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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008664
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】駐車支援方法及び運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B60W30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110706
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康啓
(72)【発明者】
【氏名】武者 祐介
(72)【発明者】
【氏名】村松 聡
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA23Z
3D241DA52Z
3D241DA55Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
3D241DB15Z
3D241DB16Z
3D241DB32Z
3D241DC33Z
3D241DC50Z
(57)【要約】
【課題】自車両を駐車したことがない目標駐車位置でも、目標駐車位置の周囲に存在する物標に基づいて目標駐車位置への自車両の駐車支援を行うことを可能とする。
【解決手段】車両1aの周囲物標の位置を検出し(S11)、車両1aの内部の第1記憶装置に、目標駐車位置の周囲の物標と目標駐車位置との相対位置関係を表す物標位置データが無く、車両1aの外部の第2記憶装置に物標位置データが存在する場合に、第2記憶装置から物標位置データを取得し(S22~S27)、物標位置データと周囲物標の位置とに基づいて、目標駐車位置30と車両1aの現在位置との相対位置関係を算出し(S14)、目標駐車位置と車両1aの現在位置との相対位置関係に基づいて車両1aの現在位置から目標駐車位置へ至る走行軌道を算出し(S15)、走行軌道に基づいて目標駐車位置への車両1aの駐車を支援する(S16)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に存在する物標である周囲物標の位置を検出し、
前記車両の内部に設けられた第1記憶装置に、目標駐車位置の周囲に存在する物標と前記目標駐車位置との相対位置関係を表す物標位置データが無く、前記車両の外部に設けられた第2記憶装置に前記物標位置データが存在する場合に、前記第2記憶装置から前記物標位置データを取得し、
前記第2記憶装置から取得した前記物標位置データと前記周囲物標の位置とに基づいて、前記目標駐車位置と前記車両の現在位置との相対位置関係を算出し、
前記目標駐車位置と前記車両の現在位置との相対位置関係に基づいて前記車両の現在位置から前記目標駐車位置へ至る走行軌道を算出し、
前記走行軌道に基づいて前記目標駐車位置への前記車両の駐車を支援する、
ことを特徴とする駐車支援方法。
【請求項2】
複数の前記目標駐車位置の前記物標位置データが前記第2記憶装置に記憶され、
前記複数の目標駐車位置を表示装置に表示し、
表示された前記複数の目標駐車位置からいずれか1つを選択する入力操作を受け付け、
前記入力操作によって選択された前記目標駐車位置の前記物標位置データを前記第2記憶装置から取得し、
前記第2記憶装置から取得した前記物標位置データと前記周囲物標の位置とに基づいて、選択された前記目標駐車位置と前記車両の現在位置との相対位置関係を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項3】
前記車両である第1車両は、前記第1車両以外の第2車両を前記目標駐車位置に駐車する場合に生成されて前記第2記憶装置に記憶された、前記第2車両の周囲に存在する物標と前記目標駐車位置との相対位置関係を表すデータを、前記物標位置データとして受信することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項4】
前記第1車両は、前記第2車両の利用者の送信指示に応じて送信された、前記第2記憶装置に記憶された前記物標位置データを受信し、
受信した前記物標位置データと前記第1車両の周囲の前記周囲物標の位置とに基づいて、前記目標駐車位置と前記第1車両の現在位置との相対位置関係を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車支援方法。
【請求項5】
前記第1車両は、前記第1車両の利用者の要求指示に応じて送信された、前記第2記憶装置に記憶された前記物標位置データを受信し、
受信した前記物標位置データと前記第1車両の周囲の前記周囲物標の位置とに基づいて、前記目標駐車位置と前記第1車両の現在位置との相対位置関係を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車支援方法。
【請求項6】
前記第1車両の利用者の要求指示に対する前記物標位置データの送信許可を前記第2車両の利用者に促す通知を生成し、
前記第2車両の利用者による前記物標位置データの送信許可操作を受け付け、
前記送信許可操作に応じて前記第2記憶装置に記憶された前記物標位置データを前記第1車両に送信することを特徴とする請求項5に記載の駐車支援方法。
【請求項7】
前記第2記憶装置は、前記第1車両と前記第2車両の外部に設けられることを特徴とする請求項3に記載の駐車支援方法。
【請求項8】
前記走行軌道と前記目標駐車位置と前記車両の現在位置との相対位置関係とを、前記車両の利用者が視認可能な表示装置に表示することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項9】
前記走行軌道に沿って走行するように前記車両を制御することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項10】
車両に設けられて周囲の物体を検出するセンサと、
前記車両の内部に設けられた第1記憶装置と、
前記車両の外部に設けられて目標駐車位置の周囲に存在する物標と前記目標駐車位置との相対位置関係を表す物標位置データを記憶する第2記憶装置と、
前記第2記憶装置から前記物標位置データを取得するインタフェースと、
