(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086599
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】高周波デバイス校正方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196307
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】111148478
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】黄 柏嘉
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA05
2G036AA09
2G036AA28
2G036BB09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の1つの実施形態は高周波(RF)デバイス校正方法を提供する。
【解決手段】該方法は、1つの制御条件下での第1段デバイスの1つのチャネルの測定結果を取得することと、第2段デバイスの基準チャネルの基準測定結果を取得することであって、該チャネルは基準チャネルに対応し、測定結果と基準測定結果は第1段デバイスと第2段デバイスがRFデバイスに組み立てられる前に測定されることと、測定結果と基準測定結果とに基づいて該チャネルに対応する推定測定結果を決定することと、第1段デバイスと第2段デバイスがRFデバイスに組み立てられた後に該制御条件下でのRFデバイスの該チャネルの組立後測定結果を取得することと、推定測定結果と組立後測定結果とに基づいて該チャネルに対応する校正動作を実行することとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御条件下での第1段デバイスの第1チャネルの第1測定結果(M1)を取得することと、
第2段デバイスの第1基準チャネルの第1基準測定結果(RM1)を取得することであって、前記第1チャネルは前記第1基準チャネルに対応し、前記第1測定結果(M1)と前記第1基準測定結果(RM1)は前記第1段デバイスと前記第2段デバイスがRFデバイス(10)に組み立てられる前に測定されることと、
前記第1測定結果(M1)と前記第1基準測定結果(RM1)とに基づいて前記第1チャネルに対応する第1推定測定結果(EM1)を決定することと、
前記第1段デバイスと前記第2段デバイスが前記RFデバイス(10)に組み立てられた後に前記第1制御条件下での前記RFデバイス(10)の前記第1チャネルの第1組立後測定結果(PM1)を取得することと、
前記第1推定測定結果(EM1)と前記第1組立後測定結果(PM1)とに基づいて前記第1チャネルに対応する第1校正動作を実行することと
を含む、
RFデバイス校正方法。
【請求項2】
前記第1測定結果(M1)は、前記第1制御条件下での前記第1チャネルの第1ゲインと第1位相とを含む、
請求項1に記載のRFデバイス校正方法。
【請求項3】
前記第2段デバイスの前記第1基準チャネルの前記第1基準測定結果(RM1)を取得するステップは、
前記第1制御条件下での前記第2段デバイスの前記第1基準チャネルの測定結果を前記第1基準測定結果(RM1)として取得すること
を含む、
請求項1に記載のRFデバイス校正方法。
【請求項4】
前記第1測定結果(M1)と前記第1基準測定結果(RM1)とに基づいて前記第1チャネルに対応する前記第1推定測定結果(EM1)を決定するステップは、
前記第1測定結果(M1)と前記第1基準測定結果(RM1)とを加算することにより前記第1チャネルに対応する前記第1推定測定結果(EM1)を取得すること
を含む、
請求項1に記載のRFデバイス校正方法。
【請求項5】
前記第1推定測定結果(EM1)と前記第1組立後測定結果(PM1)とに基づいて前記第1チャネルに対応する前記第1校正動作を実行するステップは、
前記第1推定測定結果(EM1)と前記第1組立後測定結果(PM1)との間の第1比較結果を取得することと、
前記第1比較結果に基づいて前記第1チャネルに対応する前記第1校正動作を実行することと
を含む、
請求項1に記載のRFデバイス校正方法。
【請求項6】
前記第1推定測定結果(EM1)と前記第1組立後測定結果(PM1)との間の前記第1比較結果を取得するステップは、
前記第1推定測定結果(EM1)と前記第1組立後測定結果(PM1)との間の第1の差を前記第1比較結果として取得すること
を含む、
請求項5に記載のRFデバイス校正方法。
【請求項7】
前記第1制御条件下での前記第1段デバイスの第2チャネルの第2測定結果を取得することであって、前記第2チャネルは前記第1基準チャネルに対応し、前記第2測定結果は前記第1段デバイスと前記第2段デバイスが前記RFデバイス(10)に組み立てられ前に測定されることと、
