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特開2024-86616時計ムーブメントのための共通グランド装置を備えるスマートウォッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086616
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】時計ムーブメントのための共通グランド装置を備えるスマートウォッチ
(51)【国際特許分類】
   G04G 17/00 20130101AFI20240620BHJP
   G04G 17/08 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G04G17/00 Z
G04G17/08
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203789
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】22213672.3
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】バルマー、 ラファエル
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB01
2F002AB04
2F002AB06
2F002AC01
2F002AC03
2F002GA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】時計ムーブメントの電気的部材を共通グランドに接続するための装置を備えたスマートウォッチを提供する。
【解決手段】スマートウォッチ1は、時計ムーブメント10に含まれる電気コネクタ18に電気的に接続される処理ユニット13及び通信モジュール12を備え、スマートウォッチ1は、中心軸Zを有する環状本体205と、環状本体205に設けられる締結タブ210とを備える導電性弾性リング200によって形成される共通グランド装置を備え、締結タブ210は、挿入位置とロック位置との間の中心軸Zを中心とした中間部110に対する導電性弾性リング200の回転によってバヨネットロックシステム300を形成するように中間部110と協働し、及び導電性弾性リング200は、導電性弾性リング200が中間部110内でロック位置にあるときに時計ムーブメント10の導電体18と電気的に接触するように構成される導電性ラグ250を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間部(110)を有するケース(100)と、前記中間部(110)によって画定される内部空間(115)に収容される時計ムーブメント(10)とを備えるスマートウォッチにおいて、前記時計ムーブメント(10)は、前記時計ムーブメント(10)に含まれる電気コネクタ(18)に電気的に接続される処理ユニット(13)及び通信モジュール(12)を備え、
前記スマートウォッチ(1)は、中心軸(Z)を有する環状本体(205)と、前記環状本体(205)に設けられる締結タブ(210)とを備える導電性弾性リング(200)によって形成される共通グランド装置を備え、前記締結タブ(210)は、挿入位置とロック位置との間の前記中心軸(Z)を中心とした前記中間部(110)に対する前記導電性弾性リング(200)の回転によってバヨネットロックシステム(300)を形成するように前記中間部(110)と協働すること、及び
前記導電性弾性リング(200)は、前記導電性弾性リング(200)が中間部(110)内でロック位置にあるときに前記時計ムーブメント(10)の導電体(18)と電気的に接触するように構成される導電性ラグ(250)を含むこと
を特徴とする、スマートウォッチ(1)。
【請求項2】
前記導電体(18)は、前記時計ムーブメント(10)の表面に設けられた電気トラックであること、及び
前記導電性弾性リング(200)が前記中間部(110)内で前記ロック位置にあるときに、前記導電性弾性リング(200)の前記導電性ラグ(250)が前記電気トラックに当接すること
を特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項3】
前記導電性ラグ(250)は、導電性弾性ラグであることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項4】
前記導電性ラグ(250)は、少なくとも弾性ケーシングリング(200)が前記中間部(110)内で前記ロック位置にあるときに、前記導電性ラグ(250)の弾性変形によって前記時計ムーブメント(10)に前記中心軸(Z)に平行な軸方向の力を加えるように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項5】
前記導電性ラグ(250)は、前記時計ムーブメント(10)に加わる軸方向の力によって、前記時計ムーブメント(10)が前記中間部(110)内で、好ましくは、前記中心軸(Z)に平行な軸方向に保持されることが保証されることを特徴とする、請求項4に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項6】
前記導電性ラグ(250)は、前記スマートウォッチへの衝撃の際に、好ましくは、前記中心軸(Z)に平行な軸方向に、前記時計ムーブメント(10)のための減衰手段を形成するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項7】
前記締結タブ(210)は、前記中心軸(Z)に対して半径方向に延びることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項8】
前記導電性ラグ(250)の各々は、前記環状本体(205)に接続され、かつ弾性的に変形するように成形される弾性部分(251)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項9】
