(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086656
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A01K85/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210707
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2022201547
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522490974
【氏名又は名称】丸尾 祐人
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 祐人
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BB02
2B307BB07
2B307BB10
(57)【要約】
【課題】従来よりも実際の魚の動きを忠実に再現して胴体を変形することができるルアーを提供する。
【解決手段】頭部と胴部とを含むボディ及び前記頭部に配置されたラインアイを備え、前記胴部は、第1面及び第2面の主面を備え、前記第1面及び前記第2面に対して少なくとも垂直方向に変形可能な柔軟性を有し、前記ラインアイと前記胴部の後部とは、ワイヤを含む長手方向に延在する連結部材で接続され、前記頭部は、前記連結部材の少なくとも一部を配置可能な空洞部を備える、釣り用ルアー。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と胴部とを含むボディ、及び
前記頭部に配置されたラインアイ
を備え、
前記胴部は、第1面及び第2面の主面を備え、前記第1面及び前記第2面に対して少なくとも垂直方向に変形可能な柔軟性を有し、
前記ラインアイと前記胴部の後部とは、ワイヤを含む長手方向に延在する連結部材で接続され、
前記頭部は、前記連結部材の少なくとも一部を配置可能な空洞部を備える、
釣り用ルアー。
【請求項2】
前記胴部は、前記ワイヤを通す少なくとも1つの孔をさらに備え、前記ワイヤは、前記胴部の前記少なくとも1つの孔を貫通している、請求項1に記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記胴部は、前記孔を貫通する前記ワイヤの前記胴部の前記第1面または前記第2面に対する角度を大きくするワイヤ角度調整部を備える、請求項2に記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記ラインアイと前記胴部の後部に配置されたフックアイとが、前記ワイヤを含む長手方向に延在する連結部材で接続される、請求項1に記載の釣り用ルアー。
【請求項5】
前記連結部材は、前記ワイヤに接続されたリングをさらに含み、
前記頭部は、前記空洞部内に、前記リングの前記長手方向の移動範囲を制限する支柱をさらに備える
請求項1に記載の釣り用ルアー。
【請求項6】
前記連結部材は、前記リングに接続され且つ前記頭部の前記空洞部内に固定されたバネをさらに含む、請求項5に記載の釣り用ルアー。
【請求項7】
前記ラインアイと前記連結部材とは、1つまたは複数のスイベルを介して接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の釣り用ルアー。
【請求項8】
前記胴部は、前記胴部の前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に配置され前記ワイヤを前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に沿わせながら前記長手方向に移動可能に構成された挿通部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の釣り用ルアー。
【請求項9】
前記挿通部は、前記胴部の前記第1面または前記第2面に平行方向且つ前記長手方向に対して垂直方向からみたときに前記第1面または前記第2面に向かって凸形状の天井部を有する、請求項8に記載の釣り用ルアー。
【請求項10】
前記ワイヤは、前記ワイヤの前記長手方向の移動範囲を制限可能に構成される移動範囲制限部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の釣り用ルアー。
【請求項11】
水抵抗受け部をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
フィッシング時に疑似餌として使用されるルアーは、通常、小魚の形状を模したボディを備えており、このボディの頭部から前方ヘ向けて若干下向きに突出した平板状のリップをさらに備えるものもある。ボディの適所(尾部や腹部)にはフック(釣り針)が付設されているとともに、リップには釣糸が結着されるように構成されている。かかるルアーは、水中に投げ入れられた状態で釣竿や当該釣竿に付設されたリール等の操作による釣糸を介した引張り操作(例えばロッドアクションやリーリング)により水中を擬似的に遊泳させることができる。
【0003】
そして、ボディから下向きに斜めに突設されたリップは、リーリング等の操作時に相対的な水流を受け、これによってルアーは横方向に揺れながら潜行することになる。このときのルアーの挙動が小魚の遊泳姿に似ているため、釣り対象魚は本物の生餌と認識して当該ルアーに食い付き易くなる。
【0004】
ところで、近年、釣り人口の増加によって釣り対象魚の学習が進み、ルアーが横方向に揺動しながら潜行するという定常的な動きだけでは、当該釣り対象魚がルアーを疑似餌であると見破ってしまい、その結果食い付きが悪くなってきたという現象が見られることから、釣り対象魚に対してさらなるアピールを行い得るルアーの出現が嘱望されていた。
【0005】
かかる嘱望に応えるべく、全体的に硬質合成樹脂などの硬質材料によって形成されているとともに、リップとボディとの間に棒状のステイを介在させ、このステイの幅方向の厚み寸法をリップの幅寸法に対して相当に薄くするルアーが提案されている(特許文献1)。リーリング操作時に水流の抵抗でステイが左右方向に撓むことによりリップの方向が変化し、このときの操舵機能でルアーがイレギュラーな動きを行うため、当該ルアーは小魚の遊泳状態をさらに忠実に模擬し得るものとなり、これによってルアーに対する釣り対象魚の食い付きがさらに良好になることが期待される。
【0006】
また、種々の遊泳動作を容易に現出させることを可能とするために、生餌としての小魚を模したボディと、該ボディの前部から突設されたリップとを備えて構成され、ボディは、芯材と、該芯材を覆った軟質合成樹脂製の被覆材とを備え、リップは、被覆材を介してボディに接続されたルアーが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2975598号公報
【特許文献2】特開第2004-222577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2のような従来のルアーは、ライン(釣り糸)を引くことにより水中を大きく移動させながら水の抵抗で動作させる構造を備えている。しかしながら、実際の魚は必ずしも水中を大きく移動する場合に限られず、水中をわずかに移動しながら胴体を変形させて泳ぐことも多い。
【0009】
したがって、水中を大きく移動させなくても実際の魚の動きをより忠実に再現するように胴体を変形可能なルアーが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)頭部と胴部とを含むボディ、及び
前記頭部に配置されたラインアイ
を備え、
前記胴部は、第1面及び第2面の主面を備え、前記第1面及び前記第2面に対して少なくとも垂直方向に変形可能な柔軟性を有し、
前記ラインアイと前記胴部の後部とは、ワイヤを含む長手方向に延在する連結部材で接続され、
前記頭部は、前記連結部材の少なくとも一部を配置可能な空洞部を備える、
釣り用ルアー。
(2)前記胴部は、前記ワイヤを通す少なくとも1つの孔をさらに備え、前記ワイヤは、前記胴部の前記少なくとも1つの孔を貫通している、上記(1)に記載の釣り用ルアー。
