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特開2024-86606航空機の航法システムおよび航空機をナビゲートする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086606
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】航空機の航法システムおよび航空機をナビゲートする方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/20 20060101AFI20240620BHJP
   G01C 11/06 20060101ALI20240620BHJP
   G01C 21/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01C21/20
G01C11/06
G01C21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200376
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】22275163
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508296554
【氏名又は名称】アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Atlantic Inertial Systems Limited
【住所又は居所原語表記】Clittaford Road,Southway,Plymouth,Devon PL6 6DE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー トーマス ヘンダーソン
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129BB14
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129BB38
2F129BB39
2F129BB40
2F129BB48
2F129CC15
2F129CC32
2F129EE78
2F129GG17
(57)【要約】
【課題】 航空機用航法システムを提供する。
【解決手段】 航空機用航法システムは、微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)と、航空機より下の地形の一連の画像を経時的にキャプチャするカメラと、地形標高データを含む地形マップと、慣性航法システム(INS)と、光学式地形参照航法ユニット(O-TRN)とを含む。INSは、MEMS-IMUにより出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を生成する。O-TRNは、カメラでキャプチャされた画像内の地形特徴を識別し、その地形特徴の地形高さ推定値を導出し、地形高さ推定値と、地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を生成する。航法システムは、第一位置推定値及び第二位置推定値に基づいて第三位置推定値を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の航法システムであって、
微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)と、
前記航空機より下の地形の一連の画像を経時的にキャプチャするように配置されたカメラと、
地形標高データを含む地形マップと、
前記MEMS-IMUによって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を生成するように構成された慣性航法システム(INS)と、
光学式地形参照航法ユニット(O-TRN)と、
を含み、
前記O-TRNは、
前記カメラによってキャプチャされた画像内の地形特徴を識別し、
前記地形特徴の地形高さ推定値を導出し、
前記地形高さ推定値と、前記地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を生成する、
ように構成され、
前記航法システムは、前記第一位置推定値及び前記第二位置推定値に基づいて第三位置推定値を生成するように構成される、航法システム。
【請求項2】
前記航法システムは、各反復中にシステム状態アレイを決定するように構成された反復アルゴリズムユニット(IAU)を含み、前記システム状態アレイは複数の状態変数を含み、
前記IAUは、各反復では、
前記現在のシステム状態アレイ、前記第一位置推定値及び前記第二位置推定値に基づいて、その次の反復のために前記システム状態アレイを更新し、
前記更新されたシステム状態アレイに基づいて、前記第三位置推定値を生成する、
ように構成される、請求項1に記載の航法システム。
【請求項3】
各状態変数は、対応するシステム特性に関連する誤りの推定値を含み、
前記IAUは、各反復では、前記更新されたシステム状態アレイに基づいて前記第一位置推定値に誤り訂正を適用することによって前記第三位置推定値を生成するように構成される、請求項2に記載の航法システム。
【請求項4】
前記MEMS-IMUは、1つ以上の加速度計及び/またはジャイロスコープを含み、
前記システム状態アレイは、前記加速度計及び/または前記ジャイロスコープのアライメント誤り、スケールファクタ誤り、及び/またはバイアス誤りに対応する少なくとも1つの状態変数を含む、請求項2または3に記載の航法システム。
【請求項5】
前記INSは積分器を含み、
前記システム状態アレイは、前記積分器の演算パラメータに関連する少なくとも1つの状態変数を含む、請求項2から4のいずれかに記載の航法システム。
【請求項6】
前記航法システムは、前記システム状態アレイで前記積分器の前記演算パラメータに関連する前記現在の状態変数に基づいて、前記積分器を制御するように構成される、請求項5に記載の航法システム。
【請求項7】
前記システム状態アレイは、
最大3つの角度または傾き誤りと、
最大3つの速度誤りと、
最大3つの位置誤りと、
最大3つのジャイロスコープバイアス誤りと、
最大3つの加速度計バイアス誤りと、
最大4つ、またはそれ以上の積分器の演算パラメータまたは係数と、
最大3つの加速度計スケールファクタ誤りと、
最大3つのジャイロスコープスケールファクタ誤りと、
最大6つの加速度計アライメント誤りと、
最大6つのジャイロスコープアライメント誤りと、
最大9つのジャイロスコープ加速度またはg感度誤りと、
のうちの1つ以上に対応する状態変数を含む、先行請求項のいずれかに記載の航法システム。
【請求項8】
前記航法システムまたは前記IAUはカルマンフィルタを含む、先行請求項のいずれかに記載の航法システム。
【請求項9】
前記O-TRNは、
前記カメラによってキャプチャされた2つ以上の画像内の前記地形特徴を識別し、
前記2つ以上の画像に基づいて、前記地形特徴が前記航空機より下に通過する流量を計算し、
前記計算された流量に基づいて、前記地形高さ推定値を導出する、
ように構成される、先行請求項のいずれかに記載の航法システム。
【請求項10】
前記INSは、前記MEMS-IMUによって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一速度推定値及び第一高度推定値を出力するように構成され、
前記O-TRNは、前記第一速度推定値及び前記第一高度推定値に基づいて、前記地形高さ推定値をさらに導出するように構成される、請求項9に記載の航法システム。
【請求項11】
気圧高度計をさらに含み、前記O-TRNは、前記気圧高度計の出力から導出された第二高度推定値にさらに基づいて、前記地形高さ推定値を導出するように構成される、請求項9または10に記載の航法システム。
【請求項12】
前記O-TRNは、
