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特開2024-86600フーリエ領域光干渉断層撮像システムにおける撮像ターゲット移動補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086600
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】フーリエ領域光干渉断層撮像システムにおける撮像ターゲット移動補正
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196470
(22)【出願日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】22214175.6
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル アンヘル プレシアド
(72)【発明者】
【氏名】ユアン ライクロフト
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA09
4C316AA11
4C316AA30
4C316AB03
4C316AB04
4C316AB11
4C316AB16
4C316FA18
4C316FA19
4C316FB21
4C316FB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フーリエ領域光干渉断層撮像(FD-OCT)による撮像ターゲットの走査中に、撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正する。
【解決手段】フーリエ領域光干渉断層撮像システム(10)は、撮像ターゲット(30)の走査を行って、撮像ターゲットの各走査位置における撮像ターゲットの光学的特性を表す複素値を有するサンプルを取得することにより、複素光干渉断層撮像データ(25)を生成するように配置されたフーリエ領域光干渉断層撮像スキャナ(20)を含む。撮像システム(10)は、さらに、取得されたサンプルの位相情報を用いて二次元の相互相関を計算するように配置されたコントローラ(40)を備え、スキャナ(20)は、計算された相互相関に基づいて制御し、走査中の撮像ターゲット(30)とスキャナ(20)との間の相対移動を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フーリエ領域光干渉断層撮像(FD-OCT)システムであって、
複素値が撮像ターゲットのそれぞれの走査位置で前記撮像ターゲットの光学的特性を示す複素値を有するサンプルを取得するために、前記撮像ターゲットの走査を実行することにより複素OCTデータを生成するように配置されたFD-OCTスキャナと、
取得された前記サンプルの位相情報を用いて相互相関計算を実行し、前記相互相関計算に基づいて、前記FD-OCTスキャナを制御し、走査中に前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正する、ように構成されたコントローラと、を備える、フーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項2】
前記コントローラが、
第1のサンプルのセットであって、前記第1のサンプルのセットが、前記撮像ターゲットの第1の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含む、前記第1のサンプルのセットを取得し、
第2のサンプルのセットであって、前記第2のサンプルのセットのが、前記撮像ターゲットの第2の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含み、前記第2の走査ラインが前記第1の走査ラインと少なくとも部分的に重複する、前記第2のサンプルのセットを取得し、
前記サンプルの第1のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第3のサンプルのセットと、前記サンプルの第2のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含むサンプルの第4のサンプルのセットと、の間の相互相関を計算する相互相関計算であって、前記第3のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルと、前記第4のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルと、が前記第1の走査ラインと前記第2の走査ラインとが重なる前記撮像ターゲットの共通領域から取得され、前記サンプルの第3のセットの位相情報と前記サンプルの第4のセットの位相情報とに基づく相互相関計算を実行する、
ことにより、前記相互相関計算を実行し、
前記FD-OCTスキャナが、
前記第1のサンプルのセットの走査位置と前記第2のサンプルのセットの走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標の値を決定するために、計算された前記相互相関を用いて、前記第1のサンプルのセットと前記第2のサンプルのセットとを相互に対して登録し、
走査中に、前記FD-OCTスキャナによる前記第1のサンプルのセットの取得と前記第2のサンプルのセットの取得との間に生じる前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように、前記FD-OCTスキャナを制御するために前記オフセット指標の決定された値を用いる、
ことにより、走査中に、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように、前記FD-OCTスキャナを制御する、
ように構成された、請求項1に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項3】
前記FD-OCTスキャナは、取得された前記サンプルが前記撮像ターゲットの繰り返しB-スキャンを画定するように、前記走査として、前記撮像ターゲットの重なる走査ラインに沿って前記撮像ターゲットのライン走査の繰り返しを実行することにより、前記複素OCTデータを生成するように構成され、
前記コントローラが、
前記サンプルの第1のセットとして、前記繰り返しB-スキャンの第1のB-スキャンを取得し、
前記第2のサンプルのセットとして、前記繰り返しB-スキャンの第2のB-スキャンを取得し、
前記相互相関計算として、前記第1のB-スキャンの1つ以上のA-スキャンと前記第2のB-スキャンのA-スキャンとの間の二次元の前記相互相関を計算する前記相互相関を計算し、前記第2のB-スキャンの前記A-スキャンが、前記第1のB-スキャンにおける1つ以上の前記A-スキャンに対応して前記第2のB-スキャンに位置するA-スキャンを含む前記相互相関計算を実行する、
ことにより、前記相互相関計算を実行し、
前記FD-OCTスキャナが、
前記第1のB-スキャンを、前記第1のサンプルのセットとして互いに対して登録し、前記第2のB-スキャンを、前記第2のサンプルのセットとして互いに対して登録し、計算された前記相互相関を用いて、前記オフセット指標の値として、前記第1のB-スキャンと前記第2のB-スキャンとの間のオフセットを示すオフセット値を決定し、
前記FD-OCTスキャナによる、前記第1のB-スキャンの取得と、前記第2のB-スキャンの取得と、の間に生じた前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の前記相対移動を、決定された前記オフセット値を用いて補正する、
ことにより、走査中に、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように、前記FD-OCTスキャナを制御する、
ように構成された、請求項2に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記相互相関計算として、前記第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンと、前記第2のB-スキャンのA-スキャンとの間の二次元の相互相関を計算する前記相互相関計算を実行するように構成され、前記相互相関計算は、前記第1のB-スキャンの前記所定数のA-スキャンにおける位相情報と、前記第2のB-スキャンの前記A-スキャンにおける位相情報とに基づいており、前記所定数は、前記第1のB-スキャンの前記所定数のA-スキャンのうちの前記位相情報の変動が所定の変動度未満であるように選択される、請求項3に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項5】
、前記第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンの複数のセットのそれぞれのセットと前記第2のB-スキャンのそれぞれのA-スキャンとの間のそれぞれの二次元の相互相関を計算するために複数の前記相互相関計算を実行することであって、前記第2のB-スキャンのそれぞれのA-スキャンが、前記セットにおいて前記所定数のA-スキャンに対応して、前記第2のB-スキャンに位置するA-スキャンを含む、複数の前記相互相関計算を実行し、
前記オフセット値として、前記第1のB-スキャンと前記第2のB-スキャンとの間のオフセットを示す値を決定するために、計算された前記相互相関を組み合わせ、
前記第1のB-スキャンと前記第2のB-スキャンとの間の前記オフセットを示す決定された前記オフセット値を用いることにより、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の前記相対移動を補正するために前記FD-OCTスキャナを制御する、
ことにより、前記コントローラが、走査中に、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように前記FD-OCTスキャナを制御するように構成された、請求項4に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項6】
前記FD-OCTスキャナは、前記走査として、前記撮像ターゲットに三次元的に分布するそれぞれの走査位置における前記撮像ターゲットの光学的特性を示す複素値を有するサンプルを取得するために、前記撮像ターゲットの領域OCT走査を実行することにより、前記複素OCTデータを生成するように構成され、
前記コントローラは、前記第1のサンプルのセットとして、前記領域OCT走査の少なくとも一部として前記第1の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含むサンプルのセットを取得することにより、前記相互相関計算を実行するように構成され、前記第2の走査ラインは前記第1の走査ラインと交差する、請求項2に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項7】
前記第1の走査ラインは、前記撮像ターゲットの複数の平行な走査ラインのうちの1つであり、前記FD-OCTスキャナは、前記複数の平行な走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査することにより前記領域OCT走査を実行し、前記領域OCT走査に基づいて、前記複素OCTデータとしてOCT-C-スキャンを生成するように構成される、請求項6に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記第1のサンプルのセットとして、前記OCT-C-スキャンの前記複素OCTデータを取得することにより、前記相互相関計算を実行するように構成される、請求項7に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項9】
前記第1の走査ラインは、前記撮像ターゲットの2つの軸方向に沿って延在する、請求項6に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項10】
前記第1の走査ラインは、前記撮像ターゲットに、正方形、三角形、ひし形、円、楕円、螺旋、正方形螺旋、リサージュ図形、エピトロコイド、ハイポトロコイドのうちの1つを画定する、請求項9に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項11】
前記第1の走査ライン及び前記第2の走査ラインは、前記撮像ターゲットの2つの軸方向に沿って延在し、それ自体と交差する単一の走査ラインの異なるそれぞれの部分である、請求項6に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項12】
前記単一の走査ラインは、リサージュ図形、エピトロコイド、ハイポトロコイドのうちの1つを前記撮像ターゲットに画定する、請求項11に記載のフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項13】
