(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086636
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置、方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61B5/11 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208896
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】202211623194.1
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・チエヌ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ・ホォンチュヌ
(72)【発明者】
【氏名】シエ・リリ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB32
4C038VB33
(57)【要約】
【課題】本発明は、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置及び方法を提供する。
【解決手段】かかる方法は、無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び、前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線レーダー信号に基づいてバイタルサインを検出する装置であって、
無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定する初期位置確定ユニット;
前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定する目標位置確定ユニット;及び
前記目標位置での特性信号に基づいてバイタルサインパラメータを検出する検出ユニットを含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記隣接領域の範囲は、前記初期位置を中心とする、少なくとも1つの空間次元で生成される変数区間であり、前記空間次元は、距離次元、垂直方位角次元及び水平方位角次元のうちの少なくとも1つを含み;及び/又は
前記生理特性は、呼吸及び/又は心拍の周波数領域特徴であり;及び/又は
前記バイタルサインパラメータは、呼吸及び/又は心拍の周波数であり;及び/又は
前記特性信号は、所定期間内の前記隣接領域の範囲における各位置での無線レーダー信号の位相及び/又は位相差を含み;及び/又は
前記周波数領域特徴は、前記特性信号における、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーと、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドとは異なる他の周波数バンドのエネルギーとの関係を表す特徴を含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記周波数領域特徴は以下のうちの少なくとも1つを含み、即ち、
「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値」と「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第一周波数バンドのエネルギーの平均値」の比率;
「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値」と「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第二周波数バンドのエネルギーの最大値」の比率;
「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの総和」と「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第三周波数バンドのエネルギーの総和」の比率;及び
「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値」と「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値」の比率、プラス、「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値」と「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第四周波数バンドのエネルギーの平均値」の比率である、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
前記周波数領域特徴の最大値に対応する位置は前記目標位置である、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記目標位置での特性信号は、所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値及び/又は位相差を含み、
前記目標位置での特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値を含む場合に、前記検出ユニットは前記目標位置での特性信号に対して前処理を行い、前処理後の信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、前記前処理後の信号の周波数領域情報を取得し、及び前記周波数領域情報に基づいて前記バイタルサインパラメータを確定し;及び/又は
前記目標位置での特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相差を含む場合に、前記検出ユニットは前記目標位置での特性信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、前記目標位置での特性信号の周波数領域情報を取得し、及び前記周波数領域情報に基づいて前記バイタルサインパラメータを確定する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記前処理は以下のうちの少なくとも1つを含み、即ち、
前記目標位置での特性信号に対して最小二乗平滑フィルタリングを行い、前記目標位置での特性信号からフィルタリング後の信号を減算し、取得した信号を前記前処理後の信号とし;及び
隣接するフレームの前記目標位置での特性信号に対して位相差を計算し、位相差信号を取得し、取得した位相差信号を前記前処理後の信号とすることである、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、
前記検出ユニットは、前記周波数領域情報に基づいて、「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値とその対応する重み値との乗積の総和」と「前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の総エネルギーの合計」の比率を計算し、前記比率は呼吸周波数及び/又は心拍周波数であり、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値の重み値は該周波数値に対応するエネルギー値であり;及び/又は
前記検出ユニットは、前記周波数領域情報に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの1番目の極値点の第一エネルギー値E1及び前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの前記1番目の極値点以外の他の極値点の第二エネルギー値E2を確定し、前記第一エネルギー値E1及び前記第二エネルギー値E2に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの第一周波数バンド又は第二周波数バンドを確定し、前記第一周波数バンドは前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに等しく、前記第二周波数バンドは前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに含まれるが、前記1番目の極値点に対応する周波数値を含まない周波数バンドであり、及び、確定した前記第一周波数バンド又は前記第二周波数バンドに基づいて、前記バイタルサインパラメータを確定し;及び/又は
前記検出ユニットは、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内で、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドにおける周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数を取得し、前記第一呼吸周波数及び/又は前記第一心拍周波数と、前記呼吸周波数バンド又は前記心拍周波数バンド内の最大エネルギー値に対応する第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数とに基づいて、前記呼吸周波数又は前記心拍周波数を確定する、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記第一エネルギー値E1と前記第二エネルギー値E2の比率が所定閾値よりも大きいときに、前記第一周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、前記呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得し、
