(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086667
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】編み込まれたフレックス回路を有するカテーテルエンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210998
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】63/432,838
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/510,466
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ロリック
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK22
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】電気生理学的用途のためのカテーテルを提供すること。
【解決手段】電気生理学的用途のためのカテーテルは、シャフト及びエンドエフェクタを含む。シャフトは、長手方向軸線に沿って、遠位端部まで延在する。エンドエフェクタは、シャフトの遠位端部に連結されている。エンドエフェクタは、一対のスパインを含む少なくとも1つのループ部材を含む。エンドエフェクタは、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられた、複数の第1の電極を更に含む。エンドエフェクタは、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに固定された、少なくとも1つのフレックス回路を更に含む。少なくとも1つのフレックス回路は、複数の第2の電極を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的用途のためのカテーテルであって、
(a)長手方向軸線に沿って遠位端部まで延在するシャフトと、
(b)前記シャフトの前記遠位端部に連結されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
(i)一対のスパインを含む、少なくとも1つのループ部材と、
(ii)前記少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられた、複数の第1の電極と、
(iii)前記少なくとも1つのループ部材の前記少なくとも1つのスパインに固定された少なくとも1つのフレックス回路であって、前記少なくとも1つのフレックス回路が、複数の第2の電極を含む、少なくとも1つのフレックス回路と、を備える、エンドエフェクタと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのループ部材が、3つのループ部材を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのループ部材が、一対の外側ループ部材と、前記長手方向軸線に対して前記一対の外側ループ部材の半径方向内側に位置付けられた内側ループ部材と、を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも1つのループ部材が、一対の内側ループ部材と、前記長手方向軸線に対して前記一対の内側ループ部材の半径方向外側に位置付けられた外側ループ部材と、を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのループ部材が、細長い構造部材を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記細長い構造部材が、金属材料を含む、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記少なくとも1つのループ部材の前記細長い構造部材が、複数の開口部を含む、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフレックス回路が、前記複数の開口部を通して編み込まれている、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記複数の第1の電極が、前記少なくとも1つのスパインの前部に配置された複数の前部の第1の電極と、前記少なくとも1つのスパインの後部に配置された複数の後部の第1の電極と、を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記複数の前部の第1の電極が、前記複数の後部の第1の電極から長手方向にオフセットされている、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記フレックス回路が、可撓性基板を含み、前記複数の第2の電極が、前記可撓性基板に取り付けられている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記複数の第2の電極が、前記可撓性基板の前部に配置された複数の前部の第2の電極と、前記可撓性基板の後部に配置された複数の後部の第2の電極と、を含む、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記複数の前部の第2の電極が、前記複数の後部の第2の電極から長手方向にオフセットされている、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記複数の第1の電極が、前記少なくとも1つのスパインの少なくとも1つの側面上で、前記複数の第2の電極と長手方向に交互になっている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記複数の第1の電極のそれぞれが、前記複数の第2の電極のうちの対応する1つによって、横方向に正対されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
カテーテルのエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
(a)一対のスパインを含む少なくとも1つのループ部材であって、各ループ部材の前記スパインが、長手方向軸線に平行に延在する、少なくとも1つのループ部材と、
(b)前記少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられた、複数の第1の電極と、
(c)前記少なくとも1つのループ部材の前記少なくとも1つのスパインに固定された少なくとも1つのフレックス回路であって、前記少なくとも1つのフレックス回路が、複数の第2の電極を含む、少なくとも1つのフレックス回路と、を備える、エンドエフェクタ。
【請求項17】
前記複数の第1の電極が、前記少なくとも1つのスパインの少なくとも1つの側面上で、前記複数の第2の電極と長手方向に交互になっている、請求項16に記載のエンドエフェクタ。
【請求項18】
前記複数の第1の電極のそれぞれが、前記複数の第2の電極のうちの対応する1つによって、横方向に正対されている、請求項16に記載のエンドエフェクタ。
【請求項19】
カテーテルのエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
(a)一対のスパインを含む少なくとも1つのループ部材であって、各ループ部材の前記スパインが、長手方向軸線に平行に延在し、前記少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインが、複数の開口部を含む、少なくとも1つのループ部材と、
(b)前記少なくとも1つのループ部材の前記少なくとも1つのスパインに取り付けられた、複数の第1の電極と、
(c)前記複数の開口部を通して編み込まれた少なくとも1つのフレックス回路であって、前記少なくとも1つのフレックス回路が、複数の第2の電極を含む、少なくとも1つのフレックス回路と、を備える、エンドエフェクタ。
【請求項20】
前記フレックス回路が、可撓性基板を含み、前記複数の第2の電極が、前記可撓性基板の前部に配置された複数の前部の第2の電極と、前記可撓性基板の後部に配置された複数の後部の第2の電極と、を含む、請求項19に記載のエンドエフェクタ。
【請求項21】
電気生理学的用途のためのカテーテルであって、
(a)長手方向軸線に沿って遠位端部まで延在するシャフトと、
(b)前記シャフトの前記遠位端部に連結されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
(i)スパインを含む、ループ部材と、
(ii)前記スパインに固定されたフレックス回路であって、前記フレックス回路が、
(1)第1の基板側面と、前記第1の基板側面に対向する第2の基板側面と、を有する、細長い基板と、
(2)前記第1の基板側面に配置された複数の第1の基板電極、及び前記第2の基板側面に配置された複数の第2の基板電極であって、各第1の基板電極が、各第2の基板電極から横方向にオフセットされている、複数の第1の基板電極及び複数の第2の基板電極と、を備える、フレックス回路と、を含む、エンドエフェクタと、を備える、カテーテル。
【請求項22】
前記スパインが、スロットを備えて構成されており、前記フレックス回路が、前記スロットを通して編み込まれている、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記スパインが、第1のスパイン側面と、前記第1のスパイン側面に対向する第2のスパイン側面と、を有し、前記フレックス回路は、前記第1の基板側面が前記第1のスパイン側面で露出され、前記第2の基板側面が前記第2のスパイン側面で露出されるように、前記スロットを通して編み込まれている、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記スパインが、第1のスパイン側面と、前記第1のスパイン側面に対向する第2のスパイン側面と、を有し、前記フレックス回路は、前記第1の基板電極が前記第1のスパイン側面で露出され、前記第2の基板電極が前記第2のスパイン側面で露出されるように、前記スロットを通して編み込まれている、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記スパインが、前記第1のスパイン側面における複数の第1のスパイン電極と、前記第2のスパイン側面における複数の第2のスパイン電極と、を含む、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記フレックス回路は、前記第1の基板電極が前記第1のスパイン側面で露出され、前記第2の基板電極が前記第2のスパイン側面で露出され、前記第1の基板電極が、前記第1のスパイン側面で前記第1のスパイン電極と交互になり、前記第2の基板電極が、前記第2のスパイン側面で前記第2のスパイン電極と交互になるように、前記スロットを通して編み込まれている、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記第1の基板電極及び前記第2の基板電極の各電極が、前記第1のスパイン電極及び前記第2のスパイン電極の異なる電極と正反対にある、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項28】