フーリエ領域光干渉断層撮像(FD-OCT)スキャナを制御するコンピュータ実装方法であって、撮像ターゲットのそれぞれの走査位置で前記撮像ターゲットの光学的特性を示す複素値を有するサンプルを取得し、走査中に前記撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するために、前記撮像ターゲットの走査を実行することにより、複素OCTデータを生成する、コンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法が、
取得された前記サンプルの位相情報を用いた相互相関計算を実行し、
前記相互相関計算に基づいて、走査中に、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の前記相対移動を補正するように前記FD-OCTスキャナを制御する、ことを含むコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記相互相関計算が、
第1のサンプルのセットであって、前記第1のサンプルのセットが、前記撮像ターゲットの第1の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含む、前記第1のサンプルのセットを取得し、
第2のサンプルのセットであって、前記第2のサンプルのセットのが、前記撮像ターゲットの第2の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含み、前記第2の走査ラインが前記第1の走査ラインと少なくとも部分的に重複する、前記第2のサンプルのセットを取得し、
前記サンプルの第1のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第3のサンプルのセットと、前記サンプルの第2のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含むサンプルの第4のサンプルのセットと、の間の二次元の相互相関を計算する相互相関計算であって、前記第3のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルと、前記第4のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルと、が前記第1の走査ラインと前記第2の走査ラインとが重なる前記撮像ターゲットの共通領域から取得され、前記サンプルの第3のセットの位相情報と前記サンプルの第4のセットの位相情報とに基づく相互相関計算を実行する、
ことにより実行され、
FD-OCTスキャナが、 前記第1のサンプルのセットの走査位置と前記第2のサンプルのセットの走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標の値を決定するために、計算された前記相互相関を用いて、前記第1のサンプルのセットと前記第2のサンプルのセットとを相互に対して登録し、
走査中に、前記FD-OCTスキャナによる前記第1のサンプルのセットの取得と前記第2のサンプルのセットの取得との間に生じる前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように、前記FD-OCTスキャナを制御するために前記オフセット指標の決定された値を用いる、
ことにより、走査中に、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように制御される、
請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
プロセッサにより実行されると、請求項13または14に記載のコンピュータ実装方法を実行することにより、前記プロセッサが、フーリエ領域光干渉断層撮像を制御し、前記FD-OCTスキャナに、前記撮像ターゲットの走査を実行することにより、撮像ターゲットのそれぞれの走査位置で前記撮像ターゲットの光学的特性を示す複素値を有するサンプルを取得させて複素OCTデータを生成させ、前記プロセッサに、走査中に前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように前記FD-OCTスキャナを制御させる、
コンピュータ読み取り可能な指示を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的な態様は、概して、フーリエ領域光干渉断層撮像(FD-OCT)撮像システムの分野に関し、特に、FD-OCTスキャナによる撮像ターゲットの走査中に、撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層撮像(OCT)は低コヒーレンス干渉法に基づく撮像技術であり、生体組織のような光散乱媒質の高分解能の二次元及び三次元画像を取得するために広く使用されている。
【発明の概要】
【0003】
周知のように、OCT撮像システムは、深度測距がどのように達成されるかに応じて、時間領域OCT(TD-OCT)またはフーリエ領域OCT(FD-OCT)(周波数領域OCTとも呼ばれる)として分類され得る。TD-OCTでは、撮像システムの干渉計の基準アームの光路長が、OCT撮像システムにより撮像されている散乱媒体(本明細書では「撮像ターゲット」と称する)の反射性プロファイルの取得中に時間的に変化し、反射性プロファイルは、一般に「深度走査」または「軸方向走査」(「A-スキャン」)と称する。FD-OCTでは、各A-スキャンの走査位置での干渉計の基準アームとサンプルアームとの間の干渉から生じるスペクトル干渉図形は、基準アームの光路長の何らかの変動を必要とすることなく、A-スキャンの深さに沿った全ての点を同時に取得するためにフーリエ変換される。FD-OCTは、サンプルからの全ての後方反射が同時に測定されるので、干渉計におけるサンプルアームミラーの走査よりも遥かに高速の撮像を可能にする。二つの一般的なタイプのFD-OCTは、スペクトル領域OCT(SD-OCT)と周波数走査OCT(SS-OCT)である。SD-OCTでは、広帯域光源が多数の波長を撮像ターゲットに照射し、検出器として分光器を用いて全波長を同時に測定する。SS-OCT (時間符号化周波数領域OCTとも呼ばれる)では、光源はある範囲の波長を通して掃引され、検出器の時間的出力はスペクトル干渉に変換される。
【0004】
OCT撮像システムは、撮像システムが横方向にOCTデータを取得するように構成される方法に応じて、点走査(「点検出」又は「走査点」としても知られる)、ラインスキャン又はフルフィールドとして分類することもできる。点走査OCT撮像システムは、撮像ターゲットの表面を横切って集束されたサンプルビームを走査することにより、OCTデータを取得する。これは、典型的には、単一のライン(例えば、円形又は螺旋を画定するように、又は代替的に湾曲させてもよい)に沿って、又は撮像ターゲットの表面の(通常は実質的に平行である)ラインのセットに沿って、撮像ターゲットを走査することにより、OCTデータを取得する。また、このライン(複数)に沿った複数のポイントのそれぞれについての軸方向深度プロファイル(A-スキャン)を取得することにより、一度に1つのポイントで、サンプルの二次元又は三次元(体積)の反射率プロファイルを表すA-スキャンの一次元又は二次元のアレイを含むOCTデータを構築する。
【0005】
OCT撮像システムが絶えず増加する速度でサンプル画像データを取得することを可能にした技術的改良にもかかわらず、超高速システムにおいてさえも、撮像中の不随意の眼球運動(例えば、マイクロサッケード)は、OCT画像における問題の重大な原因のままである。このような眼球運動の問題を解消するために後処理アルゴリズムが開発されているが、このアプローチは、大きくて急速な眼球運動を適切に処理しない可能性があり、後処理では補正できない取得OCTデータのギャップを招く可能性がある。眼球運動の問題を低減するためのより効果的なアプローチは、走査レーザ検眼鏡(SLO)または眼底カメラなどの第2の(高速の)撮像モダリティを使用して、例えば、OCT撮像中に網膜の撮像領域の移動を監視するための強度ベースの網膜画像を取得し、OCT走査ミラー(複数可)を制御するためにそれから取得される眼球運動信号を使用して、ターゲットのOCT走査グリッドを維持する。
【0006】
(概要)
本明細書の第1の実施態様によれば、フーリエ領域光干渉断層撮像(FD-OCT)システムが提供され、そのシステムは、撮像ターゲットの走査を行うことにより、複素OCTデータを生成し、その複素値が、撮像ターゲットのそれぞれの走査位置における撮像ターゲットの光学的特性を示すサンプルを取得することにより、構成される、FD-OCTスキャナと、前記取得したサンプルの位相情報を使用する相互相関計算を実行し、前記相互相関計算に基づいて前記FD-OCTスキャナを制御し、前記走査中に前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように構成されるコントローラと、を備える。
【0007】
第1の実施形態のFD-OCT撮像システムの例示的な実施形態では、コントローラは、前記第1のサンプルのセットを取得することにより、相互相関計算を実行するように構成することができ、前記サンプルは、前記撮像ターゲットの第1の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含む第1のセットと、前記サンプルのうちの第2のセットを取得することであって、前記第2のセットは、前記撮像ターゲットの第2の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含み、前記第2の走査ラインは、少なくとも部分的に前記第1の走査ラインと重なり、前記相互相関計算を実行して、サンプルの前記第1のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第3のセットと、サンプルの前記第2のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第4のセットと、サンプルの前記第3のセットのうちの少なくともいくつかのサンプルと、前サンプルの記第4のセットの前記第1の走査ラインと前記第2の走査ラインとが重なる前記撮像ターゲットの共通領域は、サンプルの前記第3のセットにおける位相情報とサンプルの前記第4のセットにおける位相情報とに基づいて相互相関計算される。例示的実施形態では、コントローラは、さらに、走査中に撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するようにFD-OCTスキャナを制御するように、計算された相互相関を用いて、第1のサンプルのセットと第2のサンプルのセットとを互いに登録して、第1のサンプルのセットの走査位置と第2のサンプルのセットの走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標の値を決定し、オフセット指標の決定値を用いて、FD-OCTスキャナを制御し、走査中に、第1のサンプルのセットの取得とFD-OCTスキャナによる第2のサンプルのセットの取得との間に発生した撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように、FD-OCTスキャナを制御するように構成することができる。
【0008】
上述した例示的な実施形態の第1の変形例では、FD-OCTスキャナは、取得されたサンプルが撮像ターゲットの繰り返しB-スキャンを画定するように、撮像ターゲットの重なる走査ラインに沿って撮像ターゲットのラインスキャンを繰り返すように、その走査として実行することにより複素OCTデータを生成するように配置することができる。第1の変形例では、コントローラは、第1のサンプルのセットとして、繰り返しB-スキャンの第1のB-スキャンを取得することと、第2のサンプルのセットとして、繰り返しB-スキャンの第2のB-スキャンを取得することと、相互相関計算として、第1のB-スキャンの1つ以上のA-スキャンと第2のB-スキャンのA-スキャンとの間の相互相関を計算するために、相互相関計算を実行することと、により相互相関計算を実行するように構成されてもよく、第2のB-スキャンのA-スキャンは、第1のB-スキャンにおける1つ以上のA-スキャンに対して、第2のB-スキャンに対応して位置するA-スキャンを含む。第1の変形例において、コントローラは、さらに、オフセット指標の値として、第1のB-スキャンの取得とFD-OCTスキャナによる第2のB-スキャンの取得との間に生じた撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するために、オフセット指標の値を決定するために計算された相互相関を使用することにより、第1のサンプルのセットとして第1のB-スキャンを登録することと、第2のサンプルのセットとして第2のサンプルを登録することとにより、第1のB-スキャンと第2のB-スキャンとの間に生じた撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するようにFD-OCTスキャナを制御することとにより、FD-OCTスキャナを制御するように構成されてもよい。
