電池の数を決定してもよい。配送数決定部137がこのように動作することで、予約した車両Vで使用されるべき蓄電池が他の車両Vに使用されてしまうことを防げる。
【0071】
設置場所によって、配送するべき蓄電池の仕様が異なるという場合がある。例えば、海に近い設置場所においては、潮風に含まれる塩の影響で蓄電池が劣化することを防ぐため、特殊な包装がなされた蓄電池が要求される場合がある。そこで、配送数決定部137は、記憶部12に記憶された設置場所データが示す設置場所の属性を参照することにより、複数の設置場所それぞれの属性に対応する仕様の蓄電池の配送数を決定してもよい。配送数決定部137がこのように動作することで、設置場所に適した仕様の蓄電池が適切な数だけ設置場所に配送される。
【0072】
ところで、設置場所に蓄電池を充電するための設備が設けられている場合がある。この場合、使用済の蓄電池を回収しなくても、設置場所において蓄電池に充電することにより、充電した蓄電池を新たな蓄電池として使用することができる。そこで、配送数決定部137は、設置場所において蓄電池を充電することができる設備の仕様にさらに基づいて配送数を決定してもよい。
【0073】
具体的には、配送数決定部137は、まず、記憶部12に記憶された設置場所データを参照することにより、各設置場所に設置された充電設備の仕様及び数を特定する。配送数決定部137は、各設置場所に残っている使用済の蓄電池のうち、充電済の蓄電池が必要になる日時までに各設置場所の充電設備で充電が可能な数を特定する。続いて、配送数決定部137は、所要数特定部136から通知された所要数から、充電済の蓄電池の残数と、設置場所の充電設備で充電が可能な数と、を減算した数を配送数に決定する。配送数決定部137がこのように動作することで、設置場所に充電設備が設置されている場合に、蓄電池の配送数を減らすことができる。
【0074】
なお、設置場所には、太陽光発電や風力発電のような自然エネルギーを用いて発電した電力を用いて蓄電池に充電できる設備が設置されていてもよい。このような場合、配送数決定部137は、天候に基づいて、各設置場所において充電できる蓄電池の数や充電に要する時間を推定してもよい。配送数決定部137は、推定した結果に基づいて、充電済の蓄電池が必要になる日時までに各設置場所の充電設備で充電が可能な数を特定し、特定した数を所要数から減算することにより配送数を決定する。
【0075】
配車管理部138は、車両Vへの乗車を希望するユーザが使用するユーザ端末3から配車依頼データを受けた場合に配車する車両Vを決定する。具体的には、配車管理部138は、車両Vへの乗車を希望するユーザからの配車依頼に基づいて車両Vに配車要求を送信する。より具体的には、配車管理部138は、通信部11を介してユーザ端末3から配車依頼データを受信した場合、配車依頼データが示す乗車希望日時から、乗車希望区間においてユーザを乗せることができる車両Vの車両端末2に対して配車要求データを送信する。
【0076】
乗車希望日時が、車両Vの利用予定日時に近かったり、利用予定日時と重なっていたりする場合に車両Vを配車してしまうと、車両Vが予定どおりに蓄電池を利用できず、走行に支障が生じるおそれがある。そこで、配車管理部138は、車両Vが乗車希望区間の走行期間が利用予定日時と重ならないことを条件として配車要求データを車両Vに送信する。
【0077】
一例として、配車管理部138は、配車依頼データが示す乗車希望区間が、車両Vの現在位置と、走行計画が示す車両Vが蓄電池を利用する予定の設置場所との間にあることを条件として車両Vに配車要求データを送信する。配車管理部138は、乗車位置から降車位置への向きが、現在位置から充電予定位置への向きと一致していることを条件として車両Vに配車要求データを送信してもよい。
【0078】
図6は、配車管理部138の動作を説明するための図である。図6(a)は、乗車希望区間が、車両Vの現在位置と設置場所との間にあり、かつ乗車位置から降車位置への向きが、現在位置から設置場所への向きと一致している場合を示している。このような場合、車両Vが乗車希望区間においてユーザを乗せたとしても、現在位置から設置場所まで到着するまでに要する時間に大きな影響が生じないと考えられることから、配車管理部138は、車両Vに配車要求データを送信する。
【0079】
図6(b)は、乗車希望区間が、車両Vの現在位置と設置場所との間にあるが、乗車位置から降車位置への向きが、現在位置から設置場所への向きと一致していない場合を示している。このような場合、車両Vが乗車希望区間においてユーザを乗せることにより、設置場所に到着するまでに要する時間に大きな影響が生じることから、配車管理部138は、車両Vに配信要求データを送信しない。ただし、配車管理部138は、このような乗車希望区間においてユーザを乗せたとしても車両Vが利用予定日時までに設置場所に到着すると判定した場合、車両Vに配車要求データを送信してもよい。
【0080】
図6(c)は、乗車希望区間が、車両Vの現在位置と設置場所との間にない場合を示している。このような場合、車両Vが乗車希望区間においてユーザを乗せると、現在位置から設置場所まで到着するまでに要する時間に大きな影響が生じると考えられることから、配車管理部138は、車両Vに配車要求データを送信しない。
【0081】
このように、配車管理部138は、配車依頼が示す乗車希望区間が、車両Vの現在位置と、走行計画が示す設置場所との間にあるとしても、乗車希望区間を車両Vが走行することにより、現在位置から設置場所までの所要時間が所定の時間以上長くなる場合に、車両Vに配車要求データを送信しないようにしてもよい。所定の時間は、例えば現在位置から設置場所までの所要時間の10%の時間である。
