(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086607
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】真空システム及びその真空システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20240620BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200534
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】22214205
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン・ベットヒャー
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA55
(57)【要約】
【課題】 第一のコンポーネントと第二のコンポーネントを備えた、より高い経済性を特徴とする真空システムを提供することであり、これらのコンポーネントが、本真空システムを動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有する。
【解決手段】 本真空システムは、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動されるように構成されており、本真空システムは、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動されるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のコンポーネントと第二のコンポーネントを備えた真空システム(2)であって、
これらのコンポーネントが、この真空システム(2)を動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有し、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動されるように構成されており、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動されるように構成されている、
真空システム。
【請求項2】
請求項1に記載の真空システム(2)において、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に無中断で引き続き作動される真空システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第二のコンポーネントのソフトウェアコードが、第一のコンポーネントの更新前に存在するソフトウェアコードと少なくとも部分的に一致する真空システム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが複数のモジュールから構成され、更新の際に、これらの第一のコンポーネントのソフトウェアコードのモジュールの中の一つだけが更新される真空システム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが第一のメモリに保存され、前記の第二のコンポーネントのソフトウェアコードが第二のメモリに保存されている真空システム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新前に、このソフトウェアコードが少なくとも部分的に第二のコンポーネントに退避されて、更新の際に、第二のコンポーネントは、真空システム(2)を、このソフトウェアコードの退避された部分に基づき引き続き作動する真空システム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が失敗した場合に、この真空システム(2)が、安全な動作状態に切り換えられるか、或いは以前のソフトウェアコードヴァージョンに基づき作動される真空システム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
この真空システム(2)の第一と第二のコンポーネントが、この真空システム(2)の同じ部分機能を実行するために配備されている真空システム。
【請求項9】
請求項8に記載の真空システム(2)において、
前記の部分機能が、標準的な動作において第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって実行され、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に第二のコンポーネントによってのみ実行される真空システム。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントと第二のコンポーネントが、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードを実行する少なくとも一つの計算モジュールを有するハードウェア機器をそれぞれ備えている真空システム。
【請求項11】
請求項10に記載の真空システム(2)において、
標準的な動作において、第一のコンポーネントだけが真空システム(2)と接続されており、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新するために、第一のコンポーネントと真空システム(2)の間の接続が切り離されて、第二のコンポーネントと真空システム(2)の間の接続が構築される真空システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の真空システム(2)において、
前記のハードウェア機器及び/又は計算モジュールが、プラグ・アンド・プレイモジュールとして構成されている真空システム。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが成功裡に更新された後、この真空システム(2)が再び第一のコンポーネントによって作動されて、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが更新される真空システム。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一つに記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新の前及び/又は後に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードがバックアップバージョンとしてバックアップメモリに保存される真空システム。
【請求項15】
真空システム(2)を動作させる方法であって、