前記第2測定結果と前記第1基準測定結果(RM1)とに基づいて前記第2チャネルに対応する第2推定測定結果を決定することと、
前記第1段デバイスと前記第2段デバイスが前記RFデバイス(10)に組み立てられた後に前記第1制御条件下での前記RFデバイス(10)の前記第2チャネルの第2組立後測定結果を取得することと、
前記第2推定測定結果と前記第2組立後測定結果とに基づいて前記第2チャネルに対応する第2校正動作を実行することと
を更に含む、
請求項1に記載のRFデバイス校正方法。
【請求項8】
前記第1測定結果(M1)、前記第1基準測定結果(RM1)、前記第1推定測定結果(EM1)、及び前記第1組立後測定結果(PM1)のうちの少なくとも1つは対応する表に記録される、
請求項1に記載のRFデバイス校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高周波技術に関するものであり、特に、高周波デバイス校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1を参照されたい。
図1は多段高周波(RF)デバイスの概略図である。
図1において、RFデバイス10は、第1段に属するRF素子RFU1~RFUNと、第2段に属するマルチプレクサ11とを含んでよい。RF素子RFU1~RFUNのそれぞれは、例えばRF回路板であり、RF回路板は1つ以上の(RF)チャネルを有してよい。加えて、マルチプレクサ11は、例えば1つ以上の(RF)チャネルを有する電力分配器又は電力合成器であるが、これに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RFデバイスにとって、RF信号の複数グループ間のクロストーク及び/又は多段素子間のマッチングによるエラーは、校正によって抑制又は低減させる必要がある。一般的に、RFデバイス10が校正されるとき、RF素子RFU1~RFUNとマルチプレクサ11は先ずRFデバイス10に組み立てられ、次いでRFデバイス10全体として校正される必要がある。しかし、このアプローチには多くの時間がかかり非効率である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は上記技術的課題を解決するために用いられる高周波(RF)デバイス校正方法を提供する。
【0005】
本発明の1つの実施形態は、RFデバイス校正方法を提供する。RFデバイス校正方法は、第1制御条件下での第1段デバイスの第1チャネルの第1測定結果を取得することと、第2段デバイスの第1基準チャネルの第1基準測定結果を取得することであって、第1チャネルは第1基準チャネルに対応し、第1測定結果と第1基準測定結果は第1段デバイスと第2段デバイスがRFデバイスに組み立てられる前に測定されることと、第1測定結果と第1基準測定結果とに基づいて第1チャネルに対応する第1推定測定結果を決定することと、第1段デバイスと第2段デバイスとがRFデバイスに組み立てられら後に第1制御条件下でのRFデバイスの第1チャネルの第1組立後測定結果を取得することと、第1推定測定結果と第1組立後測定結果とに基づいて第1チャネルに対応する第1校正動作を実行することとを含む。
【発明の効果】
【0006】
別の観点から見て、多段構造を有するRFデバイスに
図1に示すような並列伝送線ネットワークが存在するとき、一般的に、設置後にRFデバイス上で複雑な校正手順を実行するには多くの時間を要する。しかし、本発明の1つの実施形態により提案される方法を介して、RFデバイスを校正するための時間を効果的に削減することができ、これにより関連する校正効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の1つの実施形態に基づき示した校正デバイスの概略図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態に基づき示したRFデバイスの校正方法のフロー図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に基づき示した測定結果取得の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2を参照し、
図2は本発明の1つの実施形態に基づき示した校正デバイスの概略図である。異なる実施形態において、校正デバイス200は様々なスマートデバイス及び/又はコンピュータデバイスとして実装されてよい。いくつかの実施形態において、校正デバイス200は高周波(RF)デバイスを校正するための専用機器として実装されてよいが、これに限定されない。
【0009】