(3)前記胴部は、前記孔を貫通する前記ワイヤの前記胴部の前記第1面または前記第2面に対する角度を大きくするワイヤ角度調整部を備える、上記(2)に記載の釣り用ルアー。
(4)前記ラインアイと前記胴部の後部に配置されたフックアイとが、前記ワイヤを含む長手方向に延在する連結部材で接続される、上記(1)~(3)のいずれかに記載の釣り用ルアー。
(5)前記連結部材は、前記ワイヤに接続されたリングをさらに含み、
前記頭部は、前記空洞部内に、前記リングの前記長手方向の移動範囲を制限する支柱をさらに備える
上記(1)~(4)のいずれかに記載の釣り用ルアー。
(6)前記連結部材は、前記リングに接続され且つ前記頭部の前記空洞部内に固定されたバネをさらに含む、上記(5)に記載の釣り用ルアー。
(7)前記ラインアイと前記連結部材とは、1つまたは複数のスイベルを介して接続されている、上記(1)~(6)のいずれかに記載の釣り用ルアー。
(8)前記胴部は、前記胴部の前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に配置され前記ワイヤを前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に沿わせながら前記長手方向に移動可能に構成された挿通部を備える、上記(1)~(7)のいずれかに記載の釣り用ルアー。
(9)前記挿通部は、前記胴部の前記第1面または前記第2面に平行方向且つ前記長手方向に対して垂直方向からみたときに前記第1面または前記第2面に向かって凸形状の天井部を有する、上記(8)に記載の釣り用ルアー。
(10)前記ワイヤは、前記ワイヤの前記長手方向の移動範囲を制限可能に構成される移動範囲制限部を備える、上記(1)~(9)のいずれかに記載の釣り用ルアー。
(11)水抵抗受け部をさらに備える、上記(1)~(10)のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来よりも実際の魚の動きを忠実に再現するように胴体を変形可能なルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の釣り用ルアーの一例の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の釣り用ルアーの別の例の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の釣り用ルアーの一例の側面模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の釣り用ルアーの別の例の側面模式図である。
【
図5】
図5は、本開示の釣り用ルアーの一例の上面模式図である。
【
図6】
図6は、本開示の釣り用ルアーの別の例の上面模式図である。
【
図7】
図7は、本開示の釣り用ルアーの頭部と胴部を分離して接続部材を外したときの一例の側面模式図である。
【
図8】
図8は、胴部が大きな柔軟性を有し、且つ比較的大きな厚みを有する場合における、頭部と胴部を分離して接続部材と接続補助部材を外したときの一例の側面模式図である。
【
図9】
図9は、
図8の胴部及び接続補助部材の上面模式図である。
【
図10】
図10は、挿通部を含む領域の長手方向からみたときの一例の断面模式図である。
【
図11】
図11は、挿通部を含む領域の長手方向に垂直方向からみたときの一例の断面模式図である。
【
図12】
図12は、ワイヤ角度調整部の一例を備える胴部の孔にワイヤを挿通した状態の断面模式図である。
【
図13】
図13は、ワイヤ角度調整部の他の例を備える胴部の孔にワイヤを挿通した状態の断面模式図である。
【
図14】
図14は、ワイヤ角度調整部を有しない胴部の孔にワイヤを挿通した状態の断面模式図である。
【
図15】
図15は、傾斜部を備える胴部の孔にワイヤを挿通した状態の断面模式図である。
【
図16】
図16は、ワイヤ角度調整部及び傾斜部を備える胴部の孔にワイヤを挿通した状態の断面模式図である。
【
図17】
図17(A)は、ラインを引かない状態の連結部材の一例を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図17(B)は、ラインを引かない状態の連結部材の一例を本ルアーの上部からみた模式図である。
【
図18】
図18(A)は、ラインを引いた状態の連結部材の一例を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図18(B)は、ラインを引いた状態の連結部材の一例を本ルアーの上部からみた模式図である。
【
図19】
図19(A)は、ラインを引かない状態の連結部材を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図19(B)は、ラインを引かない状態の連結部材を本ルアーの上部からみた模式図である。
【
図20】
図20(A)は、ラインを引いた状態の連結部材を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図20(B)は、ラインを引いた状態の連結部材を本ルアーの上部からみた模式図である。
【
図21】
図21は、ラインを引いて胴部30をS字状に変形させた本開示の釣り用ルアーの一例の上面模式図である。
【
図22】
図22は、ワイヤを緩めた状態の長さ調整部の模式図である。
【
図23】
図23は、ワイヤを張った状態の長さ調整部の模式図である。
【
図24】
図24は、中心部の両面に被覆部が貼り合わされた胴部を頭部から尾部の方向にみたときの断面模式図である。
【
図25】
図25は、ゲート形状の挿通部を含む領域を長手方向からみたときの一例の断面模式図である。
【
図26】
図26(A)は、胴部が孔を有しない場合の胴部、ワイヤ、及び胴部の中央部に配置されワイヤを通すゲート形状の挿通部の一実施形態、並びにラインアイが引っ張られて胴部がJ字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
図26(B)は、胴部の後部の孔にワイヤを通し、ワイヤの先端にフックアイを接続したこと以外は
図26(A)に示す態様と同じ態様、並びにラインアイを引っ張られて胴部がJ字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
【
図27】
図27(A)は、ワイヤを、胴部の前部の孔及び挿通部を通して、胴部の後部に接続した態様、並びに引っ張られて胴部がJ字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
図27(B)は、ワイヤを、胴部の前部の孔及びその前後の2つの挿通部を通して、胴部の後部に接続した態様、並びにラインアイが引っ張られて胴部がS字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
【
図28】
図28(A)は、ワイヤを、頭部から後部に向かって、孔、挿通部、孔、及び挿通部を通して、胴部の後部に接続した態様、並びにラインアイを引っ張られて胴部がS字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
図28(B)は、ワイヤを、頭部から後部に向かって、孔、挿通部、孔、挿通部、孔、及び挿通部を通して、胴部の後部に接続した態様、並びにラインアイが引っ張られて胴部がS字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
【
図29】
図29(A)は、胴部が孔を有しない場合の胴部及びワイヤの一実施形態、並びにラインアイが引っ張られて胴部がJ字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
図29(B)は、胴部の後部の孔にワイヤを通し、ワイヤの先端にフックアイを接続したこと以外は
図29(A)に示す態様と同じ態様、並びにラインアイを引っ張られて胴部がJ字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
【
図30】
図30(A)は、ワイヤを、胴部の前部の孔を通して、胴部の後部に接続した態様、並びに引っ張られて胴部がJ字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