各第1の基板電極が、異なる第2のスパイン電極と正反対にあり、各第2の基板電極が、異なる第1のスパイン電極と正反対にある、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記フレックス回路は、1つ以上の空隙が前記基板と前記スパインとの間に画定されるように、前記スロットを通して緩く編み込まれている、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記フレックス回路は、前記複数の第1の基板電極のうちの少なくとも1つが前記スパインと平行ではないように、前記スロットを通して緩く編み込まれている、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記スパインがニチノールを含む、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記ループ部材が、一般に平面内にある、請求項21に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月15日に出願された米国特許仮出願番号第63/432,838号の優先権及び利益を主張するものであり、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、カテーテル、特に、患者の組織のマッピング及びアブレーションに使用するための電気生理学的カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心組織の領域から隣接組織に電気信号が異常に伝導する場合に発生し、これにより、正常な心周期が乱されて、非同期的律動を引き起こす。望ましくない信号源は、心房又は心室の組織に位置する場合がある。望ましくない信号は、心臓組織を通ってその他の箇所に伝導する場合があり、不整脈を引き起こすか、又は不整脈を継続させ得る。
【0004】
不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に妨害すること、及びこのような信号の伝導路を妨害することが挙げられる。心内膜の電気特性及び心容積をマッピングし、エネルギーの印加により心組織を選択的に焼灼することによって、心臓の1つの部位から別の部位への望ましくない電気信号の伝搬を中断させるか又は修正することが可能な場合がある。アブレーションプロセスは、組織の非導電性領域の形成によって、望ましくない電気経路を破壊してもよい。
【0005】
マッピングとそれに続くアブレーションを含む、この二段階処置においては、通常、1つ以上の電気センサを備えるカテーテルを心臓内へと進入させ、多数の点でデータを取得することによって、心臓内の各点における電気活動が感知及び測定されてもよい。次に、これらのデータを利用して、アブレーションが実施される標的領域が選択されてもよい。
【0006】
マッピング解像度を高めるために、マッピングカテーテルについては、1平方センチメートル程度の領域内にて、組織の電気活動を感知する電極を複数使用することによって、高密度の信号マップを提供することが望ましい場合がある。
【0007】
可撓性回路を組み込んだカテーテルエンドエフェクタが、周知である。しかしながら、可撓性回路上の電気トレースに亀裂が生じることが、周知である。可撓性回路とニチノールなどの形状記憶基礎支持構造体との組合せもまた、周知である。この組合せは、典型的には、2つの可撓性回路の間に挟まれたニチノール支持構造体を含み、本ニチノール支持構造体は、電気トレースの亀裂を最小限に抑え得るが、マッピング及びアブレーションのための適切な組織接触を妨げ得る追加の嵩及び低減された可撓性がないわけではない、3層構造体を作り出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、フレックス回路の利点を利用する一方で、フレックス回路が適切な組織接触のために可撓性のままであることを可能にするが、大幅に嵩を増すことなく電気トレースの亀裂のリスクを最小限に抑えるマッピング及びアブレーションカテーテルエンドエフェクタの必要性があることを、認識した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
構造部材上に編み込まれたフレックス回路を有するエンドエフェクタを提供するカテーテルは、有利には、マッピング及びアブレーション処置における改善された組織接触のための十分な可撓性を提供するが、電気トレースの亀裂及び破損のリスクが低減されるように、適切な構造的支持を提供する。構造部材内に形成されたスロット内で摺動又は調節する能力を用いて、フレックス回路は、電気トレース亀裂のリスクを低減する際に移動及び調節する自由度を有し、一方で、構造部材は、構造的支持及び補強を提供し、したがって、エンドエフェクタは、大幅に嵩を追加することなく形状を保持し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、電気生理学的用途のためのカテーテルは、シャフト及びエンドエフェクタを含む。シャフトは、長手方向軸線に沿って、遠位端部まで延在する。エンドエフェクタは、シャフトの遠位端部に連結され、少なくとも1つのループ部材と、複数の第1の電極と、少なくとも1つのフレックス回路と、を含む。少なくとも1つのループ部材は、一対のスパインを含む。複数の第1の電極は、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられている。少なくとも1つのフレックス回路は、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに固定され、少なくとも1つのフレックス回路は、複数の第2の電極を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのループ部材は、3つのループ部材を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのループ部材は、一対の外側ループ部材と、長手方向軸線に対して一対の外側ループ部材の半径方向内側に位置付けられた内側ループ部材と、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのループ部材は、一対の内側ループ部材と、長手方向軸線に対して一対の内側ループ部材の半径方向外側に位置付けられた外側ループ部材と、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテルにおいて、少なくとも1つのループ部材は、細長い構造部材を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、細長い構造部材は、金属材料を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのループ部材の細長い構造部材は、複数の開口部を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレックス回路は、複数の開口部を通して編み込まれている。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数の第1の電極は、少なくとも1つのスパインの前部に配置された複数の前部の第1の電極と、少なくとも1つのスパインの後部に配置された複数の後部の第1の電極と、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数の前部の第1の電極は、複数の後部の第1の電極から長手方向にオフセットされている。
【0020】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、可撓性基板を含み、複数の第2の電極は、可撓性基板に取り付けられている。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数の第2の電極は、可撓性基板の前部に配置された複数の前部の第2の電極と、可撓性基板の後部に配置された複数の後部の第2の電極と、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の前部の第2の電極は、複数の後部の第2の電極から長手方向にオフセットされている。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の第1の電極は、少なくとも1つのスパインの少なくとも1つの側面上で、複数の第2の電極と長手方向に交互になっている。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数の第1の電極のそれぞれは、複数の第2の電極のうちの対応する1つによって、横方向に正対されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、カテーテルのエンドエフェクタは、少なくとも1つのループ部材と、複数の第1の電極と、少なくとも1つのフレックス回路と、を備える。少なくとも1つのループ部材は、一対のスパインを含み、各ループ部材のスパインは、長手方向軸線に平行に延在する。複数の第1の電極は、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられている。少なくとも1つのフレックス回路は、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに固定され、少なくとも1つのフレックス回路は、複数の第2の電極を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数の第1の電極は、少なくとも1つのスパインの少なくとも1つの側面上で、複数の第2の電極と長手方向に交互になっている。