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特開2024-86640焼結ペースト界面を製造することによってチップ上にはんだ接触面を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086640
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】焼結ペースト界面を製造することによってチップ上にはんだ接触面を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240620BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240620BHJP
   B23K 1/19 20060101ALI20240620BHJP
   B23K 1/20 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01L21/92 604E
B23K1/00 330E
B23K1/19 A
B23K1/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209189
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】10 2022 133 386.8
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501198796
【氏名又は名称】パック テック-パッケージング テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェットケ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】チップ上にはんだ接触面を製造するための方法を提供する。
【解決手段】非導電性基板層11と、基板層上に配置された少なくとも1つの導体経路12とを備え、はんだ接触面15は導体経路上に少なくとも部分的に形成されるチップ10の製造方法は、導体経路上に少なくとも部分的に位置する接触位置に焼結ペーストを塗布することを含む。焼結ペーストは、少なくとも1つの軟質はんだ付け可能な導電性材料の粒子と、少なくとも1つの溶媒とを含む。方法はまた、溶媒を蒸発させることを含む。
【選択図】図1F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ(10)上にはんだ接触面を製造するための方法であって、前記チップ(10)が、非導電性基板層(11)と、前記基板層(11)上に配置された少なくとも1つの導体経路(12)とを備え、前記はんだ接触面(15)が、前記導体経路(12)上に少なくとも部分的に形成され、前記方法が、
a.前記導体経路(12)上に少なくとも部分的に位置する接触位置(13)に焼結ペースト(14)を塗布することであって、前記焼結ペースト(14)が、少なくとも1つの軟質はんだ付け可能な導電性材料の粒子と、少なくとも1つの溶媒とを含む、塗布することと、
b.前記溶媒を蒸発させることと
を含む、方法。
【請求項2】
工程aにおける前記焼結ペースト(14)の前記塗布が、ディスペンサ(23)を介する選択的な分配によって実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程aにおける前記選択的な分配が、エアロゾルジェット塗布によって実行される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程bにおける前記溶媒の前記蒸発が、焼結によって、特にレーザー(24)を介するレーザー焼結によって少なくとも部分的に実行される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程bにおける前記溶媒の前記蒸発が、炉(26)内で、特に60°C~250°Cの温度範囲において少なくとも部分的に実行される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程bにおける前記溶媒の前記蒸発が、接触加熱によって、特に加熱素子(21)上の配置を介する前記基板層(11)の接触加熱によって少なくとも部分的に実行される