図30(B)は、ワイヤを、胴部の前部の孔を通して、胴部の後部に接続した態様、並びにラインアイが引っ張られて胴部がS字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
【
図31】
図31(A)は、ワイヤを、頭部から後部に向かって、2つの孔を通して、胴部の後部に接続した態様、並びにラインアイを引っ張られて胴部がS字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
図31(B)は、ワイヤを、頭部から後部に向かって、3つの孔を通して、胴部の後部に接続した態様、並びにラインアイが引っ張られて胴部がS字状に変形したときの胴部の形状を上部からみたイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、頭部と胴部とを含むボディ及び前記頭部に配置されたラインアイを備え、前記胴部は、第1面及び第2面の主面を備え、前記第1面及び前記第2面に対して少なくとも垂直方向に変形可能な柔軟性を有し、前記ラインアイと前記胴部の後部とは、ワイヤを含む長手方向に延在する連結部材で接続され、前記頭部は、前記連結部材の少なくとも一部を配置可能な空洞部を備える、釣り用ルアーを対象とする。
【0014】
魚は、水中で水圧や水流の変化を感じとる感覚器官である側線を有しており、わずかな水の動きも感じ取ることができるといわれている。また、魚は、視覚や音にも反応することができるといわれている。
【0015】
本ルアーによれば、水中で本ルアーを大きく移動させなくても、ライン(釣り糸)を引く動作により直接、本ルアーの胴部の形状をなめらかに変化させることができる。すなわち、ラインアイを引くことにより、ルアー内部からルアー胴部を変形させる力が働き、内部の力で直接、ルアーの外形を変化させることが可能である。これにより、本ルアーによれば、水中を大きく移動させなくても実際の魚の動きを従来よりも忠実に再現して、胴部を変形させることが可能となる。
【0016】
したがって、本ルアーによれば、魚が泳ぐ時の胴部の変形及び波動を従来よりも忠実に再現することで、魚に自然な水の動きを感じさせることができ、また、魚に対して視覚的、聴覚的、及び感覚的に捕食を誘うことが可能であり、魚に対する誘引効果を得ることができる。以下、図面を参照しながら、本開示の釣り用ルアーを説明する。
【0017】
図1に、本開示の釣り用ルアー100の一例の外観斜視図を示す。
図3に、ルアー100の一例の側面模式図を示す。
図5に、ルアー100の一例の上面模式図を示す。
図1、3及び5は、必須構成及び少しの任意構成を表したものである。
【0018】
図2に、本開示の釣り用ルアー100の別の例の外観斜視図を示す。
図4に、ルアー100の別の例の側面模式図を示す。
図6に、ルアー100の別の例の上面模式図を示す。
図2、4及び6は、任意構成を含めた詳細構成を表したものである。
【0019】
ルアー100は、頭部10と胴部30とを含むボディ、及び頭部10に配置されたラインアイ11を含む。本願において、長手方向とはラインアイ11と胴部30の後部とをつなぐ方向であり、ルアー100の長手方向と実質的に同じ方向である。本明細書において、前方または前部とは頭部10の先端側をいい、後方または後部とは胴部30の後端側、すなわち胴部30の頭部10側とは反対側をいう。
【0020】
胴部30は、第1面301及び第2面302の主面を備え、第1面301及び第2面302の主面に対して少なくとも垂直方向に変形可能な柔軟性を有する。胴部30が主面に対して垂直方向に変形可能な柔軟性を備えることにより、ラインを引いたときに後述する連結部材の作用により胴部30を変形、好ましくはS字状またはJ字状に変形させてルアー100に魚の動きに似た動作をさせることが可能となる。連結部材に含まれるワイヤは、ライン(釣り糸)と同程度の太さでラインを引く力により胴部30を変形させる強度を有するものであれば特に限定されず、例えばナイロン、フロロカーボン、ポリエチレン等の釣り糸の樹脂材料、ステンレス鋼、タングステン、チタン合金等の鋼、合金、合金鋼等の金属材料等で構成されたワイヤである。本ルアーによれば、ワイヤの全体または一部に細かい凹凸を有する場合、胴部30とワイヤの摩擦によってルアーの外面に細かい振動が伝わり水中に細かい波動を伝えることができ、水中における魚が出す小刻みでリアルな動きを表現することもできる。
【0021】
図21に、ラインを引いて胴部30をS字状に変形させた例の模式図を示す。ルアー100においては、胴部30が略直線状からS字状、J字状等になめらかに変形を繰り返すことができる。水中で胴部30が変形しない程度の速さでラインをひくことにより、胴部30が水の抵抗を受けて元の形状(略直線状)に戻ることができる。胴部30は、好ましくは、主面に対して垂直方向に変形可能な弾性を有する。胴部30が弾性を備えることにより、ラインをひかなくても、元の形状(略直線状)に戻ることができる。
【0022】
胴部30は、好ましくは透明または半透明の材料で構成される。胴部30が透明または半透明の材料で構成されることにより、光を透過または反射するため魚を誘引しやすくなる。胴部30が透明または半透明の材料で構成される場合、特に胴部30がS字状、J字状等に変形または元に(略直線状に)戻るときに、光を乱反射するため、魚を誘引しやすくなる。
【0023】
胴部30には、好ましくはフックアイ31が配置されている。フックアイ31は、好ましくは、胴部30の頭部10とは反対側の端部に配置される。フックアイ31は、胴部30にネジ、接着等により固定されるか、あるいは後述する胴部の孔を貫通させたワイヤに接続して保持されてもよく、好ましくは胴部の孔を貫通させたワイヤに接続して保持される。
【0024】
胴部30は、第1面301及び第2面302を有する板状の材料で構成され、ラインを引いたときに変形可能な柔軟性を有し、好ましくはラインをゆるめたときに元の形状に戻ることができる弾性も有する。胴部30は、1つの部材で構成されてもよく、複数の部材で構成されてもよく、例えば中心部303の第1面または第2面の少なくとも一方に被覆部304が接続された複数の部材で構成されてもよい。
図24に、中心部303の両面に被覆部304が貼り合わされた胴部30を頭部から尾部の方向にみたときの断面模式図を示す。胴部30は、好ましくはゴム、樹脂、またはエラストマー等(以下、区別せずにゴムともいう)で構成され、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で構成され得る。熱可塑性樹脂は、熱可塑性形状記憶樹脂でもよい。胴部30は、蛍光材料または光反射材料で構成されてもよい。中心部303と被覆部304とは同じ材料で構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。胴部30は、柔軟性を有し、好ましくは弾性をさらに有し、より好ましくは耐候性、耐油性、耐熱性、及び耐水性のうち少なくとも一つをさらに備えたゴムで構成されることが好ましい。胴部30は、好ましくは、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、エラストマー、シリコーンゴム(SI)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ウレタンゴム(U)、スチレンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等で構成され、より好ましくは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、またはシリコーンゴムで構成される。EPDMのような柔軟性が大きいゴムは、胴部30の縦方向(高さ方向)の負荷にも柔軟に変形可能であり、折り曲げ跡や亀裂が発生しにくく、ラインを引く力が弱くても胴部30を大きく変形させることができ、低コストである。
【0025】
