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特開2024-86671温度制御システム、車両、エネルギ貯蔵システム、及びマルチポートバルブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086671
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】温度制御システム、車両、エネルギ貯蔵システム、及びマルチポートバルブ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20240620BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240620BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240620BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240620BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20240620BHJP
   H01M 10/667 20140101ALI20240620BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240620BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240620BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20240620BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20240620BHJP
   B60L 58/24 20190101ALN20240620BHJP
【FI】
H01M10/6568
F25B1/00 399Z
H01M10/615
H01M10/613
H01M10/663
H01M10/667
H01M10/625
H01M10/6556
B60K11/02
B60L50/60
B60L58/24
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211132
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】202211637056.9
(32)【優先日】2022-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,リンフォン
(72)【発明者】
【氏名】リ,マリン
(72)【発明者】
【氏名】モン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,タオ
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125FF24
5H125FF27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容積を低減し、シンプルな構造により、温度制御システムの漏れリスクも低減するマルチポートバルブ、温度制御システム、車両及びエネルギ貯蔵システムを提供する。
【解決手段】マルチポートバルブは、バルブ本体01とバルブコアを有し、バルブ本体は複数のビア014を含み、各ビアはブロック形状追加部分013と本体012の対応する側壁とを貫通する。各液体パイプラインは、1つのビアと連通し、少なくとも1つの液体パイプラインにバッテリパックがあり、温度制御システムがバッテリパックの温度を制御する。バルブコアの外周側は複数の分離キャビティを含み、少なくとも2つの分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置され、各分離キャビティは1つ又は複数のビアと連通する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体パイプライン及びマルチポートバルブを含む温度制御システムであって、
前記マルチポートバルブは、バルブ本体とバルブコアとを含み、
前記バルブ本体は取付けキャビティを有しており、前記バルブコアは前記取付けキャビティ内に取り付けられ、前記バルブ本体は本体とブロック形状追加部分とを含み、前記取付けキャビティは前記本体に位置しており、前記ブロック形状追加部分は前記本体の側壁の少なくとも一部に取り付けられ、前記バルブ本体は複数のビアを含み、各ビアは前記ブロック形状追加部分と前記本体の対応する側壁とを貫通しており、各液体パイプラインは1つのビアと連通するように構成され、少なくとも1つの液体パイプラインにバッテリパックが存在しており、
前記バルブコアの外周側は複数の分離キャビティを含み、少なくとも2つの分離キャビティが前記バルブコアの軸線方向に配置され、各分離キャビティは1つ又は複数のビアと連通するように構成される、
温度制御システム。
【請求項2】
少なくとも1つの液体パイプライン上に熱交換器があり、該熱交換器は、圧縮機を含む熱交換ループにさらに位置している、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
複数の第1の開口部が前記本体の内側壁に設けられ、前記第1の開口部は前記ビアの内側ポートであり、前記バルブコアの前記複数の分離キャビティは第1の分離キャビティを含み、該第1の分離キャビティは、前記バルブコアの周方向に配置された複数の内側ポートと連通している、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項4】
複数の第1の開口部が前記本体の内側壁に設けられ、前記第1の開口部は前記ビアの内側ポートであり、前記バルブコアの前記複数の分離キャビティは第2の分離キャビティを含み、該第2の分離キャビティは、前記バルブコアの前記軸線方向に配置された複数の内側ポートと連通している、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記バルブ本体は8つのビアを含み、8つの内側ポートが2行4列のマトリックスに配置され、各行の内側ポートが前記バルブコアの周方向に配置される、請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項6】
前記バルブコアは4つの第1の分離キャビティを含み、該4つの第1の分離キャビティは2行2列のマトリックスに配置され、各第1の分離キャビティは、前記バルブコアの前記周方向に配置された2つの内側ポートと連通している、請求項5に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記バルブコアは、2つの第1の分離キャビティと2つの第2の分離キャビティとを含み、前記2つの第1の分離キャビティは前記バルブコアの前記軸線方向に配置され、前記2つの第2の分離キャビティは前記バルブコアの前記周方向に配置され、各第1の分離キャビティは、前記バルブコアの前記周方向に配置された2つの内側ポートに連通しており、各第2の分離キャビティは、前記バルブコアの前記軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している、請求項5に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記バルブ本体は10個のビアを含み、該10個のビアのうちの前記本体の前記側壁の側にある内側ポートが、それぞれ第1ポート、第2ポート、第3ポート、第4ポート、第5ポート、第6ポート、第7ポート、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートであり、
前記第1ポート及び前記第2ポートは第1の方向に順次に配置され、前記第3ポート、前記第4ポート、及び前記第5ポートは前記第1の方向に順次に配置され、前記第6ポート及び前記第7ポートは前記第1の方向に順次に配置され、前記第8ポート、前記第9ポート、及び前記第10ポートは、前記第1の方向に順次に配置され、前記バルブコアの前記軸線方向の両端が第1の端部及び第2の端部であり、前記第1の方向は、前記第1の端部が前記第2の端部に面する方向であり、
前記第1ポート、前記第4ポート、前記第7ポート、及び前記第10ポートは、前記バルブコアの前記周方向に順次に配置される、請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記バルブコアの前記複数の分離キャビティは第3の分離キャビティをさらに含み、
該第3の分離キャビティはL字型の分離キャビティであり、前記第3の分離キャビティは第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分は前記バルブコアの前記周方向に配置された2つの内側ポートに連通しており、前記第2の部分は前記バルブコアの前記軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している、請求項8に記載の温度制御システム。
【請求項10】
前記第1ポート及び前記第2ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第4ポート、前記第5ポート、及び前記第7ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第3ポート及び第6ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第8ポート、前記第9ポート、及び第10ポートは別の第2の分離キャビティを介して互いに連通している、請求項9に記載の温度制御システム。
【請求項11】
前記第2ポート及び前記第5ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第3ポート、前記第4ポート、及び前記第7ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第8ポート、前記第9ポート、及び前記第10ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通している、請求項9に記載の温度制御システム。
