(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086583
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 311E
H01G4/30 517
H01G4/30 516
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183982
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0177118
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0029326
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 彩銅
(72)【発明者】
【氏名】金 昇阿
(72)【発明者】
【氏名】延 圭浩
(72)【発明者】
【氏名】李 哲承
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH03
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ13
5E082JJ23
(57)【要約】
【課題】外部電極において導電性樹脂層の表面抵抗を低減することによって積層型キャパシタの初期ESRを低減し、温度変化による劣化を抑制することができ、外部電極のメッキ層を均一且つ迅速に形成させることができ、外部電極で貴金属の使用量を最少化することによってイオンマイグレーションの発生を防止するか遅らせることができる積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】一実施形態による積層型キャパシタは誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、キャパシタボディーの外側に配置される外部電極とを含み、外部電極は、キャパシタボディーの外側に配置され、樹脂および導電性金属を含む導電性樹脂層と、導電性樹脂層表面とに位置し、貴金属を含む金属層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記キャパシタボディーの外側に配置され、
樹脂および導電性金属を含む導電性樹脂層と、
前記導電性樹脂層の表面と、に位置し、貴金属を含む金属層を含む、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記貴金属は、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記キャパシタボディーは、前記誘電体層および前記内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面と、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面と、幅方向に互いに対向する第5面および第6面と、を有する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、単位面積(25μm×4μm)における前記貴金属と前記導電性金属との重量比は0.05:1~0.4:1である、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、
前記第3面または第4面における、前記金属層の長さ方向平均長さは5μm以下である、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、前記第1面または第2面における前記金属層の厚さ方向平均長さは5μm以下である、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記金属層は貴金属ナノ粒子の集合層である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記貴金属ナノ粒子の平均粒子大きさは0.2μm~2.5μmである、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、前記金属層は途切れ部、島部、空隙部またはこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記導電性樹脂層との界面に位置する前記貴金属ナノ粒子の一部は、前記導電性樹脂層の導電性金属を置換して前記導電性樹脂層に浸透している、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記導電性樹脂層において、
前記樹脂はエポキシ系樹脂を含み、
前記導電性金属は銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記外部電極は、前記キャパシタボディーと前記導電性樹脂層の間に位置する焼結金属層をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記外部電極は前記キャパシタボディーの第3面または第4面を覆う接続部と前記第3面または第4面の角を覆うバンド部を有し、
前記金属層は前記接続部、前記バンド部またはこの両方ともに位置する、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記金属層は、前記接続部での平均厚さより前記バンド部での平均厚さがさらに厚い、請求項14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階と、
前記キャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階と、を含み、
前記外部電極を形成する段階は、
前記キャパシタボディーの外側に樹脂および導電性金属を含む導電性樹脂層を形成する段階と、
前記導電性樹脂層の外側に貴金属を含む金属層を形成する段階と、を含む、
積層型キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記金属層を形成する段階は、ガルバニック置換法(galvanic exchange)、電解メッキ法、硬化型樹脂ペースト塗布法、焼結型インク塗布法、還元剤を含む無電解メッキ法、MODインク塗布法(MOD:metal organic decomposition)または蒸着法を用いて行われる、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、樹脂と、導電性金属粉末と、有機溶媒と、を含む導電性樹脂層用ペーストを塗布して行われる、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記外部電極を形成する段階は、前記導電性樹脂層を形成する段階前に、
導電性金属およびガラスを含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外側に塗布した後に焼結させて行われる焼結金属層形成段階をさらに含む、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記外部電極を形成する段階は、前記金属層を形成する段階後に、前記金属層の上にメッキ法を用いてメッキ層を形成する段階をさらに含む、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は積層型キャパシタおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタの外部電極における高分子樹脂を含む導電性樹脂層は積層型キャパシタに加えられる多様な外部衝撃を吸収し、応力を解消する目的で導入される。
【0003】
外部電極の導電性樹脂層が銀(Ag)を含む場合、イオンマイグレーション(ion migration)によって積層型キャパシタ表面に銀(Ag)デンドライト(dendrite)が形成される問題がある。例えば、湿度が高い状況で気温が低下すれば積層型キャパシタ表面に結露が発生し、水分は電圧が印加されている積層型キャパシタの両電極の間で電解質としての役割を果たすため、外部電極に含まれている銀(Ag)イオンがマイグレーションされる。このような問題を解決するために表面撥水コーティングなどの対策が摸索されている。
【0004】
一方、外部電極の導電性樹脂層が銅(Cu)を含む場合、銀(Ag)を含む場合と比較してイオンマイグレーション防止効果に優れ、価格が安いという長所がある。
【0005】