この真空システム(2)が、この真空システム(2)を動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有する第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動され、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空システム及びその真空システムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空を発生、維持及び/又は測定するための真空システムは、相応のアクチュエータと共に個々の真空コンポーネントの機能及びユーザー用のデータ予算を提供する情報処理ユニットを備えている。典型的には、マイクロコントローラ(英語で「embedded systems」)が情報処理ユニットとして使用されており、そのマイクロコントローラで、多数のアプリケーション、即ち、ソフトウェアコードが実行される。真空コンポーネントの構造、複雑さ及び機能に応じて、それぞれ独自のソフトウェアコードを有する多数の異なるマイクロコントローラが存在することができ、それらのマイクロコントローラは、相応のアクチュエータと協力し、それを用いて真空コンポーネントの機能を提供している。
【0003】
マイクロコントローラのソフトウェアコードは、真空システムの存続期間中に、例えば、エラー除去によるユーザープロセスの改善、性能改善、最適な動作による作動媒体の節約又は機能拡張のために、典型的には、複数回変更又は更新される。そのために、通常は好適な手段によって、それらのマイクロコントローラのソフトウェアが交換される。典型的には、そのために、コンポーネントの機能を実行できない状態にコンポーネントを移行しなければならない。例えば、更新中はソフトウェアコードを実行できないので、真空ポンプは、ソフトウェアの更新のために、その動作モードを停止状態にするか、それどころか完全にシャットダウンしなければならない。
【0004】
従って、従来の真空システムでは、ソフトウェアコードの更新は、ユーザープロセスの中断を、それにより経済的な損失を引き起こしている。更に、計画した保守間隔でソフトウェアの更新を実施しなければならず、それによって、システムの柔軟性が低減されている。緊急時には、差し迫ったソフトウェア更新が、ユーザープロセスの計画していない中断を、それによりシステムの一時的な停止を引き起こす可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、本発明の課題は、より高い経済性を特徴とする真空システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の真空システムによって解決される。
【0007】
本発明による真空システムは、真空システムを動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有する第一のコンポーネントと第二のコンポーネントを備えている。そのために、本真空システムは、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動されるように構成されている。更に、本真空システムは、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に、少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動されるように構成されている。
【0008】
従って、基本的に、特に、ソフトウェアの更新が実施されていない標準的な動作中には、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントを使用して、真空システムを動作させることができる。第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新を実施する場合、本真空システムが少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって作動される更新動作に本真空システムを切り換えることができる。第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新中に第一のコンポーネントが反応できず、第一のコンポーネントに基づく真空システムの動作が不可能であるか、或いは部分的にしか可能でない場合でも、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新中に、即ち、それにも関わらず、第二のコンポーネントによって本真空システムの動作を引き続き実行することができる。それにより、本真空システムの動作の計画していない中断と、それに伴って場合によっては起こり得る効率の損失とを防止することができる。従って、より長い期間に渡る真空システムの動作停止が防止される。更に、本真空システムのコンポーネントの冗長性のために、本真空システムの動作が常に保証されているので、任意の時点でソフトウェアの更新を実施することができる。更に、本発明による真空システムの構造によって、例えば、第一のコンポーネントの停止が第二のコンポーネントによって補償されるので、コンポーネントの故障時における本真空システムの停止に対する信頼性が向上される。
【0009】
本真空システムは、少なくとも一つの真空コンポーネントを使用して真空を発生、維持又は測定する如何なるシステムからも構成することができる。この場合、第一と第二のコンポーネントは、真空システムの動作に関連する、或いは必要な真空システムの任意の構成要素であるとすることができる。従って、第一と第二のコンポーネントは、例えば、真空ポンプ又は真空測定器などの真空コンポーネント、真空コンポーネントの構成要素、例えば、マイクロコントローラなどの制御基板、メモリ媒体、或いは、例えば、ソフトウェアモジュールの形のソフトウェアコード自体から構成することができる。第一と第二のコンポーネントは、特に、機能的に同じコンポーネント、即ち、同じ機能を実行するコンポーネントである。従って、本真空システムは、冗長的なコンポーネントを備え、それによって、真空システムの連続動作を保証することができる。基本的に、第二のコンポーネントが第一のコンポーネントの一部であるか、或いはその逆であるとすることも可能である。
【0010】
第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する場合、これは、基本的に、更新中に第一のコンポーネントを真空システムの動作のために利用できない、或いは部分的にしか利用できないことを意味する。この場合、第二のコンポーネントが、第二のコンポーネントのソフトウェアコードに基づき真空システムの動作を引き受ける。特に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新中に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードが少なくとも部分的に変更される。
【0011】