【請求項12】
前記第2ポート及び前記第5ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第3ポート及び前記第4ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第9ポート及び前記第10ポートは別の第2の分離キャビティを介して互いに連通している、請求項9に記載の温度制御システム。
【請求項13】
前記第1ポート及び前記第4ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第2ポート及び前記第5ポートは別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第7ポート及び前記第10ポートはまた別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第6ポート及び前記第9ポートはさらに別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、前記第3ポート及び前記第8ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通している、請求項9に記載の温度制御システム。
【請求項14】
前記バルブコアは複数の分離板を含み、該複数の分離板は第1の分離板と第2の分離板とを含み、前記第1の分離板は前記バルブコアの前記軸線方向に直交しており、前記第2の分離板は前記バルブコアの前記軸線方向に平行であり、前記複数の分離板は複数の分離キャビティを形成する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項15】
前記ビアは、直線に沿って延びるか、屈曲して延びるか、又は曲線的に延びる、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項16】
前記ブロック形状追加部分の外面には複数の第2の開口部があり、前記第2の開口部は前記ビアの外側ポートであり、各液体パイプラインは1つの第2の開口部と連通している、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項17】
前記本体はシリンダであり、前記ブロック形状追加部分は溝部分を有しており、該溝部分は前記シリンダの側壁の少なくとも一部を収容する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項18】
複数の第1の開口部が前記本体の内側壁に設けられ、前記第1の開口部は前記ビアの内側ポートであり、前記バルブコアの前記複数の分離キャビティは第2の分離キャビティを含み、該第2の分離キャビティは、前記バルブコアの前記軸線方向に配置された複数の内側ポートと連通している、請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項19】
バッテリパック及び温度制御システムを含むエネルギ貯蔵システムであって、前記温度制御システムは前記バッテリパックの温度を制御するように構成され、
前記温度制御システムは、複数の液体パイプライン及びマルチポートバルブを含み、該マルチポートバルブはバルブ本体及びバルブコアを含み、
前記バルブ本体は取付けキャビティを有しており、前記バルブコアは前記取付けキャビティ内に取り付けられ、前記バルブ本体は本体とブロック形状追加部分とを含み、前記取付けキャビティは前記本体に位置しており、前記ブロック形状追加部分は前記本体の側壁の少なくとも一部に取り付けられ、前記バルブ本体は複数のビアを含み、各ビアは前記ブロック形状追加部分と前記本体の対応する側壁とを貫通し、各液体パイプラインは1つのビアと連通するように構成され、少なくとも1つの液体パイプラインにバッテリパックが存在しており、
前記バルブコアの外周側が複数の分離キャビティを含み、少なくとも2つの分離キャビティは前記バルブコアの軸線方向に配置され、各分離キャビティは1つ又は複数のビアと連通するように構成される、
エネルギ貯蔵システム。
【請求項20】
バルブ本体及びバルブコアを含むマルチポートバルブであって、
前記バルブ本体は取付けキャビティを有しており、前記バルブコアは前記取付けキャビティ内に取り付けられ、前記バルブ本体は本体とブロック形状追加部分とを含み、前記取付けキャビティは前記本体に位置しており、前記ブロック形状追加部分は前記本体の側壁の少なくとも一部に取り付けられ、前記バルブ本体は複数のビアを含み、各ビアは前記ブロック形状追加部分と前記本体の対応する側壁とを貫通し、
前記バルブコアの外周側は複数の分離キャビティを含み、少なくとも2つの分離キャビティは前記バルブコアの軸線方向に配置され、各分離キャビティは1つ又は複数のビアと連通するように構成される、
マルチポートバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は分路システム技術の分野に関し、具体的には、温度制御システム、車両、エネルギ貯蔵システム、及びマルチポートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギ車両、エネルギ貯蔵ステーション等の産業の急速な発展に伴い、熱管理システムの重要性及び複雑性が徐々に増大している。特に、液体パイプラインの複雑性が大幅に増加する。例えば、エネルギ貯蔵システムでは、液体パイプラインを使用する可能性のある機能モジュールには、バッテリ冷却、バッテリヒートポンプ加熱、バッテリサーミスタ加熱、負荷(電力変換システム、PCS)冷却、エネルギ貯蔵キャビネットの除湿等が含まれる。自動車分野では、さらにモータ冷却、車室内冷却、及び暖房等が関係する。熱管理システムを用いて装置全体の異なる箇所の温度制御を実現するには、熱管理システムの液冷パイプラインに多数の電磁3ポートバルブを配置する必要がある。複数の3ポートバルブを使用すると、制御が複雑になり、設置が複雑になり、コストが高くなるという問題が生じる場合がある。さらに、比較的広いスペースが占有される。
【発明の概要】
【0003】
本願は、マルチポートバルブの構造を簡素化し、マルチポートバルブの容積を低減するのに役立つような温度制御システム、車両、エネルギ貯蔵システム、及びマルチポートバルブを提供する。マルチポートバルブのシンプルな構造により、温度制御システムの漏れリスクも低減する。
【0004】
第1の態様によれば、本願は、複数の液体パイプライン及びマルチポートバルブを含む温度制御システムを提供する。マルチポートバルブは、バルブ本体及びバルブコアを含む。バルブ本体は取付けキャビティを有しており、バルブコアは取付けキャビティ内に取り付けられる。バルブ本体は本体とブロック形状追加部分とを含み、取付けキャビティは本体に位置しており、ブロック形状追加部分は本体の側壁の少なくとも一部に取り付けられる。バルブ本体は複数のビアを含み、各ビアはブロック形状追加部分と本体の対応する側壁とを貫通する。各液体パイプラインは1つのビアと連通するように構成され、少なくとも1つの液体パイプライン上にバッテリパックがあり、温度制御システムはバッテリパックの温度を制御するように構成される。バルブコアの外周側は複数の分離キャビティを含み、少なくとも2つの分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置され、各分離キャビティは1つ又は複数のビアと連通するように構成される。この解決策は、マルチポートバルブの構造を簡素化し、マルチポートバルブの容積を低減するのに役立つ。マルチポートバルブのシンプルな構造により、温度制御システムの漏れリスクも低減する。
【0005】
更なる技術的解決策では、温度制御システムは熱交換器をさらに含み、熱交換器は少なくとも1つの液体パイプライン上にあり、熱交換器はさらに圧縮機(compressor:コンプレッサ)を含む熱交換ループ上に位置している。この解決策では、熱交換器を使用して液体パイプライン内の液体の温度を制御し、液体パイプラインを使用してバッテリパックの温度を制御する。
【0006】
特定の技術的解決策では、複数の第1の開口部が本体の内側壁に設けられ、第1の開口部はビアの内側ポートである。バルブコアの複数の分離キャビティは第1の分離キャビティを含み、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された複数の内側ポートと連通している。具体的には、第1の分離キャビティは、バルブコアの周方向に配置された2つ以上の内側ポートと連通している。
【0007】
また、複数の第1の開口部が本体の内側壁に設けられ、第1の開口部がビアの内側ポートである場合に、バルブコアの複数の分離キャビティは第2の分離キャビティを含み、第2の分離キャビティは、バルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。具体的には、第2の分離キャビティは、バルブコアの軸線方向に配置された2つ以上の内側ポートと連通している。これは、マルチポートバルブが温度制御システム内の液体パイプラインの分配に適応し、温度制御システム内の液体パイプラインと連通するのに役立つ。
【0008】
特定の技術的解決策では、マルチポートバルブは8ポートバルブ、例えば3相8ポートバルブである。この技術的解決策では、バルブ本体は8つのビアを含み、8つの内側ポートは2行4列のマトリックスに配置され、各行の内側ポートはバルブコアの周方向に配置される。
【0009】
マルチポートバルブの動作モードでは、バルブコアは4つの第1の分離キャビティを含み、4つの第1の分離キャビティは2行2列のマトリックスに配置される。各第1の分離キャビティは、バルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートに連通しており、各第1の分離キャビティは、8つの内側ポートのうちの2つおきの内側ポートに連通しており、2つおきの内側ポートは、第1の分離キャビティを介して互いに連通している。
【0010】
