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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086676
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】吸収性物品、及びおむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240620BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240620BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240620BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20240620BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240620BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A61F13/15 142
A61F13/53 300
A61F13/534 100
A61F13/537
A61F13/511 200
A61F13/514 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211474
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2022201004
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591108248
【氏名又は名称】カミ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】柏田 祥策
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 督徳
(72)【発明者】
【氏名】国武 哲則
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA02
3B200BB03
3B200BB24
3B200DB20
3B200DC02
3B200DD02
(57)【要約】
【課題】吸収性物品の意匠性を確保しながら、吸収性物品の使用性を高めることが可能となる、吸収性物品、及びおむつを提供すること。
【解決手段】吸収性物品10は、装着者の肌と当接するトップシート30と、トップシート30における装着者の肌と当接する側とは反対側に設けられるバックシート90と、トップシート30とバックシート90との相互間に設けられる上層吸収体50及び下層吸収体70と、トップシート30とバックシート90との相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収シート40と、吸収シート40に設けられる抗ウイルス・抗菌層100であり、茶葉から抽出される茶葉抽出物質を含む塗布液が吸収シート40に塗布された層である抗ウイルス・抗菌層100と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の肌と当接するトップシートと、
前記トップシートにおける前記装着者の肌と当接する側とは反対側に設けられるバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収体と、
前記トップシートと前記バックシートとの相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収シートと、
前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートに設けられる抗ウイルス・抗菌層であり、茶葉から抽出される茶葉抽出物質を含む塗布液が前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートに塗布された層である抗ウイルス・抗菌層と、
を備える吸収性物品。
【請求項2】
前記抗ウイルス・抗菌層における前記茶葉抽出物質の塗布量を、0.1g/mから0.4g/mとした、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記茶葉抽出物質は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含む、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記塗布液は、前記茶葉抽出物質の変色を防止するための変色防止剤を含む、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートの少なくとも一部を、親水性を有する不織布で構成した、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記塗布液は、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートへの当該塗布液の浸透性を高めるための浸透性向上剤を含む、
請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記塗布液は、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートと前記茶葉抽出物質とを結合しやすくするためのバインダを含み、
前記塗布液における前記バインダの配合比率を、4%以上とした、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収シートを、前記トップシートと前記吸収体との相互間に設け、
前記抗ウイルス・抗菌層を、前記吸収シートのみに設けた、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の吸収性物品を備える、おむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、及びおむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、抗菌性を有する吸収性物品の一つとして、表面シートと、面シートと、表面シート及び裏面シート間に設けられる吸収体と、吸収体及び表面シート間に設けられる吸収シートであって、粉砕された茶葉を含有する吸収シートとを備える吸収性物品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-146986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の吸収性物品においては、上述したように、吸収シートが粉砕された茶葉を含有するので、当該茶葉が異物として視認されやすいため、当該吸収性物品の意匠性を確保しづらくなるおそれがあった。また、吸収シートが排尿を吸収した際に、当該排尿による吸収シートの色抜け(具体的には、茶葉の色が抜けること)が生じにくいため、当該排尿の状態(例えば、当該排尿の色や量等)を視認しづらくなるおそれがあった。以上のことから、吸収性物品の意匠性を確保しながら、吸収性物品の使用性を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、吸収性物品の意匠性を確保しながら、吸収性物品の使用性を高めることが可能となる、吸収性物品、及びおむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の吸収性物品は、装着者の肌と当接するトップシートと、前記トップシートにおける前記装着者の肌と当接する側とは反対側に設けられるバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収体と、前記トップシートと前記バックシートとの相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収シートと、前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートに設けられる抗ウイルス・抗菌層であり、茶葉から抽出される茶葉抽出物質を含む塗布液が前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートに塗布された層である抗ウイルス・抗菌層と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の吸収性物品は、請求項1に記載の吸収性物品において、前記抗ウイルス・抗菌層における前記茶葉抽出物質の塗布量を、0.1g/mから0.4g/mとした。