この更新は、有線接続形態又は無線接続形態で行うことができる、即ち、更新に付随するデータが、物理的な配線を介して、或いは、例えば、ブルートゥース、WLAN、Zigbee又はNFCなどの無線接続により、真空システムに伝送される。そもそも更新が必要であるのかを確認するために、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新を実施する前に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードのその時々の状態又はその時々のバージョンを照会することができる。各更新は、例えば、ソフトウェアコードのバージョンを表すバージョン番号を有する。更新が必要であるのかを確認するために、或いは第一のコンポーネントのソフトウェアコードを前のバージョンに戻してしまうことを防止するために、第一のコンポーネントのソフトウェアコードのその時々のバージョン番号を、例えば、更新バージョン番号と比較することができる。このソフトウェアコードの更新は、相応の更新又は更新の照会が利用可能となった時に自動的に行うことができる。これに代わって、ユーザーによって手動的に更新を起動又は開始することができる。
【0012】
本発明の改善構成は、本明細書、従属請求項及び図面から読み取れる。
【0013】
第一の実施構成では、本真空システムは、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に中断されること無く引き続き作動される。本真空システムの無中断の動作を提供するために、本真空システムは、例えば、更新を開始する前の予め定義された時間から、特に、ほんの僅か前に第二のコンポーネントを用いて事前に動作させることができる。更新中は、第一のコンポーネントに依存せずに、本真空システムの動作が行われる。特に、本真空システムは、更新中に制限されること無く機能を果たせる状態に留まることができる、即ち、本真空システムの能力は更新中に低下されない。言い換えると、外部の観察者に対して、理想的には、更新プロセスが感知できない。これに代わって、本真空システムは、更新中に部分的にしか機能を果たさないとすることもでき、例えば、本真空システムの幾つかの機能、例えば、基本機能だけを実行することができる。
【0014】
別の実施構成では、第二のコンポーネントのソフトウェアコードは、第一のコンポーネントの更新前に存在したソフトウェアコードと少なくとも部分的に一致する。この第二のコンポーネントのソフトウェアコードの中の一致する部分に基づき、本真空システムの動作を引き続き実行することができる。この場合、「一致」とは、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが第一のコンポーネントのソフトウェアコードと無条件に同一であるのではなく、むしろ第一のコンポーネントと第二のコンポーネントのソフトウェアコードの一致する部分を本真空システムの同じ機能に対応付け可能であることを意味する。更に、第二のコンポーネントのソフトウェアコードの一致する部分を本真空システムの標準的な動作に対応付けることができる。言い換えると、本真空システムは、第一のソフトウェアコンポーネントと第二の同様のソフトウェアコンポーネントを備えることができ、第一のソフトウェアコンポーネントの更新時に、第二のソフトウェアコンポーネントが本真空システムの動作を保証する。
【0015】
別の実施構成では、第一のコンポーネントのソフトウェアコードが、複数のモジュールから成り、更新の際に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードのモジュールの中の一つだけが更新される。この場合、全ての単一のモジュールを本真空システムの所定の機能に対応付けることができる。一つのモジュールの更新中は、ちょうど更新されない残るモジュールによって、本真空システムを制限されたモードで引き続き動作させることができる。この場合には、引き続き動作するモジュールは、或る程度の機能、即ち、第二のコンポーネントのソフトウェアコードを構成する。
【0016】
別の実施構成では、第一のコンポーネントのソフトウェアコードが第一のメモリに保存され、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが第二のメモリに保存されている。特に、第一のコンポーネントが第一のメモリを備え、第二のコンポーネントが第二のメモリを備えている。例えば、USBスティック、メモリカード、ハードディスク、半導体メモリ、フラッシュメモリ又はRAMメモリなどの別個のメモリ媒体に第一と第二のコンポーネントのソフトウェアコードを保存することができる。有利には、第一のメモリに保存されたソフトウェアコードの更新中に、第二のメモリにアクセスするか、或いは第二のメモリを呼び出すことが可能である。従って、第二のメモリに保存されたソフトウェアコードに基づき、本真空システムの動作を引き続き実行することができる。第一と第二のメモリは、更に、同じ制御基板に配置するか、これに代わって、本真空システムの異なる制御基板及び/又は異なる構成部分に配置することができる。
【0017】
別の実施構成では、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する前に、このソフトウェアコードの少なくとも一部を第二のコンポーネントに退避させておき、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に、この退避させておいたソフトウェアコードの部分に基づき、第二のコンポーネントが本真空システムを引き続き動作させる。この退避させておいたソフトウェアコードの部分が、例えば、本真空システムの動作を保証する一方、例えば、通信機能を担当する、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの退避させていなかった部分が更新され、従って、一時的に利用できなくなる。更に、第一のコンポーネントがフラッシュメモリを備えることができ、第二のコンポーネントがRAMメモリを備えることができる。ソフトウェアコードの更新前に、フラッシュメモリに保存された第一のコンポーネントのソフトウェアコードを少なくとも部分的にRAMメモリに退避させることができる。
【0018】
この実施構成では、必要な場合にのみ追加のメモリが確保されるので、利用可能なメモリが効率的に利用されることが特に有利である。例えば、更新が未処理である時にのみ、本真空システムの動作を保証する追加のソフトウェアインスタンスを実現するために、メモリスペースが確保される。言い換えると、第二のコンポーネントのソフトウェアコードは、常に更新が差し迫っている時にのみ生成される。更新の実行後に、ソフトウェアコードの退避しておいた部分を削除することによって、それに付随するメモリスペースを再び解放することができる。
【0019】