前記弾性部分(251)は、前記環状本体(205)に対して前記中心軸(Z)に沿って軸方向にオフセットされる少なくとも1つの部分(253)を有する自由接触端(252)を備え、前記自由接触端(252)は、前記導電性弾性リング(200)が前記中間部(110)内で前記ロック位置にあるときに、前記時計ムーブメント(10)の前記導電体(18)の1つと電気的に接触することを特徴とする、請求項8に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項10】
前記導電性弾性リング(200)は、前記導電性弾性リング(200)が弾性クリップによって前記ロック位置において回転に対してロックされることを保証するように、前記時計ムーブメント(10)又は前記中間部(110)に設けられる弾性ロックフィンガ(230)と協働する角度ロック部材(220)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項11】
前記角度ロック部材(220)は、前記導電性弾性リング(200)の角度位置決めストップを形成するように、前記時計ムーブメント(10)又は前記中間部(110)の当接面と協働することを特徴とする、請求項10に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項12】
前記中間部(110)は、前記導電性弾性リング(200)の前記締結タブ(210)を、そこに支持するように受容するための支持面(111)を有することを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項13】
前記中間部(110)は、バヨネット溝(113)を備え、前記バヨネット溝(113)は、バヨネットロックシステム(300)を形成するように、前記締結タブ(210)と協働することを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項14】
前記導電性弾性リング(200)は、組み立て用の位置決めコード化要素(245)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項15】
前記導電性弾性リング(200)は、少なくとも1つの凹部(260,270)を備え、その形状は、組み立てツール(400)と協働するように適合されることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項16】
前記導電性弾性リング(200)は、前記導電性弾性リング(200)の回転を保証するように構成される第1の凹部(260)と、前記導電性弾性リング(200)のロック解除を保証するように構成される第2の凹部(270)とを備え、各凹部(260,270)は、組み立てツール(400)と協働するように適合される形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項17】
前記導電性弾性リング(200)は、導電性フィラーを有する金属又はポリマー材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載のスマートウォッチ(1)。
【請求項18】
請求項1に記載のスマートウォッチ(1)の時計ムーブメント(10)を共通グランドに接続するための組み立てツール(400)において、
前記導電性弾性リング(200)の少なくとも1つの凹部(260)と協働するように構成される少なくとも1つの突出要素(460)を備えることを特徴とする、組み立てツール(400)。
【請求項19】
前記導電性弾性リング(200)の複数の凹部(260)と協働するように構成される突出要素(460)を備え、前記組み立てツール(400)が回転すると、前記突出要素(460)は前記導電性弾性リング(200)を回転させることを特徴とする、請求項18に記載の組み立てツール(400)。
【請求項20】
前記時計ムーブメント(10)からロック解除されることを可能にするように、前記組み立てツール(400)が前記導電性弾性リング(200)上の所定の位置にあるときに、前記時計ムーブメント(10)又は前記中間部(110)に設けられる弾性ロックフィンガ(230)を係合解除するように構成されるロック解除ピン(470)を備えることを特徴とする、請求項19に記載の組み立てツール(400)。
【請求項21】
請求項1に記載のスマートウォッチ(1)の電子的又は電気機械式時計ムーブメント(10)を共通グランドに接続するための方法において、
前記時計ムーブメント(10)をケース(100)の中間部(110)に挿入するステップと、
前記導電性弾性リング(200)によって形成される共通グランド装置を前記時計ムーブメント上に挿入するステップと、
前記時計ムーブメント(10)の電気コネクタ(18)を共通グランドに接続するステップであって、このステップの間、前記導電性弾性リング(200)は、ロック位置に到達するまで前記中心軸(Z)を中心として回転可能に係合し、回転によって、前記中間部(110)における複数のバヨネット溝(113)内に前記締結タブ(210)を係合させ、前記導電性ラグ(250)は、前記導電性弾性リング(200)がロック位置にあるときに前記時計ムーブメント(10)の導電体(18)と電気的に接触するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通グランド接続を必要とする電気的又は電子的部材を有する電子的又は電気機械式時計ムーブメントを備えるスマートウォッチに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートウォッチの時計ムーブメントは、共通電位に接続される必要がある電気的又は電子的部材を有し得る。
【0003】
そのような電気的部材は、通常、グランド端子によって共通電位に接続され、それは、ムーブメントに接続されるフレキシブルプリント回路上のタブの形態を取り得る。
【0004】
しかしながら、特に時計ムーブメントに通信モジュール、例えばBluetooth(登録商標)型アンテナが組み込まれている場合、これは必ずしも十分ではない。
【0005】
このような通信モジュールを共通電位に接続するには、多数のコネクタが必要であり、特に様々なコネクタを配置するために必要とされる様々な操作のために、多数の部品の結果として、その実装、ムーブメントのケーシング作業及びそのグランドを複雑にする。その結果、共有電位に接続するためのこのようなソリューションの生産性に大きな影響を与える。
