(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008658
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ダイス及び造粒機
(51)【国際特許分類】
B01J 2/20 20060101AFI20240112BHJP
B30B 9/28 20060101ALI20240112BHJP
B30B 11/00 20060101ALI20240112BHJP
A61J 3/10 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
B01J2/20
B30B9/28 L
B30B11/00 Z
A61J3/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110698
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】518295543
【氏名又は名称】川中 青児
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川中 青児
【テーマコード(参考)】
4C047
4G004
【Fターム(参考)】
4C047LL04
4G004LA06
(57)【要約】
【課題】効率よくペレットを製造することが可能なダイスを提供する。
【解決手段】本技術の一形態に係るダイスは、原材料が供給され、第1の開口径を有する複数の第1の開口部を有する第1の面と、圧縮された上記原材料が押し出され、上記第1の開口径よりも小さい第2の開口径を有する複数の第2の開口部を含む第2の面と、上記複数の第1の開口部と上記複数の第2の開口部との間にそれぞれ設けられ、上記原材料が押し込まれる複数の貫通孔と、を有する。上記複数の貫通孔は、上記第1の開口部側から上記第2の開口部側に向けて縮径する曲面部を有する第1の通路部と、上記第2の開口径を有し、上記第1の通路部から上記第2の開口部に円筒状に形成される第2の通路部と、を有する。上記曲面部の縮径率は、上記第1の開口部側から上記第2の開口部側に向かって大きくなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料が供給され、第1の開口径を有する複数の第1の開口部を有する第1の面と、
圧縮された前記原材料が押し出され、前記第1の開口径よりも小さい第2の開口径を有する複数の第2の開口部を含む第2の面と、
前記複数の第1の開口部と前記複数の第2の開口部との間にそれぞれ設けられ、前記原材料が押し込まれる複数の貫通孔と
を有するダイスにおいて、
前記複数の貫通孔は、
前記第1の開口部側から前記第2の開口部側に向けて縮径する曲面部を有する第1の通路部と、
前記第2の開口径を有し、前記第1の通路部から前記第2の開口部に円筒状に形成される第2の通路部と、を有し、
前記曲面部の縮径率は、前記第1の開口部側から前記第2の開口部側に向かって大きくなる、
ダイス。
【請求項2】
請求項1に記載のダイスであって、
前記第1の通路部は、前記第1の開口部と前記曲面部との間に設けられ、前記曲面部に向けて縮径し、最小開口径が前記第2の開口径よりも大きい径であるテーパ面からなるガイド部をさらに有する
ダイス。
【請求項3】
請求項1に記載のダイスであって、
前記第1の通路部は、前記第1の開口部と前記曲面部との間に設けられる円筒状のストレート部をさらに有する
ダイス。
【請求項4】
請求項1に記載のダイスであって、
前記曲面部は、前記第1の開口部と前記第2の通路部との間に形成されている
ダイス。
【請求項5】
請求項1に記載のダイスであって、
前記曲面部の最大開口径が前記第1の開口径であり、前記曲面部の最小開口径が前記第2の開口径である
ダイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のダイスであって、
前記曲面部の前記第2の通路部付近は、前記第1の面と平行又は略平行である
ダイス。
【請求項7】
原材料を投入可能に構成されるケーシングと、
前記ケーシング内に充填される前記原材料が押し込まれる請求項1~5のいずれか一項に記載のダイスと、
前記ダイスの前記第1の面上を自転しながら前記原材料を前記ダイスの前記貫通孔に押し込むローラと、
前記ダイスの第2の面側に配置され、前記押し出された原材料を切断するカッタと、
