IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型電子部品 図1
  • 特開-積層型電子部品 図2
  • 特開-積層型電子部品 図3
  • 特開-積層型電子部品 図4
  • 特開-積層型電子部品 図5
  • 特開-積層型電子部品 図6
  • 特開-積層型電子部品 図7
  • 特開-積層型電子部品 図8
  • 特開-積層型電子部品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086579
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182755
(22)【出願日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0175915
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン スー
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ビュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュル セウン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH03
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC32
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層型電子部品に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面上に配置される第1-1電極層、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層を含む第1外部電極と、上記第4面上に配置される第2-1電極層、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層を含む第2外部電極と、を含み、各電極層のうちガラスが占める面積分率と各電極層の厚さが予め定められた条件を満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面上に配置される第1-1電極層、及び前記第1面及び第2面に配置されて前記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層を含む第1外部電極と、
前記第4面上に配置される第2-1電極層、及び前記第1面及び第2面に配置されて前記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層を含む第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、前記第1-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-1、前記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、前記第1-2電極層の第2方向の中央領域の厚さをT1-2、前記第2-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-1、前記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2、前記第2-2電極層の第2方向の中央領域の厚さをT2-2としたときに、
1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記S1-2及びS2-2が、10%<S1-2≦30%及び10%<S2-2≦30%を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記S1-1は、前記第1-1電極層の第1方向の中央領域で測定したものであり、前記S1-2は、前記第1-2電極層の第2方向の中央領域で測定したものであり、
前記S2-1は、前記第2-1電極層の第1方向の中央領域で測定したものであり、前記S2-2は、前記第2-2電極層の第2方向の中央領域で測定したものである、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1-1電極層及び第2-1電極層はガラスを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1-1電極層及び第2-1電極層は、前記第1面の延長線と前記第2面の延長線との間に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1外部電極は、前記第1-1電極層上に配置され、前記第1-2電極層上に延びる第1-3電極層を含み、
前記第2外部電極は、前記第2-1電極層上に配置され、前記第2-2電極層上に延びる第2-3電極層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1-1電極層、第1-2電極層、第1-3電極層、第2-1電極層、第2-2電極層、及び第2-3電極層はそれぞれ金属を含む、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1外部電極は、前記第3面と第1-1電極層との間に配置され、前記第1内部電極と連結される第1下地電極層をさらに含み、
前記第2外部電極は、前記第4面と第2-1電極層との間に配置され、前記第2内部電極と連結される第2下地電極層をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1及び第2下地電極層はガラスを含まない、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記本体は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナー、前記第1面と第4面を連結する第1-4コーナー、前記第2面と第3面を連結する第2-3コーナー、前記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーを含み、
前記第1下地電極層の端部は前記第1-3コーナー及び第2-3コーナー上に配置され、
前記第2下地電極層の端部は前記第1-4コーナー及び第2-4コーナー上に配置される、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面上に配置される第1-1電極層、及び前記第1面及び第2面に配置されて前記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層を含む第1外部電極と、