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程aおよび/または工程bにおける前記チップ(10)が、締め付け要素(22)によって保持される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程bにおける前記溶媒の前記蒸発の前または間に、圧力装置(25)によって前記焼結ペースト(14)に圧力が加えられる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程aにおいて塗布された前記焼結ペースト(14)に含まれる前記粒子の前記材料が、金、銀、銅、ならびに/または金含有量、銀含有量、および/もしくは銅含有量を有する化合物である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程aにおいて塗布された前記焼結ペースト(14)に含まれる前記粒子の粒径が、100nm未満である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を介して取得された、非導電性基板層(11)と、少なくとも1つの導体経路(12)と、前記導体経路(12)上に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つのはんだ接触面(15)とを備える、チップ(10)。
【請求項12】
前記はんだ接触面(15)が、少なくとも5μmおよび/または最大20μmの幅および/または長さを有する
ことを特徴とする、
請求項11に記載のチップ(10)。
【請求項13】
前記はんだ接触面(15)が、金、銀、銅、ならびに/または金含有量、銀含有量、および/もしくは銅含有量を有する化合物から作製されるか、あるいは金、銀、銅、ならびに/または金含有量、銀含有量、および/もしくは銅含有量を有する化合物を含む
ことを特徴とする、
請求項11または12に記載のチップ(10)。
【請求項14】
前記導体経路(12)がアルミニウムを含む
ことを特徴とする、
請求項11~13のいずれか1項に記載のチップ(10)。
【請求項15】
はんだバンプ(20)が、前記はんだ接触面(15)上に配置され、特にはんだ付けされる
ことを特徴とする、
請求項11~14のいずれか1項に記載のチップ(10)。
【請求項16】
はんだ接触面(15)が、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法によって製造される、
軟質はんだ付け方法における前記はんだ接触面(15)の使用。
【請求項17】
前記軟質はんだ付けがフリップチップ法の一部である
ことを特徴とする、
請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ上にはんだ接触面を製造するための方法、はんだ接触面を備えるチップ、およびはんだ接触面を備えるチップの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の電子材料部品、特にチップまたは他の電子部品を機械的および/または電気的に接続することは、従来技術から知られている。チップを接触導体に接続するための技法は、独国特許出願公開第102015103779号明細書から知られている。第1の工程では、この目的のために焼結ペーストがチップの導体経路に塗布され、次いで接触導体がペースト上に焼結される。しかしながら、この方法の欠点は、チップが接触導体に接続されることのみを可能にし、チップが任意の他の部品、特に別のチップに接続されることを可能にしないことである。
【0003】
はんだ付けによって2つの材料部品、例えば2つのチップを接続するための方法は、独国特許出願公開第19524739号明細書から知られている。開示された方法の欠点は、フリップチップ実装を準備するために、少なくとも1つの、通常は両方の材料部品上にはんだ付け可能な接触層の塗布が必要であることである。これは、材料部品上の導体経路がデフォルトでアルミニウムから作製されるという事実に起因する。しかしながら、アルミニウムは、軟質はんだ付けまたは低温はんだ付けが可能でないという欠点を有する。アルミニウムは、複雑な準備作業の後に380°C~420°Cの温度でしかはんだ付けすることができず、部品に使用される材料は、通常、175°Cまでしか加熱することができない。したがって、軟質はんだ付けまたは低温はんだ付けを可能にするために、はんだ接触面を設けることによって界面を形成することが必要である。