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▶ イビデン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008663
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20240112BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H05K3/18 D
H05K3/18 G
H05K3/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110705
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 真道
【テーマコード(参考)】
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB12
5E317CC25
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD27
5E317CD32
5E317GG03
5E317GG14
5E343AA15
5E343AA17
5E343BB24
5E343DD25
5E343DD43
5E343GG08
(57)【要約】
【課題】高密度なプリント配線板を製造するための製造方法の提供。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、樹脂絶縁層を形成することと、前記樹脂絶縁層上にシード層を形成することと、前記シード層上に第1幅を有する第1めっきレジストを写真技術により形成することと、前記第1めっきレジストにプラズマを照射することで、前記第1めっきレジストから第2幅を有する第2めっきレジストを形成することと、前記第2めっきレジストから露出する前記シード層上に電解めっき膜を形成することと、前記第2めっきレジストを除去することと、前記電解めっき膜から露出する前記シード層を除去することで、前記樹脂絶縁層上に第2導体層を形成すること、とを含む。前記第2幅は前記第1幅より小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層を形成することと、
前記樹脂絶縁層上にシード層を形成することと、
前記シード層上に第1幅を有する第1めっきレジストを写真技術により形成することと、
前記第1めっきレジストにプラズマを照射することで、前記第1めっきレジストから第2幅を有する第2めっきレジストを形成することと、
前記第2めっきレジストから露出する前記シード層上に電解めっき膜を形成することと、
前記第2めっきレジストを除去することと、
前記電解めっき膜から露出する前記シード層を除去することで、前記樹脂絶縁層上に第2導体層を形成すること、とを含むプリント配線板の製造方法であって、
前記第2幅は前記第1幅より小さい。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第2幅と前記第1幅の比は、0.7以上0.9以下である。
【請求項3】
請求項2のプリント配線板の製造方法であって、前記第2めっきレジストの高さと前記第1めっきレジストの高さの比は0.7以上、0.9以下である。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板の製造方法であって、前記第1めっきレジストの高さは13μm以上15μm以下であって前記第2めっきレジストの高さは11μm以上13μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、セミアディティブ法を用いてプリント配線板を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5116857号公報
【発明の概要】
【0004】
<特許文献1の課題>
特許文献1の技術では、めっきレジストは露光処理と現像処理を用いて形成されている。一般に、現像処理では、現像液がドライフィルムレジストに吹き付けられる。隣接する導体回路間のスペースを小さくするためには、めっきレジストの幅を小さくすることが必要である。その場合、シード層とめっきレジストとの間の接触面積が小さい時、現像処理の間にめっきレジストがシード層から浮くかもしれない。あるいは、めっきレジストがシード層から剥がれるかもしれない。例えば、隣接する導体回路間のスペースの幅が8μm以下であると、そのような課題が発生しやすいと考えられる。特許文献1の技術で形成されるプリント配線板では、隣接する導体回路間のスペースを小さくすることが難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板の製造方法は、樹脂絶縁層を形成することと、前記樹脂絶縁層上にシード層を形成することと、前記シード層上に第1幅を有する第1めっきレジストを写真技術により形成することと、前記第1めっきレジストにプラズマを照射することで、前記第1めっきレジストから第2幅を有する第2めっきレジストを形成することと、前記第2めっきレジストから露出する前記シード層上に電解めっき膜を形成することと、前記第2めっきレジストを除去することと、前記電解めっき膜から露出する前記シード層を除去することで、前記樹脂絶縁層上に第2導体層を形成すること、とを含む。前記第2幅は前記第1幅より小さい。
【0006】
本発明の実施形態の製造方法では、写真技術により第1幅を有する第1めっきレジストが形成される。その後、第1めっきレジストにプラズマが照射される。第1めっきレジストへプラズマを照射することで、第2幅を有する第2めっきレジストが形成される。そのため、現像処理後のめっきレジスト(第1めっきレジスト)の幅を大きくすることができる。実施形態の製造方法では、第1めっきレジストとシード層の接触面積を大きくすることができる。そのため、現像処理の間にシード層から第1めっきレジストが浮いたり剥がれたりすることが生じにくい。実施形態の製造方法によって形成されるプリント配線板では、隣接する導体回路間のスペースを小さくすることができる。高密度なプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2I】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態のプリント配線板>
図1は実施形態のプリント配線板の製造方法により形成されるプリント配線板2を示す断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。
【0009】
絶縁層4は熱硬化性樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6(図1中の上面)と、第3面6と反対側の第4面8(図1中の下面)を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は銅によって形成される。第1導体層10は、シード層10aとシード層10a上の電解めっき膜10bで形成されている。
【0011】
樹脂絶縁層20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第1面22(図1中の上面)と、第1面22と反対側の第2面24(図1中の下面)を有する。樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有する。樹脂絶縁層20はエポキシ系樹脂と、エポキシ系樹脂の中に分散している複数の無機粒子とで形成されている。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子は、例えば、シリカやアルミナである。