前記第4面上に配置される第2-1電極層、及び前記第1面及び第2面に配置されて前記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層を含む第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、前記第1-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-1、前記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、前記第2-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-1、前記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2としたときに、
10%<S1-2≦30%、S1-2>S1-1、10%<S2-2≦30%、及びS2-2>S2-1を満たす、積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1-1電極層及び第2-1電極層はガラスを含まない、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記S1-2及びS2-2が15%≦S1-2≦30%及び15%≦S2-2≦30%を満たす、請求項11に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。かかる積層セラミックキャパシターの小型化及び高容量化の傾向に伴い、積層セラミックキャパシターの単位体積当たりの容量を増加させることに対する重要性が高くなっている。
【0004】
積層セラミックキャパシターの外部電極は、一般に、内部電極との電気的連結のための金属と、本体との結合力を確保するためのガラスと、を含むことができる。この時、外部電極に含まれているガラスは、焼成過程で内部電極と外部電極が当接する面に移動する傾向にある。この場合、内部電極及び外部電極にそれぞれ含まれた金属間の合金化を阻止して高温IR特性及び耐湿信頼性が低下する恐れがあり、本体の側面上に配置された外部電極にはガラスが十分に分布されていないため、本体と外部電極との接合力が低下する恐れがある。
【0005】
一方、本体の側面上に配置された外部電極の厚さが厚すぎる場合、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下する恐れがあり、焼成時に発生した残炭が通り抜けられず、外部電極にブリスター(blister)が発生することがある。また、本体と外部電極との接合力を向上させるために、本体の側面上に配置された外部電極に多量のガラスを添加する場合、ガラスが外部電極の外表面に溶出される不良が発生する恐れがある。
【0006】
したがって、積層セラミックキャパシターの耐湿信頼性を向上させながらも、本体と外部電極との接合力を向上させ、且つ焼成時に発生する残炭によるブリスター(blister)の発生及びガラスの溶出を防止することができる外部電極の構造に関する研究が必要とされている状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることにある。
【0008】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の本体と外部電極との接合力を向上させることにある。
【0009】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の外部電極のブリスター(blister)不良が発生することを防止し、外部電極の外表面にガラスが溶出されることを防止することにある。
【0010】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面上に配置される第1-1電極層、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層を含む第1外部電極と、上記第4面上に配置される第2-1電極層、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層を含む第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、上記第1-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-1、上記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、上記第1-2電極層の第2方向の中央領域の厚さをT1-2、上記第2-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-1、上記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2、上記第2-2電極層の第2方向の中央領域の厚さをT2-2としたときに、S1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たすことができる。
【0012】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面上に配置される第1-1電極層、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層を含む第1外部電極と、上記第4面上に配置される第2-1電極層、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層を含む第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、上記第1-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-1、上記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、上記第2-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-1、上記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2としたときに、10%<S1-2≦30%、S1-2>S1-1、10%<S2-2≦30%、及びS2-2>S2-1を満たすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の1つとして、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の様々な効果の1つとして、積層型電子部品の本体と外部電極との接合力を向上させることができる。
【0015】
本発明の様々な効果の1つとして、積層型電子部品の外部電極のブリスター(blister)不良が発生することを防止し、外部電極の外表面にガラスが溶出されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I'に沿って切断した断面を概略的に示した図である。