【0008】
請求項3に記載の吸収性物品は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、前記茶葉抽出物質は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含む。
【0009】
請求項4に記載の吸収性物品は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、前記塗布液は、前記茶葉抽出物質の変色を防止するための変色防止剤を含む。
【0010】
請求項5に記載の吸収性物品は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートの少なくとも一部を、親水性を有する不織布で構成した。
【0011】
請求項6に記載の吸収性物品は、請求項5に記載の吸収性物品において、前記塗布液は、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートへの当該塗布液の浸透性を高めるための浸透性向上剤を含む。
【0012】
請求項7に記載の吸収性物品は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、前記塗布液は、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートと前記茶葉抽出物質とを結合しやすくするためのバインダを含み、前記塗布液における前記バインダの配合比率を、4%以上とした。
【0013】
請求項8に記載の吸収性物品は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、前記吸収シートを、前記トップシートと前記吸収体との相互間に設け、前記抗ウイルス・抗菌層を、前記吸収シートのみに設けた。
【0014】
請求項9に記載のおむつは、請求項1又は2に記載の吸収性物品を備える。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の吸収性物品、及び請求項9に記載のおむつによれば、トップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートに設けられる抗ウイルス・抗菌層であり、茶葉抽出物質を含む塗布液がトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートに塗布された層である抗ウイルス・抗菌層と、を備えるので、従来技術(茶葉を含有する吸収シートを備える吸収性物品)に比べて、抗ウイルス・抗菌層に含まれる茶葉抽出物質が異物として視認されることを回避でき、且つ排尿の視認性の向上を図りやすくなることに加えて、抗ウイルス効果及び抗菌効果の向上も図りやすくなる。よって、吸収性物品の意匠性を確保しながら、吸収性物品の使用性を高めることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の吸収性物品によれば、抗ウイルス・抗菌層における茶葉抽出物質の塗布量を、0.1g/mから0.4g/mとしたので、高い抗ウイルス性及び抗菌性を有しながら、吸収性物品の製造性を確保できる。特に、後述の試験結果より、茶葉抽出物質の塗布量と抗ウイルス性との関係が比例関係にないことを踏まえると、茶葉抽出物質の塗布量が0.4g/mを上回る場合に比べて、同程度の抗ウイルス性を確保できると共に、無駄な茶葉抽出物質の塗布を回避しながら、抗ウイルス・抗菌層を精度良く形成することが可能となる。よって、吸収性物品の品質を確保しやすくなる。
【0017】
請求項3に記載の吸収性物品によれば、茶葉抽出物質は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含むので、所望の抗ウイルス性及び抗菌性を確実に有することができ、吸収性物品の品質を確保しやすくなる。
【0018】
請求項4に記載の吸収性物品によれば、塗布液は、茶葉抽出物質の変色を防止するための変色防止剤を含むので、茶葉抽出物質の変色を防止でき、吸収性物品の意匠性を一層確保しやすくなる。
【0019】
請求項5に記載の吸収性物品によれば、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートの少なくとも一部を、親水性を有する不織布で構成したので、他の材質に比べて、抗ウイルス・抗菌層を形成する際に、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートが破損すること等を回避でき、吸収性物品の製造性を確保しやすくなる。
【0020】
請求項6に記載の吸収性物品によれば、塗布液は、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートへの当該塗布液の浸透性を高めるための浸透性向上剤を含むので、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートへの塗布液の浸透性を高めることができ、抗ウイルス・抗菌層を精度良く形成することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の吸収性物品によれば、塗布液におけるバインダの配合比率を、4%以上としたので、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートが排尿を吸収した際に、当該排尿によるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートの色抜け(具体的には、茶葉抽出物質の酸化に伴って茶葉抽出物質の色が抜けること)を回避でき、排尿の視認性を一層向上することができる。
【0022】
請求項8に記載の吸収性物品によれば、吸収シートを、トップシートと吸収体との相互間に設け、抗ウイルス・抗菌層を、吸収シートのみに設けたので、吸収シートに加えて他の部材にも抗ウイルス・抗菌層を設ける場合に比べて、吸収性物品の意匠性、抗ウイルス効果、抗菌効果、及び排尿の視認性を確保しながら、吸収性物品を簡易且つ安価に製造でき、吸収性物品の使用性を維持しながら、吸収性物品の製造性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態に係るおむつの構成を示す平面図である。
図2】吸収性物品の構成を示す平面図である。
図3図2のA-A矢視断面図である。
図4】吸水シートを示す図であって、(a)は平面図、(b)は底面図である。
図5】第1抗ウイルス性確認試験の試験結果を示す図である。
図6】第2抗ウイルス性確認試験の試験結果を示す図である。
図7】第3抗ウイルス性確認試験の試験結果を示す図である。
図8】第4抗ウイルス性確認試験の試験結果を示す図である。
図9】第5抗ウイルス性確認試験の試験結果を示す図である。
図10】第1抗菌性確認試験の試験結果を示す図である。
図11】第2抗菌性確認試験の試験結果を示す図である。
図12】消臭性確認試験の試験結果を示す図である。