【0006】
さらに、共通電位に接続するこの作業は、通常、ムーブメントがスマートウォッチのケース内にケーシングされているときに行われる。
【0007】
スマートウォッチのこのような時計ムーブメントのケーシング、すなわちケース内へのムーブメントの締結は、多くの場合、ケースの内周に沿って設けられる溝に挿入される多数の締結クランプによっても達成され、クランプネジによって組み立て体は強固に接続される。
【0008】
結果として、このケーシング作業は、部品(コネクタ、クランプ、ネジ等)の数が多く、コネクタ、クランプ及びネジを配置するために必要な様々な操作のために、全体として実装に時間がかかりかつ複雑であり、これは、スマートウォッチの時計ムーブメントをケーシングし、共通電位に接続するためのこのようなソリューションの生産性に大きな影響を与える。
【0009】
その結果、スマートウォッチの電子的又は電気機械式時計ムーブメントを共通電位に接続するための装置を改善し、特に、ケーシング作業全体を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
この目的のために、本発明は、電子的又は電気機械式時計ムーブメントと、そのようなムーブメントの電気的部材を共通グランドに接続するための装置とを備え、前述の欠点の少なくとも1つを克服するスマートウォッチを提案することを目的とする。
【0011】
本発明によれば、そのような共通グランド装置は、導電性弾性リングの形態を取り、電子的又は電気機械式時計ムーブメントの様々な電気的部材を迅速に接続することを可能にする。本発明によるそのような導電性弾性リングは、多数のコネクタを使用する必要性を排除する。
【0012】
この文脈において、本発明は、中間部を有するケースと、中間部によって画定される内部空間に収容される時計ムーブメントとを備えるスマートウォッチに関連し、時計ムーブメントは、時計ムーブメントに含まれる電気コネクタに電気的に接続される処理ユニット及び通信モジュールを備える。
【0013】
スマートウォッチは、さらに、中心軸Zを有する環状本体と、前記環状本体に設けられる締結タブであって、挿入位置とロック位置との間の前記中心軸Zを中心とした前記中間部に対する前記導電性弾性リングの回転によってバヨネットロックシステムを形成するように前記中間部と協働する締結タブとを備える導電性弾性リングによって形成される共通グランド装置を備え、前記導電性弾性リングは、前記導電性弾性リングが中間部内でロック位置にあるときに時計ムーブメントの導電体と電気的に接触するように構成される導電性ラグを含む。
【0014】
好ましくは、前記導電性ラグは、弾性ラグである。このように、本発明による共通グランド装置は、時計ケースへの衝撃の際に時計ムーブメントの弾性減衰ソリューションも提供する。
【0015】
本発明による共通グランド装置は、時計ケース内に時計ムーブメントをケーシングするためのソリューションをさらに提供し、多数の保持クランプ及びクランプ締めネジの必要性を排除し、したがって、ネジ及びクランプに必要な多数の操作を排除する。
【0016】
前の段落で言及される特徴に加えて、本発明によるスマートウォッチは、個々の基準で、又は技術的に可能な任意の組み合わせに従って考慮される以下のうちの1つ以上の補完的な特徴を有することができる。すなわち、前記導電体は、前記時計ムーブメントの表面に設けられる電気トラックであり、前記導電性弾性リングが中間部内でロック位置にあるときに、前記導電性弾性リングの導電性ラグが前記電気トラックに当接すること、前記導電性ラグは、導電性弾性ラグであること、前記導電性ラグは、少なくとも前記弾性ケーシングリングが中間部内でロック位置にあるときに、前記導弾性電性ラグの弾性変形によって前記時計ムーブメントに前記中心軸Zに平行な軸方向の力を加えるように構成されること、前記導電性ラグは、前記時計ムーブメントに加わる軸方向の力によって、前記時計ムーブメントが前記中間部内で、好ましくは、前記中心軸Zに平行な軸方向に保持されることが保証されること、前記導電性ラグは、前記スマートウォッチへの衝撃の際に、好ましくは、前記中心軸Zに平行な軸方向に、前記時計ムーブメントのための減衰手段を形成するように構成されること、前記締結タブは、前記中心軸Zに対して半径方向に延びること、前記導電性ラグの各々は、前記環状本体に接続され、かつ弾性的に変形するように成形される弾性部分を備えること、前記弾性部分は、前記環状本体に対して前記中心軸Zに沿って軸方向にオフセットされる少なくとも1つの部分を有する自由接触端を備え、前記自由接触端は、前記導電性弾性リングが前記中間部内で前記ロック位置にあるときに、前記時計ムーブメントの前記導電体の1つと電気的に接触すること、前記導電性弾性リングは、前記導電性弾性リングが弾性クリップ又はロックによって前記ロック位置において回転に対してロックされることを保証するように、前記時計ムーブメント又は前記中間部に設けられる弾性ロックフィンガと協働する角度ロック部材を備えること、前記角度ロック部材は、前記導電性弾性リングの角度位置決めストップを形成するように、前記時計ムーブメント又は前記中間部の当接面と協働すること、前記中間部は、前記導電性弾性リングの前記締結タブを、そこに支持するように受容するための支持面を有すること、前記中間部は、バヨネット溝を含み、前記バヨネット溝は、バヨネットロックシステムを形成するように、前記締結タブと協働すること、前記導電性弾性リングは、組み立て用の位置決めコード化要素を備えること、前記導電性弾性リングは、少なくとも1つの凹部を備え、その形状は、組み立てツールと協働するように適合されること、前記導電性弾性リングは、前記導電性弾性リングの回転を保証するように構成される第1の凹部と、前記導電性弾性リングのロック解除を保証するように構成される第2の凹部とを備え、各凹部は組み立てツールと協働するように適合される形状を有すること、前記導電性弾性リングは、導電性フィラーを有する金属又はポリマー材料から作られることという特徴を有し得る。
【0017】
本発明は、さらに、本発明によるスマートウォッチの時計ムーブメントを共通グランドに接続するための組み立てツールに関する。
【0018】