マルチポートバルブの別の動作モードでは、バルブコアは2つの第1の分離キャビティと2つの第2の分離キャビティとを含み、2つの第1の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置され、2つの第2の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置される。各第1の分離キャビティは、バルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートに連通しており、各第2の分離キャビティは、バルブコアの軸線方向に配置される。各第1の分離キャビティは、8つの内側ポートのうちの2つの内側ポートに連通しており、2つの内側ポートはバルブコアの周方向に配置される。各第2の分離キャビティは、8つの内側ポートのうちの2つの内側ポートに連通しており、2つの内側ポートはバルブコアの軸線方向に配置される。
【0011】
別の特定の技術的解決策では、マルチポートバルブは10ポートバルブ、例えば4相10ポートバルブである。マルチポートバルブのバルブ本体は10個のビアを含み、10個のビアのうち本体の側壁にある内側ポートが、それぞれ第1ポート、第2ポート、第3ポート、第4ポート、第5ポート、第6ポート、第7ポート、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートである。第1ポート及び第2ポートは第1の方向に順次に配置され、第3ポート、第4ポート、及び第5ポートは第1の方向に順次に配置され、第6ポート及び第7ポートは第1の方向に順次に配置され、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートは第1の方向に順次に配置され、バルブコアの軸線方向の両端が第1の端部及び第2の端部であり、第1の方向は、第1の端部が第2の端部に面する方向である。第1ポート、第4ポート、第7ポート、及び第10ポートは、バルブコアの周方向に順次に配置される。
【0012】
バルブコアが特に配置される場合に、バルブコアの複数の分離キャビティは、第3の分離キャビティ及び第4の分離キャビティをさらに含むことができる。第3の分離キャビティはL字型の分離キャビティであり、第3の分離キャビティは第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分はバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートに連通しており、第2の部分はバルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第1の部分と連通する2つの内側ポート及び第2の部分と連通する2つの内側ポートには、重複する内側ポートがあってもよい。換言すれば、第3の分離キャビティは3つの内側ポートと連通している。あるいはまた、第1の部分と連通する2つの内側ポートと、第2の部分と連通する2つの内側ポートとは完全に異なる。換言すれば、第3の分離キャビティは4つの内側ポートと連通している。
【0013】
マルチポートバルブの動作モードでは、第1ポート及び第2ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、第2の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第4ポート、第5ポート、及び第7ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3の分離キャビティは3つの内側ポートと連通している。第3ポート及び第6ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第8ポート、第9ポート、及び第10ポートは別の第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、別の第2の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置された3つの内側ポートと連通している。各内側ポートは動作状態である。
【0014】
マルチポートバルブの別の動作モードでは、第2ポート及び第5ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第3ポート、第4ポート、及び第7ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3の分離キャビティは3つの内側ポートと連通している。第8ポート、第9ポート、及び第10ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、第2の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置された3つの内側ポートと連通している。
【0015】
マルチポートバルブのまた別の動作モードでは、第2ポート及び第5ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第3ポート及び第4ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、第2の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第9ポート及び第10ポートは別の第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、第2の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。この技術的解決策では、2つの第2の分離キャビティはそれぞれ、バルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。
【0016】
マルチポートバルブのさらに別の動作モードでは、第1ポート及び第4ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第2ポート及び第5ポートは別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第7ポート及び第10ポートはまた別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第6ポート及び第9ポートはさらに別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第3ポート及び第8ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3の分離キャビティは、4つの内側ポートと連通することができ、ここでは2つの内側ポートのみに連通するように構成される。
【0017】
特定の技術的解決策における4相10ポートバルブの4つの動作モードは、上述した通りである。具体的には、バルブコアは、バルブ本体に対して指定した角度だけ回転させるように駆動され、4相10ポートバルブの4つの動作モードを調整することができる。
【0018】
具体的には、バルブコアの分離キャビティが形成されるときに、バルブコアは複数の分離板を含むことができる。複数の分離板は、第1の分離板及び第2の分離板を含み、第1の分離板はバルブコアの軸線方向に直交しており、第2の分離板はバルブコアの軸線方向に平行であり、複数の分離板は複数の分離キャビティを形成する。必要に応じて、各位置に分離板を配置したり配置しなかったりすることで、異なる性質の分離キャビティを形成することができる。
【0019】
バルブ本体が特に形成される場合に、ビアは、直線に沿って延びるか、屈曲して延びるか、又は曲線的に延びる。本願では、内側ポートと外側ポートとの間の位置関係又は連通方式は限定されない。外側ポートのレイアウトは内側ポートのレイアウトによって制限されない。外側ポートのレイアウトは、温度制御システムのパイプライン配置を簡素化するために、実際の適用シナリオに基づいて構成することができる。
【0020】
ブロック形状追加部分の外面には複数の第2の開口部があり、第2の開口部はビアの外側ポートであり、各液体パイプラインは1つの第2の開口部と連通している。
【0021】
具体的には、ビアのブロック形状追加部分の側の開口部が外側ポートであり、複数の外側ポートが同一面に位置している。これにより、外部の液体パイプラインとの連通が容易になり、温度制御システムにおける液体パイプラインのレイアウト方法が簡素化される。
【0022】
また、ビアの本体側の開口部は内側ポートであり、取付けキャビティの周方向に隣接する2つの内側ポートは予め設定した距離だけ離間している。ビアを設けることにより、内側ポートのレイアウトも外側ポートのレイアウトによって制限されず、周方向に隣接する2つの内側ポートの間の距離を比較的大きくすることができる。このようにして、バルブコアの回転角の制御精度に対する要件が比較的低くなり、バルブ本体とバルブコアとの間のシール性が向上し、マルチポートバルブの漏れ事例が減少する。
【0023】
特定の技術的解決策では、本体はシリンダであり、ブロック形状追加部分は溝部分を有しており、溝部分はシリンダの側壁の少なくとも一部を収容する。
【0024】
バルブ本体の構造を簡素化するために、本体とブロック形状追加部分とが一体成形された構造となっている。これにより、バルブ本体の構造が簡素化され、バルブ本体の容積が低減される。
【0025】
第2の態様によれば、本願は車両をさらに提供する。車両は、少なくともバッテリパックと、第1の態様による温度制御システムとを含む。温度制御システムは、バッテリパックの温度を制御するように構成される。車両において温度制御システムのために確保された取付けスペースは比較的小さく、液漏れの影響を受け難い。
【0026】
第3の態様によれば、本願は、エネルギ貯蔵システムをさらに提供する。エネルギ貯蔵システムは、少なくともバッテリパックと、第1の態様による温度制御システムとを含む。温度制御システムは、バッテリパックの温度を制御するように構成される。エネルギ貯蔵システムにおける温度制御システムのために確保された取付けスペースは比較的小さく、液漏れの影響を受け難い。
【0027】