前記車両に設けられて、前記センサの検出信号に基づいて前記車両の周囲に存在する物標である周囲物標の位置を検出する処理と、前記第1記憶装置に前記物標位置データが無く前記第2記憶装置に前記物標位置データが存在する場合に、前記インタフェースによって前記第2記憶装置から前記物標位置データを取得する処理と、前記物標位置データと前記周囲物標の位置とに基づいて、前記目標駐車位置と前記車両の現在位置との相対位置関係を算出する処理と、前記目標駐車位置と前記車両の現在位置との相対位置関係に基づいて前記車両の現在位置から前記目標駐車位置へ至る走行軌道を算出する処理と、前記走行軌道に基づいて前記目標駐車位置への前記車両の駐車を支援する処理と、を実行するコントローラと、
を備えることを特徴とする駐車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援方法及び運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過去に自車両を目標駐車位置に駐車したときに目標駐車位置の周囲を撮影した画像から物標を抽出して記憶しておき、記憶した物標の位置と自動駐車時に自車両の周囲を撮影した画像から抽出される物標の位置とに基づいて自車両に対する目標駐車位置の相対位置を算出し、算出した相対位置に基づいて自車両を目標駐車位置まで自動的に移動させる運転制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の運転制御装置では、過去に自車両を駐車したことがない駐車スペースに駐車する場合には駐車支援機能を利用できないという課題がある。例えば、初めて訪問する場所には目標駐車位置が記憶されていないために、駐車支援機能を利用できない。
本発明は、自車両を駐車したことがない目標駐車位置であっても、目標駐車位置の周囲に存在する物標に基づいて目標駐車位置への自車両の駐車支援できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による駐車支援方法では車両の周囲に存在する物標である周囲物標の位置を検出し、車両の内部に設けられた第1記憶装置に、目標駐車位置の周囲に存在する物標と目標駐車位置との相対位置関係を表す物標位置データが無く、車両の外部に設けられた第2記憶装置に物標位置データが存在する場合に、第2記憶装置から物標位置データを取得し、第2記憶装置から取得した物標位置データと周囲物標の位置とに基づいて、目標駐車位置と車両の現在位置との相対位置関係を算出し、目標駐車位置と車両の現在位置との相対位置関係に基づいて車両の現在位置から目標駐車位置へ至る走行軌道を算出し、走行軌道に基づいて目標駐車位置への車両の駐車を支援する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両を駐車したことがない目標駐車位置であっても、目標駐車位置の周囲に存在する物標に基づいて目標駐車位置への自車両の駐車を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の運転支援システムの概略構成を示す模式図である。
図2】(a)は学習済物標データを記憶する処理の一例の説明図であり、(b)は駐車支援実施時の処理の一例の説明図である。
図3図1のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
図4】学習済物標データを記憶する処理の一例のフローチャートである。
図5】駐車支援実施時の処理の一例のフローチャートである。
図6】第1実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
図7】第2実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
図8】第3実施形態の運転支援システムの概略構成を示す模式図である。
図9】第3実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
図10】第4実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、第1実施形態の運転支援システムの概略構成を示す模式図である。運転支援システムは、第1車両1a及び第2車両1bにそれぞれ設けられた駐車支援装置10と、第1車両1aの利用者(例えば運転者等の乗員)が利用する第1携帯端末装置2aと、第2車両1bの利用者が利用する第2携帯端末装置2bを備える。なお、第2車両1bに設けられた駐車支援装置は、第1車両1aに設けられた駐車支援装置10と同様の構成を有しており、図1において記載を省略する。
また、以下の説明において第1車両1a及び第2車両1bを総称して「車両1」と表記することがある。第1携帯端末装置2a及び第2携帯端末装置2bを総称して「携帯端末装置2」と表記することがある。
【0010】
駐車支援装置10は、車両1の現在位置から目標駐車位置までの目標走行軌道に沿って走行することを支援する。例えば、車両1の目標走行軌道に沿って目標駐車位置まで走行するように車両1を制御する自動運転を行ってもよい。車両1の目標走行軌道に沿って目標駐車位置まで走行するように制御する自動運転とは、自車両の操舵角、駆動力、制動力の全て、又は一部を制御して、車両1の目標走行軌道に沿った走行の全て又は一部を自動的に実施する制御を意味する。また、目標走行軌道と車両1の現在位置とを車両1の乗員が視認可能な表示装置に表示することによって、車両1の駐車を支援してもよい。
【0011】
測位装置11は、車両1の現在位置を測定する。測位装置11は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備える。
ヒューマンマシンインタフェース(HMI)12は、駐車支援装置10と乗員との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI12は、車両1の乗員が視認可能な表示装置、スピーカやブザー、操作子を備える。
シフトスイッチ(シフトSW)13は、運転者や駐車支援装置10が車両1のシフトポジションを切り替えるためのスイッチである。
【0012】
外界センサ14は、車両1から所定距離範囲の物体を検出する。外界センサ14は、車両1の周囲に存在する物体と車両1との相対位置、車両1と物体との距離、物体が存在する方向などの車両1の周囲環境を検出する。外界センサ14は、例えば車両1の周囲環境を撮影するカメラを含んでよい。以下の説明において、外界センサ14が有するカメラを単に「カメラ」と表記する。外界センサ14は、レーザレンジファインダやレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)などの測距装置を含んでもよい。
【0013】