【0009】
上記に設定された第1の変形例において、コントローラは、相互相関計算として、第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンと第2のB-スキャンのA-スキャンとの間の相互相関を計算する相互相関計算を実行するように構成されてもよく、相互相関計算は、第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンにおける位相情報と第2のB-スキャンにおける位相情報とに基づいており、第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンの間の位相情報の変動が所定の変動度未満であるように、所定数が選択される。この場合、コントローラは、さらに、前記走査中に前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように前記FD-OCTスキャナを制御するように構成され、前記走査中に、複数の前記相互相関計算を行って、前記第1のB-スキャンの前記所定数のA-スキャンと前記第2のB-スキャンのそれぞれのA-スキャンのそれぞれのセットとの間のそれぞれの相互相関を計算し、前記第2のB-スキャンの前記所定数の前記A-スキャンに対応して位置するA-スキャンを含む前記第2のB-スキャンの前記それぞれのA-スキャンと、前記計算された前記相互相関を組み合わせて、前記オフセット値として、前記第1のB-スキャンと前記第2のB-スキャンとの間のオフセットを示す値を決定することと、前記第1のB-スキャンとの間の前記オフセットを示す決定されたオフセット値を使用することにより、前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように前記FD-OCTスキャナを制御する。
【0010】
上記実施形態のFD-OCT撮像システムの第2の変形例では、FD-OCTスキャナは、複素OCTデータを生成するように、走査として、撮像ターゲットの領域OCT走査として、撮像ターゲットの光学的特性を示す複素値を有するサンプルを含む領域OCT走査を、撮像ターゲットに三次元的に分布されたそれぞれの走査位置に含み、コントローラは、領域OCT走査の少なくとも一部として第1の走査ラインに沿って撮像ターゲットを走査するFD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含むサンプルのセットが第1のサンプルのセットとして、相互相関計算を実行するように配置してもよく、第1のサンプルのセット第2の走査ラインは第1の走査ラインを斜めに横切る。
【0011】
第2の変形例では、第1の走査ラインは、撮像ターゲットの複数の平行な走査ラインのうちの1つであってもよく、FD-OCTスキャナは、領域OCT走査に基づいて、複数の平行な走査ラインに沿って撮像ターゲットを走査することにより領域OCT走査を実行し、複素OCTデータとしてOCT-C-スキャンを生成するように構成される。コントローラは、第1のサンプルのセットとして、OCT-C-スキャンの複素OCTデータを取得することにより相互相関計算を実行するように構成されてもよい。
【0012】
あるいは、第2の変形例では、第1の走査ラインは、撮像ターゲットの表面の2つの軸方向に沿って延びていてもよく、例えば、正方形、三角形、ひし形、円、楕円、螺旋、正方形の螺旋、リサージュ図形、エピトロコイド、又はハイポトロコイドを撮像ターゲットの表面に画定してもよい。
【0013】
さらなる変形例として、第2の変形例において、第1の走査ライン及び第2の走査ラインは、撮像ターゲットの表面の2つの軸方向に沿って延在し、それ自体を横切る(交差する)単一の走査ラインの異なるそれぞれの部分とすることができる。単一の走査ラインは、例えば、撮像ターゲットの表面にリサージュ図形、エピトロコイド、又はハイポトロコイドを画定することができる。
【0014】
本明細書の第2の例の態様によれば、FD-OCTスキャナを制御するコンピュータ実装方法が提供され、この方法は、撮像ターゲットの走査を行うことにより複素OCTデータを生成し、その複素値が撮像ターゲットのそれぞれの走査位置における撮像ターゲットの光学的特性を示すサンプルを取得し、撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の走査中の相対的な移動を補正する。この方法は、取得サンプルの位相情報を使用する相互相関計算を実行することと、相互相関計算に基づいて、FD-OCTスキャナを制御して、走査中の撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対的な移動を補正することとを含む。
【0015】
第2の実施態様のコンピュータ実装方法の例示的な実施形態において、相互相関計算は、前記第1のサンプルのセットを取得することにより実行することができ、前記サンプルのうちの前記サンプルは、前記撮像ターゲットの第1の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含む、前記サンプルのうちの前記第1のセットを取得することと、前記サンプルのうちの第2のセットの前記サンプルを取得することであって、前記第2のセットは、前記撮像ターゲットの第2の走査ラインに沿って前記撮像ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含み、前記第2の走査ラインは、少なくとも部分的に前記第1の走査ラインと重なり、前記相互相関計算を実行して、前記第1のセットのサンプルのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第3のセットと、前記第2のセットのサンプルのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第4のセットとの間で相互相関を計算することと、前記第3のセットのサンプルのうちの少なくともいくつかのサンプル 前記第1の走査ラインと前記第2の走査ラインとが重なるターゲットであって、前記相互相関計算は、サンプルの前記第3のセットの位相情報とサンプルの前記第4のセットの位相情報とに基づいている、ことを特徴とする。さらに、第2の実施態様のコンピュータ実装方法において、前記FD-OCTスキャナは、走査中に前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するように制御されてもよく、これは、前記計算された相互相関を用いて、前記計算された相互相関を用いて、サンプルの前記第1のセットとサンプルの前記第2のセットとの間のオフセット指標の値を決定し、前記オフセット指標の前記決定された値を用いて、走査中に前記FD-OCTスキャナを制御し、前記FD-OCTスキャナによりサンプルの前記第1のセットの取得とサンプルの前記第2のセットの取得との間に発生した前記撮像ターゲットと前記FD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正することにより行われる。
【0016】
上述したコンピュータ実装方法の実施例の第1の変形例では、FD-OCTスキャナは、前記走査を行うことにより、前記複素OCTデータを生成することができ、前記走査として、前記撮像ターゲットで重複する走査ラインに沿って前記撮像ターゲットのラインスキャンを繰り返し、前記取得したサンプルが前記撮像ターゲットの繰り返しB-スキャンを画定し、前記方法は、前記第1のサンプルのセットとして、前記繰り返しB-スキャンの前記サンプルの第1のB-スキャンを取得することと、前記第2のサンプルのセットとして、前記繰り返しB-スキャンの第2のB-スキャンを取得することと、前記相互相関計算として、前記第1のB-スキャンの1つ以上のA-スキャンと前記第2のB-スキャンのA-スキャンとの間の相互相関を計算するための相互相関計算を行うこととを含み、前記第2のB-スキャンのA-スキャンは、第1のB-スキャンの一つ以上のA-スキャンに対応して第2のB-スキャンに位置するA-スキャンを含む。この方法は、第1のB-スキャンの取得からFD-OCTスキャナによる第2のB-スキャンの取得までの間に発生した撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対的な移動を、決定されたオフセット値を用いて補正するために、第1のB-スキャンを第1のサンプルのセットとして登録し、第2のサンプルのセットとして、算出された相互相関を用いて、オフセット指標の値として、第1のB-スキャンと第2のB-スキャンとの間のオフセット値を決定することにより、FD-OCTスキャナを制御することにより、撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対的な移動を補正するためにFD-OCTスキャナを制御することを含むことができる。
【0017】
上記のように設定された第1の変形例の方法は、相互相関計算として、前記第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンと前記第2のB-スキャンのA-スキャンとの間の相互相関を計算する相互相関計算を実行することを含み、前記相互相関計算は、前記第1のB-スキャンの前記所定数のA-スキャンの位相情報と前記第2のB-スキャンの前記A-スキャンの位相情報とに基づいており、前記所定数は、前記第1のB-スキャンの前記所定数の前記A-スキャンのうちの前記位相情報の変動が所定の変動度未満であるように選択される、ことを特徴とする。FD-OCTスキャナは、撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するために制御されてもよく、これは、走査中に、第1のB-スキャンの所定数のA-スキャンの各セットと第2のB-スキャンの各A-スキャンの各セットとの間の相互相関を計算するための複数の相互相関計算を実行すること、第2のB-スキャンに対応して位置するA-スキャンを含む第2のB-スキャンの各A-スキャンを、セットの所定数のA-スキャンのオフセット値として、計算された相互相関を組み合わせて、第1のB-スキャンと第2のB-スキャンとの間のオフセットを示す値として決定すること、および第1のB-スキャンと第2のB-スキャンとの間のオフセットを示す決定されたオフセット値を使用することにより、撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するためにFD-OCTスキャナを制御することにより行われる。
【0018】
あるいは、上述した例の実施形態の第2の変形例のコンピュータ実装方法では、FD-OCTスキャナは、前記走査として、撮像ターゲットの光学的特性を示す複素値を有するサンプルを取得するために撮像ターゲットの領域OCT走査を撮像ターゲットで三次元的に分布されたそれぞれの走査位置で取得することにより複素OCTデータを生成することができ、この方法は、前記第1のサンプルのセットとして、前記領域OCT走査の少なくとも一部として前記第1の走査ラインに沿って撮像する前記ターゲットを走査する前記FD-OCTスキャナにより取得されたサンプルを含むサンプルのセットを取得することにより相互相関計算を実行することを含むことができ、前記第2の走査ラインは前記第1の走査ラインを斜めに横切る。第1の走査ラインは、撮像ターゲットの複数の平行な走査ラインのうちの1つであってよく、FD-OCTスキャナは、複数の平行な走査ラインに沿って撮像ターゲットを走査することにより領域OCT走査を実行し、領域OCT走査に基づいて、複素OCTデータとしてOCT-C-スキャンを生成する。この場合、相互相関計算は、第1のサンプルのセットとして、OCT-C-スキャンの複素OCTデータを取得することを含み得る。
【0019】
あるいは、第2の変形例のコンピュータ実装方法では、第1の走査ラインは、撮像ターゲットの表面の2つの軸方向に沿って延びていてもよく、例えば、正方形、三角形、ひし形、円、楕円、螺旋、正方形螺旋、リサージュ図形、エピトロコイド、又はハイポトロコイドを撮像ターゲットの表面に画定してもよい。
【0020】
さらなる変形例として、第2の変形例のコンピュータ実装方法では、第1の走査ライン及び第2の走査ラインは、単一の走査ラインのそれぞれの部分が異なっていてもよく、これは、撮像ターゲットの表面の2つの軸方向に沿って延び、それ自体を横切る(交差する)。単一の走査ラインは、例えば、撮像ターゲットの表面にリサージュ図形、エピトロコイド、又はハイポトロコイドを画定することができる。
【0021】