前記第一エネルギー値E1と前記第二エネルギー値E2の比率が所定閾値以下のときに、前記第二周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、前記呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得する、装置。
【請求項9】
無線レーダー信号に基づいてバイタルサインを検出する方法であって、
無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;
前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び
前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出することを含む、方法。
【請求項10】
電子機器であって、
記憶器、及び前記記憶器に接続される処理器を含み、
前記記憶器にはコンピュータプログラムが記憶されており、
前記処理器は前記コンピュータプログラムを実行することで請求項9に記載の方法を実現するように構成される、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダーによる検出の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界人口の高齢化や慢性疾患の増加に伴い、バイタルサインを監測(監視・検出)する必要性が益々高まっている。呼吸、心拍数などの生理学的指標(バイタルサインパラメータ)は人体の基本的な生命特性情報であり、人体の健康状態を直接反映できる。バイタルサインパラメータの異常は往々にして医療上の緊急事態を引き起こし得る。よって、バイタルサインパラメータのリアルタイムモニタリングには非常に重要な実用の価値がある。
【0003】
バイタルサイン監測技術はスマートホーム、患者モニタリング、高齢者スマートケアなどの分野で広く使用でき、関連グループ(例えば、患者、高齢者、一人暮らしなど)に毎日の健康状態の監測を提供することで、失神、心停止などの緊急事態が発生したときにタイムリーなアラームを発することができる。これにより、死亡や障害が発生するリスクを減少させ、社会の医療負担を軽減できる。
【0004】
今のところ、バイタルサイン監測では主に、接触センサーやパッチ電極によって測定が行われる。これらの方法ではすべて、センサーが人体に直接又は間接的に接触する必要があるため、その適用範囲が制限されるだけでなく、使用者の順従性の問題も存在する。例えば、使用者がセンシングデバイスを装着したくないときや装着を忘れたときに、これらのシステムは監測を行うことができない。
【0005】
よくある無線信号ベースのバイタルサイン検出方法では主に、既知の距離のところに所在する人体からの反射信号の位相情報を利用して対応する呼吸周波数や心拍周波数を取得する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発明者が次のようなことを発見した。即ち、選択された既知の距離のところでの位相情報は必ずしも人体の呼吸及び心拍の特性情報を正確に反映できない。このような場合に、取得された呼吸周波数及び心拍周波数の正確さが低くなりやすく、また、検出精度も検出範囲に制限されやすく、例えば、検出範囲が広いときに、検出精度は低い。
【0007】
上述の技術的問題のうちの少なくとも1つを解決するために、本発明は、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置、方法及び電子機器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例の1つの側面によれば、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置が提供され、それは、
無線レーダー信号に基づいて生命体(生体ともいう)の初期位置を確定する初期位置確定ユニット;
前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定する目標位置確定ユニット;及び
前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出する検出ユニットを含む。
【0009】
本発明の実施例のもう1つの側面によれば、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法が提供され、それは、
無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;
前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び
前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出することを含む。
【0010】
本発明の実施例のまたもう1つの側面によれば、記憶器及び処理器を含む電子機器が提供され、前記記憶器にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記処理器は前記コンピュータプログラムを実行して上述の無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法を実現するように構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例の有利な効果の1つが次のとおりである。即ち、無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し、初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し、そして、該目標位置での特性信号に基づいてバイタルサインパラメータを検出することにより、クラッター干渉(clutter interference)を低減し、検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例における無線レーダー信号ベースのバイタルサイン検出方法を示す図である。
【
図2】本発明の実施例における初期位置及び隣接領域の範囲を示す図である。
【
図3】本発明の実施例における呼吸周波数バンド及び他の周波数バンドを示す図である。
【
図4】本発明の実施例における位相信号を示す図である。
【
図5】本発明の実施例における103のフローを示す図である。
【
図6】本発明の実施例における103のフローを示すもう1つの図である。
【
図7】本発明の実施例における前処理前の特性信号及び前処理後の特性信号を示す図である。
【
図8】本発明の実施例における周波数領域情報を示す図である。
【
図9】本発明の実施例における502又は603のフローを示す図である。
【
図10】本発明の実施例における502又は603のフローを示すもう1つの図である。
【
図11】本発明の実施例における無線レーダー信号ベースのバイタルサイン検出装置を示す図である。
【
図12】本発明の実施例における電子機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を実施するための好適な実施例を詳しく説明する。
【0014】
本発明の実施例において、レーダーはミリ波(mmWave)レーダーであっても良いが、これに限定されない。該レーダーは送信アンテナにより電磁波を送信し、異なる物体により反射された後に、対応する反射波(レーダーエコー情報又はレーダーエコー信号ともいう)を受信する。レーダーエコー情報を分析することで、物体からレーダーまでの距離、径方向移動速度などの情報を効果的に抽出できる。これらの情報は多くの適用シーンのニーズを満たすことができる。
【0015】
本発明の実施例において、検出目標(検出対象)となる物体は様々な年齢層の人間、例えば、高齢者や子供であっても良く、又は、高齢者及び/又は介護者や子供及び/又は監護者であっても良い。なお、本発明はこれらに限られず、検出目標としての物体は生体特性を有する動物などであっても良い。以下、人体を例にして説明を行う。
【0016】
<第一側面の実施例>
本発明の実施例において無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法が提供される。
図1は本発明の実施例における無線レーダー信号ベースのバイタルサイン検出方法を示す図である。
図1に示すように、該方法は以下の操作(ステップ)を含む。
【0017】
101:無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;
102:初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び
103:目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出する。
【0018】
なお、上述の
図1は本発明の実施例を例示的に説明するためのものであるが、本発明はこれに限られない。例えば、各操作間の実行順序を適切に調整したり、幾つかの操作を増減したりすることができる。当業者は上述の
図1に限られず、上述の内容を基に適切な変形を行うことができる。
【0019】