車両センサ15は、車両1の様々な情報(車両情報)を検出する。車両センサ15は、例えば、車両1の走行速度を検出する車速センサ、車両1が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、車両1の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角を検出する操舵角センサ、転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサ、ジャイロセンサ、ヨーレイトセンサを含んでよい。
通信装置16は、車両1の利用者が利用する携帯端末装置2との間で通信可能である。具体的には、第1車両1aの通信装置16は第1携帯端末装置2aとの間で通信可能であり、第2車両1bの通信装置16は第2携帯端末装置2bとの間で通信可能である。通信装置16と携帯端末装置2との間の通信方式は、例えばwifi(登録商標)、bluetooth(登録商標)、USB(登録商標)等であってよい。通信装置16は、車両1の外部の通信装置との間で通信可能であってもよい。通信装置16による通信方式は、例えば公衆携帯電話網による無線通信や、車車間通信等であってよい。通信装置16と携帯端末装置2は、特許請求の範囲に記載の「インタフェース」の一例である。
【0014】
コントローラ17は、車両1の駐車支援制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ17は、プロセッサ20と、記憶装置21等の周辺部品とを含む。プロセッサ20は、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置21は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。以下に説明するコントローラ17の機能は、例えばプロセッサ20が、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、コントローラ17を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
ステアリングアクチュエータ19aは、コントローラ17の制御信号に応じて車両1の操舵機構の操舵方向及び操舵量を制御する。アクセルアクチュエータ19bは、コントローラ17の制御信号に応じて、エンジンや駆動モータである駆動装置のアクセル開度を制御する。ブレーキアクチュエータ19cは、コントローラ17の制御信号に応じて制動装置を作動させる。
【0015】
次に、駐車支援装置10による駐車支援制御を説明する。図2(a)を参照する。駐車支援装置10による駐車支援を利用する際には、目標駐車位置30の周囲に存在する物標を抽出して予め記憶装置21に記憶させる。以下の説明において、記憶装置21に記憶する目標駐車位置30の周囲の物標を「学習済物標」と表記する。図2(a)において丸プロットは学習済物標を表している。記憶装置21に記憶する学習済物標のデータは、特許請求の範囲に記載の「物標位置データ」の一例である。
例えば、駐車支援装置10は、車両1が目標駐車位置30付近に位置するとき(例えば運転者が手動運転で車両1を目標駐車位置30に駐車させるとき)にカメラで車両1の周囲を撮影して得られる周囲画像から、目標駐車位置30の周囲の物標を検出する。例えば、カメラで撮影して得られた撮像画像上の、路面標示や、道路境界、障害物などの物標のエッジやコーナーなど、隣接する画素の輝度が所定以上変化するエッジ点や形状に特徴を備える点(特徴点)を物標として検出する。
【0016】
学習済物標を記憶装置21に記憶させる際には、例えば、運転者がHMI12の操作子として用意された「駐車位置学習スイッチ」を操作する。駐車支援装置10は、学習済物標と目標駐車位置30との間の相対位置関係を記憶する。例えば、運転者がHMI12を操作することで、車両1の現在位置が目標駐車位置30であることを入力してよい。駐車支援装置10は、車両1が目標駐車位置30に位置するときに検出した学習済物標の位置に基づいて、学習済物標と目標駐車位置30との間の相対位置関係を求めてもよい。学習済物標と目標駐車位置30との間の相対位置関係を記憶する際、例えば、固定の地点を基準点とする座標系(以下「地図座標系」と表記する)上における学習済物標と目標駐車位置30の座標を記憶してもよい。この場合、車両1が目標駐車位置30に位置するときに測位装置11で測定した地図座標系上の現在位置を、目標駐車位置30として記憶してもよい。また、地図座標系の代わりに、各々の学習済物標に対する目標駐車位置30のそれぞれの相対位置を記憶してもよい。
【0017】
図2(b)は、駐車支援実施時の処理の一例の説明図である。駐車支援装置10は、車両1が目標駐車位置30付近に位置するときに車両1の駐車支援を実施する。
例えば駐車支援装置10は、車両1が目標駐車位置30付近に位置するときに運転者が車両1の前進と後退を切り替える切返しのためのシフト操作を行ったか否かを判定する。図2(b)は切返し位置31で車両1が切返しを行う例を示している。駐車支援装置10は、シフトポジションがドライブレンジ(Dレンジ)からリバースレンジ(Rレンジ)に切り替わったり、RレンジからDレンジに切り替わった場合に、切返しのためのシフト操作が行われたと判定し、駐車支援を開始してよい。車両1が目標駐車位置30付近の位置32にいるときに、HMI12に用意された「駐車支援起動スイッチ」を運転者が操作したときに駐車支援を開始してもよい。
【0018】
駐車支援装置10は、カメラで車両1の周囲を撮影して得られる周囲画像から、車両1の周囲の物標を抽出する。以下の説明において、駐車支援実施時に抽出される車両1の周囲の物標を「周囲物標」と表記する。図2(b)において三角形プロットは周囲物標を表している。
駐車支援装置10は、記憶装置21に記憶した学習済物標と周囲物標とをマッチングし、同一の特徴点同士を対応付ける。そして、駐車支援実施時に検出した周囲物標と車両1との間の相対位置関係と、周囲物標に対応付けられた学習済物標と目標駐車位置30との間の相対位置関係に基づいて、目標駐車位置30に対する車両1の相対位置を算出する。
【0019】
例えば、駐車支援装置10は、車両1の現在位置を基準とする座標系(以下「車両座標系」と表記する)上の目標駐車位置30の位置を算出してもよい。例えば、地図座標系における学習済物標と目標駐車位置30の座標が記憶装置21に記憶されている場合、駐車支援実施時に検出した周囲物標の位置と、地図座標系における学習済物標の位置に基づいて、地図座標系上の目標駐車位置30の座標を、車両座標系上の座標に変換してよい。