しかし、銅の表面酸化による等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)上昇、樹脂熱分解促進、樹脂電極表面のメッキ層の途切れなどの観点から持続的な改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一側面は、外部電極で導電性樹脂層の表面抵抗を低減することによって積層型キャパシタの初期ESRを低減し、温度変化による劣化を抑制することができる。また、外部電極のメッキ層を均一且つ迅速に形成することができ、外部電極における貴金属の使用量を最少化することによってイオンマイグレーションの発生を防止するまたは遅らせることができる、積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、を含み、外部電極は、キャパシタボディーの外側に配置され、樹脂および導電性金属を含む導電性樹脂層と、導電性樹脂層表面と、に位置し、貴金属を含む金属層を含む。
【0008】
貴金属は、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0009】
キャパシタボディーは、誘電体層および内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面と、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面と、幅方向に互いに対向する第5面および第6面と、を有することができる。
【0010】
積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、単位面積(25μm×4μm)における、貴金属と導電性金属との重量比は0.05:1~0.4:1であってもよい。
【0011】
積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、第3面または第4面における、金属層の長さ方向平均長さは5μm以下であってもよい。
【0012】
積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、第3面または第4面における、金属層の長さ方向平均長さは0.7μm~4.5μmであってもよい。
【0013】
積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、第1面または第2面における、金属層の厚さ方向平均長さは5μm以下であってもよい。
【0014】
積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、第1面または第2面における、金属層の厚さ方向平均長さは0.7μm~4.5μmであってもよい。
【0015】
金属層は貴金属ナノ粒子の集合層であってもよい。
【0016】
貴金属ナノ粒子の平均粒子大きさは0.2μm~2.5μmであってもよい。
【0017】
積層型キャパシタの幅方向中央地点から幅方向に垂直に長さ方向および厚さ方向に切断した断面において、金属層は途切れ部、島部、空隙部またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0018】
導電性樹脂層との界面に位置する貴金属ナノ粒子の一部は、導電性樹脂層の導電性金属を置換して導電性樹脂層に浸透しているのであってもよい。
【0019】
導電性樹脂層において、樹脂はエポキシ系樹脂を含み、導電性金属は銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)またはこれらの混合物を含むことができる。
【0020】
外部電極は、導電性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0021】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金またはこれらの混合物を含むことができる。
【0022】
外部電極は、キャパシタボディーと導電性樹脂層の間に位置する焼結金属層をさらに含むことができる。
【0023】
焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0024】
外部電極はキャパシタボディーの第3面または第4面を覆う接続部と第3面または第4面の角を覆うバンド部を有することができる。
【0025】
金属層は、接続部、バンド部またはこの両方ともに配置することができる。
【0026】
金属層は、接続部のみに配置することができる。
【0027】
金属層は、接続部およびバンド部に配置することができる。
【0028】
金属層は、接続部での平均厚さよりバンド部での平均厚さがさらに厚くてもよい。
【0029】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階と、キャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階とを含み、外部電極を形成する段階は、キャパシタボディーの外側に樹脂および導電性金属を含む導電性樹脂層を形成する段階と、導電性樹脂層の外側に貴金属を含む金属層を形成する段階とを含む。
【0030】
金属層を形成する段階は、ガルバニック置換法(galvanic exchange)、電解メッキ法、硬化型樹脂ペースト塗布法、焼結型インク塗布法、還元剤を含む無電解メッキ法、MODインク塗布法(MOD:metal organic decomposition)または蒸着法を用いて行うことができる。
【0031】
導電性樹脂層を形成する段階は、樹脂、導電性金属粉末、および有機溶媒を含む導電性樹脂層用ペーストを塗布して行うことができる。
【0032】
外部電極を形成する段階は、導電性樹脂層を形成する段階前に、導電性金属およびガラスを含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外側に塗布した後に焼結させて行われる焼結金属層形成段階をさらに含むことができる。
【0033】
外部電極を形成する段階は、金属層を形成する段階後に、金属層の上にメッキ法を用いてメッキ層を形成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0034】
一側面による積層型キャパシタによれば、外部電極の導電性樹脂層の表面抵抗を低減することによって積層型キャパシタの初期ESRを低減し、温度変化による劣化を減少させることができる。また、外部電極のメッキ層を均一且つ迅速に形成することができ、外部電極で貴金属の使用量を最少化することによってイオンマイグレーションの発生を防止するか遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図である。
【
図2】
図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
【
図3】
図1のキャパシタボディーで内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【
図5】実施例1で製造された積層型キャパシタの外部電極とキャパシタボディーの間の境界を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である。
【
図6】実施例1で製造された積層型キャパシタの外部電極とキャパシタボディーの間の境界をエネルギー分散型分光器(EDS)で分析した写真である。
【
図7】単位面積が表示された接続部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図8】単位面積が表示されたバンド部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図9】実施例1で製造された積層型キャパシタのメッキ層を示す写真である。
【
図10】比較例1で製造された積層型キャパシタのメッキ層を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付けた。また、添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物や代替物を含むと理解されるものである。
【0037】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0038】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”または“接続されて”いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されている、接続されているまたは対向していることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されたい。反面、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”または“直接接続されて”いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されたい。