上述の実施例によれば、無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し、生命体の初期位置を得た後に、初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し、そして、該目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出する。初期位置の隣接領域の範囲から該目標位置を選択することで、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号が生命体の生理特性と符合するように確保でき、これによって、該目標位置での特性信号を利用してバイタルサインパラメータ検出を行うときに、クラッター干渉を減少させ、検出結果の正確率を上げることができ、また、このような方法は、実現されやすく、操作が簡単であり、耐ノイズ性能が高く、高プライバシー保護性をも有する。
【0020】
幾つかの実施例において、101では無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定できる。例えば、所定時間範囲内の無線レーダー信号に基づいて、該所定時間範囲内の複数の時刻におけるマルチアンテナ距離(Range)高速フーリエ変換(FFT)データを生成し、そして、Range FFTデータに基づいて、複数の時刻における各距離周波数点での角度(Angle)FFTデータを生成できる。その後、角度(Angle)FFTデータに基づいて、生命体を検出するアルゴリズムを用いて、シーンにおける生命体(目標ともいう)の初期位置の情報を確定する。なお、生命体を検出するアルゴリズムについては関連技術を参考でき、ここではその詳しい説明を省略する。
【0021】
以下、生命体の初期位置を確定する具体的な方法について例示的に説明する。
【0022】
所定期間(所定時間範囲)内の複数の時刻におけるマルチアンテナレーダーエコー信号(無線レーダー信号)を受信し、マルチアンテナエコー信号に対してRange FFTを行って該所定期間内の複数の時刻におけるマルチアンテナRange FFTデータを得る。そのうち、(0,T)の時間範囲内のマルチアンテナRange FFTデータは次の公式1に示すとおりである。
【0023】
【数1】
また、t時刻におけるマルチアンテナRange FFTデータは次の公式2に示すとおりである。
【0024】
【数2】
ここで、R
tはt時刻におけるマルチアンテナRange FFTデータであり、第i行はi番目のアンテナのRange FFTデータを表し、第j列はj番目の距離周波数点のRange FFTデータを表し、mはアンテナの数であり、1≦i≦mであり、nは距離周波数点の数であり、1≦j≦nである。
【0025】
該マルチアンテナRange FFTデータにおける各距離周波数点でのRange FFTデータに対してAngle FFTを行い、即ち、各時刻各列のRange FFTデータに対してAngle FFTを行うことにより、該所定期間内のすべての時刻におけるすべての距離周波数点でのAngle FFTデータ(複素数)を得ることができる。そのうち、第t時刻のj番目の距離周波数点のAngle FFTデータは次の公式3に示すとおりである。
【0026】
【数3】
ここで、A
t
jはt時刻のj番目の距離周波数点のAngle FFTデータであり、行列(マトリックス)では、異なる列が異なる水平方向角度に対応し、異なる行が異なる垂直方向角度に対応し、pは垂直方向角度周波数点の数であり、1≦l≦pであり、qは水平方向角度周波数点の数であり、1≦k≦qである。
【0027】
該所定期間内の複数の時刻におけるすべての距離周波数点でのAngle FFTデータに基づいて、複数の時刻におけるすべての距離周波数点でのAngle FFT位相及び隣接する2つの時刻の位相差を計算し、そのうち、各距離周波数点が1つの時刻において対応するAngle FFT位相は1つのAngle FFT位相行列であり、該Angle FFT位相行列はすべての水平方向角度周波数点の位相及びすべての垂直方向角度周波数点の位相を含む。複数の時刻におけるすべての距離周波数点でのAngle FFT位相及び隣接する2つの時刻の位相差に基づいて、生命体を検出するアルゴリズムを用いて、シーンにおける生命体の初期位置の情報を確定し、該初期位置の情報は生命体の距離周波数点、水平方向周波数点及び垂直方向周波数点を含み得る。
【0028】
なお、本発明はこれに限られず、他の方法で生命体の初期位置を確定しても良い。
【0029】
生命体の初期位置を確定した後に、該位置での所定期間内の特性信号を取得し、そして、該特性信号に基づいて人体バイタルサインパラメータを確定できる。しかし、該初期位置での特性信号は必ずしも人体のバイタルサインの計算に最適な信号源ではない。よって、102では、該初期位置を含む隣接領域の範囲内で、生命体の生理特性と符合した特性信号が所在する目標位置を確定しても良く、例えば、該目標位置での特性信号は、隣接領域の範囲内で生命体の生理特性と最も符合した特性信号である。これにより、該目標位置での特性信号に基づいてバイタルサインパラメータを計算するときに、クラッターの影響を排除し、検出結果の正確さを向上させることができる。
【0030】
幾つかの実施例において、該目標位置は隣接領域の範囲内で初期位置とは異なる位置であっても良く、又は、該目標位置は初期位置と同じ位置であっても良い。
【0031】
幾つかの実施例において、102では、初期位置を含む隣接領域の範囲は、該初期位置を中心する、少なくとも1つの空間次元で生成される変数区間であっても良く、そのうち、該空間次元は距離次元、垂直方位角次元及び水平方位角次元のうちの少なくとも1つを含んでも良い。言い換えれば、隣接領域の範囲は1次元、2次元又は3次元空間であっても良く、また、1次元、2次元又は3次元空間における少なくとも1つの空間次元での区間に対応しても良い。
【0032】
目標位置が通常、初期位置の近傍にあるため、初期位置を隣接領域の範囲の中心とすることで、隣接領域の範囲が該目標位置を含む確率を上げ、隣接領域の範囲内で該目標位置を確実に見つけることができる。なお、本発明はこれに限られず、隣接領域の範囲は他の位置を中心としても良い。
【0033】
図2は本発明の実施例における初期位置及び隣接領域の範囲を示す図である。
図2に示すように、距離周波数点、水平方向周波数点及び垂直方向周波数点の3次元情報によって初期位置P0を表し、初期位置P0の座標を(e,a,r)とする。該3次元空間内で、隣接領域の範囲Nb(
図2における点線で示す空間)を設定し、そのうち、隣接領域の範囲Nbは1つの3次元の範囲、例えば、((e-Δe
2,e+Δe
1),(a-Δa
2,a+Δa
1),(r-Δr
2,r+Δr
1))に対応しても良い。そのうち、Δe
2=Δe
1、Δa
2=Δa
1、かつΔr
2=Δr
1であるときに、初期位置は隣接領域の範囲の中心であり、Δe
2≠Δe
1、Δa
2≠Δa
1又はΔr
2≠Δr
1であるときに、初期位置は隣接領域の範囲の中心ではない。
【0034】
幾つかの実施例において、Δe2、Δe1、Δa2、Δa1、Δr2及びΔr1の値は予め設定されたものであっても良く、即ち、異なる初期位置について、隣接領域の範囲の大きさは固定したものであっても良く、例えば、Δe2=Δe1=4、Δa2=Δa1=4、Δr2=Δr1=2であっても良く、又は、上述の値は経験値に基づいて設定されても良く、又は、上述の値は初期位置の座標、生命体が所在する空間の大きさなどに基づいて動的に計算されても良い。なお、本発明はΔe2、Δe1、Δa2、Δa1、Δr2及びΔr1の値について限定しない。
【0035】
幾つかの実施例において、バイタルサインパラメータを計算するための特性信号は、所定期間内で該隣接領域の範囲内の各位置における無線レーダー信号の位相及び/又は位相差を含み得る。例えば、該特性信号は、所定期間内で該隣接領域の範囲内の各距離周波数点でのAngle FFTの位相値及び隣接する2つのフレーム間の位相差であっても良い。なお、本発明はこれらに限られず、該特性信号は他の内容を含んでも良い。
【0036】
幾つかの実施例において、目標位置での特性信号は所定期間内の目標位置での無線レーダー信号の位相値及び/又は位相差を含み得る。
【0037】
該目標位置での無線レーダー信号の位相値は例えば、Angle FFTの位相値であっても良く、次の公式4により表すことができる。
【0038】
【数4】
ここで、φ
rは目標位置における第r時刻のAngle FFTの位相値であり、1≦r≦Tである。
【0039】
該目標位置での無線レーダー信号の位相差は例えば、Angle FFTの隣接する2つのフレーム間の位相差情報であっても良く、次の公式5により表すことができる。
【0040】
【数5】
ここで、Δφ
rは目標位置における第r時刻のAngle FFTの位相差である。
【0041】
幾つかの実施例において、バイタルサインパラメータは呼吸及び/又は心拍の周波数を含んでも良く、それ相応に、生命体の生理特性は呼吸及び/又は心拍の周波数領域特徴であっても良い。なお、本発明はこれらに限られず、バイタルサインパラメータは他の内容、例えば、呼吸の深さ、体温、血圧などを含んでも良く、生命体の生理特性は要検出のバイタルサインパラメータに対応する内容であっても良い。以下、バイタルサインパラメータが呼吸周波数及び/又は心拍周波数であることを例にして、本発明のバイタルサイン検出方法について例示的に説明する。
【0042】