図13】視認性確認試験の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る吸収性物品、及びおむつの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、装着者によって装着され、且つ抗ウイルス性及び抗菌性を有する吸収性物品、及びおむつに関するものである。
【0026】
ここで、「装着者」とは、例えば、人(一例として幼児、大人等)、及び動物(一例として、犬、猫等)を含む概念である。
【0027】
また、「抗ウイルス性」とは、ウイルスを不活化させる性能を意味する。
【0028】
また、「抗菌性」とは、細菌の増殖を抑制する性能を意味する。
【0029】
また、「おむつ」の具体的な種類については任意であるが、例えば、幼児用おむつ、大人用おむつ、ペット用おむつ等を含む概念である。
【0030】
以下では、吸収性物品を装着する装着者を大人として、排泄物である尿を捕捉して吸収するために着用される大人用のおむつに吸収性物品を適用した場合について説明する。
【0031】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0032】
(構成-おむつ)
最初に、実施の形態に係る吸収性物品を備えるおむつの構成について説明する。
【0033】
以下の説明では、図1のX方向をおむつの左右方向(-X方向をおむつの左方向、+X方向をおむつの右方向)、図1のY方向をおむつの前後方向(+Y方向をおむつの前方向、-Y方向をおむつの後方向)、図3のZ方向をおむつの上下方向(+Z方向をおむつの上方向、-Z方向をおむつの下方向)と称する。
【0034】
おむつ1は、例えば公知の大人用のおむつで構成されており、図1に示すように、おむつ本体2を備えている。
【0035】
(構成-おむつ-おむつ本体)
おむつ本体2は、おむつ1の基本構造体である。このおむつ本体2は、図1に示すように、装着者(図示省略)の下半身を覆うことが可能な略矩形形状にて形成されている。また、以下に示す通りに、説明の都合上、おむつ本体2を3つの領域に区分して説明する。
【0036】
すなわち、おむつ本体2は、装着者の腹側を覆う前側胴周り部2aと、装着者の背側を覆う後側胴周り部2bと、前側胴周り部2aと後側胴周り部2bとの相互間に設けられており装着者の股下側を覆う股下部2cと、を備えている。
【0037】
また、図1に示すように、おむつ本体2は、外装シート3、ファスナー部4、及び吸収体(図示省略)を備えている。
【0038】
なお、以下では、おむつ本体2の面のうち、装着者の肌面に対向する側の面を「内側面」と称し、装着者の肌面に対向する側とは反対側の面を「外側面」と称する(吸収性物品10についても同様とする)。
【0039】
(構成-おむつ-おむつ本体-外装シート)
外装シート3は、吸収性物品10を保持するための保持手段であり、図1に示すように、外側シート3a、内側シート3b、及びおむつ側立体ギャザー(図示省略)を備えている。
【0040】
(構成-おむつ-おむつ本体-外装シート-外側シート)
外側シート3aは、おむつ本体2の外部を覆うシートである。この外側シート3aは、例えば公知のシート材(一例として、撥水性の化学繊維の不織布)を用いて構成されており、具体的には、外側シート3aの平面形状が略砂時計形状に設定されている。
【0041】
また、図1に示すように、外側シート3aは、前側胴周り部2a、後側胴周り部2b、及び股下部2cにわたって設けられている。
【0042】
(構成-おむつ-おむつ本体-外装シート-内側シート)
内側シート3bは、おむつ1を装着した際に、当該内側シート3bの少なくとも一部が装着者の肌側に当たるシートである。この内側シート3bは、例えば公知のシート材(一例として、撥水性の化学繊維の不織布)を用いて構成されており、具体的には、図1に示すように、平面形状が外側シート3aと相似形状(つまり、略砂時計形状)に設定されている。
【0043】
また、内側シート3bは、前側胴周り部2a、後側胴周り部2b、及び股下部2cにわたって設けられている。具体的には、図1に示すように、内側シート3bは、外側シート3aの内側面上に配置され、内側シート3bの少なくとも一部が外側シート3aに対して接着剤又は溶着等によって接続されている。
【0044】
(構成-おむつ-おむつ本体-外装シート-おむつ側立体ギャザー)
おむつ側立体ギャザーは、吸収性物品10を内側シート3bに対して支持するためのものである。このおむつ側立体ギャザーは、例えば公知の長尺なギャザー材を用いて構成されており、内側シート3bの内側面上において、相互に間隔を隔てて2つ設けられている。
【0045】
具体的には、各おむつ側立体ギャザーは、おむつ側立体ギャザーの長手方向が前後方向に略沿うように配置されていると共に、2つのおむつ側立体ギャザーによって吸収性物品10を挟み込むことが可能となるように配置され、内側シート3bに対して接着剤又は溶着等によって接続されている。
【0046】
(構成-おむつ-おむつ本体-ファスナー部)
ファスナー部4は、おむつ1を組み立てる際に、前側胴周り部2aと後側胴周り部2bとを相互に固定するための固定手段である。このファスナー部4は、例えば公知のファスナー材(一例として、面ファスナー等)を用いて構成されており、後側胴周り部2bに2つ設けられている。
【0047】
具体的には、図1に示すように、各ファスナー部4は、後側胴周り部2bの左右方向の端部にそれぞれ配置され、後側胴周り部2bに対して接着剤又は溶着等によって接続されている。
【0048】
(構成-おむつ-おむつ本体-吸収体)
吸収体は、液状の排泄物を吸収するものである。この吸収体は、例えば液状の排泄物を吸収可能な公知の吸収体(一例として、パルプ繊維等の親水性繊維、高分子材料を原料とする親水性化学繊維、又は、親水性繊維と粒状の高吸収性ポリマー等を組み合わせたものからなる吸収体等)を用いて構成されており、外側シート3aと内側シート3bとの相互間に設けられている。
【0049】
具体的には、吸収体は、外側シート3aと内側シート3bとの相互間のうち、股下部2cに対応する部分に配置され、接着剤(例えば、ホットメルト系の接着剤)によって外側シート3a又は/及び内側シート3bに対して接続されている。
【0050】
(構成-吸収性物品)
次に、吸収性物品10の構成について説明する。
【0051】
吸収性物品10は、装着者から排泄される排泄物(例えば、尿、便等)を捕捉するためのものであり、図1に示すように、おむつ1を装着する際に、おむつ側立体ギャザーを介して内側シート3bに対して支持される。また、この吸収性物品10は、図2図3に示すように、立体ギャザー20、トップシート30、吸収シート40、上層吸収体50、中間シート60、下層吸収体70、キャリアシート80、及びバックシート90を備えている。
【0052】
(構成-吸収性物品-立体ギャザー)
立体ギャザー20は、装着者からの排泄物が吸収性物品10外に漏洩することを防止する漏洩防止手段である。この立体ギャザー20は、例えば公知の立体ギャザーを用いて構成されており、バックシート90の内側面に相互に間隔を隔てて2つ設けられている。
【0053】
具体的には、図3に示すように、各立体ギャザー20が、バックシート90の左右方向の端部にそれぞれ設けられ、各立体ギャザー20の外側面側の端部がバックシート90に対して接着剤又は溶着等により接続されている。
【0054】
(構成-吸収性物品-トップシート)
図2に戻り、トップシート30は、装着者からの液状の排泄物を吸収し、当該吸収した液状の排泄物を上層吸収体50又は/及び下層吸収体70へ導くためのものである。このトップシート30は、平面形状が略矩形形状である略シート状体であり、図2図3に示すように、装着者の肌と当接可能な位置に設けられ、立体ギャザー20の一部に対して接着剤又は溶着等により接続されている。
【0055】
(構成-吸収性物品-吸収シート)