別の実施構成では、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が失敗した場合、本真空システムを安全な動作状態に切り換えるか、或いはソフトウェアコードの以前のバージョンに基づき本真空システムを動作させる。このことは、特に、標準的な動作において、専ら第一のコンポーネントによって本真空システムを動作させる場合に有利である。失敗した更新は、例えば、エラー信号によって表示することができる。このエラー信号は、異なる作動機器によって発生することができる。例えば、本真空システムが第二のコンポーネントに基づき予め定義された時間長よりも長く作動されている場合に、エラー信号を発生させることができる。予め定義された時間長の上回りは、例えば、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が失敗したことを意味することができる。この予め定義された時間長は、例えば、更新すべきソフトウェアコードの規模に基づき、或いはコンポーネントのタイプに基づき決めることができる。特に、この予め定義された時間長は、更新毎に異なることができる。更新の失敗が確認された場合、本真空システムを停止するか、機能を低下させた状態に切り換えるか、音響及び/又は視覚によるエラー信号を出力するか、或いは前記のアクションの組合せを実行することができる。これに代わって、そのような場合に、ソフトウェアコードの以前のバージョンに基づき本真空システムを引き続き動作させることができる。例えば、過去において成功裡に更新が実施されたソフトウェアコードを独立したバックアップメモリに保存することができ、ソフトウェアの更新が失敗した場合に、本真空システムの動作が、ソフトウェアコードの最新の成功裡に更新されたバージョンに基づき行われる。このために、例えば、ソフトウェアコードの最新の成功裡に実行可能なバージョンにより第一のコンポーネントを上書きすることができる一方、この上書き中に、第二のコンポーネントが本真空システムの動作を引き続き実行する。
【0020】
別の実施構成では、本真空システムの第一と第二のコンポーネントは、本真空システムの同じ部分機能を実行するために配備されている。言い換えると、例えば、本真空システムの無中断の動作を提供するために、同じコンポーネントが冗長的に使用される。この部分機能は、例えば、真空の発生、プロセスの制御、駆動、通信及びデータ保存の機能の中の一つ又は複数の機能から構成される。例えば、第一と第二のコンポーネントは、同じ機能を有する真空ポンプ、駆動機器、測定器又はマイクロコントローラから構成される。
【0021】
別の実施構成では、この部分機能は、標準的な動作において、即ち、更新が実施されない状態において、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって実行され、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に、第二のコンポーネントによってのみ実行される。そのように、本真空システムは、標準的な動作において、二つのコンポーネントを使用して動作させることができる。本真空システムは、例えば、それぞれ性能を低下させた形で一緒に作動される二つの真空ポンプを備えることができ、第一の真空ポンプのソフトウェアコードの更新中は、専ら他方の真空ポンプが真空の発生を実行する。この場合、ソフトウェアの更新中は、第一のコンポーネントの停止を補償するために、一時的に性能を向上させた形で第二の真空ポンプを動作させることができる。これに代わって、本真空システムは、標準的な動作において、専ら第一の真空ポンプによって実行し、ソフトウェアの更新中は、専ら第二のコンポーネントによって実行することができる。
【0022】
別の実施構成では、第一のコンポーネントと第二のコンポーネントは、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードを実行する少なくとも一つの計算モジュールを有するハードウェア機器をそれぞれ備えている。例えば、第一のコンポーネントと第二のコンポーネントは、それぞれ真空コンポーネント、真空コンポーネントの構成部分、例えば、マイクロコントローラなどの制御基板又はそれ以外の如何なる好適なハードウェア機器を備えることができる。更に、この計算モジュールは、例えば、マイクロコントローラなどの制御基板を備えることができる。
【0023】
別の実施構成では、標準的な動作において、第一のコンポーネントが本真空システムと接続されており、それに対して、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新するために、第一のコンポーネントと本真空システムの間の接続が切り離されて、第二のコンポーネントと本真空システムの間の接続が構築される。従って、第二のコンポーネントは、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新を実施する場合にのみ、選択的に本真空システムに繋がれる。例えば、第二のコンポーネントは、本真空システムを動作させるためのソフトウェアコードを有する代替えの真空コンポーネント、代替えの構成部分、代替えのマイクロコントローラ、例えば、USBメモリやSDカードメモリなどの代替えのメモリ又はそれ以外の好適なコンポーネントであるとすることができる。
【0024】
第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新するために、例えば、更新モジュール、例えば、コンピュータに第一のコンポーネントを接続するか、或いはそのモジュールと繋いで、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新することができる。例えば、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを保存した、第一のコンポーネントのメモリが、更新用のソフトウェアコードで上書きされる。更新プロセスが終了したら、本真空システムと第一のコンポーネントの間の接続を新たに構築して、本真空システムと第二のコンポーネントの間の接続を切り離すことができる。これに加えて、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が成功した後、第二のコンポーネントのソフトウェアコードをそれに対応して更新することができる。
【0025】
別の実施構成では、このハードウェア機器及び/又は計算モジュールがプラグ・アンド・プレイモジュールとして構成される。例えば、このハードウェア機器及び/又は計算モジュールが、本真空システムに差込可能であるか、或いは本真空システムと接続可能であるとすることができる。このハードウェア機器及び/又は計算モジュールは、有利には、インストール又は設定を必要としない形で機能を果たす。特に、本真空システムには、このハードウェア機器及び/又は計算モジュールのプラグ又はプラグインカードを収容するための端子が存在し、この真空システムの端子は、このハードウェア機器及び/又は計算モジュールのプラグ又はプラグインカードと補完し合う形で構成されている。従って、ハードウェア機器を誤って繋ぐことを排除できる。このハードウェア機器及び/又は計算モジュールがプラグ・アンド・プレイモジュールとして構成されることによって、各コンポーネントを本真空システムに容易に繋いで、更新中に場合によっては起こる動作の中断を短縮することができる。