【0039】
明細書全体で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されるものである。したがって、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0040】
図1は一実施形態による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、
図2は
図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、
図3は
図1のキャパシタボディー110で内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【0041】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸はそれぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一な概念として使用できる。長さ方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さよりさらに長くてもよい。
【0042】
図1~
図3を参照すれば、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110と、キャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132とを含むことができる。
【0043】
キャパシタボディー110は一例として、大略的な六面体形状であってもよい。
【0044】
本実施形態では説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面と、第1面および第2面と連結され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面と、第1面および第2面と連結され第3面および第4面と連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義することにする。一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になり得る。また、第1面~第6面は平らであってもよいが、これに限定されるのではなく、例えば、中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は丸まって(round)いてもよい。
【0045】
キャパシタボディー110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたもので限定されるのではない。
【0046】
キャパシタボディー110は複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1内部電極121および第2内部電極122を含む。この時、第1内部電極121および第2内部電極122は互いに異なる極性を有することができる。
【0047】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を使用せずに確認することが困難な程度に一体化できる。
【0048】
また、キャパシタボディー110は、アクティブ領域と、カバー領域112と、カバー領域113とを含むことができる。
【0049】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121および第2内部電極122が重畳(overlap)した領域であってもよい。
【0050】
カバー領域112およびカバー領域113はマージン部であって厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ配置できる。このようなカバー領域112およびカバー領域113は、単一の誘電体層111または二つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0051】
また、キャパシタボディー110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域はマージン部であって幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ配置できる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両方の側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成することができる。
【0052】
カバー領域112およびカバー領域113と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0053】
一例として、誘電体層111は高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料はBaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO3系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などを含むことができる。
【0054】
また、誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などをさらに添加することができる。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物、遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0055】
一例として、誘電体層111の平均厚さは0.5μm~10μmであってもよい。
【0056】
第1内部電極121および第2内部電極122は互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3面および第4面を通じてそれぞれ露出できる。
【0057】
第1内部電極121および第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0058】
キャパシタボディー110の第3面および第4面を通じて交互に露出される第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0059】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、PdもしくはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0060】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0061】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成できる。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0062】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは0.1μm~2μmであってもよい。
【0063】
第1外部電極131および第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出される部分とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0064】
前述のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量はアクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重畳する第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積と比例するようになる。