前記組み立てツールは、前記導電性弾性リングの少なくとも1つの凹部と協働するように構成される少なくとも1つの突出要素を備える。
【0019】
好ましくは、前記組み立てツールは、前記導電性弾性リングの複数の凹部と協働するように構成される突出要素を備え、前記突出要素は、前記組み立てツールが作業者、コントローラ又はロボットによって回転されるときに前記導電性弾性リングを回転させる。
【0020】
有利には、前記組み立てツールは、前記時計ムーブメントからロック解除されることを可能にするように、前記組み立てツールが導電性弾性リング上の所定の位置にあるときに、前記弾性ロックフィンガを係合解除するように構成されるロック解除ピンを備える。
【0021】
本発明は、さらに、本発明によるスマートウォッチの電子的又は電気機械式時計ムーブメントを共通グランドに接続する方法に関する。
【0022】
本発明による共通グランドへの接続方法は、前記時計ムーブメントをケースの中間部に挿入するステップと、前記導電性弾性リングによって形成される共通グランド装置を前記時計ムーブメント上に挿入するステップと、前記時計ムーブメントの前記電気コネクタを共通グランドに接続するステップであって、このステップの間、前記導電性弾性リングは、ロック位置に到達するまで前記中心軸Zを中心として回転可能に係合し、前記回転によって、前記中間部の複数のバヨネット溝内に前記締結タブを係合させ、前記導電性ラグは、前記導電性弾性リングがロック位置にあるときに前記時計ムーブメントの導電体と電気的に接触するステップとを含む。
【0023】
好ましくは、前記導電性弾性リングによって形成される共通グランド装置を挿入するステップの間に、前記導電性弾性リングの締結タブは、前記中間部の軸受面に当接する。
【0024】
好ましくは、共通グランドに接続するステップは、時計ムーブメントを前記時計ケース内にケーシングし、前記時計ケース内に保持することを可能にする。
【0025】
好ましくは、時計ムーブメントの電気コネクタを共通グランドに接続するステップは、組み立てツールが作業者、コントローラ又はロボットによって回転されるときに、前記導電性弾性リングを回転可能に係合させるために、前記導電性弾性リングの少なくとも1つの凹部と協働する少なくとも1つの突出要素を備える組み立てツールを使用して行われる。
【0026】
共通グランドに接続する方法は、手動で、すなわち個人によって行われてもよく、又は自動化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の目的、利点及び特徴は、以下の図面を参照して以下に与えられる詳細な説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
図1】中間部を有するケースと、中間部に取り付けられる時計ムーブメントと、時計ムーブメントをグランドするための共通グランド装置とを含む、本発明によるスマートウォッチの半分解斜視図である。
図2図1に示す本発明によるスマートウォッチの上面図であり、図2は特に挿入位置にある共通グランド装置を示す。
図3図1に示す本発明によるスマートウォッチの上面図であり、図3は特に中間部の内側のロック位置にある共通グランド装置示す。
図4】本発明による中間部の断面図であり、この断面図はバヨネット溝で形成されている。
図5】本発明による共通グランド装置の詳細図であり、より具体的には共通グランド装置の角度ロック部材を示す。
図6】本発明による共通グランド装置の詳細図であり、より具体的には弾性電気的接触ラグを示す。
図7】本発明による共通グランド装置によって時計ムーブメントを共通グランドに接続するための組み立て/分解ツールの概略図である。
【0028】
全ての図において、共通の要素には、特に断らない限り同じ参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、中心軸Bを有するケース100と、ケースバック(図示せず)及び水晶(図示せず)によっていずれかの側で閉じられるように構成される中間部110とを備える、本発明によるスマートウォッチ1の分解斜視図である。
【0030】
スマートウォッチ1は、中間部110によって画定される内部空間115に収容される時計ムーブメント10を備える。
【0031】
例えば、中間部110は、金属、セラミック又はポリマー材料、又は異なる材料の組み合わせから作られる。
【0032】
時計ムーブメント10は、電気機械式又は電子式ムーブメントであり得る。
【0033】
時計ムーブメント10は、一般平面P1に垂直な中心軸Aを有する。時計ムーブメント10の一般平面P1は、針(図示せず)の平面に平行である。時計ムーブメント10の中心軸Aは、時計ムーブメントの針の回転軸に平行であるか、又は対応している。
【0034】
時計ムーブメント10の中心軸Aは、中間部110の中心軸Bに平行であるか、又は対応している。
【0035】
好ましくは、時計ムーブメント10は、時間モジュール、処理ユニット13、及び通信モジュール12、例えばBluetooth(登録商標)型アンテナを備える。
【0036】
このような通信モジュール12は、その電位の1つを固定する必要がある。したがって、通信モジュール12の電位の1つは、共通グランド装置に導電的に結合されなければならない。
【0037】
時計ムーブメント10に含まれる他の電気的又は電子的部材も、共通グランドを必要とする場合があることは言うまでもない。
【0038】
処理ユニット13及び通信モジュール12は、時計ムーブメント10に含まれる少なくとも1つの電気コネクタ18に電気的に接続される電位を有する。
【0039】
好ましくは、時計ムーブメント10は、時計ムーブメント10の表面に設けられる複数の電気コネクタ18を備える。
【0040】
好ましくは、電気コネクタ18は、時計ムーブメント10の周囲に、すなわち中心軸Aから半径方向に離れた領域に分散している。
【0041】
図示の例示的な実施形態では、時計ムーブメント10の共通グランド(又は共通電位)への接続は、ケースバック側から行われる。時計ムーブメント10の共通グランドへの接続は、水晶側からも行うことも可能であり、それも本発明の範囲内にあることは言うまでもない。
【0042】