または、駐車支援実施時に検出した周囲物標の位置と地図座標系における学習済物標の位置に基づいて、地図座標系上の車両1の現在位置を求め、地図座標系における車両1の座標と目標駐車位置30の座標の差分から、目標駐車位置30に対する車両1の相対位置を算出してもよい。
駐車支援装置10は、目標駐車位置30に対する車両1の相対位置に基づいて、車両1の現在位置32から目標駐車位置30へ至る目標走行軌道33を算出する。駐車支援装置10は、算出した目標走行軌道33に基づいて車両1の駐車支援制御を実施する。
【0020】
コントローラ17の機能構成についてより詳しく説明する。図3を参照する。HMI制御部40は、駐車位置学習スイッチが乗員に操作されると、学習済物標を記憶装置21に記憶させる地図生成指令を地図生成部45に出力する。HMI制御部40は、乗員が切返しのためのシフト操作を行ったか否かを判定し、判定結果を駐車支援制御部41に出力する。また、HMI12の駐車支援起動スイッチが乗員に操作されたことを検出すると、検出結果を駐車支援制御部41に出力する。
駐車支援制御部41は、車両1が目標駐車位置30の付近に位置するか否かを判定する。例えば、車両1と目標駐車位置30との距離が所定距離以下であるか否かを判定する。例えば測位装置11によって車両1と目標駐車位置30との距離が所定距離以下であるか否かを判定してよい。または、目標駐車位置30付近の物標の特徴量を予め記憶し、類似する特徴量の物標を外界センサ14が検出するか否かを判定してもよい。
車両1が目標駐車位置30の付近に位置し、駐車支援起動スイッチの操作をHMI制御部40が検出すると、駐車支援制御部41は駐車支援制御を開始する。または、車両1が目標駐車位置30の付近に位置し、切返しのためのシフト操作を検出すると駐車支援制御を開始する。
【0021】
駐車支援制御を開始すると、駐車支援制御部41は、車両座標系における目標駐車位置30の位置を算出させる駐車位置算出指令を突合部47に出力する。また、車両1の現在位置から目標駐車位置30へ至る目標走行軌道と、車両1が目標走行軌道を走行する目標車速プロファイルと、を算出させる走行軌道算出指令を目標軌道生成部48に出力する。
目標軌道生成部48は、車両1の現在位置から目標駐車位置30へ至る目標走行軌道と目標車速プロファイルとを算出して駐車支援制御部41へ出力する。目標走行軌道と目標車速プロファイルの算出には、自動駐車装置に採用されている既知の手法を適用することができる。
駐車支援制御部41は、目標走行軌道と車両1の現在位置の情報をHMI制御部40へ出力する。目標走行軌道が切返しを含む場合、切返し位置の情報をHMI制御部40へ出力する。HMI制御部40は、目標走行軌道と車両1の現在位置と切返し位置を、HMI12に表示する。
また、駐車支援制御部41は、算出された目標走行軌道に沿って車両1を走行させるように操舵制御する操舵制御指令を操舵制御部49へ出力し、算出された目標車速プロファイルに従って車両1の車速を制御する車速制御指令を車速制御部50へ出力する。
【0022】
画像変換部42は、カメラの撮像画像を、車両1の真上の仮想視点から見た俯瞰画像(アラウンドビューモニター画像)に変換する。画像変換部42は、所定の間隔で(例えば車両1が所定距離(例えば50cm)や所定時間(例えば1秒間)走行する毎に)撮像画像を俯瞰画像に変換し、変換された俯瞰画像を車両1の走行経路に沿って蓄積することで車両1の周囲領域の画像である周囲画像を生成する。
自己位置算出部43は、車両センサ15から出力される車両情報に基づくデッドレコニングにより地図座標系上の車両1の現在位置を演算する。
【0023】
学習済物標を記憶装置21に記憶する場合には、物標検出部44は、画像変換部42から出力される周囲画像から学習済物標を検出する。また、駐車支援制御を実施する際には画像変換部42から出力される周囲画像から周囲物標を検出する。例えば物標検出部44は、学習済物標や周囲物標の情報として、物標の特徴点とその画像特徴量を検出してよい。特徴点の検出や画像特徴量の算出には、例えばSIFT、SURF、ORB、BRIAK、KAZE、AKAZE等の手法を利用できる。
学習済物標を記憶装置21に記憶する際に、運転者は駐車位置学習スイッチを操作して、手動運転によって車両1を目標駐車位置に駐車する。このとき地図生成部45は、HMI制御部40から地図生成指令を受信する。地図生成部45は、物標検出部44から出力された物標の位置情報及び特徴量と、これに同期した車両1の現在位置と、を学習済物標として記憶装置21に記憶することにより地図データ46を生成する。車両1の現在位置に基づいて、物標の地図座標系の位置を算出して物標の位置情報として記憶してもよい。
また、車両1の現在位置が目標駐車位置30であることを運転者が駐車支援装置10に入力すると、地図生成部45は、車両1の地図座標系上の現在位置を測位装置11又は自己位置算出部43から受信して、目標駐車位置30として地図データ46に記憶する。すなわち、目標駐車位置30と複数の特徴点との相対位置関係を地図データ46として記憶する。
【0024】
その後に、駐車支援制御部41が駐車支援制御を開始すると、突合部47は、駐車支援制御部41から駐車位置算出指令を受信する。突合部47は、地図データ46に記憶されている学習済物標と、駐車支援実施時に物標検出部44から出力されている周囲物標とをマッチングして、同一の特徴点の物標どうしを対応付ける。突合部47は、周囲物標と車両1との間の相対位置関係と周囲物標に対応付けられた学習済物標と目標駐車位置30との間の相対位置関係に基づいて、目標駐車位置30に対する車両1の現在の相対位置を算出する。例えば、周囲物標を(x,y)と表記し、周囲物標(x,y)にそれぞれ対応付けられた学習済物標を(xmi,ymi)と表記する(i=1~N)。突合部47は、最小二乗法に基づいて次式によりアフィン変換行列Maffineを算出する。
【0025】
【数1】
【0026】
突合部47は、次式により地図データ46に記憶された地図座標系上の目標駐車位置30の位置(targetx,targety)を、車両座標系の位置(targetx,targety)に変換する。
【数2】
【0027】
目標軌道生成部48は、駐車支援制御部41から走行軌道算出指令を受信すると、車両座標系上の車両1の現在位置から目標駐車位置30まで至る目標走行軌道と、車両1が目標走行軌道を走行する目標車速プロファイルとを算出する。操舵制御部49は、駐車支援制御部41から操舵制御指令を受信すると、車両1が目標走行軌道に沿って車両1を走行するようにステアリングアクチュエータ19aを制御する。車速制御部50は、駐車支援制御部41から車速制御指令を受信すると、車両1の車速が目標車速プロファイルに従って変化するように、アクセルアクチュエータ19bとブレーキアクチュエータ19cを制御する。これにより、目標走行軌道に沿って走行するように車両1が制御される。
