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特開2024-86648住宅技術の換気装置、特に居住空間換気装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086648
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】住宅技術の換気装置、特に居住空間換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/06 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209786
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】10 2022 133 705.7
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523469401
【氏名又は名称】スティーベル・エルトロン・ゲゼルシャフト・ミツト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Stiebel Eltron GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ニース,ティーロ
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BA01
3L058BB04
3L058BD01
(57)【要約】
【課題】欠点の無いより安定した圧力状況を配管部分の内部に生成することができる、住宅技術の換気装置、特に、居住空間換気装置、および、気流を生成するための軸流ファンユニットを提供すること。
【解決手段】本発明は、換気装置(100)は、前記配管部分(106)内において相反する流れ方向に気流を生成するために前記軸流ファンユニット(110)を可逆的に運転するように形成されている。前記軸流ファンユニット(110)は、複数のファンブレード(122)を有する軸流ファンホイール(112)備え、前記ファンブレード(122)はそれぞれ、前縁部および後縁部(124、126)を有し、隣接する2つのファンブレード(122)の前記前縁部および前記後縁部(124、126)は、前記ファンホイール(112)の長手方向軸(M)に対して垂直に延びる投影面(F)に関して、互いに重なっていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間接続部(102)と、
外部接続部(104)と、
前記内部空間接続部(102)および前記外部接続部(104)を互いに接続する配管部分(106)と、
前記配管部分(106)内に配置された少なくとも1つの可逆式の軸流ファンユニット(110)と
を備える、住宅技術の換気装置(100)、特に、居住空間換気装置であって、前記配管部分(106)内において相反する流れ方向に気流を生成するために前記軸流ファンユニット(110)を可逆的に運転するように形成された換気装置(100)において、
前記軸流ファンユニット(110)は、複数のファンブレード(122)を有する軸流ファンホイール(112)を備え、前記ファンブレード(122)はそれぞれ、前縁部および後縁部(124、126)を有し、隣接する2つのファンブレード(122)の前記前縁部および前記後縁部(124、126)は、前記ファンホイール(112)の長手方向軸(M)に対して垂直に延びる投影面(F)に関して、互いに重なっていることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の換気装置(100)において、
前記ファンブレード(122)は、対称に形成されている換気装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の換気装置(100)において、
前記ファンブレード(122)は、前記投影面(F)に関して、前記ファンブレード(122)により定義されたブレード面(F)により前記配管部分(106)の開放断面がほぼ完全に被覆されるように互いに重なって形成されている換気装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
隣接する2つのファンブレード(122)の前記前縁部および前記後縁部(124、126)は、前記投影面(F)に関して、約5~約90度の範囲の角度Xで互いに重なっていることを特徴とする換気装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
前記ファンホイール(112)は、ハブ(128)を備え、該ハブ(128)に前記ファンブレード(122)が配置され、前記ハブ(128)が約40~80mmの範囲の直径(D)を有し、前記ファンホイール(112)が約100~約180mmの範囲の直径(D)を有することが好ましく、前記ハブ(128)の前記直径(D)に対する前記ファンホイール(112)の前記直径(D)の比率は、好ましくは約2~3の範囲であることを特徴とする換気装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