また、本明細書の第3の例態様によれば、コンピュータ読み取り可能な指示を含むコンピュータプログラムが提供され、プロセッサにより実行されると、FD-OCTスキャナは、撮像ターゲットの走査を行うことにより複素OCTデータを生成し、複素値が撮像ターゲットのそれぞれの走査位置における撮像ターゲットの光学的特性を示すサンプルを取得することにより、プロセッサは、第2の例としての態様、その実施形態、又は上述した変形例の何れかに係る方法を実行することにより、走査中に撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対的な移動を補正するようにFD-OCTスキャナを制御させる。コンピュータプログラムは、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、コンピュータハードディスクまたはCD)に記憶されてもよく、またはコンピュータ読み取り可能な信号により運ばれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下に説明する添付図面を参照して、例示的実施形態を非限定的例として詳細に説明する。図の異なるものに現れる同様の参照番号は、別段の指示がない限り、同一または機能的に同様の要素を示すことができる。
図1図1は、本明細書の一実施形態例に従ったフーリエ領域OCT撮像システムの概略図である。
図2図2は、例示的実施形態において採用されたFD-OCTスキャナの構成要素の概略図である。
図3図3は、プログラム可能な信号処理ハードウェアの概略図であり、このハードウェアは、本明細書に記載するコントローラの機能を実行するように構成することができる。
図4図4は、一実施形態による、走査中の撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正するためにFD-OCTスキャナを制御する方法を示すフロー図である。
図5図5は、図4におけるプロセスS10の相互相関計算が実行され得る方法を示すフロー図である。
図6図6は、(a)が実施例のFD-OCT撮像システムのコントローラにより処理されるB-スキャンの例を示し、(b)が(a)に示されるB-スキャンの各位相成分の大きさがx軸およびz軸方向に沿ってどのように変化するかのプロットを示し、(c)が(a)のB-スキャン610の位相成分値からB-スキャン620の位相成分値を差し引いた位相成分差プロットを示す。
図7図7は、(a)が全体のB-スキャン610の複素OCTデータと図6(a)の全体のB-スキャン620の複素OCTデータとの間の複素相互相関に基づく相互相関グラフを示し、(b)が全体のB-スキャン610の複素OCTデータと図6(a)の全体のB-スキャン620の複素OCTデータとの間の計算された二次元の相互相関を示す。
図8図8は、高い位相安定性を有するA-スキャンブロックを画定する、隣接するA-スキャンの選択されたセットを示す。
図9図9は、(a)が位相安定度が高いA-スキャンブロックを画定する図6(a)に示すB-スキャン610の隣接する10個のA-スキャンの集合の例を示し、(b)が図6(a)のB-スキャン620を示し、(c)が(a)のA-スキャンブロックと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた相互相関グラフを示し、(d)が(a)のA-スキャンブロックと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた二次元の相互相関値プロットとを示す。
図10図10は、(a)が図6(a)に示されるB-スキャン610の隣接する10個のA-スキャンの集合の例であって、高い位相安定性を有するA-スキャンブロックを画定するものを示し、(b)が図6(a)のB-スキャン620を示し、(c)が(a)のA-スキャンブロックを(b)のB-スキャンと相互相関させることにより得られる相互相関グラフを示し、(d)が(a)のA-スキャンブロックのデータ要素の絶対値と(b)のB-スキャンのデータ要素の絶対値とを相互相関させることにより得られる二次元の相互相関値プロットを示す。
図11図11は、(a)が位相安定度が高いA-スキャンブロックを画定する図6(a)に示すB-スキャン610の4つの隣接するA-スキャンの集合の例を示し、(b)が図6(a)のB-スキャン620を示し、(c)が(a)のA-スキャンブロックと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた相互相関グラフを示し、(d)が(a)のA-スキャンブロックと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた二次元の相互相関値プロットとを示す。
図12図12は、(a)が位相安定度が高いA-スキャンブロックを画定する図6(a)に示すB-スキャン610の4つの隣接するA-スキャンの集合の例を示し、(b)が図6(a)のB-スキャン620を示し、(c)が(a)のA-スキャンブロックと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた相互相関グラフを示し、(d)が(a)のA-スキャンブロックと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた二次元の相互相関値プロットとを示す。
図13図13は、(a)が相互相関計算のために選択された図6(a)に示すB-スキャン610の単一のA-スキャンの例を示し、(b)が図6(a)のB-スキャン620を示し、(c)が(a)のA-スキャンと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた相互相関グラフを示し、(d)が(a)のA-スキャンと(b)のB-スキャンとを相互相関させることにより得られた二次元の相互相関値プロットとを示す。
図14図14は、FD-OCTスキャナを図4のプロセスS10にて制御して、それにより実行される走査中の撮像ターゲットとFD-OCTスキャナとの間の相対移動を補正する方法を示すフローダイアグラムである。
図15図15は、(a)が平行な走査ラインにより画定されるラスタ走査の基準グリッドを示し、(b)が第1の走査ライン(L1)と交差する第2の走査ライン(L2)を示し、これらはラスタ走査の基準グリッドを画定する平行な走査ラインの1つを形成する。
図16図16は、実施形態のFD-OCTスキャナが垂直及び水平な走査ラインに沿ってOCT光ビームを走査して、撮像ターゲットの撮像領域の体積的OCT走査を取得するシーケンスを示す。
図17図17は、(a)螺旋、(b)リサージュ形状、(c)エピトロコイド/ハイポトロコイド、(d)(楕円の例として)円、(e)三角形状、(f)正方形状、(g)ひし形形状、(h)正方形螺旋形状をなす例の散発的な基準走査を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上述した背景を鑑みて、本発明者らは、上述したような欠点を有する問題の解消のための後処理アルゴリズム、または移動補正のための撮像ターゲットの追跡を提供するための第2の撮像モダリティを必要とすることなく、FD-OCT走査中に取得されたOCTデータでの移動の問題を少なくとも部分的に回避するためのスキームを考案した。より具体的には、本発明者らは、FD-OCT撮像システムにより取得された複素OCTデータの位相情報は、FD-OCT撮像システムと撮像ターゲットとの間の相対的な移動を補正するために、OCTデータ取得プロセスの動作追跡およびリアルタイム制御を可能にするのに十分に迅速に取得および使用することができる、撮像構造の詳細かつ再現可能な「指紋」を提供することができることを認識した。本発明者らは、その結果、フーリエ領域OCT撮像システムを考案し、該フーリエ領域OCTスキャナは、複素OCTデータを生成するように構成されたFD-OCTスキャナであって、複素値が、該撮像ターゲットのそれぞれの走査位置における該撮像ターゲットの光学的特性を示すサンプルを取得する撮像ターゲットの走査を行うことと、前記取得サンプルの位相情報を使用する相互相関計算を実行するように構成されたコントローラであって、該相互相関計算に基づいて、該FD-OCTスキャナを制御することにより、該撮像ターゲットと該FD-OCTスキャナとの間の相対的な移動を該走査中に補正する。
【0024】
コントローラは、例えば、撮像ターゲットの第1の走査ラインに沿って、撮像ターゲットの部分的に重なる第2の走査ラインに沿ってサンプル光ビームをそれぞれ走査するFD-OCTスキャナにより取得され得る第1のサンプルのセット及び第2のサンプルのセットを用いて相互相関計算を実行することができる。走査ラインは、走査中に光ビームが後続する撮像ターゲットの表面の経路を表す仮想線(曲線または直線であってもよい)である。第1のサンプルのセットおよび第2のサンプルのセットは、以下の例示的な実施形態において記載されるように、多数の異なる形態のうちの1つにおいて提供され得る第1の走査ラインおよび第2の走査ラインに沿って撮像された1つ以上の走査から取得することができる。例えば、第1及び第2の走査ラインは、以下の第1の実施形態のように、例えば、FD-OCTスキャナが撮像ターゲットの撮像部の繰り返しB-スキャンを取得する場合には、FD-OCTスキャナにより実行される異なるそれぞれの走査において、完全に重複し、光ビームが続くようにすることができる。第1及び第2の走査ラインは、代わりに、撮像ターゲットの1つ又は複数の離散点で互いに交差し、それに続いて、FD-OCTスキャナにより実行される別個の走査(例えば、予備的な「基準」走査、及びその後の「測定」走査)において光ビームが続くことができる。さらなる代替案として、第1及び第2の走査ラインは、撮像ターゲットの表面の1つ又は複数の点で互いに交差し、FD-OCTスキャナにより実行されている単一の連続的な(「自己参照」)走査の一部を形成することができる。これらの代替は、第2の実施形態例に関連して、以下により詳細に説明される。
【0025】
これらの代替案は、第2の実施形態例に関連して、以下により詳細に説明される。
【0026】
ここで、FD-OCT撮像システムの例示的実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態例によるFD-OCT撮像システム10の概略図である。FD-OCT撮像システム10は、FD-OCTスキャナ(OCT走査及びデータ取得システム)20を備え、このスキャナは、撮像ターゲット30の走査を行うことにより複素OCTデータ25を生成し、その複素値が撮像ターゲット30のそれぞれの走査位置における撮像ターゲット30の光学的特性(例えば、反射性又は反射率)を示すサンプルを取得するように構成される。
【0028】
FD-OCTスキャナ20は、本実施形態のように、周波数走査OCT(SS-OCT)システムであってもよい。しかし、FD-OCTスキャナ20はこの形態で提供される必要はなく、例えばスペクトル領域OCT(SD-OCT)の代替形態をとってもよい。より一般的には、一実施形態は、複素OCTデータ25、すなわち、走査中にOCT測定が行われる各走査位置に対して得られる複素A-スキャン情報を表すそれぞれのスペクトル干渉図(干渉スペクトル)のフーリエ変換を生成することが可能な、任意の形態のFD-OCT撮像システムとして提供されてもよい。このような複素OCTデータ25は、FD-OCTスキャナ20により撮像ターゲット30の走査が実行されている間にFD-OCTスキャナ20と撮像ターゲット30との間の相対移動を補正するために、本明細書で説明するようにコントローラ40により使用することができる取得されたOCT測定値からの位相情報を符号化する。
【0029】
FD-OCTスキャナ20は、図2に示すように、走査システム22、光検出器24、OCTデータ処理ハードウェア26、及び光ビーム発生器28を含む周知の構成要素を含むことができる。
【0030】
走査システム22は、撮像ターゲット30を横切って光ビームLbの一次元および/または二次元の点走査を実行し、点走査中に撮像ターゲット30により散乱された光Lcを集光するように構成されてもよい。したがって、走査システム22は、撮像ターゲット30の表面全体に分布したそれぞれの走査位置でA-スキャンを取得するように配置され、走査位置を光ビームLbで順次照射し、一度に1つの走査位置とし、各走査位置で撮像ターゲット30により散乱された光Lcの少なくとも一部を集光する。走査システム22は、当該技術分野で普及しているものに知られている任意の適切な走査パターン、例えば、1セットの(例えば、平行又は重なり合った)走査ラインが、それらに沿って共通の方向に続く)一方向走査、蛇行走査又は螺旋走査を使用して点走査を実行することができる。走査システム22は、本例示の実施形態では点走査を行うように配置されているが、走査システム22は、代替的に、他の例示の実施形態では、当業者には周知のハードウェアを使用して、ライン走査を行うように配置してもよい。
【0031】
本実施形態では、FD-OCT撮像システム10は、眼の網膜の領域の形態で、撮像ターゲット30からOCTデータを取得するように構成される眼科FD-OCT撮像システムであるが、眼の前方区域の一部など、OCTにより撮像することができる眼の任意の他の部分は、代替として又は追加として撮像ターゲット30を形成することができる。撮像ターゲット30は、しかしながら、眼の一部に限定されず、代替的には、任意の組織(例えば、皮膚)、生物学的サンプル、又はより一般的には、サブの表面下組織がOCTにより撮像されることになる任意の散乱媒体であってもよい。
【0032】