本発明の主な目的は、時計ムーブメント10をケース100に組み立てる際に、時計ムーブメント10の各種の電気的又は電子的部材を共通グランドに接続するこの作業を容易にするための共通グランド装置を提案することにある。
【0043】
また、本発明による共通グランド装置は、特に複数のクランプ及びネジを使用する必要性をなくすことによって、ケーシング作業中の時計ムーブメント10の中間部110への締結を簡略化する。
【0044】
本発明による共通グランド装置は、有利には、時計ムーブメント10をケース100に締結、固定、及びロックするための手段を備える。したがって、共通グランド装置は、時計ムーブメントをケーシングするための装置を置き換えることもできる。
【0045】
したがって、このような本発明による共通グランド装置により、時計ムーブメント10を共通グランドに接続するステップと、時計ムーブメント10を中間部110に締結するステップとが、共通グランド装置の単一のロック操作で同時に行われる。
【0046】
本発明による共通グランド装置は、導電性弾性リング200である。
【0047】
図2は、本発明によるこのようなスマートウォッチ1の上面図をより詳細に示しており、その内部では、時計ムーブメント10がケース100内に組み立てられ、挿入位置にある(つまりロックされていない)導電性弾性リング200が時計ムーブメント10の上に配置されている。導電性弾性リング200のこの挿入位置から、導電性弾性リング200を軸Zを中心として数度回転させると、図3に示すように、導電性弾性リングがロック位置になる。このロック位置により、時計ムーブメントの電気的部材、特に通信モジュール12が共通グランドに接続されることが保証される。
【0048】
一例として、ロック方向は、図2に示す導電性弾性リング200上では矢印によって時計回りであるように示されている。しかしながら、ロック方向は反時計回りであってもよい。
【0049】
図3は、特に、ロック位置にあり、かつ時計ムーブメント10の様々な電気コネクタ18に電気的に接続された導電性弾性リング200を示している。
【0050】
有利には、このような導電性弾性リング200は、導電性フィラーを含む金属又はポリマー材料から作られる。
【0051】
このような導電性弾性リング200は、時計ムーブメント10の動きの影響、主に時計ケース100への衝撃の際の軸Zに沿った軸方向の動きの影響を軽減する減衰機能も有する。導電性弾性リング200は、中心軸Zを有する環状本体205と、軸方向Zに対して半径方向に延びる締結タブ210とを備える。
【0052】
図示の例示的な実施形態では、時計ムーブメント10の中心軸Aは、導電性弾性リング200の環状本体205の中心軸Zと一致する。しかしながら、他の構成も可能であり、それも本発明の範囲内である。
【0053】
導電性弾性リング200の締結タブ210は、中間部110に形成されるバヨネット溝113と協働して、バヨネットケーシングシステム300を形成する。このようなバヨネットロックシステム300は、共通グランドへの接続が行われない図2に示す挿入位置(ロックされていない)と、時計ムーブメント、特に通信モジュール12が共通グランドに接続された図3に示すロック位置との間で軸Zを中心として導電性弾性リング200を中間部110に対して回転させるだけで、時計ムーブメント10を共通グランドに接続し、任意選択的にケーシングすることを可能にする。
【0054】
図4は、中間部110の断面図を示し、より詳細には、バヨネット溝113を有する部分を示す。
【0055】
導電性弾性リング200を受容するために、中間部110は、中間部110の内周に沿って延びる円形の肩部を形成する支持面111を備える。
【0056】
より具体的には、導電性弾性リング200が中間部110に挿入されると、締結タブ210は、中間部110の支持面111上に少なくとも部分的に載置される。
【0057】
一般的に言えば、「内部」、「内側」、「外部」及び「外側」という用語は、もちろん、導電性弾性リング200の中心軸を形成する図1に示された軸方向Zに対して理解されるべきであり、「内部」要素は、「外部」要素よりも中心軸に近い。
【0058】
代替的な実施形態によれば、複数の支持面111が配置され、中間部110の内周部の角部分にわたって延在し、中間部110の内周部に沿って均等に又は他のやり方で分散され得る。この代替的な実施形態において、支持面111の数は、好ましくは、弾性ケーシングリング200の締結タブ210の数と等しい。
【0059】
図示の例示的な実施形態において、導電性弾性リング200は、6つの締結タブ210を備える。しかしながら、締結タブ210の数は、6つに限定されず、この数は、2以上の任意の数であり得る。バヨネット溝113は、支持面111と、支持面111に対向する保持面114との間に形成される。
【0060】
バヨネット溝113の数は、少なくとも締結タブ210の数に等しい。
【0061】
図示の例示的な実施形態では、バヨネット溝113は、時計ムーブメント10の一般平面P1に平行な平面に、すなわち、時計ムーブメント10の中心軸Aに垂直な平面に配置される。
【0062】
代替的な実施形態では、バヨネット溝113は、締結タブ210の回転及び並進をガイドし、軸Zを中心とした回転によってロックするときに、軸Zに沿って時計ムーブメント10に向かって導電性弾性リング200の垂直変位を課すように、時計ムーブメント10の一般平面P1に対して傾斜した少なくとも1つの部分を含むように配置され得る。例えば、バヨネット溝113は、ケース100の結晶に向かって(すなわち、時計ムーブメント10及び弾性ケーシングリング200が挿入される側の反対側に向かって)勾配を有する少なくとも1つの部分を有し得る。
【0063】
支持面111と保持面114との間の空間は、バヨネット溝113の幅を規定する。バヨネット溝113の幅は、一定であっても可変であってもよく、例えば、締結タブ210の挿入を容易にするために挿入端部において最も広い幅を有し、バヨネット溝113の底部で最も狭い幅を有し、例えば、摩擦又は摩耗によって締結タブ210をさらに保持するために締結タブ210の厚さに近い、又は対応する幅であり得ることは言うまでもない。
【0064】