図3図1のII-II'に沿って切断した断面を概略的に示した図である。
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
図5図2のK1領域の拡大図である。
図6図2のK2領域の拡大図である。
図7図2の変形例である。
図8】実験例の外部電極の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。
図9】比較例の外部電極の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2図1のI-I'に沿って切断した断面を概略的に示した図であり、図3図1のII-II'に沿って切断した断面を概略的に示した図であり、図4は本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図であり、図5図2のK1領域の拡大図であり、図6図2のK2領域の拡大図である。
【0021】
図1から図6を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面上に配置される第1-1電極層131-1、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層131-2を含む第1外部電極131と、上記第4面上に配置される第2-1電極層132-1、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層132-2を含む第2外部電極132と、を含み、上記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、上記第1-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-1、上記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、上記第1-2電極層の第2方向の中央領域の厚さをT1-2、上記第2-1電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-1、上記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2、上記第2-2電極層の第2方向の中央領域の厚さをT2-2としたときに、S1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たすことができる。
【0022】
上述のように、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1のうちガラスが占める面積分率が過度である場合、上記内部電極及び外部電極にそれぞれ含まれた金属間の合金化を阻止して耐湿信頼性が低下する恐れがあり、本体の第1面及び第2面に配置される第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2のうちガラスが占める面積分率が低い場合、本体と外部電極との接合力が低下する恐れがある。
【0023】
また、面積分率が相対的に大きい第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2の第2方向の中央領域の厚さが過度に厚い場合、焼成時にガラスで発生した残炭が外部に通り抜けず、外部電極のブリスター(blister)不良が発生する恐れがある。
【0024】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、S1-2>S1-1及びS2-2>S2-1を満たすことで、内部電極と第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1に含まれている金属が容易に合金を形成することができ、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1に含まれているガラスにより外部水分が内部電極121、122に浸透することを防止し、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができ、本体と外部電極との接合力を向上させることができる。
【0025】
また、T1-2≦8μm及びT2-2≦8μmを満たすことで、焼成時にガラスで発生した残炭が外部に容易に通り抜けることができ、これにより、外部電極のブリスター(blister)不良が発生することを防止することができる。
【0026】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれるそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0027】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0028】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2と、上記第1面及び第2面1、2と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4と、第1面~第4面1、2、3、4と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6と、を有することができる。
【0029】
本体110は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナーC1-3、上記第1面と第4面を連結する第1-4コーナーC1-4、上記第2面と第3面を連結する第2-3コーナーC2-3、上記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーC2-4を含むことができる。また、第1面と第5面を連結する第1-5コーナー、第1面と第6面を連結する第1-6コーナー、第2面と第5面を連結する第2-5コーナー、第2面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。上記コーナーは、本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することにより、ラウンド状を有することができる。本体110の第1面~第6面は略平坦な面であることができ、平坦ではない領域をコーナーといえる。
【0030】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いなければ確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0031】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアーフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを準備した後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成されることができる。セラミック粉末としては、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系(BaTiO)粉末を用いることができる。