【0065】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディー110の第3面および第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122と接続される第1接続部および第2接続部と、キャパシタボディー110の第3面および第4面と、第1面および第2面または第5面および第6面が接する角に配置される第1バンド部および第2バンド部とをそれぞれ含むことができる。
【0066】
第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部からキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面の一部までそれぞれ延長できる。第1バンド部および第2バンド部は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0067】
図4は
図2のIII領域を拡大した断面図であって、第2外部電極132とキャパシタボディー110の接合境界領域を拡大して模式的に示した断面図である。
図4では第2外部電極132についてのみ図示しているが、第1外部電極131も
図4と類似の特徴を有している。以下、
図4を参照して、本実施形態の第1外部電極131および第2外部電極132について詳細に説明する。
【0068】
一例として、第1外部電極131、第2外部電極132は、それぞれ、キャパシタボディー110と接触する焼結金属層1311、1321と、焼結金属層1311、1321を覆うように配置される導電性樹脂層1312、1322と、導電性樹脂層1312、1322を覆うように配置されるメッキ層1313、1323と、を含むことができる。
【0069】
焼結金属層1311、1321は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0070】
一例として、焼結金属層1311および焼結金属層1321は導電性金属として銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれてもよい。
【0071】
一例として、焼結金属層1311、1321はガラスで酸化物が混合された組成を含むことができ、例えばケイ素酸化物と、ホウ素酸化物と、アルミニウム酸化物と、遷移金属酸化物と、アルカリ金属酸化物と、アルカリ土類金属酸化物とからなる群より選択された一つ以上であってもよい。遷移金属は亜鉛(Zn)と、チタン(Ti)と、銅(Cu)と、バナジウム(V)と、マンガン(Mn)と、鉄(Fe)と、ニッケル(Ni)とからなる群より選択され、アルカリ金属はリチウム(Li)と、ナトリウム(Na)と、カリウム(K)とからなる群より選択され、アルカリ土類金属はマグネシウム(Mg)と、カルシウム(Ca)と、ストロンチウム(Sr)と、バリウム(Ba)とからなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0072】
焼結金属層1311、1321で導電性金属とガラスの含量は特に限定されないが、例えば、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2)地点から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面において、導電性金属の平均面積は焼結金属層1311、1321の全体面積に対して30%~90%または70%~90%であってもよい。
【0073】
導電性樹脂層1312、1322は焼結金属層1311、1321の上に形成され、例えば、焼結金属層1311、1321を完全に覆う形態に形成できる。一方、第1外部電極131および第2外部電極132は焼結金属層1311、1321を含まなくてもよく、この場合、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディー110と直接接触できる。
【0074】
導電性樹脂層1312、1322はキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5および第6面に延長され、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さは焼結金属層1311、1321がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さより長くてもよい。即ち、導電性樹脂層1312、1322は焼結金属層1311、1321の上に形成され、焼結金属層1311、1321を完全に覆う形態に形成できる。
【0075】
導電性樹脂層1312、1322は、樹脂1322bおよび導電性金属1322aを含む。
【0076】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる樹脂1322bは接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属1322a粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0077】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる導電性金属1322aは、第1内部電極121および第2内部電極122または焼結金属層1311、1321と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0078】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる導電性金属1322aは、球形、フレーク形またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。即ち、導電性金属1322aはフレーク形のみからなるか、球形のみからなってもよく、フレーク形と球形が混合された形態であってもよい。
【0079】
ここで、球形は完全な球形でない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク形粉末は平たくて細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0080】
導電性樹脂層1312、1322は、導電性金属1322aとして銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)またはこれらの混合物を含むことができる。導電性樹脂層1312、1322が銀(Ag)を含む場合、イオンマイグレーション(ion migration)によって積層型キャパシタ100表面に銀(Ag)デンドライト(dendrite)が形成されることがあるので、銅(Cu)を使用することによって第1外部電極131および第2外部電極132で貴金属の使用量を最少化することによってイオンマイグレーションの発生を防止するか遅らせることができる。
【0081】
一例として、第1接続部での導電性樹脂層1312および第2接続部での導電性樹脂層1322の長さ方向(L軸方向)平均長さ、即ち、平均厚さは13μm未満または7.4μm以下であってもよい。第1接続部での導電性樹脂層1312および第2接続部での導電性樹脂層1322の長さ方向(L軸方向)平均長さが13μm以上である場合にはESRが増加して電気的特性が低下することがある。
【0082】
一方、第1バンド部での導電性樹脂層1312および第2バンド部での導電性樹脂層1322の厚さ方向(W軸方向)平均長さ、即ち、平均厚さは特に限定する必要はない。但し、十分な曲げ強度特性を確保するために第1バンド部での導電性樹脂層1312および第2バンド部での導電性樹脂層1322の厚さ方向(W軸方向)平均長さは9.43μm超または15.21μm以上であってもよい。
【0083】
第1バンド部および第2バンド部で導電性樹脂層1312、1322は焼結金属層1311、1321の少なくとも一部を覆うように配置できる。即ち、
図2を参照すれば、導電性樹脂層1312、1322の第1バンド部および第2バンド部で長さ方向(L軸方向)長さが焼結金属層1311、1321の第1バンド部および第2バンド部で長さ方向(L軸方向)長さより長くてもよい。これにより、曲げ強度特性をより向上させることができ、焼結金属層1311、1321の第1バンド部および第2バンド部終端を覆って水分浸透経路を遮断することによって耐湿信頼性を向上させることができる。
【0084】
一方、第1外部電極131および第2外部電極132の導電性樹脂層1312、1322が銅(Cu)を含む場合、銀(Ag)を含む場合と比較してイオンマイグレーション防止効果に優れ、価格が安いという長所がある。
【0085】