第4の態様によれば、本願はマルチポートバルブを提供する。マルチポートバルブは、バルブ本体及びバルブコアを含む。バルブ本体は取付けキャビティを有しており、バルブコアは取付けキャビティ内に取り付けられる。バルブ本体は、本体とブロック形状追加部分とを含み、取付けキャビティは本体に位置しており、ブロック形状追加部分は本体の側壁の少なくとも一部に取り付けられる。バルブ本体は複数のビアを含み、各ビアは、ブロック形状追加部分と本体の対応する側壁とを貫通する。バルブコアの外周側は複数の分離キャビティを含み、少なくとも2つの分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置され、少なくとも1つの分離キャビティのそれぞれは1つ又は複数のビアと連通するように構成される。この解決策は、マルチポートバルブの構造を簡素化し、マルチポートバルブの容積を低減するのに役立つ。マルチポートバルブのシンプルな構造により、温度制御システムの漏れリスクの低減にも役立つ。
【0028】
特定の技術的解決策では、第1の開口部が本体の内側壁に設けられ、第1の開口部はビアの内側ポートである。バルブコアの複数の分離キャビティは第1の分離キャビティを含み、第1の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置された複数の内側ポートと連通している。これは、マルチポートバルブが温度制御システム内の液体パイプラインの分配に適応し、温度制御システム内の液体パイプラインと連通するのに役立つ。
【0029】
別の特定の技術的解決策では、第1の開口部が本体の内側壁に設けられ、第1の開口部はビアの内側ポートである。バルブコアの複数の分離キャビティは第2の分離キャビティを含み、第2の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置された複数の内側ポートと連通している。
【0030】
特定の技術的解決策では、マルチポートバルブは8ポートバルブ、例えば3相8ポートバルブである。この技術的解決策では、バルブ本体は8つのビアを含み、8つの内側ポートは2行4列のマトリックスに配置され、各行の内側ポートはバルブコアの周方向に配置される。
【0031】
マルチポートバルブの動作モードでは、バルブコアは4つの第1の分離キャビティを含み、4つの第1の分離キャビティは2行2列のマトリックスに配置される。各第1の分離キャビティは、8つの内側ポートのうちの2つおきの内側ポートと連通しており、それによって、2つおきの内側ポートは、第1の分離キャビティを介して互いに連通している。
【0032】
マルチポートバルブの別の動作モードでは、バルブコアは2つの第1の分離キャビティと2つの第2の分離キャビティとを含み、2つの第1の分離キャビティはバルブコアの軸線方向に配置され、2つの第2の分離キャビティはバルブコアの周方向に配置される。各第1の分離キャビティは、8つの内側ポートのうちの2つの内側ポートに連通しており、2つの内側ポートはバルブコアの周方向に配置される。各第2の分離キャビティは、8つの内側ポートのうちの2つの内側ポートと連通しており、2つの内側ポートはバルブコアの軸線方向に配置される。
【0033】
別の特定の技術的解決策では、マルチポートバルブは10ポートバルブ、例えば4相10ポートバルブである。マルチポートバルブのバルブ本体は10個のビアを含み、10個のビアのうちの本体の側壁にある内側ポートが、それぞれ第1ポート、第2ポート、第3ポート、第4ポート、第5ポート、第6ポート、第7ポート、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートである。第1ポート及び第2ポートは第1の方向に順次に配置され、第3ポート、第4ポート、及び第5ポートは第1の方向に順次に配置され、第6ポート及び第7ポートは第1の方向に順次に配置され、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートは第1の方向に順次に配置され、バルブコアの軸線方向の両端が第1の端部及び第2の端部であり、第1の方向は、第1の端部が第2の端部に面する方向である。第1ポート、第4ポート、第7ポート、及び第10ポートは、バルブコアの周方向に順次に配置される。
【0034】
バルブコアが特に配置される場合に、バルブコアの複数の分離キャビティは、第3の分離キャビティをさらに含むことができる。第3の分離キャビティはL字型の分離キャビティであり、第3の分離キャビティは第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分はバルブコアの周方向に配置された2つの内側ポートと連通しており、第2の部分はバルブコアの軸線方向に配置された2つの内側ポートと連通している。第4の分離キャビティは、バルブコアの軸線方向に配置された3つの内側ポートと連通している。第1の部分と連通する2つの内側ポートと第2の部分と連通する2つの内側ポートとには、重複する内側ポートがあってもよい。換言すれば、第3の分離キャビティは3つの内側ポートと連通している。あるいはまた、第1の部分と連通する2つの内側ポートと第2の部分と連通する2つの内側ポートとは完全に異なる。換言すれば、第3の分離キャビティは4つの内側ポートと連通している。
【0035】
マルチポートバルブの動作モードでは、第1ポート及び第2ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、第4ポート、第5ポート、及び第7ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3ポート及び第6ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートは第4の分離キャビティを介して互いに連通している。各内側ポートは動作状態である。
【0036】
マルチポートバルブの別の動作モードでは、第2ポート及び第5ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3ポート、第4ポート、及び第7ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第8ポート、第9ポート、及び第10ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通している。
【0037】
マルチポートバルブのまた別の動作モードでは、第2ポート及び第5ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3ポート及び第4ポートは第2の分離キャビティを介して互いに連通しており、第9ポート及び第10ポートは、別の第2の分離キャビティを介して互いに連通している。
【0038】
マルチポートバルブのさらに別の動作モードでは、第1ポート及び第4ポートは第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第2ポート及び第5ポートは別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第7ポート及び第10ポートはまた別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第6ポート及び第9ポートはさらに別の第1の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3ポート及び第8ポートは第3の分離キャビティを介して互いに連通している。
【0039】
特定の技術的解決策における4相10ポートバルブの4つの動作モードは、上述した通りである。具体的には、バルブコアは、バルブ本体に対して指定した角度だけ回転するように駆動され、4相10ポートバルブの4つの動作モードを調整することができる。
【0040】
具体的には、バルブコアの分離キャビティが形成されるときに、バルブコアは複数の分離板を含むことができる。複数の分離板は、第1の分離板及び第2の分離板を含み、第1の分離板はバルブコアの軸線方向に直交しており、第2の分離板はバルブコアの軸線方向に平行であり、複数の分離板は複数の分離キャビティを形成する。必要に応じて、各位置に分離板を配置したり配置しなかったりすることで、異なる性質の分離キャビティを形成することができる。
【0041】
バルブ本体が特に形成される場合に、ビアは、直線に沿って延びるか、屈曲して延びるか、又は曲線的に延びる。本願では、内側ポートと外側ポートとの間の位置関係又は連通態様は限定されない。外側ポートのレイアウトは内側ポートのレイアウトによって制限されない。外側ポートのレイアウトは、温度制御システムのパイプライン配置を簡素化するために、実際の適用シナリオに基づいて構成することができる。
【0042】
ビアのブロック形状追加部分の側にある開口部が外側ポートであり、複数の外側ポートが同一面に位置している。これにより、外部の液体パイプラインとの連通が容易になり、温度制御システムにおける液体パイプラインのレイアウト方法が簡素化される。
【0043】
また、ビアの本体の側にある開口部が内側ポートであり、取付けキャビティの周方向に隣接する2つの内側ポートは、予め設定した距離だけ離間している。ビアを設けることにより、内側ポートのレイアウトも外側ポートのレイアウトによって制限されず、周方向に隣接する2つの内側ポート間の距離を比較的大きくすることができる。このようにして、バルブコアの回転角の制御精度に対する要件が比較的低くなり、バルブ本体とバルブコアとの間のシール性が向上し、マルチポートバルブの漏れが減少する。
【0044】
特定の技術的解決策では、本体はシリンダであり、ブロック形状追加部分は溝部分を有しており、溝部分はシリンダの側壁の少なくとも一部を収容する。
【0045】
バルブ本体の構造を簡素化するために、本体とブロック形状追加部分とが一体成形された構造となっている。これにより、バルブ本体の構造が簡素化され、バルブ本体の容積が低減されるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1(a)】本願の一実施形態による温度制御システムのトポロジを示す概略図である。
図1(b)】本願の一実施形態による温度制御システムのトポロジを示す概略図である。
図2】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体の構造を示す概略図である。