幾つかの実施例において、特性信号の周波数領域特徴は、特性信号における、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーと、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドとは異なる他の周波数バンドのエネルギーとの関係を表す特徴を含んでも良い。以下、呼吸周波数バンドを例にして、他の周波数バンドについて例示的に説明を行うが、理解できるように、以下の説明は心拍周波数バンドに対応する他の周波数バンドにも同様に適用され得る。
【0043】
呼吸周波数バンドとは異なる他の周波数バンドは少なくとも、呼吸周波数バンド以外の周波数バンドを含んでも良い。例えば、該他の周波数バンドは呼吸周波数バンドと重畳(オーバーラップ)しない周波数バンドであっても良く、又は、該他の周波数バンドは呼吸周波数バンド内の一部又は全部の周波数バンド及び呼吸周波数バンド以外の周波数バンドを含んでも良い。
【0044】
図3は本発明の実施例における呼吸周波数バンド及び他の周波数バンドを示す図である。
図3に示すように、他の周波数バンドは呼吸周波数バンドよりも高い周波数バンドであっても良く、高周波数バンドと呼ばれる。例えば、呼吸周波数バンドが0.083Hz乃至0.5Hzであり、高周波数バンドは0.83Hzよりも大きい周波数バンドである。
【0045】
幾つかの実施例において、該特性信号の周波数領域特徴は、特性信号の、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドでのエネルギーと他の周波数バンドでのエネルギーの比率であっても良い。この比率は、特性信号の、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギー割合(占める割合)を反映できる。よって、この比率を特性信号の周波数領域特徴とすることで、該周波数領域特徴に基づいて目標位置を確実に確定できる。
【0046】
幾つかの実施例において、該周波数領域特徴は次のようなもののうちの少なくとも1つを含んでも良く、即ち、
呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値と呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第一周波数バンドのエネルギーの平均値の比率;
呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第二周波数バンドのエネルギーの最大値の比率;
呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの総和と呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第三周波数バンドのエネルギーの総和の比率;及び
呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値の比率、プラス、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第四周波数バンドのエネルギーの平均値の比率である。
【0047】
そのうち、第一周波数バンド、第二周波数バンド、第三周波数バンド及び第四周波数バンドは上述のような高周波数バンドであっても良く、また、第一周波数バンド、第二周波数バンド、第三周波数バンド及び第四周波数バンドは同じであっても良く、又は、異なっても良い。
【0048】
幾つかの実施例において、隣接領域の範囲内の各位置(距離周波数点)で、それぞれ、特性信号の周波数領域特徴を計算しても良い。例えば、隣接領域の範囲における距離周波数点がe-4≦e≦e+4の範囲であるときに、e-4、e-3、e-2、e-1、e、e+1、e+2、e+3及びe+4のところで、それぞれ、該位置での特性信号の周波数領域特徴を計算できる。なお、本発明はこれらに限られず、隣接領域の範囲内の一部の距離周波数点を選んで、それぞれ、該一部の距離周波数点での特性信号の周波数領域特徴を計算しても良い。これにより、計算リソース及び時間を節約できる。
【0049】
幾つかの実施例において、隣接領域の範囲内の特性信号の上述の周波数領域特徴の最大値に対応する位置を目標位置とし、即ち、上述の周波数領域特徴が最大値をとる位置での特性信号は、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギー割合が最大であり、生命体の呼吸周波数領域特徴及び/又は心拍周波数領域特徴と最も符合するものである。
【0050】
図4は本発明の実施例における位相信号を示す図である。
図4に示すように、(a)は初期位置における位相信号であり、(b)は目標位置で位相情報に基づいて選択された、人体呼吸特性と符合した位相信号であり、(c)は目標位置で位相差情報に基づいて選択された、人体呼吸特性と符合した位相信号である。
図4における(a)、(b)及び(c)に示すように、目標位置での位相信号は、初期位置での位相信号に比較して、含むクラッターの量が少ないため、人体の呼吸周波数をより良く反映できる。
【0051】
よって、周波数領域特徴が最大値をとる位置を目標位置とし、そして、該目標位置での特性信号に基づいて呼吸周波数及び/又は心拍周波数を検出することで、呼吸周波数及び/又は心拍周波数を検出するための信号源の品質を向上させ、クラッターの影響を除去し、検出の正確さを向上させることができる。
【0052】
幾つかの実施例において、103では、確定された目標位置での特性信号に基づいてバイタルサインパラメータを検出できる。例えば、目標位置における特性信号の周波数領域情報に基づいてバイタルサインパラメータを確定できる。そのうち、特性信号の異なる類型に応じて、異なる方法を採用してバイタルサインパラメータを計算しても良い。
【0053】
目標位置における特性信号が所定期間内の目標位置での無線レーダー信号の位相差であることを例とし、
図5は本発明の実施例における103のフローを示す図である。
【0054】
図5に示すように、目標位置での特性信号が所定期間内の目標位置における無線レーダー信号の位相差を含む場合に、103は以下の操作(ステップ)を含む。
【0055】
501:目標位置での特性信号に対して高速フーリエ変換を行い、目標位置における特性信号の周波数領域情報を取得し;及び
502:該周波数領域情報に基づいて、バイタルサインパラメータを確定する。
【0056】
目標位置における特性信号が所定期間内の目標位置での無線レーダー信号の位相値であることを例とし、
図6は本発明の実施例における103のフローを示すもう1つの図である。
【0057】
図6に示すように、目標位置における特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値を含む場合に、103は以下の操作(ステップ)を含む。
【0058】
601:目標位置における特性信号に対して前処理を行い;
602:前処理後の信号に対して高速フーリエ変換を行い、前処理後の信号の周波数領域情報を取得し;及び
603:該周波数領域情報に基づいて、バイタルサインパラメータを確定する。
【0059】
目標位置での無限レーダー信号の位相値に対して前処理を行うことで、低周波数干渉をブロックし、バイタルサインパラメータ検出の正確さをさらに向上させることができる。
【0060】
幾つかの実施例において、601では、特性信号に対する前処理は次のようなことのうちの少なくとも1つを含んでも良く、即ち、目標位置における特性信号に対して最小二乗平滑フィルタリングを行い、目標位置における特性信号からフィルタリング後の信号を減算し、取得された信号を前処理後の信号とし;及び、隣接するフレームの目標位置における特性信号の位相差を計算し、位相差信号を取得し、取得された位相差信号を前記前処理後の信号とすることである。なお、最小二乗平滑フィルタリングの具体的な方法については関連技術を参照でき、位相差を計算するための隣接するフレームは現在のフレームとその1つ前のフレームであっても良く、又は、現在のフレームとその次のフレームであっても良い。
【0061】
図7は本発明の実施例において前処理が行われない特性信号及び前処理済みの特性信号を示す図である。
図7に示すように、(a)は選択された位相信号、即ち、目標位置での位相信号であり、(b)は目標位置での位相信号と、最小二乗平滑フィルタリング後の位相信号との間の差分信号であり、(c)は目標位置での位相信号の隣接するフレームの位相差信号である。
図7における(a)、(b)及び(c)に示すように、位相信号から最小二乗フィルタリング後の位相信号をマイナスする演算を行い、又は位相差を計算することで、位相信号における低周波数成分を除去でき、前処理後の信号は前処理前の位相信号に比べて人体の呼吸周波数及び/又は心拍周波数をより良く反映できる。よって、前処理を行うで検出の正確さをさらに向上させることができる。
【0062】
幾つかの実施例において、
図7に示すように、(a)、(b)及び(c)に示す信号に対して移動平均をさらに行っても良く、これによって、信号におけるトリップ点(trip point)又はバリ(burr)を除去し、信号をより滑らかにし、検出の正確さをさらに向上させることができる。例えば、(a)における曲線A1、(b)における曲線B1、及び(c)における曲線C1で示すのは、移動平均が行われない信号であり、(a)における曲線A2、(b)における曲線B2、及び(c)における曲線C2で示すのは、移動平均が行われた信号である。
【0063】
幾つかの実施例において、501及び602では、目標位置における特性信号に対してFFTを行うことで目標位置における特性信号の周波数領域情報を得ることができる。なお、具体的なFFTの方法については関連技術を参照でき、ここではその詳しい説明を省略する。
図8は本発明の実施例における周波数領域情報を示す図である。