を含む造粒機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ペレットを製造する造粒機のダイス及び造粒機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木質材料などの原材料を押出成形したペレットは、ストーブやボイラーの燃料に用いられている。このようなペレットを製造するためのペレット製造装置には、原材料をペレットに加工するダイスが用いられる。例えば、特許文献1には、円盤状のダイス上を圧縮ローラが円周方向に回転しながらダイスに複数形成された円筒形状の貫通孔に原材料を圧入することで木質材料からなるペレットを製造するペレット製造装置が開示されており、上記ダイスに複数形成された上記貫通孔は、上記原材料の供給される開口部がテーパ構造を有することで上記原材料を上記貫通孔に導き易くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、圧縮ローラによってテーパ構造の部分で圧縮された原材料が貫通孔内に入り込まずに貫通孔外に出してしまったり、テーパ構造の部分で原材料が圧縮されることで目詰まりが生じてしまったりすることがあった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、効率よくペレットを製造することが可能なダイス及び造粒機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一形態に係るダイスは、原材料が供給され、第1の開口径を有する複数の第1の開口部を有する第1の面と、圧縮された上記原材料が押し出され、上記第1の開口径よりも小さい第2の開口径を有する複数の第2の開口部を含む第2の面と、上記複数の第1の開口部と上記複数の第2の開口部との間にそれぞれ設けられ、上記原材料が押し込まれる複数の貫通孔と、を有する。
上記複数の貫通孔は、上記第1の開口部側から上記第2の開口部側に向けて縮径する曲面部を有する第1の通路部と、上記第2の開口径を有し、上記第1の通路部から上記第2の開口部に円筒状に形成される第2の通路部と、を有する。
上記曲面部の縮径率は、上記第1の開口部側から上記第2の開口部側に向かって大きくなる。
【0007】
上記第1の通路部は、上記第1の開口部と上記曲面部との間に設けられ、上記曲面部に向けて縮径し、最小開口径が上記第2の開口径よりも大きい径であるテーパ面からなるガイド部をさらに有してもよい。
【0008】
上記第1の通路部は、上記第1の開口部と上記曲面部との間に設けられる円筒状のストレート部をさらに有してもよい。
【0009】
上記曲面部は、上記第1の開口部と上記第2の通路部との間に形成されていてもよい。
【0010】
上記曲面部の最大開口径が上記第1の開口径であり、上記曲面部の最小開口径が上記第2の開口径であってもよい。
【0011】
上記曲面部の上記第2の通路部付近は、上記第1の面と平行又は略平行であってもよい。
【0012】
本技術の一形態に係る造粒機は、原材料を投入可能に構成されるケーシングと、前記原材料が押し込まれる上記ダイスと、前記ダイスの前記第1の面上を自転しながら前記原材料を前記ダイスの前記貫通孔に押し込むローラと、前記ダイスの第2の面側に配置され、前記押し出された原材料を切断するカッタと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本技術によると、曲面部が形成されていることによって、原材料が滑らかに貫通孔に導かれるため、ペレットの生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態におけるペレットを製造するための造粒機の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<実施形態>
図1は、本実施形態のペレット3を製造するための造粒機1の構成を示す概略図である。また、図面に記載されたZ軸方向とは駆動軸13の軸方向と平行であり、かつ、貫通孔21の貫通する方向と平行である。
図1に示されるように、造粒機1は、ケーシング10と、ローラ11と、カッタ12と、駆動軸13と、ダイス20と、駆動部(図示しない)と、を備える。
【0017】
(造粒機1の構成)
円筒状のケーシング10は、原材料2(後述)を投入可能に構成されている。ケーシング10の上下方向は、開放されており、下方側は、ダイス20によって原材料2がケーシング10内に保持されるようになっている。ケーシング10の形状は、円筒状に限定されない。
【0018】
ダイス20の表面である第1の面22上には一対のローラ11が自転(矢印A及び矢印B)しながらダイス20の円周に沿って円形走行(自転)(矢印C)できるように設けられる。本実施形態では、一対のローラ11が配置されているが、ローラ11の数は、2つに限定されない。ローラ11は、ローラ11が自転可能にベアリング(図示しない)を介して固定されるローラ軸11Aを含む。