熱硬化性樹脂としては、シリコーンゴムが好ましい。熱可塑性樹脂は加工しやすい点で好ましく、熱可塑性樹脂としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリ塩化ビニルが好ましい。熱可塑性形状記憶樹脂は、構造的な相転移に基づき、機械的変形の後に加熱等によって、その原形を回復する能力を有する樹脂であり、加工性がさらに優れる点でより好ましい。熱可塑性形状記憶樹脂は、商業的に入手可能なものでよく、例えば塩化ビニル樹脂シートである。
【0026】
胴部30は、好ましくは着色され、魚を誘引しやすい色、例えば小魚を模した色に着色されていてもよい。例えば、胴部30は、箇所別に2色以上、またはグラデーションを有するように着色され、前方を濃いグレー、後方を薄いグレーに着色されてもよい。胴部30が着色されていることで、胴部30を曲げたときのルアー100の視認性を向上することができる。これにより、魚をより誘引することができる。
【0027】
胴部30には、水中でルアー100が任意の浮き姿勢を保つように、胴部30の任意の部位に浮力または沈む力を有する部材を備えてもよい。浮力を有する部材は、浮力が働く部材であれば材質は限定されないが、胴部30内の空気を確保する空間または浮力材でもよく、例えば空気や発泡スチロールでもよい。浮力を有する部材はまた、胴部30内に配置された浮力のある材質の部材であることができ、胴部30を構成する過程で、浮力のある材質の部材を任意の部位に練りこむ等して加えて胴部30を構成してもよい。沈む力を有する部材は、沈む力の働く部材であれば材質は限定されないが、胴部30内の重みのある部材でもよく、例えば頭部10と同様のラトルや鉛等の金属でもよい。沈む力の働く部材はまた、胴部30内に配置された重量のある材質の部材であることができ、胴部30を構成する過程で、重量のある材質の部材を任意の部位に練りこむ等して加えて胴部30を構成してもよい。
【0028】
頭部10及び胴部30の少なくとも一方は、ラインを引いたときに水の抵抗を受けることができるように所定の厚みを有することが好ましく、より好ましくは0.1~40mm、さらに好ましくは0.2~20mm、さらにより好ましくは0.3~10mm、さらにより好ましくは0.4~5mmの平均厚みを有する。頭部10及び胴部30は、一定の厚みを有してもよく、箇所によって異なる厚みを有してもよく、互いに異なる厚みを有してもよい。
【0029】
好ましくは、頭部10は、胴部30よりも大きな厚みを有する。頭部10は、好ましくは20~40mm、より好ましくは10~30mmの平均厚みを有する。頭部10が上記好ましい厚みを有することにより、ラインを引いたときに水の抵抗をより受けやすく、胴部30をより変形しやすくなる。頭部10は、一定の厚みを有してもよく、箇所によって異なる厚みを有してもよい。
【0030】
頭部10は、好ましくは、先端に、長手方向に垂直方向の面を有する平坦部を有する。これにより、ラインを引いたときにルアー100が水の抵抗をより強く受けることができる。平坦部の面積は、好ましくは4mm2以上、より好ましくは9mm2以上、さらに好ましくは16mm2以上、さらにより好ましくは25mm2以上である。
【0031】
頭部10には、ラインアイ11が配置されている。ラインアイ11は、ラインを頭部10の前方に固定できれば配置位置は特に限定されないが、
図1に例示するように、好ましくは、頭部10の胴部30とは反対側の端部に配置される。
【0032】
ラインアイ11と連結部材のワイヤ61とは、好ましくは、1つまたは複数のスイベルを介して接続される。スイベルを介することにより、ラインのねじれを防止することができる。
【0033】
図2、4及び6に、スイベル66を介してラインアイ11とワイヤ61とを接続する一例の模式図を示す。
図2、4及び6においては、2つのスイベル66を介してラインアイ11とワイヤ61とが接続されている。
【0034】
頭部10は、ワイヤ61を含む連結部材の少なくとも一部を長手方向に配置可能な空洞部14を備える。空洞部14は、ワイヤ61を含む連結部材の少なくとも一部が配置され、空洞部14の内部を連結部材が長手方向に移動可能に構成される。空洞部14は、
図1~6に例示するように、ラインアイ11側から胴部30側まで頭部10内を連結部材の少なくとも一部が配置可能に構成される。例えば内径または対角線が1~10mmの筒状であることができる。ラインアイ11と胴部30の後部とは、ワイヤ61を含む長手方向に延在する連結部材で接続され、ラインを引くことにより連結部材の少なくとも一部が空洞部14内を長手方向に移動して、ワイヤ61が胴部30を変形させることができる。ワイヤ61と胴部30の後部との接続は、任意の方法で行われ、接着剤、ネジ、胴部30に形成した孔に通して前記孔を通らない結び目をワイヤの先端に形成、前記孔を通らない部材をワイヤの先端に接続等により、行うことができる。
【0035】
空洞部14は、ワイヤ61を含む連結部材の少なくとも一部を内部に配置し、連結部材が長手方向に移動可能な構成であれば特に制限されず、頭部10を構成する材料で構成されてもよく、頭部10の内部に筒状部材を配置して構成されてもよい。筒状部材は、特に限定されず、金属、樹脂等であることができる。
【0036】
頭部10は、好ましくはゴム、樹脂、エラストマーで構成され、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で構成され得る。熱可塑性樹脂は、熱可塑性形状記憶樹脂でもよい。頭部10は、1つまたは複数の材料で構成され得る。頭部10は樹脂製であることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、発泡ウレタン、ポリウレタン等で構成され得る。頭部10は、木材、ケミカルウッド、バルサ材等で構成されてもよい。頭部10は、好ましくはプラスチック、より好ましくはABS樹脂、さらに好ましくはボーン素材で構成される。頭部10は、蛍光材料または光反射材料で構成されてもよい。頭部10は、好ましくは胴部30よりも比較的硬質の材料で構成され、例えば、胴部30はシリコーンで主に構成され、頭部10はABS樹脂で構成され得る。頭部10は、金属で構成されてもよく、例えば鉛で構成される。頭部10は、上記材料の組合せで構成されてもよい。頭部10は、1つの部材で形成してもよく、または複数の部材、例えば左右の2つの部材を結合して(貼り合わせて)形成してもよい。複数の部材、例えば左右の2つの部材の結合は、ビス、接着剤、溶着等によって行ってもよい。頭部10は、ロッドアクション、リーリング等の操作により実質的に変形しない材質で構成される。ロッドアクション、リーリング等の操作により頭部10が実質的に変形せず胴部30だけが変形する材質で頭部10及び胴部30を構成することにより、フックを頭部10に配置した場合はフックが魚を釣り上げるための機能をより発揮しやすく、リップ等を頭部10に配置した場合は頭部10及び頭部10に配置するリップ等の構成をより維持しやすく、また、頭部10内部の空洞部14の形状を維持しやすくラインを引いたときに胴部30の変形度合いをより大きくすることができ、ラインを引かない状態では胴部30が元の状態に戻る動きをよりスムーズにすることができる。
【0037】
頭部10は、透明または不透明の材料で構成され得るが、好ましくは透明または半透明の材料で構成される。頭部10が透明または半透明の材料で構成されることにより、光を透過または反射するため魚を誘引しやすくなる。頭部10は着色されてもよく、魚を誘引しやすい色、例えば小魚を模した色に着色されてもよく、胴部30と連続した色合いで着色されてもよい。例えば、頭部10は、箇所別に2色以上、またはグラデーションを有するように着色され、前方を濃いグレー、後方を薄いグレーに着色されてもよい。
【0038】
頭部10は、好ましくは、上部に空気を保持可能または浮力材を配置可能な空間12を備える。頭部10の上部に空気を保持または浮力材を配置することにより、ルアー100に浮力を生じさせ、またルアー100の上下の任意のバランスをとることができる。浮力材は、頭部10に浮力を生じさせるものであれば特に限定されないが、例えば発泡スチロールでもよい。
【0039】
頭部10は、好ましくは、下部に錘、ラトル、またはそれらの組み合わせを配置可能な空間13を備える。頭部10の下部に錘を配置することにより、ルアー100の上下のバランスをとることができる。頭部10の下部にラトルを配置することにより、ラトル音を発生させて魚を誘引することができる。錘は、頭部10を沈ませるものであれば特に限定されないが、例えば鉛等の金属でもよい。ラトルの素材は、従来用いられている材料であることができ、鉛、スチールボール、真鍮、タングステン、ガラス玉等であることができる。