【0032】
誘電体層の平均厚さは特に限定する必要はない。一方、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するためには、誘電体層111の厚さを薄くし、積層数を増加させる必要があるが、誘電体層111の厚さが薄くなるほど、積層型電子部品の信頼性が低下し、誘電体層の絶縁抵抗の劣化が発生しやすいという問題が発生する恐れがある。
【0033】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、S1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たすことで、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1に含まれているガラスにより外部水分が内部電極121、122に浸透することを防止し、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができ、ガラスの面積分率が相対的に高い第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2により、本体と外部電極との接合力を向上させることができる。これにより、誘電体層111の平均厚さが0.4μm以下である場合にも、積層型電子部品の耐湿信頼性を確保することができる。
【0034】
ここで、誘電体層の平均厚さは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味し得る。誘電体層の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して行うと、誘電体層111の平均厚さをより一般化することができる。
【0035】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0036】
複数の第1内部電極121はそれぞれ、第4面4から離隔して第3面3と連結されることができる。また、複数の第2内部電極122はそれぞれ、第3面3から離隔して第4面4と連結されることができる。
【0037】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを所定の厚さで塗布し、焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0039】
内部電極の平均厚さは特に限定する必要はない。この時、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味し得る。一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、S1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たすことで、内部電極121、122の平均厚さが0.4μm以下である場合にも、積層型電子部品の耐湿信頼性を確保することができる。
【0040】
ここで、内部電極の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して行うと、内部電極121、122の平均厚さをより一般化することができる。
【0041】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に向かい合う両端面上に配置される第1カバー部112及び第2カバー部113と、を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の構成を有することができる。
【0042】
カバー部の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部の平均厚さは20μm以下であることができる。前述のように、カバー部の平均厚さtcが20μm以下である場合にも、S1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たすことで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を確保することができる。
【0043】
カバー部の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味し、本体110の第1方向及び第2方向の断面において、等間隔である5個の地点で測定した第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0044】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両端面上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味し得る。この時、マージン部は、本体110の第5面5に配置される第1マージン部114と、本体110の第6面6に配置される第2マージン部115と、を含むことができる。
【0045】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0046】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上に、マージン部が形成されるべき箇所を除いて内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することにより形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑えるために、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に向かい合う両端面上に積層することでマージン部114、115が形成されてもよい。
【0047】
マージン部114、115の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さは20μm以下であることができる。前述のように、マージン部114、115の平均厚さが20μm以下である場合にも、S1-2>S1-1、T1-2≦8μm、S2-2>S2-1、及びT2-2≦8μmを満たすことで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を確保することができる。
【0048】
マージン部114、115の平均厚さは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味し、本体110の第1方向及び第3方向の断面において、等間隔である5個の地点で測定した第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0049】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0050】