従来技術では、はんだ付けに必要なこれらのはんだ接触面は、スパッタリングによって湿式化学的、電撃的、または物理的に製造される。これらの方法の欠点は、準備および製造が複雑であり、コストがかかるので、特に少ない量には適さないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、チップ上にはんだ接触面を製造するための方法、および軟質はんだ付けに適したはんだ接触面を有するチップが大いに必要とされている。製造プロセスはまた、費用効率が高くなければならない。加えて、製造されるチップの数が少なくても経済的であり、費用対効果が高く、はんだ付け可能なチップの提供を可能にするように、準備および実装が容易でなければならない。同時に、実装は迅速かつ確実でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、主請求項1の教示によるチップ上にはんだ接触面を製造するための方法、請求項10の教示によるはんだ接触面を備えるチップ、および請求項15による軟質はんだ付け方法におけるはんだ接触面の使用によって、驚くほど単純であるが効果的な方法で達成される。
【0006】
本発明によれば、チップ上にはんだ接触面を製造するための方法が提案され、チップは、非導電性基板層と、基板層上に配置された少なくとも1つの導体経路とを備え、はんだ接触面は、導体経路上に少なくとも部分的に形成され、方法は、
a.導体経路上に少なくとも部分的に位置する接触位置に焼結ペーストを塗布することであって、焼結ペーストが、少なくとも1つの軟質はんだ付け可能な導電性材料の粒子と、少なくとも1つの溶媒とを含む、塗布することと、
b.溶媒を蒸発させることと
を含む。
【0007】
本発明の基本的な考えは、はんだ付けを意図したあらかじめ決められた位置、すなわち接触位置において、焼結ペーストによって導電性および軟質はんだ付け可能な材料の粒子を塗布することによってはんだ接触面を形成することである。焼結ペーストが塗布されると、粒子は溶媒内で溶解し、したがって、当業者に知られている簡単な方法で塗布することができる。次いで溶媒が蒸発し、その結果、粒子がチップ表面と物理的または化学的に結合する。粒子は軟質はんだ付け可能な材料から構成されているので、形成されたはんだ接触面へのその後または後のはんだ付けが可能になる。
【0008】
方法が実施可能なチップは、基板層と、基板層上に配置された導体経路とを備える。基板層を形成する基板は、好ましくはプラスチック材料もしくはセラミック材料、特にケイ素、ガラス、または熱可塑性材料、好ましくはポリエチレンナフタレートである。導体経路は、チップに接続されたまたは接続される部品、特に電子部品または半導体部品を導電的に接続するように機能する。本発明の範囲内で、導体経路および/または接触位置は、好ましくは、はんだ付け不可能な材料によって形成され、そのため、はんだ接触面の製造は、はんだ付けによるさらなる部品の塗布のために必要とされる。
【0009】
チップ上にはんだ付けされた部品とチップの導体経路との間の導電接触を可能にするために、はんだ接触面は、導体経路上に少なくとも部分的に位置する接触位置に形成される。接触位置は、はんだ付けによるその後の接触を意図したチップの領域である。接触位置、したがって後続のはんだ接触面が導体経路上に少なくとも部分的に位置し、はんだ接触面が少なくとも1つの軟質はんだ付け可能な導電性材料の粒子から形成されるという事実は、導体経路との導電性接続がはんだ接触面によって形成されることを意味する。言い換えれば、チップの導体経路のはんだ付け不可能な接触位置にはんだ接触面を製造することにより、このチップは、軟質はんだ付けプロセスにアクセス可能にすることができる。
【0010】
溶媒および少なくとも1つの軟質はんだ付け可能な導電性材料から構成された粒子に加えて、焼結ペーストは、凝集を防止するための少なくとも1つのさらなる添加剤、特に粘度を高めるための添加剤、安定剤、担体、および/または結合剤を含有することが考えられる。詳細には、担体材料および/または溶媒は、特に容易な加工および低温での蒸発を可能にするアルコール溶液、グリコール溶液、および/またはエポキシ樹脂である。粘度を高めるための添加剤は、特にエタノールまたはエタノールアミンである。粘度が高まると、焼結ペーストの塗布が容易になり、粘度を高めた焼結ペーストは焼結インクとしても知られている。他の適切な添加剤が当業者に知られている。特に好ましくは、焼結ペースト内の粒子の割合は、体積の50%~90%である。