【0019】
ダイス20の裏面である第2の面23側には、ローラ11の上記円形走行に同期して回転移動(矢印C)するように配置された一対のカッタ12又は複数のカッタ12が配置されている。
【0020】
駆動軸13には、ローラ11及びカッタ12が取り付けられる。駆動軸13は、中心孔20B(後述)を貫通するように設けられている(
図1、2参照)。ローラ11及びカッタ12は、駆動部(図示しない)により駆動軸13が回転駆動されることによって回転駆動される。すなわち、ローラ11の円形走行及びカッタ12の回転移動は、駆動軸13の回転によって行われる。本実施形態では、ローラ11の回転速度及びカッタ12の回転速度は、駆動軸13の回転によって同期しているが、同期して回転しなくてもよい。駆動軸13の直径は、造粒する原材料2や造粒機1の設定に応じて異なるものを選択可能であり、造粒したいペレット3(後述)の仕様に応じて適宜選択可能である。
【0021】
ダイス20は、本体部20A及び中心孔20Bを備える。本体部20Aは、第1の面22及び第2の面23を備える。また、本体部20Aには、ダイス20のZ軸方向に貫通するように形成された複数の円柱状の貫通孔21を有する。ダイス20には、ケーシング10に充填される原材料2が押し込まれる。
【0022】
(造粒機1の動作)
造粒機1では、ケーシング10の上側からダイス20の第1の面22上(第1の開口部22A上)に供給された原材料2が自転及び回転走行するローラ11によって貫通孔21内に押し込められ、ローラ11によって貫通孔21内で圧縮されて貫通孔21の第2の開口部23Aから円柱状の成形物として押し出される。貫通孔21から押し出された成形物は、カッタ12によって折られる(はたき落とされる)。カッタ12及びダイス20の第2の面23の間の距離は、5~15mm程度に設定しているが、最大で40mm程度まで間の距離は調整可能である。成形物は、ダイス20の第2の面23から適度な長さ(5mm~15mm程度)押し出された上でカッタ12によって根本から折られる。成形物がカッタ12によって第2の面23付近で折られることでペレット3が形成される。すなわち、カッタ12及びダイス20の第2の面23の間の距離によって、ペレット3の長さが決まる。
【0023】
原材料2は、本実施形態では、木質材料であるが、これに限られない。例えば、食品用の材料、飼料用の材料、錠剤を成形するための医薬原料、プラスチック原料等、混錬可能な材料であれば何であってもよい。
【0024】
(ダイス20の構成)
図2は、ダイス20の斜視図である。ダイス20の本体部20Aは、厚みH1を有する円盤状であり、その中心に中心孔20Bを有する。本体部20Aの厚さH1は、本実施形態ではおおよそ30mmである。中心孔20Bは、直径がおおよそ100mmであるが、駆動軸13の直径に依存する。また、駆動軸13及び中心孔20の隙間は、1mm程度であるが、原材料2が成形されずに抜け落ちてしまうことを防止するためには、極力小さい方が好ましい。また本実施形態では本体部20Aの直径はおおよそ470mmである。
【0025】
本体部20Aの第1の面22は、原材料2が供給される側の面であり、ローラ11によって原材料2が貫通孔21に押し込まれる(Z軸方向とは垂直な)面である。第1の面22には、第1の開口径W1を有する複数の第1の開口部22Aを有する。本体部20Aの第2の面23は、圧縮された原材料2が押し出される(Z軸方向とは垂直な)面である。第2の面23には、第2の開口径W2を有する複数の第2の開口部23Aを有する。第1の面22と第2の面23とは互いに平行である。また、詳細は後述するが、第2の開口径W2は、第1の開口径W1よりも小さい。
【0026】
図3は、実施形態におけるダイス20の断面図である。複数の貫通孔21は、第1の面22と第2の面23との間を貫通している。すなわち、複数の第1の開口部22A及び複数の第2の開口部23Aがそれぞれ貫通していることによって、Z軸方向に本体部20Aを貫通する複数の貫通孔21形成されている。原材料2は、ローラ11によって貫通孔21内に押し込まれることで圧縮される。貫通孔21は、本体部20Aの中心孔20B側から本体部20Aの外周方向に多列に配置されている(
図2参照)。本実施形態では、貫通孔21の配置は六方充填配置であり、正六角形状に4段で構成され貫通孔21の数はおおよそ200個である。しかしながら、本発明は、これに限られず、本体部20Aの中心孔20B側から放射状に複数の貫通孔21が形成されてもよい。また、ダイス20は、一般的には焼き入れを施した鋼鉄製であるが、必要強度が得られるのであれば、素材及び製法は特に限定されない。
【0027】