図8に示すように、(a)はフーリエ変換前の信号、即ち、目標位置における特性信号又は前処理後の信号であり、(b)はフーリエ変換後の信号であり、(c)は呼吸周波数バンドの周波数領域信号である。
【0064】
幾つかの実施例において、502及び603では、周波数領域情報に基づいてバイタルサインパラメータを確定する方法は同じであっても良く、又は類似しても良い。例えば、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の周波数値に対して加重平均を行うことで生命体の呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得できる。加重平均値を呼吸周波数及び/又は心拍周波数とすることで周波数漏洩(frequency leakage)による計算精度への影響を減少させ、検出結果の正確さをさらに向上させることができる。
【0065】
以下、加重平均の方法により呼吸周波数及び/又は心拍周波数を確定することを例にして、502及び603に対して例示的な説明を行う。
【0066】
幾つかの実施例において、周波数領域情報に基づいて、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値とその対応する重み値との乗積の総和と呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の総エネルギーの合計の比率を計算でき、該比率は呼吸周波数及び/又は心拍周波数であり、そのうち、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値の重み値は該周波数値に対応するエネルギー値である。
【0067】
上述の計算方法は、以下の公式6により表れ得る。
【0068】
【数6】
そのうち、ωは呼吸周波数及び/又は心拍周波数であり、NはFFTの点の数であり、ω
kは第k点に対応する周波数値であり、E(ω
k)は周波数ω
kに対応するエネルギー値であり、A(ω
k)は周波数ω
kに対応する振幅である。
【0069】
なお、本発明はこれに限られず、他の方法により生命体の呼吸周波数及び/又は心拍周波数を確定しても良く、例えば、呼吸周波数バンド内の最大エネルギー値に対応する周波数を呼吸周波数とし、及び/又は、心拍周波数バンド内の最大エネルギー値に対応する周波数を心拍周波数とするなどである。
【0070】
幾つかの実施例において、502及び603ではさらに、後処理を行うことでバイタルサイン検出の汎用性を向上させても良く、即ち、生命体の呼吸が速すぎるか遅すぎる場合や、心拍が速すぎるか遅すぎる場合にもかかわらず、生命体の呼吸周波数及び心拍周波数を正確に算出できる。
【0071】
幾つかの実施例において、後処理は、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに対しての補正、及び算出された呼吸周波数及び/又は心拍周波数に対しての補正を含み得る。
【0072】
図9は本発明の実施例における502又は603のフローを示す図である。
図9に示すように、502又は603は次のような操作(ステップ)を含んでも良い。
【0073】
901:周波数領域情報に基づいて、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの1番目の極値点の第一エネルギー値E1、及び、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの1番目の極値点以外の他の極値点の第二エネルギー値E2を確定し;
902:第一エネルギー値E1及び第二エネルギー値E2に基づいて、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの第一周波数バンド又は第二周波数バンドを確定し、そのうち、第一周波数バンドは呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに等しく、第二周波数バンドは呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに含まれるが、1番目の極値点に対応する周波数値を含まない周波数バンドであり;及び
903:確定された第一周波数バンド又は第二周波数バンドに基づいて、バイタルサインパラメータを確定する。
【0074】
幾つかの実施例において、902では、第一エネルギー値E1と第二エネルギー値E2の比率が所定閾値よりも大きいときに、第一周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得し、第一エネルギー値E1と第二エネルギー値E2の比率が所定閾値以下のときに、第二周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、呼吸周波数及び/又は心拍周波数を得る。呼吸周波数バンドを例にして、低周波数部分に対応するエネルギー値(即ち、E1)が比較的小さいときに、呼吸周波数の実際の値が比較的大きい可能性があり、このような場合に、該低周波数部分に対して加重平均を行わず、低周波数部分に対応するエネルギー値(即ち、E1)が比較的大きいときに、呼吸周波数の実際の値が比較的小さい可能性があり、このような場合に、該低周波数部分を残して加重平均を行う。これにより、計算された呼吸周波数が呼吸周波数の実際の値により近づくようにさせることができるため、計算の正確さを向上させることができる。
【0075】
図10は本発明の実施例における502又は603のフローを示すもう1つの図である。
図10に示すように、502又は603は次のような操作(ステップ)を含み得る。
【0076】
1001:呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数内で呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数を取得し;及び
1002:第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数、及び呼吸周波数バンド又は心拍周波数バンド内の最大エネルギー値に対応する第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数に基づいて、呼吸周波数及び/又は心拍周波数を確定する。
【0077】
幾つかの実施例において、1002では、第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数が第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数よりも小さいときに、第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数を呼吸周波数及び/又は心拍周波数とし、第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数が前記第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数以上のときに、前記第一呼吸周波数又は第一心拍周波数を呼吸周波数又は心拍周波数とする。これにより、生命体の呼吸が比較的遅く又は心拍が比較的遅いときに、呼吸周波数補正を第一呼吸周波数及び第二呼吸周波数のうちの小さい値と補正し、及び/又は、心拍周波数を第一心拍周波数及び第二心拍周波数のうちの小さい値と補正できる。
【0078】
あるいは、1002では、第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数が第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数よりも大きいときに、第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数を呼吸周波数及び/又は心拍周波数とし、第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数が前記第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数以下のときに、前記第一呼吸周波数又は第一心拍周波数を呼吸周波数又は心拍周波数とする。これにより、生命体の呼吸が比較的速く又は心拍が比較的速いときに、呼吸周波数を第一呼吸周波数及び第二呼吸周波数のうちの大きい値と補正し、及び/又は、心拍周波数を第一心拍周波数及び第二心拍周波数のうちの大きい値と補正する。
【0079】
例えば、第一呼吸周波数及び/又は第二呼吸周波数が第一閾値よりも大きいときに、生命体の呼吸が比較的速いと見なすことができ、第一呼吸周波数及び/又は第二呼吸周波数が第二閾値よりも小さいときに、生命体の呼吸が比較的遅いと見なすことができ、第一呼吸周波数及び/又は第二呼吸周波数が第二閾値よりも大きく、かつ第一閾値よりも小さいときに、生命体の呼吸周波数が正常であると見なすことができる。
【0080】
あるいは、例えば、第一心拍周波数及び/又は第二心拍周波数が第三閾値よりも大きいときに、生命体の心拍が比較的速いと見なすことができ、第一心拍周波数及び/又は第二心拍周波数が第四閾値よりも小さいときに、生命体の心拍が比較的遅いと見なすことができ、第一心拍周波数及び/又は第二心拍周波数が第四閾値よりも大きく、かつ第三閾値よりも小さいときに、生命体の心拍周波数が正常であると見なすことができる。
【0081】
なお、本発明はこれに限られず、他の方法により、呼吸及び/又は心拍周波数が比較的速い、比較的遅い、又は正常であることを確定しても良い。
【0082】