【0082】
所定の時間は、車両Vが設置場所に到着する予定の時刻と、利用予定日時との差の時間であってもよい。すなわち、配車管理部138は、車両Vが乗車希望区間においてユーザを乗せることで、車両Vが設置場所に到着するべき時刻に対して余裕がある時間以上に遅延することが想定される場合、車両Vに配車要求データを送信しない。配車管理部138がこのように動作することで、車両Vが利用予定日時に間に合わなくなることを防げる。
【0083】
ところで、運転手が、利用予定日時までに設置場所に到着することよりも乗客を乗せることを優先させたいという場合もある。そこで、配車管理部138は、運転手の操作に基づいて車両端末2から配車受付を希望するという通知を受けた場合、配車依頼データが示す乗車希望区間が、車両Vの現在位置と、走行計画が示す設置場所との間にないとしても、配車要求データを車両端末2に送信してもよい。
【0084】
図7は、利用予定日時が近づいた時点で車両端末2に表示される画面の例を示す図である。図7(a)に示すように、車両端末2は、利用予定日時(例えば交換予定日時)が近づいてきたことを示す画面を表示する。この画面において、運転手が「設置場所に向かう」というボタンを押すと、図7(b)に示すように、車両端末2は、現在位置から充電予定位置までのルートを示す地図を表示する。この画面において、車両端末2は、配車受付を再開することを設定するための「配車受付再開」ボタンを表示している。運転手が「配車受付再開」ボタンを押すと、車両端末2は、配車希望通知データを情報処理装置1に送信する。配車管理部138は、配車希望通知データを受信した場合、利用予定日時が近づいているとしても、配車要求データを車両端末2に送信する。
【0085】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図8は、情報処理装置1が配送数を決定する処理の流れを示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、情報処理装置1が外部装置から配送数を決定する指示を取得した時点から開始している。情報処理装置1は、外部装置からの指示によらず、所定のタイミングで図8に示すフローチャートの処理を開始してもよい。所定のタイミングは、例えば、前日に回収された蓄電池の充電が完了した後であって、蓄電池を配送する時刻の前であり、午前5時である。
【0086】
電力残量取得部131は、複数の車両Vに搭載されている蓄電池の電力の残量を示す電力残量データを取得する(S11)。また、履歴取得部132は、複数の車両Vの走行履歴を示す履歴データを取得する(S12)。計画作成部134は、電力残量データ及び履歴データに基づいて、それぞれの車両Vの蓄電池を利用する予定を含む走行計画を作成する(S13)。
【0087】
所要数特定部136は、複数の車両Vの走行計画に基づいて、その日に複数の車両Vが必要とする新しい蓄電池の数である所要数を特定する(S14)。電池残数取得部133は、各設置場所に残っている充電済の蓄電池の数を示す電池残数データを取得し(S15)、配送数決定部137は、S14において特定された所要数から電池残数データが示す蓄電池の数を減算することにより、各設置場所に配送する必要がある蓄電池の数である配送数を決定する(S16)。配送数決定部137は、決定した配送数を、蓄電池を配送するトラックTを管理する配送システムに通知する(S17)。情報処理装置1がこのように動作することで、複数の車両Vが使用する可能性がある蓄電池が各設置場所に配置されるので、複数の車両Vの蓄電池の電力がなくなってしまって走行できなくなることを防げる。
【0088】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、情報処理装置1は、複数の車両Vそれぞれが蓄電池を利用する時刻及び設置場所を示す利用計画に基づいて、蓄電池の設置場所に設けておく蓄電池の数である所要数を特定する。そして、情報処理装置1は、特定した所要数に基づいて、設置場所に配送する蓄電池の数である配送数を決定する。情報処理装置1がこのように構成されていることで、車両Vの蓄電池の電力の残量が少なくなった時点で、使用中の蓄電池を設置場所に保管されている蓄電池を利用することができる。したがって、車両Vが蓄電池を急速充電する場合に比べて蓄電池の劣化を抑制することができる。また、蓄電池を急速充電するために要する時間よりも、蓄電池を利用するために要する時間の方が短いので、車両Vが走行できない時間を短縮することができる。
【0089】
なお、以上の説明においては、情報処理装置1が、蓄電池を設置する場合に用いられる例を示したが、情報処理装置1は、蓄電池とともに、又は蓄電池に代えて、車両Vが有する蓄電池に充電するための充電器を設置する場合に用いられてもよい。すなわち、情報処理装置1は、複数の車両Vそれぞれが充電器を利用する時刻及び設置場所を示す利用計画に基づいて、例えば計画作成部134が決定した設置場所に設置する充電器の数を決定するように構成されていてもよい。
【0090】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0091】
1 情報処理装置
2 車両端末
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 電力残量取得部
132 履歴取得部
133 電池残数取得部
134 計画作成部
135 予約部
136 所要数特定部
137 配送数決定部
138 配車管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8