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の第1の電極のそれぞれは、複数の第2の電極のうちの対応する1つによって、横方向に正対されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、カテーテルのエンドエフェクタは、少なくとも1つのループ部材と、複数の第1の電極と、少なくとも1つのフレックス回路と、を備える。少なくとも1つのループ部材は、一対のスパインを含み、各ループ部材のスパインは、長手方向軸線に平行に延在し、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインは、複数の開口部を含む。複数の第1の電極は、少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられている。少なくとも1つのフレックス回路は、複数の開口部を通して編み込まれている、少なくとも1つのフレックス回路は、複数の第2の電極を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、可撓性基板を含み、複数の第2の電極は、可撓性基板の前部に配置された複数の前部の第2の電極と、可撓性基板の後部に配置された複数の後部の第2の電極と、を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、電気生理学的用途のためのカテーテルは、シャフト及びエンドエフェクタを含む。シャフトは、長手方向軸線に沿って、遠位端部まで延在する。エンドエフェクタは、シャフトの遠位端部に連結されている。エンドエフェクタは、スパインを含むループ部材と、スパインに固定されたフレックス回路と、を含む。フレックス回路は、細長い基板と、複数の第1の基板電極と、複数の第2の基板電極と、を含む。細長い基板は、第1の基板側面と、第1の基板側面に対向する第2の基板側面と、によって、構成されている。複数の第1の基板電極は第1の基板側面に配置され、複数の第2の基板電極は第2の基板側面に配置され、各第1の基板電極は、各第2の基板電極から横方向にオフセットされている。
【0031】
いくつかの実施形態では、スパインは、スロットを備えて構成され、フレックス回路は、スロットを通して編み込まれている。
【0032】
いくつかの実施形態では、スパインは、第1のスパイン側面と、第1のスパイン側面に対向する第2のスパイン側面と、を含み、フレックス回路は、第1の基板側面が第1のスパイン側面で露出され、第2の基板側面が第2のスパイン側面で露出されるように、スロットを通して編み込まれている。
【0033】
いくつかの実施形態では、スパインは、第1のスパイン側面と、第1のスパイン側面に対向する第2のスパイン側面と、を含み、フレックス回路は、第1の基板電極が第1のスパイン側面で露出され、第2の基板電極が第2のスパイン側面で露出されるように、スロットを通して編み込まれている。
【0034】
いくつかの実施形態では、スパインは、第1のスパイン側面における複数の第1のスパイン電極を含み、第2のスパイン側面における複数の第2のスパイン電極を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、第1の基板電極が第1のスパイン側面で露出され、第2の基板電極が第2のスパイン側面で露出され、第1の基板電極が第1のスパイン側面で第1のスパイン電極と交互になり、第2の基板電極が第2のスパイン側面で第2のスパイン電極と交互になるように、スロットを通して編み込まれている。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の基板電極及び第2の基板電極の各電極は、第1のスパイン電極及び第2のスパイン電極の異なる電極と正反対にある。
【0037】
いくつかの実施形態では、各第1の基板電極は、異なる第2のスパイン電極と正反対にあり、各第2の基板電極は、異なる第1のスパイン電極と正反対にある。
【0038】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、1つ以上の空隙が基板とスパインとの間に画定されるように、スロットを通して緩く編み込まれている。
【0039】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、複数の第1の基板電極のうちの少なくとも1つがスパインと平行ではないように、スロットを通して緩く編み込まれている。
【0040】
いくつかの実施形態では、スパインは、ニチノールを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、ループ部材は、一般に平面内にある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図を示す。
【
図2A】
図1のカテーテルと共に使用され、一実施形態に従って構成された複数のループ部材を有し、各ループ部材が一対のスパインを有し、対応するスパインの開口部を通して編み込まれた複数のフレックス回路を更に有し、複数の電極がフレックス回路によって提供される、エンドエフェクタの一実施例の正面図を示す。
【
図2B】
図1のカテーテルと共に使用され、別の実施形態に従って構成された複数のループ部材を有し、各ループ部材が一対のスパインを有し、対応するスパインの開口部を通して編み込まれた複数のフレックス回路を更に有し、複数の電極がフレックス回路によって提供される、エンドエフェクタの別の実施例の正面図を示す。
【
図2C】
図1のカテーテルと共に使用され、更に別の実施形態に従って構成された複数のループ部材を有し、各ループ部材が一対のスパインを有し、対応するスパインの開口部を通して編み込まれた複数のフレックス回路を更に有し、複数の電極がフレックス回路によって提供される、エンドエフェクタの別の実施例の正面図を示す。
【
図3A】
図2Aにおける領域3A内で取られた、
図2Aのエンドエフェクタの一部の拡大正面図を示す。
【
図3B】
図3Aにおける線3B-3Bに沿って取られた、
図2Aのエンドエフェクタの断面図を示す。
【
図4】
図1のカテーテルと共に使用され、少なくとも1つのスパインと、少なくとも1つのスパインの開口部を通して編み込まれた少なくとも1つのフレックス回路と、を有し、フレックス回路によって提供される複数の電極を有し、複数の電極が、スパインに対して非平行である、エンドエフェクタの別の実施例の断面図を示す。
【
図5A】
図1のカテーテルと共に使用され、一実施形態に従って構成された複数のループ部材を有し、各ループ部材が一対のスパインを有し、対応するスパインの開口部を通して編み込まれた複数のフレックス回路を更に有し、第1の複数の電極がスパイン上に直接提供され、第2の複数の電極がフレックス回路によって提供される、エンドエフェクタの一実施例の正面図を示す。
【
図5B】
図1のカテーテルと共に使用され、別の実施形態に従って構成された複数のループ部材を有し、各ループ部材が一対のスパインを有し、対応するスパインの開口部を通して編み込まれた複数のフレックス回路を更に有し、第1の複数の電極がスパイン上に直接提供され、第2の複数の電極がフレックス回路によって提供される、エンドエフェクタの一実施例の正面図を示す。
【
図5C】
図1のカテーテルと共に使用され、更に別の実施形態に従って構成された複数のループ部材を有し、各ループ部材が一対のスパインを有し、対応するスパインの開口部を通して編み込まれた複数のフレックス回路を更に有し、第1の複数の電極がスパイン上に直接提供され、第2の複数の電極がフレックス回路によって提供される、エンドエフェクタの一実施例の正面図を示す。
【
図6A】
図5Aにおける領域6A内で取られた、
図5Aのエンドエフェクタの一部の拡大正面図を示す。
【
図6B】
図6Aにおける線6B-6Bに沿って取られた、
図6Aのエンドエフェクタの断面図を示す。
【
図7】
図1のカテーテルと共に使用され、少なくとも1つのスパインと、少なくとも1つのスパインの開口部を通して編み込まれた少なくとも1つのフレックス回路と、を有し、第1の複数の電極がスパイン上に直接提供され、第2の複数の電極がフレックス回路によって提供され、第2の複数の電極が、スパインに対して非平行である、エンドエフェクタの別の実施例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には、同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0044】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする、好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0045】
更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被検体」という用語は、任意のヒト被検体又は動物被検体象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、操作者に近い方の位置を示す一方、「遠位」とは、操作者又は医師から更に遠い位置を示す。「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、「上方」、「下方」などを含む用語は、相対的な向きであり、絶対的な向きではなく、したがって、限定的ではない又は制約的ではないと理解される。
【0046】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例等のうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載のその他の教示、表現、変形例、実施例等のうちのいずれか1つ以上と組み合わされてもよい。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例等は、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示と組み合わされてもよい様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正例及び変形形態は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0047】