【0040】
連結部材はワイヤ61のみで構成されてもよいが、好ましくは、ワイヤ61に接続されたリング62をさらに含み、頭部10は、空洞部14内に、リング62の長手方向における移動範囲を制限する支柱(以下、第1の支柱ともいう)15をさらに備える。
図2、4及び6に示すように、リング62の輪の中に支柱15が配置され、ワイヤ61を含む連結部材はリング62の長手方向の内径分だけ長手方向に移動することができる。
【0041】
図17及び
図18に、ラインアイと胴部30の後部とが、スイベル66、リング62、及びワイヤ61を含む長手方向に延在する連結部材で接続されている場合の、ラインを引かない状態とラインを引いた状態の、リング62と第1の支柱15との関係を示す。
図17及び
図18では、リング62の一端にスイベル66が接続され、スイベル66がラインアイに接続され、またリング62の他端にワイヤ61が接続され、ワイヤ61が胴部30の後部に接続されている。
【0042】
図17(A)は、ラインを引かない状態の連結部材を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図17(B)は、ラインを引かない状態の連結部材を本ルアーの上部からみた模式図である。
図18(A)は、ラインを引いた状態の連結部材を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図18(B)は、ラインを引いた状態の連結部材を本ルアーの上部からみた模式図である。第1の支柱15は空洞部14内に配置される。
【0043】
ラインをひかない状態からラインを引くことで、リング62が長手方向に移動してリング62と第1の支柱15との位置関係が、
図17の状態から
図18の状態になる。リング62は、支柱15が輪の中に位置しているので、リング62の長手方向の内径分だけに移動が制限される。そのため、ワイヤ61を含む連結部材の可動範囲が制限され、胴部30の変形度合を制限して、胴部30の破損を防止することができる。また、これにより、胴部30の変形度合を所定範囲に保つことと、フッキングやリーリングの効果を、頭部10のさらに別のフックアイ18に備えるフックにより早く伝えることができる。
【0044】
連結部材は、好ましくは、リング62に接続され且つ頭部10の空洞部14内に固定されたバネ63をさらに含む。
図2、4及び6に示すように、バネ63は、リング62に接続され且つ頭部10の空洞部14内に固定される。
【0045】
図19及び
図20に、ラインアイと胴部30の後部とが、スイベル66、リング62、バネ63、及びワイヤ61を含む長手方向に延在する連結部材で接続されている場合の、ラインを引かない状態とラインを引いた状態の、リング62と第1の支柱15との関係を示す。
図19及び
図20では、リング62の一端にスイベル66が接続され、スイベル66がラインアイに接続され、またリング62の他端にワイヤ61とバネ63とが並行に接続され、ワイヤ61が胴部30の後部に接続され、バネ63は、第2の支柱16に接続されている。第2の支柱16は、頭部10の空洞部14内に配置される。
【0046】
図19(A)は、ラインを引かない状態の連結部材を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図19(B)は、ラインを引かない状態の連結部材を本ルアーの上部からみた模式図である。
図20(A)は、ラインを引いた状態の連結部材を本ルアーの側面からみた模式図であり、
図20(B)は、ラインを引いた状態の連結部材を本ルアーの上部からみた模式図である。
【0047】
ラインをひかない状態からラインを引くことで、バネ63が伸びて、
図19の状態から
図20の状態になる。その後、ラインを緩めることで、バネ63は
図20の状態から
図19の状態に戻り、胴部30を、変形した状態から元の形状に戻すことができる。バネ63により、胴部30を変形した状態から元の形状に戻すことの補助を行うことができる。
【0048】
リング62に並行に接続されるワイヤ61及びバネ63は、ワイヤ61が、バネ63の内部を延在してもよく、バネ63の外部を延在してもよい。バネ63の他端は、連結部材に並行に配置されるように、空洞部14内の第2の支柱16に固定されている。リング62に接続されたワイヤの他端は、胴部30の後部に接続される。
【0049】
一方の端部がリング62に接続され他方の端部が空洞部14内の第2の支柱16に接続されたバネ63は、ラインを引いた状態から元の状態(標準状態)に戻る動きを補助することができる。バネ63は、バネ定数が、好ましくは0.01~10N/mm、より好ましくは0.05~1N/mm、さらに好ましくは0.1~0.5N/mmの引きバネであることができる。バネ63が前記好ましいバネ定数を有する引きバネであることにより、標準状態への戻りやすさとラインを引くことによる胴部30の変形しやすさの良好なバランスを得ることができる。
【0050】
リング62は、好ましくは、スナップ(接続金具)である。リング62がスナップであることにより、ワイヤ61等のパーツの交換を容易に行うことができる。なお、
図17~20の連結部材の角度は、ルアー100の正面(ラインアイ11に平行方向)から見たとき、360度角度を問わない。
【0051】
ラインアイ11と胴部30の後部とは、ワイヤ61を含む長手方向に延在する連結部材で接続されるが、好ましくはラインアイ11と胴部30の後部に配置されたフックアイ31とが、ワイヤ61を含む長手方向に延在する連結部材で接続される。連結部材がラインアイ11とフックアイ31とに接続されることで、連結部材の胴部30の後部への接続をより容易に行うことができる。連結部材がラインアイ11とフックアイ31とに接続される場合、ワイヤ61は、フックアイ31が通過できない大きさの胴部30の孔32を通り、フックアイ31に接続され得る。
【0052】
連結部材がラインアイ11とフックアイ31とに接続される場合、フックアイ31と連結部材は、
図2、4及び6に例示するようにワイヤ61を介して接続されてもよく、好ましくは長さ調整部67をさらに介して接続される。長さ調整部67は、ワイヤ61の張り具合を調節可能に構成され、例えば
図22及び
図23に示すワイヤ61を挿通可能な芯が空洞のボルト672、ナット671、並びにボルト672及びナット671のそれぞれの端部に位置する芯が空洞のビーズ673、674で構成される。ビーズ673はフックアイ31に接するように配置され、ビーズ674は胴部30に接するように配置される。
図22は、長さ調整部67の初期状態であり、
図23は、ボルト672とナット671との間隔を開けるようにして長さ調整部67を締めてワイヤ61を張った状態である。長さ調整部67の別の例は、ボルト672及びナット671を備えずに、ビーズ673、674の少なくとも一方のみの構成、またはビーズ673、674の間にワイヤ61の張り具合に応じて追加の一つ以上のビーズを配置した構成を備えてもよい。長さ調整部67によりワイヤ61の張り具合を調整することができるので、ルアーを使用している内にワイヤが伸びた場合や胴部30の交換に伴う胴部30の大きさ又は形状に交換前後で相違がある場合でも、長さ調整部67によりワイヤの張り具合を調整することができ、胴部の変形状態を調整することができる。フックアイ31は、フック(釣り針)を備えることができる。
【0053】
ルアー100においては、ラインアイ11から胴部30の後部までワイヤ61を含む連結部材で繋がっており、好ましくは、ワイヤ61が胴部30の1つ以上の孔32を貫通している。ワイヤ61は孔32内を摺動可能である。
【0054】
孔32の数と孔32の位置は、胴部30を変形させたい形状に基づいて決めればよい。
図29(A)に、胴部30が孔32を有しない場合の胴部30及びワイヤ61の一実施形態を示す。
図29の右側に変形状態と表示した曲線は、ラインアイが引っ張られて胴部30がJ字状に変形したときの胴部30の形状を上部からみた模式図である。
【0055】