【0026】
別の実施構成では、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が成功した後、本真空システムが、再び第一のコンポーネントによって作動されて、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが更新される。言い換えると、第一のコンポーネントは、更新が成功した後、再び本真空システムの動作を引き受ける。第一のコンポーネントのソフトウェアコードの次の更新時に、その時々のソフトウェアコードのバージョンに基づく本真空システムの動作を保証するために、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が成功した後に、特に、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが第一のコンポーネントの更新前のソフトウェアコードと等しい場合に、第二のコンポーネントのソフトウェアコードもそれに対応して更新される。
【0027】
これに代わって、第二のコンポーネントのソフトウェアコードを事前にソフトウェアコードの更新されたバージョンから構成することができる。例えば、第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新前に、第二のコンポーネントのソフトウェアコードを事前に更新しておくことができ、その結果、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際には、本真空システムが、ソフトウェアコードの既に更新されたバージョンから成る第二のコンポーネントによって作動される。
【0028】
別の実施構成では、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する前及び/又は後に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードがバックアップバージョンとしてバックアップメモリに保存される。従って、最新の実行可能なソフトウェアコードのバージョンがバックアップメモリに保存されて、ソフトウェアコードの更新が失敗した際に、本真空システムを動作させるための実行可能なソフトウェアコードのバージョンが利用可能となる。更に、多数のソフトウェアコードのバージョンをバックアップメモリに保存することができる。例えば、テスト目的のために、古いソフトウェアコードのバージョンを引っ張り出すことが有用である場合がある。これに加えて、ソフトウェアコードのバージョンを時間的に配列することを容易にするために、バックアップメモリに保存されたソフトウェアコードのバージョンにタイムスタンプを付けることができる。
【0029】
別の実施構成では、本真空システムの真空コンポーネントの第一のマイクロコントローラは、同じ真空コンポーネントの少なくとも一つの別のマイクロコントローラ用のソフトウェアコードを有する。これに加えて、或いはこれに代わって、本真空システムの第一の真空コンポーネントの第一のマイクロコントローラは、本真空システムの少なくとも一つの別の真空コンポーネントのマイクロコントローラ用のソフトウェアコードを有する。この手法により、それぞれ別のマイクロコントローラの更新は、第一のマイクロコントローラによって実行することができ、従って、外部と通信すること無く、特に、好適な時間に実行することができる。例えば、第一のマイクロコントローラによる別のマイクロコントローラの更新は、本真空システムがちょうど不活動モードに在る時に実行することができる。
【0030】
本発明の別の観点は、真空システムの動作方法に関し、この方法では、本真空システムが、本真空システムを動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有する第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動され、本真空システムは、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動される。本発明による真空システムの前に述べた利点が、この方法に関しても相応に有効であることは明らかである。
【0031】
以下において、考え得る実施構成に基づき添付図面を参照して単なる例として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】第一のコンポーネントが繋がれており、第二のコンポーネントが繋がれていない真空システムの模式図
【
図3】第一の制御基板が差し込まれており、第二の制御基板が差し込まれていない真空システムの模式図
【
図4】第一と第二の制御基板を備えた真空システムの模式図
【
図5】フラッシュメモリとRAMメモリを備えた真空システムの模式図
【
図6】真空システムのソフトウェアの更新に関するフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、第一のコンポーネントと第二のコンポーネントを備えた真空システム2を図示している。このケースでは、第一のコンポーネントが第一の真空ポンプ4であり、第二のコンポーネントが第二の真空ポンプ6である。基本的に、第一と第二のコンポーネントは、真空システムの別の構成部分、例えば、真空測定器、駆動機器、制御基板及び/又はソフトウェアコードから構成することもできる。第一の真空ポンプ4と第二の真空ポンプ6は、これらの真空ポンプ4,6の動作を調整する中央制御ユニット8とそれぞれ接続されている。これらの真空ポンプ4,6は、それぞれ図示されていない制御基板と、この制御基板によってそれぞれ制御される図示されていない駆動モーターとを備えている。そのために、これらの制御基板は、各真空ポンプ4,6のソフトウェアコードが保存されたメモリと、そのソフトウェアコードを実行するプロセッサとを備えている。本真空システム2の標準的な動作では、これらの真空ポンプ4,6は同時に作動される、詳しくは、それぞれ最大性能の50%で作動される。
【0034】
第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードを更新する場合、中央制御ユニット8が、第一と第二の真空ポンプ4,6に更新信号を伝送する。中央制御ユニット8からの更新信号の受信に反応して、第一の真空ポンプ4は、この真空ポンプが不活動状態になるまで、第一の真空ポンプ4が停止された準備モードに切り換わって、第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードの更新開始を待つ。それに対して、第二の真空ポンプ6は、更新信号の受信に反応して、その活動度を向上させて、最大性能の100%で真空システム2を動作させる。従って、第二の真空ポンプ6は、第一の真空ポンプ4の不活動度を補償する。ここで、第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードの更新を開始することができる。例えば、第一の真空ポンプ4のソフトウェアコード全体又は第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードの一部だけが更新される。