第1外部電極131は、上記第3面に配置される第1-1電極層131-1と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第1-1電極層と連結される第1-2電極層131-2と、上記第1-1電極層上に配置され、上記第1-2電極層上に延びる第1-3電極層131-3と、を含むことができる。一方、第1-2電極層131-2は、上記第5面及び第6面上にも配置されることができる。
【0051】
第2外部電極132は、上記第4面に配置される第2-1電極層132-1と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第2-1電極層と連結される第2-2電極層132-2と、上記第2-1電極層上に配置され、上記第2-2電極層上に延びる第2-3電極層132-3と、を含むことができる。一方、第2-2電極層132-2は、上記第5面及び第6面上にも配置されることができる。
【0052】
第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1は、例えば、内部電極121、122と外部電極131、132を連結させる役割を果たすことができる。一実施形態において、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1は、上記第1面の延長線E1と上記第2面の延長線E2との間に配置されることができる。これにより、積層型電子部品の第1方向のサイズを低減し、単位体積当たりの容量を向上させることができる。ここで、各面の延長線とは、各面の平坦な部分を基準として延ばした線を意味し得る。これにより、第1-1電極層131-1の端部は第1-3コーナーC1-3及び第2-3コーナーC2-3上に配置され、第2-1電極層132-1の端部は第1-4コーナーC1-4及び第2-4コーナーC2-4上に配置されることができるが、本発明がこれに限定されるものではなく、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1の端部は、カバー部112、113及び/またはマージン部114、115上に配置されてもよい。
【0053】
一実施形態において、第1-1電極層131-1は、上記第3面上で第1-2電極層131-2により覆われない領域を含み、第2-1電極層132-1は、上記第4面上で第2-2電極層132-2により覆われない領域を含むことができる。これにより、上記第3面上に配置された第1外部電極131の厚さを低減することができ、上記第4面上に配置された第2外部電極132の厚さを低減することができ、結果として、積層型電子部品の第2方向のサイズを低減し、単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0054】
第1-1電極層131-1、第1-2電極層131-2、第1-3電極層131-3、第2-1電極層132-1、第2-2電極層132-2、及び第2-3電極層132-3はそれぞれ金属を含むことができる。第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1に含まれる金属は、例えば、Cu、Ni、Cr、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2に含まれる金属は、Cu、Ni、Ag、Sn、Cr、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0055】
第1-1電極層131-1及び第1-2電極層131-2に含まれている金属は、互いに同一でも、互いに異なってもよく、主成分として含む金属が互いに異なってもよい。同一の観点から、第2-1電極層132-1及び第2-2電極層132-2に含まれている金属は、互いに同一でも、互いに異なってもよく、主成分として含む金属が互いに異なってもよい。ここで、主成分とは、原子百分率(at%)が最も高い成分を意味する。
【0056】
第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2はそれぞれガラスを含むことができる。上記ガラスは、例えば、Ba、Ca、Zn、Al、B、及びSiのうち1つ以上の酸化物を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2に含まれているガラスは、本体110と外部電極131、132との接合力を向上させる役割を果たすことができる。
【0057】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面において、第1-2電極層131-2のうちガラスが占める面積分率(S1-2)は、第1-1電極層131-1のうちガラスが占める面積分率(S1-1)より大きく、第2-2電極層132-2のうちガラスが占める面積分率(S2-2)は、第2-1電極層132-1のうちガラスが占める面積分率(S2-1)より大きいことができる。S1-2>S1-1及びS2-2>S2-1を満たす場合、第1内部電極121と第1-1電極層131-1及び第2内部電極122と第2-1電極層132-1にそれぞれ含まれている金属が、ガラスにより妨害されることなく容易に合金を形成することができ、これにより、めっき工程時に発生する水素ガスを遮断し、高温IR劣化を防止することができる。また、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1に含まれているガラスがめっき液により浸食される現象を防止し、外部水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止し、結果として、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。また、相対的にガラスの面積分率が大きい第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2が上記本体の第1面、第2面、第5面、及び/または第6面と直接的に接触することで、本体110と外部電極131、132との接合力を向上させることができる。
【0058】
具体的に、上記S1-2及びS2-2は、例えば、10%<S1-2≦30%及び10%<S2-2≦30%を満たすことができる。より好ましくは、15%≦S1-2≦30%及び15%≦S2-2≦30%を満たすことができる。S1-2及びS2-2が10%以下である場合、上記本体110と外部電極131、132との接合力向上の効果が微小である恐れがある。また、S1-2及びS2-2が30%を超える場合、ガラスの面積分率が過度であるため、第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2に含まれているガラスが第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2の外表面に溶出される不良が発生する恐れがある。