【0011】
「焼結ペースト」という用語は懸濁液を指し、懸濁液は、少なくとも1つの軟質はんだ付け可能な導電性材料から構成された粒子と溶媒とを含む。
【0012】
「非導電性基板層」という用語は、その上にチップが構築され、10-8S/cm以下の導電率を有する材料層を指す。
【0013】
「導電性材料」という用語は、10S/cm以上の導電率を有する材料を指す。
「軟質はんだ付け」という用語は、2つ以上の部分が液化はんだによって物質的に接着され、はんだの一部が接合される部分の材料内に拡散して材料接着を生成する方法を指す。軟質はんだ付けは、はんだの融点が450°C未満であるが、使用されるはんだに応じて著しく低く、特に175°C未満であり得ることを特徴とする。
【0014】
「軟質はんだ付け可能な材料」という用語は、部品または部品の一部が作製される材料を指し、部品または部品の一部は、軟質はんだによるはんだ付けの技法を使用して、同じまたは別の軟質はんだ付け可能な材料から作製された別の部品または別の部品の一部に接合することができる。
【0015】
個別にまたは互いに組み合わせて実現することができる本発明の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0016】
特に好ましくは、工程aにおける焼結ペーストは、ディスペンサを介する選択的な分配によって塗布される。このようにして、はんだ接触面は、少量の焼結ペーストを使用してわずかな労力で任意の所望の位置でチップに塗布することができ、方法を費用対効果が高く迅速に使用することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、選択的な分配はエアロゾルジェット塗布である。エアロゾルジェット塗布は、特に小さい、したがって好ましいサイズの液滴または塊が塗布されることを可能にし、それはさらなる加工のためのチップの準備における要件に適合される。これにより、特に微細な構造物がピンポイントの精度で製造されることが可能になり、それは、はんだ接触面を微細かつ精密に設計することができるので、チップ上に焼結ペーストを塗布する際に特に有利である。加えて、エアロゾルジェット塗布はまた、選択的かつ付加的な材料の塗布が可能であることのおかげで、3次元構造の構築および基板の表面構造とほぼ独立した焼結ペーストの的を絞った塗布を可能にする。詳細には、焼結ペーストの溶媒を気化させるためのレーザー焼結とともにエアロゾルジェットによる焼結ペーストの塗布、およびはんだ接触面上にはんだ接合部を形成するためのはんだ堆積物、特にはんだボールの別個の塗布は、はんだ接触面およびはんだ接合部の的を絞った3次元構造がはんだ接触面上に形成されることを可能にする。レーザー焼結は、焼結ペーストへの選択的なエネルギー入力を可能にし、はんだ堆積物の別個の塗布は、はんだ接合部を製造するために必要なはんだの的を絞った選択的な塗布を可能にする。したがって、従来技術から知られているマスクまたはステンシルは、焼結ペーストを塗布するため、およびはんだ接触面を形成するため、およびはんだ接触面上にはんだ接続部を生成するためにもはや必要ではない。実際、本発明による方法は、普遍的かつ柔軟に使用することができる。
【0018】
あるいは、インクジェットを使用して焼結ペーストを塗布することによって3次元構造を構築することもできる。
【0019】
しかしながら、方法の工程aにおいて、焼結ペーストが印刷によって塗布され、印刷は、高いスループット率、したがって費用効率が高い製造プロセスを可能にする。スクリーン印刷、ステンシル印刷、レーザー転写印刷、パッド印刷、またはグラビア印刷などの様々な印刷プロセスは、焼結ペーストを塗布するために使用することができる。
【0020】