貫通孔21は、第1の通路部211と、第2の通路部212と、を有する。
【0028】
第1の通路部211は、ガイド部211Aと、ストレート部211Bと、曲面部211Cと、接続部211Dと、を有する。第1の通路部211は、第1の開口部22A側から第2の開口部23A側に向けて縮径する曲面部211Cを有する。曲面部211Cの縮径率は、第1の開口部22A側から第2の開口部23A側に向かって連続的に大きくなる。ここで縮径率とは、第1の開口部22A側から第2の開口部23A側へ向かうに従って縮小する径の、第2の開口部23A側へ向かう方向の単位距離に対する径変化量を意味する。
【0029】
ガイド部211Aは、第1の開口部22Aから後述するストレート部211Bに向けて縮径し、その縮径したテーパ面が環状に形成される。本実施形態ではガイド部211Aの角度Xは、おおよそ30度である。ここで角度Xは、第1の面22とガイド部211Aとの成す角と等しい(同位角のため)。ガイド部211Aの上端部Uの径の大きさ(第1の開口部22Aの径の大きさ)W1は、おおよそ10mmであり、上端部Uは、第1の面22内に形成される第1の面22とガイド部211Aとの接続部(
図3の黒丸)に相当する。ガイド部211Aの下端部Lの径の大きさ(下端部Lは、後述するストレート部211Bとガイド部211Aとの接続部(
図3の黒丸)に相当)W3は、おおよそ8mmである。また、上端部Uから下端部Lまでのガイド部211Aの高さH3は、おおよそ3mmである。本実施形態では、ガイド部211Aの角度Xは、30度であったが、これに限られず、例えば0~45度に調整可能である。なお、ストレート部211Bの構成は任意であり、ストレート部211Bが存在しない場合には、ガイド部211Aは、第1の開口部22Aと曲面部211Cとの間に設けられ、曲面部211Cに向けて縮径し、最小開口径が第2の開口径W2よりも大きい径であるテーパ面からなる。
【0030】
ストレート部211Bは、ガイド部211Aと第2の通路部212との間に設けられる。ストレート部211Bは、下端部Lから後述する曲面部211Cに向けて円筒状に形成される。なお、ガイド部211Aの構成は任意であり、ガイド部211Aが存在しない場合には、ストレート部211Bは、第1の開口部22Aと曲面部211Cとの間に設けられる。
【0031】
曲面部211Cは、曲面形状であり、ストレート部211Bから第2の通路部212に向けて縮径するように形成されている。曲面部211Cの曲率は、本実施形態では、8mmであり、曲面部211CのZ軸方向に沿った高さH4は、おおよそ4mmである。曲面部211Cの最大開口径が第1の開口径W1であり、曲面部211Cの最小開口径が第2の開口径W2である。また、曲面部211Cは、第1の開口部22Aと第2の通路部212との間に形成されている。
【0032】
接続部211Dは、曲面部211Cと第2の通路部212との接続部分である。接続部211Dは、R加工されており、つまり、面取り加工が施され、曲面形状であり、接続部211Dの径の大きさは、第2の通路部212の開口径W2と同じ6mmの径を有する。
【0033】
第2の通路部212は、円筒状であり、後述する第1の通路部211から第2の開口部23Aに向けて形成され、第2の開口径W2を有する。第2の通路部212は、本実施形態では、開口径の大きさW2が6mmで、高さが19mmの円筒状であるが、これに限られず、ペレット3の原材料2やサイズによって適宜数値の設定は可能である。例えば、原材料2が杉の場合、第2の通路部213の長さが8mm必要であるとすると、第2の面23から大きさW3よりも1mmほど大きい超硬ドリル刃で11mmほど掘り進めて材料に合わせてもよいし、本体部20Aの厚みH1を薄くして第2の通路部212の長さを調整してもよい。
【0034】
ストレート部211B及び曲面部211Cは、ガイド部211Aと第2の通路部212との間に設けられ、その両者を含めた形状はガイド部211Aの下端部Lから第2の通路部212に向けて縮径するようにドーム状に形成されている。すなわち、曲面部211Cの第2の通路部212付近は、本体部20Aの第1の面22と平行又は略平行である。本実施形態では、ストレート部211B及び曲面部211Cの合計高さH2は、おおよそ8mmである。
【0035】
本実施形態では、ストレート部211Bの径W3は、下端部Lの径と同じ8mmである。また本実施形態では、ストレート部211Bの高さ(下端部Lから曲面部211Cまでの距離(H2-H4))は、おおよそ4mmである。
【0036】