前記カメラによってキャプチャされた複数の画像内の複数の地形特徴を識別し、
前記複数の地形特徴のそれぞれの各地形高さ推定値を導出し、
前記複数の地形高さ推定値と、前記地形マップから抽出された地形標高データとの間の相関に基づいて、前記第二位置推定値を出力する、
ように構成される、先行請求項のいずれかに記載の航法システム。
【請求項13】
前記システム状態アレイは、15個を超える状態変数、任意選択で少なくとも20個の状態変数、任意選択で少なくとも30個の状態変数、任意選択で少なくとも40個の状態変数、任意選択で少なくとも45個の状態変数を含む、先行請求項のいずれかに記載の航法システム。
【請求項14】
前記カメラは短波赤外線カメラを含む、先行請求項のいずれかに記載の航法システム。
【請求項15】
航空機をナビゲートする方法であって、
微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)によって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を導出することと、
カメラを用いて前記航空機より下の前記地形の一連の画像を経時的にキャプチャすることと、
前記カメラによってキャプチャされた画像内の地形特徴を識別することと、
前記地形特徴の地形高さ推定値を導出することと、
前記地形高さ推定値と、地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を導出することと、
前記第一位置推定値及び前記第二位置推定値に基づいて、第三位置推定値を導出することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航法システム、特に航空機で使用するための航法システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
慣性航法システム(INS)は、陸、海及び空の多くのビークルで使用されており、慣性計測センサ(例えば、ジャイロスコープ、加速度計など)を使用して、デッドレコニングの原理に基づいた航法ソリューションを提供する。ただし、INSから得られる位置推定値は、通常、加速度計及びジャイロスコープの出力における誤りの累積が原因で、経時的にドリフトする。これをある程度まで緩和するために、高品質の、例えば航法グレードのINSは、通常は物理的に大きく製造コストがかかる高精度で低ドリフトの慣性センサの使用を一般的に必要とする。
【0003】
INS位置推定値のドリフトをさらに打ち消す(または訂正する)ために、INS位置推定値は、多くの場合、GPS、Galileo、GLONASS等の全地球衛星測位システムのような他の位置推定源と組み合わせて使用される。しかしながら、衛星ベースの航法システムは、信号が詰まったり、詐称されたり、遮断されたりすることなどがあり、信頼性が高くないため、これらの衛星ベースの航法システムに過度に依存する航法システムには問題が生じる可能性がある。
【0004】
このことを考慮して、一部の航法システムは、特に航空機に限定しないが、INSドリフトを打ち消す(または訂正する)ために、INSと組み合わせて地形参照航法システム(TRN)を使用する。これらのようなシステムは、一般的には、航空機より下の地形標高を推定するためにレーダ高度計を使用する。次に、測定された地形標高推定値は、航法ソリューションを生成するために、航空機の移動経路に沿って、格納された地形標高データ(例えば、デジタル地形標高データベース(DTED))と相関される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、冒頭で述べた種類の航法システムを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様から見ると、本開示は、航空機のための航法システムを提供し、
この航法システムは、
微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)、
航空機より下の地形の一連の画像を経時的にキャプチャするように配置されたカメラ、
地形標高データを含む地形マップ、
MEMS-IMUによって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を生成するように構成された慣性航法システム(INS)、
光学式地形参照航法ユニット(O-TRN)、
を含み、
このO-TRNは、
カメラによってキャプチャされた画像内の地形特徴を識別し、
地形特徴の地形高さ推定値を導出し、
地形高さ推定値と、地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を生成する、
ように構成され、
航法システムは、第一位置推定値及び第二位置推定値に基づいて第三位置推定値を生成するように構成される。
【0007】
慣性MEMSセンサは、一般的に、リングレーザジャイロスコープ、光ファイバジャイロスコープ等のような、より精確な慣性センサよりも物理的に小さく、製造コストが格段に安価である。しかしながら、慣性MEMSセンサは大きい誤り(例えば、バイアス誤り、スケールファクタ誤りなど)を受けると、慣性MEMSセンサの出力から導出された位置推定値は経時的に大きくドリフトすることがあることにより、精確さが主要な懸念事項である航法システムでは、慣性MEMSセンサの有用性が低下する可能性がある。例えば、GNSS測位システムのような他の位置情報源を用いて、INSでの誤りの訂正を支援する、またはそれらの誤りを追跡し続けるために、様々な技術が用いられてきた。しかしながら、GNSS情報は、特定の状況では利用不能になるまたは信頼できなくなる可能性があるため、必要なときに他の手段でINSシステムを訂正できることが望ましい。誤りを補償するために、本開示は、MEMSベースのINSからの位置推定値に、O-TRNからの第二位置推定値を組み合わせることにより、システムは、航空機のより精確な第三位置推定値を提供することが可能になる。従って、本開示は、物理的に小さく製造するのが安価であり、なおかつ許容可能な精確さの航法ソリューションを提供する航法システムを提供し得る。これにより、航法システムは、制限された空間が存在する用途、または重量の追加が望ましくない用途、例えばドローン及びヘリコプタのような軽量航空機では、特に適したものになり得るが、航法システムが他のタイプの航空機、例えば、より大型の旅客機及び/または貨物機などにも同様に適していることが理解されよう。
【0008】
さらに、本開示は、一般的な地形参照航法(TRN)ソリューションでのように、航空機より下の地形を監視するためにレーダ高度計(RADALT)を使用する必要なく、TRN技術を利用し得る航法システムを提供する。RADALTは、意図的に、航空機から電磁放射線を放射し、次いで航空機で標的からの反射を受信することを必要とするため、問題が多くなる。第一に、検出すべき反射に十分な強度の電磁放射線を放射するには、著しい電力消費が必要となる場合があり、これは、電力供給が制限されている用途(例えば、バッテリ駆動式ドローン)では望ましくない場合がある。第二に、RADALTは、故意(例えば、別の当事者によって)か偶然かにかかわらず、例えば領域が同様の周波数の電磁放射線によって満たされている場合、干渉を受けやすくなり得る。第三に、RADALTからの放射線は、近くの航空機または航空機より下の地上システムなどの他のローカルシステムに干渉し、それらによって容易に検出されることができる。さらに、良好な品質のRADALTにはコストがかかる可能性がある。
【0009】
本開示によれば、RADALTは、地形の高さを測定/推定するために必要ではない場合がある。代わりに、本開示は、カメラを使用して経時的な地形の画像をキャプチャし、これらの画像から、地形マップとの比較のための地形高さの推定値を導出する。これは、カメラが機能するために航空機からのいかなる電磁放射線の放射も必要としないため、RADALTに関する上述の問題の一部を緩和するのに役立つ場合がある。ただし、当然のことながら、必要であれば、カメラは航空機に取り付けられた放射線源(例えば、投光器)を使用することができることが理解されよう。