方法の一実施形態では、工程bにおける溶媒の蒸発が、焼結によって少なくとも部分的に実行されることが考えられる。これにより、はんだ接触面内に導電性で軟質はんだ付け可能な粒子が特に密に配置され、はんだ接触面の電気抵抗が非常に低く保たれることを意味する。結果として、後続またはその後の軟質はんだ付けプロセスによって生成されるはんだ接触面でのチップへの部品の電気的接続は、特に高い効率を有する。これは、電流がはんだ接触面を通って流れるときに生じる損失、特に熱損失が特に低いことを意味する。特に好ましくは、工程bにおける溶媒の蒸発がレーザー焼結によって少なくとも部分的に実行され、この目的のためにレーザーが使用される。レーザー焼結は、選択的、特定的、かつ的を絞った方法で使用することができ、したがって効率的に使用することができるという利点を有する。特にチップ上に見られる比較的小さい構造の場合、接触位置に隣接するチップの部分への損傷のリスクも防止される。さらに、はんだ接触面の設計に対する要件に応じて、空気含有物をほとんどもたない高度に圧縮された領域を、レーザーエネルギーを使用する焼結によって焼結ペースト内に形成することができる。結果として、特にはんだ接触面の表面を極めて機械的に復元力があるようにすることができる。特に好ましくは、レーザーはNIRレーザー(近赤外レーザー)であり、それは、好ましくは780nm~1400nmの波長範囲で動作する。レーザーエネルギーを使用して焼結ペーストを焼結すれるために10mJ~40mJのレーザーエネルギーが加えられる場合有利であることが分かった。15mJ~30mJのエネルギー入力が好ましい。レーザーエネルギーを使用して焼結ペーストを焼結するために19mJ~24mJのレーザーエネルギーを加えると、はんだ接触面の耐久性に関して特に良好な結果が実現可能である。最も好ましくは、レーザーエネルギーを使用して焼結ペーストを焼結するために、19mJ、19.5mJ、20mJ、20.5mJ、21mJ、21.5mJ、22mJ、22.5mJ、または23mJのレーザーエネルギーが加えられる。さらに、パルスレーザーを使用してレーザーエネルギーを加えることが有利であることが判明しており、焼結ペーストを焼結するためのパルスレーザーは、1ms~4msの範囲のパルス持続時間を有するレーザーエネルギーによって動作する。好ましくは、レーザーは、2.1ms、2.2ms、2.3ms、2.4ms、2.5ms、2.6ms、2.7ms、2.8ms、2.9ms、または3msのパルス持続時間で動作する。2.3msのパルス持続時間を有するレーザーエネルギーを使用して焼結ペーストを焼結するためにレーザーを動作させることが特に好ましい。
【0021】
詳細には、溶媒が完全に蒸発する前に焼結ペーストを焼結することが有利である。このようにして、不利と考えられる焼結前の焼結ペーストの完全な乾燥を防止することができる。乾燥プロセスまたは移動の結果として、完全に溶媒を含まないまたは乾燥した焼結ペーストに亀裂が容易に形成され、はんだ接触面の電気抵抗の増加につながる可能性がある。
【0022】
「レーザー焼結」という用語は、焼結に必要なエネルギーがレーザーによって生成される方法を指す。
【0023】
工程bにおける溶媒の蒸発が、炉内で、特に60°C~250°Cの温度範囲において少なくとも部分的に実行されることが有利であることが分かった。材料の熱処理はまた、「焼き戻し」という用語で当業者に知られている。好ましくは、焼き戻しは、焼結ペーストに含まれる溶媒を少なくとも部分的に蒸発させるために、3分~10分の期間、特に好ましくは5分の期間炉内で実行される。80°C~230°Cの温度の炉内で、焼結ペーストに含まれる溶媒を少なくとも部分的に蒸発させるために、接続パートナー、特に焼結ペーストを加熱することがさらに好ましい。上記の温度範囲および持続時間を維持することにより、チップを損傷しない、特に耐久性があり、製造が容易なはんだ接触面を実現することができる。持続時間に応じて、チップは炉内で有効な温度に到達しない場合があることに留意されたい。工程bにおける溶媒の蒸発が焼結によって炉内で少なくとも部分的に実行されることも考えられる。
【0024】
その上、工程bにおける溶媒の蒸発が、接触加熱によって、特に基板層の接触加熱によって少なくとも部分的に実行されることが考えられる。詳細には、接触加熱は、他の箇所に記載されているように、焼結の前、焼結と同時に、および/または焼結の後に実行することができる。接触加熱は、広い面積にわたって使用することができ、したがって溶媒をすべての場所でほぼ同時に蒸発させることができ、それによってはんだ接触面として均一な層が形成され、熱供給を容易に調整および制限することができるという利点を有する。溶媒は、周囲の空気中に迅速かつ容易に放出することもできる。接触加熱の別の利点は、炉または同様の装置内にチップを配置する必要がないことである。接触加熱の最も簡単な方法は、加熱素子上に基板層を有するチップを配置することである。