孔32が1つの場合は、胴部30は任意の位置に孔32を有することができ、胴部30の後部、前部、または中央部に孔32を有することができる。
図29(B)に、胴部30の後部の孔32にワイヤ61を通し、ワイヤの先端にフックアイ31を接続したこと以外は
図29(A)に示す態様と同じ態様を示す。
図29(B)に示す態様では、ラインアイを引っ張ったとき、
図29(A)と同様にJ字状に胴部30が変形する。
図30及び31を参照して示す例では、ワイヤは胴部30の後部に接続した態様を示すが、
図29(B)に示すように、胴部30の後部に追加の孔32を設けて、胴部30の後部の孔32にワイヤ61を通し、ワイヤの先端にフックアイ31が接続されてもよい。
【0056】
図30(A)に、ワイヤ61を、胴部30の前部の孔32を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図30(A)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、
図29(A)及び
図29(B)と同様にJ字状に胴部30が変形する。
【0057】
図30(B)に、ワイヤ61を、胴部30の前部の孔32を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図30(B)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、S字状に胴部30が変形する。
【0058】
孔32が2つの場合は、胴部30は任意の位置に孔32を有することができるが、好ましくは、胴部30の長手方向を略等分割(略三分割)する位置に孔32を有する。
図31(A)に、ワイヤ61を、頭部から後部に向かって、2つの孔32を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図31(A)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、S字状に胴部30が変形する。
【0059】
孔32が3つの場合も、胴部30は任意の位置に孔32を有することができるが、好ましくは、胴部30の長手方向を略等分割(略四分割)する位置に孔32を有する。孔32が4つ以上の場合も同様である。
図31(B)に、ワイヤ61を、頭部から後部に向かって、3つの孔32を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図31(B)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、S字状に胴部30が変形する。胴部30を変形させたい形状に合わせて、4つ以上の孔32を有してもよい。
図30及び
図31のワイヤ後部には、
図29(B)のように胴部の後部に孔を設け、ワイヤの後部にフックアイを接続してもよい。ラインアイとワイヤ後部に設けたフックアイとを連結部材でつなぐことで、ワイヤ後部のフックアイに接続されるフックに魚が食いついた際に、ラインをひく力をフックにダイレクトに伝えることができる。
【0060】
胴部30は、好ましくは、胴部30の第1面及び第2面の少なくとも一方に配置されワイヤを第1面及び前記第2面の少なくとも一方に沿わせながら長手方向に移動可能に構成された挿通部を備える。
【0061】
図26(A)に、胴部30が孔32を有しない場合の胴部30、ワイヤ61、及び胴部30の中央部に配置されワイヤ61を通すゲート形状の挿通部33の一実施形態を示す。
図26(A)の右側に変形状態と表示した曲線は、ラインアイが引っ張られて胴部30がJ字状に変形したときの胴部30の形状を上部からみた模式図である。
図26(A)においては、胴部30に沿って頭部から後部に延在するワイヤ61が挿通部33を通っている。
【0062】
孔32が1つの場合は、胴部30は任意の位置に孔32を有することができ、胴部30の後部、前部、または中央部に孔32を有することができる。
図26(B)に、胴部30の後部の孔32にワイヤ61を通し、ワイヤの先端にフックアイ31を接続したこと以外は
図26(A)に示す態様と同じ態様を示す。
図26(B)に示す態様では、ラインアイを引っ張ったとき、
図26(A)と同様にJ字状に胴部30が変形する。以下に示す例では、ワイヤは胴部30の後部に接続した態様を示すが、
図26(B)に示すように、胴部30の後部に追加の孔32を設けて、胴部30の後部の孔32にワイヤ61を通し、ワイヤの先端にフックアイ31が接続されてもよい。
【0063】
図27(A)に、ワイヤ61を、胴部30の前部の孔32及び挿通部33を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図27(A)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、
図26(A)及び
図26(B)と同様にJ字状に胴部30が変形する。
【0064】
図27(B)に、ワイヤ61を、胴部30の前部の孔32及びその前後の2つの挿通部33を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図27(B)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、S字状に胴部30が変形する。
【0065】
孔32が2つの場合は、胴部30は任意の位置に孔32を有することができるが、好ましくは、胴部30の長手方向を略等分割(略三分割)する位置に孔32を有する。
図28(A)に、ワイヤ61を、頭部から後部に向かって、孔32、挿通部33、孔32、及び挿通部33を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図28(A)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、S字状に胴部30が変形する。
【0066】
孔32が3つの場合も、胴部30は任意の位置に孔32を有することができるが、好ましくは、胴部30の長手方向を略等分割(略四分割)する位置に孔32を有する。孔32が4つ以上の場合も同様である。
図28(B)に、ワイヤ61を、頭部から後部に向かって、孔32、挿通部33、孔32、挿通部33、孔32、及び挿通部33を通して、胴部30の後部に接続した態様を示す。
図28(B)に示す態様では、ラインアイを引いて孔32を摺動可能に貫通するワイヤがひかれることにより、S字状に胴部30が変形する。胴部30を変形させたい形状に合わせて、4つ以上の孔32を有してもよい。胴部30を変形させたい形状に合わせて、4つ以上の孔32、4つ以上の挿通部33を有してもよい。
図27及び
図28のワイヤ後部には、
図26(B)のように胴部の後部に孔を設け、ワイヤの後部にフックアイを接続してもよい。ラインアイとワイヤ後部に設けたフックアイとを連結部材でつなぐことで、ワイヤ後部のフックアイに接続されるフックに魚が食いついた際に、ラインをひく力をフックにダイレクトに伝えることができる。
【0067】
図1~6は、胴部30が3つの孔32を有する例である。
図1~6において、最も後方の孔32はフックアイ31を保持することができる。ワイヤ61が接続されたフックアイ31は、孔32を通ることができないので、最も後方の孔32の近傍に保持される。釣り人のロッドアクション、リーリング等の操作によりラインアイ11からフックアイ31までワイヤ61を含む連結部材が引っ張られることで、胴部30がS字状、J字状等に変形することができる。ラインを引かない通常時(標準状態)では、胴部30は略直線状またはわずかにS字状若しくはJ字状に変形しており、好ましくはわずかにS字状若しくはJ字状に変形している。標準状態でわずかにS字状若しくはJ字状に変形していることにより、ロッドアクション、リーリング等の操作により、より容易に胴部30をS字状、J字状等に変形させることができる。
図5及び
図6は、標準状態でわずかにS字状に変形した形状の一例である。
【0068】
頭部10と胴部30とは、一体でもよく接続されていてもよい。頭部10と胴部30とが接続される場合、ネジ、接着剤、溶着、接続部材等で接続され得る。
図1~6に例示するように、頭部10と胴部30とは、接続部材71、72で接続され得る。接続部材71、72は、ネジ、ビス、接着剤、溶着等(図中に黒丸で表示)で頭部10及び胴部30と接続され得る。