【0010】
航空機が水平方向に、すなわち、ピッチングすることなく、そしてバンクすることなく飛行している場合には、カメラは航空機に対して下向きであってよい。カメラは、航空機の長手方向軸(すなわち、ロール軸またはバンク軸)及び横軸に対して実質的に垂直に位置決めされ得る。横軸は、航空機のピッチ軸であるとみなされてもよい。
【0011】
いくつかの例では、航法システムは反復アルゴリズムユニット(IAU)を含んでよく、このIAUは、各反復でシステム状態アレイを決定し、システム状態アレイ(またはシステム状態ベクトル)が複数の状態変数を含み、IAUは、各反復では、現在のシステム状態アレイ、第一位置推定値及び第二位置推定値に基づいて、その次の反復のためにシステム状態アレイを更新し、更新されたシステム状態アレイに基づいて第三位置推定値を生成する。IAUは、航法システムがIAUで利用可能なデータに基づいてシステム変数(例えば、位置、速度、加速度、角速度、角加速度など)を連続して推定するためのメカニズムを提供することにより、第一位置推定値及び第二位置推定値に基づいて可能な限り精確に第三位置推定値を生成し、連続して更新するための計算効率の高い技術を提供し得る。
【0012】
いくつかの例では、各状態変数は、対応するシステム特性に関連付けられた誤りの推定値を含み、IAUは、各反復では、更新されたシステム状態アレイに基づいて第一位置推定値に誤り訂正を適用することによって、第三位置推定値を生成する。換言すれば、システム状態アレイは、システム誤り状態を含み得る。これにより、システムは、種々のシステム特性(例えば、速度、加速度、角速度、角加速度など)に関する誤りを連続して推定し、それに応じて、例えばそれらの関連する推定された誤りに基づいてシステム特性の測定値を訂正することによって、応答することが可能になってもよい。それらのような訂正が加算的もしくは乗算的であってもよく、または推定された誤りに応じて測定値を他の方法で重み付けすることによるものであってもよいことが理解されよう。
【0013】
いくつかの実施例では、システム状態アレイは、MEMS-IMUから出力された信号に関連する少なくとも1つの状態変数を含む。それらのような実施例によって、システム状態アレイは、システム全体のより包括的なモデルを提供することが可能になり得るため、IAUはより精確な第三位置推定値を出力することが可能になり得る。少なくとも1つの状態変数は、MEMS-IMUによって出力された信号に関連するアライメント誤り、スケールファクタ誤り、バイアス誤り、または任意の他の適切な誤りのうちの1つ以上を含み得る。一部の実施例では、MEMS-IMUは、1つ以上の加速度計及び/またはジャイロスコープを含み、システム状態アレイは、加速度計及び/またはジャイロスコープのアライメント誤り、スケールファクタ誤り、及び/またはバイアス誤りに対応する少なくとも1つの状態変数を含む。特に有利な構成では、システム状態アレイは、IMU内のジャイロスコープ及び加速度計ごとにアライメント誤り、スケールファクタ誤り及びバイアス誤りに対応する状態変数を含んでもよい。
【0014】
一部の実施例では、INSは積分器を含み、システム状態アレイは、積分器の演算パラメータに関連する少なくとも1つの状態変数を含む。積分器は、例えば加速度計またはジャイロスコープからの線形加速度測定値または角加速度測定値から、速度、角速度、または距離もしくは角度配向測定値をINSが計算することを可能にし得る。例えば、積分器は、速度を与えるために加速度を積分する積分器、位置を与えるために速度を積分する積分器、角速度を与えるために角加速度を積分する積分器、及び角度を与えるために角速度を積分する積分器のうちのいずれか(または複数のもの)であってよい。これらのような積分器は、例えばx、y及びzの位置/速度及び/またはピッチ、ロール及びヨーの回転軸をカバーするように、検出軸ごとに設けられ得る。従来の提案されたソリューションは、一般的には、積分器の演算パラメータを直接追跡しないが、代わりに、積分器の出力に適用される訂正のみを追跡する。積分器の演算パラメータ(例えば、積分器の係数)に関連付けられた状態変数を含むことで、航法システムに、そのシステムの低レベルの制御を多く提供することができ、以前のシステムよりも深いレベルの訂正(または処理チェーンではより早いレベルの訂正)で演算することによって、より精確な第三位置推定値を生成することができる。当然、さらなる制御及び精確さのために、訂正を追跡し、積分器(複数可)の出力(複数可)に適用することによって加算してもよい。
【0015】
従って、一部の実施例では、航法システムは、システム状態アレイで積分器の現在の演算パラメータに基づいて、積分器を制御するように構成される。
【0016】
上記で概説されるように、積分器に関連する状態変数を与えること、及び/または積分器を直接訂正することは、本開示の文脈では、より低い精確さのMEMS-IMUを使用するため、特に有利であり得る。ハイスペックのシステムで現在使用されているIMUのグレードが高いほど、誤りが十分に小さくなるため、既存のドリフト補償/訂正システムで十分である。しかし、MEMS-IMUでは、精確さが著しく低下する(例えば、通常グレードの高いMEMS-IMUは、依然として、ハイスペックの非MEMS IMUよりも精確さが1桁低くなることがある(例えば、精確さが10分の1程度))。従って、MEMS-IMUの出力の訂正/補償は、標準的なハイスペックの非MEMS IMUに要求されるよりも格段に良好である必要がある。積分器訂正は、この改善された訂正/補償を与えること、または少なくともそれに向けて大きく寄与することができる。
【0017】
一部の実施例では、システム状態アレイは、15個を超える状態変数、任意選択で少なくとも20個の状態変数、任意選択で少なくとも30個の状態変数、任意選択で少なくとも40個の状態変数、任意選択で少なくとも45個の状態変数を含む。一般的な航法アルゴリズム(例えば、一般的な航法カルマンフィルタ)は、最大15個の状態変数を監視する。しかし、ここで説明される状態変数の数が従来提案されているソリューションと比較して増加することで、IAUにシステムのより包括的な概要を提供することができるため、システムの種々の状態変数(またはシステム状態アレイがシステム誤り状態を含む実施例ではそれらの誤り)がどのように変化するのかをより精確に追跡することが可能になり、第三位置推定値の全体の精確さが向上する可能性がある。状態変数の数が増加すると、より多くのシステムパラメータ及び/または特性を測定して決定することが可能になる。これにより、より不精確さが訂正されることが可能になる。例えば、ジャイロスコープ及び加速度計は、それぞれの感知軸とアライメントされることを確保するようにIMU内に可能な限り精確に取り付けられているが、必ずミスアライメントが存在しており、計算では誤りに寄与し、経時的にIMUドリフトに寄与する。これらの誤りをモデル化してこれらを観測することで、IAU(例えば、カルマンフィルタ)は、これらの誤りを推定して訂正することができることによって、航法ソリューションの精確さを向上させることができる。従って、より多くのシステム状態特性を監視するためにIAUの複雑さを増加させることで(すなわち、システム状態アレイをより大きくすることで)、システム全体は、より精確になり、MEMS IMUの不精確さをさらに補償することができる。
【0018】
いくつかの実施例では、システム状態アレイは、最大3つの角度または傾き誤り、最大3つの速度誤り、最大3つの位置誤り、最大3つのジャイロスコープバイアス誤り、最大3つの加速度計バイアス誤り、最大4つ、またはそれ以上の積分器の演算パラメータまたは係数、最大3つの加速度計スケールファクタ誤り、最大3つのジャイロスコープスケールファクタ誤り、最大6つの加速度計アライメント誤り、最大6つのジャイロスコープアライメント誤り、及び最大9つのジャイロスコープ加速度またはg感度誤りのうちの1つ以上に対応する状態変数を含む。いくつかの実施例では、角度または傾きの誤りは、北、東、下方向の参照系で表されてもよく、下方向の傾きが機首方位誤りであり、北及び東方向の傾きは、北、東、下方向の参照系に変換されたロール及びピッチの誤りである。