しかし、第1外部電極131および第2外部電極132の導電性樹脂層1312、1322が銅(Cu)を含む場合、導電性樹脂層1312、1322を形成するためのペースト塗布後、乾燥および硬化過程で高温の空気に曝露されながら表面に露出された金属が酸化されて表面抵抗が上昇することがある。これによって、積層型キャパシタ100のESRを上昇させ、導電性樹脂層1312、1322に含まれている樹脂1322bの熱分解を促進し、メッキ層1313、1323のメッキが不均一に行われるまたは途切れが発生することがある。
【0086】
このような問題を解決するために、本実施形態による積層型キャパシタ100は、導電性樹脂層1312、1322表面に位置し、貴金属を含む金属層1324を含む。
【0087】
金属層1324が含む貴金属は導電性樹脂層1312、1322に含まれている導電性金属1322a、例えば銅(Cu)より酸化されにくい金属であってもよく、一例として銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0088】
金属層1324は導電性樹脂層1312、1322に含まれている導電性金属1322aの表面抵抗を低減することによって、メッキ層1313、1323のメッキが迅速且つ均一に行われるようにしてメッキ不良を改善することができる。また、導電性樹脂層1312、1322の導電性金属1322aが銀(Ag)を含む場合に対比して銀(Ag)の使用量を最少化することによってイオンマイグレーションの発生を防止するか遅らせることができる。
【0089】
金属層1324は、第1外部電極131および第2外部電極132の第1接続部および第2接続部と、第1バンド部および第2バンド部とに配置でき、または、第1バンド部および第2バンド部には配置されず第1接続部および第2接続部にのみ配置されてもよい。第1外部電極131および第2外部電極132に含まれている導電性金属1322aのイオンマイグレーションは主に第1バンド部および第2バンド部が位置する第1面、第2面、第5面、および第6面で主に問題になるので、金属層1324が第1バンド部および第2バンド部には配置されず第1接続部および第2接続部にのみ位置する場合、イオンマイグレーションの発生をさらに防止するか遅らせることができる。
【0090】
第1外部電極131および第2外部電極132の金属層1324は積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2)地点から幅方向に垂直に長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)などによって観察し分析することができる。例えば、導電性樹脂層1312、1322の樹脂1322bおよび導電性金属1322aと、金属層1324の貴金属との組成は断面観察時に電子線マイクロアナライザー(EPMA)による成分分析を通じて測定することができる。電子線マイクロアナライザー(EPMA)で成分分析などを行う場合、X線分光器として、EDS(エネルギー分散型分光器)またはWDS(波長分散型分光器)などを使用することができる。
【0091】
また、導電性樹脂層1312、1322の樹脂1322bと、導電性金属1322aおよび金属層1324の貴金属との面積比率はSEMまたはSTEMなどの断面観察によって得られた断面写真を画像分析することによって測定することができる。SEMの反射電子像やHAADF(高拡散乱環状暗視野)-STEM像などで第1外部電極131および第2外部電極132の断面を観察した場合、金属結合を有する導電性金属1322aと金属層1324の貴金属はコントラストの明るい部分として認識することができ、樹脂1322bなどの非金属成分(その他、空隙や酸化物も含む)はコントラストの暗い部分として認識することができる。したがって、導電性樹脂層1312、1322の樹脂1322bと、導電性金属1322aおよび金属層1324の貴金属との面積比率は断面写真を二進化するなど、測定視野全体の面積に対するコントラストが明るい部分の面積比率で算出することができる。また、その測定は少なくとも5視野以上で実施し、その平均値を算出することができる。
【0092】
金属層1324が第1接続部および第2接続部に位置する場合、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2)地点から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面において、単位面積(25μm×4μm)当りの貴金属と導電性金属1322aとの重量比は0.05:1~0.4:1、例えば0.08:1~0.37:1または0.1:1~0.35:1であってもよい。
【0093】
ここで、金属層1324が第1接続部および第2接続部に位置する場合、単位面積(25μm×4μm)において、厚さ方向(T軸方向)長さは25μm、長さ方向(L軸方向)長さは4μmであり、単位面積(25μm×4μm)において、厚さ方向(T軸方向)長さ(25μm)の中央(1/2)地点が焼結金属層1311、1321と、導電性樹脂層1312、1322と、メッキ層1313、1323とを全て含む第1外部電極131および第2外部電極132の厚さ(即ち、L軸方向長さ)が最も厚い地点に位置し、厚さ方向(T軸方向)両端で長さ方向(L軸方向)長さ(4μm)の中央(1/2)地点が導電性樹脂層1312、1322と、金属層1324との境界に配置されてもよい。
【0094】
一方、金属層1324が第1バンド部および第2バンド部に位置する場合、単位面積(25μm×4μm)において、長さ方向(L軸方向)長さは25μm、厚さ方向(T軸方向)長さは4μmであり、単位面積(25μm×4μm)において、長さ方向(L軸方向)長さ(25μm)の中央(1/2)地点が焼結金属層1311、1321と、導電性樹脂層1312、1322と、メッキ層1313、1323とを全て含む第1外部電極131および第2外部電極132の厚さ(即ち、T軸方向長さ)が最も厚い地点に位置し、長さ方向(L軸方向)両端で厚さ方向(T軸方向)長さ(4μm)の中央(1/2)地点が導電性樹脂層1312、1322と、金属層1324との境界に配置されてもよい。
【0095】
導電性金属1322aに対する貴金属の重量比が0.05未満である場合、金属層1324が薄くなりながら表面抵抗が高まることがあり、0.4を超える場合、貴金属の含量増加でイオンマイグレーションにぜい弱になることがある。
【0096】
金属層1324が第1接続部および第2接続部に位置する場合、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2)地点から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面において、金属層1324の長さ方向(L軸方向)平均長さ、即ち、金属層1324の平均厚さは5μm以下、例えば0.7μm~4.5μmであってもよい。
【0097】
ここで、第1接続部および第2接続部で、金属層1324の平均厚さは、単位面積の厚さ方向(T軸方向)長さ(25μm)の中央(1/2)地点を基準点とし、基準点から厚さ方向(T軸方向)に所定間隔離れた10箇所での金属層1324厚さの算術平均値であってもよい。この時、10箇所は全て単位面積内に位置しなければならず、10箇所の間の間隔は同一または互いに異なってもよく、例えば1μm~2μmであってもよい。
【0098】
一方、金属層1324が第1バンド部および第2バンド部に位置する場合、金属層1324の厚さ方向(T軸方向)平均長さ、即ち、金属層1324の平均厚さは5μm以下、例えば0.7μm~4.5μmであってもよい。
【0099】
ここで、第1バンド部および第2バンド部で、金属層1324の平均厚さは、単位面積の長さ方向(L軸方向)長さ(25μm)の中央(1/2)地点を基準点とし、基準点から長さ方向(L軸方向)に所定間隔離れた10箇所での金属層1324厚さの算術平均値であってもよい。10箇所は全て単位面積内に位置しなければならず、10箇所の間の間隔は同一または互いに異なってもよく、例えば1μm~2μmであってもよい。
【0100】
金属層1324の平均厚さが5μmを超える場合、積層型キャパシタ100の全体大きさを考慮する時、金属層1324が過度に厚いことがあり、貴金属の含量増加によってイオンマイグレーションが発生することがある。
【0101】
金属層1324は、積層型キャパシタ100のバンド部と、接続部と、これらの間の角とで全般的に類似の形態および厚さで存在し得る。但し、金属層1324は接続部での平均厚さよりバンド部での平均厚さがさらに厚くてもよい。
【0102】
金属層1324は、貴金属ナノ粒子1324aの集合層であってもよい。
【0103】