図7に、頭部10と胴部30を分離して接続部材71、72を外した態様の一例の側面模式図を示す。
【0069】
図8に、胴部30がシリコーン樹脂等の大きな柔軟性、好ましくは弾性を有し、且つ比較的大きな厚みを有する場合における、頭部10と胴部30を分離して接続部材71、72と接続補助部材73を外したときの一例の側面模式図を示す。
図9に、
図8の胴部30及び接続補助部材73の上面模式図を示す。
図8及び
図9においては、接続補助部材73は、接続部材71、72を介して頭部10と接続され、胴部30の長手方向の差し込み部38に差し込まれ係止部731を介して胴部30と接続され得る。差し込み部38は、胴部30が備える接続補助部材73を差し込み可能な切り込みまたは空間である。
【0070】
接続補助部材73と接続部材71、72との接続は、接続補助部材73の孔732と接続部材71、72の孔712、722とをネジ等で固定することにより行われ得る。接続補助部材73と接続部材71、72とは、接着剤等により固定されてもよい。接続部材71、72と頭部10との接続は、
図1~6と同様に、接続部材71、72の孔711、721と頭部10の孔101とをネジ等で固定することにより行われ得る。接続部材71、72と頭部10とは、接着剤等により固定されてもよい。
【0071】
上述のように、胴部30がシリコーン樹脂等の大きな柔軟性、好ましくは弾性を有する場合、好ましくは、胴部30は、接続部材71、72及び接続補助部材73を介して、頭部10と接続される。接続補助部材73には、係止部731が接続されている。係止部731は、フックと同様の返しを備え、胴部30に差し込んで固定され得る。
【0072】
胴部30は、好ましくは、胴部30の第1面301及び第2面302の少なくとも一方に配置されワイヤ61を第1面301及び第2面302の少なくとも一方に沿わせながら長手方向に移動可能に構成された挿通部33を備える。挿通部33は、胴部30が変形したときに、ワイヤ61が変形した胴部30の表面に実質的に沿うように構成される。胴部30が挿通部33を有することにより、胴部30の材質が比較的硬い場合でも、胴部30をJ字状またはS字状によりきれいに変形させることができる。ワイヤ61が胴部30の第1面301及び第2面302のうち実質的に片面にしか位置しない場合は、挿通部33は片面に配置すればよい。
【0073】
挿通部33は、胴部30の中心部303と被覆部304との間で構成されてもよい。
図24は、中心部303の両面に被覆部304が貼り合わされた胴部30を頭部から尾部の方向にみたときの断面模式図であり、中心部303と被覆部304との間に挿通部33が設けられ得る。
図24は、被覆部304が備える溝が挿通部33として機能して挿通部33にワイヤ61が通る例を示すが、中心部303が溝を有してもよく、中心部303と被覆部304の両方が溝を有してもよい。溝の幅及び深さは、ワイヤ61が通るのに十分な寸法があればよい。
図24は、中心部303の両面に挿通部33を有する例であるが、ワイヤ61の位置に応じて中心部303の片面に挿通部33を有してもよい。
図24(A)は、頭部側の1つ目の孔32にワイヤ61を通す前の状態の例示であり、
図24(B)は、ワイヤ61が上記1つ目の孔32にワイヤ61を通した後の胴部の逆側の面にワイヤ61が位置する状態の例示である。
【0074】
別法では、挿通部33は、
図1~6に示すように、板状の中心部としての胴部30と、胴部の表面の一部に接続された被覆部とで構成されたゲート形状の挿通部33を有してもよい。
図1~6に模式的に例示するように、ワイヤ61は、ゲート形状の被覆部で構成された挿通部33によって、第1面301及び第2面302に沿いながら長手方向に移動することができる。
図10に、ゲート形状の挿通部33を含む領域を長手方向からみたときの一例の断面模式図を示す。ゲート形状の挿通部33により、ワイヤ61が胴部30から大きく離れることなく、変形する胴部30に沿って長手方向に移動することができる。これにより、ラインが引かれて胴部30が変形する際に、規則的に変形することができる。すなわち、胴部30が変形する際にワイヤ61が胴部30から外側へ大きく離れないことで、魚が泳ぐ際の胴体の変形を表現することができる。さらには、胴部30が変形する際にワイヤ61が胴部30から外側へ大きく離れないので、ルアー本体の根掛かり防止効果も得られる。ゲート形状の挿通部33は、胴部30と一体で構成されてもよく、胴部30にネジ、接着剤、溶着、はめ込み等で取り付けられてもよい。ゲート形状の挿通部33は、好ましくは、
図25の(A)、(B)、または(C)に示すように、胴部30の切り込み部にゲート形状の挿通部33のL字型及び反L字型の2つの脚が差し込まれ、所望によりネジ、接着剤等で固定される。
図25の(A)~(C)は、ゲート形状の挿通部33を含む領域を長手方向からみたときの一例の断面模式図である。
【0075】
胴部30は、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、さらに好ましくは4つ以上のゲート形状の挿通部33を備える。胴部30が上記好ましい数のゲート形状の挿通部33を備えることにより、ワイヤ61を胴部30の形状により近接して沿わせることができ、ラインを引っ張ったときに胴部30をさらにきれいなJ字状またはS字状に変形させることができる。
【0076】
2つ以上のゲート形状の挿通部33は、好ましくは、
図1、3及び5に例示するように胴部30の第1面301及び第2面302に少なくとも1つずつ配置され、より好ましくは、
図2、4及び6に例示するように少なくとも2つずつ配置される。
【0077】
ゲート形状の挿通部33は、
図11に例示するように、好ましくは、第1面301または第2面302に平行方向且つ長手方向に対して垂直方向からみたときに胴部30の第1面301または第2面302に向かって(内側に向かって)凸形状の天井部を有する。
図11は、ゲート形状の挿通部33を含む領域の長手方向に垂直方向からみたときの一例の断面模式図である。これにより、挿通させるワイヤ61のゲート形状の挿通部33内の滑りがよくなり、ワイヤ61が滑らかに長手方向に移動することができる。ゲート形状の挿通部33は、より好ましくは、ワイヤ61との接触部位に角部を有しない。
【0078】
ゲート形状の挿通部33を備える胴部30は、その上に被覆部304を備えてもよい。ゲート形状の挿通部33が被覆部304の外側に突出可能なように、被覆部304は挿通部用の孔を備えることができ、また、胴部30の孔32に対応する位置に孔を備えることができる。この場合、ワイヤ61は、被覆部304の表面に沿って移動可能に配置される。
【0079】
ルアー100は、好ましくは、水抵抗受け部50をさらに備える。水抵抗受け部50は、ラインを引いたときにルアー100が水の抵抗をより強く受けることが可能に構成される。水抵抗受け部50は、好ましくは、フッキング、ロッドアクション、またはリーリングでラインを強く引いたときに水の抵抗で倒れ込むように変形可能に構成される。ラインを引っ張ったときに水抵抗受け部50が水の抵抗を受けることによって、水抵抗受け部50を支点にして、胴部30を変形させることがより容易になる。また、フッキングやリーリングでラインを強く引いたときは、水抵抗受け部50が水の抵抗で変形して倒れ込むことにより、魚をフックにかける場合に、ルアー100のフッキングやリーリング動作への影響を小さくすることができる。
【0080】
水抵抗受け部50は、好ましくは透明または半透明である。水抵抗受け部50が透明または半透明であることにより、魚をより誘引しやすくなる。
【0081】
水抵抗受け部50は、熱可塑性のプラスチックが好ましく、アクリル板、ポリカーボネート板、PET樹脂板、またはポリ塩化ビニル板の熱可塑性の板を曲げたものがより好ましい。
【0082】
水抵抗受け部50は、頭部、胴部、または頭部と胴部の境界に固定され得る。水抵抗受け部50は、曲線状のカーブ形状または折り曲げ部を備えた折り曲げ形状を備え、好ましくは折り曲げ部を備えた折り曲げ形状を備え、
図2及び
図6に例示するように、くの字状の一端を頭部、胴部、または頭部と胴部の境界に固定して、外側に開くように配置され得る。
図2及び