吸収シート40は、トップシート30と上層吸収体50との相互間における通液性を確保するためのものである。この吸収シート40は、例えば液状の排泄物を透過することが可能な公知のシート材で構成されており、具体的には、後述の抗ウイルス・抗菌層100を形成しやすくする観点から、親水性を有する不織布等(例えば、セルロース、レーヨン又はコットンなどの親水性繊維(一例として、坪量13g/mの親水スパンボンド等)や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル又はポリアミドなどの疎水性繊維の表面を界面活性剤で親水処理したもの)を用いて構成されている。
【0056】
また、吸収シート40は、トップシート30とバックシート90との相互間に少なくとも1つ以上設けられている。
【0057】
具体的には、図3に示すように、2つの吸収シート40が、トップシート30と上層吸収体50との相互間において、相互に間隔を隔てて左右方向に略沿って並設されており、第1接着剤11(例えば、ホットメルト系の接着剤)によってトップシート30又は/及び上層吸収体50に対してそれぞれ接続されている。
【0058】
また、吸収シート40の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0059】
すなわち、吸収シート40の平面形状については、略矩形状に設定している。
【0060】
また、吸収シート40の左右方向の長さについては、トップシート30の左右方向の長さよりも短く設定しており、一例として、トップシート30の左右方向の長さの半分程度又はそれよりも短く設定してもよい。
【0061】
また、吸収シート40の前後方向の長さについては、トップシート30の前後方向の長さよりも短く設定している。
【0062】
(構成-吸収性物品-上層吸収体)
上層吸収体50は、液状の排泄物を吸収するものである。この上層吸収体50は、例えば液状の排泄物を吸収可能な公知の吸収体(一例として、パルプ繊維等の親水性繊維、高分子材料を原料とする親水性化学繊維、又は、親水性繊維と粒状の高吸収性ポリマー等を組み合わせたものからなる吸収体等)を用いて構成されている。
【0063】
具体的には、上層吸収体50の平面形状は、吸収シート40の平面形状と略同一に設定されている。また、上層吸収体50の左右方向の長さは、吸収シート40の左右方向の長さと略同一であり、且つ上層吸収体50の前後方向の長さは、吸収シート40の前後方向の長さよりも短く設定されている。
【0064】
また、図3に示すように、上層吸収体50は、吸収シート40よりも下方側(おむつ1の外側)に設けられ、第2接着剤12(例えば、ホットメルト系の接着剤)によって吸収シート40に対して接続されている。
【0065】
また、図2図3に示すように、上層吸収体50には、スリット51が2つ設けられている。
【0066】
(構成-吸収性物品-上層吸収体-スリット)
スリット51は、液状の排泄物を拡散させて吸収を促進するための貫通孔である。このスリット51は、図2に示すように、前後方向に延在する長孔形状に形成されていると共に、2つのスリット51が相互に間隔を隔てて左右方向に略沿って並設されている。また、図3に示すように、吸収シート40側から中間シート60側に通じており、第2接着剤12及び後述の第3接着剤13が内部に塗布されている。
【0067】
(構成-吸収性物品-中間シート)
中間シート60は、上層吸収体50と下層吸収体70との相互間における通液性を確保すると共に、吸収性物品10によって捕捉された液状の排泄物の拡散性を高めるためのものである。この中間シート60は、吸収シート40と略同一に構成されており、図3に示すように、上層吸収体50よりも下方側(おむつ1の外側)に設けられている。
【0068】
ここで、中間シート60の接続方法については任意であるが、実施の形態では以下の通りに接続している。
【0069】
すなわち、まず、中間シート60を、第3接着剤13(例えば、ホットメルト系の接着剤)によって上層吸収体50に対して接続している。また、中間シート60を、スリット51を介して第2接着剤12及び第3接着剤13によって吸収シート40に対して接続している。さらに、上層吸収体50の前後方向の長さが、中間シート60及び吸収シート40の各々における前後方向の長さよりも短いことから、中間シート60の前後方向の端部を、第2接着剤12及び第3接着剤13によって吸収シート40(具体的には、吸収シート40の前後方向の端部)に対して接続している。
【0070】
(構成-吸収性物品-下層吸収体)
下層吸収体70は、液状の排泄物を吸収するものである。この下層吸収体70は、例えば液状の排泄物を吸収可能な公知の吸収体(一例として、パルプ繊維等の親水性繊維、高分子材料を原料とする親水性化学繊維、又は、親水性繊維と粒状の高吸収性ポリマー等を組み合わせたものからなる吸収体等)を用いて構成されている。
【0071】
具体的には、下層吸収体70の平面形状は、略砂時計形状に設定されている。また、下層吸収体70の左右方向の長さは、吸収シート40の左右方向の長さよりも長く、且つ下層吸収体70の前後方向の長さは、吸収シート40の前後方向の長さと略同一に設定されている。
【0072】
また、図3に示すように、下層吸収体70は、中間シート60よりも下方側(おむつ1の外側)に設けられ、第4接着剤14(例えば、ホットメルト系の接着剤)によって中間シート60に対して接続されている。
【0073】
(構成-吸収性物品-キャリアシート)
キャリアシート80は、下層吸収体70を担持するためのものである。このキャリアシート80は、例えば液状の排泄物を透過することが可能な公知のシート材(一例として、親水性を有する不織布等)を用いて構成されている。
【0074】
具体的には、キャリアシート80の平面形状は、吸収シート40の平面形状と略同一に設定されている。また、キャリアシート80の左右方向の長さは、吸収シート40の左右方向の長さよりも長く、且つキャリアシート80の前後方向の長さは、吸収シート40の前後方向の長さと略同一に設定されている。
【0075】
また、図3に示すように、キャリアシート80は、下層吸収体70よりも下方側(おむつ1の外側)に設けられ、接着剤又は溶着等によって下層吸収体70に対して接続されている。
【0076】
(構成-吸収性物品-バックシート)
バックシート90は、液状の排泄物を吸収性物品10外に漏洩することを防止するためのものである。このバックシート90は、例えば液状の排泄物を透過しない公知のシート材(一例として、ポリエチレン等の合成樹脂材等)を用いて構成されている。
【0077】
具体的には、バックシート90の平面形状は、下層吸収体70の平面形状と略同一に設定されている。また、バックシート90の左右方向の長さは、キャリアシート80の左右方向の長さよりも長く、且つバックシート90の前後方向の長さは、トップシート30の前後方向の長さと略同一に設定されている。
【0078】
また、図3に示すように、バックシート90は、キャリアシート80よりも下方側(おむつ1の外側)に設けられている。より詳細には、バックシート90の左側部分及び右側部分が折り返されることなく、略平坦状に設けられている。
【0079】
また、バックシート90の接続方法については任意であるが、実施の形態では以下の通りに接続している。
【0080】
すなわち、バックシート90を、接着剤又は溶着等によってキャリアシート80に対して接続している。また、吸収シート40、上層吸収体50、中間シート60、及び下層吸収体70の各々における前後方向の長さが、トップシート30及びバックシート90の各々における前後方向の長さよりも短いことから、トップシート30の前後方向の端部を、第1接着剤11によってバックシート90(具体的には、バックシート90の前後方向の端部)に対して接続している。
【0081】
(構成-吸収性物品の構成の詳細)
図2に戻り、次に、吸収性物品10の構成の詳細について説明する。なお、吸収性物品10は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0082】
実施の形態では、図2図3に示すように、吸収性物品10は、抗ウイルス・抗菌層100をさらに備えている。
【0083】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層)