【0019】
いくつかの実施例では、航法システムはカルマンフィルタを含む。いくつかの実施例では、IAUはカルマンフィルタを含む。カルマンフィルタは、航法システムでは一般的に使用されるため、既存のシステムを比較的簡単に適応させる。しかし、カルマンフィルタの代わりに他のタイプの反復アルゴリズムユニットを使用してよいことが理解されよう。特に、他の線形二次推定量を使用してよい。航法システムは、プロセッサによって実行される際、プロセッサにINS、O-TRN及びIAUの機能を実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサを含み得る。換言すれば、INS、O-TRN及び/またはIAUは、別個のハードウェアモジュールでなくてもよいが、単一プロセッサ、例えば、CPU、FPGAまたは任意の他の適切な処理手段内のソフトウェアモジュールとして実装されてもよい。他の実施例では、別個のハードウェアモジュールを使用してもよく、またはハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせを使用してもよい。
【0020】
O-TRNは、例えば、エッジ検出、相互相関などを含む標準的な画像処理プロシージャを使用して、地形特徴を識別し得る。地形特徴は、カメラによってキャプチャされた画像、例えば、建物、樹木、丘などの内で、識別可能なオブジェクトを含んでもよく、及び/または画像の一部または全体を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施例では、O-TRNは、カメラによってキャプチャされた2つ以上の画像内の地形特徴を識別し、これら2つ以上の画像に基づいて、地形特徴が航空機より下で通過する流量を計算し、計算された流量に基づいて地形高さ推定値を導出する。このプロセスは、2つ以上の画像の相互相関を実行して、相関の高い距離(両方の画像に共通する地形特徴に対応するもの)を識別することによって達成され得る。画像内の流量は、地形がカメラの画角を通過している角速度を表す。地形がカメラに近いほど、カメラを通過する流れが速くなる。従って、画像内の地形の流量は、地形より上のカメラ(従って航空機)の高さと相関される。カメラによってキャプチャされた2つの画像間での地形特徴の角度変化を計算し、航空機の移動距離(航空機の速度、及び画像キャプチャ間の時間から取得可能)と組み合わせることにより、地形より上の航空機の高さを計算することができる。2つ以上の画像は、計算に適切な距離を選択するために、カメラによってキャプチャされた連続した画像であってもよく、または不連続であってもよい(すなわち、1つ以上の介在フレームによって分離されてよい)。
【0022】
従って、航空機より下の地形特徴の流量が、2つの主要な要因、すなわち、問題の地形より上の航空機の高さと、航空機の速度とに依存していることが認識されている。従って、高度(すなわち、潮位より上の高さ)及び航空機の速度を推定することができ、地形の流量を測定することができる場合には、潮位より上の地形自体の高さも推定することができる。従って、いくつかの実施例では、INSは、MEMS-IMUによって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一速度推定値及び第一高度推定値を出力し、O-TRNは、第一速度推定値及び第一高度推定値にさらに基づいて、地形高さ推定値を導出する。いくつかの実施例では、高度推定値は、INSから直接出力されなくてもよいが、代替に、IAUを使用して生成されてもよい(ただし、高度推定値は依然として間接的にIMUからの第一高度推定値に基づいている)。高度推定値は、気圧高度計を使用することなく、すなわち、MEMS-IMU及び/またはシステム状態アレイからの測定値のみを使用して、生成され得る。
【0023】
いくつかの実施例では、O-TRNは、カメラによってキャプチャされた画像内の複数の地形特徴を識別し、それぞれの地形高さ推定値を導出する。O-TRNは、カメラによってキャプチャされた2つ以上の画像内の複数の地形特徴を識別し、これら2つ以上の画像に基づいて、各地形特徴が航空機より下で通過するそれぞれの流量を計算し、そのそれぞれの計算された流量に基づいて地形特徴ごとに地形高さ推定値を導出し得る。そのため、計算された流量、従って導出された地形高さ推定値が、単一画像が異なる標高にある際にキャプチャされた地形の異なる部分(例えば、丘、山など)が原因で、画像にわたって変動する場合があることが見られる。
【0024】
純粋に慣性高度推定値は、使用されるIMUのタイプに関係なく、特により高い高度での重力の減少が原因で不安定な場合がある。MEMS IMUの精確さがハイスペックの航法IMUに比べて低いほど、積分された高度推定値の精確さがさらに低くなることを意味する。これは、精確な地形高さを計算して地形マップデータと比較するために、潮位より上の精確な高度を必要とするTRNシステムにとって問題である。非TRN用途の(すなわち、地形マッチング能力がなく、一般的にはレーダ高度計がない)ハイスペックな非MEMS航法IMUでは、高度推定値の安定性を保つために、ある形式の支援が必要とされる。これは多くの場合、気圧高度の入力形式を取る。しかしながら、TRN用途では、気圧を考慮しない場合、すなわち、気圧高度測定値を計算に入れない場合、高度計算の方が良好であることが多い。その理由は、積分されたIMU高度に比べて、気圧高度データにわずかにラグが多くなる傾向があることである。さらに、気圧は、高さ及び天候に応じて急速かつ予想外に変化し得る温度による影響を受ける。地形マッチングプロセスによって(例えば、レーダ高度計及びマップデータベースによって)取得された高さデータは、ハイスペックのINS高度推定値を支援し、良好な精確さの高さ出力を生成するのに十分であることがわかる。本発明者は、これと共に気圧高度を使用すると、全体の結果があまり精確ではなくなり得ることを以前に見いだしている。しかし、本発明者は、MEMS IMUを使用する場合、気圧高度を使用して、統合された航法ソリューションの全体的な高度計算を改善することができることをここで見いだした。従って、いくつかの実施例では、航法システムは気圧高度計をさらに含み、O-TRNは、この気圧高度計の出力から導出された第二高度推定値にさらに基づいて、地形高さ推定値を導出する。航空機の高度のこのさらなる推定値は、O-TRNが地形特徴の高さを推定することができる全体的な精確さを高めるため、第二位置推定値の全体的な精確さ、従って第三位置推定値の全体的な精確さも高める。気圧高度の追加がMEMS IMUの高さ推定値を改善するのに十分であり得ることにより、O-TRNは精確に演算することが可能になる。しかし、上述のような積分器の直接制御及び/または後述の他の精確さの改善のような他の改善と組み合わせて良好に機能することもわかっている。
【0025】
いくつかの実施例では、O-TRNは、カメラによってキャプチャされた複数の画像内の複数の地形特徴を識別し、複数の地形特徴のそれぞれの各地形高さ推定値を導出し、複数の地形高さ推定値と、地形マップから抽出された地形標高データとの間の相関に基づいて、第二位置推定値を出力する。O-TRNは、航空機の移動経路に沿った地形高さ推定値の軌道を導出し得、第二位置推定値を出力するために、地形標高データと相関させ得る。この方法で複数の地形特徴の高さを推定することにより、O-TRNは、地形マップ内の地形標高データと比較するためのデータをより多くO-TRNに提供し得るため、より精確な第二位置推定値が提供されることが可能になり得る。
【0026】