駐車支援制御部41は、車両1が目標駐車位置30に到達して駐車支援制御が完了すると、駐車支援制御部41は、パーキングブレーキ18を作動させ、シフトポジションをパーキングレンジ(Pレンジ)に切り替える。
【0028】
図4は、学習済物標データを記憶する処理の一例のフローチャートである。ステップS1において画像変換部42は、カメラの撮像画像を車両1の真上の仮想視点から見た俯瞰画像に変換して周囲画像を取得する。ステップS2において物標検出部44は、目標駐車位置30の周囲の物標を検出する。ステップS3において地図生成部45は、検出された物標を学習済物標として記憶装置21に記憶する。その後に処理は終了する。
図5は、駐車支援実施時の処理の一例のフローチャートである。ステップS10において画像変換部42は、カメラの撮像画像を車両1の真上の仮想視点から見た俯瞰画像に変換して周囲画像を取得する。ステップS11において物標検出部44は、車両1の周囲に存在する周囲物標を検出する。
【0029】
ステップS12において突合部47は、記憶装置21から学習済物標を読み込む。ステップS13において突合部47は、周囲物標と学習済物標とをマッチングする。ステップS14において突合部47は、マッチングした周囲物標と学習済物標とに基づいて目標駐車位置30を算出する。ステップS15において目標軌道生成部48は、目標走行軌道と目標車速プロファイルとを算出する。ステップS16において操舵制御部49と車速制御部50は、目標走行軌道と目標車速プロファイルとに基づいてステアリングアクチュエータ19a、アクセルアクチュエータ19b、ブレーキアクチュエータ19cを制御する。ステップS17において駐車支援制御部41は、駐車支援制御が完了すると、パーキングブレーキ18を作動させてシフトポジションをPレンジに切り替える。その後に処理は終了する。
【0030】
図3を参照する。データ交換部51は、第1車両1a及び第2車両1bにそれぞれ設けられた駐車支援装置10の間で、記憶装置21に記憶した学習済物標のデータ(以下、「学習済物標データ」と表記することがある)を交換する。第1実施形態の運転支援システムでは、通信装置16と携帯端末装置2を経由して第2車両1bから第1車両1aへ学習済物標データを送信する。すなわち、第2車両1bの地図生成部45により生成されて第2車両1bの記憶装置21に記憶した学習済物標データを、第1車両1aへ送信する。
第2車両1bの記憶装置21は、特許請求の範囲に記載の「記憶装置」(すなわち第1車両1aの外部に設けられた記憶装置)の一例である。
【0031】
携帯端末装置2は、例えばスマートフォン、タブレット、モバイルパーソナルコンピュータ等の通信機能を有する可搬形の情報処理装置である。第2車両1bから第1車両1aへの学習済物標データの送信のために携帯端末装置2を用いるために、例えば携帯端末装置2には専用のアプリケーションプログラムやソフトウエアプログラム(以下の説明において「駐車支援アプリケーション」と表記することがある)がインストールされる。
駐車支援アプリケーションは、携帯端末装置2の記憶装置(図示せず)に格納される。携帯端末装置2のプロセッサ(図示せず)が駐車支援アプリケーションを実行されることにより、以下に説明する駐車支援アプリケーションの機能が実現される。
【0032】
第1実施形態における駐車支援アプリケーションは、データ交換部51及び通信装置16と連携して、携帯端末装置2と駐車支援装置10との間におけるデータ送受信機能を提供する。
第2車両1bの利用者が第2車両1bのHMI12を操作して、駐車支援装置10から携帯端末装置2への学習済物標データの転送を指示すると、第2車両1bのデータ交換部51は、第2車両1bの記憶装置21から学習済物標データを読み出す。データ交換部51は、第2携帯端末装置2bにインストールされた駐車支援アプリケーションのデータ送受信機能を利用して、通信装置16から第2携帯端末装置2bへ学習済物標データを転送する。
【0033】
第2車両1bの利用者は、第2携帯端末装置2bにインストールされている既存のデータ通信機能(例えば、電子メール、ショートメッセージサービス、ソーシャルネットワーキングサービス)を利用して、第2携帯端末装置2bから第1携帯端末装置2aへ学習済物標データを送信する。すなわち、第2車両1bの利用者は、第2携帯端末装置2bを操作することにより学習済物標データの送信先(第1携帯端末装置2a)を選択する。
第1車両1aのデータ交換部51は、第1携帯端末装置2aにインストールされた駐車支援アプリケーションと駐車支援装置10との間のデータ送受信機能を利用して、第1携帯端末装置2aが受信した学習済物標データを、第1車両1aの記憶装置21にダウンロードする。
これによって、第1車両1aの駐車支援装置10は、第2車両1bの地図生成部45により生成された学習済物標を利用した駐車支援制御が可能となる。すなわち、第2車両1bを駐車した目標駐車位置へ第1車両1aを駐車する駐車支援が可能となる。
【0034】
図6は、第1実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
ステップS20において第2車両1bの地図生成部45は、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときの学習済物標を記憶装置21に記憶する。
ステップS21において第2車両1bの利用者は、第2車両1bのHMI12を操作することにより、第2車両1bから第2携帯端末装置2bへの学習済物標データの転送を指示する転送操作を実施する。
第2車両1bのHMI12が転送操作を受け付けると、ステップS22において第2車両1bのデータ交換部51は、第2車両1bの記憶装置21に記憶されている学習済物標データを第2携帯端末装置2bへ転送する。
【0035】
ステップS23において第2車両1bの利用者は、第2携帯端末装置2bを操作することにより、既存のデータ通信機能による学習済物標データの送信先として第1携帯端末装置2aを指定する。
ステップS24において第2携帯端末装置2bは、学習済物標データを第1携帯端末装置2aへ送信する。
ステップS25において、学習済物標データを受信した第1携帯端末装置2aは、学習済物標データを受信したことを第1車両1aの利用者に知らせる視覚的メッセージ(文字メッセージ、メッセージ画像等)及び/又は音声メッセージを出力する。
ステップS26において第1車両1aの利用者は、第1携帯端末装置2aを操作することにより、受信した学習済物標データを第1車両1aの駐車支援装置10に登録することを指示する登録操作を実施する。