幾つかの実施例において、502及び603では、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの補正及び算出された呼吸周波数及び/又は心拍周波数の補正を行っても良く、又は、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの補正及び算出された呼吸周波数及び/又は心拍周波数の補正のうちの1つを行っても良く、又は、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの補正及び計算された呼吸周波数及び/又は心拍周波数の補正を行わなくても良い。
【0083】
幾つかの実施例において、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの補正及び算出された呼吸周波数及び/又は心拍周波数の補正を行うときに、先に、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの補正を行い、次に、補正後の周波数バンド(例えば、第一周波数バンド又は第二周波数バンド)に基づいて呼吸周波数及び/又は心拍周波数を計算し、そして、算出された呼吸周波数及び/又は心拍周波数の補正を行うことで、最終的な呼吸周波数及び/又は心拍周波数を得ることができる。なお、本発明はこれに限られず、他の順に従って後処理を行っても良い。
【0084】
幾つかの実施例において、所定条件に基づいて、後処理を行う必要があるか、及びどのような後処理を行う必要があるかを判断できる。呼吸周波数バンド及び呼吸周波数を例にして、呼吸周波数が比較的速いか、それとも、比較的遅いかを事前判断し、そして、判断結果に基づいて対応する後処理を確定しても良い。例えば、呼吸周波数が比較的速いと判断したときに呼吸周波数バンドの補正を行うことができ、例えば、周波数領域情報における低周波数成分に対して加重演算を行わない。呼吸周波数が比較的遅いと判断したときに、呼吸周波数の補正を行うことができ、例えば、加重平均により算出された呼吸周波数及び最大エネルギー値に対応する周波数のうちの小さい値を呼吸周波数とする。なお、本発明はこれに限られず、他の方法により、判断又は後処理の選択を行っても良い。
【0085】
なお、上述の
図5乃至
図10は本発明の実施例を例示的に説明するためのものであるが、本発明はこれらに限られない。例えば、各操作間の実行順序を適切に調整したり、幾つかの操作を増減したりすることができる。当業者は上述の
図5乃至
図10に限られず、上述の内容を基に適切な変形を行うことができる。
【0086】
以上、本発明に関連している各ステップ又はプロセスのみを説明したが、本発明はこれらに限定されない。かかる方法は他のステップ又はプロセスをさらに含んでも良い。なお、これらのステップ又はプロセスの具体的な内容については従来技術を参照できる。
【0087】
また、上述の各実施例は本発明の実施例を例示的に説明するものであるが、本発明はこれらに限られず、上述の各実施例を基に適切な変形を行うこともできる。例えば、上述の各実施例を単独で使用しても良く、上述の各実施例のうちの複数を組み合わせて使用しても良い。
【0088】
上述の実施例から分かるように、無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し、生命体の初期位置を得た後に、初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し、該目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出する。初期位置の隣接領域の範囲内で該目標位置を選択することで、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号が生命体の生理特性と符合するように確保でき、これによって、該目標位置での特性信号を利用してバイタルサインパラメータ検出を行うときに、クラッター干渉を減少させ、検出結果の正確率を上げることができ、また、このような方法は、実現されやすく、操作が簡単であり、耐ノイズ性能が高く、高プライバシー保護性をも有する。
【0089】
<第二側面の実施例>
本発明の実施例において無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置が提供され、ここでは第一側面の実施例と同じ内容の記載を省略する。
【0090】
図11は本発明の実施例において無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置を示す図である。
図11に示すように、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100は以下のようなものを含む。
【0091】
初期位置確定ユニット1101:無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;
目標位置確定ユニット1102:前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び
検出ユニット1103:前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出する。
【0092】
幾つかの実施例において、前記隣接領域の範囲は、前記初期位置を中心とする、少なくとも1つの空間次元で生成される変数区間であり、そのうち、前記空間次元は、距離次元、垂直方位角次元及び水平方位角次元のうちの少なくとも1つを含み;及び/又は
前記生理特性は、呼吸及び/又は心拍の周波数領域特徴であり;及び/又は
前記バイタルサインパラメータは、呼吸及び/又は心拍の周波数であり;及び/又は
前記特性信号は、所定期間内の前記隣接領域の範囲における各位置での無線レーダー信号の位相及び/又は位相差を含み;及び/又は
前記周波数領域特徴は、前記特性信号における、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーと、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドとは異なる他の周波数バンドのエネルギーとの関係を表す特徴を含む。
【0093】
幾つかの実施例において、前記周波数領域特徴は以下のもののうちの少なくとも1つを含み、即ち、
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第一周波数バンドのエネルギーの平均値の比率;
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第二周波数バンドのエネルギーの最大値の比率;
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの総和と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第三周波数バンドのエネルギーの総和の比率;及び
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値の比率、プラス、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第四周波数バンドのエネルギーの平均値の比率である。
【0094】
幾つかの実施例において、前記周波数領域特徴の最大値に対応する位置は前記目標位置である。
【0095】
幾つかの実施例において、前記目標位置での特性信号は所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値及び/又は位相差を含む。
【0096】
前記目標位置での特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値を含む場合に、前記検出ユニット1103は前記目標位置での特性信号に対して前処理を行い、前処理後の信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、前記前処理後の信号の周波数領域情報を取得し、及び前記前処理後の信号の周波数領域情報に基づいて前記バイタルサインパラメータを確定し;及び/又は
前記目標位置での特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相差を含む場合に、前記検出ユニット1103は前記目標位置での特性信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、前記目標位置での特性信号の周波数領域情報を取得し、及び前記周波数領域情報に基づいて前記バイタルサインパラメータを確定する。
【0097】
幾つかの実施例において、前記前処理は次のようなことのうちの少なくとも1つを含み、即ち、
前記目標位置での特性信号に対して最小二乗平滑フィルタリングを行い、目標位置における特性信号からフィルタリング後の信号を減算し、取得された信号を前処理後の信号とし;及び
隣接するフレームの前記目標位置での特性信号に対して位相差を計算し、位相差信号を取得し、取得された位相差信号を前記前処理後の信号とすることである。
【0098】
幾つかの実施例において、前記検出ユニット1103は前記周波数領域情報に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値とその対応する重み値との乗積の総和と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の総エネルギーの合計の比率を計算し、前記比率は呼吸周波数及び/又は心拍周波数であり、そのうち、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値の重み値は該周波数値に対応するエネルギー値であり;及び/又は