前記ファンホイール(112)は、3~7つのファンブレード(122)、好ましくは5つのファンブレード(122)を備えることを特徴とする換気装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
前記ファンホイール(112)は、前記長手方向軸(M)に対して平行に約15~30mmの範囲の深さ寸法を有し、前記ハブ(128)における前記ファンブレード(122)の各々は螺旋状の準線(L)に沿って延びることが好ましく、前記準線(L)は好ましくは約50~180mmの範囲の上り勾配(S)を有する換気装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
前記ファンホイール(112)は、一体形成され、および/または、
前記ファンブレード(122)は、プロファイル厚み(d、d)を有し、
前記プロファイル厚み(d)は、前記前縁部および後縁部(124、126)間のブレード長の半ばにおいて最大であり、前記プロファイル厚み(d)は、好ましくは前記前縁部および/または後縁部(124、126)へ向かって減少する換気装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
前記配管部分(106)内に配置されたフィルター要素(118)および/または前記配管部分(106)内に配置された蓄熱器(116)をさらに備える換気装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の換気装置(100)において、
前記軸流ファンユニット(110)は、前記軸流ファンホイール(112)に隣接して配置された少なくとも1つの固定子要素(114)を備えることを特徴とする換気装置。
【請求項11】
配管部分(106)内において相反する流れ方向(R、R)に気流を生成するために可逆的に駆動可能な、住宅技術の換気装置(100)用の、特に、居住空間換気装置用の軸流ファンユニット(110)であって、
複数のファンブレード(122)を有する軸流ファンホイール(112)を備え、前記ファンブレード(122)はそれぞれ、前縁部および後縁部(124、126)を有し、隣接する2つのファンブレード(122)の前記前縁部および前記後縁部(124、126)が前記ファンホイール(112)の長手方向軸(M)に対して垂直に延びる投影面(F)に関して、互いに重なっていることを特徴とする軸流ファンユニット(110)。
【請求項12】
請求項11に記載の軸流ファンユニットの使用であって、前記換気装置(100)の配管部分(106)内において相反する流れ方向(R、R)に規定の気流を交互に生成するための、住宅技術の換気装置(100)における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間接続部と、外部接続部と、前記内部空間接続部および前記外部接続部を互いに接続する配管部分と、前記配管部分に配置された少なくとも1つの可逆式の軸流ファンユニットとを備える、住宅技術の換気装置、特に、居住空間換気装置に関し、前記換気装置は、前記配管部分内において相反する流れ方向に気流を生成するために前記軸流ファンユニットを可逆的に運転するように形成されている。さらに、本発明は、住宅技術の換気装置用の、特に、居住空間換気装置用の軸流ファンユニットに関し、軸流ファンユニットは、配管部分内において相反する流れ方向に規定の気流を生成するために可逆的に駆動可能である。
【背景技術】
【0002】
このような換気装置は、従来技術において知られており、建物内の空間を通気および/または排気するために使用される。換気装置により、空間における制御された空気交換が可能となり、空間空気は、特に、所定の時間間隔で外気により置換される。このような換気装置は、とりわけ、非集中的換気装置として使用される。したがって、建物の通気および/または排気しようとする複数の空間に対応して、それぞれ1つのこのような換気装置が装備されている。このような換気装置により、建物内の空間と建物の外部領域との間の気導接続が確立され、既知の換気装置は、通常は、建物の壁、特に、建物の外壁に配置される。
【0003】
換気装置は、通気および排気しようとする空間との気導接続として内部空間接続部を備える。このような換気装置は、建物を取り囲む外部領域との気導接続としての外部接続部と、内部空間接続部と外部接続部とを互いに気導接続する少なくとも1つの配管部分とをさらに有する。換気装置の配管部分には、軸流ファンユニットが配置され、軸流ファンユニットにより、配管部分の内側の気流は、内部空間接続部から外部接続部の方向へ、または、反対方向へ、つまり、外部接続部から内部空間接続部の方向へ生成される。
【0004】