抗ウイルス・抗菌層100は、塗布液(図示省略)がトップシート30、バックシート90、吸収体(具体的には、上層吸収体50、下層吸収体70)、又は/及び吸収シート40に塗布された層であって、吸収性物品10の抗ウイルス性及び抗菌性を発揮させるための層である。この抗ウイルス・抗菌層100は、トップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40に設けられている。
【0084】
具体的には、図2図3に示すように、抗ウイルス・抗菌層100は、吸収シート40のみに設けられており、より具体的には、塗布液が吸収シート40の略全体に塗布されて含浸された後で乾燥させることにより、形成されている。
【0085】
このような形成により、吸収シート40に加えて他の部材(例えば、トップシート30、バックシート90、吸収体等)にも抗ウイルス・抗菌層100を設ける場合に比べて、吸収性物品10の意匠性、抗ウイルス効果、抗菌効果、及び排尿の視認性を確保しながら、吸収性物品10を簡易且つ安価に製造でき、吸収性物品10の使用性を維持しながら、吸収性物品10の製造性を高めることができる。
【0086】
また、抗ウイルス・抗菌層100の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、後述する試験結果に基づいて、抗ウイルス・抗菌層100における後述する塗布液の茶葉抽出物質の塗布量が0.1g/mから0.4g/mとなるように構成されている。
【0087】
具体的には、比較的高い抗ウイルス性及び抗菌性を確保する観点から、後述する試験結果に基づいて、上記塗布量が0.2g/mとなるように構成されている。
【0088】
ただし、これに限らず、例えば、上記塗布量が0.2g/mを上回るように構成されてもよく、一例として、上記塗布量が0.4g/mとなるように構成されてもよい。あるいは、0.2g/m未満(一例として、0.1g/m未満等)に設定されてもよい。
【0089】
なお、上記塗布量が0.4g/mを上回る場合には、後述する茶葉抽出物質を吸収シート40に塗布しづらくなるため、抗ウイルス・抗菌層100を吸収シート40に形成することが難しくなる。このことを踏まえて、実施の形態では、上記塗布量の上限値は、0.4g/m程度に設定されている。
【0090】
このような構成により、高い抗ウイルス性及び抗菌性を有しながら、吸収性物品10の製造性を確保できる。特に、後述の試験結果より、後述する茶葉抽出物質の塗布量と抗ウイルス性との関係が比例関係にないことを踏まえると、後述する茶葉抽出物質の塗布量が0.4g/mを上回る場合に比べて、同程度の抗ウイルス性を確保できると共に、無駄な茶葉抽出物質の塗布を回避しながら、抗ウイルス・抗菌層100を精度良く形成することが可能となる。よって、吸収性物品10の品質を確保しやすくなる。
【0091】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液)
ここで、塗布液は、抗ウイルス・抗菌層100を形成するために用いられる液体であり、実施の形態では、茶葉抽出物質、水、変色防止剤、浸透性向上剤、及びバインダを含んで構成されている(いずれも図示省略)。
【0092】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液-茶葉抽出物質)
茶葉抽出物質は、茶葉(例えば、緑茶葉、紅茶葉等)から抽出される物質である。
【0093】
この茶葉抽出物質の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含んでいる。ただし、これに限らず、例えば、これら以外の他のポリフェノール(一例として、ガロカテキン、ガロカテキンガレート)をさらに含んでもよい。
【0094】
このような構成により、所望の抗ウイルス性を確実に有することができ、吸収性物品10の品質を確保しやすくなる。
【0095】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液-水)
水は、茶葉抽出物質をトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40に塗布しやすくするためのものであり、例えば、上水道水、又は/及び、上水道水以外の水(一例として、井戸水、蒸留水、精製水等)を用いて構成されている。
【0096】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液-変色防止剤)
変色防止剤は、茶葉抽出物質の変色を防止するためのものであり、例えば、公知の変色防止剤(一例として、L-アスコルビン酸ナトリウム等を含む天然のビタミンC又は合成ビタミンC等)を用いて構成されている。
【0097】
このような変色防止剤により、茶葉抽出物質の変色を防止でき、吸収性物品10の意匠性を一層確保しやすくなる。
【0098】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液-浸透性向上剤)
浸透性向上剤は、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40(実施の形態では、吸収シート40のみ)への塗布液の浸透性を高めるためのものであり、例えば、公知の浸透性向上剤(一例として、アルコールの如き有機溶剤)を用いて構成されている。
【0099】
ここで、浸透性向上剤としてアルコールの如き有機溶剤が用いられる理由については、アルコールは水と比べて表面張力が小さいため、濡れ性が高いことから、不織布や紙の繊維の細かい網の目構造の中を染み込みやすいという性質を有するからである。
【0100】
このような浸透性向上剤により、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40への塗布液の浸透性を高めることができ、抗ウイルス・抗菌層100を精度良く形成することが可能となる。
【0101】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液-バインダ)
バインダは、茶葉抽出物質と吸収シート40とを結合しやすくするためのものであり、例えば、公知のバインダ(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、カチオン系水溶性ポリマー、ポリエステル系アニオンバインダ、アクリルシリコーン系樹脂等)を用いて構成されている。
【0102】
(構成-吸収性物品の構成の詳細-抗ウイルス・抗菌層-塗布液-その他の構成)
また、塗布液の配合比率の詳細については任意であるが、例えば、吸収シート40が排尿を吸収した際に、当該排尿による吸収シート40の色抜け(具体的には、茶葉抽出物質の酸化に伴って茶葉抽出物質の色が抜けること)がバインダによって回避することを可能とする比率に設定することが望ましい。
【0103】
一例として、茶葉抽出物質=4%程度、水=61%程度、変色防止剤=1%から5%程度、浸透性向上剤=30%程度、及びバインダ=5%程度に設定してもよい。
【0104】
あるいは、後述する試験結果に基づいて、茶葉抽出物質=4%から6%程度、水=35%から61%程度、浸透性向上剤=30%程度、及びバインダ=4%以上に設定してもよい(具体的には、吸収性物品の製造性及びコストの観点から、4%から30%程度に設定することが好ましい)。この場合には、変色防止剤を省略してもよい。
【0105】
ただし、これらに限らず、他の比率に設定してもよい。
【0106】
以上のような塗布液により、抗ウイルス・抗菌層100を茶葉抽出物質から構成できるので、抗ウイルス・抗菌層100を簡易に構成できる。また、例えば使用済みの茶葉を利用して抗ウイルス・抗菌層100を構成できるので、抗ウイルス・抗菌層100の製造性(具体的には、製造コストの低減等)を高めながら、茶葉のリサイクルに寄与することが可能となる。
【0107】