一般に平面状であり、マッピング及び/又はアブレーションのために構成され得る複数の電極を含む代表的なエンドエフェクタが、本明細書に示され、開示される。エンドエフェクタは、本明細書に開示されるプロセス、及び当業者によって周知のものと同様のプロセスを通じて、マッピング及び/又はアブレーションカテーテルを形成するために、追加のカテーテル構成要素を有するシャフトに接合され得る。本明細書に示される代表的なエンドエフェクタは、当業者によって理解されるように、追加のエンドエフェクタ設計を形成するために組み合わせ可能な変形形態及び特徴を含む。
【0048】
I.カテーテルシステムの実施例の概要
代表的なカテーテル系の電気生理学的マッピング及びアブレーションシステム(10)を示す
図1を参照する。システム(10)は、患者の血管系を通って、心臓(12)の腔又は血管構造内へと医師(24)によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓(12)の所望の位置の近くの左心房又は右心房内へと挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の場所に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含んでもよい。IEGMを感知するように構成されている代表的なカテーテル(14)が、本明細書に示されている。医師(24)は、心臓(12)の標的部位を感知するために、カテーテル(14)の遠位先端部(28)を、心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師(24)は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端部を、アブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0049】
カテーテル(14)は、遠位先端部(28)において複数のスプライン(22)にわたって所望により分布し、IEGM信号を感知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極(26)を含む代表的なカテーテルである。カテーテル(14)は、遠位先端部(28)の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部(28)内又はその近くに埋め込まれた位置センサ(29)を更に含んでもよい。所望により、かつ好ましくは、位置センサ(29)は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む、磁気系の位置センサである。
【0050】
磁気系の位置センサ(29)は、所定の作業体積内に磁場を発生させるように構成された複数の磁気コイル(32)を含む位置パッド(25)と共に、動作してもよい。カテーテル(14)の遠位先端部(28)の実時間位置は、位置パッド(25)によって発生させられ、磁気系の位置センサ(29)によって感知される磁場に基づいて、追跡されてもよい。磁気系の位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されている。
【0051】
システム(10)は、位置パッド(25)の位置基準並びに電極(26)のインピーダンス系の追跡を確立するために、患者(23)における皮膚接触のために位置付けられた1つ以上の電極パッチ(38)を含む。インピーダンス系の追跡のために、電流が電極(26)に向けられ、電極皮膚パッチ(38)において感知され、これによって、各電極の位置を電極パッチ(38)を介して三角測量し得る。インピーダンス系の位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0052】
記録器(11)は、身体面上のECG電極(18)で捕捉された電位図(21)と、カテーテル(14)の電極(26)で捕捉されたIEGMと、を表示する。記録器(11)は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング機能を含んでもよい、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0053】
システム(10)は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝導するように適合された、アブレーションエネルギー発生器(50)を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器(50)によって生成されるエネルギーは、不可逆電気穿孔法(irreversible electroporation、IRE)をもたらすために使用され得るような、単極又は双極の高電圧DC(直流)パルスを含む、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー若しくはパルスフィールドアブレーション(Pulsed-Field Ablation、PFA)エネルギー、又はこれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0054】
患者インターフェースユニット(Patient Interface Unit、PIU)(30)は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム(10)の動作を制御するワークステーション(55)と、の間の電気通信を確立するように構成された、インターフェースである。システム(10)の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド(25)、身体面上ECG電極(18)、電極パッチ(38)、アブレーションエネルギー発生器(50)、及び記録器(11)を含んでもよい。所望により、かつ好ましくは、PIU(30)は、カテーテルの位置の実時間計算を実装し、ECG計算を実行するための、処理機能を更に含む。
【0055】
ワークステーション(55)は、メモリと、適切な動作ソフトウェアがその内部にロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション(55)は、複数の機能を提供してもよく、所望により、心臓内解剖学的構造を三次元(3D)でモデル化し、そのモデル又は解剖学的マップ(20)を表示デバイス(27)に表示するためにレンダリングすることと、表示デバイス(27)上に、記録された電位図(21)からコンパイルされた活性化シーケンス(又はその他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ(20)上に重ね合わされた代表的な視覚的印又は画像で表示することと、心腔内の複数のカテーテルの実時間位置及び実時間配向を表示することと、アブレーションエネルギーが印加された場所などの目的部位を表示デバイス(27)上に表示することと、を含む。システム(10)の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.(31A Technology Drive,Irvine,CA,92618)から市販されている、CARTO(商標)3システムとして、入手可能である。
【0056】
II.編み込まれたフレックス回路を有するエンドエフェクタの実施例
いくつかの処置では、エンドエフェクタの両側に配置された電極を有する一般に平面状のエンドエフェクタを、カテーテル(14)に提供することが望ましい場合があり、このような電極は、必ずしも互いに平行である必要はない。電極のこのような非対称配置は、カテーテル(14)に改善されたマッピング機能及び/又はアブレーション機能を提供し得ることが、理解されよう。以下に記載されるエンドエフェクタ(110、210)の実施例のそれぞれは、このような様式で機能してもよい。
【0057】
A.編み込まれたフレックス回路を有するエンドエフェクタの第1の実施例
図2A、
図3A、及び
図3Bは、遠位先端部(28)の代わりにカテーテル(14)に容易に組み込まれ得るエンドエフェクタ(110)の一実施例を示す。本実施例のエンドエフェクタ(110)は、第1の外側ループ部材及び第2の外側ループ部材(112a、112b)と、内側ループ部材(114)と、を含み、それぞれが、それ自体が長手方向軸線(L-L)に沿って延在する系部材又はシャフト(図示せず)から遠位方向に延在する。ループ部材(112a、112b、114)はまた、パドル、ループ、及び/又は電極ループアセンブリと称される場合もある。
【0058】
示される実施例では、第1の外側ループ部材及び第2の外側ループ部材(112a、112b)は、長手方向軸線(L-L)のいずれかの側に、第3のループ部材又は中央ループ部材(114)の少なくとも部分的に半径方向外側に、配置される。より具体的には、外側ループ部材(112a、112b)のそれぞれは、対応する最も外側のスパイン部材(120a、120b)及び対応する最も内側のスパイン部材(122a、122b)を含み、一方で、内側ループ部材(114)は、一対の中間スパイン部材(124a、124b)を含む。スパイン部材(120a、120b、122a、122b、124a、124b)はまた、スパインと称される場合もある。これに関して、最も外側のスパイン(120a、120b)は、長手方向軸線(L-L)に対して、中間のスパイン(124a、124b)の半径方向外側に位置付けられ、最も内側のスパイン(122a、122b)は、少なくとも
図2Aの基準系の範囲内で、長手方向軸線(L-L)に対して中間スパイン(124a、124b)の半径方向内側に位置付けられている。第1の最も外側のスパイン部材(120a)は、第1の外側ループ(112a)の一部として第1の最も内側のスパイン部材(122a)と一体であり、第2の最も外側のスパイン部材(120b)は、第2の外側ループ(112b)の一部として第2の最も内側のスパイン部材(122b)と一体であることが、理解されよう。同様に、第1の中間スパイン部材(124a)は、内側ループ(114)の一部として第2の中間スパイン部材(124b)と一体である。
【0059】
いくつかの変形例では、スパイン部材(120a、120b、122a、122b、124a、124b)は、長手方向軸線(L-L)に直交する横軸線に沿って一般に配置されてもよく、これによって、エンドエフェクタ(110)は、横軸線及び長手方向軸線(L-L)によって画定される平面内に一般に存在してもよく、したがって、一般に平面状であってもよい。第1の最も外側のスパイン部材(120a)、第1の中間スパイン部材(124a)、及び第2の最も内側のスパイン部材(122b)は、長手方向軸線(L-L)の第1の側に配置されており、第2の最も外側のスパイン部材(120b)、第2の中間スパイン部材(124b)、及び第1の最も内側のスパイン部材(122a)は、長手方向軸線(L-L)の第2の側に配置されている。