【0059】
一方、S1-1及びS2-1の下限は特に限定する必要はない。すなわち、本体110の第1面、第2面、第5面、及び/または第6面との接合力を確保するために、S1-1及びS2-1は0%超過であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0060】
例えば、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1はガラスを含まなくてもよい。この場合、ガラスを含まない第1-1電極層131-1が第1内部電極121と連結され、ガラスを含まない第2-1電極層132-1が第2内部電極122と連結されることで、内部電極121、122と外部電極131、132との連結性がより向上することができる。
【0061】
第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1は、上記本体の第3面及び第4面上に、金属を含む第1導電性ペーストを塗布してから焼成することで形成することができる。また、第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2は、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面に、金属、及び上記第1導電性ペーストより高い含量のガラスを含む第2導電性ペーストを塗布してから焼成することで形成することができる。一方、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1がガラスを含まない場合、上記第1-1電極層及び第2-1電極層は、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング工法、真空蒸着法、及び/または化学気相蒸着法を用いて形成することが好ましい。これにより、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1は、Cu、Ni、Cr、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0062】
ここで、S1-1、S1-2、S2-1、及びS2-2はそれぞれ、金属が配置された領域及びガラスが配置された領域の合計面積に対する、ガラスが配置された領域の面積の割合を意味し、下記式1で表されることができる。
【0063】
[式1]
S(%)=((ガラスが配置された領域の面積)/((金属が配置された領域の面積)+(ガラスが配置された領域の面積)))×100、ここで、SはS1-1、S1-2、S2-1、及びS2-2
【0064】
すなわち、図5を参照すると、S1-1は、第1-1電極層131-1内で、第1-1金属M1-1が配置された領域及び第1-1ガラスG1-1が配置された領域の合計面積に対する、第1-1ガラスG1-1が配置された領域の面積の割合(%)を意味し得る。また、図6を参照すると、S1-2は、第1-2電極層131-2内で、第1-2金属M1-2が配置された領域及び第1-2ガラスG1-2が配置された領域の合計面積に対する、第1-2ガラスG1-2が配置された領域の面積の割合(%)を意味し得る。
【0065】
上記金属が配置された領域及びガラスが配置された領域は、本体110の第3方向の中央で切断した第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面を3000倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像を得た後、上記画像をエネルギー分散型分光分析法(EDS)により成分分析することで、互いに区別されることができる。すなわち、第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面において、ガラスを構成する元素、例えば、Ba、Ca、Zn、Al、B、及びSiのうち1つ以上の元素が検出される領域は、ガラスが配置された領域と判別することができ、これによりガラスの面積分率を測定することができる。また、上記金属が配置された領域とガラスが配置された領域は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像で互いに異なる色相または陰影を有することができ、これによりガラスの面積分率を測定することもできる。
【0066】
一方、図5及び図6のように、上記S1-1は、第1-1電極層131-1の第1方向の中央領域で測定したものであり、上記S1-2は、第1-2電極層131-2の第2方向の中央領域で測定したものであることができる。同一の観点から、上記S2-1は、第2-1電極層132-1の第1方向の中央領域で測定したものであり、上記S2-2は、第2-2電極層132-2の第2方向の中央領域で測定したものであることができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、第1-2電極層131-2の第2方向の中央領域の厚さ(T1-2)は8μm以下であり、第2-2電極層132-2の第2方向の中央領域の厚さ(T2-2)は8μm以下であることができる。ガラスの面積分率が相対的に大きい第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2の第2方向の中央領域の厚さが8μmを超える場合、焼成時にガラスで発生した残炭が外部に通り抜けず、外部電極のブリスター(blister)不良が発生する恐れがある。これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、T1-2≦8μm及びT2-2≦8μmを満たすことで、焼成時にガラスで発生した残炭が外部に容易に通り抜けることができ、これにより、本体と外部電極との接合力を向上させながらも、外部電極のブリスター(blister)不良が発生することを防止することができる。
【0068】
上記T1-2及びT2-2は、本体110の第3方向の中央で切断した上記第1及び第2外部電極131、132の第1方向及び第2方向の断面を2000倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像で測定することができる。第1-2電極層131-2の第2方向の中央領域とは、上記走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像で、第1-2電極層131-2を上記第2方向を基準として5等分した領域のうち中央に配置された領域を意味し得る。また、第2-2電極層132-2の第2方向の中央領域とは、上記走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像で、第2-2電極層132-2を上記第2方向を基準として5等分した領域のうち中央に配置された領域を意味し得る。また、上記T1-2は、第1-2電極層131-2の第2方向の中央領域での最大値を意味し、上記T2-2は、第2-2電極層132-2の第2方向の中央領域での最大値を意味し得る。