外部接続部に対して作用する特定の気象条件、特に、外部接続部に対して作用する風況の下では、外部接続部に対して、軸流ファンユニットによって内部空間接続部から外部接続部へまたはその反対方向へ搬送される気流の体積流量に影響を与える、反対圧力が作用するか、または、吸引作用が生じることがある。これにより、過多または過少な内部空間空気が外へ向けて導出され、または、過多または過少な外気が通気および/または排気しようとする空間へ導入されることがある。これは、空間温度の望ましくない上昇または下降に繋がる。
【0005】
従来技術から既知の換気装置では、このような気象影響に合わせるために、換気装置の制御が規制レベルで行われる。このため、例えば、配管部分において生じることになる体積流量は、換気装置回転数の変更により適合される。特に、外へ向けて誘導される気流に対して外側から圧力が作用する場合、ファンホイールの回転数を上昇させる。気流の方向に吸引作用が作用する場合、ファンホイールの回転数を低減する。これにより、配管部分を介して搬送されることになる体積流量をほぼ一定に保持することはできるが、このことは、換気装置回転数を上昇させる場合、ファンホイールから出力される音響放射の増加につながり、音響放射の増加は欠点とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、上記欠点の無いより安定した圧力状況を配管部分の内部に生成することができる、住宅技術の換気装置、特に、居住空間換気装置、および、気流を生成するための軸流ファンユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、前記課題は、冒頭部分に記載の住宅技術の換気装置、特に、居住空間換気装置において請求項1の特徴により解決される。特に、軸流ファンユニットは、複数のファンブレードを有する軸流ファンホイールを備え、ファンブレードはそれぞれ、前縁部および後縁部を有し、隣接する2つのファンブレードの前縁部および後縁部は、ファンホイールの長手方向軸に対して垂直に延びる投影面に関して、互いに重なっている。
【0008】
本発明は、本発明に基づいて形成されたファンホイールにより、軸流ファンユニットが、特に、外部接続部に作用する場合により変化する圧力状況に対してより安定するという手法を取る。したがって、軸流ファンユニットにより、ファンホイールにより変換されたその流れ方向に依存せずにほぼ一定の体積搬送率が達成される。本発明の換気装置により、配管部分の内部に内側から外側へ向けて気流が生成されるべきかまたは外側から内側へ向けて気流が生成されるべきかに関わらず、より一定の体積流量が搬送される。これにより、本発明の換気装置において、建物から空間空気が搬出される際または建物へ外気を搬入する際に効率が向上される。さらに、ファンホイールにおけるファンブレードの重なる設計により、回転数が同じ場合は、既知のファンホイールと比較して、上昇した体積流量が搬送される。このような軸流ファンユニットの騒音性能が同じ場合、運転期間が同じであれば、より多くの空気が内側から外側へまたは外側から内側へ搬送される。
【0009】
換気装置の好ましい一設計によれば、ファンホイールにおけるファンブレードは対称に形成されている。これにより、特に、可逆式の軸流ファンユニットにおいて、ファンホイールがその回転方向に依存せずに、両搬送方向に同じ大きさの搬送作用を発現するということが達成される。特に、前記配管部分内において相反する流れ方向に気流を生成するために前記軸流ファンユニットを可逆的に運転するように形成されている換気装置は、本発明の軸流ファンユニットを用いて両流れ方向に同じ大きさの体積流量を搬送する。特に、建物から空間空気を排出する際にその内部に保持された熱エネルギーを受け取り、建物に外気を供給する際に受け取った熱を再び外気に引き渡す蓄熱器と接続して使用される、住宅技術の換気装置において、効果的な熱回収が達成される。したがって、好ましくは相反する流れ方向への体積流量が異なることによる空間温度の望ましくない上昇または下降を回避することができる。
【0010】
ファンブレードは、投影面に関して、ファンブレードにより定義されたブレード面により配管部分の開放断面がほぼ完全に被覆されるように、互いに重なって形成されていることが好ましい。好ましい一実施形態において、ファンブレードにより定義されたブレード面により配管部分の開放断面が完全に被覆される。したがって、このような本発明の軸流ファンユニットにおける圧安定性は更に上昇されており、外部接続部に対して場合により作用する反対圧力または吸引作用がファンホイールにより実現される搬送率に対して有する影響は無視できる。
【0011】
本発明の換気装置の可能な一発展形態は、隣接する2つのファンブレードの前縁部および後縁部が、投影面に関して、約5~約90度の範囲の角度Xで互いに重なっているということが考えられる。重なり角が大きくなるにつれて、本発明の軸流ファンユニットの圧力安定性および気流の搬送の際の均一性が高くなる。さらに、可逆的に運転される軸流ファンユニットでは、相反する流れ方向に搬送される体積流量の大きさの均一性も向上している。好ましい一実施形態において、隣接するファンブレードの前縁部および後縁部は、約20から45度の範囲の角度Xで互いに重なっている。特に、重なり角の好ましい最小値が維持される場合、ファンブレードにより定義されるブレード面が生じ、ブレード面により、配管部部の開放断面が完全に被覆されている。