【0060】
ループ部材(112a、112b、114)及び/又はスパイン部材(120a、120b、122a、122b、124a、124b)の任意のその他の好適な構成及び/又は配置が使用されてもよいことが、理解されよう。例えば、いくつかの変形例では、第1の最も外側のスパイン部材(120a)、第1の中間スパイン部材(124a)、及び第1の最も内側のスパイン部材(122a)は、長手方向軸線(L-L)の第1の側に配置されてもよく、第2の最も外側のスパイン部材(120b)、第2の中間スパイン部材(124b)、及び第2の最も内側のスパイン部材(122b)は、
図2Bに示されるように、長手方向軸線(L-L)の第2の側に配置されてもよい。加えて、又は代替として、第1のループ部材及び第2のループ部材(112a、112b)は、
図2Cに示されるように、第3のループ部材又は中央ループ部材(114)の半径方向内側で、長手方向軸線(L-L)のいずれかの側に配置されてもよい。
【0061】
ループ部材(112a、112b、114)はそれぞれ、アブレーションの標的とされるべき対応する複数の感知電極(130f、130r)組織領域もまた含む。例えば、電極(130f、130r)は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定してもよい。単に一例として、電極(130f、130r)は、2020年11月5日に公開された、米国特許出願公開第2020/0345262号、発明の名称「Mapping Grid with High Density Electrode Array」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0062】
示される実施例では、各ループ部材(112a、112b、114)は、対応する構造部材(140a、140b、142)を含む。この点に関して、各外側ループ部材(112a、112b)が、それぞれの外側ループ部材(112a、112b)の長さにわたって系部材まで及び系部材から連続的に延在する、対応する細長い構造部材(140a、140b)を有する一方で、内側ループ部材(114)は、内側ループ部材(114)の長さにわたって系部材まで及び系部材から連続的に延在する細長い構造部材(142)を有する。構造部材(140a、140b、142)はまた、ループ構造部材、スパインフレーム、又はフレームと称される場合もある。構造部材(140a、140b、142)はそれぞれ、例えば、形状記憶などの好適な弾性可撓性を有する、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はニチノールなどの生体適合性金属を含み得る。本実施例では、各構造部材(140a、140b、142)は、第1の外側表面又は前部の外側表面(155)と、対向する第2の外側表面又は後部の外側表面(157)と、を伴う、長方形の断面輪郭を有する、平坦なストリップの形態である。
【0063】
本実施例の各構造部材(140a、140b、142)は、対応する構造部材(140a、140b、142)の前部の外側表面(155)から後部の外側表面(157)まで延在し、対応するスパイン部材(120a、120b、122a、122b、124a、124b)に沿って互いに離間した(例えば、均一に離間した)スロット(144)の形態の、複数の開口部を含む。
【0064】
示される実施例では、各ループ部材(112a、112b、114)は、対応するスパイン部材(120a、120b、122a、122b、124a、124b)に固定された可撓性プリント回路基板(「PCB(Printed Circuit Boards)」又は「フレックス回路」とも称される)(170)の対応する対を含み、各フレックス回路(170)は、対応するスパイン部材(120a、120b、122a、122b、124a、124b)に沿って、対応する構造部材(140a、140b、142)の各スロット(144)を通って送られる。この点に関して、各フレックス回路(170)は、対応する構造部材(140a、140b、142)の前部の外側表面(155)と、対応する構造部材(140a、140b、142)の後部の外側表面(157)と、の間で、蛇行様式で前後に編み込まれている。本実施例の各フレックス回路(170)は、細長い可撓性基板(172)と、それぞれの前面(177)及び後面(179)上でそれぞれの可撓性基板(172)に固定された複数の前部の電極及び後部の電極(130f、130r)と、を含む。単に一例として、各フレックス回路(170)は、対応する構造部材(140a、140b、142)を通して編み込まれている実質的に平坦なリボンの形態であってもよい。いくつかの変形例では、各フレックス回路(170)は、2017年11月2日に公開された、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)及び/又は、2018年3月15日に公開された、米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0065】
本実施例の前部の電極及び後部の電極(130f、130r)は、それぞれ、対応するフレキシブル基板(172)の前部の外側表面及び後部の外側表面(177、179)に配置され、対応するフレキシブル基板(172)に沿って互いに一定の間隔で離間している。
図3Bに最もよく示されるように、前部の電極(130f)は、後部の電極(130r)から長手方向にオフセットされている。より詳細には、前面に配置された前部の電極(130f)は、対応するフレキシブル基板(172)に沿って、後面に配置された後部の電極(130r)と長手方向に交互に配置され、これによって、前面(177)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)前部の電極(130f)が、対応する後面(179)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の後部の電極(130r)の間に長手方向に挿入され、対応する後面(179)に配置された任意の後部の電極(130r)によって横方向に正対されず(例えば、横方向に位置合わせされており)、後面(179)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)後部の電極(130r)が、対応する前面(177)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の前部の電極(130f)の間に長手方向に挿入され、対応する前面(177)に配置された任意の前部の電極(130f)によって横方向に正対されない(例えば、横方向に位置合わせされる)。
【0066】
示される実施例では、各フレックス回路(170)は、対応するスロット(144)を通して、対応する構造部材(140a、140b、142)の前部側面(155)と対応する構造部材(140a、140b、142)の後部側面(157)との間で前後に編み込まれており、これによって、各対応する前部の電極(130f)が、対応する構造部材(140a、140b、142)の前部側面(155)上にあり、これによって、各対応する後部の電極(130r)が対応する構造部材(140a、140b、142)の後部側面(157)上にある。
【0067】
このようにして、前部の電極(130f)は、対応する構造部材(140a、140b、142)の前部側面(155)に沿って長手方向に前部側面(155)の前部の無電極間隔155iと交互になってもよく、後部の電極(130r)は、対応する構造部材(140a、140b、142)の後部側面157に沿って長手方向に後部側面157の後部の無電極間隔157iと交互になってもよく、これによって、構造部材(140a、140b、142)の前面上の少なくとも1つの(例えば、各)前部の無電極間隔(155i)は、対応する可撓性基板(172)の前面(177)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の前部の電極(130f)の間に長手方向に挿入され、対応する可撓性基板(172)の後面(179)に配置された対応する後部の電極(130r)によって横方向に正対される(例えば、横方向に位置合わせされる)。構造部材(140a、140b、142)の後面(157)上の少なくとも1つの(例えば、各)後部の無電極間隔(157i)は、対応する可撓性基板(172)の後面(179)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の後部の電極(130r)の間に長手方向に挿入され、対応する可撓性基板(172)の前面(177)に配置された対応する前部の電極(130f)と横方向に正対され(例えば、横方向に位置合わせされており)、これによって、フレキシブル基板(172)の前面(177)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)前部の電極(130f)が、対応する構造部材(140a、140b、142)の前面(155)の対応する一対の前部の無電極間隔(155i)の間に長手方向に挿入され、対応する構造部材(140a、140b、142)の後面(157)上の対応する後部の無電極間隔(157i)によって横方向に正対され(例えば、横方向に位置合わせされており)、これによって、可撓性基板(172)の後面(179)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)後部の電極(130r)が、対応する構造部材(140a、140b、142)の後面(157)に配置された対応する一対の後部の無電極間隔(157i)の間に長手方向に挿入され、対応する構造部材(140a、140b、142)の後面(157)上の対応する後部の無電極間隔(157i)によって横方向に正対される(例えば、横方向に位置合わせされる)。したがって、前部の電極及び後部の電極(130f、130r)は、横軸線及び長手方向軸線(L-L)によって画定される平面に対して、非対称に配置されてもよい。
【0068】
形状記憶を有する構造部材(140a、140、142)上に編み込まれているフレックス回路(170)を備えるエンドエフェクタ(110)は、有利には、マッピング及びアブレーション処置における改善された組織接触のための十分な可撓性を提供するが、電気トレース亀裂及び破損のリスクが低減されるように、適切な構造的支持を有する。スロット144内で摺動又は調節する能力を用いて、フレックス回路170は、電気トレースの亀裂のリスクを低減する際に、構造部材(140a、140b、142)に対して移動する所定の量の自由度を与えられるが、一方で、構造部材は、エンドエフェクタが大幅に嵩を増すことなく形状を保持し得るように、所定の量の構造的支持及び補強を提供する。更に、フレキシブル基板(172)の前面及び後面の両方に電極を支持することによって、編み込まれたフレックス回路(170)は、構造部材の前面及び後面のそれぞれに可撓性回路を取り付ける必要なく、前面及び後面上に電極を有するエンドエフェクタ(110)を、好都合に提供する。