【0025】
さらに、工程aおよび/または工程bにおけるチップが締め付け装置によって保持されることが考えられる。詳細には、工程aの前もしくは間、または工程aの後かつ工程bの前に、以下の工程が実行されることが考えられる:
a1.締め付け装置を使用してチップを締め付けること。
【0026】
詳細には、チップは、他の箇所に記載された接触加熱を実行するための加熱素子上に保持することができる。締め付け要素による締め付けによって実現されるように、意図しない変位に対して固定された位置決めはまた、焼結ペーストを塗布するとき、および他の箇所に記載されているように焼結する、特にレーザー焼結するときに有利であり、これは、焼結ペーストの正確な配置および/またはレーザーによる正確な制御を可能にするからである。例えば、クランプジョーまたは爪を使用してワークピースに適用される既知の締め付け要素に加えて、締め付け要素は、真空を適用することによってチップを固定する真空締め付け要素でもあり得る。
【0027】
工程bにおける溶媒の蒸発の前または間に、圧力装置によって焼結ペーストに圧力が加えられることも考えられる。これはまた、軟質はんだ付け可能な導電性材料から構成される粒子の特に高密度の配置を実現する。結果として、はんだ接触面でのチップへの部品の電気的接続は特に高い効率を有し、接続は後続またはその後の軟質はんだ付けプロセスによって生成される。これは、電流がはんだ接触面を通って流れるときに生じる損失、特に熱損失が特に低いことを意味する。
【0028】
工程aにおいて塗布された焼結ペーストに含まれる粒子の材料は、特に好ましくは、金、銀、銅、ならびに/または金含有量、銀含有量、および/もしくは銅含有量を有する化合物である。これらの材料は、本発明の要件を満たし、軟質はんだ付け可能および導電性の両方である。
【0029】
「金含有量、銀含有量、および/または銅含有量を有する化合物」という用語は、少なくとも1つの金原子、1つの銀原子、および/または1つの銅原子を含む化合物を指す。
【0030】
工程aにおいて塗布された焼結ペーストに含まれる粒子の粒径が、100nmより小さいことも考えられる。この粒径では、他の箇所に記載された選択的な分配を介する塗布が簡単な方法で可能である。このサイズの粒子はまた、焼結ペースト内の粒子の単純かつ均一な分布を可能にする。特に好ましくは、粒径は、95nm、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、60nm、55nm、50nm、45nm、40nm、35nm、30nm、25nm、20nm、15nm、または10nmより小さい。
【0031】
上記の用語の定義および/または説明は、特に明記しない限り、本明細書において以下に記載されるすべての態様に適用されることが推定される。
【0032】
本発明によれば、チップがさらに提案され、チップは、非導電性基板層と、少なくとも1つの導体経路とを備える。チップは、チップが導体経路上に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つのはんだ接触面を備えることを特徴とし、はんだ接触面は他の箇所に記載された方法によって製造される。本発明によるチップは、他の部品が軟質はんだ付けによってこのチップにはんだ付けされ、チップが安価で迅速かつ個別に塗布可能であり、製造可能であるという利点を有する。
【0033】
基板層の基板は、特に好ましくは、シリコンもしくはガラス、または熱可塑性材料、好ましくはポリエチレンナフタレートから作製される。ガラス製の基板は、好ましくは、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、または1.2mmの厚さを有する。熱可塑性材料、好ましくはポリエチレンナフタレートから作製された基板は、好ましくは、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、または65μmの層厚を有し、50μmの層厚が特に好ましい。
【0034】