図3】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブコアの構造を示す概略図である。
図4】本願の一実施形態によるバルブ本体の取付けキャビティの表面の拡大を示す概略図である。
図5】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体の内側ポートと分離キャビティとの間の対応関係を示す概略図である。
図6】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体の内側ポートと分離キャビティとの間の別の対応関係を示す概略図である。
図7】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体の内側ポートと分離キャビティとの間のさらに別の対応関係を示す概略図である。
図8】本願の一実施形態によるバルブ本体の別の構造を示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態によるバルブコアの別の構造を示す概略図である。
図10】本発明の一実施形態によるバルブ本体の取付けキャビティの表面の拡大を示す概略図である。
図11】本願の一実施形態によるマルチポートバルブの動作モードを示す概略図である。
図12】本願の一実施形態によるマルチポートバルブの別の動作モードを示す概略図である。
図13】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのまた別の動作モードを示す概略図である。
図14】本願の一実施形態によるマルチポートバルブのさらに別の動作モードを示す概略図である。
【0047】
参照符号:
100:バッテリパック; 200:負荷; 300:熱交換ループ; 400:加温ループ; 500:第1の冷却ループ; 600:第2の冷却ループ; 700:バッテリパック温度制御ループ; 800:負荷温度制御ループ; 900:マルチポートバルブ。
01:バルブ本体; 011:取付けキャビティ; 012:本体; 013:ブロック形状追加部分; 014:ビア; 0141:内側ポート; 0142:外側ポート; 015:第1の端部; 016:第2の端部。
02:バルブコア; 021:分離キャビティ; 0211:第1の分離キャビティ; 0212:第2の分離キャビティ; 022:第1の分離板; 023:第2の分離板; 024:第1層のキャビティ; 025:第2層のキャビティ; 026:第3層のキャビティ; 027:第4層のキャビティ。
A:バルブコアの軸線方向; B:バルブコアの周方向; X:第1の方向。
1:第1ポート; 2:第2ポート; 3:第3ポート; 4:第4ポート; 5:第5ポート; 6:第6ポート 7:第7ポート; 8:第8ポート; 9:第9ポート; 10:第10ポート。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本願の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下では、添付図面を参照して本願についてさらに詳細に説明する。もっとも、例示的な実施態様は複数の形式で実現することができ、本明細書で説明する実施態様に限定されるものとして解釈すべきではない。逆に、これらの実施態様は、本願がより包括的且つ完全であり、例示的な実施態様の概念を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面における同一の参照符号は、同一又は類似の構造を示す。従って、その重複する説明は省略する。本願における位置及び方向の表現については、添付図面を例として用いて説明する。ただし、必要に応じて変更を加えることもでき、全ての変更は本願の保護範囲内に含まれる。なお、本願における添付図面は相対的な位置関係を説明するためのものであり、実際の縮尺を表すものではない。
【0049】
以下の実施形態で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図しており、本願を限定することを意図するものではない。本願の明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合に、単数表現「1つの(one, a)」、「前述の」、「その」、及び「その1つ」は、文脈の中で反対のことが明確に示されない限り、「1つ又は複数」等の表現も含むことを意図している。さらに、本願の以下の実施形態では、「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」は、1つ、2つ、又はそれ以上を意味することを理解されたい。
【0050】
本明細書で記載する「一実施形態」、又は「いくつかの実施形態」等への言及は、本願の1つ又は複数の実施形態が、実施形態を参照して説明した特定の特徴、構造、又は特性を含むことを示す。従って、本明細書の異なる箇所に現れる「一実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「いくつかの他の実施形態では」、及び「他の実施形態では」等の記述は、必ずしも同じ実施形態への参照を意味するものではない。代わりに、別の方法で特に強調しない限り、これらの記述は「全てではないが、1つ又は複数の実施形態」を意味する。「含む、有する(include)」、「含む(contain)」、「有する、含む(have)」という用語、及びそれらの変形は全て、別の方法で特に強調しない限り、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0051】
また、本願の実施形態における「第1」、「第2」、及び「第3」等の記載は、単に異なる特定の構造同士の間を区別するためのものであり、構造は同一の特徴を有してもよい。
【0052】
本願の完全な理解を与えるために、以下の説明に特定の詳細を記載することに留意されたい。もっとも、本願は、本明細書で説明したものとは異なる多くの他の方法で実現することができ、当業者は、本願の含意から逸脱することなく同様の推論を行うことができる。従って、本願は、以下に開示する特定の実施態様に限定されない。本願の例示的な実施態様は、本明細書で後に説明するが、この説明は、本願の一般原理を説明することを目的としており、本願の範囲を限定することを意図したものではない。本願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に従う。
【0053】
本願の実施形態で提供する温度制御システム、車両、エネルギ貯蔵システム、及びマルチポートバルブの理解を容易にするために、以下では、温度制御システム、車両、エネルギ貯蔵システム、及びマルチポートバルブの適用シナリオについて説明する。温度制御システムは、具体的には、液冷システム、加熱システム、又は油圧システム等であってもよい。結論として、温度制御システムは複数の液体パイプラインを含む。複数の液体パイプラインと、液体の流れを調整する必要があるパイプラインとの間には、液体の分流及び液体の合流等が生じる。例えば、車両の温度制御システム又はエネルギ貯蔵システムの温度制御システムは、本願の実施形態では温度制御システムを使用することができる。具体的には、車両の温度制御システムは、車両の温度制御システムの温度を制御するように構成され得、エネルギ貯蔵システムの温度制御システムは、エネルギ貯蔵システムの温度制御システムの温度を制御するように構成され得る。従来技術では、複数の3ポートバルブを含むバルブグループを実施態様に配置する場合がある。しかしながら、この解決策によると、制御プロセスは比較的複雑であり、接続されるコンポーネントの数量は比較的多く、漏れリスクは比較的高い。また、温度制御システムのバルブグループの体積が大きく、占有スペースも大きくなる。
【0054】
図1(a)及び図1(b)は、本願の一実施形態による温度制御システムの2つのトポロジを示す概略図である。温度制御システムは、複数の液体パイプライン及びマルチポートバルブ900を含む。液体パイプラインはマルチポートバルブと連通している。少なくとも1つの液体パイプライン上にバッテリパック100があり、温度制御システムはバッテリパックの温度を制御するように構成される。具体的には、温度制御システムは、バッテリパックが適切な温度条件で動作するように、バッテリパックの熱を放散する、又は実際の動作環境に基づいてバッテリパックを加熱することができる。
【0055】
図1(a)に示されるように、特定の実施形態では、少なくとも1つの液体パイプライン上に熱交換器があり、熱交換器はさらに、圧縮機を含む熱交換ループ300上に位置している。温度制御システムは、負荷200の温度を制御するようにさらに構成され得る。この実施形態におけるマルチポートバルブ900は、10ポートバルブである。温度制御システムは、熱交換ループ300、加温ループ400、第1の冷却ループ500、第2の冷却ループ600、バッテリパック温度制御ループ700、及び負荷温度制御ループ800を含む。加温ループ400及び第1の冷却ループ500は両方とも、熱交換のために熱交換ループ300に接続される。例えば、加温ループ400は熱交換器を用いて熱交換ループ300と熱交換を行い、第1の冷却ループ500は別の熱交換器を用いて熱交換ループ300と熱交換を行う。バッテリパック温度制御ループ700は、バッテリパック100に熱伝導により接続され、バッテリパック100の温度を制御するように構成される。負荷温度制御ループ800は、負荷200に熱伝導により接続され、負荷200の温度を制御するように構成される。第1の冷却ループ500、第2の冷却ループ600、バッテリパック温度制御ループ700、及び負荷温度制御ループ800は全て、マルチポートバルブ900のバルブポートに接続される。このようにして、実際の適用シナリオに基づいてマルチポートバルブを制御し、それによって異なるループが互いに連通できるようにする。
【0056】
図1(b)に示されるように、別の特定の実施形態では、マルチポートバルブ900は8ポートバルブである。この実施形態と図1(a)に示される実施形態との相違点は、負荷200も負荷温度制御ループ800も含まれていない点のみである。
【0057】