【0069】
更に
図3A及び
図3Bを参照すると、フレックス回路(170)は、基板(172)の前部側面(177)が構造部材の前部側面(155)で露出され、基板(172)の後部側面(179)が構造部材の後部側面(157)で露出されるような様式で、対応する構造部材(140a、140b、142)に編み込まれている。更に、前部の電極(130f)は外向きであり、構造部材の前部側面(155)で露出されており、後部の電極(130r)は外向きであり、構造部材の後部側面(157)で露出されている。
【0070】
対応する構造部材上に編み込まれた各フレックス回路(170)の長さは、均一な長さであってもよい、又はその長さは、異なるフレックス回路(170)間で変化してもよいこともまた、理解される。
【0071】
図3Bに示す実施例では、各フレックス回路(170)は、対応する構造部材(140a、140b、142)の前面及び後面(155、157)に対して接触及び押圧するように、対応する構造部材(140a、140b、142)に対してより密に編み込まれており、これによって、前部の電極(130f)はそれぞれ、対応する横方向に対向する後面(157)に対して一般に平行に配向され、これによって、後部の電極(130r)はそれぞれ、対応する横方向に対向する前面155に対して一般に平行に配向される。いくつかのその他の変形例では、以下で更に説明するように、各フレックス回路(170)は、対応する構造部材(140a、140b、142)の前面及び後面(155、157)から離れるように外向きに曲がるように、対応する構造部材(140a、140b、142)に対してより緩く編み込まれていてもよく、これによって、前部の電極(130f)はそれぞれ、対応する横方向に対向する後面(157)に対して一般に斜めに配向されてもよく、これによって、後部の電極(130r)はそれぞれ、対応する横方向に対向する前面(155)に対して一般に斜めに配向されてもよい。
【0072】
B.編み込まれたフレックス回路を有するエンドエフェクタの第2の実施例
図4は、遠位先端部(28)の代わりにカテーテル(14)に容易に組み込まれ得るエンドエフェクタ(210)の別の実施例を示す。本実施例のエンドエフェクタ(210)は、以下に記載される点を除き、上述のエンドエフェクタ(110)と同様である。これに関して、エンドエフェクタ(210)は、複数のループ部材(図示せず)を含んでもよく、各ループ部材は、対応する一対のスパイン部材(220)(1つを示す)と、対応する複数の感知電極(230f、230r)と、対応する構造部材(240)と、を含み、各ループ部材は、対応する構造部材(240)の前部の外側表面(255)から後部の外側表面(257)まで延在し、対応するスパイン部材(220)に沿って互いに離間したスロット(244)の形態の、複数の開口部を含む。本実施例では、各構造部材(240)は、長方形の断面輪郭を有する、平坦なストリップの形態である。
【0073】
示される実施例では、各ループ部材は、対応するスパイン部材(220)に固定された対応する一対のフレックス回路(270)(1つを図示する)を更に含み、各フレックス回路(270)は、上述したものと同様の様式で、対応するスパイン部材(220)に沿って対応する構造部材(240)の各スロット(244)を通って送られる。本実施例の各フレックス回路(270)は、細長い可撓性基板(272)と、それぞれの可撓性基板(272)に固定された複数の前部の電極及び後部の電極(230f、230r)と、を含む。各フレックス回路(270)は、フレックス回路(170)に関して上述したように、実質的に平坦なリボン形態であってもよい。いくつかの変形例では、各フレックス回路(270)は、2017年11月2日に公開された、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)及び/又は、2018年3月15日に公開された、米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0074】
示される実施例では、各フレックス回路(270)は、対応する構造部材(240)の前面及び後面(255、257)から離れるように外向きに屈曲する(例えば、曲がる)ように、対応する構造部材(240)に対して緩く編み込まれており、一般に、基板272と構造部材240との間の接触を回避し、空間空隙(260、262)を形成する。示されるように、各フレックス回路(270)のこのような屈曲は、対応する可撓性基板(272)に配置された対応する前部の電極及び後部の電極(230f、230r)を、対応する構造部材(240)の前面(255、257)に対して非平行にさせる場合がある。このようにして、前部の電極及び後部の電極(230f、230r)は、横軸線及び長手方向軸線(L-L)によって画定される平面に対して非対称であってもよく、前部の電極及び後部の電極(230f、230r)は、平面に対して非平行である。
【0075】
C.編み込まれたフレックス回路を有するエンドエフェクタの第3の実施例
図5A、
図6A、及び
図6Bは、遠位先端部(28)の代わりにカテーテル(14)に容易に組み込まれ得るエンドエフェクタ(410)の一実施例を示す。本実施例のエンドエフェクタ(410)は、第1の外側ループ部材及び第2の外側ループ部材(412a、412b)と、内側ループ部材(414)と、を含み、それぞれが、それ自体が長手方向軸線(L-L)に沿って延在する系部材又はシャフト(図示せず)から遠位方向に延在する。ループ部材(412a、412b、414)はまた、パドル、ループ、及び/又は電極ループアセンブリと称される場合もある。
【0076】
示される実施例では、第1の外側ループ部材及び第2の外側ループ部材(412a、412b)は、長手方向軸線(L-L)のいずれかの側に、第3のループ部材又は中央ループ部材(414)の少なくとも部分的に半径方向外側に、配置される。より具体的には、外側ループ部材(412a、412b)のそれぞれは、対応する最も外側のスパイン部材(420a、420b)及び対応する最も内側のスパイン部材(422a、422b)を含み、一方で、内側ループ部材(414)は、一対の中間スパイン部材(424a、424b)を含む。スパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)はまた、スパインと称される場合もある。これに関して、最も外側のスパイン(420a、420b)は、長手方向軸線(L-L)に対して、中間のスパイン(424a、424b)の半径方向外側に位置付けられ、最も内側のスパイン(422a、422b)は、少なくとも
図5Aの基準系の範囲内で、長手方向軸線(L-L)に対して中間スパイン(424a、424b)の半径方向内側に位置付けられる。第1の最も外側のスパイン部材(420a)は、第1の外側ループ(412a)の一部として第1の最も内側のスパイン部材(422a)と一体であり、第2の最も外側のスパイン部材(420b)は、第2の外側ループ(412b)の一部として第2の最も内側のスパイン部材(422b)と一体であることが、理解されよう。同様に、第1の中間スパイン部材(424a)は、内側ループ(114)の一部として第2の中間スパイン部材(424b)と一体である。
【0077】
いくつかの変形例では、スパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)は、長手方向軸線(L-L)に直交する横軸線に沿って一般に配置されてもよく、これによって、エンドエフェクタ(410)は、横軸線及び長手方向軸線(L-L)によって画定される平面内に一般に存在してもよく、したがって、一般に平面状であってもよい。第1の最も外側のスパイン部材(420a)、第1の中間スパイン部材(424a)、及び第2の最も内側のスパイン部材(422b)は、長手方向軸線(L-L)の第1の側に配置されており、第2の最も外側のスパイン部材(420b)、第2の中間スパイン部材(424b)、及び第1の最も内側のスパイン部材(422a)は、長手方向軸線(L-L)の第2の側に配置されている。
【0078】
ループ部材(412a、412b、414)及び/又はスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)の任意のその他の好適な構成及び/又は配置が使用されてもよいことが、理解されよう。例えば、いくつかの変形例では、第1の最も外側のスパイン部材(420a)、第1の中間スパイン部材(424a)、及び第1の最も内側のスパイン部材(422a)は、長手方向軸線(L-L)の第1の側に配置されてもよく、第2の最も外側のスパイン部材(420b)、第2の中間スパイン部材(424b)、及び第2の最も内側のスパイン部材(122b)は、
図5Bに示されるように、長手方向軸線(L-L)の第2の側に配置されてもよい。加えて、又は代替として、第1のループ部材及び第2のループ部材(412a、412b)は、
図5Cに示されるように、第3のループ部材又は中央ループ部材(414)の半径方向内側で、長手方向軸線(L-L)のいずれかの側に配置されてもよい。
【0079】
ループ部材(412a、412b、414)はまた、それぞれ、それぞれのスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)に固定された対応する複数の第1の(又は前部のスパイン)電極(430a)及び第2の(又は後部のスパイン)電極(430b)と、以下でより詳細に説明する、対応する複数の第3の(又は前部のフレックス回路)電極(430c)及び第4の(又は後部のフレックス回路)電極(430d)と、を含む、対応する複数の感知電極(430a、430b、430c、430d)と、を含む。電極(430a、430b、430c、430d)は、アブレーションの標的とされるべき組織領域を識別するように、電気生理学的(electrophysiology、EP)マッピングを提供するように、構成されてもよい。例えば、電極(430a、430b、430c、430d)は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定してもよい。単に一例として、電極(430a、430b、430c、430d)は、2020年11月5日に公開された、米国特許出願公開第2020/0345262号、発明の名称「Mapping Grid with High Density Electrode Array」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0080】