【0012】
本発明の好ましい一設計によれば、ファンホイールはハブを備え、ハブにファンブレードが配置され、ハブが約40~80mmの範囲の直径を有し、ファンホイールが約100~約180mmの範囲の直径を有することが好ましく、ハブの直径に対するファンホイールの直径の比率は約2~3の範囲であることが好ましい。ハブおよびそれに形成されるファンブレードの本発明に基づいて挙げられた寸法により、ファンホイールの外径に依存して、配管部分の内部において十分に高い搬送フローが、ひいては、本発明の換気装置の運転における所望の効率が達成される。ハブの直径に対するファンホイールの直径の比率に関する値は2を下回らないことが好ましい。好ましい一設計において、この比率は、約2.2~2.5の範囲である。
【0013】
好ましい一実施形態によれば、ファンホイールは3~7つのファンブレード、好ましくは5つのファンブレードを備える。3~7つのファンブレードにより、ファンホイールにより実現される圧力安定性に対して気流の搬送の際に高い効率が達成される。好ましい一実施において、ファンホイールは5つのファンブレードを備え、これにより、このようなファンホイールにより生成される圧力安定性に対しするファンホイールが搬送する気流の比率が最適になる。
【0014】
ファンホイールは、長手方向軸に対して平行に約15~30mmの範囲の深さ寸法を有することが好ましく、ハブにおけるファンブレードの各々は螺旋状の準線に沿って延びることが好ましく、準線は約50~180mmの範囲の上り勾配を有することが好ましい。ファンホイールの深さ寸法は、特に、ハブに配置されたファンブレードの数により定義される。ファンホイールの深さ寸法は、使用されるファンブレードの数に比例していることが好ましい。ファンホイールの有するファンブレードが多いほど、ファンホイールの深さ寸法は小さく選択され得る。
【0015】
可能な一実施では、ファンブレードは、ハブにおける螺旋状の準線に沿って延びている。各ファンブレードは、特に、その前端縁からその後端縁までの延長方向において、ハブに対して好ましくは等間隔で、均等に延びている。特に、ファンブレードにおける準線の上り勾配は、ハブまでの距離に依存して変化しない。したがって、ハブの付近、つまりブレード根幹部における準線の上り勾配は、ファンブレードがねじれている場合でも、ファンホイールの外周を規定するファンブレード、または、ファンブレードの外側ブレード縁部の高さの半ばにおける準線の上り勾配と同程度の大きさであることが好ましい。好ましい一実施形態において、準線は、とりわけ、ファンホイールに形成されたファンブレードの数に応じて変化する50~180mmの範囲の上り勾配を有する。
【0016】
好ましい一実施形態において、ファンホイールは一体形成され、および/または、ファンブレードはプロファイル厚みを有し、プロファイル厚みは前縁部と後縁部との間の長さの半ばにおいて最大であり、プロファイル厚みは前縁部および/または後縁部へ向かって減少することが好ましい。ファンホイールの一体設計により、このようなファンホイールの製造が簡単になり、ファンホイールは、特に、ハブとそれに一体形成されたファンブレードとの間の接続領域において高い構造的な強度をさらに有する。
【0017】
本発明の換気装置の好ましい一設計において、ファンブレードは、ファンブレードの前縁部と後縁部との間のブレード長さの半ばにおいて最大となるプロファイル厚みを有する。プロファイル厚みは、プロファイル厚みが最大であるブレード長の半ばから、ファンブレードのそれぞれ前縁部および後縁部の方向へ減少することが好ましい。換気装置の可能な一設計において、径方向に延びる軸に沿った各ファンブレードのプロファイル厚みは実質的に一定である。
【0018】
好ましい一発展形態によれば、本発明の換気装置の配管部分内部の軸流ファンユニットの近傍に、フィルター要素が配置され、および/または配管部分内に蓄熱器が設けられている。配管部分内部に配置されたフィルター要素を用いることで、特に、建物内部から外へ向けて搬出される空間空気、および、外から建物内部へ搬入される外気に含まれる微粒子が、フィルター要素内に留められる。これにより、導出される空間空気および/または導入される外気が浄化される。
【0019】
好ましい一設計において、配管部分内に蓄熱器が配置され、蓄熱器により、このような換気装置を有する建物内部の制御された通気および排気の際の熱回収が行われる。建物に既存の空間空気を導出する際に、蓄熱器の温度は導出される空間空気の温度程度とほぼ同じになる。このとき、換気装置が反対方向に駆動されて外気が建物内部へ導入されると、外気は蓄熱器を貫流することで蓄熱器における既存の温度レベルにまで上昇または下降される。これにより、外気温が低い場合に建物内部を不必要に冷却することなく、または外気温が比較的高い場合に建物内部を望ましくなく昇温することなく、建物内部のエネルギー効率のよい通気が可能である。
【0020】