本実施形態では、第1の通路部211は、曲面形状と円筒形状との組み合わせであるが、これに限られない。例えば、曲面部211Cは、曲面形状に限られず、多角形状や曲面形状と多角形状を組み合わせた形状であってもよい。すなわち、第1の通路部211は、第1の開口部22A側から第2の開口部23A側の少なくとも一部が曲面形状に形成されていればよい。また、曲面部211Cは、1つだけでなく、複数の曲面部211Cが第1の通路部211に含まれていてもよい。例えば、複数の曲面部211Cの間に縮径率が一定の面が形成されていてもよい。
【0037】
また、下端部Lに関しても接続部211Dと同様にガイド部211Aとストレート部211Bとを滑らかに接続するようにR加工され、曲面形状に形成されてもよい。
【0038】
貫通孔21の形成方法は、特に限られないが、例えば直径8mmのボール状の超硬ドリル刃等で形成されてもよい。第1の通路部211と、第2の通路部212とは、貫通孔21内を貫通するZ軸方向に平行な同一の中心軸を有する。
【0039】
以上、ここで上述した数値は、あくまでも例示であり、上述した数値に限定されるものではない。
【0040】
(ペレット3の造粒)
次に、ダイス20を用いたペレット3の造粒過程について説明する。
【0041】
図1において駆動部(不図示)によって駆動軸13が回転すると駆動軸13に固定されたローラ11、カッタ12が回転する。ローラ11は、駆動軸13を軸として回転走行(公転)しつつローラ11のローラ軸11Aを軸に自転し、ダイス20の第1の面22上を転がる。ローラ11が回転した状態で原材料2をケーシング10内に供給する。供給された原材料2は、第1の面22上に蓄積される。また、ローラ11と第1の面22とのクリアランスは適宜設定可能であるが、例えば0.2mm程度である。
【0042】
本実施形態では、供給される原材料2の大きさは木質材料の種類やペレット3の大きさによって異なる。例えば、材料が杉であり、第2の通路部212の径が本実施形態のように6mmの場合、杉の材料の大きさは長さ4.5mm程度までのおが粉状である。また原材料2の含水率は木質材料の場合、10%~15%程度である。
【0043】
次に、回転するローラ11が第1の面22に原材料2を押し当てながら貫通孔21に押し込む。このとき、ローラ11によって原材料2はガイド部211Aで押しこまれ、押しこまれた原材料2は、ガイド部211Aのテーパ面によるガイド機能によってストレート部211Bおよび曲面部211Cに向かい、第1の通路部211内に集まった原材料2がさらにローラ11によって圧縮される(一次圧縮)。一次圧縮とは、ローラ11によるZ軸方向の圧縮や曲面部211Cによる曲面部211Cの径方向の圧縮や曲面部211Cの接線方向の圧縮のことである。
【0044】
ここで、貫通孔21に第1の通路部211(特に曲面部211C)を設けることで原材料2が貫通孔21の中心に向かい易くなる。すなわち、第1の通路部211内に取り込まれた原材料2がローラ11によって圧縮されると、第1の通路部211の曲面部211Cは曲面形状であるため、ローラ11によってZ軸方向に圧縮されると曲面部211Cにある原材料2が滑らかに貫通孔21の中心(第2の通路部212側)に向かうため、それに伴って原材料2全体が貫通孔21の中心に向かい易くなる。
【0045】
また、ストレート部211Bをガイド部211Aと曲面部211Cとの間に設けることで、曲面部211Cの径の大きさW3が大きくなり、本体部20に設けられる貫通孔21の数が減少することを抑制することができる。ストレート部211Bがない場合には、下端部Lから接続部211Dまで半球状の第1の通路部211が形成されるため、本実施形態のようにH2=8mmである場合、W2=16mmの大きさが必要になる。すなわち、ストレート部211Bによって、ダイス20を小型化できる。
【0046】
そして、一次圧縮された原材料2がローラ11によってさらに押圧されると、一次圧縮された原材料2が第2の通路部212内に押し込まれさらに圧縮される(二次圧縮)。二次圧縮された原材料2は、ローラ11の押圧によって第2の通路部212を通過する。ここで、二次圧縮とは、第1の通路部211内で一次圧縮された原材料2が接続部211Dで貫通孔21の径方向に圧縮され、第2の通路部212では内壁との摩擦力によってZ軸方向に圧縮されることをいう。また、ローラ11による第1の面22に対して垂直向きの圧力は500kg/cm2以上であればよい。
【0047】
第2の通路部212を通過して第2の開口部23Aから押し出された原材料2が所定の長さでカッタ12によって折られる。本実施形態では、ペレット3は、直径6mm、高さ15mmの円柱体とすることができる。また、ペレット3の嵩比重は、目的とする任意の値に設定することができ、例えば600~750kg/m3であり、燃料用の木質ペレットの場合は、650~660kg/m3が好ましい。
【0048】