ここで、貴金属ナノ粒子1324aは上記の貴金属、例えば銀(Ag)、白金(Pt)または金(Au)のナノ粒子であってもよく、集合層とは複数の貴金属ナノ粒子1324aが集合されて形成された層であって、例えば貴金属ナノ粒子1324aが連続的または不連続的に配列された層が積層されて形成された層であってもよい。
【0104】
これにより、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2)地点から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面において、金属層1324は途切れ部、島(island)部、空隙部またはこれらの組み合わせを含むことができる。ここで、空隙部は貴金属ナノ粒子1324aが間隔をおいて配置されて貴金属ナノ粒子1324aの間の空間であってもよく、途切れ部は金属層1324の厚さ方向全体において貴金属ナノ粒子1324aが配置されていない部分であってもよく、島(island)部は空隙部と空隙部との間、途切れ部と途切れ部との間または空隙部と途切れ部との間に位置する一群の貴金属ナノ粒子1324aの集合部であってもよい。
【0105】
貴金属ナノ粒子1324aの平均粒子大きさは、0.2μm~2.5μm、例えば0.5μm~2.2μmまたは0.7μm~2.0μmであってもよい。貴金属ナノ粒子1324aの粒子大きさは積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2)地点から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面において、走査型電子顕微鏡(SEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、貴金属ナノ粒子1324aの最大長軸と、これに直交する短軸のうちの最も長さが長い短軸の平均値として測定することができ、貴金属ナノ粒子1324aの平均粒子大きさは10個、20個または50個の貴金属ナノ粒子1324aの粒子大きさの算術平均値で計算することができる。貴金属ナノ粒子1324aの平均粒子大きさが0.2μm未満である場合、メッキ工程中に貴金属ナノ粒子1324aが金属層1324表面から脱落することがあり、2.5μmを超える場合、貴金属ナノ粒子1324aの凹凸構造によってメッキ層1313、1323が不均一に成長することがある。
【0106】
また、導電性樹脂層1312、1322との界面に位置する貴金属ナノ粒子1324aの一部は導電性樹脂層1312、1322の導電性金属1322aを置換して導電性樹脂層1312、1322に浸透できる。一例として、金属層1324をガルバニック置換法(galvanic exchange)によって形成する場合、貴金属ナノ粒子1324aは導電性樹脂層1312、1322の導電性金属1322aを一部置換してシード(seed)層を形成し、その後、貴金属ナノ粒子1324aの上に貴金属ナノ粒子1324aが積層されながら金属層1324を形成することができる。
【0107】
第1外部電極131および第2外部電極132は、導電性樹脂層1312、1322外側に配置されるメッキ層1313、1323をさらに含むことができる。
【0108】
メッキ層1313、1323は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)もしくは鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層1313、1323はニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層1313、1323は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0109】
メッキ層1313、1323は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0110】
他の実施形態による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成し、誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造し、誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディーを製造し、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する。
【0111】
まず、キャパシタボディーの製造について説明する。キャパシタボディーの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストを準備する。
【0112】
誘電体用ペーストは、例えば次のような方法で製造する。セラミック材料を湿式混合などの手段によって均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することによって、か焼粉末を得る。得られたか焼粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練し誘電体用ペーストを調製する。
【0113】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの技法によってシート化することによって、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要によって各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物またはガラスなどから選択される添加物が含まれていてもよい。
【0114】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末と、バインダーおよび溶剤とを、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要によって共材としてセラミック粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)が含まれてもよい。共材は焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用を果たすことができる。
【0115】
誘電体グリーンシート表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートおよび内部電極パターンを積層することができる。
【0116】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断することができる。
【0117】
また、誘電体グリーンシート積層体は必要によって可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル研磨機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入しそのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバリなどの不必要部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は水などの洗浄液で洗浄して乾燥することができる。
【0118】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディーを得る。
【0119】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であってもよい。脱バインダー雰囲気は、空気または還元性雰囲気であってもよい。
【0120】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、焼成時の温度は1200℃~1350℃または1220℃~1300℃であってもよく、時間は0.5時間~8時間または1時間~3時間であってもよい。焼成雰囲気は還元性雰囲気であってもよく、例えば、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)の混合ガスを加湿した雰囲気であってもよい。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであってもよい。
【0121】