チップの一実施形態では、はんだ接触面は、少なくとも5μmおよび/または多くとも20μmの長さおよび/または幅を有することが考えられる。これに関連して、はんだ接触面の長さおよび/または幅は、チップ表面に平行なはんだ接触面の長さの寸法を指す。焼結ペーストを塗布し溶媒を蒸発させることにより、その表面がはんだ接触面を形成するはんだ接触層が形成される。はんだ接触層のはんだ接触面は、チップの表面と平行に延びる。はんだ接触面も決定する長さおよび幅に加えて、はんだ接触層は厚さも有する。はんだ接触面の少なくとも5μmおよび/または多くとも20μmの長さおよび/または幅は、軟質はんだ付けプロセス向けに十分大きく、同時にチップ上で可能な限り小さいスペースを占めるはんだ接触面を形成する。はんだ接触面は、好ましくは矩形であるが、任意の他の形状が考えられる。はんだ接触面の幅および/または長さは、特に好ましくは、少なくとも5.5μm、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm、10.0μm、10.5μm、11.0μm、11.5μm、12.0μm、12.5μm、13.0μm、13.5μm、14.0μm、14.5μm、15.0μm、15.5μm、16.0μm、16.5μm、17.0μm、17.5μm、18.0μm、18.5μm、19.0μm、または19.5μmである。さらに一層好ましくは、はんだ接触面の長さおよび/または幅は、多くとも19.5μm、19.0μm、18.5μm、18.0μm、17.5μm、17.0μm、16.5μm、16.0μm、15.5μm、15.0μm、14.5μm、14.0μm、13.5μm、13.0μm、12.5μm、12.0μm、11.5μm、11.0μm、10.5μm、10.0μm、9.5μm、9.0μm、8.5μm、8.0μm、7.5μm、7.0μm、6.5μm、6.0μm、または5.5μmである。
【0035】
一実施形態では、はんだ接触面は、金、銀、銅、ならびに/または金含有量、銀含有量、および/もしくは銅含有量を有する化合物から作製されるか、あるいは金、銀、銅、ならびに/または金含有量、銀含有量、および/もしくは銅含有量を有する化合物を含む。これは、これらの材料のうちの1つ以上の粒子を含む、他の箇所に記載された焼結ペーストによって実現される。これらの材料は、本発明の要件を満たし、軟質はんだ付け可能および導電性の両方である。
【0036】
導体経路がアルミニウムを含むことも考えられる。詳細には、導体経路はアルミニウム製であり、詳細には、導体経路はアルミニウム接点である。アルミニウムは、導体経路を形成するためのチップ製造において頻繁に使用される材料であるが、アルミニウムは、軟質はんだ付けすることができないという欠点を有する。したがって、アルミニウム導体を含むチップへのはんだ接触面の塗布は、チップも軟質はんだ付け可能になるか、または軟質はんだ付け可能な接続位置を提供するので、特に有利である。
【0037】
はんだバンプがはんだ接触面上に配置される、特にはんだ付けされることも考えられる。はんだバンプによって、関連する利点とともに前書きに記載されたフリップチップ法が可能である。加えて、はんだバンプの塗布は、有利なことに、焼結ペースト、したがってはんだ接触面の後焼結をもたらすことができる。はんだバンプによる、特にはんだバンプ上のはんだ付けによるはんだ接触面への熱の新たな導入は、焼結ペーストに含まれる溶媒のさらなる蒸発をもたらし、したがって、はんだ接触面のより緊密な架橋結合をもたらす。
【0038】
さらに、本発明によれば、軟質はんだ付け方法におけるはんだ接触面の使用が提案され、はんだ接触面は、他の箇所に記載された方法によって製造される。軟質はんだ付け方法は、特に好ましくは、フリップチップ法の一部である。はんだ接触面のおかげで、アルミニウム導体経路またはアルミニウム接点が全体的にチップに使用されるので、まず第1にチップの軟質はんだ付けが可能になる。しかしながら、アルミニウムは軟質はんだ付けすることができない。したがって、他の箇所に記載された方法に従って処理されたチップは、有利なことに軟質はんだ付け方法において使用することができる。
【0039】
本発明のさらなる詳細、特徴、および利点は、独立請求項とともに好ましい例示的な実施形態の以下の説明から導出することができる。対応する特徴は、個別にまたは互いに組み合わせて実現することができる。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に概略的に示されている。個々の図における同一の参照番号は、それらの機能に関して互いに対応する同一または機能的に同一の要素または複数の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A図1Aは、側面図において、本発明によるはんだ接触面を製造するための方法の個々の工程および本発明によるはんだ接触面の使用を示す。図は単なる概略図である。詳細には、個々の部品および用具の比率は、正しい比率で示されていない。