以上のような吸収性物品10により、従来技術(茶葉を含有する吸収シート40を備える吸収性物品)に比べて、抗ウイルス・抗菌層100に含まれる茶葉抽出物質が異物として視認されることを回避でき、且つ排尿の視認性の向上を図りやすくなることに加えて、抗ウイルス効果及び抗菌効果の向上も図りやすくなる。よって、吸収性物品10の意匠性を確保しながら、吸収性物品10の使用性を高めることが可能となる。
【0108】
(試験結果)
次に、本件出願人が行った第1抗ウイルス性確認試験から第5抗ウイルス性確認試験、第1抗菌性確認試験、第2抗菌性確認試験、消臭性確認試験の試験結果、及び視認性確認試験について説明する。
【0109】
(試験結果-第1抗ウイルス性確認試験の概要)
まず、第1抗ウイルス性確認試験の概要について説明する。ここで、「第1抗ウイルス性確認試験」とは、各試験体の鳥インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性の有無を確認するための試験である。
【0110】
また、第1抗ウイルス性確認試験の試験方法については任意であるが、以下の通りに行った。すなわち、まず、0.2gの各試験体に対して鳥インフルエンザウイルスを含むウイルス液(具体的には、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で109.5EID50/0.2mlに調整されたウイルス液)を400μl塗布して、室温で10分間反応させた。次に、各試験体から抽出した反応液を抗生物質入りPBSでそれぞれ10倍階段希釈して、発育鶏卵漿尿膜内に0.2mlずつそれぞれ接種した後、2日間培養した。続いて、各発育鶏卵漿尿膜から尿膜腔液をそれぞれ回収し、HA試験を用いて当該回収した尿膜腔液におけるウイルスの増殖状況を検出した。そして、上記検出した結果をウイルス力価(lоg10EID50/0.2ml)として算出した(なお、図5では、複数回検出した結果に基づいて算出されたウイルス力価の平均値を示す)。
【0111】
また、第1抗ウイルス性確認試験に用いられた試験体については、試験体A1から試験体A5に分けられる。
【0112】
ここで、試験体A1は、茶殻が配合された茶香紙(具体的には、パルプ紙に対して茶殻が20%配合された茶香紙)である。また、試験体A2は、上記茶香紙に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.1g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。また、試験体A3は、上記茶香紙に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。また、試験体A4は、茶殻が配合された茶香紙(具体的には、紙材に対して茶殻が60%配合された茶香紙)である。また、試験体A5は、単なるパルプ紙である。
【0113】
(試験結果-第1抗ウイルス性確認試験の詳細)
次いで、第1抗ウイルス性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0114】
図5に示すように、ウイルス力価については、試験体A1から試験体A4のウイルス力価は、試験体A5のウイルス力価に比べて低いことが確認された。特に、試験体A2及び試験体A3のウイルス力価は、試験体A1及び試験体A5のウイルス力価よりも低いことが確認された。
【0115】
また、抗ウイルス活性値(抗ウイルス性の有無の判定を行うための値であり、各試験体のウイルス力価から試験体A5のウイルス力価を差し引いた値)については、試験体A1及び試験体A4の抗ウイルス活性値は、基準値(≧2.0(ISO 18184で定められた基準値))を満たさないものの(図5では、「×」で示す)、試験体A2及び試験体A3の抗ウイルス活性値は、基準値を満たすことが確認された(図5では、「〇」で示す)。したがって、試験体A1及び試験体A4については、所望の抗ウイルス性を有しないことが確認され、試験体A2及び試験体A3については、所望の抗ウイルス性を有することが確認された。
【0116】
また、修正抗ウイルス活性値(抗ウイルス性の有無の判定を行うための値であり、試験体A2又は試験体A3の抗ウイルス活性値から試験体A1の抗ウイルス活性値を差し引いた値)については、試験体A2及び試験体A3の修正抗ウイルス活性値は、上記基準値を満たすことが確認された(図5では、「(〇)」で示す)。特に、試験体A3の修正抗ウイルス活性値は、ISO 18184で定められたより高い抗ウイルスを示す基準値(≧3.0。以下、「高基準値」と称する)も満たすことも確認された。したがって、試験体A2及び試験体A3の抗ウイルス・抗菌層100については、所望の抗ウイルス性を有することが確認された。
【0117】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.1g/m以上にすることの有効性が確認された。また、抗ウイルス・抗菌層100と第1基材21を茶香紙で形成することの組み合わせの有効性も確認された。
【0118】
(試験結果-第2抗ウイルス性確認試験の概要)
次に、第2抗ウイルス性確認試験の概要について説明する。ここで、「第2抗ウイルス性確認試験」とは、各試験体のコロナウイルス(デルタ株)に対する抗ウイルス性の有無を確認するための試験である。
【0119】
また、第2抗ウイルス性確認試験の試験方法については任意であるが、以下の通りに行った。すなわち、宿主細胞にコロナウイルスを感染させ、EMEMを加えて所定時間培養した後に、遠心分離装置で4℃及び1000×gで15分間遠心分離した上清をウイルス懸濁液とした。次に、上記ウイルス懸濁液を減菌蒸留水で10倍希釈し、1~5×10PFU/mlに調整したもの試験ウイルス懸濁液とした。次いで、0.4gの各試験体に試験ウイルス懸濁液を0.2ml接種した。次に、各試験体を25℃で2時間作用させた後に、洗い出し液が20ml加えられた各試験体をボックスミキサーで撹拌した。続いて、上記撹拌した各試験体からコロナウイルスを洗い出した後に、ブラーク測定方法によってウイルス力価を特定した(なお、図6では、複数回検出した結果に基づいて算出されたウイルス力価の平均値を示す)。
【0120】
また、第2抗ウイルス性確認試験に用いられた試験体については、試験体B1及び試験体B2に分けられる。
【0121】
ここで、試験体B1は、単なるパルプ紙である。また、試験体B2は、単なるパルプ紙に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0122】
(試験結果-第2抗ウイルス性確認試験の詳細)
次いで、第2抗ウイルス性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0123】
図6に示すように、ウイルス力価については、試験体B2のウイルス力価は、試験体B1のウイルス力価に比べて低いことが確認された。
【0124】
また、抗ウイルス活性値(抗ウイルス性の有無の判定を行うための値であり、各試験体のウイルス力価から試験体B1のウイルス力価を差し引いた値)については、試験体B2の抗ウイルス活性値は、上記基準値を満たすことが確認されると共に(図6では、「〇」で示す)、上記高基準値も満たすことが確認された。したがって、試験体B2については、所望の抗ウイルス性を有することが確認された。
【0125】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.2g/mにすることの有効性が確認された。
【0126】
(試験結果-第3抗ウイルス性確認試験の概要)
次に、第3抗ウイルス性確認試験の概要について説明する。ここで、「第3抗ウイルス性確認試験」とは、各試験体のインフルエンザウイルス(A型)に対する抗ウイルス性の有無を確認するための試験である。
【0127】