一発展形態は、軸流ファンユニットが、軸流ファンホイールに隣接して配置された少なくとも1つの固定子要素を備えることが考えられる。ファンホイールと内部空間接続部との間に配置された固定子要素は、配管部分における静圧を上昇させる。少なくとも1つのガイドホイールを有する固定子要素を使用することにより、本発明の軸流ファンユニットの圧力安定性がさらに向上される。特に、可逆的な運転において、ファンユニットは、外部接続部における圧力状況が変化する場合でも、両搬送方向においてほぼ同一の搬送率を生じる。固定子要素におけるガイドホイールは、4~8つのガイドブレードを有することが好ましく、これらのガイドブレードは、ファンユニットの搬送断面に亘って均等に配置されていることが好ましい。
【0021】
第2観点によれば、本発明の課題は、住宅技術の換気装置用の、特に、居住空間換気装置用の軸流ファンユニットにより解決され、該軸流ファンユニットは、配管部分内において相反する流れ方向に気流を生成するために可逆的に駆動可能である。特に、軸流ファンユニットは複数のファンブレードを有する軸流ファンホイールを特徴とし、ファンブレードはそれぞれ、前縁部および後縁部を有し、隣接する2つのファンブレードの前縁部および後縁部は、ファンホイールの長手方向軸に対して垂直に延びる投影面に関して、互いに重なっている。
【0022】
独自の一形態において、第2観点に基づく本発明は、軸流ファンユニットを提案し、該軸流ファンユニットは、重なり合うファンブレードにより向上された圧力安定性を有し、それゆえ、その両運転方向において同じ大きさの搬送作用を発現し得る。さらに、本発明の軸流ファンユニットにより、向上した圧力安定性の他に、ファンホイールの回転数が同じ場合は搬送率が上昇される。
【0023】
本発明の換気装置に対して第1観点に基づいて記載された好ましい実施形態または発展形態は、これらが互いに矛盾しない限り、同じく、第2観点に基づく本発明の軸流ファンユニットの好ましい実施形態でもある。したがって、本発明の軸流ファンユニットのファンホイールにおけるファンブレードは、単に例示的な好ましい実施形態または発展形態を挙げるために、対称に形成されていてもよい。
【0024】
第3観点によれば、本発明は、前記好ましい実施形態の1つに基づく軸流ファンユニットの使用であって、換気装置の配管部分内において相反する流れ方向に気流を交互に生成するための、住宅技術の換気装置における使用に関する。特に、軸流ファンユニットを本発明に基づいて使用して、配管部分の内部に同様に配置された蓄熱器を用いた熱回収の際にエネルギー効率のよい空気交換を空間において実現する。このような本発明に基づいて形成された軸流ファンユニットの使用により、換気装置の配管部分内部に配置された蓄熱器は第1方向に気流を導くことにより熱エネルギーが効率的に蓄積され、蓄熱器内に格納された熱エネルギーは第2の反対方向の気流を導くことにより蓄熱器から気流へ再び放出され得る。重なり合ったファンブレードを有するファンホイールを使用することにより、蓄熱器における煩雑な温度管理、および/または、ファンユニットがその運転方向の一方に駆動される時間の長さを調整する、軸流ファンユニットの煩雑な制御を有利に省くことができる。
【0025】
本発明の換気装置および軸流ファンユニットに対して記載された好ましい実施形態または発展形態は、同時に、第3観点に基づく本発明の使用の好ましい実施形態または発展形態でもある。
【0026】
本発明を、換気装置の好ましい実施例に基づいて、添付の図を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の換気装置の斜視図である。
図2図2は、図1の換気装置の立体分解図である。
図3図3は、本発明のファンホイールの可能な一実施例の斜視図である。
図4図4は、図3のファンホイールの前面図である。
図5図5は、図3のファンホイールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、建物内の空間を通気および/または排気するために使用される、本発明の換気装置100の可能な一実施形態の斜視図を示す。換気装置100は、流体をガイドするように配管部分106を介して接続された内部空間接続部102および外部接続部104を備える。換気装置100により、内部空間接続部102に境を接する詳細には示されていない空間の内部で制御された空気交換が行われる。
【0029】
内部空間接続部102と外部接続部104との間の配管部分106は、図示した形態では、円筒形の断面を有する。配管部分106は、特に、配管部分106が貫通する建物壁の壁厚に相当する長さLを有する。配管部分106の長さL、それゆえに、内部空間接続部102と外部接続部104との間の距離は、配管部分106を用いて架橋しようとする建物壁の壁厚により定義される。
【0030】
図2おいて、換気装置100の分解図を示し、この図により、配管部分106の内側に配置された構成要素が可視化されている。配管部分106の内側には、配管部分106内において相反する流れ方向に気流を生成するように構成された可逆式の軸流ファンユニット110が配置されている。
【0031】
配管部分106の内側には、軸流ファンホイール112および固定子要素114から構成される軸流ファンユニット110の他に、蓄熱器116およびフィルター要素118がさらに配置されている。