光ビーム発生器28は、光源28-1及び光源開口28-2を含むことができる。この場合、光源28-1は、光源開口28-2を介して発光するように配置され、光源開口28-2の形状およびサイズ(例えば、光源開口28-2が円形である場合、直径)が、光ビームLb(すなわち、これらのサイズおよび形状が同じになるように)の断面形状およびサイズ(例えば、直径)を画定するように、光ビームLbを生成する。いくつかの例示的な実施形態では、光ビーム発生部28は、例えば光源28-1からの光をコリメートするための1つまたは複数のコリメートレンズなどの、さらなる構成要素(図2には示されていない)を備えてもよい。
【0033】
光検出器24は、基準光Lrと走査中に走査システム22により集光された光Lcとの間の干渉に起因する干渉光Liに基づいて検出信号Sdを生成するように構成される。言い換えると、点走査中に走査システムにより集光された基準光と光は、互いに一致し、干渉し、得られた干渉光Liは、光検出器24の図示しない光検出部品に導かれ、受光される。光検出器24は、受光した干渉光Liを光電変換して検出信号Sdを生成する。光検出器24が取り得る具体的な形態は、FD-OCTスキャナ20が実装される形態に依存する。例えば、FD-OCTスキャナ20がSD-OCTスキャナとして実現される場合、光検出器24は、回折格子、フーリエ変換レンズ、および検出器アレイ(またはライン走査カメラ)を有し得る分光器を備える。FD-OCTスキャナ20がSS-OCTスキャナとして実現される場合、本例の実施形態のように、光検出器24は2つの光検出器(例えば、逆バイアスされたフォトダイオード)を備える平衡型光検出器セットアップを備えることができ、その出力光電流は互いに減算され、減算された電流信号はトランスインピーダンス増幅器により電圧検出信号に変換される。
【0034】
次いで、検知信号Sdは、OCTデータ処理ハードウェア26により処理される。OCTデータ処理ハードウェア26は、周知のデータ処理技術を使用して、検出信号Sdに基づいて、撮像ターゲット30の複素OCTデータを生成するように構成される。
【0035】
再び図1を参照すると、FD-OCT撮像システム10は、さらに、取得サンプルの位相情報を使用して、取得サンプル間の複素相互相関を計算するために複素相互相関計算を実行するように構成されるコントローラ40を備える。コントローラ40は、さらに、相互相関計算の結果に基づいて、FD-OCTスキャナ20を制御するように構成されており、走査中に撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動を補正する。
【0036】
FD-OCTスキャナ20は、本実施形態の場合のように、撮像ターゲット30の表面の1つ以上の走査ラインに沿って撮像ターゲット30を走査することにより、複素OCTデータ25のサンプルを取得するように構成されてもよく、コントローラ40は、まず、複素OCTデータ25のサンプルの集合を取得することにより相互相関計算を実行するように構成されてもよい。より詳細には、コントローラ40は、第1のサンプルのセットを取得することができ、その際、第1のセットのサンプルは、撮像ターゲット30の表面の第1の走査ラインに沿って撮像ターゲット30を走査するFD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルを含み、第2のサンプルのセットを取得することができる。ここで、第2のセットのサンプルは、FD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルが、撮像ターゲット30の第2の走査ラインに沿って撮像ターゲット30を走査するサンプルを含み、その第2の走査ラインは、少なくとも部分的に第1の走査ラインと重複する。第1のサンプルのセットのサンプルは、本実施形態のように、第1のA-スキャンと、第1のA-スキャンの各A-スキャンが取得された撮像ターゲット30の走査位置のそれぞれの指示とを含み得る。同様に、第2のサンプルのセットのサンプルは、本実施形態のように、第2のA-スキャンと、第2のA-スキャンの各A-スキャンが取得された撮像ターゲット30の走査位置のそれぞれの指示とを含み得る。
【0037】
FD-OCTスキャナ20は、いくつかの異なる方法の1つで撮像ターゲット30を走査することにより、このような第1及び第2のセットのサンプルを取得することができる。このような第1及び第2のセットのサンプルは、例えば、第1及び第2のセットのサンプルを取得することができる特定のタイプの走査を行うように予め構成されることにより、又はいくつかの異なる動作モードで動作可能であることにより、取得することができる。ここで、これらのモードの少なくともいくつかは、FD-OCTスキャナ20にサンプルの第1及び第2のセットを取得させる。撮像ターゲットの表面の第1及び第2の走査ラインは、例えば、完全に重なって、FD-OCTスキャナ20により実行される別個の走査(例えば、FD-OCTスキャナ20が撮像ターゲット30の撮像された部分の繰り返しB-スキャンを取得する際)における光ビームLbに続いてよい。第1及び第2の走査ラインは、代わりに、撮像ターゲット30の表面の1つ又は複数の点において互いに交差し、次いで、FD-OCTスキャナ20により実行される別個の走査(例えば、予備的な「基準」走査、及びその後の「計測」走査)において光ビームLbにて行うことができる。さらなる代替案として、第1及び第2の走査ラインは、撮像ターゲット30の表面の1つ又は複数の点で互いに交差し、FD-OCTスキャナ20により実行されている単一の連続的な(「自己参照」)走査の一部を形成することができる。これらの代替の走査スキームは、以下により詳細に説明される。
【0038】
一旦、これらのサンプルのセットが取得されると、コントローラ40は、相互相関計算を行って、第1のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第3のセットと、第2のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルを含む第4のセットと、第3のサンプルのセットの間の(少なくとも二次元の)相互相関を計算する。ここで、第3のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルと、第4のサンプルのセットのサンプルのうちの少なくともいくつかのサンプルとが、第1の走査ラインと第2の走査ラインとが重複する、撮像ターゲット30の共通領域から取得される。相互相関計算は、第3のサンプルのセットの位相情報および第4のサンプルのセットの位相情報に基づいており、より具体的には、第3のサンプルのセットの位相情報と第4のサンプルのセットの位相情報との間の相互相関であってもよい。
【0039】
コントローラ40は、計算された相互相関を用いて、第1のサンプルのセットと第2のサンプルのセットとを互いに登録することにより、撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対的な移動を走査中に最初に補正するようにFD-OCTスキャナ20を制御するように構成される。コントローラ40は、このプロセスを使用して、第1のサンプルのセットの取得とFD-OCTスキャナ20による第2のサンプルのセットの取得との間の、走査中のFD-OCTスキャナ20と撮像ターゲット30との間の相対的な移動により生じた、第1のサンプルのセットの走査位置と第2のサンプルのセットの走査位置との間のオフセット(すなわち、変位又は並進)を示すオフセット指標の値を決定する。コントローラ40は、さらに、走査中に、オフセット指標の決定値を用いてFD-OCTスキャナ20を制御し、相対移動を補正するように構成される。コントローラ40は、FD-OCTスキャナ20の走査システム22が、オフセット指標により示されるオフセットを少なくとも部分的にカウントするように、撮像ターゲット30を横切って光ビームLbを走査する1つ又は複数の走査要素の移動を決定する1つ又は複数の走査パラメータを調整することによりこれを達成することができ、その結果、オフセット指標に基づいて調整されるように、第2の走査ラインに沿って前の走査で使用された走査パラメータにより画定される後続の繰り返し走査パラメータにより画定される、第1のセットのサンプルの走査位置と、第1のセットのサンプルの走査位置と、第2のセットのサンプルの走査位置との間のオフセットよりも、引き続いて取得されるセットの走査位置との間のより小さなオフセットをもたらすことになる。
【0040】
OCTデータ処理ハードウェア26とコントローラ40とは、任意の適切な形態で提供されてもよい。一例を挙げて説明すると、これらの両方の構成要素は、図3に概略的に示す種類の(単一の)プログラム可能な信号処理ハードウェア100の形成で実現される。しかし、OCTデータ処理ハードウェア26およびコントローラ40は、代わりに、図3に図示した種類のそれぞれの(別個の)プログラム可能な信号処理ハードウェア100に実装することもできることに留意されたい。さらに、これらの構成要素の一方または両方は、代替的に、OCTデータ処理ハードウェア26および/またはコントローラ40(場合によってはあり得る)の機能を実行する専用のASIC、FPGA、または他の集積回路などの非プログラマブルハードウェア、または図3を参照して上述したようなこのような非プログラマブルハードウェアおよびプログラマブルハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。
【0041】
プログラム可能な信号処理ハードウェア100は、光検出器24からの検出信号Sdを受信し、FD-OCTスキャナ20(具体的には、その走査システム22)を制御するための制御信号を出力して、走査中に撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対的な移動を補正するための通信インターフェース110を備える。信号処理ハードウェア100は、プロセッサ(例えば、中央処理ユニット、CPU、および/またはグラフィック処理ユニット、GPU)120、ワーキングメモリ130(例えば、ランダムアクセスメモリ)、およびコンピュータ可読指示を備えるコンピュータプログラム145を記憶する指示ストア140をさらに備え、これらはプロセッサ120により実行されるとき、プロセッサ120に、OCTデータ処理ハードウェア26および本明細書に記載するコントローラ40の機能を含む様々な機能を行わせる。ワーキングメモリ130は、コンピュータプログラム145の実行中にプロセッサ120により使用される情報を記憶する。指示ストア140は、コンピュータ読み取り可能な指示が予めロードされているROM (例えば、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)又はフラッシュメモリの形態のもの)を備えていてもよい。あるいは、指示ストア140はRAM又は同様のタイプのメモリを備えていてもよく、コンピュータプログラム145のコンピュータ読み取り可能な指示を、CD-ROM、DVDROM等の形態の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体150又はコンピュータ読み取り可能な指示を送信するコンピュータ読み取り可能な信号160のようなコンピュータプログラム製品から入力してもよい。いずれにせよ、コンピュータプログラム145は、プロセッサ120により実行されるとき、プロセッサ120に、本明細書に記載するように、コントローラ40の機能を実行させる。換言すれば、実施形態のコントローラ40は、コンピュータプロセッサ120と、コンピュータ読み取り可能な指示を記憶するメモリ140とを備えていてもよく、この指示は、コンピュータのプロセッサ120により実行されると、コンピュータのプロセッサ120にFD-OCTスキャナ20を制御させる。この制御は、撮像ターゲット30の走査を行うことにより、複素OCTデータ25を生成し、その複素値が、撮像ターゲット30のそれぞれの走査位置における撮像ターゲット30の光学的特性を示すサンプルを取得することにより、走査中の撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動を補正する。
【0042】
図4は、実施形態のコントローラ40が複素OCTスキャナ20を制御するプロセスを示す流れ図であり、このコントローラは、撮像ターゲット30の走査を行うことにより複素OCTデータ25を生成し、その複素値が撮像ターゲット30のそれぞれの走査位置における撮像ターゲット30の光学的特性を示すサンプルを取得し、走査中の撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動を補正する。
【0043】
図4のプロセスS10において、コントローラ40は、取得サンプルの位相情報を使用する相互相関計算を実行する。より具体的には、プロセスS10において、コントローラ40は、第1のサンプルのセットおよび第2のサンプルのセットにおける位相情報の間の相互相関を計算する。
【0044】