示される実施例では、各ループ部材(412a、412b、414)は、対応する構造部材(440a、440b、442)を含む。この点に関して、各外側ループ部材(412a、412b)が、それぞれの外側ループ部材(412a、412b)の長さにわたって系部材まで及び系部材から連続的に延在する、対応する細長い構造部材(440a、440b)を有する一方で、内側ループ部材(414)は、内側ループ部材(414)の長さにわたって系部材まで及び系部材から連続的に延在する細長い構造部材(442)を有する。構造部材(440a、440b、442)は、ループ構造部材、スパインフレーム、又はフレームと呼ばれることもある。構造部材(440a、440b、442)はそれぞれ、例えば、形状記憶などの好適な弾性可撓性を有する、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はニチノールなどの生体適合性金属を含み得る。本実施例では、各構造部材(440a、440b、442)は、長方形の断面輪郭を有する、平坦なストリップの形態である。
【0081】
本実施例の第1の電極及び第2の電極(430a、430b)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の前部の外側表面及び後部の外側表面(455、457)上にそれぞれ配置され、対応するスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)に沿って均一な間隔で、互いに離間される。
図6Bに最もよく示されるように、第1の電極(430a)は、第2の電極(430b)から長手方向にオフセットされている。より詳細には、前面(455)に配置された第1の電極(430a)は、対応するスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)に沿って、後面(457)に配置された第2の電極(430b)と長手方向に交互に配置され、これによって、前面(455)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第1の電極(430a)が、対応する後面(457)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第2の電極(430b)の間に長手方向に挿入され、対応する後面(457)に配置された任意の第2の電極(430b)によって横方向に正対されず(例えば、横方向に位置合わせされており)、これによって、後面(457)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第2の電極(430b)が、対応する前面(455)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第1の電極(430a)の間に長手方向に挿入され、対応する前面(455)に配置された任意の第1の電極(430a)によって横方向に正対されない(例えば、横方向に位置合わせされる)。したがって、第1の電極及び第2の電極(430a、430b)は、横軸線及び長手方向軸線(L-L)によって画定される平面に対して、非対称に配置されてもよい。
【0082】
いくつかの変形例では、各ループ部材(412a、412b、414)は、対応するコーティング又はカバー(図示せず)を更に含んでもよく、対応する構造部材(440a、440b、442)は、対応するコーティング/カバーの下にあり、対応する複数の第1の電極及び第2の電極(430a、430b)は、それぞれ、対応するコーティング/カバーの前部の外側表面及び後部の外側表面に配置される。あるいは、第1の電極及び第2の電極(430a、430b)は、コーティング/カバーに対して別様に露出されてもよい。これらの配置のいずれにおいても、このようなコーティング/カバーは、それぞれ電気絶縁性であってもよい、及び/又はそれぞれ、例えば、ポリウレタンなどのポリマー材料を含んでもよい。
【0083】
本実施例の各構造部材(440a、440b、442)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の前部の外側表面(455)から後部の外側表面(457)まで延在し、対応するスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)に沿って互いに離間したスロット(444)の形態の、複数の開口部を含む。この点に関して、各スロット(444)は、各スロット(444)が、対応する第1の電極(430a)及び対応する第2の電極(430b)によって長手方向に側面に位置付けられるように、長手方向に隣接する対応する一対の第1の電極及び第2の電極(430a、430b)の間に、長手方向に挿入される。各ループ部材(412a、412b、414)が対応するカバーを含む場合、対応するカバーは、カバーが以下に記載されるスロット(444)の機能性に干渉し得ないように、スロット(444)と位置合わせされる複数のスロットを含んでもよい。
【0084】
示される実施例では、各ループ部材(412a、412b、414)は、対応するスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)に固定された可撓性プリント回路基板(「PCB」又は「フレックス回路」とも称される)(170)の対応する対を更に含み、各フレックス回路(470)は、対応するスパイン部材(420a、420b、422a、422b、424a、424b)に沿って、対応する構造部材(440a、440b、442)の各スロット(444)を通って送られる。この点に関して、各フレックス回路(470)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の前部側面(455)と、対応する構造部材(440a、440b、442)の後部側面(457)と、の間で、蛇行様式で前後に編み込まれている。本実施例の各フレックス回路(470)は、細長い可撓性基板(472)と、それぞれの可撓性基板(472)に固定された複数の第3の(又は前部の)電極及び第4の(又は後部の)電極(430c、430d)と、を含む。単に一例として、各フレックス回路(470)は、対応する構造部材(440a、440b、442)を通して編み込まれている実質的に平坦なリボンの形態であってもよい。いくつかの変形例では、各フレックス回路(470)は、2017年11月2日に公開された、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)及び/又は、2018年3月15日に公開された、米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0085】
本実施例の第3の電極及び第4の電極(430c、430d)は、それぞれ、対応するフレキシブル基板(472)の前部の外側表面及び後部の外側表面(477、479)に配置され、対応するフレキシブル基板(472)に沿って互いに一定の間隔で離間している。
図6Bに最もよく示されるように、第3の電極(430c)は、第4の電極(430d)から長手方向にオフセットされている。より詳細には、前面(477)に配置された第3の電極(430c)は、対応するフレキシブル基板(472)に沿って、後面(479)に配置された第4の電極(430d)と長手方向に交互に配置され、これによって、前面(477)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第3の電極(430c)が、対応する後面(477)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第4の電極(430d)の間に長手方向に挿入され、対応する後面(479)に配置された任意の第4の電極(430d)によって横方向に正対されず(例えば、横方向に位置合わせされており)、後面(479)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第4の電極(430d)が、対応する前面(477)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第3の電極(430c)の間に長手方向に挿入され、対応する前面(477)に配置された任意の第3の電極(430c)によって横方向に正対されない(例えば、横方向に位置合わせされる)。
【0086】
示される実施例では、各フレックス回路(470)は、対応するスロット(444)を通して、対応する構造部材(440a、440b、442)の前部側面(455)と対応する構造部材(440a、440b、442)の後部側面(457)との間で前後に編み込まれており、これによって、各対応する第3の電極(430c)が、対応する構造部材(440a、440b、442)の前部側面(455)上にあり、これによって、各対応する第4の電極(430d)が対応する構造部材(440a、440b、442)の後部側面(457)上にある。
【0087】