【0032】
蓄熱器116は、熱回収の役割を果たす。建物から空間空気を導出する際には、すなわち、内部空間接続部102から外部接続部104へ向かう流れ方向Rでは、蓄熱器116が負荷され、建物に外気を導入する際には、すなわち、外部接続部104から内部空間接続部102へ向かう流れ方向Rでは、蓄熱器116に格納された熱エネルギーが内部へと供給される外気へ再び放出される。
【0033】
フィルター要素118を用いて、外気から比較的大きな微粒子がフィルターにより取り出されることにより、蓄熱器116が詰まるのを回避し、それにより、熱伝達の際に効率低下に対抗作用する。
【0034】
軸流ファンユニット110の固定子要素114は、ファンホイールから生成される静圧を上昇するガイドホイール120と、ファンホイール112の回転動作を生じさせる、詳細には示されていない、内部に設けられた駆動モータとを備える。
【0035】
図3に、図2に記載のファンホイール112の拡大図を示す。図3から分かるように、軸流ファンホイール112は、複数のファンブレード122を有し、ファンブレード122はそれぞれ、前縁部124および後縁部126を有し、隣接する2つのファンブレード122の前縁部および後縁部124、126は、ファンホイールの長手方向軸Mに対して垂直に延びる投影面Fに関して、互いに重っている。
【0036】
図4が明らかにするように、ファンブレード122は、投影面Fに関してファンブレードにより規定されるブレード面Fによって、配管部分106の開放断面がほぼ完全に、好ましくは完全に、被覆されるように重なり合っている。可能な一実施形態では、隣接するファンブレード122の前縁部および後縁部124、126は、投影面Fに関して、約5~約90度の範囲の角度Xで重なり合っている。図4に示す実施形態では、ファンブレード122の前縁部および後縁部124、126は互いに約23度の角度で重なり合っている。
【0037】
3~7つのファンブレード、図示した実施形態では、5つのファンブレード122を有するファンホイールは、ハブ128を備え、ハブ128に、ファンブレード122が、特に、ハブ128の周囲に均等に分散して配置されている。ファンブレード122は、ハブ128と一体に形成されている。
【0038】
ハブ128は、図4においてはハブと相互作用する駆動モータのためのハブ収容部130を有する側から示され、40~80mmの範囲の直径Dを有する。ファンホイール112は、約100~約180mmの範囲の全径Dを有する。ハブ128の直径Dに対するファンホイール112の全径Dの比率は、約2~3の範囲にあることが好ましい。本実施形態では、ハブ128の直径Dに対するファンホイール112の直径Dの比率は約2.2である。
【0039】
図5は、ファンホイール112の側面図を示す。ファンホイール112は、長手方向軸Mに対して平行に約15~30mmの範囲の深さ寸法を有する。ここに示す実施形態は、約25mmの深さ寸法を有する。ファンブレード122は、ハブ128において螺旋状の準線Lに沿って配置されている。準線Lは、およそ50~180mmの範囲の上り勾配Sを有する。ここに示す実施形態では、ファンブレードは、約100mmの上り勾配Sを有する準線Lを有する。つまり、ファンブレード122は、ハブ全体を取り囲んで一重に形成されているならば、約100mmのハブの軸方向寸法に亘って延びる。
【0040】
特に、各ファンブレード122は、ファンブレード122をハブ128に固定するそのブレード根幹部132が、ファンホイール112の外径を規定するブレード縁部134に対して相対的に捻れていることを意味している場合であっても、その全体の径方向の高さ全体に実質的に均等な上り勾配Sを有する。
【0041】
ファンブレード122の各々は、プロファイル厚みdを有し、プロファイル厚みdは、前縁部と後縁部124、126との間の長さの半ばにおいて最大である。前縁部および後縁部124、126におけるプロファイル厚みdは、プロファイル厚みdよりもそれぞれ小さい。
【0042】
このように本発明のファンホイール112またはこのようなファンホイール112が設けられた軸流ファンユニット110により、換気装置100の配管部分106内において相反する流れ方向R、Rへの気流を交互に生成でき、外部接続部において作用する圧力状況が変化するにもかかわらず、両流れ方向R、Rにおいて体積流量はそれぞれ同じ大きさであり、それにより、軸流ファンユニット110はその両運転方向において、同じ搬送作用を発現し得る。
【符号の説明】
【0043】
100 換気装置
102 内部空間接続部
104 外部接続部
106 配管部分
110 軸流ファンユニット
112 ファンホイール
114 固定子要素
116 蓄熱器
118 フィルター要素
120 ガイドホイール
122 ファンブレード
124 前縁部
126 後縁部
128 ハブ
130 ハブ収容部
132 ブレード根幹部
134 ブレード縁部
L 長さ
X 角度
、R流れ方向
M 長手方向軸
投影面
ブレード面
準線
上り勾配
ハブの直径
ファンホイールの直径
、d プロファイル厚み
図1
図2
図3
図4
図5