焼成処理後には、必要によってアニーリングを実施することができる。アニーリングは誘電体層を再び酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などによって適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃~1150℃であってもよく、時間は0時間~20時間であってもよく、昇温速度は50℃/時間~500℃/時間であってもよい。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N2)雰囲気であってもよく、酸素分圧は1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであってもよい。
【0122】
脱バインダー処理、焼成処理またはアニーリング処理で、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃~75℃であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理およびアニーリング処理は連続または独立的に行うこともできる。
【0123】
選択的に、得られたキャパシタボディーの第3面および第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザ照射またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することによって、キャパシタボディーの第3面および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出され、これにより第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極との電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなり得る。
【0124】
選択的に、得られたキャパシタボディーの外面に、焼結金属層用ペーストを塗布した後に焼結させて、焼結金属層を形成することができる。
【0125】
焼結金属層用ペーストは、導電性金属とガラスを含むことができる。導電性金属とガラスに関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、焼結金属層用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリルまたはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトンまたはトルエンなどの有機溶剤や水系溶剤を使用することができる。
【0126】
焼結金属層用ペーストをキャパシタボディー外面に塗布する方法としては、ディップ法もしくはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを用いた塗布法またはスプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。焼結金属層用ペーストは少なくともキャパシタボディーの第3面および第4面に塗布され、選択的に第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面または第6面の一部にも塗布できる。
【0127】
その後、焼結金属層用ペーストが塗布されたキャパシタボディーを乾燥させ、700℃~1000℃の温度で0.1時間~3時間焼結させて、焼結金属層を形成する。
【0128】
得られたキャパシタボディーの外面に、導電性樹脂層用ペーストを塗布した後に硬化させて、導電性樹脂層を形成することができる。
【0129】
導電性樹脂層用ペーストは、導電性金属と樹脂を含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、導電性樹脂層用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリルまたはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトンもしくはトルエンなどの有機溶剤または水系溶剤を使用することができる。
【0130】
一例として、導電性樹脂層の形成方法は、樹脂および導電性金属を含む導電性樹脂層用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化させる、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法もしくはグラビア印刷法などで印刷するまたは導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0131】
その次に、導電性樹脂層の外側に貴金属を含む金属層を形成する。
【0132】
一例として、金属層を形成する方法は、ガルバニック置換法(galvanic exchange)、電解メッキ法、硬化型樹脂ペースト塗布法、焼結型インク塗布法、還元剤を含む無電解メッキ法、MODインク塗布法(MOD:metal organic decomposition)または蒸着法を用いることができる。金属層をガルバニック置換法(galvanic exchange)によって形成する場合、貴金属ナノ粒子が導電性樹脂層の導電性金属を一部置換してシード(seed)層を形成し、その後、貴金属ナノ粒子の上に貴金属ナノ粒子が積層されながら金属層を形成することができる。
【0133】
選択的に、導電性樹脂層および/または金属層の外側にメッキ層を形成する。
【0134】
一例として、メッキ層はメッキによって形成でき、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)によっても形成できる。
【0135】
以下では発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示するまたは説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されるものではない。
【0136】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
(実施例1)
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後に乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0137】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0138】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重畳するようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0139】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを行い、1200℃で焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0140】
その次に、ガラスと導電性金属として銅(Cu)とを含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布し乾燥させた後、焼結して焼結金属層を形成する。
【0141】
その次に、エポキシ樹脂と導電性金属として銅(Cu)とを含む導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布し乾燥させた後、硬化させて導電性樹脂層を形成する。
【0142】
導電性樹脂層が形成されたキャパシタボディーをAg(NO3)の水溶液(10mM~1M)に移して10分~30分間銀(Ag)還元反応が起こるように維持した後、蒸留水で2回~3回洗浄して表面から脱落した余剰銀(Ag)還元物を除去する。
【0143】
銀(Ag)コーティング後、ニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行って、積層型キャパシタを製造する。
【0144】
(比較例1)
実施例1で導電性樹脂層を形成した後に銀(Ag)コーティングを行わないことを除いては実施例1と同一に実施して積層型キャパシタを製造する。
【0145】
(比較例2)
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後に乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0146】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0147】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重畳するようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0148】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを行い、1200℃で焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0149】