図4のプロセスS20において、コントローラは、相互相関計算に基づいて、FD-OCTスキャナ20を制御して、走査中の撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動を補正する。より具体的には、プロセスS20において、コントローラ40は、相互相関計算の結果を用いて、FD-OCTスキャナ20により実行されている走査を修正し、走査の修正後に、走査の残りを、(走査の修正が実行されない場合と比較して)走査の残りに対してFD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルに対する事前の相対的な移動の影響、または低減された影響がない状態で実行されるようにする。
【0045】
図5は、コントローラ40が、図4のプロセスS10において相互相関計算を実行してもよいプロセスを示すフロー図である。
【0046】
図5のプロセスS12において、コントローラ40は、FD-OCTスキャナ20により取得された第1のサンプルのセットを取得する。第1のセットのサンプルは、撮像ターゲット30の第1の走査ラインに沿って撮像ターゲット30を走査するFD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルを含む。第1のサンプルのセットのサンプルは、本実施形態のように、第1のA-スキャンと、第1のA-スキャンの各A-スキャンが取得された撮像ターゲット30の走査位置のそれぞれの指示とを含み得る。
【0047】
図5のプロセスS14において、コントローラ40は、第2のサンプルのセットを取得する。第2のセットのサンプルは、FD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルを含み、撮像ターゲット30の第2の走査ラインに沿って撮像ターゲット30を走査し、第2の走査ラインは少なくとも部分的に第1の走査ラインと重なる。第2のサンプルのセットのサンプルは、本実施形態のように、第2のA-スキャンと、第2のA-スキャンの各A-スキャンが取得された撮像ターゲット30の走査位置のそれぞれの表示とを含み得る。
【0048】
上述のように、FD-OCTスキャナ20は、幾つかの異なる方法の1つで撮像ターゲット30を走査することにより、このような第1及び第2のセットのサンプルを取得することができる。FD-OCTスキャナ20は、本実施形態のように、複素OCTデータ25を生成し、その走査として、撮像ターゲット30の重なる走査ラインに沿って撮像ターゲット30で光ビームLbのライン走査を繰り返し、その結果、取得されたサンプルが撮像ターゲット30の共通断面のそれぞれの画像を表す繰り返しB-スキャンを画定する。このようにFD-OCTスキャナ20は、第1のサンプルのセットとして繰り返しB-スキャンの第1のB-スキャンを取得し、第2のサンプルのセットとして、繰り返しB-スキャンの第2のB-スキャンを取得することができる。
【0049】
図6(a)は、第1のB-スキャン(B-スキャン1)610の例と、第2のB-スキャン(B-スキャン2)620の例を示しており、これは、第1のB-スキャン610の後に、FD-OCTスキャナ20により取得された(撮像ターゲット30としての)眼の網膜の撮像部の繰り返しB-スキャンのシーケンスにおける次のB-スキャンである。第2のB-スキャン620は、第1のB-スキャン610の0.02s後に取得されたが、B-スキャンの間の間隔は、それほど限定されない。第1のB-スキャン610および第2のB-スキャン620はそれぞれ、x軸方向に沿って配列された200回のA-スキャンを含み、図6(a)に示すように、各A-スキャンのデータ要素がz軸方向に沿って配列される。図6(a)における第1のB-スキャン610及び第2のB-スキャン620のそれぞれにわたって延在する帯域は、比較的反射性の高い網膜層に対応している。このような網膜層は、例えば、外部制限膜、楕円ゾーン(IS/OS接合部)、交差指ゾーンおよび網膜顔料エピタリウムを含んでもよい。
【0050】
図6(b)は、第1のB-スキャン610の位相成分630の大きさ、及び第2のB-スキャン620の位相成分640の大きさが、x軸及びz軸方向に沿ってどのように変化するかのプロットを示す。位相成分630および640は、x軸およびz軸方向に沿ってランダムに分布しているように見え、図6(b)ではパターンが明らかではない。
【0051】
しかしながら、第2のB-スキャン620の位相成分値が第1のB-スキャン610の位相成分値から差引かれると、図6Cに示される得られる位相成分差のプロット650は、2つのB-スキャンにおける位相情報が強く相関しており、大部分一定の差分値の垂直バンドが図6Cのプロット650で明白であることを明らかにしている。z軸方向に沿ったゆらぎは、B-スキャンの取得中の撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動による。プロット650の上部領域660およびプロット650の下部領域670にバンドが存在しないことは、第1のB-スキャン610および第2のB-スキャン620の対応する領域に網膜構造(およびその結果として生じる低信号レベル)が存在しないことから生じる。
【0052】
本発明者らは、繰り返しB-スキャン610及び620における位相情報間の強い相関関係を用いて、高速で計算効率の良い方法でB-スキャンを確実に登録することができることを認識した。これにより、結像ターゲット30及びFD-OCTスキャナ20の互いに対する移動により引き起こされる(x軸及び/又はz軸方向に沿った)オフセットをリアルタイムで補正することが可能となり、したがって、この目的のために走査レーザ検眼器又は眼底カメラのような第2の結像モダリティを採用する必要なく、FD-OCTスキャナ20により実行される走査中に効果的な移動補正を行うことが可能となる。本明細書に記載する技術により、OCT容積は、点拡張関数で幅レベルで正確に登録することができる。
【0053】
再び図5を参照すると、プロセスS16で、コントローラ40は、第1のB-スキャン610の少なくともいくつかのサンプル(本実施形態では、B-スキャンが前述の第1のセットのサンプルを構成する)と、第2のB-スキャン620の少なくともいくつかのサンプル(本実施形態では、B-スキャンが前述の第2のセットのサンプルを構成する)を含む第4のセットのサンプルとの間の二次元の相互相関を計算するために複素相互相関計算を行う。
【0054】
より具体的には、コントローラ40は、本実施形態のように、(第3のサンプルのセットとして)第1のB-スキャン610のA-スキャンの所定数N第3のサンプルのセットと、(第4のサンプルのセットとして)第2のB-スキャン620のA-スキャンのセット第4のサンプルのセットとの間の二次元の相互相関を計算し得、ここで、第2のB-スキャン620のA-スキャンのセットは、第1のB-スキャン610における1つ以上のA-スキャンへの第2のB-スキャン620に対応して位置付けられるA-スキャンを含み、Nは、1以上の整数である。相互相関計算は、第3のサンプルのセットにおける位相情報および第4のサンプルのセットにおける位相情報に基づいている。第3のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプル、及び第4のサンプルのセットのうちの少なくともいくつかのサンプルが、第1の走査ラインと第2の走査ラインとが重複する、撮像ターゲット30の共通領域から取得されている。
【0055】
第3のサンプルのセット(ここではfで示す)および第4のサンプルのセット(ここではgで示す)について、fとgの間の複素相互相関は次のように表すことができる: ifftn(fftn(g)*conj(fftn(ff)))。ここで、「fftn」は高速フーリエ変換(FFT)、「ifftn」は逆FFT、および「conj()」は共役を示す。
【0056】
複素相互相関は、複素OCTデータのセットが登録されたとき、位相パターンを識別し、高度に相関した位相による登録を行うために使用することができる。
【0057】
図5のプロセスS16で、第1のB-スキャン610全体の複素OCTデータと第2のB-スキャン620全体の複素OCTデータとの複素相互相関がコントローラ40により計算され得る。この場合、図7(a)に示すように、相互相関グラフにピークが観察される。また、計算された二次元の相互相関のプロットにもピークがあり、これは図7(b)でははっきりと見えないが、図7(b)に示されている。
【0058】
しかしながら、本発明者らは、図6(c)のバンドの出現を引き起こす、走査中のFD-OCTスキャナ20に対する撮像ターゲット30の相対的な移動により引き起こされる位相のゆらぎが、比較的大きな第1のB-スキャン610を用いてこれを実行する場合に、相互相関計算の結果を劣化させ得ることを見出した。本発明者らは、そのような場合、相互相関計算において第1のB-スキャン610のA-スキャンの一部のみを使用すること、特に、第1のB-スキャン610の隣接する所定の数NのA-スキャン(第3のサンプルのセットとして)を使用することが有利であることを見出した。ここで、Nは、第1のB-スキャン610のNのA-スキャン間の位相情報の変動が所定の変動度よりも小さくなるように選択される。
【0059】
Nの値は、いくつかの異なる方法の1つで決定することができる。1つの例として、Nは、第1のB-スキャン610のi番目のA-スキャンと第1のB-スキャン610の(i+1)番目のA-スキャンとの間の相関の度合いを計算し、計算された相関の度合いを閾値と比較し、i番目のA-スキャンと(i+2)番目のA-スキャンとの間の相関の度合いを計算し、計算された相関の度合いを閾値と比較し、閾値が超過した場合に、第1のB-スキャン610を画定するA-スキャンのシーケンスのi番目のA-スキャンと次のA-スキャンとの間の相関の度合いを計算し、このプロセスが繰り返される(i番目のA-スキャンとi番目のA-スキャンからさらに離れているA-スキャンとの間の相関を計算するために)i番目のA-スキャンとの間の相関の計算がi番目のA-スキャンとの間の相関の計算が繰り返されるまで、決定することができる。そして、(i+N)番目のA-スキャンは、閾値を超えない相関値をもたらす。Nの値は、代替的に、図6Cにおける差のプロット650の検査から得られてもよく、ここで、Nは、プロット650において明白である垂直バンドのバンド(例えば、平均または最小幅のバンド)におけるA-スキャンの数を数えることにより決定されてもよい。高い位相安定性を有するA-スキャンブロック800を画定する一セットの隣接するA-スキャンの例を図8に示す。
【0060】
図9(a)は、図9(c)に示される相互相関グラフと図9(d)に示される二次元の相互相関値プロットとをもたらすために、図9(b)に示される第2のB-スキャンの全体(上述の第4のサンプルのセットとして)と相互相関がある「OCTストリップ」(上述の第3のサンプルのセットとして)を形成する、第1のB-スキャン610の10個の隣接するA-スキャンのセットの例を示す。この例では、相互相関はifftn(fftn(second B-scan)*conj(fftn(OCTストリップ))として計算される。ここで、「fftn」は高速フーリエ変換(FFT)、「ifftn」は逆FFT、「conj()」は共役を示す。図9Dのプロットの拡大部分が示すように、計算された二次元の相互相関には明瞭なピークが存在する。
【0061】
比較のため、図10(a)は、図9(a)と同様に第1のB-スキャン610の隣接する10個のA-スキャンの同じセットを示し、これらのセットは、図10(b)に示す第2のB-スキャンの全体(これは、図9(b)と同じである)と相互相関されており、図10(c)に示す相互相関グラフおよび図10(d)に示す二次元の相互相関値プロットが得られる。しかしながら、この場合の相互相関計算は、図10(a)及び図10(b)のA-スキャンにおける位相情報を伴わず、その中の複素OCTデータの振幅のみに基づく。より具体的には、振幅ベースの相互相関は、ifftn(fftn(abs(second B-scan))*conj(fftn(abs(OCTストリップ)))として計算され、ここで、「abs()」は、それが動作する数の絶対値を返す関数である。その結果、図のいずれのプロットにも単一のピークは存在しない。10(c)と10(d)、B-スキャンは確実に登録できない。
【0062】
第1のB-スキャン610の一部を形成するOCTストリップは、10回のA-スキャンで構成される必要はなく、代替的に、より少数の隣接するA-スキャンで構成されてもよく、それを横切って、複素OCTデータの位相情報が比較的ほとんど変化しないことに留意されたい。一例を挙げて説明すると、第1のB-スキャン610のOCTストリップは、図11(a)の例のように、4つの隣接するA-スキャンを有することができる。このより小さいA-スキャンのセット(上記の3番目のサンプルのセットとして)は、図11(b)に示される2番目のB-スキャンの全体(上記の4番目のサンプルのセットとして)と相互相関があり、図11(c)に示される相互相関グラフおよび図11(d)に示される二次元の相互相関値プロットが得られる。図9(a)~図9(d)の例と同様に、相互相関はifftn(fftn(second B-scan)*conj(fftn(OCTストリップ))として計算されている。図11(d)のプロットの拡大部分が示すように、N=4の場合、OCTストリップが4回のみのA-スキャンを含むにもかかわらず、計算された二次元の相互相関において、やはり単一のピークが存在する。
【0063】