いくつかの実施例では、カメラは、短波赤外線(SW-IR)カメラを含む。これにより、有利には、SW-IR放射は水によって著しく減衰されないため、カメラは、雲量及び/または天候(例えば、降水)を介しても地形の画像をキャプチャすることが可能になり得る。これにより、O-TRNの視界が遮られることによる地形監視中のドロップアウト(カメラが可視光範囲内でのみ動作する場合にはその可能性がある)のリスクなしに、より高い航空機の高度で、または低い視程で、O-TRNを使用することが可能になり得る。カメラによってキャプチャされた画像は、2次元であってよい。カメラは、任意の適切なフレームレートまたは周波数、例えば30Hz、60Hz、144Hzなどで、一連の画像をキャプチャするように構成され得る。カメラは、狭い視野(例えば、0°~60°の間)を有し得るため、航空機より下の地形の比較的小さい領域の画像をキャプチャし得、この場合、O-TRNは、画像ごとに1つの(または少数の)地形特徴を識別し得る。同様に、これは広い視野(例えば、30°~180°の間)を有し得るため、航空機より下の地形の比較的大きい領域の画像をキャプチャし得、この場合、O-TRNは、各画像内で複数の異なる地形特徴を識別し得る。視野が広くなると、有利には、カメラは、操縦中であっても、航空機より下の地形の少なくとも一部、特にピッチ及びロールをキャプチャすることが可能になり得るため、航空機が地面に実質的に平行に飛行することに依存することなく、航法ソリューションを連続して提供することが可能になり得る。カメラの視野は、用途に応じて変化する、航空機の所期のピッチ及びロールに基づいて選択され得る。例えば、旅客機または貨物機では、例えば無人航空機より極端ではない操縦を実行することが予想され得るため、カメラには、操縦中に航空機より下の地形の画像を確実にキャプチャできるほど大きい視野が必要ではない。
【0027】
航空機のピッチ及びロール(例えば、航法システムから得られたもの)は、画像キャプチャ及び/または画像処理プロセスで使用されて、連続画像にわたる地形特徴の識別を支援し得る。そのようなピッチ/ロール処理が地形特徴を識別するために必要ではないが、マッチングの可能性が高いことがわかり得る画像領域を狭めることによってプロセスを高速化することができることが理解されよう。
【0028】
第二態様から見ると、本開示は、航空機をナビゲートする方法を提供し、
この方法は、
微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)によって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を導出することと、
カメラを用いて航空機より下の地形の一連の画像を経時的にキャプチャすることと、
カメラによってキャプチャされた画像内の地形特徴を識別することと、
地形特徴の地形高さ推定値を導出することと、
地形高さ推定値と、地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を導出することと、
第一位置推定値及び第二位置推定値に基づいて、第三位置推定値を導出することと、
を含む。
【0029】
本明細書に記載された任意の態様、実施形態または実施例の特徴が、適切である場合には、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態または実施例に適用され得ることが理解されよう。特に、第一態様に関して上述の航法システムの任意の特徴が第二態様の方法に等しく適用されてよく、逆もまた同様であることが理解されよう。種々の実施形態または実施例を参照する場合、これらが必ずしも別個ではなく、重複し得ることを理解されたい。
【0030】
ここで添付の図面を参照して、1つまたは複数の非限定的な実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示による、航法システムの概略ブロック図である。
図2】カメラを使用して地形の高さを推定することの背後にある原理を示す簡略図である。
図3図1に示される反復アルゴリズムユニットの例示的な反復ループを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、航空機の航法システム100の概略ブロック図である。航法システム100は、反復アルゴリズムユニット(IAU)106、微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)108、積分ブロック114、気圧高度計116、短波赤外線(SW-IR)カメラ118、及び地形標高マップ120を含む。MEMS-IMU108は、3つのMEMS加速度計110であって、それぞれの感知軸が互いに直交するように位置決めされる、これら3つのMEMS加速度計と、3つのMEMSジャイロスコープ112であって、それぞれの感知軸が互いに直交するように位置決めされる、これら3つのMEMSジャイロスコープとを含む。本明細書で概説される原理が、MEMS-IMU108のこの特定の構造に限定されるものではないが、任意の適切な方法で位置決めされた任意の適切な数の加速度計及び/またはジャイロスコープを含み得ることが理解されよう。
【0033】
IAU106、MEMS-IMU108及び積分ブロック114は合わせて、慣性航法システム(INS)102を形成する。IAU106、SW-IRカメラ118及び地形標高マップ120は合わせて、光学式地形参照航法システム(O-TRN)104を形成する。この特定の実施例では、INS102及びO-TRN104がオーバーラップするが、これらの間でIAU106が共有されるため、これは限定的ではないことが理解されよう。他の実施例では、INS102及びO-TRN104は別個のモジュールであり、それらの出力は個別にIAU106にフィードされる。気圧高度計116は、エアデータシステム(ADS)(図示せず)の一部を形成し得るが、これは必須ではない。
【0034】
MEMS-IMU108は、航空機(直接かジンバルかいずれか)に固定された場合に、加速度計110の感知軸に沿った航空機の線形加速度、及びジャイロスコープ112の感知軸を中心とした航空機の角加速度を指示する信号122を出力する。これらの信号122は、IAU106及び積分ブロック114に直接出力される。積分ブロック114は、航空機の速度(線形加速度を積分することによる)、位置(速度を積分することによる)、角速度(角加速度を積分することによる)、及び/または角度配向(角速度を積分することによる)を指示する1つまたは複数の信号124を発生するために、場合によってはチェーンで、MEMS-IMUによって出力された信号122を積分する1つまたは複数の積分器を含む。これらの信号124はIAU106に出力される。この実施例では、後でさらに詳細に説明されるように、積分ブロック114に含まれる積分器は、それぞれ設定可能である。
【0035】
気圧高度計116は、大気圧を測定する1つ以上の気圧センサを含み、気圧センサの出力に基づいて、航空機の高度を指示する信号126を出力する。気圧高度計116は、その中に含まれる圧力センサからIAU106に生の圧力データ126を等しく出力することができる。
【0036】
この実施例でのSW-IRカメラ118は、航空機より下の地形の画像をキャプチャすることを可能にする方法で、航法システム100がインストールされている航空機に固定されている。SW-IRカメラ118は、航空機より下の地形の画像をキャプチャし、これらを地形画像データ128としてIAU106に出力する。この実施例では、SW-IRカメラ118は、航空機がバンクを伴わずに水平方向(すなわち、地表面に対して実質的に平行)に移動している場合には、航空機に対して下向きになっている。これは、航空機の長手方向(ロール)軸及び横方向(ピッチ)軸に対して実質的に直交して位置決めされることができるが、これは、カメラ118が通常の使用中に航空機より下の地形の画像をキャプチャすることができる場合、厳密には必要ではない。この実施例では、カメラ118はSW-IRカメラ118であり、このカメラは、SW-IR放射が雲によって著しく減衰されないため、例えば雲量を通して、航空機より下の地形の画像をキャプチャすることを可能にする。しかしながら、SW-IRカメラ118の代わりに任意の適切なカメラを使用できることが理解されよう。