【0036】
ステップS27において第1車両1aのデータ交換部51は、第1携帯端末装置2aが受信した学習済物標データをダウンロードする。
ステップS28において第1車両1aのデータ交換部51は、学習済物標データを第1車両1aの記憶装置21に記憶する。
ステップS29において第1車両1aの駐車支援装置10は、ステップS28において記憶した学習済物標(すなわち第2車両1bから取得した学習済物標)を利用して駐車支援制御を実施する。
【0037】
(第1実施形態の変形例)
上記の第1実施形態では、携帯端末装置2を中継して第2車両1bから第1車両1aへ学習済物標データを送信するが、これに代えて第1車両1aと第2車両1bの各々の通信装置16の間の車車間通信により学習済物標データを送信してもよい。
また、第2車両1bの記憶装置21に記憶された学習済物標データを、可搬型記録媒体(SDメモリカードやCFカード等のメモリカード、USBメモリ等)に記録し、可搬型記録媒体から第1車両1aの記憶装置21に読み出すことによって、第2車両1bから第1車両1aへ学習済物標データをコピーしてもよい。駐車支援装置10は、可搬型記録媒体のデータを読み書き可能なドライブ装置を備えていてもよい。可搬型記録媒体とドライブ装置は、特許請求の範囲に記載の「インタフェース」の一例である。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態の運転支援システムの概略構成は、図1で示した構成と同様である。第2実施形態における駐車支援アプリケーションは、駐車支援装置10のデータ交換部51及び通信装置16と連携して、第1車両1aのデータ交換部51と第2車両1bのデータ交換部51との間におけるデータ送受信機能を提供する。
第2車両1bの記憶装置21に記憶された学習済物標データを他の車両の駐車支援装置10へ送信する際には、データ交換部51はHMI12の表示装置に、学習済物標データの送信先(すなわち学習済物標データを共有する共有先)の候補のリストを表示する。例えば、第2車両1bのデータ交換部51は、第2携帯端末装置2bにインストールされた駐車支援アプリケーションと連携して、第2携帯端末装置2bのアドレス帳のデータを参照し、学習済物標データの送信先の候補のリストを生成してよい。
第2車両1bの利用者がHMI12の表示装置に表示された送信先の候補のいずれかを選択することによって、学習済物標データの送信先が指定される。ここでは、第1車両1aを指定した場合を想定する。
【0039】
第2車両1bのデータ交換部51は、第2携帯端末装置2bにインストールされた駐車支援アプリケーションと連携して、第2車両1bの記憶装置21に記憶された学習済物標データを第1携帯端末装置2aへ送信する。
第1携帯端末装置2aにインストールされた駐車支援アプリケーションは、第1車両1aの駐車支援装置10が起動した際に、学習済物標データを第1車両1aのデータ交換部51に転送する。第1車両1aのデータ交換部51は、第1携帯端末装置2aから受信した学習済物標データ、第1車両1aの記憶装置21に記憶する。
これによって、第1車両1aの駐車支援装置10は、第2車両1bの地図生成部45により生成された学習済物標を利用した駐車支援制御が可能となる。すなわち、第2車両1bを駐車した目標駐車位置へ第1車両1aを駐車する駐車支援が可能となる。
【0040】
図7は、第2実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
ステップS30において第2車両1bの利用者は、HMI12を操作することにより第1車両1aを学習済物標データの送信先として指定する。
ステップS31において第2車両1bの地図生成部45は、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときの学習済物標を記憶装置21に記憶する。
ステップS32及びS33において第2車両1bのデータ交換部51は、第2携帯端末装置2bにインストールされた駐車支援アプリケーションと連携して、第2車両1bの記憶装置21に記憶された学習済物標データを第1携帯端末装置2aへ送信する。
【0041】
ステップS34において第1車両1aの駐車支援装置10が起動すると、ステップS35において第1携帯端末装置2aにインストールされた駐車支援アプリケーションは、第1車両1aのデータ交換部51に学習済物標データを転送する。
ステップS36においてデータ交換部51は、学習済物標データを受信したことを第1車両1aの利用者に知らせる視覚的メッセージ及び/又は音声メッセージをHMI12に出力する。
ステップS37において第1車両1aの利用者は、HMI12を操作することにより、受信した学習済物標データを第1車両1aの駐車支援装置10に登録することを指示する登録操作を実施する。
ステップS38において第1車両1aのデータ交換部51は、学習済物標データを第1車両1aの記憶装置21に記憶する。
ステップS39において第1車両1aの駐車支援装置10は、ステップS28において記憶した学習済物標(すなわち第2車両1bから取得した学習済物標)を利用して駐車支援制御を実施する。
【0042】
(第2実施形態の変形例)
上記の第1実施形態では、学習済物標データの送信先として第1車両1aの利用者の第1携帯端末装置2aを指定したが、これに代えて特定のサーバ装置を指定してもよい。第1車両1aのデータ交換部51は、第1車両1aの駐車支援装置10が起動したときに特定のサーバ装置から学習済物標データをダウンロードして、第1車両1aの記憶装置21に記憶してもよい。
また、上記の第1実施形態では携帯端末装置2を中継して第2車両1bから第1車両1aへ学習済物標データを送信するが、これに代えて第1車両1aと第2車両1bの各々の通信装置16の間の車車間通信により、学習済物標データを送信してもよい。
また、上記の第1実施形態では、学習済物標データの送信先を指定した後に第2車両1bの記憶装置21に学習済物標を記憶したが、第2車両1bの記憶装置21に学習済物標を記憶した後に学習済物標データの送信先を指定してもよい。
【0043】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の運転支援システムの概略構成を示す模式図である。第3実施形態の運転支援システムは、第1車両1a及びに第2車両1bそれぞれ設けられた駐車支援装置10と、第1携帯端末装置2aと、第2携帯端末装置2bと、パブリックサーバ装置3を備える。
パブリックサーバ装置3は、いずれかの車両1において生成された学習済物標データを記憶して、異なる車両1a、1b間において学習済物標データを仲介するサーバ装置である。パブリックサーバ装置3は、特許請求の範囲に記載の「車両の外部に設けられる」記憶装置の一例である。