図6に示す例では、水抵抗受け部50は、頭部と胴部の接続部材71、72に固定されている。水抵抗受け部50の固定方法は限定されず、頭部10に一端を挟み込んで固定してもよい。水抵抗受け部50は、ワイヤを摺動可能に通す孔を有する。
【0083】
胴部30は、好ましくは、ワイヤ角度調整部34を備える。ワイヤ角度調整部34は、孔32の近傍に配置され、孔32に通すワイヤ61の胴部30の主面に対する角度を大きくすることができる。ワイヤ角度調整部34の材料は、孔32に通すワイヤ61の胴部30の主面に対する角度を大きくすることができる限り特に限定されず、例えば、胴部30と同じ材料で構成され得る。孔32に挿通するワイヤ61の胴部30の主面に対する角度を大きくすることにより、比較的弱い力でワイヤがひかれても胴部30を変形しやすくなる。ワイヤ61と胴部30の摩擦抵抗を低減することと、胴部30が曲がりやすい角度からワイヤ61を引くことができ、ラインを引いたときに、比較的弱い力でも胴部30を変形させやすくなる。孔32に挿通するワイヤ61の胴部30の主面に対する角度は、好ましくは20~70度、より好ましくは40~50度である。前記好ましい角度であることにより、さらに弱い力でも胴部30を変形させやすくなる。
【0084】
ワイヤ角度調整部34は、胴部30の主面に配置された凸部であり、
図2、4及び6に例示するような主面にネジ、ビス、接着等で固定された部材で構成されてもよい。
図12及び
図13に、ワイヤ角度調整部34の一例の断面模式図を示す。
図14に、ワイヤ角度調整部34を備えない場合の胴部30の孔32にワイヤ61を挿通した状態の断面模式図を示す。
【0085】
胴部30は、好ましくは、
図12及び
図13に例示するように、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の少なくとも一部にワイヤ角度調整部34を備える。例えば、ワイヤ角度調整部34は、
図12に例示するように、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の片側に配置されてもよく、
図13に例示するように、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の両側に配置されてもよい。これにより、孔32に通すワイヤ61の胴部30の主面に対する角度を大きくすることができる。
図14に例示するワイヤ角度調整部34を備えない場合に対して、胴部30とワイヤ61との間の摩擦抵抗を小さくすることと、ワイヤ61が胴部30の第1面301及び/または第2面302に対して角度を調整することで、比較的弱い力でも胴部30を変形させることができる。
【0086】
胴部30は、好ましくは、
図15に例示するように、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の少なくとも一部に傾斜部37を備える。例えば、傾斜部37は、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の片側に配置されてもよく、
図15に例示するように、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の両側に配置されてもよい。これにより、胴部30とワイヤ61との間の摩擦抵抗を小さくすることができるので、比較的弱い力でも胴部30を変形させることができる。
【0087】
胴部30は、より好ましくは、
図16に例示するように、孔32の周辺のワイヤ61が孔32に挿通する箇所の少なくとも一部にワイヤ角度調整部34及び傾斜部37の両方を備えてもよい。
【0088】
ワイヤは、好ましくは、移動範囲制限部68を備える。移動範囲制限部68は、本ルアーを釣りに使用しているときに胴部30が備える孔32を通らない太さを有し、ワイヤ61の長手方向の移動範囲を制限することができる。ワイヤ61の長手方向の移動範囲が制限されることにより、胴部30の変形度合を制限することができ、過度な曲がりを抑制することができる。本ルアーを釣りに使用しているときに胴部30が備える孔32を通らない太さとは、本ルアーを釣りに使用しているときに孔32を通らない太さであればよく、使用者が本ルアーをメンテナンス等する際に移動範囲制限部68を押し込んだり引っ張ったりすることにより孔32を通る太さでもよい。移動範囲制限部68の材料は、ワイヤ61の長手方向の移動範囲を制限可能な孔32を通らない太さを有する限り特に限定されないが、ワイヤ61を結ぶことで構成された結び目の太い部分、ワイヤ61自体が備える凸部等であることができ、あるいは、ワイヤ61に固定可能なゴム、樹脂、プラスチック等で構成された太い部分であることができる。
【0089】
頭部10及び胴部30は、所望の箇所に1つまたは複数の別のフックアイを備えてもよい。別のフックアイは、フックを備えることができる。
【0090】
胴部30は、フックを固定するためのフック保持部を備えてもよい。
図4に、フック保持部35を備える胴部30の側面模式図を示す。フック保持部35には、フック(図示せず)が保持され得る。フック保持部35に保持されるフックには別のフックアイ36を接続し得る。フック保持部35及び別のフックアイ36は1つまたは複数であることができる。別のフックアイ36には別のワイヤ17が接続され、ワイヤ17は頭部10に固定される。頭部10へのワイヤ17の固定は、さらに別のフックアイ18により行うことができる。魚が、フック保持部35に保持されたフックにかかるとき、フックアイ36に接続されたフックはフック保持部35から外れることができ、頭部10に固定されたワイヤ17で保持され得る。これにより、ルアー100の所望の箇所にフックを配置することができ、且つ胴部30の損傷を防止することができる。フック保持部35は、フックを挟んで保持するための保持機構またはフックを保持するためのマグネットを備える。保持機構は樹脂等で形成される。
【0091】
ルアー100は、胴部30の頭部10とは反対側に尾部40(尾ビレ)を備えることができる。尾部40は、胴部30と同様に柔軟性、好ましくは弾性がある板状の材料で構成され得、好ましくはゴム、樹脂、またはエラストマーで構成される。尾部40は、好ましくは、胴部30から取り外し可能で交換可能な構成を備える。胴部30及び尾部40は、尾部40を胴部30に嵌合可能な凸部及び凹部を備える接続部41で接続され得る。胴部30の凹部に尾部40の凸部を長手方向に挿入して嵌合してもよく、胴部30の凹部に尾部40の凸部を高さ方向にスライドさせて嵌合してもよい。
【0092】
ルアー100の胴部30を変形させるためのラインを引く力は、例えば、15~400gf、50~300gf、100~200gf等であることができる。
【0093】
頭部10、胴部30、及び尾部40は、魚に似せた形状でもよく、魚とは異なる形状でもよい。頭部10及び胴部30は、好ましくは柔軟性、より好ましくは弾性を有する材料で被覆される。柔軟性、好ましくは弾性を有する材料は、例えば、シリコーン樹脂である。尾部40を備える場合も、同様に、好ましくは柔軟性、より好ましくは弾性を有する材料で被覆される。
【0094】
ルアー100は、リップは不要であるが、リップを備えてもよい。
【符号の説明】
【0095】
100 釣り用ルアー
10 頭部
101 頭部の孔
11 ラインアイ
12 頭部の上方に空気を保持可能または浮力材を配置可能な空間
13 頭部の下方に錘を配置可能な空間
14 空洞部
15 第1の支柱
16 第2の支柱
17 別のワイヤ
18 さらに別のフックアイ
30 胴部
301 胴部の第1面
302 胴部の第2面
303 胴部の中心部
304 胴部の被覆部
31 フックアイ
32 胴部の孔
33 挿通部
34 ワイヤ角度調整部
35 フック保持部
36 別のフックアイ
37 傾斜部
38 差し込み部
40 尾部
41 胴部と尾部の接続部
50 水抵抗受け部
61 ワイヤ
62 リング
63 バネ
66 スイベル
67 長さ調整部
671 ナット
672 ボルト
673 ビーズ
674 ビーズ
68 移動範囲制限部
71 頭部と胴部の接続部材
711 接続部材の孔
712 接続部材の孔
72 頭部と胴部の接続部材
721 接続部材の孔
722 接続部材の孔
73 接続補助部材
731 係止部
732 接続補助部材の孔