図2において、校正デバイス200は記憶回路202とプロセッサ204とを含む。記憶回路202は、例えば任意のタイプの固定又は着脱可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、又は他の類似のデバイス又はこれらデバイスの組合せであり、複数のプログラムコード又はモジュールを記録するために用いられてよい。
【0010】
プロセッサ204は記憶回路202に結合され、汎用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、従来のプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサコアを組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、他のタイプの集積回路、ステートマシン、アドバンストRISCマシン(ARM)ベースのプロセッサ、及びそれらの類似製品であってよい。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、プロセッサ204は本発明により提案されるRFデバイス校正方法を実装するために記憶回路202に記録されたプログラムコードにアクセスしてよい。
【0012】
図3を参照されたい。
図3は、本発明の実施形態に基づき示したRFデバイス校正方法のフロー図である。本実施形態の方法は
図2の校正デバイス200により実行されてよく、
図3の各ステップの詳細を
図2に示した要素と共に以下に説明する。また、本発明の概念を理解しやすいよう、校正デバイス200により校正される対象は
図1のRFデバイス10とするが、これに限定されなくてよい。
【0013】
先ず、ステップS310にて、プロセッサ204は第1制御条件下での第1段デバイスの第1チャネルの第1測定結果(以降、M1と呼称)を取得する。本実施形態において、第1段デバイスは、例えば
図1におけるRF素子RFU1~RFUNのうちの1つである。説明を容易にするため、考慮する第1段デバイスはRF素子RFU1であると仮定するが、これに限定されない。
【0014】
図4を参照されたい。
図4は、本発明の1つの実施形態に基づき示した測定結果を取得する概略図である。
図4において、試験者は、例えば試験すべきデバイス41をオシロスコープ42に接続し、次いで対応する測定を試験すべきデバイス41に実行してよい。1つの実施形態において、試験すべきデバイス41は、例えば考慮される第1段デバイス(例えばRF素子RFU1)であるが、これに限定されなくてよい。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、RF素子RFU1は1つ以上の(RF)チャネルを有すると仮定し、第1チャネルは、例えばRF素子RFU1のチャネルのうちの1つである。説明を容易にするため、下記において、RF素子RFU1は4つのチャネル(以降、CH11~CH14と呼称)を含むと仮定し、第1チャネルは、例えばチャネルCH11であるが、これに限定されなくてよい。
【0016】
更に、第1制御条件は、例えば設計者により予め設定された複数の制御条件のうちの1つであり、異なる制御条件は、例えば異なる設定、パラメータ、及び/又は環境を有してよいが、これに限定されなくてよい。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、第1測定結果M1は、例えばRF素子RFU1(及び他のRF素子)とマルチプレクサ11とがRFデバイス10に組み立てられる前に測定される。1つの実施形態において、第1測定結果M1は、第1制御条件下での第1チャネルの第1のゲインと第1の位相(例えば、チャネルCH11のゲインと位相)を含んでよいが、これに限定されなくてよい。
【0018】
また、プロセッサ204は第1制御条件下での第1段デバイスの他のチャネルの測定結果を取得してもよい。例えば、プロセッサ204はRF素子RFU1のチャネルCH12~CH14に対応するゲインと位相を対応する測定結果として取得してよいが、これに限定されなくてよい。
【0019】
1つの実施形態において、プロセッサ204は他の制御条件(例えば、第1制御条件とは異なる第2~第4制御条件)下での第1段デバイスの各チャネルの測定結果を取得してもよい。
【0020】
1つの実施形態において、異なる第1~第4制御条件下でのRF素子RFU1のチャネルCH11~CH14の対応する測定結果を下記の表1に示す。
【0021】
【0022】
1つの実施形態において、RF素子RFU1は、校正装置200による識別のための対応するキーコード及び/又はMACアドレスを有する。従って、RF素子RFU1の上記測定結果を取得した後、これら測定結果はRF素子RFU1に対応するキーコード及び/又はMACアドレスで標識されて記憶回路202に記録されてよい。1つの実施形態において、後続の分析のためプロセッサ204がRF素子RFU1に関連付く測定結果にアクセスする場合、RF素子RFU1のキーコード及び/又はMACアドレスに基づいて対応する測定結果を記憶回路202において見つけることができるが、これに限定されなくてよい。