これにより、第1の通路部211(特に曲面部211C)を設けることで、原材料2が貫通孔21の中心に向かい易くなるため、原材料2による目詰まりを抑制することができ、ペレット3の生産性が向上する。また、目詰まりを抑制することができるため、ダイス20のメンテナンス期間も長くなるため、一回の生産可能な期間でより多くのペレット3を生産することができる。さらに、例え貫通孔21内で目詰まりが生じたとしても第1の通路部211(特に曲面部211C)を設けたことで、潤滑性の高い材料を貫通孔21内に流し易くなるため、貫通孔21に詰まった原材料2を取り除き易くなり、メンテナンス時の効率も向上する。
【0049】
また、接続部211Dは、曲面部211Cと第2の通路部212とを滑らかに接続しているため、第1の通路部211から第2の通路部212へ原材料2が押圧され易くなり、目詰まりを抑制することができる。さらに、貫通孔21がガイド部211Aを有しているため、第1の面22上の原材料2が貫通孔21内に容易に取り込まれ、ペレット3の生産性が向上する。
【0050】
(比較例)
図6には、従来のダイス30の断面図が示されている。ダイス30は、第1の開口部32Aを有する第1の面32と、第2の開口径33Aを有する第2の面33と貫通孔31とを有し、貫通孔31は、ガイド部311Aと第2の通路部312とを有する。
【0051】
そして、
図6に記載されているように、ダイス30にガイド部311Aと第2の通路部312のみが形成されている場合に、ガイド部311Aに取り込まれた原材料2がローラ11によって圧縮されると、ガイド部311Aのテーパの部分の抵抗により原材料2が貫通孔31の中心に容易に向かわない。また、ローラ11は回転(自転および公転)しながら、原材料2を圧縮しているため、ローラ11による圧縮方向によっては、原材料2がガイド部311Aから出てしまうこともある。本実施形態の第1の通路部211の部分をすべてテーパ形状の構造に置き換えた(テーパの部分を長くして、傾斜角を変更した)としても斜面が長い分原材料2が圧縮され続けてしまうため、第2の通路部211に原材料2が取り込まれる前に固まってしまい、第2の通路部211に原材料2が入っていくことが難しい。
【0052】
(変形例1)
図4は、実施形態の変形例1におけるダイス200の断面図である。以下、実施形態と異なる構成について主に説明し、実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0053】
本変形例のダイス200の貫通孔210がストレート部211Bを有していない点で上述した実施形態と異なる。つまり、貫通孔210は、第1の通路部2110と第2の通路部212とを有し、第1の通路部2110は、ガイド部211Aと、曲面部211Cと、接続部211Dと、を有する。曲面部211Cの形状は、半球状であってもよいし、楕円形形状であってもよいし、多角形状であってもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0054】
これにより、貫通孔210がガイド部211Aから曲面部211Cを介して曲線状に第2の通路部212に向かって形成されるため、ローラ11で原材料2が貫通孔210に押し込まれた際にガイド部211Aや第1の通路部2110に取り込まれた原材料2が滑らかに貫通孔210の中心に向かい易くなる。したがって、原材料2の目詰まり等が起こりにくく、ペレット3の生産性が向上する。また、目詰まりを抑制することができるため、ダイス20のメンテナンス期間も長くなるため、一回の製造可能な期間でより多くのペレット3を製造することができる。さらに、例え貫通孔21内で目詰まりが生じたとしても第1の通路部211(特に曲面部211C)を設けたことで、潤滑性の高い材料を貫通孔21内に流し易くなるため、貫通孔21に詰まった原材料2を取り除き易くなり、メンテナンス時の効率も向上する。
【0055】
また、上述した実施形態と同様の構成である接続部211Dは、曲面部211Cと第2の通路部212とを滑らかに接続しているため、第1の通路部211から第2の通路部212へ原材料2が押圧され易くなり、目詰まりを抑制することができる。さらに、貫通孔21がガイド部211Aを有しているため、第1の面22上の原材料2が貫通孔21内に容易に取り込まれ、ペレット3の生産性が向上する。
【0056】
(変形例2)
図5は、実施形態の変形例2におけるダイス200Aの断面図である。以下、実施形態と異なる構成について主に説明し、実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0057】