【0069】
第1-3電極層131-3及び第2-3電極層132-3は実装特性を向上させることができる。上記第1-3電極層及び第2-3電極層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd、及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されてもよい。
【0070】
第1-3電極層131-3及び第2-3電極層132-3は、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、第1-3電極層131-3及び第2-3電極層132-3は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0071】
図7図2の変形例である。図7を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200は、上記第3面と第1-1電極層131-1との間に配置され、第1内部電極121と連結される第1下地電極層131-0をさらに含み、上記第4面と第2-1電極層132-1との間に配置され、第2内部電極122と連結される第2下地電極層132-0をさらに含むことができる。
【0072】
第1下地電極層131-0及び第2下地電極層132-0は、上記第1-1電極層及び第2-1電極層の代わりに、内部電極121、122と外部電極131、132を連結させる役割を果たすことができる。一方、第1及び第2下地電極層131-0、132-0は実質的に金属からなることができる。ここで、第1及び第2下地電極層131-0、132-0が実質的に金属からなることができるとは、第1下地電極層131-0及び第2下地電極層132-0に含まれている金属の面積分率が99%以上であることを意味し得る。
【0073】
より好ましくは、第1及び第2下地電極層131-0、132-0はガラスを含まなくてもよい。上記第1及び第2下地電極層がガラスを含まない場合、内部電極121、122と上記第1及び第2下地電極層との連結性が向上することができ、めっき液によるガラスの浸食を防止し、積層型電子部品200の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0074】
一方、第1下地電極層131-0及び第2下地電極層132-0は、上記内部電極と外部電極を連結させる役割を果たせばよいため、第1下地電極層131-0及び第2下地電極層132-0は、容量形成部Acの第2方向に向かい合う両端面を覆っていればよく、これにより、第1下地電極層131-0及び第2下地電極層132-0の端部は、カバー部112、113及び/またはマージン部114、115上に配置されることができる。
【0075】
より好ましくは、第1下地電極層131-0の端部は第1-3コーナーC1-3及び第2-3コーナーC2-3上に配置され、第2下地電極層132-0の端部は第1-4コーナーC1-4及び第2-4コーナーC2-4上に配置されることができる。上記第1及び第2下地電極層の端部が本体110のコーナーを覆うことで、上記本体のコーナーを介してめっき液及び/または外部水分が浸透することをより効果的に防止することができる。また、上記第1及び第2下地電極層が上記第1面、第2面、第5面、及び/または第6面上に延びていないため、積層型電子部品200の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0076】
第1下地電極層131-0及び第2下地電極層132-0は、Cu、Ni、Cr、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング工法、真空蒸着法、及び/または化学気相蒸着法を用いて形成することができる。より好ましくは、上記第1及び第2下地電極層はめっき層であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0077】
以下、本発明の他の実施形態による積層型電子部品について説明する。但し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上述の本発明の一実施形態による積層型電子部品と同様の構成を有することができる。よって、上述の本発明の一実施形態と重複される説明は省略する。
【0078】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面上に配置される第1-1電極層131-1、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第1-1電極層と連結され、ガラスを含む第1-2電極層131-2を含む第1外部電極131と、上記第4面上に配置される第2-1電極層132-1、及び上記第1面及び第2面に配置されて上記第2-1電極層と連結され、ガラスを含む第2-2電極層132-2を含む第2外部電極132と、を含み、上記第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面において、上記第1-1電極層131-1のうちガラスが占める面積分率をS1-1、上記第1-2電極層131-2のうちガラスが占める面積分率をS1-2、上記第2-1電極層132-1のうちガラスが占める面積分率をS2-1、上記第2-2電極層132-2のうちガラスが占める面積分率をS2-2としたときに、10%<S1-2≦30%、S1-2>S1-1、10%<S2-2≦30%、及びS2-2>S2-1を満たすことができる。
【0079】
前述のように、S1-2>S1-1及びS2-2>S2-1を満たす場合、第1内部電極121と第1-1電極層131-1及び第2内部電極122と第2-1電極層132-1にそれぞれ含まれている金属が、ガラスにより妨害されることなく容易に合金を形成することができ、これにより、めっき工程時に発生する水素ガスを遮断し、高温IR劣化を防止することができる。また、第1-1電極層131-1及び第2-1電極層132-1に含まれているガラスがめっき液により浸食される現象を防止し、外部水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止し、結果として、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0080】
また、相対的に面積分率が大きい第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2が上記本体の第1面、第2面、第5面、及び/または第6面と直接的に接触することで、本体110と外部電極131、132との接合力を向上させることができる。一方、S1-2及びS2-2が10%以下である場合、上記本体110と外部電極131、132との接合力向上の効果が微小である恐れがある。また、S1-2及びS2-2が30%を超える場合、ガラスの面積分率が過度であるため、第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2に含まれているガラスが第1-2電極層131-2及び第2-2電極層132-2の外表面に溶出される不良が発生する恐れがある。一方、より好ましくは、上記S1-2及びS2-2は、15%≦S1-2≦30%及び15%≦S2-2≦30%を満たすことができる。