【0035】
更新プロセスが終了すると、第一の真空ポンプ4は、より正確に言うと第一の真空ポンプ4の制御基板は、更新が成功裡に終了したことを示す確認信号を中央制御ユニット8に送信する。中央制御ユニット8が第一の真空ポンプ4から確認信号を受信すると、中央制御ユニット8は、それに対応する確認信号を第二の真空ポンプ6に伝送する。これに加えて、或いはこれに代わって、第一の真空ポンプ4が、確認信号を第二の真空ポンプ6に直接送信することができる。第二の真空ポンプ6による確認信号の受信に反応して、本真空システム2は、標準的な動作に切り戻される。そのために、第一の真空ポンプ4は、最大性能の50%で動き出すまで、再び動作状態を向上させる。これと並行して、第二の真空ポンプ6は、最大性能の100%から最大性能の50%にまで動作状態を低下させる。
【0036】
第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードの更新が成功した後、第二の真空ポンプ6のソフトウェアコードも更新することができる。そのために、第一の真空ポンプ4は、そのソフトウェアコードの更新が成功した後、最大性能の100%で本真空システム2を動作する一方、第二の真空ポンプ6は、第二の真空ポンプ6のソフトウェアコードを更新できる不活動モードに切り換わる。第二の真空ポンプ6のソフトウェアコードの更新が成功した後、第一と第二の真空ポンプ4,6は、第一と第二の真空ポンプ4,6がそれぞれ最大性能の50%で作動する標準的な動作に切り戻すことができる。
【0037】
第一の真空ポンプ4及び/又は第二の真空ポンプ6のソフトウェアコードの更新が失敗するか、或いはこの更新が予め定義された時間長よりも長く続く場合、エラー信号が中央制御ユニット8及び/又はそれぞれ他方の真空ポンプに送信される。このエラー信号に反応して、本真空システム2が安全な動作状態に移行されるか、或いはそれぞれ他方の真空ポンプだけに基づき引き続き作動される。これに加えて、或いはこれに代わって、相応の真空ポンプのソフトウェアコードを最新の成功裡に実施されたソフトウェアコードで上書きすることによって、更新すべき真空ポンプ4,6を最新の成功裡に実施されたソフトウェアコードに基づき動作させることも可能である。例えば、ソフトウェアコードの更新が成功した後、それに対応するソフトウェアコードのバージョンがバックアップメモリに保存されて、そのような場合に、このバックアップメモリにアクセスすることができる。そして、更新が失敗した後、更新すべきソフトウェアコードが、バックアップメモリのソフトウェアコードのバージョンを用いて上書きされる。
【0038】
図2は、第一の真空ポンプ4と第二の真空ポンプ6を備えた真空システム2を図示しており、この場合、標準的な動作では、第一の真空ポンプ4だけが中央制御ユニット8と接続されている。第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードを更新する場合、第一の真空ポンプ4と中央制御ユニット8の間の接続が切り離されて、ソフトウェアの更新中、第二の真空ポンプ6が第一の真空ポンプ4の機能を引き受けることができるように、第二の真空ポンプ6が中央制御ユニット8と接続される。第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードの更新が終了すると、再び第一の真空ポンプ4が中央制御ユニット8と接続されて、第二の真空ポンプ6が中央制御ユニット8から切り離される。それに続いて、第二の真空ポンプ6のソフトウェアコードも更新することができる。先ずは第二の真空ポンプ6のソフトウェアコードを更新し、その後漸く第一の真空ポンプ4のソフトウェアコードを更新することも基本的に可能であることは明らかである。
【0039】
図3は、制御基板14,16を差し込むことができる差込用筐体12と接続されたアクチュエータ10、例えば、駆動機器を備えた真空システム2を図示している。
図3では、第一の制御基板14が、差込用筐体12に差し込まれており、アクチュエータ10を制御する。第一の制御基板14で実行可能なソフトウェアコードを更新する場合、第一の制御基板14が差込用筐体12から引き出されて、第二の制御基板16が差込用筐体12に差し込まれて、それに置き換えられる。第一の制御基板14を、より正確に言うと第一の制御基板14のソフトウェアコードを更新している間、第二の制御基板16がアクチュエータ10を制御する。第一の制御基板14の更新が終了すると、第二の制御基板16が引き抜かれて、第一の制御基板14が再び差込用筐体12に差し込まれ、その結果、第一の制御基板14が再びアクチュエータ10を制御する。それに続いて、第二の制御基板16のソフトウェアコードを更新することができる。しかし、第一の制御基板14の前に第二の制御基板16のソフトウェアコードを事前に更新しておくこともでき、その場合には、第一の制御基板14の更新後に第二の制御基板16を差込用筐体12に差し込んだままにすることができることは明らかである。
【0040】
図4には、アクチュエータ10を備えた真空システム2が図示されており、このアクチュエータは、
図3と異なり、第一の制御基板14及び第二の制御基板16と持続的に接続されている。
図4の真空システム2は、第一の制御基板14を用いても、第二の制御基板16を用いても動作させることができ、その結果、一方の制御基板14,16のソフトウェアを更新するために、それぞれ他方の制御基板16,14に切り換えるだけで良い、詳しくは、そのために本真空システム2の動作を中断する必要がない。
【0041】
図5は、同じく制御基板17と接続されたアクチュエータ10を備えた真空システム2を図示している。この制御基板17は、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードが保存されたメモリ18を有する。更に、このメモリ18は、フラッシュメモリ20とRAMメモリ22を有する。本真空システム2の標準的な動作では、このコンピュータで実行可能なソフトウェアコードがフラッシュメモリ20に保存されている。ソフトウェアコードを更新する場合、ソフトウェアコードがRAMメモリ22に退避される。特に、本真空システム2の標準的な動作に無条件で必要なソフトウェアコードの部分がRAMメモリ22に退避される。従って、更新中は、フラッシュメモリ20のソフトウェアコードを更新できる一方、RAMメモリ22に退避されたソフトウェアコードを用いて、本真空システム2の動作が引き続き実行される。フラッシュメモリ20のソフトウェアコードの更新が成功裡に終了した場合、RAMメモリ22に退避されたソフトウェアコードの部分が消去され、その結果、RAMメモリ22のそれに対応して占有されていたメモリスペースが解放される。
【0042】