また、第3抗ウイルス性確認試験の試験方法については任意であるが、以下の通りに行った。すなわち、まず、400mgの各試験体と、10%イーグル培地含有水を用いて調整したインフルエンザウイルス溶液を0.2mlとを遠沈管に収容して、37℃及び5%CO2下で2時間静置した。次に、20mlのSCDLP培地を用いて遠沈管からインフルエンザウイルス溶液を抽出し、当該抽出したインフルエンザウイルス溶液を用いて10倍段階希釈系を作成した。次いで、上記10倍段階希釈系を宿主細胞に1ml滴下し、37℃及び5%CO2下で1時間感染処理を行った。次に、上記感染処理された細胞上清を0.8%オキソイド寒天溶液に置換し、37℃及び5%CO2下で1-2日間培養した。次いで、ブラークの形成を目視で確認した後に、上記培養したものを5%のグルタルアルデヒド溶液で固定してメチレンブルー染色を行った。そして、上記形成されたブラーク数の測定データに基づいて、ウイルス力価を特定した。
【0128】
また、第3抗ウイルス性確認試験に用いられた試験体については、試験体C1から試験体C3に分けられる。
【0129】
ここで、試験体C1は、茶香紙(具体的には、パルプ紙に対して茶殻が20%配合された茶香紙)である。また、試験体C2は、単なるパルプ紙に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。また、試験体C3は、単なる不織布材に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0130】
(試験結果-第3抗ウイルス性確認試験の詳細)
次いで、第3抗ウイルス性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0131】
図7に示すように、ウイルス力価については、試験体C2及び試験体C3のウイルス力価は、試験体C1のウイルス力価に比べて低いことが確認された。
【0132】
また、抗ウイルス活性値(抗ウイルス性の有無の判定を行うための値であり、各試験体のウイルス力価から試験体C1のウイルス力価を差し引いた値)については、試験体C2及び試験体C3の抗ウイルス活性値は、上記基準値を満たすことが確認された(図7では、「〇」で示す)。したがって、試験体C2及び試験体C3については、所望の抗ウイルス性を有することが確認された。
【0133】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.2g/mにすることの有効性が確認された。
【0134】
(試験結果-第4抗ウイルス性確認試験の概要)
次に、第4抗ウイルス性確認試験の概要について説明する。ここで、「第4抗ウイルス性確認試験」とは、第2抗ウイルス性確認試験と同様に、各試験体のコロナウイルス(デルタ株)に対する抗ウイルス性の有無を確認するための試験である。
【0135】
また、第4抗ウイルス性確認試験の試験方法については任意であるが、第2抗ウイルス性確認試験の試験方法と同様に行った。
【0136】
また、第4抗ウイルス性確認試験に用いられた試験体については、試験体D1及び試験体D2に分けられる。
【0137】
ここで、試験体D1は、単なるパルプ紙である。また、試験体D2は、単なるパルプ紙に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.4g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0138】
(試験結果-第4抗ウイルス性確認試験の詳細)
次いで、第4抗ウイルス性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0139】
図8に示すように、ウイルス力価については、試験体D2のウイルス力価は、試験体D1のウイルス力価に比べて低いことが確認された。
【0140】
また、抗ウイルス活性値(抗ウイルス性の有無の判定を行うための値であり、各試験体のウイルス力価から試験体D1のウイルス力価を差し引いた値)については、試験体D2の抗ウイルス活性値は、上記基準値を満たすことが確認されると共に(図8では、「〇」で示す)、上記高基準値も満たすことが確認された。したがって、試験体D2については、所望の抗ウイルス性を有することが確認された。
【0141】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.4g/mにすることの有効性が確認された。
【0142】
(試験結果-第5抗ウイルス性確認試験の概要)
続いて、第5抗ウイルス性確認試験の概要について説明する。ここで、「第5抗ウイルス性確認試験」とは、各試験体のコロナウイルス(オミクロン株)に対する抗ウイルス性の有無を確認するための試験である。
【0143】
また、第5抗ウイルス性確認試験の試験方法については任意であるが、第2抗ウイルス性確認試験の試験方法と同様に行った。
【0144】
また、第5抗ウイルス性確認試験に用いられた試験体については、試験体E1及び試験体E2に分けられる。
【0145】
ここで、試験体E1は、単なるパルプ紙である。また、試験体E2は、単なるパルプ紙に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0146】
(試験結果-第5抗ウイルス性確認試験の詳細)
次いで、第5抗ウイルス性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0147】
図9に示すように、ウイルス力価については、試験体E2のウイルス力価は、試験体E1のウイルス力価に比べて低いことが確認された。
【0148】
また、抗ウイルス活性値(抗ウイルス性の有無の判定を行うための値であり、各試験体のウイルス力価から試験体E1のウイルス力価を差し引いた値)については、試験体E2の抗ウイルス活性値は、上記基準値を満たすことが確認されると共に(図9では、「〇」で示す)、上記高基準値も満たすことが確認された。したがって、試験体E2については、所望の抗ウイルス性を有することが確認された。
【0149】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.2g/mにすることの有効性が確認された。
【0150】
(試験結果-第1抗菌性確認試験の概要)
次に、第1抗菌性確認試験の概要について説明する。ここで、「第1抗菌性確認試験」とは、各試験体の黄色ぶどう球菌に対する抗菌性の有無を確認するための試験である。
【0151】
また、第1抗菌性確認試験の試験方法については任意であるが、以下の通りに行った。すなわち、まず、各試験体をバイアル瓶に入れ、黄色ぶどう球菌を含む試験菌液を所定量滴下後、バイアル瓶のふたをする。次に、バイアル瓶を37℃で18時間程度培養する。次いで、洗い出し液20mlを加えて各試験体から試験菌を洗い出し、洗い出し液中の生菌数を混釈平板培養法又は発光測定法により測定する。続いて、公知の算出方法を用いて、抗菌活性値を算出する。
【0152】
また、第1抗菌性確認試験に用いられた試験体については、試験体F1から試験体F3に分けられる。
【0153】
ここで、試験体F1は、茶殻が配合された茶香紙(具体的には、パルプ紙に対して茶殻が20%配合された茶香紙)である。また、試験体F2は、標準綿布に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.1g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。また、試験体F3は、標準綿布に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0154】
(試験結果-第1抗菌性確認試験の詳細)
次いで、第1抗菌性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0155】
図10に示すように、抗菌活性値については、試験体F1から試験体F3の抗菌活性値が、基準値(≧2.0)を満たすことが確認された(図10では、「〇」で示す)。また、試験体F2、F3の抗菌活性値が、試験体F1の抗菌活性値よりもかなり高いことが確認された。よって、試験体F2、F3については、試験体F1よりも優れた抗菌性を有することが確認された。