温度制御システムは、車両の温度制御システムであってもよい。具体的には、車両は少なくともバッテリパック及び温度制御システムを含み、温度制御システムは車両のバッテリパックの温度を制御するように構成される。さらに、温度制御システムは、代替的に、エネルギ貯蔵システムの温度制御システムであってもよい。エネルギ貯蔵システムはバッテリパック及び温度制御システムを含み、温度制御システムはエネルギ貯蔵システムのバッテリパックの温度を制御するように構成される。
【0058】
図2は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体の構造を示す概略図である。図3は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブコアの構造を示す概略図である。図2に示されるバルブ本体及び図3に示されるバルブコアは、本願のこの実施形態では、組み立てられて、マルチポートバルブの本体部分を形成する。図2及び図3に示されるように、本願のこの実施形態では、マルチポートバルブは、バルブ本体01及びバルブコア02を含む。バルブ本体01は、取付けキャビティ011を有しており、バルブコア02は、取付けキャビティ011内に取り付けられる。バルブ本体01は、本体012とブロック形状追加部分013とを含む。本体012とブロック形状追加部分013とが締結(fasten:固定)されてバルブ本体01が形成される。具体的には、取付けキャビティ011は本体012に位置する。バルブ本体01は、取付けキャビティ011と連通する複数のビア014を含む。具体的には、各液体パイプラインは、1つのビアと連通するように構成される。ブロック形状追加部分013は本体012の側壁の少なくとも一部に取り付けられており、各ビア014はブロック形状追加部分013と本体012の対応する側壁とを貫通している。
【0059】
本願の実施形態では、「~ように構成される」とは、構造の能力を示すものであり、実際の接続関係とは異なる。例えば、「AはBのために構成される」は、Aが関連する機能を有しており、Bの機能を実行できることを示す。しかしながら、実際には、シナリオ又は様々なシナリオにおいて、AがBの機能を実現できない場合がある。
【0060】
オプションで、図2に示されるように、本体012はシリンダ(cylinder:円筒)構造を有する。
【0061】
オプションで、図2に示されるように、ブロック形状追加部分013は溝部分を含むブロック構造であり、シリンダ構造の本体012がブロック形状追加部分013の溝部分内にクランプされ、本体012の側壁の一部が、ブロック形状追加部分013の溝部分の凹面に接している。
【0062】
オプションで、図2に示されるように、ブロック形状追加部分013の外面は平面であり、ブロック形状追加部分013の外面は、ブロック形状追加部分013のうち溝部分から離れる側の面である。
【0063】
バルブコア02の外周側は、複数の分離キャビティ021を含み、少なくとも2つの分離キャビティ021がバルブコアの軸線方向Aに配置され、各分離キャビティ021は、1つ又は複数のビア014と連通するように構成される。本願のこの実施形態では、バルブコア02とバルブ本体01との間の相対的な位置関係を調整し、それによって分離キャビティ021が異なるビア014と連通できるようにして、マルチポートバルブと連通するパイプラインの連通関係を変更する。具体的には、本願のこの実施形態では、マルチポートバルブのバルブ本体01にバルブコア02を1つ取り付けるだけで、マルチポートバルブと連通する液体経路のモードを調整することができる。この解決策は、マルチポートバルブの構造を簡素化し、マルチポートバルブの容積を低減するのに役立つ。マルチポートバルブのシンプルな構造により、温度制御システムの漏れリスクの低減にも役立つ。
【0064】
ビア014の本体012上の第1の開口部(具体的には、本体012の内側壁の第1の開口部)は内側ポート0141であり、或いはビアの第1の開口部であって、バルブ本体01の取付けキャビティ011の外周側の側壁にある第1の開口部は、内側ポート0141である。内側ポート0141は、バルブコア02の分離キャビティ021と連通するように構成される。ビア014のブロック形状追加部分013上の第2の開口部(具体的には、ブロック形状追加部分013の外面の第2の開口部)は、外側ポート0142であり、或いはビア014の第2の開口部であって、ブロック形状追加部分013の取付けキャビティ011から離れた面にある第2の開口部は、外側ポート0142である。外側ポート0142は、外部の液体パイプラインと連通するように構成され、それによって、マルチポートバルブは温度制御システムに接続される。内側ポート0141は、ビア014を介して外側ポート0142と連通する。
【0065】
ブロック形状追加部分013は、ビア014が少なくとも特定の配置スペースを確保できるように、予め設定した体積を有する。この場合に、ブロック形状追加部分013は、特に正方形のブロックでなくてもよい。実際の要件に基づいて選択を行うことができる。換言すれば、取付けキャビティ011の表面と、ブロック形状追加部分013の外側ポート0142が設けられる表面との間には、要件に基づいて適切にビア014を設けるために、予め設定した距離が存在する。この解決策によれば、外側ポート0142の位置は要件に基づいて指定することができる。これにより、マルチポートバルブとパイプラインとの間の連通が容易になり、パイプラインの連通規則性の向上に役立つ。
【0066】
図3に示されるように、バルブコア02の複数の分離キャビティ021は、第1の分離キャビティ0211及び第2の分離キャビティ0212を含む。第1の分離キャビティ0211は、バルブコアの周方向Bに延びており、それによって、第1の分離キャビティ0211は、バルブコアの周方向Bに配置された複数の内側ポート0141と連通することができる。隣接する第1の分離キャビティ0211は、バルブコアの軸線方向Aに配置される。第2の分離キャビティ0212は、バルブコアの軸線方向Aに配置された複数の内側ポート0141と連通することができる。隣接する第2の分離キャビティ0212は、バルブコアの周方向Bに配置される。この解決策では、第1の分離キャビティ0211及び第2の分離キャビティ0212が適切に設けられ、それによってバルブコアの周方向Bに配置された内側ポート0141は互いに連通することができ、バルブコアの軸線方向Aに配置された内側ポート0141も互いに連通することができる。これは、マルチポートバルブが温度制御システム内の液体パイプラインの分配に適応し、温度制御システム内の液体パイプラインと連通するのに役立つ。
【0067】
特定の実施形態では、バルブコア02の分離キャビティ021は、少なくとも2つの内側ポート0141と連通している。具体的には、分離キャビティ021は、2つの内側ポート0141と連通してもよく、又は3つの内側ポート0141と連通してもよく、又はより多くの内側ポート0141と連通してもよい。これは、本願では限定されない。実際の要件に基づいて選択を行うことができる。
【0068】
さらに図3を参照する。バルブコア02の複数の分離キャビティ021を形成するために、バルブコア02は複数の分離板を含むことができる。複数の分離板は、第1の分離板022及び第2の分離板023を含む。第1の分離板022はバルブコアの軸線方向Aに直交しており、第2の分離板023はバルブコアの軸線方向Aに平行であり、複数の分離板は複数の分離キャビティ021を形成する。特定の実施形態では、第1の分離板022及び第2の分離板023は、分離キャビティ021の異なるレイアウトを形成するために、要件に基づいて配置され、異なる分流方式を有するマルチポートバルブを実現することができる。
【0069】
特定の実施形態では、取付けキャビティ011はシリンダ形の取付けキャビティ011であり、バルブコア02はシリンダ形のバルブコア02であり、バルブコア02及び取付けキャビティ011は同軸に取り付けられる。バルブコア02は、バルブ本体01の取付けキャビティ011に取り付けられ、取付けキャビティ011内で周方向に回転することができる。具体的には、マルチポートバルブは、ドライバをさらに含んでもよい。ドライバは、バルブコア02に接続されており、バルブコア02を駆動してバルブ本体01の取付けキャビティ011内で指定した角度だけ回転させるように構成される。バルブコア02が指定した位置まで回転すると、少なくとも2つの内側ポート0141は1つの分離キャビティ021と連通しており、それによって、分離キャビティ021と連通する内側ポート0141は互いに連通している。バルブコア02は、異なる内側ポート0141が互いに連通できるように、異なる位置に回転するように制御され、マルチポートバルブの連通溶液を変更する。
【0070】
特定の実施形態では、本体012及びブロック形状追加部分013は一体的に形成した構造であってもよい。例えば、バルブ本体01がプラスチック材料で作製したバルブ本体01である場合には、射出成形法を用いて一体成形構造のバルブ本体01を作製することができる。或いは、バルブ本体01が金属材料で作製したバルブ本体01である場合には、鋳造法を用いて一体成形構造のバルブ本体01を作製してもよい。
【0071】
別の特定の実施形態では、代替的に、本体012とブロック形状追加部分013とを分割構造とし、本体012とブロック形状追加部分013とを半田付け等により固定して、バルブ本体01を形成してもよい。
【0072】
内側ポート0141と外側ポート0142との間のビア014は、直線に沿って延びてもよく、屈曲して延びてもよく、又は曲線的に延びてもよい。本願ではこれに限定されない。具体的には、内側ポート0141と外側ポート0142との間のビア014は、直線に沿って延びる。内側ポート0141及び外側ポート0142が屈曲して延びるということは、ビア014が、互いに連通する複数の直線状のサブビア014によって形成されることを意味する。あるいはまた、内側ポート0141及び外側ポート0142が曲線状に延びるということは、ビア014が曲線に沿って延びることを意味する。
【0073】