さらに、図12(c)及び12(d)に示すように、計算された相互相関における孤立したピークは、OCTストリップ中のA-スキャンの数Nが2に減少した場合でさえも観察することができる。図12(a)に示すように、第1のB-スキャン610の2つの隣接するA-スキャンと、図12(b)に示すように、第2のB-スキャンの全体とを相互相関させることにより得られる相互相関グラフおよび二次元の相互相関値プロットをそれぞれ示す。図9(a)~図9(d)、及び図11(a)~図11(d)の例と同様に、図12(a)~図12(d)の例では、相互相関はifftn(fftn(second B-scan)*conj(fftn(OCTストリップ))として計算されている。
【0064】
実際、単一のA-スキャン(OCTストリップとして)であっても、図13(c)及び(d)に示すように、計算された相互相関において観測可能なピークをもたらすことができる。図13(a)に示すように、第1のB-スキャン610の単一のA-スキャンと、図13(b)に示すように、第2のB-スキャンの全体とを相互相関させることにより得られる相互相関グラフ及び二次元の相互相関値プロットをそれぞれ示す。この例でも、相互相関はifftn(fftn(second B-scan)*conj(fftn(OCTストリップ)))として計算されている。
【0065】
図14は、図4のプロセスS20において、コントローラ40がFD-OCTスキャナ20を制御して、撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動を補正することができるプロセスを示すフローダイアグラムである。
【0066】
図14のプロセスS22において、コントローラ40は、計算された相互相関を用いて、第1のサンプルのセットと第2のサンプルのセットとを互いに登録し、第1のサンプルのセットの走査位置と第2のサンプルのセットの走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標の値を決定する。
【0067】
図14のプロセスS22において、コントローラ40は、オフセット指標の値として、x-z平面の第1のB-スキャン601と第2のB-スキャン602との間のオフセットを示すオフセット値を決定するために、計算された相互相関を使用することにより、(上記の第1のサンプルのセットとして)第1のB-スキャン601と(上記の第2のサンプルのセットとして)第2のB-スキャン602とを互いに登録することが可能である。コントローラ40は、この登録処理を、計算された二次元の相互相関におけるピークの位置を特定することにより実行することができ、それによりx-z平面における座標を得て、そこからオフセット指標の値を導出することができる。
【0068】
コントローラ40が、第1のB-スキャン610のA-スキャンのサブセットのみを第3のセットのサンプルとして取り込み、相互相関計算に使用する場合、上述のように、コントローラ40は、図14のプロセスS22における複数の相互相関計算を実行して、第1のB-スキャン610の複数の異なるセットのN個の隣接するA-スキャンの各セット(すなわち、第1のB-スキャン610が分割される複数のA-スキャン「チャンク」の各々)と、第2のB-スキャン620のそれぞれのA-スキャンとの間のそれぞれの二次元の相互相関を計算することができ、ここで、第2のB-スキャン620のそれぞれのA-スキャンは、第2のB-スキャン620に対応して位置するA-スキャンを、セットのN個のA-スキャンに対して含む(したがって、セットのN個のA-スキャンと相互相関させることができる)。複数の「OCTチャンク」の各チャンクn(各チャンクは、第1のB-スキャン610のN個の隣接するA-スキャンの集合により定義され、その中で、複素OCTデータの位相情報が所定量以上変化しない)は、それぞれの相互相関である、

を得るために、第2のB-スキャン620(の少なくとも重複部分)と独立して相互相関されてもよい。コントローラ40は、第2のB-スキャン620に関して第1のB-スキャン610を登録するために、以下の数式1のように、独立して計算された相互相関である、

の大きさの合計を計算することにより、組み合わせ相互相関である、

を計算してもよい。
【0069】
【数1】
【0070】
より小さいOCTチャンクは、移動により比較的影響を受けない傾向があるが、小さなOCTチャンク(それぞれが単一のA-スキャンほど小さくてもよい)を使用する利点は、それらの処理が引き起こす、増大したコントローラ40の処理負担に対して重み付けされる必要がある。コントローラ40は、次に、全体的なオフセット値(又は「合成オフセット値」)として、第1のB-スキャン610と第2のB-スキャン620との間のオフセットを示す値を、

に基づいて決定してもよい。
【0071】
図14のプロセスS24において、コントローラは、S22で決定されたオフセット指標の値を使用して、FD-OCTスキャナ20を制御し、走査中に、第1のB-スキャン601(本実施形態における第1のセットのサンプルの例として)の取得と、第2のB-スキャン(本実施形態における第2のセットのサンプルの例として)の取得との間に発生した撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動をFD-OCTスキャナ20により補正する。
【0072】
コントローラ40が、図14のプロセスS22において複数の相互相関計算を行って、第1のB-スキャン610(「OCTチャンク」)の複数の隣接するNスキャンの各セットと第2のB-スキャン620のそれぞれのA-スキャンとの間のそれぞれの二次元の相互相関を計算する場合、上述のように、コントローラ40は、図14のプロセスS24においてFD-OCTスキャナ20を制御して、第1のB-スキャン610と第2のB-スキャン620との間のオフセットを示す、上述の決定された全体的な(または組み合わされた)オフセット値を用いることにより、撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との間の相対移動を補正することができる。
【0073】
プロセスS24において、コントローラ40は、オフセット指標の決定値(または、上述したオフセット指標の決定値の組み合わせであってもよいが、その場合のように)を用いて、FD-OCTスキャナ20により実行されている走査を修正し、走査の修正後に、走査の残り(取得または1回以上の繰り返しB-スキャンを含む)を、走査の残り(走査の修正が実行されない場合と比較して)に対して、FD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルに対する事前の相対移動の影響、または低減された影響がない状態で実行されるようにする。
【0074】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施例では、FD-OCTスキャナ20は、走査として、撮像ターゲット30の重なる走査ラインに沿って撮像ターゲット30で光ビームLbのライン走査を繰り返し、取得されたサンプルが撮像ターゲット30の共通の断面のそれぞれの画像を表す繰り返しB-スキャンを画定するようにすることにより、複素OCTデータ25を生成するように配置される。しかしながら、上述のように、FD-OCTスキャナ20は、代わりに、他の方法で、移動補正がベースとなる複素OCTデータ25を生成することができる。
【0075】
FD-OCTスキャナ20は、本実施形態のように、撮像ターゲット30に三次元的に分布するそれぞれの走査位置において、撮像ターゲット30の光学的特性を示す複素値を有するサンプルを取得するために、走査として、撮像ターゲット30の領域OCT走査を実行することにより複素OCTデータ25を生成するように配置されてもよい。FD-OCTスキャナ20は、このような領域OCT走査を種々の異なる方法で実行することができる。
【0076】
一例を挙げて説明すると、上述した第1の走査ラインは、撮像ターゲット30の複数の平行な走査ラインのうちの1つであってもよく、その平行な走査ラインに沿って、本実施形態のFD-OCTスキャナ20は、光ビームLbを走査し、したがって、複素OCTデータ25としてOCT-C-スキャンを取得するように配置される。これらの平行な走査ラインは、図15(a)に示されているように、集合的に基準走査を形成するラスタ走査の基準グリッドを画定する。基準グリッドは、ラスタ走査が迅速に実行されるのに十分に疎であるが(基準走査が典型的なサッケード率で実質的に移動がないように)、それほど疎でないので、基準走査が不適切な密度を有して、以下に記載される登録プロセスが確実に実行されることを可能にする。基準走査のサイズ(横方向の広がり)は、好ましくは、眼底の撮像された関心領域に加えて、眼底の走査位置が撮像された領域から遠ざかってもFD-OCTスキャナ20により追跡することができるように最大移動をカバーする。
【0077】
図15(b)に示すように、上述の第2の走査ラインは、撮像ターゲット30の表面の点で第1の走査ラインと交差し、(図15(b)の例のように)それぞれの1つ又は複数の交差点で平行な走査ラインのうちの1つ又は複数の追加の走査ラインと交差することができる。図15(b)では、上述の第1の走査ラインで識別される走査ラインは「L1」とラベル付けされ、上述の第2の走査ラインで識別される走査ラインは「L2」とラベル付けされる。走査ラインL1およびL2に続いて光ビームLbが行われ、走査ラインL1およびL2が互いに交差する撮像ターゲット30の共通領域を含む撮像ターゲット30の異なる走査位置からサンプルを取得する。走査ラインL2は、一セットの並列な走査ラインのうちの1つであってもよく、それに沿って、FD-OCTスキャナ20は、撮像ターゲット30のOCT-C-スキャンを取得するために、光ビームLbを走査するように配置されることに留意されたい。
【0078】
第1の走査ラインL1及び第1の走査ラインL1に平行な走査ラインを含む基準走査は、FD-OCTスキャナ20が、第2の走査ラインL2に沿った走査から取得された複素OCTデータを取得し、さらに第2の走査ラインL2に平行な走査ラインを含むOCT-C-スキャンを取得するための測定走査を実行する前に、FD-OCTスキャナ20により完了されてもよいが、測定走査中の眼の移動は、基準走査の複素OCTデータを使用する本明細書で説明される技術によりコントローラ40により補正されるが、FD-OCTスキャナ20により採用される走査方式は、それほど限定されないことに留意されたい。例えば、FD-OCTスキャナ20は、代替的に、基準走査と測定走査とを同時に取得し、構成の水平走査と垂直走査との間で交互に行い、また、各水平走査で取得されたOCTデータを、例えば次の水平走査の走査位置を補正するためのオフセットを取得するために、先行する垂直走査で取得されたOCTデータと登録するために、本明細書で説明する技術を用いることができる。水平および垂直走査が交互に行われるシーケンスの例を図16に示す。図16の例では、最初に、「シーケンス1」とラベル付けされた垂直(Y)走査のセットが実行され、続いて水平(X)走査のセットが実行され、次に、「シーケンス2」とラベル付けされた水平(X)走査のセットが続き、次に、「シーケンス3」とラベル付けされ、「シーケンス1」の垂直走査に対してx軸に沿って変位された垂直(Y)走査の別のセットが続く。注意すべきことであるが、FD-OCTスキャナ20は、例えば、FD-OCTスキャナ20がOCT血管造影(OCTA)のためのOCTデータを取得するために使用されているところでは、図16に示された水平及び/又は垂直走査ラインのそれぞれに沿って1回以上走査してもよい。
【0079】
また、第1の実施形態の説明において参照される第1の走査ラインは、直線である必要はなく、図15(a)、図15(b)および図16を参照して上述された走査に代わるものとして、撮像ターゲットの表面の2つの軸方向に沿って延在し、「疎」基準走査を画定するように湾曲されてもよいことに留意されたい。第1の走査ラインにより定義される疎基準走査は、例えば、(図17(a)に示されるように)螺旋、(図17(b)に示されるように)リサージュ形状、(図17(c)に示されるように)エピトロコイドまたは低ロコイド、(図17(d)に示されるように)円、(図17(e)に示されるように)三角形状、(図17(f)に示されるように)正方形状、(図17(g)に示されるように)ひし形形状、(図17(h)に示されるように)正方形螺旋形状、または撮像ターゲット30の楕円を画定することができる。基準走査は図に示されている。図17(a)~ 17(h)に示される基準走査は、一例としてのみ与えられ、第1の走査ラインは、撮像ターゲット30の表面に延在する多くの他の形状を画定し得る。第1の走査ラインが何れの形成をとっても、第2の走査ラインは、少なくとも1つの点を横切るように配置され、これにより、撮像ターゲット30の少なくとも1つの共通領域(2つの走査ラインが交差する箇所)からの複素OCTデータが、走査ラインに沿った走査から取得される。
【0080】