しかしながら、後述するように、本発明による導電性弾性リング200は、時計ムーブメント10と接触して時計ムーブメント10に弾性的に作用する複数の導電性弾性ラグ250を備えるため、このような配置は必須ではない。このように、導電性弾性ラグ250は、弾性反作用によって、バヨネット溝113において保持面114に押し付けられる導電性弾性リング200の締結タブ210を保持するように作用する。
【0065】
バヨネット溝113は、導電性弾性リング200が回転しているときの角度位置決めストップを形成するための、底部又は障害物、例えば突起を備え得る。
【0066】
導電性弾性リング200は、中間部110に形成され、軸Zに沿って軸方向に延びる空洞246と協働する、組み立て用の少なくとも1つの位置決めコード化要素(組み立てキー)245をさらに備える。
【0067】
導電性弾性リング200は、導電性弾性リング200のロック位置が回転することを防止する角度ロック部材220を備える。角度ロック部材220は、特にケース100への衝撃の場合に、導電性弾性リング200が偶発的に緩み又はロック解除されることを防止するように構成される。したがって、このような角度ロック部材220は、時計ムーブメント10の共通グランドへの接続が、スマートウォッチ1への衝撃の場合でも確実に保証される。
【0068】
代替的な実施形態によれば、導電性弾性リング200は、複数の角度ロック部材220を備える。
【0069】
図5は、角度ロック部材220を備える導電性弾性リング200の一部を示す。
【0070】
第1の代替的な実施形態では、図示のように、角度ロック部材220は、第1の端部が導電性弾性リング200の環状本体205に接続される部分222を有する。この部分222は、第1の端部とは反対側に、環状本体205に対して軸Zに沿って軸方向にオフセットされる自由端221を有する。このように、自由端221は、導電性弾性リング200の環状本体205から突出しており、時計ムーブメント10に向けられている。
【0071】
角度ロック部材220は、中間部110又は時計ムーブメント10に設けられる弾性ロックフィンガ230と協働するように構成されている。このような弾性ロックフィンガ230は、導電性弾性リング200が当接しているときに逆回転するのを防ぐように形成されている。すなわち、リングはロック位置にある。
【0072】
第2の代替的な実施形態では、角度ロック部材220は、環状本体205の少なくとも下面(すなわち、時計ムーブメント10に対向するように意図される表面)に設けられる凹凸、例えば穴の形態を取り得る。凹凸は貫通していてもいなくてもよい。したがって、中間部110又は時計ムーブメント10に設けられる弾性ロックフィンガ230は、導電性弾性リング200が当接する際に逆回転するのを防ぐために、少なくとも部分的に凹凸に嵌合するように成形される。すなわち、リングはロック位置にある。
【0073】
図示の例示的な実施形態では、弾性ロックフィンガ230は時計ムーブメント10に属し、時計ムーブメント10は、中間部110の内周に形成されるスロットと協働するキャッチ、バー、又はアドホック手段によって中間部110の回転に対してロックされる。これらの手段も、時計ムーブメント10をケース100内に組み立てる際に、中間部110における時計ムーブメント10の正しい位置決め及び向きを保証するために、組み立て用の位置決めコード化要素(組み立てキー)を形成することを可能にする。
【0074】
図5に示されるように、導電性弾性リング200の角度ロック部材220は、中間部110又は時計ムーブメント10の当接面16と接触することによって、導電性弾性リング200の角度位置決めストップを形成することも可能であり、これにより、中間部110の溝113に1つ以上の角度ストップを形成する必要がなくなる。このような中間部110の製造は、このように単純化される。
【0075】
角度ロック部材220及び弾性ロックフィンガ230は、導電性弾性リング200の弾性クリップ又はロックによるブロック手段を形成する。回転防止手段は、可逆的であり、角度ロック部材220及び導電性弾性リング200の回転を導電性弾性リング200のロック解除及び分解する方向に解放するために、弾性ロックフィンガ230に応力を加え、この場合は軸Zに平行な軸方向に弾性的に変形させることを可能にするポイント又は組み立て/分解工具によってロック解除することができる。
【0076】
弾性ロックフィンガ230は、係合解除可能要素として機能する。これは、導電性弾性リング200が組み立てられているときには非アクティブであり、一旦ロック位置(スマートウォッチ1の動作位置)になるとリングが逆回転するのを防ぐように構成される。
【0077】
より詳細には、図示の代替的な実施形態では、弾性ロックフィンガ230は、自由位置にあるときに、その端部が、環状本体205から軸方向に最も遠い位置にある角度ロック部材220の自由端221の部分の軸方向に上に位置するように成形される。
【0078】
弾性ロックフィンガ230は、ポリマー又は金属材料のいずれかから作られ得る。
【0079】
導電性弾性リング200は、時計ムーブメント10の電気コネクタ18に対して支持するように構成される導電性ラグを有する。例えば、電気コネクタ18は、時計ムーブメント10の表面に設けられる電気トラックである。
【0080】
任意選択的に、導電性ラグ250は、時計ムーブメント10の軸Zに平行な軸に沿って時計ムーブメント10に十分な軸方向の力を作用させるように成形され、ケーシング作業を実行するために、例えばクランプ及びネジ、又はさらにはケーシングリング等の他のアドホック装置に頼ることなく、時計ムーブメントが中間部110に保持されることを保証することができる。
【0081】
有利には、導電性ラグ250は、導電性弾性ラグである。
【0082】
このような導電性弾性ラグ250は、通常の使用中に中間部110内の所定の位置に保持するように時計ムーブメント10が中間部110内で軸方向に応力を加えられることを可能にしながら、ケース100への衝撃の際に時計ムーブメント10の動き、特に軸方向の動きを吸収する手段を形成する。
【0083】
図6は、特に、導電性弾性ラグ250の一方における弾性ケーシングリング200の一部を示す。
【0084】