第3実施形態における駐車支援アプリケーションは、駐車支援装置10のデータ交換部51及び通信装置16並びにパブリックサーバ装置3と連携して、車両1のデータ交換部51とパブリックサーバ装置3との間におけるデータ送受信機能を提供する。後述の第4実施例においても同様である。
【0044】
第3実施形態では、第2車両1bの記憶装置21に記憶された学習済物標データの共有先としてパブリックサーバ装置3を指定できる。例えばパブリックサーバ装置3に登録された学習済物標データを公開して、不特定の車両1の駐車支援装置10が利用できるようにしてもよい。例えば、病院、店舗、公共施設等の駐車場における駐車支援を行うための学習済物標データをパブリックサーバ装置3に登録して不特定の車両1が利用できるように公開してよい。
【0045】
図9は、第3実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
ステップS40において第2車両1bのデータ交換部51は、HMI12の表示装置に、パブリックサーバ装置3と第1携帯端末装置2aとを含む共有先リストを、学習済物標データの共有先の候補として表示する。第2車両1bの利用者は、HMI12を操作することによりパブリックサーバ装置3を学習済物標データの共有先として指定する。
ステップS41において第2車両1bの地図生成部45は、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときの学習済物標を記憶装置21に記憶する。
ステップS42及びS43において第2車両1bのデータ交換部51は、第2携帯端末装置2bにインストールされた駐車支援アプリケーションと連携して、第2車両1bの記憶装置21に記憶された学習済物標データをパブリックサーバ装置3へ送信する。パブリックサーバ装置3は、受信した学習済物標データを、パブリックサーバ装置3内の記憶装置(図示せず)若しくはパブリックサーバ装置3がアクセス可能な記憶装置(図示せず)に記憶する。
【0046】
ステップS44において第1車両1aの駐車支援装置10が起動すると、ステップS45及びS46において、第1車両1aのデータ交換部51は、第1携帯端末装置2aにインストールされた駐車支援アプリケーションと連携して、パブリックサーバ装置3に記憶されている学習済物標データをダウンロードする。
このとき、複数の異なる目標駐車位置の周囲の物標の学習済物標データがパブリックサーバ装置3に記憶されている場合(例えば、第2車両1b以外の車両から送信された学習済物標データが記憶されている場合)には、これら複数の目標駐車位置の学習済物標データをパブリックサーバ装置3からダウンロードしてよい。
【0047】
ステップS47においてデータ交換部51は、パブリックサーバ装置3から受信した学習済物標データにより駐車支援ができる目標駐車位置(すなわち学習済物標データを学習した目標駐車位置)をHMI12に提示する。複数の目標駐車位置の学習済物標データをパブリックサーバ装置3からダウンロードした場合には、これら複数の目標駐車位置のリストをHMI12に提示する。
ステップS48において第1車両1aの利用者は、HMI12を操作することにより、表示された目標駐車位置の学習済物標データを第1車両1aの駐車支援装置10に登録することを指示する登録操作を実施する。
ステップS49において第1車両1aのデータ交換部51は、学習済物標データを第1車両1aの記憶装置21に記憶する。
複数の目標駐車位置のリストがHMI12に表示されている場合には、ステップS48においてデータ交換部51は、HMI12を操作してこれら複数の目標駐車位置のいずれか一つを選択する第1車両1aの利用者の選択入力を受け付ける。
ステップS49において第1車両1aのデータ交換部51は、選択された目標駐車位置の学習済物標データを第1車両1aの記憶装置21に記憶する。
ステップS50において第1車両1aの駐車支援装置10は、ステップS28において記憶した学習済物標(すなわち第2車両1bから取得した学習済物標)を利用して駐車支援制御を実施する。
【0048】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態では、携帯端末装置2を中継して車両1とパブリックサーバ装置3との間で学習済物標データを送受信したが、公衆携帯電話網を経由して通信装置16とパブリックサーバ装置3との間で学習済物標データを直接送受信してもよい。
【0049】
(第4実施形態)
第4実施形態の運転支援システムの概略構成は、図8で示した構成と同様である。第4実施形態の運転支援システムでは、第1車両1aの利用者による学習済物標データの送信要求に応じて、パブリックサーバ装置3に記憶されている学習済物標データを、第1車両1aの記憶装置21にダウンロードして、第1車両1aの駐車支援装置10が利用する。
図10は、第4実施形態の運転支援システムの処理の一例のシーケンス図である。
ステップS60~S62の処理は、図9のステップS41~S43と同様である。
【0050】
ステップS63において第1車両1aの利用者は、第1車両1aのHMI12を操作して、パブリックサーバ装置3に記憶されている学習済物標データの利用を要求する学習済物標データ要求操作を実施する。第1車両1aのデータ交換部51は、駐車位置リスト要求信号を、第1携帯端末装置2a経由でパブリックサーバ装置3に送信する。駐車位置リスト要求信号は、パブリックサーバ装置3に学習済物標データが記憶されている目標駐車位置のリストの要求信号である。
ステップS64においてパブリックサーバ装置3は、駐車位置リスト要求信号に応答して、パブリックサーバ装置3に学習済物標データが記憶されている目標駐車位置のリストを第1携帯端末装置2a経由で第1車両1aへ送信する。目標駐車位置のリストは、複数の異なる目標駐車位置を含んでいてよい。
【0051】
ステップS65においてデータ交換部51は、受信した目標駐車位置のリストをHMI12に提示する。
ステップS66にてデータ交換部51は、第1車両1aの利用者がHMI12を操作して、目標駐車位置のリストから所望の目標駐車位置を選択する選択入力を受け付ける。ここでは、第2車両1bから送信された学習済物標データの目標駐車位置を選択する場合を想定する。
ステップS67においてデータ交換部51は、選択された目標駐車位置の学習済物標データの送信を要求するダウンロード要求信号を、第1携帯端末装置2a経由でパブリックサーバ装置3に送信する。