【0023】
もう1つの実施形態において、RF素子RFU1は組込み記憶媒体(例えば、電気的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEPROM))を備えてよい。この場合、上記測定結果を取得するためのRF素子RFU1の測定が完了した後、測定結果はRF素子RFU1の記憶媒体に書き込まれてよい。従って、将来的にRF素子RFU1がRFデバイス10に組み立てられるとき、記憶媒体に記憶された測定結果を他の分析のために再利用することができるが、これに限定されなくてよい。
【0024】
他のRF素子について、上記教示に基づき、関連する測定結果が記憶回路202及び/又は各RF素子の組込み記憶媒体に格納されてもよいが、これに限定されなくてよい。
【0025】
更に、表1の場合、考慮される第2制御条件は、例えば第1制御条件と同一の位相を有するが、第2制御条件に対応するゲインは第1制御条件に対応するゲインよりも5dB低い。更に、表1の場合、チャネルCH11~CH14の第2制御条件のゲインと比較し、チャネルCH11~CH14の考慮される第3制御条件のゲインはそれぞれ7.5dB、2.5dB、1dB、0dB減少している。表1の場合、チャネルCH11~CH14の第3制御条件の位相と比較し、チャネルCH11~CH14の考慮される第4制御条件の位相はそれぞれ90度、270度、180度、0度調整されている。
【0026】
ステップS320において、プロセッサ204は第2段デバイスの第1基準チャネルの第1基準測定結果(以降、RM1と呼称)を取得する。本実施形態において、第2段デバイスは、例えば
図1におけるマルチプレクサ11(例えば周波数分割器)であるが、これに限定されなくてよい。
【0027】
1つの実施形態において、試験者は
図4に示した状況に基づいてマルチプレクサ11の第1基準測定結果を取得してもよい。例えば、試験者は
図4における試験すべきデバイス41をマルチプレクサ11に置き換え、第1基準測定結果を取得するためマルチプレクサ11をオシロスコープ42に接続し、次いで対応する測定をマルチプレクサ11に実行してよいが、これに限定されなくてよい。
【0028】
1つの実施形態において、マルチプレクサ11も1つ以上の(RF)チャネルを有すると仮定し、第1基準チャネルは、例えばマルチプレクサ11の基準チャネルのうちの1つである。説明を容易にするため、下記において、マルチプレクサ11は4つの基準チャネル(以降、RCH1~RCH4と呼称)を含むと仮定し、第1基準チャネルは、例えばその基準チャネルRCH1であるが、これに限定されなくてよい。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、第1基準測定結果RM1は、例えばRF素子RFU1(及び他のRF素子)とマルチプレクサ11とがRFデバイス10に組み立てられる前に測定される。1つの実施形態において、第1基準測定結果RM1は第1基準チャネルゲインと位相(例えば、基準チャネルRCH1のゲインと位相)を含んでよいが、これに限定されなくてよい。
【0030】
1つの実施形態において、マルチプレクサ11の基準チャネルRCH1~RCH4の基準測定結果は下記の表2に示すようなものであってよい。
【0031】
【0032】
もう1つの実施形態において、第2段デバイスはRF素子RFU1~RFUNとは異なる他のRF素子(以降、基準RF素子と呼称)として実装されてもよい。この場合、プロセッサ204は異なる制御条件(例えば第1~第4制御条件)下での基準RF素子の基準チャネルRCH1~RCH4の測定結果を対応する基準測定結果として取得してもよく、これら基準測定結果は表1に類似する構造を有するもう1つの表として表されてよいが、これに限定されなくてよい。
【0033】
1つの実施形態において、マルチプレクサ11は校正デバイス200による識別のための対応するキーコード及び/又はMACアドレスを有する。従って、マルチプレクサ11の上記測定結果を取得した後、これら測定結果はマルチプレクサ11に対応するキーコード及び/又はMACアドレスで標識されて記憶回路202に記録されてよい。1つの実施形態において、後続の分析のためプロセッサ204がマルチプレクサ11に関連付く測定結果にアクセスする場合、マルチプレクサ11のキーコード及び/又はMACアドレスに基づいて対応する測定結果を記憶回路202において見つけることができるが、これに限定されなくてよい。
【0034】