導電性弾性ラグ250は、第1の端が導電性弾性リング200の環状本体205に接続される弾性部分251を備える。この弾性部分251は、例えばブレードの形態を取るものであり、弾性ケーシングリング200の環状本体205に対して弾性的に変形することが意図されている。弾性部分251は、自由接触端252を備え、その少なくとも1つの部分253は、軸Zに沿って、弾性ケーシングリング200の環状本体205及び締結タブ210に対して軸方向にオフセットされている。したがって、自由接触端252は、弾性ケーシングリング200の環状本体205から時計ムーブメント10に向かって突出する。
【0085】
有利には、導電性弾性ラグ250の自由接触端252及び角度ロック部材220の自由端221は、環状本体205によって形成される平面に対して異なる高さに設けられる。
【0086】
導電性弾性ラグ250の自由接触端252は、導電性弾性リング200が中間部110の内側のロック位置にあるときに、時計ムーブメント10の様々な電気コネクタ18に接触するように構成される。
【0087】
好ましくは、導電性弾性ラグ250は、ケース100への衝撃の場合でも、時計ムーブメント10の共通グランドへの電気的接触及び接続を確保するために十分な力を加えるように構成される。
【0088】
好ましくは、導電性弾性ラグ250の自由接触端252は、導電性弾性リング200が中間部110の内側のロック位置にあるときに、時計ムーブメント10に中心軸Zに平行な軸方向の力を加えるように構成される。
【0089】
全ての電気コネクタ18は、リング200を回転させることによって、導電性弾性リング200を介して電気的に接触し、この回転によって、様々な導電性弾性ラグ250が電気コネクタ18と電気的に接触するように位置決めされる。したがって、時計ムーブメント10は、弾性ケーシングリング200がロックされたときに、単一の回転動作によって共通グランドに接続される。
【0090】
好ましくは、導電性弾性ラグ250は、時計ケース100への衝撃の際に時計ムーブメント10の変位を軽減する吸収又は減衰手段を形成しながら、通常の使用中に時計ムーブメント10を中間部110内の所定位置に保持するように中間部110内の時計ムーブメントに応力を与えるように構成される。
【0091】
図示の例示的な実施形態では、導電性弾性ラグ250は、時計ムーブメント10の軸方向変位の影響を減衰させるために、軸Zに沿って時計ムーブメント10に軸方向に応力を与える。
【0092】
電気コネクタ18は、導電性弾性ラグ250を受け入れて収容するように構成される時計ムーブメント10の上面内に凹設され得る。したがって、凹設された電気コネクタ18は、導電性弾性リング200の位置の指示を提供し、及び/又は導電性弾性リング200をロック位置にロックすることに寄与し得る。
【0093】
また、これらの凹設された電気コネクタ18に収容される導電性弾性ラグ250は、時計ムーブメント10が平面P1内で変位することを少なくとも部分的に防止し、及び/又は平面P1における時計ムーブメント10の変位を減衰又は軽減させることができる。
【0094】
導電性弾性リング200は、導電性弾性リング200の組み立て(ロック)及び分解(ロック解除)を行うための組み立てツール400の突起、ピン又はキャッチ等の突出要素460と協働するように構成される、好ましくは少なくとも2つの凹部260をさらに備える。
【0095】
図示の例示的な実施形態では、弾性リングは、5つの凹部260を備える。
【0096】
凹部260は、穴、ノッチ等であってもよく、同一又は異なる形状を有し得る。
【0097】
組み立てツール400は、導電性弾性リング200の取り扱い、ロック及びロック解除を容易にするための本体410を備える。
【0098】
図7は、導電性弾性リングの組み立て、時計ムーブメント10の共通電位への接続、任意選択的に時計ムーブメント10を中間部110内にケーシングするための本発明によるそのような組み立てツール400を概略的に示す。
【0099】
組み立てツール400は、時計製造者によって容易に把持され、導電性弾性リング200の前記少なくとも1つの凹部260に嵌合するように構成される少なくとも1つのピン460を有するスリーブの形態を取り得る。
【0100】
図示の例示的な実施形態では、組み立てツール400は、導電性弾性リング200の5つの凹部260に嵌合するように構成される5つのピン460を備える。
【0101】
導電性弾性リング200は、組み立てツール400のロック解除ピン470を受け入れて通過させるように構成される分解凹部270をさらに含む。このような分解凹部270は、好ましくは、他の凹部260とは異なる特定の形状を有し、特に、他の凹部と比較して識別を容易にする。導電性弾性リング200を回転させるために使用される他の凹部260と比較して分解凹部270を容易に識別するために、他の手段を使用し得ることは言うまでもない。
【0102】
分解凹部270は、例えば、長穴又はノッチであり、一方、凹部260は、円形であってもよい。
【0103】
分解凹部270は、導電性弾性リング200が中間部110のロック位置にあるときに、弾性ロックフィンガ230の上方に位置するように環状本体205に形成される。
【0104】
組み立てツール400のロック解除ピン470は、組み立てツール400が導電性弾性リング上に位置するときに、弾性ロックフィンガ230を係合解除するように構成される。ロック解除ピン470は、弾性ロックフィンガ230を押圧して弾性的に変形させ、それを角度ロック部材220から解放するか又は角度ロック部材220の軌道から除去するように構成され、これにより、導電性弾性リング200を逆回転させることを可能にする。
【0105】
したがって、組み立てツール400が導電性弾性リング200上の所定の位置にあると、組み立て方向とは反対方向にツールを回転させるだけで、導電性弾性リング200を分解するのが容易になり、これにより、ピン460と凹部260との協働の結果として導電性弾性リング200を回転させる。
【0106】
有利には、導電性弾性リング200の挿入位置、すなわち、弾性ケーシングリング200が中間部110の支持面111に載置されているだけの(締結タブ210がバヨネット溝113に係合していない)位置では、導電性弾性ラグ250は、時計ムーブメントの電気コネクタ18と電気的に接触していない。したがって、導電性弾性ラグ250は、導電性弾性リング200が中間部110にロックされている場合にのみ、電気コネクタ18と接触している。