結論として、本願では、内側ポート0141と外側ポート0142との間の位置関係又は連通方式は限定されない。外側ポート0142のレイアウトは、内側ポート0141のレイアウトによって制限されない。従って、外側ポート0142のレイアウトは、温度制御システムのパイプライン配置を簡素化するために、実際の適用シナリオに基づいて構成され得る。
【0074】
具体的には、複数の外側ポート0142は、同一面に位置してもよい。これにより、外部の液体パイプラインとの連通が容易になり、温度制御システムにおける液体パイプラインのレイアウト方法が簡素化される。
【0075】
また、ビア014を設けることにより、内側ポート0141のレイアウトも外側ポート0142のレイアウトによって制限されず、取付けキャビティ011の周方向に隣接する2つの内側ポート0141を予め設定した距離だけ離して配置することができる。この解決策では、周方向に隣接する2つの内側ポート0141の間の距離が比較的大きくてもよい。このようにして、バルブコア02の回転角の制御精度に対する要件は比較的低く、バルブ本体01とバルブコア02との間のシール性が向上し、マルチポートバルブの漏れ事例が減少する。
【0076】
図2及び図3に示されるように、特定の実施形態では、本体012はシリンダであり、取付けキャビティ011はシリンダの内側に位置する。本体012の外形は、内部取付けキャビティ011の形状と一致している。これにより、バルブ本体01の容積を低減するのに役立つ。また、ブロック形状追加部分013は、溝部分を有しており、この溝部分は、シリンダの側壁の少なくとも一部を収容する。ブロック形状追加部分013の外面は平面である。これは、マルチポートバルブの全体的な形状の規則性を改善するのに役立ち、複数の外側ポート0142を同一面に配置するのを可能にする。
【0077】
図2及び図3に示されるように、特定の実施形態では、本願のこの実施形態におけるマルチポートバルブは3相8ポートバルブである。マルチポートバルブのバルブ本体01は、8つのビア014を含む。これに対応して、バルブ本体01は、1対1の対応関係で互いに連通する8つの内側ポート0141及び8つの外側ポート0142を有する。バルブコア02は、バルブコアの軸線方向Aに配置された2層の分離キャビティ021を含む。
【0078】
図4は、本発明の一実施形態によるバルブ本体01の取付けキャビティ011の表面の拡大を示す概略図である。図4に示されるように、この実施形態では、8つのビア014が、本体012の側壁の開口部に2行4列のマトリックスに配置されており、すなわち、8つの内側ポート0141が2行4列のマトリックスに配置される。特定の実施形態では、4つの内側ポート0141が取付けキャビティ011の周方向に一列に配置され、取付けキャビティ011の周方向は、具体的にはバルブコアの周方向Bであってよい。2つの内側ポート0141は、取付けキャビティ011の軸線方向に一列に配置されており、取付けキャビティ011の軸線方向は、具体的にはバルブコアの軸線方向Aであってもよい。
【0079】
図5は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体01の内側ポート0141と分離キャビティ021との間の対応関係を示す概略図である。図において、分離キャビティ021は、分離キャビティ021と同じ充填パターンを有する内側ポート0141と連通している。図5に示されるように、一実施形態では、バルブコア02は4つの第1の分離キャビティ0211を含み、4つの第1の分離キャビティ0211は2行2列のマトリックスに配置される。各第1の分離キャビティ0211は、8つの内側ポート0141のうちの2つおきの内側ポート0141と連通しており、それによって、マルチポートバルブの動作状態として機能するように、2つおきの内側ポート0141が第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、各内側ポート0141が第1の分離キャビティ0211と連通している。
【0080】
図6は、本願の一実施形態による、マルチポートバルブのバルブ本体01の内側ポート0141と分離キャビティ021との間の別の対応関係を示す概略図である。図7は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブのバルブ本体01の内側ポート0141と分離キャビティ021との間のさらに別の対応関係を示す概略図である。図において、分離キャビティ021は、分離キャビティ021と同じ充填パターンを有する内側ポート0141と連通している。図6及び図7に示されるように、別の実施形態では、バルブコア02は、2つの第1の分離キャビティ0211及び2つの第2の分離キャビティ0212を含む。2つの第1の分離キャビティ0211は、バルブコアの軸線方向Aに配置され、2つの第2の分離キャビティ0212は、バルブコアの周方向Bに配置される。各第1の分離キャビティ0211が、8つの内側ポート0141のうちの2つの内側ポート0141に連通しており、2つの内側ポート0141はバルブコアの周方向Bに配置される。各第2の分離キャビティ0212が、8つの内側ポート0141のうちの2つの内側ポート0141に連通しており、2つの内側ポート0141はバルブコアの軸線方向Aに配置される。第1の分離キャビティ0211と第2の分離キャビティ0212との間の配置関係は限定されない。例えば、図6に示される実施形態では、バルブコア02の分離キャビティ021は、順次に2つの第2の分離キャビティ0212及び2つの第1の分離キャビティ0211である。図7に示される実施形態では、バルブコア02の分離キャビティ021は、順次に2つの第1の分離キャビティ0211及び2つの第2の分離キャビティ0212である。
【0081】
特定の実施形態では、図5図6、及び図7は、本願のこの実施形態における3相8ポートバルブの3つの動作モードを示す。具体的には、バルブコア02を駆動してバルブ本体01に対して指定した角度だけ回転させて、3相8ポートバルブの3つの動作モードを調整することができる。
【0082】
図8は、本願の一実施形態によるバルブ本体の構造を示す概略図である。図9は、本発明の一実施形態によるバルブコアの構造を示す概略図である。図8及び図9に示されるように、この実施形態におけるマルチポートバルブは4相10ポートバルブである。この実施形態では、バルブ本体01は、本体012とブロック形状追加部分013とが一体成形された構造となっている。本体012はシリンダであり、ブロック形状追加部分013の外面は平面である。バルブ本体01は、10個のビア014を含み、さらに、1対1の対応関係で互いに連通する10個の内側ポート0141及び10個の外側ポート0142を含む。内側ポート0141は取付けキャビティ011の周側壁に位置しており、外側ポート0142は、ブロック形状追加部分013の取付けキャビティ011から離れる側の面に位置しており、10個の外側ポート0142は同一面に位置している。また、図8に示されるように、内側ポート0141及び外側ポート0142は直線ビア014を介して互いに連通しており、直線ビア014の延長方向は取付けキャビティ011の軸線方向と直交している。周方向に隣接する内側ポート0141同士の間の予め設定した距離は比較的大きい。これにより、マルチポートバルブのシール性が向上し、漏れ難くなる。
【0083】
図9に示されるように、本願のこの実施形態におけるバルブコア02は、シリンダ状のバルブコアであり、バルブコア02は、バルブ本体01の取付けキャビティ011に取り付けられる。マルチポートバルブは、ドライバをさらに含んでもよい。ドライバは、バルブ本体01に接続されており、バルブコア02を駆動してバルブ本体01の取付けキャビティ011内で指定した角度だけ回転させるように構成される。バルブコア02は、コア部分、複数の第1の分離板022、及び複数の第2の分離板023を含む。第1の分離板022は、バルブコアの軸線方向Aに直交しており、第1の分離板022は、バルブコアの周方向Bに延びる。ただし、第1の分離板022は、必ずしもバルブコアの周方向Bにバルブコア02の全周に亘って延びる必要はなく、局所的に延びてもよい。第2の分離板023は、バルブコアの軸線方向Aと平行であり、第2の分離板023は、バルブコアの軸線方向Aに延びる。同様に、第2の分離板023は、隣接する2つの第1の分離板022を接続すればよい。複数の第1の分離板022、複数の第2の分離板023、及びコア部分が嵌合して複数の分離キャビティ021を形成する。
【0084】
マルチポートバルブの分離キャビティ021は、複数の形状を有してもよい。例えば、分離キャビティ021は、第1の分離キャビティ0211、第2の分離キャビティ0212、及び第3の分離キャビティを含む。第1の分離キャビティ0211は、バルブコアの周方向Bに配置された複数の内側ポート0141に連通しており、第2の分離キャビティ0212は、バルブコアの軸線方向Aに配置された複数の内側ポート0141に連通することができる。同一の分離キャビティ021と連通する内側ポート0141は互いに連通している。第3の分離キャビティはL字型の分離キャビティであり、第3の分離キャビティは第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分及び第2の部分は直交して配置されると考えることができる。第1の部分は、バルブコアの周方向Bに延びる。具体的には、第1の部分は、バルブコアの周方向Bに配置された2つの内側ポート0141と連通している。第2の部分は、バルブコアの軸線方向Aに延びる。具体的には、第2の部分は、バルブコアの軸線方向Aに配置された2つの内側ポート0141と連通している。特定の実施形態では、第1の部分と連通する2つの内側ポート0141と、第2の部分と連通する2つの内側ポート0141とに重複する内側ポートがあってもよい。換言すれば、第3の分離キャビティは3つの内側ポート0141と連通している。あるいはまた、第1の部分と連通する2つの内側ポート0141と第2の部分と連通する2つの内側ポート0141とは全く異なる。つまり、第3の分離キャビティは4つの内側ポート0141と連通している。
【0085】
さらに図9を参照する。バルブコア02は、バルブコアの軸線方向Aに配置された4層のキャビティを含み、4層のキャビティは、順次に、バルブコアの軸線方向Aの第4層のキャビティ027、第3層のキャビティ026、第2層のキャビティ025、及び第1層のキャビティ024である。任意の2つの隣接するキャビティの間に第1の分離板022があり、第1の分離板022は開口部を有することができ、それによって、隣接する層のキャビティが互いに連通し、第2の分離キャビティ0212、又は第3の分離キャビティ等を形成することができる。