【0081】
(実験例)
<T1-2≦8μm及びT2-2≦8μmの条件によるブリスター発生有無の評価>
先ず、誘電体層及び内部電極を含む本体を用意した後、めっき法により上記本体の第3面及び第4面に第1-1電極層及び第2-1電極層を形成した。その後、上記本体の第1面、第2面、第5面、及び第6面に、金属とガラスを含む第2導電性ペーストを塗布してから焼成することで第1-2電極層及び第2-2電極層を形成し、第1及び第2外部電極を含むサンプルチップを用意した。
【0082】
次に、上記本体の第3方向の中央で切断した上記第1及び第2外部電極の第1方向及び第2方向の断面を2000倍の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像で、第1-2電極層の第2方向の中央領域の厚さ(T1-2)と、第2-2電極層の第2方向の中央領域の厚さ(T2-2)を測定した。上記T1-2は、第1-2電極層を第2方向を基準として5等分した領域のうち中央に配置された領域で測定し、上記T2-2は、第2-2電極層を第2方向を基準として5等分した領域のうち中央に配置された領域で測定した。また、上記T1-2は、第1-2電極層の第2方向の中央領域での最大値と設定し、上記T2-2は、第2-2電極層の第2方向の中央領域での最大値と設定した。この時、実験例のT1-2及びT2-2はそれぞれ8μm以下に調節し、比較例のT1-2及びT2-2はそれぞれ10μm以上に調節した。
【0083】
図8は実験例の外部電極の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。図9は比較例の外部電極の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。図8及び図9を参照すると、T1-2及びT2-2がそれぞれ10μm以上である比較例は、外部電極のブリスター(blister)不良が発生し、外部電極のうち一部が本体から離脱していることが確認できる。これは、第1-2電極層及び第2-2電極層の第2方向の中央領域での厚さが厚すぎて、焼成時にガラスで発生した残炭が外部に通り抜けなかったためであると予想される。これに対し、実験例は、T1-2及びT2-2がそれぞれ8μm以下であって、焼成時にガラスで発生した残炭が外部に容易に通り抜け、これにより、外部電極のブリスター不良が発生していないことが確認できる。
【0084】
<10%<S1-2≦30%及び10%<S2-2≦30%の条件による本体と外部電極との接合力及びガラスの溶出有無の評価>
次に、上記本体の第3方向の中央で切断した第1及び第2外部電極の断面を5000倍の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像を得た後、SEM画像を分析し、S1-1、S1-2、S2-1、及びS2-2を測定した。上記S1-1及びS2-1は、上記第1-1電極層及び第2-1電極層の第1方向の中央領域で測定し、上記S1-2及びS2-2は、上記第1-2電極層及び第2-2電極層の第2方向の中央領域で測定した。
【0085】
この時、上記第1-1電極層及び第2-1電極層はめっき法により形成されたため、S1-1及びS2-1が0.1%未満であった。各試験番号当たり10個のサンプルに対してS1-2及びS2-2をそれぞれ測定した後、S1-2の平均値及びS2-2の平均値を下記表1に記載した。
【0086】
本体と外部電極との接合力を試験するためのテープテストで、各試験番号当たり100個のサンプルの第1面または第2面が基板に向くように実装してから、25℃で300mm/minの速度及び90°の角度で測定された粘着力が1600gf/25mmである接着テープをサンプルチップの表面に付着した後、それを90°の角度で力を加えて分離した。各サンプルに対して、上記の接着テープの付着及び分離を5回繰り返した後、第1-2電極層及び第2-2電極層が上記接着テープにより除去されたサンプルチップの個数を測定し、下記表1に記載した。
【0087】
また、ガラス溶出テストでは、各試験番号当たり30個のサンプルに対して、上記本体の第3方向の中央で切断した上記第1及び第2外部電極の第1方向及び第2方向の断面を2000倍の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像を観察した時に、第1-2電極層及び第2-2電極層の外表面にガラスが溶出されているサンプルチップの個数を測定し、下記表1に記載した。
【0088】
【表1】
【0089】
上記表1の試験番号1及び2を参照すると、S1-2及びS2-2が10%以下である場合、本体と外部電極との接合力向上の効果が微小であり、テープテストで不良が発生することが確認できる。
【0090】
また、上記表1の試験番号7及び8を参照すると、S1-2及びS2-2が30%を超えた場合、第1-2電極層及び第2-2電極層の外表面にガラスが溶出される不良が発生することが確認できる。
【0091】
これに対し、試験番号3~6は、10%<S1-2≦30%及び10%<S2-2≦30%を満たすことで、本体と外部電極との接合力を確保し、且つ過量のガラスが第1-2電極層及び第2-2電極層の外表面に溶出されることを防止することができ、これにより、テープテスト及びガラス溶出テストで不良が発生しないことを確認した。
【0092】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0093】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0094】
また、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分させるために用いられ、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から外れることなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して、第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0095】
100、200 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131-0 第1下地電極層
131-1 第1-1電極層
131-2 第1-2電極層
131-3 第1-3電極層
132-0 第2下地電極層
132-1 第2-1電極層
132-2 第2-2電極層
132-3 第2-3電極層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9