その次に、ガラスと導電性金属として銅(Cu)とを含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布し乾燥させた後、焼結して焼結金属層を形成する。
【0150】
その次に、エポキシ樹脂と導電性金属として銀(Ag)コーティングされた銅(Cu)粉末とを含む導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディーの外面にディップ法で塗布し乾燥させた後、硬化させて導電性樹脂層を形成する。
【0151】
導電性樹脂層が形成されたキャパシタボディーにニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行って、積層型キャパシタを製造する。
【0152】
[実験例1:金属層の形成分析]
実施例1で製造された積層型キャパシタで金属層の各部位別厚さを測定する。
【0153】
製造された積層型キャパシタのL軸方向およびT軸方向面(例えば、第5面または第6面)をW軸方向に沿って約1/2程度の深さに研磨した後、露出させた切断面で誘電体層および内部電極と外部電極との連結部分をイオンミリング(Ion Milling)してサンプルを準備する。準備されたサンプルの第1面のバンド部、第1面のバンド部と接続部の間の角(コーナー)、接続部厚さ方向(W軸方向)中央、第2面のバンド部と接続部の間の角(コーナー)、および第2面のバンド部で、金属層の厚さを、各部位別に単位面積(25μm×4μm)内10箇所での最大値、最小値、および平均値を測定し、その結果を表1に整理する。
【0154】
また、準備されたサンプルの外部電極とキャパシタボディーの間の境界をSEMで観察し、EDSを用いて成分分析を行い、その結果をそれぞれ
図5および
図6に示す。
【0155】
【0156】
表1、
図5および
図6を参照すれば、金属層は積層型キャパシタのバンド部、角および接続部で全般的に類似の形態と厚さで存在することを確認することができる。金属層は導電性金属層の表面に露出された銅(Cu)粒子に沿って0.7μm~4.5μmの厚さで存在し、金属層形成中に積層型キャパシタの間の摩擦によって金属層が途切れるまたは銀(Ag)粒子が表面から脱落してメッキ層内部存在する場合も観察される。
【0157】
一方、金属層の貴金属(Ag)および導電性樹脂層の導電性金属(Cu)の重量比を接続部で4個のサンプルと、バンド部で5個のサンプルとで測定し、その結果を表2に整理する。
【0158】
この時、金属層のコーティングは導電性樹脂層表面のみで一定の厚さで形成されるが、導電性樹脂層は積層型キャパシタの大きさおよび電気的特性によってその厚さが異なるので、
図2のように導電性樹脂層表面を基準にして内外で2μmずつ、総幅4μmの長方形に単位面積を制限して分析する。単位面積の長さは25μmと設定し、SEMイメージは10keV、×5000倍率で獲得する。
【0159】
表2で、サンプル1~サンプル4は接続部で単位面積(25μm×4μm)の厚さ方向(T軸方向)長さ(25μm)の中央(1/2)地点が外部電極の厚さ(即ち、L軸方向長さ)が最も厚い地点に位置する場合であり、サンプル5~サンプル9はバンド部で単位面積(25μm×4μm)の長さ方向(L軸方向)長さ(25μm)の中央(1/2)地点が外部電極の厚さ(即ち、T軸方向長さ)が最も厚い地点に位置する場合である。この時、外部電極の厚さが最も厚い地点は焼結金属層、導電性樹脂層およびメッキ層を全て含む領域で外部電極の厚さが最も厚い地点である。
【0160】
サンプル1およびサンプル5で金属層の貴金属(Ag)と導電性樹脂層の導電性金属(Cu)の重量比を測定するための単位面積が表示された走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ
図7および
図8に示す。
【0161】
【0162】
表2、
図7および
図8を参照すれば、同一工程で製造されたサンプルを無作為的に分析した結果、金属層の厚さが厚く多く連結された部分でAg/Cu重量比が高く観察され、前述の厚さ測定結果と同様に接続部よりバンド部のAg/Cu重量比が少し高い傾向があるが、全般的に金属層の厚さおよびAg/Cu重量比は類似水準であることが分かる。
【0163】
[実験例2:積層型キャパシタの性能分析]
実施例1、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタのESR、メッキ層の途切れ不良、およびイオンマイグレーション(ion migration)発生有無を測定し、その結果を表3に整理する。
【0164】
ESRは、実施例1、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタをそれぞれ200個ずつ準備して基板に実装した後、初期ESR値と温度サイクル(cycle)100回以後のESR値を測定して比較する。
【0165】
メッキ層の途切れ不良は、実施例1、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタでL軸方向およびW軸方向表面(例、第1面)を観察してニッケル(Ni)がメッキされずに導電性樹脂層が露出されているチップの頻度を比較する。
図9は実施例1で製造された積層型キャパシタのメッキ層を示す写真であり、
図10は比較例1で製造された積層型キャパシタのメッキ層を示す写真である。
【0166】
イオンマイグレーションは、実施例1、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタ(大きさ:1.6mm×0.8mm×0.8mm)に対して第1外部電極および第2外部電極の間の表面(例、第1面)に10μLの蒸留水を落とし、第1外部電極および第2外部電極に20VのDC電源を印加するウォータードロップテスト(water drop test)を実施する。一定時間以後、積層型キャパシタで(-)極から(+)極に成長するデンドライト(dendrite)が観察され、両側電極がデンドライトによってつながれる瞬間、1mA以上の電流が流れる。この時の時間を測定してイオンマイグレーションの発生水準を測定する。
【0167】
【0168】
表3を参照すれば、実施例1で製造された積層型キャパシタは比較例1および比較例2で製造された積層型キャパシタに比べて、初期ESRが低く、温度サイクル以後の変化率が低く、メッキ層の微細途切れが発生せず、イオンマイグレーションの発生を遅らせることができるのが分かる。
【0169】
また、
図9および
図10を参照すれば、銅(Cu)を含む導電性樹脂層は、銀(Ag)を含む導電性樹脂層と異なり、表面抵抗が非常に高く(Cu oxidation)、相対的に初期ニッケル(Ni)メッキ速度が遅く、適正水準のニッケル(Ni)メッキ層が形成されて連結される前に基底部の樹脂が脱落してメッキ途切れ形状の不良が観察されることがある。
【0170】
特に、積層型キャパシタの大きさが小さくなるほど形成される導電性樹脂層の厚さも薄くなり、メッキ形成過程中に積層型キャパシタの間または積層型キャパシタとメッキ副資材の間の衝突によって積層型キャパシタの角(edge)部分で導電性樹脂層が脱落する現象が目立つ。導電性樹脂層の厚さ増加時、途切れ水準は改善できるが、頻度は類似水準である。反面、実施例1で製造された積層型キャパシタは導電性樹脂層が銅(Cu)を含むにも拘わらずメッキ途切れの改善が確認される。特定の理論に拘束されるのではないが、これは金属層が導電性樹脂層の表面抵抗を低減しニッケル(Ni)が迅速にメッキされながら導電性樹脂層を保護するからであると理解される。
【0171】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0172】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディー
111:誘電体層
112、113:カバー領域
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
1311、1321:焼結金属層
1312、1322:導電性樹脂層
1322a:導電性金属
1322b:樹脂
1313、1323:メッキ層
1324:金属層
1324a:貴金属ナノ粒子