【0086】
図10は、本発明の一実施形態によるバルブ本体01の取付けキャビティ011の表面の拡大を示す概略図である。図10に示されるように、この実施形態では、バルブ本体01は10個のビア014を含み、10個のビア014のうち本体012の側壁にある内側ポート0141がそれぞれ、第1ポート1、第2ポート2、第3ポート3、第4ポート4、第5ポート5、第6ポート6、第7ポート7、第8ポート8、第9ポート9、及び第10ポート10である。第1ポート1及び第2ポート2は、第1の方向Xに順次に配置される。第3ポート3、第4ポート4、及び第5ポート5は、第1の方向Xに順次に配置される。第6ポート6及び第7ポート7は、第1の方向Xに順次に配置される。第8ポート8、第9ポート9、及び第10ポート10は、第1の方向Xに順次に配置される。取付けキャビティ011の軸線方向におけるバルブ本体01の両端は、第1の端部015及び第2の端部016であり、第1の方向は、第1の端部が第2の端部に面する方向である。換言すれば、第1の方向Xは、取付けキャビティ011の軸線方向に延びており、固定した指向方向を有する。第1ポート1、第4ポート4、第7ポート7、及び第10ポート10は、バルブコアの周方向Bに順次に配置される。開口部は4行4列のマトリックスのいくつかの点位置に配置される。
【0087】
図11は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブの動作モードの概略図である。図11の(a)、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ、第1層のキャビティ024、第2層のキャビティ025、第3層のキャビティ026、及び第4層のキャビティ027の断面図である。図中のリングで示された部分は、この部分がこの位置のキャビティの次の層の部分と連通している、又はこの部分とキャビティの次の層との間の第1の分離板022が開口部を有しており、第2の分離キャビティ0212又は第3の分離キャビティを形成することを意味する。図11の(e)は、動作モードにおける内側ポート0141の連通を示す概略図である。図中に矢印で示した内側ポート0141は、分離キャビティ021を介して互いに連通している。
【0088】
図11に示されるように、一実施形態では、第1ポート1及び第2ポート2は第2の分離キャビティ0212を介して互いに連通しており、第2の分離キャビティ0212は2つの内側ポート0141と連通している。第4ポート4、第5ポート5、及び第7ポート7は第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3の分離キャビティは3つの内側ポート0141と連通している。第3ポート3及び第6ポート6は第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第8ポート8、第9ポート9、及び第10ポート10は第2の分離キャビティ0212を介して互いに連通しており、第2の分離キャビティ0212は3つの内側ポート0141と連通している。この実施形態では、各内側ポート0141は、動作状態である。
【0089】
図12は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブの別の動作モードを示す概略図である。図12の(a)、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ、第1層のキャビティ024、第2層のキャビティ025、第3層のキャビティ026、及び第4層のキャビティ027の断面図である。図中のリングで示された部分は、この部分がこの位置のキャビティの次の層の部分と連通している、又はこの部分とキャビティの次の層との間の第1の分離板022が開口部を有しており、第2の分離キャビティ0212又は第3の分離キャビティを形成することを意味する。図12の(e)は、動作モードにおける内側ポート0141の連通を示す概略図である。図中の矢印で示した内側ポート0141は、分離キャビティ021を介して互いに連通している。
【0090】
図12に示されるように、別の実施形態では、第2ポート2及び第5ポート5は第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第3ポート3、第4ポート4、及び第7ポート7は第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3の分離キャビティは3つの内側ポート0141と連通している。第8ポート8、第9ポート9、及び第10ポート10は第2の分離キャビティ0212を介して互いに連通しており、第2の分離キャビティ0212は3つの内側ポート0141と連通している。この実施形態では、第1ポート1も第6ポート6も分離キャビティを介して内部ポート0141と連通していない。具体的には、第1ポート1及び第6ポート6はそれぞれ1つの分離キャビティ021に連通してもよい。具体的には、第1ポート1と連通する分離キャビティ021は第1ポート1のみに連通しており、第6ポートと連通する分離キャビティ021は第6ポート6のみと連通している。
【0091】
図13は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブのまた別の動作モードを示す概略図である。図13の(a)、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ、第1層のキャビティ024、第2層のキャビティ025、第3層のキャビティ026、及び第4層のキャビティ027の断面図である。図中のリングで示された部分は、この部分がこの位置のキャビティの次の層の部分と連通している、又はこの部分とキャビティの次の層との間の第1の分離板022が開口部を有しており、第2の分離キャビティ0212又は第3の分離キャビティを形成することを意味する。図13の(e)は、動作モードにおける内側ポート0141の連通を示す概略図である。図中の矢印で示した内側ポート0141は、分離キャビティ021を介して互いに連通している。
【0092】
図13に示されるように、さらに別の実施形態では、第2ポート2及び第5ポート5は第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第3ポート3及び第4ポート4は第2の分離キャビティ0212を介して互いに連通しており、第2の分離キャビティ0212は2つの内側ポート0141と連通している。第9ポート9及び第10ポート10は別の第2の分離キャビティ0212を介して互いに連通しており、第2の分離キャビティ0212は2つの内側ポート0141と連通している。この実施形態では、第1ポート1、第6ポート6、及び第7ポート7のいずれも、分離キャビティ021を介して内部ポート0141と連通していない。具体的には、第1ポート1、第6ポート6、及び第7ポート7は、それぞれ1つの分離キャビティ021のみと連通してもよい。具体的には、第1ポート1と連通する分離キャビティ021は第1ポート1のみに連通しており、第6ポート6と連通する分離キャビティ021は第6ポート6のみに連通しており、第7ポート7と連通する分離キャビティ021は第7ポート7のみと連通している。
【0093】
図14は、本願の一実施形態によるマルチポートバルブのさらに別の動作モードの概略図である。図14の(a)、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ、第1層のキャビティ024、第2層のキャビティ025、第3層のキャビティ026、及び第4層のキャビティ027の断面図である。図中のリングで示された部分は、この部分がこの位置のキャビティの次の層の部分と連通している、又はこの部分とキャビティの次の層との間の第1の分離板022が開口部を有しており、第2の分離キャビティ0212又は第3の分離キャビティを形成することを意味する。図14の(e)は、動作モードにおける内側ポート0141の連通を示す概略図である。図中の矢印で示した内側ポート0141は、分離キャビティ021を介して互いに連通している。
【0094】
図14に示されるように、さらに別の実施形態では、第1ポート1及び第4ポート4は第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第2ポート2及び第5ポート5は別の第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第7ポート7及び第10ポート10はまた別の第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第6ポート6及び第9ポート9はさらに別の第1の分離キャビティ0211を介して互いに連通しており、第1の分離キャビティ0211は2つの内側ポート0141と連通している。第3ポート3及び第8ポート8は第3の分離キャビティを介して互いに連通しており、第3の分離キャビティは2つの内側ポート0141と連通している。第3の分離キャビティは、4つの内側ポートと連通することができ、ここでは2つの内側ポートのみに連通するように構成される。この実施形態では、各内側ポート0141は動作状態にある。
【0095】
特定の実施形態では、図11図12図13、及び図14は、本願のこの実施形態における4相10ポートバルブの4つの動作モードを示す。具体的には、バルブコア02を駆動してバルブ本体01に対して指定角度だけ回転させて、4相10ポートバルブの4つの動作モードを調整することができる。
【0096】
当業者が、本願の範囲から逸脱することなく、本願に様々な修正及び変形を加えることができることは明らかである。本願は、本願の特許請求の範囲及びそれらの同等の技術によって規定される保護の範囲内にある限り、本願のこれらの修正及び変形を網羅することを意図している。

図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】