前記検出ユニット1103は前記周波数領域情報に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの1番目の極値点の第一エネルギー値E1及び前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの前記1番目の極値点以外の他の極値点の第二エネルギー値E2を確定し;前記第一エネルギー値E1及び前記第二エネルギー値E2に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの第一周波数バンド又は第二周波数バンドを確定し、そのうち、前記第一周波数バンドは前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに等しく、前記第二周波数バンドは、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに含まれるが、前記1番目の極値点に対応する周波数値を含まない周波数バンドであり;及び、確定された前記第一周波数バンド又は前記第二周波数バンドに基づいて、前記バイタルサインパラメータを確定し;及び/又は
前記検出ユニット1103は前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内で、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数を取得し;前記第一呼吸周波数及び/又は前記第一心拍周波数、及び前記呼吸周波数バンド又は前記心拍周波数バンド内の最大エネルギー値に対応する第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数に基づいて、前記呼吸周波数又は前記心拍周波数を確定する。
【0099】
幾つかの実施例において、前記第一エネルギー値E1と前記第二エネルギー値E2の比率が所定閾値よりも大きいときに、前記第一周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、前記呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得し、前記第一エネルギー値E1と前記第二エネルギー値E2の比率が所定閾値以下のときに、前記第二周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、前記呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得する。
【0100】
なお、以上、本発明に関連している各部品又はモジュールについて説明したが、本発明はこれに限定されない。無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100は他の部品又はモジュールをさらに含んでも良く、また、これらの部品又はモジュールの具体的な内容については関連技術を参照できる。
【0101】
便宜のため、
図11には各部品又はモジュール間の接続関係又は信号方向のみが示されているが、当業者が理解できるように、バス接続などの各種の関連技術を採用しても良い。また、上述の各部品又はモジュールは例えば、処理器、記憶器などのハードウェアにより実現されても良いが、本発明の実施例ではそれらについて限定しない。
【0102】
上述の各実施例は本発明の実施例を例示的に説明するためのものであるが、本発明はこれらに限られず、上述の各実施例を元に適切な変形を行うこともできる。例えば、上述の各実施例を単独で使用しても良く、上述の各実施例のうちの複数を組み合わせて使用しても良い。
【0103】
上述の実施例から分かるように、無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し、生命体の初期位置を得た後に、初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し、該目標位置での特性信号に基づいてバイタルサインパラメータを検出する。初期位置の隣接領域の範囲内で該目標位置を選択することで、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号が生命体の生理特性と符合するように確保でき、これによって、該目標位置での特性信号を利用してバイタルサインパラメータ検出を行うときに、クラッター干渉を減少させ、検出結果の正確率を上げることができ、また、このような方法は、実現されやすく、操作が簡単であり、耐ノイズ性能が高く、高プライバシー保護性をも有する。
【0104】
<第三側面の実施例>
本発明の実施例において電子機器が提供され、それは第二側面の実施例に記載の無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100を含み、その内容はここに合併される。該電子機器は例えば、コンピュータ、サーバー、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、スマートフォンなどであっても良いが、本発明の実施例はこれに限定されない。
【0105】
図12は本発明の実施例における電子機器を示す図である。
図12に示すように、電子機器1200は処理器(例えば、中央処理器CPU)1210及び記憶器1220を含んでも良く、記憶器1220は中央処理器1210に接続される。そのうち、該記憶器1220は各種のデータを記憶でき、また、情報処理用のプログラム1221をも記憶でき、かつ処理器1210の制御下で該プログラム1221を実行できる。
【0106】
幾つかの実施例において、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100の機能は処理器1210に統合して実現され得る。そのうち、処理器1210は、第一側面の実施例に記載の無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法を実現するように構成される。
【0107】
幾つかの実施例において、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100は処理器1210と別々に配置されても良く、例えば、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100を、処理器1210に接続されるチップとして構成し、処理器1210の制御により、無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出装置1100の機能を実現しても良い。
【0108】
例えば、処理器1210は次のような制御を行うように構成されても良く、即ち、無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び、前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出することである。
【0109】
また、
図12に示すように、電子機器1200はさらに、入出力(I/O)装置1230、表示器1240などを含んでも良く、そのうち、これらの部品の機能は従来技術と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。なお、電子機器1200は
図12に示す全部の部品を含む必要がない。また、電子機器1200はさらに、
図12にない部品を含んでも良いが、これについては関連技術を参照できる。
【0110】
本発明の実施例においてコンピュータ可読プログラムがさらに提供され、そのうち、電子機器で前記プログラムを実行するときに、前記プログラムはコンピュータに、前記電子機器で第一側面の実施例に記載の無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法を実行させる。
【0111】
本発明の実施例においてコンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体がさらに提供され、そのうち、前記コンピュータ可読プログラムはコンピュータに、電子機器で第一側面の実施例に記載の無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法を実行させる。
【0112】
また、上述の方法及び装置は、ソフトウェア又はハードウェアにより実現されても良く、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されても良い。本発明はさらに、下記のようなコンピュータ読み取り可能なプログラムに関し、即ち、該プログラムは、ロジック部品により実行されるときに、該ロジック部品に上述の装置又は構成部品を実現させ、又は、該ロジック部品に上述の各種の方法又はステップを実現させる。ロジック部品は例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロプロセッサ、コンピュータに用いる処理器などであっても良い。本発明はさらに、上述のプログラムを記憶した記憶媒体、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光ハードディスク、DVD、フラッシュメモリなどにも関する。
【0113】