もう1つの実施形態において、マルチプレクサ11は組込み記憶媒体(例えば、電気的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEPROM))を備えてよい。この場合、上記測定結果を取得するためのマルチプレクサ11の測定が完了した後、測定結果はマルチプレクサ11の記憶媒体に書き込まれてよい。従って、将来的にマルチプレクサ11がRFデバイス10に組み立てられるとき、記憶媒体に記憶された測定結果を他の分析のために再利用することができるが、これに限定されなくてよい。
【0035】
ステップS330にて、プロセッサ204は第1測定結果M1と第1基準測定結果RM1とに基づき第1チャネルに対応する第1推定測定結果(以降、EM1と呼称)を決定する。
【0036】
1つの実施形態において、プロセッサ204は、例えば、記憶回路202から第1測定結果M1及び/又は第1基準測定結果RM1を取得してよい、又は、それぞれRF素子RFU1の記憶媒体及びマルチプレクサ11の記憶媒体から第1測定結果M1及び第1基準測定結果RM1を取得してよいが、これに限定されなくてよい。
【0037】
例えば、プロセッサ204は、RF素子RFU1とマルチプレクサ11とがRFデバイス10に組み立てられた後に、記憶回路202から第1測定結果M1と第1基準測定結果RM1とを取得してよい、又は、それぞれRF素子RFU1の記憶媒体及びマルチプレクサ11の記憶媒体から第1測定結果M1及び第1基準測定結果RM1を取得してよいが、これに限定されなくてよい。
【0038】
1つの実施形態において、プロセッサ204は、第1測定結果M1と第1基準測定結果RM1とを加算することにより第1チャネルに対応する第1推定測定結果EM1を取得してよい。加えて、プロセッサ204は、類似の方法で他のチャネルに対応する推定測定結果を取得してもよい。
【0039】
1つの実施形態において、プロセッサ204は、例えば、第1推定測定結果EM1と他のチャネルに対応する推定測定結果とを取得するため、表1と表2の(一部)内容を加算してよく、取得された第1推定測定結果EM1と他のチャネルに対応する推定測定結果を下記の表3に示す。
【0040】
【0041】
表3におけるシナリオにて、RFデバイス10を組み立てるプロセスにおいて、RF素子RFU1のチャネルCH11~CH14は全てマルチプレクサ11の基準チャネルRCH1に接続されることが予期されると仮定しているが、これに限定されなくてよい。
【0042】
この場合、プロセッサ204は、表3の各列におけるゲインを取得するため表2における基準チャネルRCH1に対応するゲインに表1の各列におけるゲインを加算してよい。同様に、プロセッサ204は、表3の各列における位相を取得するため表2における基準チャネルRCH1に対応する位相に表1の各列における位相を加算してよいが、これに限定されなくてよい。
【0043】
例えば、表3の第1推定測定結果EM1において、第1制御条件下のチャネル「CH11+RCH1」のゲイン(即ち13.55)は、例えば、表1における第1制御条件下でのチャネルCH11のゲイン(即ち21.75)と表2における基準チャネルRCH1のゲイン(即ち-8.2)との和である。また、表3における第1推定測定結果EM1において、第1制御条件下のチャネル「CH11+RCH1」の位相(即ち-199・44)は、例えば、表1における第1制御条件下でのチャネルCH11の位相(即ち-114.26)と表2における基準チャネルRCH1の位相(即ち-85.18)との和である。
【0044】
また、表3の第1推定測定結果EM1において、第2制御条件下のチャネル「CH11+RCH1」のゲイン(即ち8.42)は、例えば、表1における第1制御条件下でのチャネルCH1のゲイン(即ち16.62)と表2における基準チャネルRCH1のゲイン(即ち-8.2)との和である。また、表3の第1推定測定結果EM1において、第2制御条件下のチャネル「CH11+RCH1」の位相(即ち-198.58)は、例えば、表1における第2制御条件下でのチャネルCH11の位相(即ち-113.4)と表2における基準チャネルRCH1の位相(即ち-85.18)との和である。
【0045】
もう1つの例として、表3の第1推定測定結果EM1において、第1制御条件下のチャネル「CH12+RCH1」のゲイン(即ち11.18)は、例えば、表1における第1制御条件下でのチャネルCH12のゲイン(即ち19.38)と表2における基準チャネルRCH1のゲイン(即ち-8.2)との和である。また、表3の第1推定測定結果EM1において、第1制御条件下のチャネル「CH12+RCH1」の位相(即ち-202.77)は、例えば、表1における第1制御条件下でのチャネルCH12の位相(即ち-117.59)と表2における基準チャネルRCH1の位相(即ち-85.18)との和である。
【0046】