図6は、本真空システム2のソフトウェアの更新に関するフローチャートを普遍化した形で図解している。工程24では、本真空システム2は、第一及び/又は第二のコンポーネント、例えば、第一及び/又は第二の真空ポンプ4,6又は第一及び/又は第二の制御基板14,16を用いて標準的な動作で、即ち、更新プロセスが進行していない状態で作動されている。
【0043】
工程26では、例えば、更新信号によって、第一のコンポーネントのソフトウェアの来るべき更新が提示される。この更新信号に反応して、第一と第二のコンポーネントが、第一のコンポーネントのソフトウェアの更新を開始できる状態に移行する。例えば、第一のコンポーネントは、第一のコンポーネントが最早真空システム2の動作に寄与しない不活動状態に移行する一方、第二のコンポーネントが活動状態に移行して、単独で真空システム2の動作を引き受ける。
【0044】
工程28では、第一のコンポーネントのソフトウェアの更新が行われる一方、本真空システム2は、第二のコンポーネントを用いて作動される。
【0045】
工程30では、第一のコンポーネントのソフトウェアの更新が成功したのかが検査される。これに加えて、更新プロセスが予め定義された時間長よりも長く続いているのかを検査することができ、これが肯定的に確認された場合、更新が失敗したと見做される。更新が成功したことと、予め定義された時間長を上回らなかったこととの中の一つ以上が確認された場合、第一のコンポーネントが本真空システム2の動作を引き受けて、第二のコンポーネントのソフトウェアがそれに対応して更新される(工程32)。
【0046】
それに対して、この検査が、第一のコンポーネントのソフトウェアの更新が成功しなかったことを示した場合、本真空システム2が、安全な動作状態に切り換えられるか、或いは第二のコンポーネントを用いて引き続き作動される(工程34)。
【0047】
工程36では、更に、第二のコンポーネントのソフトウェアの更新が成功したのかが検査される。第二のコンポーネントのソフトウェアの更新が成功した場合、本真空システム2は、標準的な動作に切り戻される(工程38を参照)。これに代わって、第二のコンポーネントのソフトウェアの更新が失敗したと確認された場合、本真空システム2が、安全な動作状態に切り換えられるか、或いは第一のコンポーネントを用いて引き続き作動される(工程40)。
【符号の説明】
【0048】
2 真空システム
4 第一の真空ポンプ
6 第二の真空ポンプ
8 中央制御ユニット
10 アクチュエータ
12 差込用筐体
14 第一の制御基板
16 第二の制御基板
17 制御基板
18 メモリ
20 フラッシュメモリ
22 RAMメモリ
24~40 本方法の工程
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のコンポーネントと第二のコンポーネントを備えた真空システム(2)であって、
これらのコンポーネントが、この真空システム(2)を動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有し、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動されるように構成されており、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動されるように構成されている、
真空システム。
【請求項2】
請求項1に記載の真空システム(2)において、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に無中断で引き続き作動される真空システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第二のコンポーネントのソフトウェアコードが、第一のコンポーネントの更新前に存在するソフトウェアコードと少なくとも部分的に一致する真空システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが複数のモジュールから構成され、更新の際に、これらの第一のコンポーネントのソフトウェアコードのモジュールの中の一つだけが更新される真空システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが第一のメモリに保存され、前記の第二のコンポーネントのソフトウェアコードが第二のメモリに保存されている真空システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新前に、このソフトウェアコードが少なくとも部分的に第二のコンポーネントに退避されて、更新の際に、第二のコンポーネントは、真空システム(2)を、このソフトウェアコードの退避された部分に基づき引き続き作動する真空システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が失敗した場合に、この真空システム(2)が、安全な動作状態に切り換えられるか、或いは以前のソフトウェアコードヴァージョンに基づき作動される真空システム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
この真空システム(2)の第一と第二のコンポーネントが、この真空システム(2)の同じ部分機能を実行するために配備されている真空システム。
【請求項9】
請求項8に記載の真空システム(2)において、
前記の部分機能が、標準的な動作において第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって実行され、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に第二のコンポーネントによってのみ実行される真空システム。
【請求項10】
請求項1に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントと第二のコンポーネントが、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードを実行する少なくとも一つの計算モジュールを有するハードウェア機器をそれぞれ備えている真空システム。
【請求項11】
請求項10に記載の真空システム(2)において、
標準的な動作において、第一のコンポーネントだけが真空システム(2)と接続されており、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新するために、第一のコンポーネントと真空システム(2)の間の接続が切り離されて、第二のコンポーネントと真空システム(2)の間の接続が構築される真空システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の真空システム(2)において、