【0037】
地形標高マップ120は、複数のマップポストを含み、各マップポストは、地表面上の領域についての地形標高データ(すなわち、潮位より上の高さ)を有する。この実施例では、各マップポストは、地表面上の30m×30mの領域についての地形標高データを有する。例えば、DTEDレベル2は、30mのポスト間隔を有する地形データを提供する。地形標高マップ120は、任意の適切なストレージ手段、例えばハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュストレージなどを使用して格納されてもよい。地形標高マップ120は、局所地形標高データ130をIAU106に出力する。
【0038】
この実施例では、IAU106は、複数の状態変数で構成されるシステム状態アレイを反復して更新するカルマンフィルタであり、この実施例では、各変数は、航法システム100の他のコンポーネントから受信する信号122、124、126、128及び130に基づいて、特定の対応するシステム特性に関する誤りの推定値を含む(すなわち、この実施例では、カルマンフィルタは誤り状態カルマンフィルタであるが、これは必須ではない)。例示的なシステム特性には、特定の軸に沿った加速度、特定の軸に沿った速度、特定の軸に沿った位置、積分ブロック114に含まれる積分器の1つ以上の係数(または演算パラメータ)、高度、アライメント誤り(特定の加速度計110またはジャイロスコープ112のもの)、スケールファクタ誤り(特定の加速度計110またはジャイロスコープ112のもの)、バイアス誤り(特定の加速度計110またはジャイロスコープ112のもの)などが含まれるが、これらに限定されない。この特定の実施例では、システム状態アレイは、一般的な航法カルマンフィルタの同等の状態アレイよりも多い状態変数(例えば、39個または42個の状態変数)を含む。例えば、一般的な航法カルマンフィルタは、12個または15個の変数の状態アレイを有する。しかし、MEMS IMUから十分に精確さを抽出するためには、状態アレイでは著しくより多い変数を使用することが有利であることがわかっている。特定の実施例では、MEMS IMUと共に使用するためのカルマンフィルタは、少なくとも20個、少なくとも30個の状態変数、少なくとも40個、またはさらには少なくとも45個の状態変数を有し得る。
【0039】
例えば、一般的な15個の状態航法誤り状態カルマンフィルタの1つの実施例では、状態アレイは、3つの(すなわち、各軸に対応する1つの)角度または傾き誤り、3つの速度誤り、3つの位置誤り、3つのジャイロスコープバイアス誤り及び3つの加速度計バイアス誤りに対応する変数を含み、合計15個の変数を与える。対照的に、MEMS-IMU108を用いた本開示の実施例では、状態アレイは、これらの誤りのうちの1つ以上に対応する変数を含み得、さらに以下の、積分ブロック114に含まれる積分器の4つ以上の演算パラメータまたは係数(例えば、加速度計110からの線形加速度測定値に2つ、及びジャイロスコープ112からの角加速度測定値に2つ)、3つの加速度計スケールファクタ誤り(加速度計ごとに1つ)、3つのジャイロスコープスケールファクタ誤り(ジャイロスコープごとに1つ)、6つの加速度計アライメントまたはミスアライメント誤り(それぞれが2つの軸外方向内にミスアライメントされることができる場合には加速度計ごとに2つ)、6つのジャイロスコープアライメントまたはミスアライメント誤り(それぞれが2つの軸外方向内にミスアライメントされることができる場合にはジャイロスコープごとに2つ)、及び9つのジャイロスコープの加速度またはg感度誤り(軸ごとに異なる加速度感度を有することができるジャイロスコープごとに3つ)、のうちの1つ以上に対応する変数を含んでもよい。本開示の実施例では、角度または傾きの誤りは、北、東、下方向の参照系で表されてもよく、下方向の傾きが機首方位誤りであり、北及び東方向の傾きは、北、東、下方向の参照系に変換されたロール及びピッチの誤りである。
【0040】
IAU106は、INS102のその他のコンポーネントからの信号122、124及び126を使用して、デッドレコニングの原理を使用して第一位置推定値を生成する。第一位置推定値は、航空機の高度(「垂直方向」位置座標)、例えば潮位より上の高さだけでなく、「水平方向」位置座標、例えば緯度及び経度の推定値を含む。この第一位置推定値は、INS102によって生成された慣性位置推定値であるとみなされることができる。
【0041】
IAU106はまた、図2を参照してさらに詳細に後述されるように、第二位置推定値を生成するために、カメラ118からの画像データ128を、地形標高マップ120からの局所地形標高データ130と組み合わせて使用する。この第二位置推定値は、O-TRN104によって生成された、地形参照位置推定値であるとみなされることができる。
【0042】
各反復では、IAU106は、第一位置推定値、第二位置推定値及び現在のシステム状態アレイに基づいて、現在の第三位置推定値134を生成し、それを位置出力136に出力し、この位置出力は、航法システム100がインストールされている航空機のさらなるシステム、例えばナビゲーションディスプレイ、航空機コントローラ等に通信されてよい。また現在の位置推定値134は、地形標高マップ120にも出力され、地形標高マップは、この位置推定値134を使用して、局所地形標高データ130(すなわち、航空機の現在の位置推定値134の近くの地形標高データ)を決定することができると、IAU106に出力する。
【0043】
IAU106は、1つ以上の積分器制御信号132も積分ブロック114に出力し、積分ブロックは、そこに含まれる積分器の1つ以上の係数または演算パラメータを制御する。積分器制御信号132は、現在のシステム状態アレイ、特に積分ブロック114内の積分器に関連付けられた状態変数に基づいて発生する。これにより、IAU106は、これらの積分器によって信号出力124を遡及的に訂正するのではなく、積分ブロック114内の積分器を直接設定して、その中の任意の誤りを訂正することが可能になる。この方法で積分ブロック114内の積分器を直接設定することによって、INS102がMEMS-IMU108の固有の誤り及びドリフトを補償することが可能になり、単純に積分器の後に訂正を適用するよりもはるかに良好になることがわかった。これによって、INS102が生成する第一位置推定値の精確さが改善される。
【0044】
図2は、上述の第二位置推定値を生成するためにどのようにカメラ118及び地形標高マップ120を使用することができるかの背後にある原理を示す、縮尺通りでない簡略図である。図2は、図1の航法システム100がインストールされている航空機200を示す。図2も、地表面上の潮位202及び地形アイテム204を示す。地形アイテム204は、例えば、丘、山、建物などの地形の任意の領域であってよい。地形アイテム204が代表的なものに過ぎず、実際には図2に示されるような平らな上面を特徴とする可能性が低いことが理解されよう。地形アイテム204は、潮位202より上の高さまたは標高hを有する。航空機200と地形アイテム204の上面との間の垂直間隔d、すなわち航空機200と地形アイテム204の上面との間の距離の垂直成分は、この実施例では、航空機200が上昇も下降もしないため、実質的に一定に維持される(ただし、そのような操縦が計算に直接入れられ得ることが理解されよう)。
【0045】
航空機200は、地表面(すなわち、水平方向)に対して実質的に平行に、一直線に一定の速度vで飛行しているため、潮位202より上の実質的に一定の高度Aに維持されている。飛行中、航空機200は地形アイテム204の上を通過する。第一時点t1では、航空機200は第一位置206にあり、第二時点t2では、航空機200は第二位置208にある。
【0046】