図1B図1Bは、側面図において、本発明によるはんだ接触面を製造するための方法の個々の工程および本発明によるはんだ接触面の使用を示す。図は単なる概略図である。詳細には、個々の部品および用具の比率は、正しい比率で示されていない。
図1C図1Cは、側面図において、本発明によるはんだ接触面を製造するための方法の個々の工程および本発明によるはんだ接触面の使用を示す。図は単なる概略図である。詳細には、個々の部品および用具の比率は、正しい比率で示されていない。
図1D図1Dは、側面図において、本発明によるはんだ接触面を製造するための方法の個々の工程および本発明によるはんだ接触面の使用を示す。図は単なる概略図である。詳細には、個々の部品および用具の比率は、正しい比率で示されていない。
図1E図1Eは、側面図において、本発明によるはんだ接触面を製造するための方法の個々の工程および本発明によるはんだ接触面の使用を示す。図は単なる概略図である。詳細には、個々の部品および用具の比率は、正しい比率で示されていない。
図1F図1Fは、側面図において、本発明によるはんだ接触面を製造するための方法の個々の工程および本発明によるはんだ接触面の使用を示す。図は単なる概略図である。詳細には、個々の部品および用具の比率は、正しい比率で示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1Aは、従来技術からの従来のチップ10を示す。チップ10は非導電性基板層11を備え、その上およびその中にアルミニウム製の導体経路12が配置される。図1Aは、チップ10の側面図を示す。接触位置13は基板層上にすでにマークされており、その接触位置13上にはんだ接触面15(図1Dおよび図1Eを参照)が後の段階で形成される。
【0042】
図1Bは、非導電性基板層11および導体経路12を有するチップ10を示し、基板層11を有するチップ10は、加熱素子21上に配置されている。チップ10がずれるのを防止するために、チップ10は、締め付け要素22によって加熱素子21上に保持される。ディスペンサ23は、焼結ペースト14の液滴を接触位置13上に分配し、導体経路12の少なくとも一部は焼結ペースト14で覆われる。加熱素子21は、基板層11を加熱し、熱はチップ10を通過し、焼結ペースト14内の溶媒を部分的に蒸発させる。
【0043】
図1Cは、非導電性基板層11および導体経路12を有するチップ10を示し、焼結ペースト14は完全に分配されている。レーザー24は、焼結ペースト14を焼結させ、加熱素子21によって放射された熱に加えて、焼結ペースト14に含まれる溶媒を蒸発させる。これにより、高密度で連続するはんだ接触面15がもたらされる。チップ10は、締め付け要素22によって依然として定位置に保持されている。
【0044】
図1Dは、非導電性基板層11および導体経路12を有するチップ10を示し、はんだ接触面15は圧力装置25によって加圧される。圧力は、焼結ペースト14(図1Bおよび図1Cを参照)をさらに圧縮し、一方、加熱素子は焼結ペースト14に含まれる溶媒を蒸発させる。チップ10は、締め付け要素22によって保持される。
【0045】
図1Eは、基板層11および導体経路12を有するチップ10を示し、チップ10は溶媒の残留物を出さない蒸発のために炉26内に配置されている。完成したはんだ接触面15が導体経路12上に配置されていることが分かる。はんだ接触面15は軟質はんだ付け可能な導電性材料から作製されているので、さらなる部品(図示せず)は軟質はんだ付け方法によってはんだ接触面15に取り付けることができ、導体経路12とさらなる部品との間に導電性接続が存在する。
【0046】
図1Fは、非導電性基板層11、導体経路12、およびはんだ接触面15を有するチップ10を示す。本発明によるはんだ接触面15を有するチップ10を使用するために、はんだバンプ27は、フリップチップ法に備えてはんだ接触面15上に配置される。はんだバンプ27を塗布する過程で、はんだ接触面15が再加熱され、それにより溶媒がさらに蒸発し、はんだ接触面15がより緊密に架橋結合する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
【外国語明細書】