【0012】
樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されていない。第1面22は荒らされていない。第1面22は平滑に形成されている。開口26の内壁面は凹凸を有する。
【0013】
第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36とを含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は銅によって形成される。第2導体層30は、シード層30aとシード層30a上の電解めっき膜30bで形成されている。
【0014】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき膜30bで形成されている。
【0015】
<実施形態のプリント配線板の製造方法>
図2A図2Iは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図2A図2Iは断面図である。図2Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。
【0016】
図2Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に樹脂絶縁層20が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。
【0017】
図2Cに示されるように、第1面22の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは樹脂絶縁層20を貫通する。第1導体層10のパッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、二酸化炭素レーザ光、YAGレーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。
【0018】
図2Dに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aは、開口26から露出する露出面上に形成される。露出面はパッド14の上面と開口26の内壁面である。シード層30aはスパッタによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。シード層30aは銅で形成される。
【0019】
図2Eに示されるように、シード層30a上に第1めっきレジスト60Ao,60Bo,60Co,60Doが写真技術により形成される。第1めっきレジスト60Ao~60Doは厚みhoを有する。厚みhoは13μm以上15μm以下である。第1めっきレジスト60Ao,60Bo,60Co,60Doは第1幅kao,kbo,kco,kdoを有する。第1幅kboは、略10μmである。
【0020】
図2Fに示されるように、第1めっきレジスト60Ao,60Bo,60Co,60DoにプラズマEが照射される。図2Gに示されるように、第1めっきレジスト60Ao,60Bo,60Co,60Doから第2幅ka,kb,kc,kdを有する第2めっきレジスト60A,60B,60C,60Dが形成される。プラズマはアルゴンガスを用いて形成される。あるいは、プラズマは酸素ガスを用いて形成される。あるいは、CF4ガスを用いて形成される。プラズマを照射することで、第1めっきレジストの厚みが小さくなる。第1めっきレジストの幅が小さくなる。
【0021】
各第2幅ka,kb,kc,kdは、各第1幅kao,kbo,kco,kdoより小さい。第2幅kbは、例えば略8μmである。プラズマEを照射することで、略10μmの第1幅kboを有する第1めっきレジスト60Boから、略8μmの第2幅kbを有する第2めっきレジスト60Bが形成される。このように、現像後のめっきレジスト(第1めっきレジスト)の幅は電解めっき膜を形成するためのめっきレジスト(第2めっきレジスト)の幅より大きい。実施形態は、微細な導体回路を有するプリント配線板を製造するための方法に適する。
【0022】
第2めっきレジスト60A~60Dの第2幅と第1めっきレジスト60Ao~60Doの第1幅との比(第2幅/第1幅)は、0.7以上0.9以下である。比ka/kao,kb/kbo,kc/kco,kd/kdoは0.7以上0.9以下である。プラズマの照射により第1めっきレジストの幅は小さくなる。その減少量は、第1めっきレジストの幅の10%から30%である。そのため、現像後の第1めっきレジスト60Ao~60Doの幅を確実に大きくすることができる。
【0023】
第2めっきレジスト60A~60Dは厚みhを有する。厚みhは11μm以上13μm以下である。プラズマEを照射することで、13~15μmの厚みhoを有する第1めっきレジスト60Ao~60Doから11~13μmの厚みhを有する第2めっきレジスト60A~60Dが形成される。厚みhを小さくすることで、隣接する第2めっきレジスト間の幅が小さくなっても、めっき液がシード層に至る。
【0024】
第2めっきレジスト60A~60Dの厚みhと第1めっきレジスト60Ao~60Doの厚みhoとの比(厚みh/厚みho)は0.7以上0.9以下である。プラズマの照射により第1めっきレジストの厚みhoは小さくなる。その減少量は、第1めっきレジストの厚みhoの10%から30%である。第2めっきレジスト60A~60Dは、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(前述の図1参照)を形成するための開口60aを有する。
【0025】
図2Hに示されるように、第2めっきレジスト60A~60Dから露出するシード層30aの上に電解めっき膜30bが形成される。
【0026】
図2Iに示されるように、第2めっきレジスト60A~60Dが除去される。電解めっき膜30bから露出するシード層30aが除去される。第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。開口26内にビア導体40が形成される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2(図1参照)が得られる。
【符号の説明】
【0027】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
12 :信号配線
14 :パッド
20 :樹脂絶縁層
22 :第1面
24 :第2面
26 :開口
30 :第2導体層
30a :シード層
30b :電解めっき膜
32 :第1信号配線
34 :第2信号配線
36 :ランド
40 :ビア導体
60A :第2めっきレジスト
60Ao:第1めっきレジスト
60a :開口
60B :第2めっきレジスト
60Bo:第1めっきレジスト
60C :第2めっきレジスト
60Co:第1めっきレジスト
60D :第2めっきレジスト
60Do:第1めっきレジスト
E :プラズマ
h :第2めっきレジストの厚み
ho :第1めっきレジストの厚み
ka :第2めっきレジストの幅
kao :第1めっきレジストの幅
kb :第2めっきレジストの幅
kbo :第1めっきレジストの幅
kc :第2めっきレジストの幅
kco :第1めっきレジストの幅
kd :第2めっきレジストの幅
kdo :第1めっきレジストの幅
L :レーザ光
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I