第一時点t1では、カメラ118は、地形アイテム204を含む、航空機200より下の地形の第一画像をキャプチャする。第二時点t2では、カメラ118は、再度地形アイテム204を含む、航空機200より下の地形の第二画像をキャプチャする。第一時点t1では、地形アイテム204の上面の位置は、それと航空機200との間で、垂直方向に対する第一角度θ1をなす。第二時点t2では、地形アイテム204の上面の位置は、それと航空機200との間で、垂直方向に対する第二角度θ2をなす。第一時点t1と第二時点t2との間に、航空機200が移動した水平距離は、v(t2-t1)によって与えられる。
【0047】
従って、第一画像がカメラ118によってキャプチャされる瞬間と、第二画像がカメラ118によってキャプチャされる瞬間との間の時間t2-t1中に、地形アイテム204がカメラ118の視野を横切って、角度θ1+θ2だけ移動することが理解されよう。カメラ118が実質的に一定の方向を向いているため、この角度変化は、カメラ118によってキャプチャされた画像内の地形アイテム204の位置を考慮することによって、カメラ118によってキャプチャされた2つの画像内で、個々の角度θ1及びθ2と同様に観測可能である。基本的に、画像内の各ピクセルは、入射光の異なる角度を表すため、地形特徴が画像にわたり(すなわち、カメラセンサにわたり)移動したピクセル数を決定することによって、地形特徴が移動した角度を計算することができる。
【0048】
三角法を使用すると、時点t1からt2の間に航空機が移動した距離は、v(t2-t1)=dtan(θ1)+dtan(θ2)によって与えられる。従って、地形アイテム204の上面と航空機200との間の垂直間隔dは、d=v(t2-t1)/(tan(θ1)+tan(θ2))によって与えられる。航空機200の高度Aは、A=d+hによって与えられるため、h=A-v(t2-t1)/(tan(θ1)+tan(θ2))となる。
【0049】
従って、地形アイテム204の高さhが、航空機200の高度A、航空機200の速度v、カメラフレーム間の時間(カメラ118のフレームレートに依存する)、及びカメラ118によってキャプチャされた画像内の地形アイテム204の位置に依存していることが理解されよう。航空機200の高度A及び速度vは、INS102を用いて推定されることができ、カメラフレーム間の時間は、既知であるか、カメラ118の設定に応じて制御可能であるかいずれかであり、カメラ118によってキャプチャされた画像内の地形アイテム204の位置は、標準的な画像処理技術及びカメラ118の既知の変数、例えば視野を用いて観測可能である。従って、図1に示されるINS102及びO-TRN104を使用して、地形特徴204の高さhを推定することができることが理解されよう。航空機200の高度Aを、それらの測定値に基づいて(例えば、図1に示される気圧高度計116を使用して)連続して更新する必要がなくてもよく、代わりにIAU106に高度Aの初期推定値をフィードし、システム状態アレイに基づいて連続して更新してもよい。
【0050】
図2が画像キャプチャ間の大きい時間ギャップ、従って大きい角度変化を示すが、上記で概説された原理がより小さい時間ギャップ及びより小さい角度変化にも容易に適用可能であることも理解されよう。従って、カメラ118の視野にわたり地形アイテム204が通過する速度、すなわち角速度または速度を考慮するために、上記で概説された原理が容易に修正されることができることが当業者には理解されよう。これは、本明細書では流量とも呼ばれる。
【0051】
この実施例では、カメラ118は、航空機200より下の地形の画像を連続してキャプチャするため、一連の画像を経時的に出力する。IAU106はこれらの画像を受信し、これらの間の相互相関を連続して実行する。これによりIAU106は、1つより多い画像間で共有される地形特徴を識別し、画像間のそれらの特徴の角度変化を計算することが可能になるため、これらの地形特徴の流量、すなわち、カメラ118の視野にわたる角速度/速度を計算することが可能になる。単一画像が一般的には種々の高さで地形の複数の部分を捕捉するため、計算された流量が一般的には画像の種々の部分にわたって変動することが理解されよう。
【0052】
いくつかの実施例では、IAU106は、その視野全体にわたる流量を計算するため、カメラ118の視野全体は、地形特徴であるとみなされることができる。他の実施例では、IAU106は、画像の1つ以上の異なる面積または領域に対する流量を計算するため、これらの領域のそれぞれは、地形特徴であるとみなされることができる。それらのような面積または領域は、所定の値を超える、またはその他の面積もしくは領域よりも大きい相関係数を生成する領域として識別され得る。他の実施例では、IAU106は、例えばエッジ検出を使用して各画像内の特定の地形アイテムを識別し、画像ごとの流量を計算するため、画像内で識別された各地形アイテムは地形特徴であるとみなされることができる。
【0053】
次いで、計算された流量(複数可)を使用して、地形高さの推定値(または地形高さにおける変化もしくは変動)を計算する。次に、これらの推定値は、航空機200の位置の第二位置推定値を生成するために、地形標高マップ120から受信した地形標高データ130と相関される。この第二位置推定値を使用して、各反復ではシステム状態アレイを更新するため、IAU106によって出力された現在の第三位置推定値134の精確さが改善される。
【0054】
図3は、単純化された形式で、IAU106の操作を示すフロー図である。図3の種々のステップが特定の順序で示されているが、この順序は限定的ではなく、IAU106は、これらのステップを任意の適切な順序で実行してもよい。また、実施態様に応じて、追加のステップ及び/またはより少ないステップを実行してもよい。
【0055】
ステップ300は反復の開始を示す。ステップ302では、IAU106は、MEMS-IMU108の出力122(例えば、生のセンサデータ)を受信する。ステップ304では、IAU106は、積分ブロック124の出力124(例えば、積分された速度及び/または積分された位置/配向)を受信する。ステップ306では、IAU106は、気圧高度計116の出力126を受信する。ステップ308では、IAU106は、デッドレコニングを使用して、これら受信した出力から第一位置推定値(INS位置推定値とも称される)を計算する。
【0056】
ステップ310では、IAU106は、カメラ118から画像データ128を受信する。ステップ312では、IAU106は、カメラ118によってキャプチャされた画像間で上述の画像相互相関を実行し、それらの画像内で識別された1つ以上の地形特徴(ここでは地形特徴は画像の全体または画像の一部または画像内の識別可能な特徴であることができる)の流量を計算する。ステップ314では、IAU106は、前述のように、計算された流量から1つ以上の地形高さ(または地形高さの変化)を推定する。ステップ316では、IAU106は、地形標高マップ120から局所地形標高データ130を受信する。ステップ318では、IAU106は、推定された地形高さを、地形標高マップ120から受信する地形標高データ130と相関させ、相関の結果に基づいて第二位置推定値を生成する。第二位置推定値は、最大相関係数を与える位置であると決定され得る。ステップ320では、IAU106は、航法システム100の他のコンポーネントから受信するすべてのデータと、第一位置推定値と、第二位置推定値とに基づいて、システム状態アレイを更新する。ステップ322では、IAU106は、この実施例では前述のようなシステム誤り状態である、システム状態アレイに基づいて、INS位置推定値(すなわち、第一位置推定値)を訂正する。訂正されたINS位置推定値は、現在の第三位置推定値134であり、IAU106によって出力される。ステップ324では、反復は終了し、IAU106は、ステップ300に戻り、新しい反復を開始する。
【0057】