【0107】
しかしながら、導電性弾性ラグ250は、挿入位置において時計ムーブメント10の他の非導電性部分とも接触し得る。
【0108】
有利には、導電性弾性ラグ250は、弾性ケーシングリング200がロック位置にある場合にのみ、力、特に軸方向の力を時計ムーブメント10に作用させる。
【0109】
(本発明によるスマートウォッチの時計ムーブメントを共通グランドに接続する方法)
時計ムーブメント10を共通グランドに接続するために、第1の操作は、ムーブメント10及び中間部110の様々なインデックス要素が、存在する場合に、並ぶように時計ムーブメント10を中間部110に挿入することから成る。したがって、時計ムーブメント10は、中間部110に対して所定の角度位置に取り付けられ得る。様々なインデックス要素は、時計ムーブメント10を軸Zに対して中間部110内で回転させて保持する。
【0110】
図示の例示的な実施形態では、時計ムーブメント10は、ケースバック側から挿入される。
【0111】
次に、第2の操作は、締結タブ210が中間部110の支持面111に当接するようになるまで、導電性弾性リング200を時計ムーブメント10の上方に挿入することから成る。
【0112】
代替的な実施形態によれば、導電性弾性リング200は時計ムーブメント10上に直接載置されてもよい。
【0113】
第3の操作は、1つ以上の角度位置決めストップのおかげで停止位置に達するまで、締結タブ210がバヨネット溝113に挿入されるように、導電性弾性リング200を所定のロック方向、例えば時計回りの方向に回転させることから成る。すなわち、導電性弾性リング200はロック位置にある。
【0114】
上述の例示的な実施形態では、導電性弾性リング200の角度ロック部材220は、弾性ケーシングリング200のための角度位置決めストップを形成するように、時計ムーブメント10の当接面と協働する。上述の例示的な実施形態では、導電性弾性リング200の角度ロック部材220は、導電性弾性リング200のための角度位置決めストップを形成するように、時計ムーブメント10の当接面16と協働する。
【0115】
回転中、操作者は、時計ムーブメント10の表面に係合する1つ以上の導電性弾性ラグ250の弾性変形による抵抗力を克服しなければならない場合がある。
【0116】
例えば、回転中、操作者は、リング200の回転中に時計ムーブメント10と接触する1つ以上の導電性弾性ラグ250の弾性変形による抵抗力を克服しなければならない場合があり、及び/又は、時計ムーブメント10と接触する1つ以上の導電性弾性ラグ250の摩擦によって生じる抵抗力を克服しなければならない場合がある。
【0117】
また、操作者は、締結タブ210を溝113に係合させることができるように、導電性弾性ラグ250に弾性的に応力を与えるために、軸Zに沿った軸方向の力を導電性弾性リング200に加える必要があり得る。
【0118】
好ましくは、導電性弾性リング200は、上述の本発明による組み立てツール400を使用して回転される。このようなケーシングツール400は、本発明による導電性弾性リング200の取り扱いを容易にする。
【0119】
この目的のために、本方法は、組み立てツール400の様々なピン460,470を導電性弾性リング200の様々なそれぞれの凹部260,270に整列させることによって、組み立てツール400を導電性弾性リング200上に位置決めすることからなる前のステップを含んでもよい。
【0120】
導電性弾性リングの回転中、角度ロック部材220の自由端221は、弾性ロックフィンガ230と接触し、リング200が回転するにつれて、又は導電性弾性リング200が時計ムーブメント10の上方に位置するとすぐに、弾性的に徐々に変形する。導電性弾性リング200がその最終的な角度位置(当接位置)に到達すると、弾性ロックフィンガ230は、もはや応力を受けず、角度ロック部材220と協働するように自由静止位置に戻ることができ、これにより、導電性弾性リング200が逆回転することを防止する。すなわち、導電性弾性リング200は所定の位置にロックされる。
【0121】
図示の例示的な実施形態では、弾性ロックフィンガ230は、角度ロック部材220に対向するか又はその上方に軸方向に(軸Zに沿って)配置され、これにより、導電性弾性リング200の逆回転を防止する。
【0122】
角度ロック部材220は、時計ムーブメント10の弾性フィンガー230と協働して、リングがロック位置にロックされることを可能にし、例えば、振動、連続する膨張サイクル、衝撃、着用者による不注意な使用等の影響により、導電性弾性リング200の予期せぬ不本意な分解又は緩みを防止する。
【0123】
導電性弾性リング200は、約20°回転することによって、挿入位置からロック位置へ、及びその逆方向に移動する。
【0124】
一旦ロック位置に入ると、様々な導電性弾性ラグ250は、時計ムーブメント10の様々な電気コネクタ18と電気的に接触する。
【0125】
有利には、導電性弾性リングの回転ロックは、時計ムーブメント10が中間部110に保持されることも保証する。
【0126】
導電性弾性リングを分解するには、好ましくは、ロック解除方向に回転できるように、組み立てツール400を使用して弾性フィンガー230を係合解除し、角度ロック部材220を解放する必要がある。
【0127】
好ましくは、導電性弾性リング200の組み立て中に述べたツールは、導電性弾性リング200をロック解除して分解するためにも使用される。上述したように、ツール400は、操作者によってツールが導電性弾性リング200上の所定の位置に保持されたときに、弾性ロックフィンガ230と協働して軸Zに対して軸方向位置に応力を加えるように構成されるロック解除ピン470を備える。
【0128】
好ましくは、本発明による時計ムーブメント10を共通グランドに接続する方法は、時計ムーブメント10を中間部110内にケーシングすることを可能にする。
【0129】
一般に、本発明は、操作者によって実行される操作について説明した。しかしながら、本発明は、本発明による時計ムーブメントを共通グランドに接続する方法が手動又は自動であるように、コントローラ又はロボットに適用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】