ステップS68においてパブリックサーバ装置3は、ダウンロード要求信号に応答して第2車両1bへ承認要求信号を第2携帯端末装置2b経由で送信する。承認要求信号は、ダウンロード要求信号に対する学習済物標データの送信許可を、第2車両1bの利用者に促す通知信号である。
【0052】
ステップS69において、第2車両1bの利用者が第2車両1bのHMI12を操作して、学習済物標データの送信を許可する承認操作を実施すると、ステップS70において第2車両1bのデータ交換部51は、学習済物標データの送信を許可する承認通知信号を、第2携帯端末装置2b経由でパブリックサーバ装置3へ送信する。
ステップS71及びS72においてパブリックサーバ装置3は、承認通知信号に応答して、第2車両1bから受信した学習済物標データを、第1携帯端末装置2a経由で第1車両1aに送信する。
ステップS73において第1車両1aのデータ交換部51は、受信した学習済物標データを第1車両1aの記憶装置21に記憶する。
ステップS74において第1車両1aの駐車支援装置10は、ステップS28において記憶した学習済物標(すなわち第2車両1bから取得した学習済物標)を利用して駐車支援制御を実施する。
【0053】
(第4実施形態の変形例)
第4実施形態では、携帯端末装置2を中継して車両1とパブリックサーバ装置3との間で学習済物標データや、駐車位置リスト要求信号、駐車位置リスト、ダウンロード要求信号、承認要求信号、承認通知信号を送受信したが、公衆携帯電話網を経由して通信装置16とパブリックサーバ装置3との間で学習済物標データやこれら各信号を直接送受信してもよい。
【0054】
(実施形態の効果)
(1)駐車支援方法では、第1車両1aの周囲に存在する物標である周囲物標の位置を検出し、第1車両1aの内部に設けられた第1記憶装置に、目標駐車位置の周囲に存在する物標と前記目標駐車位置との相対位置関係を表す物標位置データが無く、第1車両1aの外部に設けられた第2記憶装置に物標位置データが存在する場合に、第2記憶装置から前記物標位置データを取得し、第2記憶装置から取得した物標位置データと周囲物標の位置とに基づいて、目標駐車位置と第1車両1aの現在位置との相対位置関係を算出し、目標駐車位置と第1車両1aの現在位置との相対位置関係に基づいて第1車両1aの現在位置から目標駐車位置へ至る走行軌道を算出し、走行軌道に基づいて目標駐車位置への第1車両1aの駐車を支援する。
これにより、第1車両1aを駐車したことがない目標駐車位置であっても、目標駐車位置の周囲に存在する物標に基づいて目標駐車位置への第1車両1aの駐車を支援できる。
【0055】
(2)複数の目標駐車位置の物標位置データを第2記憶装置に記憶してもよい。複数の目標駐車位置を表示装置に表示し、表示された複数の目標駐車位置からいずれか1つを選択する入力操作を受け付け、入力操作によって選択された目標駐車位置の物標位置データを第2記憶装置から取得し、第2記憶装置から取得した物標位置データと周囲物標の位置とに基づいて、選択された目標駐車位置と第1車両1aの現在位置との相対位置関係を算出してもよい。
これにより、第1車両1aの利用者は、複数の目標駐車位置から任意の目標駐車位置を選択できる。
【0056】
(3)第1車両1aは、第2車両1bを目標駐車位置に駐車する場合に生成されて第2記憶装置に記憶された、第2車両の周囲に存在する物標と目標駐車位置との相対位置関係を表すデータを、物標位置データとして受信してもよい。
これにより、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときに生成した物標のデータを用いて、目標駐車位置への第1車両1aの駐車を支援できる。
(4)第1車両1aは、第2車両1bの利用者の送信指示に応じて送信された、第2記憶装置に記憶された物標位置データを受信し、受信した物標位置データと第1車両1aの周囲の周囲物標の位置とに基づいて、目標駐車位置と第1車両1aの現在位置との相対位置関係を算出してもよい。
これにより、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときに生成した物標のデータを、第2車両1bの利用者の指示に応じて第1車両1aで利用可能になる。
【0057】
(5)第1車両1aは、第1車両1aの利用者の要求指示に応じて送信された、第2記憶装置に記憶された物標位置データを受信し、受信した物標位置データと第1車両1aの周囲の周囲物標の位置とに基づいて、目標駐車位置と第1車両1aの現在位置との相対位置関係を算出してもよい。
これにより、第1車両1aの利用者の必要に応じて、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときに生成した物標のデータを第1車両1aで利用可能になる。
(6)第1車両1aの利用者の要求指示に対する物標位置データの送信許可を第2車両1bの利用者に促す通知を生成し、第2車両1bの利用者による物標位置データの送信許可操作を受け付け、送信許可操作に応じて第2記憶装置に記憶された物標位置データを第1車両1aに送信してもよい。
これにより、第2車両1bの利用者の意思に反して、第2車両1bを目標駐車位置に駐車したときに生成した物標のデータが第1車両1aに利用されるのを防止できる。
【0058】
(7)第2記憶装置は、第1車両1aと第2車両1bとの外部に設けられてもよい。
これにより、不特定の車両で物標のデータを共用するのが容易になる。
(8)走行軌道と目標駐車位置と第1車両1aの現在位置との相対位置関係とを、第1車両1aの利用者が視認可能な表示装置に表示してもよい。
これにより、第1車両1aの利用者は、目標駐車位置と目標駐車位置までの走行軌道を視認及び確認できる。
(9)走行軌道に沿って走行するように第1車両1aを制御してもよい。
これにより、目標駐車位置まで運転する利用者の労力を軽減できる。
【符号の説明】
【0059】
1a…第1車両、1b…第2車両、2a…第1携帯端末装置、2b…第2携帯端末装置、3…パブリックサーバ装置、10…駐車支援装置、11…測位装置、12…HMI、13…シフトスイッチ、14…外界センサ、15…車両センサ、16…通信装置、17…コントローラ、18…パーキングブレーキ、19a…ステアリングアクチュエータ、19b…アクセルアクチュエータ、19c…ブレーキアクチュエータ、20…プロセッサ、21…記憶装置、40…HMI制御部、41…駐車支援制御部、42…画像変換部、43…自己位置算出部、44…物標検出部、45…地図生成部、46…地図データ、47…突合部、48…目標軌道生成部、49…操舵制御部、50…車速制御部、51…データ交換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10