当業者にとって、表3中の他のフィールドの内容を取得するための方法は上記教示から推測することができるはずであり、ここでは繰り返し述べない。
【0047】
ステップS340にて、第1段デバイス(例えばRF素子RFU1)と第2段デバイス(例えばマルチプレクサ11)がRFデバイス10に組み立てられた後、第1制御条件下でのRFデバイス10の第1チャネルの第1組立後測定結果(以降、PM1と呼称)を取得する。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、第1組立後測定結果PM1は、例えば、第1制御条件下でのRFデバイス10の第1チャネルと第1基準チャネルの全体的なゲイン及び位相(例えば、チャネルCH11と基準チャネルRCH1の全体的なゲイン及び位相)とを含むが、これに限定されなくてよい。
【0049】
また、プロセッサ204は、第1制御条件(及び他の制御条件)下でのRFデバイス10の他のチャネル及び対応する基準チャネルの組立後測定結果を取得してもよい。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、RF素子RFU1のチャネルCH11~CH14は全てマルチプレクサ11の基準チャネルRCH1に接続されると仮定していることから、プロセッサ204は、チャネルCH12~CH14のそれぞれに対応する組立後測定結果を測定してもよく、これら組立後測定結果は第1組立後測定結果PM1と共に、例えば下記の表4に整理することができる。
【0051】
【0052】
次に、ステップS350にて、プロセッサ204は、第1推定測定結果EM1と第1組立後測定結果PM1とに基づいて、第1チャネルに対応する校正動作を実行する。
【0053】
1つの実施形態において、プロセッサ204は、第1推定測定結果EM1と第1組立後測定結果PM1との間の第1比較結果を取得し、第1比較結果に基づいて第1チャネルに対応する第1校正動作を実行してよい。
【0054】
1つの実施形態において、プロセッサ204は、第1推定測定結果EM1と第1組立後測定結果PM1との間の差を第1比較結果として取得してよい。
【0055】
例えば、表3の内容において、第1チャネル(即ちチャネルCH11)の第1推定測定結果EM1は、ゲイン値13.55dBと位相値-199.44度を含む。また、表4の内容において、第1チャネル(即ちチャネルCH11)の第1組立後測定結果PM1はゲイン値13.07dBと位相値132.95度を含む。従って、第1推定測定結果EM1と第1組立後測定結果PM1との間の第1の差は、例えば0.48dB(即ち、13.55-13.07)のゲインと27.61度((-199.44-132.95)度に均しい)の位相を含む。
【0056】
同様の原理に基づき、プロセッサ204は、他のチャネルに対応する推定測定結果と組立後測定結果との間の比較結果を取得してよい。本発明の1つの実施形態において、プロセッサ204は、例えば表3と表4の内容に基づいて下記の表5に示す様々な比較結果を取得してよい。
【0057】
【0058】
1つの実施形態において、プロセッサ204は、表5の列iにおけるゲイン及び位相を取得するため表3の列iにおけるゲイン及び位相から表4の列iにおけるゲイン及び位相を減算してよい。表3~表5の内容において、iは、例えば1未満でなく16より大きくない整数であるが、これに限定されなくてよい。
【0059】
例えば、プロセッサ204は、表5における第1列のゲイン(即ち0.48)及び位相(即ち27.61)を取得するため、表3における第1列のゲイン(即ち13.55)及び位相(即ち-199.44)から表4における第1列のゲイン(即ち13.07)及び位相(即ち132.95)を減算してよい。もう1つの例として、プロセッサ204は、表5における第3列のゲイン(即ち0.95)及び位相(即ち31.29)を取得するため、表3における第3列のゲイン(即ち13.62)及び位相(即ち-196.14)から表4における第3列のゲイン(即ち12.67)及び位相(132.57)を減算してよい。表5の他の列におけるゲイン及び位相は上記教示から推測することができるはずであり、ここでは詳細を繰り返し述べない。
【0060】
次に、プロセッサ204は、例えば表5の内容に基づいてチャネルCH11~CH14のうちの少なくとも1つに対応する校正動作を実行してよい。
【0061】
1つの実施形態において、プロセッサ204が表5に基づいてチャネルCH11に対応する校正動作を実行するとき、第1制御条件に対応するゲイン(即ち0.48)及び位相(即ち27.61)はゲイン及び位相をそれぞれ0dB及び0度に正規化するため補償されてよい。同様に、プロセッサ204が表5に基づいてチャネルCH12に対応する校正動作を実行するとき、第1制御条件に対応するゲイン(即ち0.45)及び位相(即ち36.11)はゲイン及び位相をそれぞれ0dB及び0度に正規化するため補償されてよい。また、プロセッサ204が表5に基づいてチャネルCH13に対応する校正動作を実行するとき、第1制御条件に対応するゲイン(即ち0.95)及び位相(即ち31.29)はゲイン及び位相をそれぞれ0dB及び0度に正規化するため補償されてよい。