前記のハードウェア機器及び/又は計算モジュールが、プラグ・アンド・プレイモジュールとして構成されている真空システム。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが成功裡に更新された後、この真空システム(2)が再び第一のコンポーネントによって作動されて、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが更新される真空システム。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新の前及び/又は後に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードがバックアップバージョンとしてバックアップメモリに保存される真空システム。
【請求項15】
真空システム(2)を動作させる方法であって、
この真空システム(2)が、この真空システム(2)を動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有する第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動され、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動される、
方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
工程36では、更に、第二のコンポーネントのソフトウェアの更新が成功したのかが検査される。第二のコンポーネントのソフトウェアの更新が成功した場合、本真空システム2は、標準的な動作に切り戻される(工程38を参照)。これに代わって、第二のコンポーネントのソフトウェアの更新が失敗したと確認された場合、本真空システム2が、安全な動作状態に切り換えられるか、或いは第一のコンポーネントを用いて引き続き作動される(工程40)。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
第一のコンポーネントと第二のコンポーネントを備えた真空システム(2)であって、
これらのコンポーネントが、この真空システム(2)を動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有し、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動されるように構成されており、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動されるように構成されている、
真空システム。
2.
上記1の真空システム(2)において、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に無中断で引き続き作動される真空システム。
3.
上記1又は2の真空システム(2)において、
前記の第二のコンポーネントのソフトウェアコードが、第一のコンポーネントの更新前に存在するソフトウェアコードと少なくとも部分的に一致する真空システム。
4.
上記1から3までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが複数のモジュールから構成され、更新の際に、これらの第一のコンポーネントのソフトウェアコードのモジュールの中の一つだけが更新される真空システム。
5.
上記1から4までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが第一のメモリに保存され、前記の第二のコンポーネントのソフトウェアコードが第二のメモリに保存されている真空システム。
6.
上記1から5までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新前に、このソフトウェアコードが少なくとも部分的に第二のコンポーネントに退避されて、更新の際に、第二のコンポーネントは、真空システム(2)を、このソフトウェアコードの退避された部分に基づき引き続き作動する真空システム。
7.
上記1から6までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新が失敗した場合に、この真空システム(2)が、安全な動作状態に切り換えられるか、或いは以前のソフトウェアコードヴァージョンに基づき作動される真空システム。
8.
上記1から7までのいずれか一つの真空システム(2)において、
この真空システム(2)の第一と第二のコンポーネントが、この真空システム(2)の同じ部分機能を実行するために配備されている真空システム。
9.
上記8の真空システム(2)において、
前記の部分機能が、標準的な動作において第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって実行され、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に第二のコンポーネントによってのみ実行される真空システム。
10.
上記1から9までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントと第二のコンポーネントが、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードを実行する少なくとも一つの計算モジュールを有するハードウェア機器をそれぞれ備えている真空システム。
11.
上記10の真空システム(2)において、
標準的な動作において、第一のコンポーネントだけが真空システム(2)と接続されており、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新するために、第一のコンポーネントと真空システム(2)の間の接続が切り離されて、第二のコンポーネントと真空システム(2)の間の接続が構築される真空システム。
12.
上記10又は11の真空システム(2)において、
前記のハードウェア機器及び/又は計算モジュールが、プラグ・アンド・プレイモジュールとして構成されている真空システム。
13.
上記1から12までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードが成功裡に更新された後、この真空システム(2)が再び第一のコンポーネントによって作動されて、第二のコンポーネントのソフトウェアコードが更新される真空システム。
14.
上記1から13までのいずれか一つの真空システム(2)において、
前記の第一のコンポーネントのソフトウェアコードの更新の前及び/又は後に、第一のコンポーネントのソフトウェアコードがバックアップバージョンとしてバックアップメモリに保存される真空システム。
15.
真空システム(2)を動作させる方法であって、
この真空システム(2)が、この真空システム(2)を動作させるためのコンピュータで実行可能なソフトウェアコードをそれぞれ有する第一のコンポーネント及び/又は第二のコンポーネントによって選択的に作動され、
この真空システム(2)が、第一のコンポーネントのソフトウェアコードを更新する際に少なくとも部分的に第二のコンポーネントによって引き続き作動される、
方法。
【外国語明細書】