また、注目すべきは、第1の走査ラインと第2の走査ラインとは、異なる線分である必要はなく、代替的には、撮像ターゲット30の2つの軸方向に沿って延在し、それ自体と交差する、単一で連続的な走査ライン(線分)の異なるそれぞれの部分であってもよい。この場合、単一の走査ラインは、例えば、撮像ターゲット30にリサージュ図形、エピトロコイド又はハイポトロコイドを画定することができる。単一の走査ラインは、より一般的には、走査により以前はカバーされなかった走査位置をカバーするために眼底の測定領域に延在するときに自己交差する任意のタイプの走査ラインであってもよい(走査位置は最終的に十分に密集してカバーされ、必要なOCT走査を提供する)。この走査方式は、測定領域を超えて移動補正能力を増大させるために、前述したように、以前に取得された疎基準走査の使用と組み合わせることができる。
【0081】
本実施形態では、コントローラ40は、領域OCT走査の少なくとも一部として、第1のサンプルのセットとして、第1の走査ラインに沿って撮像ターゲット30を走査するFD-OCTスキャナ20により取得されたサンプルを含むサンプルのセットを、上述した相互相関計算のために取得するように構成される。
【0082】
第1の走査ラインが、上述した撮像ターゲット30の複数の平行な走査ラインのうちの1つである場合、コントローラ40は、第1のサンプルのセットとして、OCT-C-スキャン全体の複素OCTデータを取得するように構成されてもよい。第1の走査ラインが、上記で設定された代替の形態の1つをとる場合、コントローラ40は、第1のサンプルのセットとして、それぞれの形態の第1の走査ラインの複素OCTデータを取得してもよい。
【0083】
次に、コントローラ40は、隠れた強度相互相関に基づいて、取得されたサンプルのセットの間の複素相互相関を計算してもよい。
【0084】
正規化なしの隠れた相互相関は、次の数式2のように表現される。
【0085】
【数2】
【0086】
隠れた相互相関は、信号RMSを使用して正規化され、次の数式3で表され得る。
【0087】
【数3】
【0088】
上記の式では、信号が平均またはゼロを持つ傾向があるため、平均を正規化する必要はない。MC(u、v、w)とMCN (u、v、w)のための上記式において、
M1(x、y、z)は、関数f1(x、y、z) が定義されている領域には1で、それ以外は0であり、
M2(x、y、z)は、関数f1(x、y、z) が定義されている領域には1で、それ以外は0である。
【0089】
上述の隠れた相互相関の代わりに、領域は、例えば、機能f1 またはf2がコヒーレンスを保持する(複素OCT データの位相は移動の影響を受けない)ような、より小さなサブ領域に分割することができる。そうでなければ、ランダムな移動位相により影響を受ける複素相互相関が、破壊的干渉のために、最終結果においてゼロに平均化されるであろう。
【0090】
サブ領域は、f1 とf2の機能のいずれか、またはその両方に対して、最も一般的な方法で定義できる。部分領域に対する各副相関は、前の式と同様に計算することができ、その後、絶対値で合計することができ、
M1、i(x、y、z)は、複素関数f1(x、y、z)の部分領域iに対して1で、それ以外は0であり、
M2、j(x、y、z)は、複素関数f2(x、y、z)の部分領域jに対して1で、それ以外は0である。
【0091】
正規化なしの隠れた相互相関は、次の数式4のように表現される。
【0092】
【数4】
【0093】
隠れた相互相関は、信号RMSを使用して正規化され、次の数式5で表され得る。
【0094】
【数5】
【0095】
コヒーレント領域は複素関数f1(x、y、z)の位相が移動の問題に大きな影響を受けない領域として定義される。この条件は、単に形状の歪みよりもはるかに制限的であるが、移動はOCTレーザの中心波長よりもかなり小さくすべきであることを意味している。
【0096】
相互相関MC(u、v、w)又はMCN(u、v、w)の最大値は、コントローラ40により見つけることができ、関数f1により定義される基準走査における関数f2により定義される走査ラインの最も可能性の高い位置を示す。このようにして決定された走査位置は、一セットの順次実行されるライン走査の各ライン走査から取得される複素OCTデータと基準走査との間の計算された複素相互相関に基づいて、コントローラ40により、順次実行されるライン走査の空間分布に関する情報と共に、リアルタイムでFD-OCTスキャナ20の1つ以上のガルバノメータ(「ガルバノ」)又は他の走査要素(複数可)を移動させるために使用されて、ライン走査の実行中に撮像ターゲット30及びFD-OCTスキャナ20の相対移動を補正することができる。特に、コントローラ40は、予測される走査位置と決定される走査位置との間のオフセットを計算するために、前述の情報と決定される走査位置とを用いることができ、また、計算されたオフセットに基づいてFD-OCTスキャナ20を制御して、走査中に撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との相対移動を補正することができる。複素相互相関演算の結果は、複素OCTデータ25を取得するために使用されるOCT光ビームLbの方向に垂直な平面における撮像ターゲット30とFD-OCTスキャナ20との相対的な移動だけでなく、OCT光ビームLbが走査中にそれに沿って進む軸に沿った移動に対しても補正するために、本実施形態のコントローラ40により使用されてもよいことに留意されたい。
【0097】
前述の説明において、例示的な態様は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。したがって、明細書は限定的ではなく例示的であるとみなされるべきである。同様に、例示的な実施形態の機能性および利点を強調する図面において図示される図は、例示的な目的のためにのみ提示される。例示的な実施形態の構築は、それが付属の図に示される方法以外の方法で利用され得るように、十分に柔軟性があり、構成可能である。
【0098】
本明細書に提示される実施形態のいくつかの態様、例えば、撮像ターゲット30の複素体積測定OCTデータを生成するための検出信号Sdの処理、および補正アルゴリズム132などは、コンピュータプログラム、または1つの実施形態では、それぞれが非移行性であり得る機械アクセス可能な媒体もしくは機械読み取り可能な媒体、指示ストアもしくはコンピュータ読み取り可能な記憶装置などの製造物品に含まれるかまたは記憶された指示列を有する1つ以上のプログラムなどのソフトウェアとして提供されてもよく、これらは非移行性であってもよい。一時的でない機械アクセス可能な媒体、機械読み取り可能な媒体、指示格納、またはコンピュータ読み取り可能な記憶装置のプログラムまたは指示は、コンピュータシステムまたは他の電子装置をプログラムするために使用することができる。機械可読媒体、指示格納、および格納装置は、フロッピーディスケット、光ディスク、および光磁気ディスク、または電子指示を格納または送信するのに適した他のタイプの媒体/機械可読媒体/指示格納/格納装置を含むことができるが、これらに限定されない。本明細書に記載する技術は、任意の特定のソフトウェア構成に限定されない。彼らは、あらゆる計算処理環境において適用可能性を見出す可能性がある。本明細書に用いる用語「コンピュータ読み取り可能である」、「機械アクセス可能な媒体」、「機械読み取り可能な媒体」、「指示ストア」、及び「コンピュータ読み取り可能な記憶装置」は、機械、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサにより実行するための指示又は指示のシーケンスを記憶、符号化、又は送信することができ、機械/コンピュータ/コンピュータプロセッサに本明細書に記載する方法のいずれか1つを実行させる任意の媒体を含むものとする。さらに、1つの形態または別の形態(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、論理など)において、動作をとるまたは結果を起こすように、ソフトウェアで話すことが当技術分野では一般的である。このような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行により、プロセッサが結果を生成するための動作を実行させることを記載する簡単な方法に過ぎない。
【0099】
OCTデータ処理ハードウェア26の機能の一部または全部は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイの準備により、または従来の構成要素回路の適切なネットワークを相互接続することによっても実施することができる。
【0100】
コンピュータプログラム製品は、記憶媒体または媒体、指示、または記憶装置の形成で提供され、その上またはその中に記憶された指示を有し、それを制御するために使用することができ、またはコンピュータまたはコンピュータプロセッサに、本明細書に記載する例示的な実施形成の手順のいずれかを実行させることができる。記憶媒体/記憶装置は、限定としてではなく例として、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、遠隔データ記憶/アーカイブ/ウェアハウジング、および/または指示および/またはデータを記憶するのに適した任意の他のタイプの装置を含むことができる。
【0101】
コンピュータ可読媒体または媒体、指示格納装置、または記憶装置のいずれかに格納されている一部の実施形態は、システムのハードウェアの両方を制御し、システムまたはマイクロプロセッサが、本明細書に記載する実施形態の例の結果を利用して、人間のユーザまたは他のメカニズムと対話することを可能にするためのソフトウェアを含む。かかるソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、およびユーザアプリケーションを含むことができるが、これらに限定されない。最終的には、このようなコンピュータ読み取り可能な媒体又は記憶装置は、上述したように、本発明の例示の態様を実行するためのソフトウェアをさらに含む。
【0102】
本システムのプログラミングおよび/またはソフトウェアに含まれるのは、本明細書に記載される手順を実施するためのソフトウェアモジュールである。本明細書のいくつかの実施形態において、モジュールはソフトウェアを含むが、本明細書の他の実施形態において、モジュールはハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。
【0103】
本発明の様々な例示的な実施形態を上述したが、それらは限定ではなく例として提示されたものであることを理解すべきである。その中で種々の形態および詳細の変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求の範囲およびそれらの同等物にしたがってのみ定義されるべきである。
【0104】
さらに、要約書の目的は、特許庁及び一般公衆、特に、特許又は法律の用語又は用語に精通していない当該技術分野の科学者、技術者及び実践者が、カーソルインスペクションから出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に決定できるようにすることである。要約書は、ここで提示される例示的な実施形態の範囲について、いかなる方法でも限定することを意図しない。また、クレームに記載された手順は提示された順番で実行される必要はないことを理解されたい。
【0105】
本明細書は、多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、任意の発明の範囲またはクレームされ得るものの限定と解釈すべきではなく、むしろ、本明細書に記載する特定の実施形態に特有の特徴の説明と解釈すべきである。個別の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、そのようなものとして最初にクレームされたものでさえも説明され得るが、いくつかの場合には、クレームされた組み合わせから1つ以上の特徴は、組み合わせから除外されることができ、クレームされた組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形に向けることができる。
【0106】
特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実施形態における種々の構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一体化され得るか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0107】
次に、いくつかの例示的な実施形態および実施形態を説明したが、前述の実施形態は例示的であり、限定的ではないことは明らかである。特に、ここに提示される例の多くは、装置またはソフトウェア要素の特定の組み合わせを伴うが、それらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされてもよい。一実施形態に関連してのみ論じられた作用、要素及び特徴は、他の実施形態又は実施形態における同様の役割から除外することを意図していない。
図1
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