【0062】
1つの実施形態において、上記教示に基づいてチャネルCH11~CH13の校正動作が完了した後、プロセッサ204は表6に示す各正規化後のゲイン差及び位相差を取得するためRFデバイス10を再び測定してよい。
【0063】
【0064】
表6から分かるように、上記教示において、校正(例えば補償)が表5における第1制御条件に対応するゲイン及び位相のみに基づいて実行されるとはいえ、他の制御条件に対応するゲイン及び位相も0に近いゲイン差及び位相差を取得するため対応して校正/補償される。
【0065】
また、上記実施形態において、校正が表5における第1制御条件に対応するゲイン及び位相に基づいて実行されると仮定しているとはいえ、他の実施形態において、各チャネルの校正はもう1つの制御条件(例えば第2制御条件)に対応するゲイン及び位相に基づいて実行されてもよい。この場合、他の制御条件に対応するゲイン及び位相も、0に近いゲイン差及び位相差を取得するため対応して調整/補償される。
【0066】
上記から、本発明の1つの実施形態において、単純にRFデバイス10が組み立てられた後に制御条件のうちの1つの測定結果を補償することによって、実質的に他の制御条件のための補償を対応して完了することができることが分かる。このため、組み立て後にRFデバイス10を測定及び補償する従来の方法と比較し、本発明の1つの実施形態はより好ましい効率を達成することができる。
【0067】
また、従来の方法はRFデバイス10が組み立てられた後に機械全体の校正を実行することから、RFデバイス10中のいずれかのRF素子及び/又はマルチプレクサが故障した場合、故障したRF素子/デバイスが交換された後に機械全体の校正を再び実行する必要があり、よって時間をより多く費し非効率である。
【0068】
しかし、本発明の1つの実施形態の方法を介して、故障した素子/デバイスが新たな素子/デバイスに交換された後には新たな素子/デバイスのみが校正されることを要し、これにより時間を節約して効率を高める効果を達成する。
【0069】
上記実施形態は第1段デバイスと第2段デバイスを説明のための例としているが、他の実施形態において、他のデバイス(例えば第3段デバイス)が第2段デバイスの後に接続されてよく、他のデバイスは第1段デバイスの前に接続されてもよい。この場合、上記実施形態において教示された概念がやはり対応する分析及び校正を実行するために適用されてよい。
【0070】
また、
図1には1つの第2段デバイスのみが示されているとはいえ、本発明の1つの実施形態により提案される方法はRFデバイス10中に複数の第2段デバイスが存在する状況にも適用可能である。
【0071】
上記に基づき、本発明の1つの実施形態の方法は、第1段デバイスと第2段デバイスがRFデバイスに組み立てられる前に第1段デバイスのチャネルの測定結果及び第2段デバイスの基準チャネルの基準測定結果をそれぞれ取得し、次いで、例えば測定結果と基準測定結果とを加算することにより推定測定結果を決定することができる。
【0072】
第1段デバイスと第2段デバイスがRFデバイスに組み立てられた後、本発明の1つの実施形態は更にチャネル及び基準チャネルの組立後測定結果を取得することができ、推定測定結果と組立後測定結果との間の比較結果に基づいてチャネル及び基準チャネルの校正動作を実行することができる。このため、組立て後のRFデバイスの校正時間及び効率を向上させることができる。
【0073】
もう1つの様態から、
図1に示すような並列伝送線ネットワークが多段構造を有するRFデバイスに存在する場合、一般的に、設置後のRFデバイス上で複雑な校正手順を実行するには時間を多く要する。しかし、本発明の1つの実施形態により提案される方法を介して、RFデバイスを校正するための時間を効果的に削減することができ、これにより関連する校正効率を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の高周波デバイス校正方法は、高周波技術に応用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10:RFデバイス
11:マルチプレクサ
41:デバイス
42:オシロスコープ
200:校正デバイス
202:記憶回路
204:プロセッサ
CH11~CH14:チャネル
EM1:第1推定測定結果
M1:第1測定結果
PM1:第1組立後測定結果
RFU1~RFUN:RF素子
RM1:第1基準測定結果
【外国語明細書】