さらに、図面に記載の機能ブロックのうちの1つ又は複数の組み合わせ及び/又は機能ブロックの1つ又は複数の組み合わせは、本明細書に記載の機能を実行するための汎用処理器、デジタル信号処理器(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラム可能な論理部品、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理部品、ディスクリートハードウェアアセンブリ又は他の任意の適切な組み合わせとして実現されても良い。また、図面に記載の機能ブロックのうちの1つ又は複数の組み合わせ及び/又は機能ブロックの1つ又は複数の組み合わせはさらに、計算装置の組み合わせ、例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPと通信により接続される1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成の組み合わせとして構成されても良い。
【0114】
また、上述の実施例などに関し、さらに以下のような付記を開示する。
【0115】
(付記1)
種無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法であって、
無線レーダー信号に基づいて生命体の初期位置を確定し;
前記初期位置を含む隣接領域の範囲内で、バイタルサインパラメータを検出するための特性信号の周波数領域特徴に基づいて、生命体の生理特性と符合した特性信号に対応する目標位置を確定し;及び
前記目標位置での特性信号に基づいて、バイタルサインパラメータを検出することを含む、方法。
【0116】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
前記隣接領域の範囲は、前記初期位置を中心とする、少なくとも1つの空間次元で生成される変数区間であり、そのうち、前記空間次元は、距離次元、垂直方位角次元及び水平方位角次元のうちの少なくとも1つを含み;及び/又は
前記生理特性は、呼吸及び/又は心拍の周波数領域特徴であり;及び/又は
前記バイタルサインパラメータは、呼吸及び/又は心拍の周波数であり;及び/又は
前記特性信号は、所定期間内の前記隣接領域の範囲における各位置での無線レーダー信号の位相及び/又は位相差を含む、方法。
【0117】
(付記3)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記周波数領域特徴は、前記特性信号における、呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーと、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドとは異なる他の周波数バンドのエネルギーとの関係を表す特徴を含む、方法。
【0118】
(付記4)
付記3に記載の方法であって、
前記周波数領域特徴は以下のうちの少なくとも1つを含み、即ち、
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第一周波数バンドのエネルギーの平均値の比率;
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第二周波数バンドのエネルギーの最大値の比率;
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの総和と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第三周波数バンドのエネルギーの総和の比率;及び
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの平均値の比率、プラス、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドのエネルギーの最大値と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドよりも高い第四周波数バンドのエネルギーの平均値の比率である、方法。
【0119】
(付記5)
付記3又は4に記載の方法であって、
前記周波数領域特徴の最大値に対応する位置は前記目標位置である、方法。
【0120】
(付記6)
付記5に記載の方法であって、
前記目標位置での特性信号は所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値及び/又は位相差を含む、方法。
【0121】
(付記7)
付記6に記載の方法であって、
前記目標位置での特性信号に基づいてバイタルサインパラメータを検出することは、
前記目標位置での特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相値を含む場合に、
前記目標位置での特性信号に対して前処理を行い、
前処理後の信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、前記前処理後の信号の周波数領域情報を取得し、及び
前記前処理後の信号の周波数領域情報に基づいて、前記バイタルサインパラメータを確定し;及び/又は
前記目標位置での特性信号が所定期間内の前記目標位置での無線レーダー信号の位相差を含む場合に、
前記目標位置での特性信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、前記目標位置での特性信号の周波数領域情報を取得し、及び
前記周波数領域情報に基づいて前記バイタルサインパラメータを確定することを含む、方法。
【0122】
(付記8)
付記7に記載の方法であって、
前記前処理は以下のうちの少なくとも1つを含み、即ち、
前記目標位置での特性信号に対して最小二乗平滑フィルタリングを行い、前記目標位置での特性信号からフィルタリング後の信号を減算し、取得された信号を前記前処理後の信号とし;及び
隣接するフレームの前記目標位置での特性信号に対して位相差を計算し、位相差信号を取得し、取得された位相差信号を前記前処理後の信号とすることである、方法。
【0123】
(付記9)
付記7に記載の方法であって、
前記周波数領域情報に基づいてバイタルサインパラメータを確定することは、
前記周波数領域情報に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値とその対応する重み値との乗積の総和と前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の総エネルギーの合計の比率を計算し、前記比率は呼吸周波数及び/又は心拍周波数であり、そのうち、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の各周波数値の重み値は該周波数値に対応するエネルギー値であり;及び/又は
前記周波数領域情報に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの1番目の極値点の第一エネルギー値E1及び前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内のエネルギーの前記1番目の極値点以外の他の極値点の第二エネルギー値E2を確定し、前記第一エネルギー値E1及び前記第二エネルギー値E2に基づいて、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドの第一周波数バンド又は第二周波数バンドを確定し、そのうち、前記第一周波数バンドは前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに等しく、前記第二周波数バンドは前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンドに含まれるが、前記1番目の極値点に対応する周波数値を含まない周波数バンドであり、及び、確定された前記第一周波数バンド又は前記第二周波数バンドに基づいて、前記バイタルサインパラメータを確定し;及び/又は
前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内で、前記呼吸周波数バンド及び/又は心拍周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、第一呼吸周波数及び/又は第一心拍周波数を取得し、前記第一呼吸周波数及び/又は前記第一心拍周波数、及び前記呼吸周波数バンド又は前記心拍周波数バンド内の最大エネルギー値に対応する第二呼吸周波数及び/又は第二心拍周波数に基づいて、前記呼吸周波数又は前記心拍周波数を確定することを含む、方法。
【0124】
(付記10)
付記9に記載の方法であって、
前記第一エネルギー値E1と前記第二エネルギー値E2の比率が所定閾値よりも大きいときに、前記第一周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、前記呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得し、
前記第一エネルギー値E1と前記第二エネルギー値E2の比率が所定閾値以下のときに、前記第二周波数バンド内の周波数値及びその対応するエネルギーを用いて加重平均を行い、前記呼吸周波数及び/又は心拍周波数を取得する、方法。
【0125】
(付記11)
コンピュータ可読プログラムを記憶している記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読プログラムはコンピュータに、電子機器で付記1乃至10のうちの任意の1項に記載の無線レーダー信号に基づくバイタルサイン検出方法を実行させる、記憶媒体。
【0126】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。