本変形例のダイス200Aの貫通孔210Aは、ガイド部211Aを有していない点で、実施形態と異なる。つまり、貫通孔210Aは、第1の通路部2110Aと第2の通路部212を有し、第1の通路部2110Aは、ストレート部211Bと、曲面部211Cと、接続部211Dと、を有する。曲面部211Cの形状は、半球状であってもよいし、楕円形形状であってもよいし、多角形状であってもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。第1の面22から接続部211Dまでの距離H5は例えば11mmである。
【0058】
これにより、曲面形状を有する曲面部211Cによって貫通孔210Aに原材料2が取り込まれるため、ローラ11で原材料2が貫通孔210Aに押し込まれた際に原材料2が滑らかに貫通孔210Aの中心に向かい易くなる。したがって、原材料2の目詰まり等が起こりにくく、ペレット3の生産性が向上する。また、目詰まりを抑制することができるため、ダイス20のメンテナンス期間も長くなるため、一回の生産可能な期間でより多くのペレット3を生産することができる。さらに、例え貫通孔21内で目詰まりが生じたとしても第1の通路部211(特に曲面部211C)を設けたことで、潤滑性の高い材料を貫通孔21内に流し易くなるため、貫通孔21に詰まった原材料2を取り除き易くなり、メンテナンス時の効率も向上する。
【0059】
また、上述した実施形態と同様の構成である接続部211Dは、曲面部211Cと第2の通路部212とを滑らかに接続しているため、第1の通路部211から第2の通路部212へ原材料2が押圧され易くなり、目詰まりを抑制することができる。
【0060】
(その他変形例)
以上、各図面を参照して説明したダイス等の各構成はあくまで例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本発明を実施するための他の任意の構成が採用されてよい。例えば、本実施形態における貫通孔21が第1の通路部211と、第2の通路部212と、を有し、第1の通路部211は、曲面部211C及び接続部211Dのみを有する構成であってもよい。
【0061】
また、上述した実施形態及び変形例では貫通孔21、210のガイド部211Aの直径の大きさは、本体部20Aのどの位置でも等しく形成されていたが、もちろんこれに限られない。例えば、貫通孔21、210のガイド部211Aの直径の大きさは、本体部20Aの中心孔20B側から本体部20Aの外周に向かうにつれて大きくなるように形成されてもよい。ローラ11は、本体部20Aの外周側の方の角速度が速いため、ガイド部211Aの直径を周方向外側では大きくすることにより原材料2を取り込み易くすることができる。
【0062】
また、上述した実施形態及び変形例に加えて第2の通路部212の長さを本体部20Aの中心孔20B側から本体部20Aの外周に向かうにつれて短くなるように形成してもよい。これにより、取り込まれる量が異なる貫通孔21、210、210Aに合わせて第2の通路部212の長さを調整できるため、原材料2が第2の通路部212内の抵抗によって詰まることを抑制することができる。
【0063】
さらに、上述した実施形態及び変形例では、円盤状のダイス20、200、200Aを用いた造粒機1の構成を説明したが、ダイスの形状は、これに限定されない。例えば、本発明の貫通孔21、210、210Aの構成は、リング状のダイス(リングダイ式造粒機)にも適用可能である。リング状のダイスとは、リングの周面に貫通孔21、210、210Aが形成されている。そして、リングの内周面をローラが回転走行することで、原材料2を貫通孔21、210、210Aに押し込む。押し込まれた原材料2は、リングの外周面から押し出される。なお、貫通孔21、210、210Aは、リングの周面に形成されているため、第1の面22及び第2の面23がそれぞれリングの周面に沿って湾曲している。しかしながら、この湾曲は、特に本発明の効果を阻害するものではないため、上述の実施形態及び変形例と同様の効果が得られる。すなわち、第1の面22及び第2の面23は、緩やかに湾曲しているものの、第1の面22及び第2の面23は、略平行であるため、本発明が適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…造粒機
2…原材料
3…ペレット
10…ケーシング
11…ローラ
12…カッタ
13…駆動軸
20、200、200A…ダイス
20A…本体部
20B…中心孔
21、210、210A…貫通孔
22…第1の面
22A…第1の開口部
23…第2の面
23A…第2の開口部
211、2110、2110A…第1の通路部
211A…ガイド部
211B…ストレート部
211C…曲面部
211D…接続部
212…第2の通路部