本明細書に記載された種々の方法は、1つ以上のデバイス上に設けられた1つ以上のコンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体によって実装され得る。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、本明細書に記載された様々な方法のうちの1つ以上の機能を実行するように1つまたは複数のコンピュータに指令するように構成されたコンピュータコードを含み得る。これらのような方法を実施するためのコンピュータプログラム及び/またはコードは、コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品上の、コンピュータなどの装置に提供されてもよい。コンピュータ可読媒体は、一時的または非一時的であってよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、もしくは半導体によるシステム、または例えばインターネットを介してコードをダウンロードするための、データ伝送用の伝播媒体であってもよい。代替に、コンピュータ可読媒体は、半導体またはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、及びCD-ROM、CD-R/WまたはDVDなどの光ディスクのような物理的なコンピュータ可読媒体の形態を取ることができる。コンピュータ等の装置は、そのようなコードに従って、本明細書で論じられた様々な方法に従って1つ以上のプロセスを実行するように構成され得る。そのような装置は、データ処理システムの形態を取ってもよい。そのようなデータ処理システムは、分散システムであってもよい。例えば、そのようなデータ処理システムは、ネットワークを介して分散されてもよい。
【0058】
当業者であれば、本開示がその1つまたは複数の特定の実施例を説明することによって示されているが、これらの実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で多くの変形形態及び修正形態が可能であることが理解されよう。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の航法システムであって、
微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)と、
前記航空機より下の地形の一連の画像を経時的にキャプチャするように配置されたカメラと、
地形標高データを含む地形マップと、
前記MEMS-IMUによって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を生成するように構成された慣性航法システム(INS)と、
光学式地形参照航法ユニット(O-TRN)と、
を含み、
前記O-TRNは、
前記カメラによってキャプチャされた画像内の地形特徴を識別し、
前記地形特徴の地形高さ推定値を導出し、
前記地形高さ推定値と、前記地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を生成する、
ように構成され、
前記航法システムは、前記第一位置推定値及び前記第二位置推定値に基づいて第三位置推定値を生成するように構成される、航法システム。
【請求項2】
前記航法システムは、各反復中にシステム状態アレイを決定するように構成された反復アルゴリズムユニット(IAU)を含み、前記システム状態アレイは複数の状態変数を含み、
前記IAUは、各反復では、
前記現在のシステム状態アレイ、前記第一位置推定値及び前記第二位置推定値に基づいて、その次の反復のために前記システム状態アレイを更新し、
前記更新されたシステム状態アレイに基づいて、前記第三位置推定値を生成する、
ように構成される、請求項1に記載の航法システム。
【請求項3】
各状態変数は、対応するシステム特性に関連する誤りの推定値を含み、
前記IAUは、各反復では、前記更新されたシステム状態アレイに基づいて前記第一位置推定値に誤り訂正を適用することによって前記第三位置推定値を生成するように構成される、請求項2に記載の航法システム。
【請求項4】
前記MEMS-IMUは、1つ以上の加速度計及び/またはジャイロスコープを含み、
前記システム状態アレイは、前記加速度計及び/または前記ジャイロスコープのアライメント誤り、スケールファクタ誤り、及び/またはバイアス誤りに対応する少なくとも1つの状態変数を含む、請求項2に記載の航法システム。
【請求項5】
前記INSは積分器を含み、
前記システム状態アレイは、前記積分器の演算パラメータに関連する少なくとも1つの状態変数を含む、請求項2に記載の航法システム。
【請求項6】
前記航法システムは、前記システム状態アレイで前記積分器の前記演算パラメータに関連する前記現在の状態変数に基づいて、前記積分器を制御するように構成される、請求項5に記載の航法システム。
【請求項7】
前記システム状態アレイは、
最大3つの角度または傾き誤りと、
最大3つの速度誤りと、
最大3つの位置誤りと、
最大3つのジャイロスコープバイアス誤りと、
最大3つの加速度計バイアス誤りと、
最大4つ、またはそれ以上の積分器の演算パラメータまたは係数と、
最大3つの加速度計スケールファクタ誤りと、
最大3つのジャイロスコープスケールファクタ誤りと、
最大6つの加速度計アライメント誤りと、
最大6つのジャイロスコープアライメント誤りと、
最大9つのジャイロスコープ加速度またはg感度誤りと、
のうちの1つ以上に対応する状態変数を含む、請求項に記載の航法システム。
【請求項8】
前記航法システムまたは前記IAUはカルマンフィルタを含む、請求項に記載の航法システム。
【請求項9】
前記O-TRNは、
前記カメラによってキャプチャされた2つ以上の画像内の前記地形特徴を識別し、
前記2つ以上の画像に基づいて、前記地形特徴が前記航空機より下に通過する流量を計算し、
前記計算された流量に基づいて、前記地形高さ推定値を導出する、
ように構成される、請求項に記載の航法システム。
【請求項10】
前記INSは、前記MEMS-IMUによって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一速度推定値及び第一高度推定値を出力するように構成され、
前記O-TRNは、前記第一速度推定値及び前記第一高度推定値に基づいて、前記地形高さ推定値をさらに導出するように構成される、請求項9に記載の航法システム。
【請求項11】
気圧高度計をさらに含み、前記O-TRNは、前記気圧高度計の出力から導出された第二高度推定値にさらに基づいて、前記地形高さ推定値を導出するように構成される、請求項9に記載の航法システム。
【請求項12】
前記O-TRNは、
前記カメラによってキャプチャされた複数の画像内の複数の地形特徴を識別し、
前記複数の地形特徴のそれぞれの各地形高さ推定値を導出し、
前記複数の地形高さ推定値と、前記地形マップから抽出された地形標高データとの間の相関に基づいて、前記第二位置推定値を出力する、
ように構成される、請求項に記載の航法システム。
【請求項13】
前記システム状態アレイは、15個を超える状態変数、任意選択で少なくとも20個の状態変数、任意選択で少なくとも30個の状態変数、任意選択で少なくとも40個の状態変数、任意選択で少なくとも45個の状態変数を含む、請求項に記載の航法システム。
【請求項14】
前記カメラは短波赤外線カメラを含む、請求項に記載の航法システム。
【請求項15】
航空機をナビゲートする方法であって、
微小電気機械システム慣性計測ユニット(MEMS-IMU)によって出力された1つ以上の信号に基づいて、第一位置推定値を導出することと、
カメラを用いて前記航空機より下の前記地形の一連の画像を経時的にキャプチャすることと、
前記カメラによってキャプチャされた画像内の地形特徴を識別することと、
前記地形特徴の地形高さ推定値を導出することと、
前記地形高さ推定値と、地形マップから抽出された地形標高データとの間の比較に基づいて、第二位置推定値を導出することと、
前記第一位置推定値及び前記第二位置推定値に基づいて、第三位置推定値を導出することと、
を含む、方法。