このようにして、第1の電極及び第3の電極(430a、430c)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の前部側面(455)に沿って長手方向に互いに交互に配置されてもよく、第2の電極及び第4の電極(430b、430d)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の後部側面(457)に沿って長手方向に互いに交互に配置されてもよく、これによって、構造部材(440a、440b、442)の前面(455)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第1の電極(430a)が、対応する可撓性基板(472)の前面(455)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第3の電極(430c)の間に長手方向に挿入され、対応する可撓性基板(472)の後面(457)に配置された対応する第4の電極(430d)によって横方向に正対されて(例えば、横方向に位置合わせされており)、構造部材(440a、440b、442)の後面(457)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第2の電極(430b)は、対応する可撓性基板(472)の後面(477)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第4の電極(430d)の間に長手方向に挿入され、対応する可撓性基板(472)の前面(477)に配置された対応する第3の電極(430c)と横方向に正対されており(例えば、横方向に位置合わせされており)、これによって、可撓性基板(472)の前面(477)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第3の電極(430c)が、対応する構造部材(440a、440b、442)の前面(477)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第1の電極(430a)の間に長手方向に挿入され、対応する構造部材(440a、440b、442)の後面(457)に配置された対応する第2の電極(430b)と横方向に正対されており(例えば、横方向に位置合わせされており)、これによって、可撓性基板(472)の後面(477)に配置された少なくとも1つの(例えば、各)第4の電極(430d)が、対応する構造部材(440a、440b、442)の後面(457)に配置された長手方向に隣接する対応する一対の第2の電極(430b)の間に長手方向に挿入され、対応する構造部材(440a、440b、442)の後面(457)に配置された対応する第1の電極(430a)と横方向に正対されている(例えば、横方向に位置合わせされる)。
【0088】
図6A及び
図6Bを更に参照すると、いくつかの実施形態では、フレックス回路470は、基板(472)の前部側面(477)が構造部材の前部側面(455)で露出され、基板(472)の後部側面(479)が構造部材の後部側面(457)で露出されるような様式で、対応する構造部材(440a、440b、442)に編み込まれている。更に、前部の電極又は第3の電極(430c)は、外向きであり、構造部材の前部側面(455)で露出されており、後部の電極又は第4の電極(430d)は、外向きであり、構造部材の後部側面(457)で露出されており、第3の電極(430c)は、構造部材の前部側面(455)の第1の電極(430a)と交互に配置され、第4の電極(430d)は、構造部材の後部側面(457)の第2の電極(430b)と交互に配置されている。更に、各第1の電極(430a)は、一般に、異なる又は対応する第4の電極(430d)と正対し、各第2の電極は、一般に、異なる又は対応する第3の電極と正対する。
【0089】
対応する構造部材上に編み込まれた各フレックス回路(170)の長さは、均一な長さであってもよい、又はその長さは、異なるフレックス回路(170)間で変化してもよいこともまた、理解される。
【0090】
形状記憶を有する構造部材(440a、440、442)上に編み込まれているフレックス回路(470)を備えるエンドエフェクタ(410)は、有利には、マッピング及びアブレーション処置における改善された組織接触のための十分な可撓性を提供するが、電気トレース亀裂及び破損のリスクが低減されるように、適切な構造的支持を有する。スロット444内で摺動又は調節する能力を用いて、フレックス回路470は、電気トレースの亀裂のリスクを低減する際に、構造部材(440a、440b、442)に対して移動する所定の量の自由度を与えられるが、一方で、構造部材は、エンドエフェクタが大幅に嵩を増すことなく形状を保持し得るように、所定の量の構造的支持及び補強を提供する。更に、フレキシブル基板(472)の前面及び後面の両方に電極を支持し、構造部材(440a、440b、442a、442b、442)の前面及び後面の両方に電極を支持することによって、編み込まれたフレックス回路(170)は、構造部材の前面及び後面のそれぞれに可撓性回路を取り付ける必要なく、前面及び後面に電極を有するエンドエフェクタ(410)を、好都合に提供する。
【0091】
図6Bに示す実施例では、各フレックス回路(470)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の前面及び後面(455、457)に対して接触及び押圧するように、対応する構造部材(440a、440b、442)に対してより密に編み込まれており、これによって、第3の電極(430c)はそれぞれ、対応する横方向に対向する第2の電極(430b)に対して一般に平行に配向され、これによって、第4の電極(430d)はそれぞれ、対応する横方向に対向する第1の電極(430a)に対して一般に平行に配向される。いくつかのその他の変形例では、各フレックス回路(470)は、対応する構造部材(440a、440b、442)の前面及び後面(455、457)から離れるように外向きに曲がるように、対応する構造部材(440a、440b、442)に対してより緩く編み込まれていてもよく、これによって、第3の電極(430c)はそれぞれ、対応する横方向に対向する第2の電極(430b)に対して一般に斜めに配向されてもよく、第4の電極(430d)はそれぞれ、対応する横方向に対向する第1の電極(430a)に対して一般に斜めに配向されてもよい。
【0092】
D.編み込まれたフレックス回路を有するエンドエフェクタの第5の実施例
図7は、遠位先端部(28)の代わりにカテーテル(14)に容易に組み込まれ得るエンドエフェクタ(510)の別の実施例を示す。本実施例のエンドエフェクタ(510)は、以下に記載される点を除き、上述のエンドエフェクタ(110)と同様である。これに関して、エンドエフェクタ(510)は、複数のループ部材(図示せず)を含んでもよく、各ループ部材は、対応する一対のスパイン部材(520)(1つを示す)と、対応する複数の感知電極(530a、530b、530c、530d)と、対応する構造部材(540)と、を含み、各ループ部材は、対応する構造部材(540)の前部外側表面(555)から後部外側表面(557)まで延在し、対応するスパイン部材(520)に沿って互いに離間したスロット(544)の形態の、複数の開口部を含む。本実施例では、各構造部材(540)は、長方形の断面輪郭を有する、平坦なストリップの形態である。第1の電極及び第2の電極(530a、530b)は、上述と同様の様式で、それぞれのスパイン部材(220)に固定される。
【0093】
示される実施例では、各ループ部材は、対応するスパイン部材(520)に固定された対応する一対のフレックス回路(570)(1つを図示する)を更に含み、各フレックス回路(570)は、上述したものと同様の様式で、対応するスパイン部材(520)に沿って対応する構造部材(540)の各スロット(544)を通って送られる。本実施例の各フレックス回路(570)は、細長い可撓性基板(572)と、それぞれの可撓性基板(572)に固定された複数の第3の(又は前部のフレックス回路)電極(530c)及び第4の(又は後部のフレックス回路)電極(530d)と、を含む。各フレックス回路(570)は、フレックス回路(570)に関して上述したように、実質的に平坦なリボン形態であってもよい。いくつかの変形例では、各フレックス回路(570)は、2017年11月2日に公開された、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)及び/又は、2018年3月15日に公開された、米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」(その開示が全体として、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0094】
示される実施例では、各フレックス回路(570)は、対応する構造部材(240)の前面及び後面(555、557)から離れるように外向きに屈曲する(例えば、曲がる)ように、対応する構造部材(540)に対して緩く編み込まれており、一般に、基板572と構造部材240との間の接触を回避し、空間空隙(560、562)を形成する。示されるように、各フレックス回路(270)のこのような屈曲は、対応する可撓性基板(572)に配置された対応する第3の電極及び第4の電極(530c、530d)を、対応する構造部材(540)に配置される対応する第1の電極及び第2の電極(530a、530b)に対して非平行にさせる場合がある。例えば、第3の電極(530c)はそれぞれ、対応する横方向に対向する第2の電極(530b)に対して一般に斜めに配向されてもよく、第4の電極(530d)はそれぞれ、対応する横方向に対向する第1の電極(530a)に対して一般に斜めに配向されてもよい。このように、各横方向に対向する電極対(530a、530b、530c、530d)は、横軸線及び長手方向軸線(L-L)によって画定される平面に対して非対称であってもよく、各対の第1の電極又は第2の電極(530a、530b)は、平面に対して平行であり、各対の第3の電極又は第4の電極(530c、530d)は、平面に対して非平行である。
【0095】
III.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示が組み合わされ得るか又は適用され得る、様々な非網羅的な方式に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得るいかなる特許請求の範囲も限定することを意図するものではないことを、理解されたい。一切の権利放棄が、意図されていない。以下の実施例は、単に例解目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、その他の多くの方式で構成及び適用され得ることが、企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることもまた、企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由のためにも追加されているものとみなされるべきではない。
【実施例0096】
電気生理学的用途のためのカテーテルであって、(a)長手方向軸線に沿って遠位端部まで延在するシャフトと、(b)シャフトの遠位端部に連結されたエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタが、(i)一対のスパインを含む少なくとも1つのループ部材と、(ii)少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに取り付けられた複数の第1の電極と、(iii)少なくとも1つのループ部材の少なくとも1つのスパインに固定された少なくとも1つのフレックス回路であって、少なくとも1つのフレックス回路が、複数の第2の電極を含む、少なくとも1つのフレックス回路と、を含む、カテーテル。