【0156】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.1g/mから0.2g/mにすることの有効性が確認された。
【0157】
(試験結果-第2抗菌性確認試験の概要)
続いて、第2抗菌性確認試験の概要について説明する。ここで、「第2抗菌性確認試験」とは、各試験体の大腸菌に対する抗菌性の有無を確認するための試験である。
【0158】
また、第2抗菌性確認試験の試験方法については、第1抗菌性確認試験の試験方法と略同様に行った。
【0159】
また、第2抗菌性確認試験に用いられた試験体については、試験体G1及び試験体G2に分けられる。
【0160】
ここで、試験体G1は、標準綿布に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.1g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。また、試験体G2は、標準綿布に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0161】
(試験結果-第2抗菌性確認試験の詳細)
次に、第2抗菌性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0162】
図11に示すように、抗菌活性値については、試験体G1、G2の抗菌活性値が、基準値(≧2.0)を満たすことが確認された(図11では、「〇」で示す)。また、試験体G1、G2の抗菌活性値が、基準値よりもかなり高いことが確認された。よって、試験体G1、G2については、優れた抗菌性を有することが確認された。
【0163】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.1g/mから0.2g/mにすることの有効性が確認された。
【0164】
(試験結果-消臭性確認試験の概要)
次に、消臭性確認試験の概要について説明する。ここで、「消臭性確認試験」とは、各試験体の消臭性の有無を確認するための試験である。
【0165】
また、消臭性確認試験の試験方法については任意であるが、アンモニアを含むガスが封入されたテドラ-バッグ内に各試験体を入れた状態で、テドラ-バッグ内の当該ガスの濃度を経時的に測定し、公知の算出方法を用いて、当該測定結果に基づいて当該ガスの減少率を算出した。なお、各試験体の試験結果と比較する観点から、テドラ-バッグ内に上記ガスのみが封入された状態で当該ガスの濃度を経時的に測定し、当該測定結果に基づいて当該ガスの減少率を算出した(以下では、「空試験」と称する)。
【0166】
また、消臭性確認試験に用いられた試験体については、試験体H1から試験体H3に分けられる。
【0167】
ここで、試験体H1は、茶殻が配合された茶香紙(具体的には、パルプ紙に対して茶殻が20%配合された茶香紙)である。また、試験体H2は、不織布に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.1g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。また、試験体H3は、不織布に抗ウイルス・抗菌層100(具体的には、茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mである抗ウイルス・抗菌層100)が形成されたものである。
【0168】
(試験結果-消臭性確認試験の詳細)
次いで、消臭性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0169】
図12に示すように、試験開始から2時間経過後の上記ガスの濃度については、試験体H1から試験体H3の上記ガスの濃度が、空試験の上記ガスの濃度よりも低く、空試験の上記ガスの濃度の半分未満であることが確認された。ただし、試験体H2、H3の上記ガスの濃度が、試験体H1の上記ガスの濃度よりも高いことが確認された。
【0170】
また、試験開始から2時間経過後の上記ガスの減少率については、試験体H2、H3の上記ガスの減少率が、83%以上であったものの、試験体H1の上記ガスの減少率よりも低いことが確認された。
【0171】
したがって、試験体H2、H3については、比較的優れた消臭性を有することが確認された。
【0172】
以上のことから、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を0.1g/mから0.2g/mにすることの有効性が確認された。
【0173】
(試験結果-視認性確認試験の概要)
続いて、視認性確認試験の概要について説明する。ここで、「視認性確認試験」とは、各試験体の視認性を確認するための試験である。
【0174】
また、視認性確認試験の試験方法については任意であるが、各試験体に人口尿を添加し、当該添加から所定期間経過後(具体的には、6時間経過後)に、各試験体に変色が生じたか否かを目視して確認した。
【0175】
なお、視認性確認試験の結果を補足するためのデータである塗布液の溶出率(具体的には、各試験体に塗布された塗布液が水等によって溶出される比率)を以下の方法で測定した。
【0176】
具体的には、まず、塗布液を塗布する前の各試験体の坪量(g/m)を測定する。
次に、塗布液を塗布した後の各試験体の坪量(g/m)を測定する。
次いで、各試験体において、上記塗布液を塗布した後の坪量を上記塗布液を塗布する前の坪量で減算することにより、塗工量(g/m)を算出する。
次に、上記塗布液を塗布した後の各試験体を公知の方法で乾燥させた後に、当該試験体を容器内の水につけた状態で、当該試験体を10回程度振ってから取り出す。
次いで、上記取り出した試験体を公知の方法で乾燥させた後に、当該乾燥後の試験体の坪量(g/m)を測定する。
続いて、上記乾燥後の試験体の坪量を上記塗布液を塗布する前の坪量で減算することで溶出量を算出した後、上記塗工量から上記溶出量を減算したものを上記塗工量で除算して百分率に変換することにより、溶出率(%)を測定する。
【0177】
また、視認性確認試験に用いられた試験体については、試験体I1から試験体H11に分けられる。
【0178】
ここで、試験体I1から試験体I11は、不織布に抗ウイルス・抗菌層100が形成されたものである。また、試験体I1は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が1%であるものである。また、試験体I2は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が2%であるものである。また、試験体I3は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が3%であるものである。また、試験体I4は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が4%であるものである。
また、試験体I5は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が5%であるものである。また、試験体I6は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が10%であるものである。また、試験体I7は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が12.5%であるものである。また、試験体I8は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が15%であるものである。また、試験体I9は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が20%であるものである。また、試験体I10は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が25%であるものである。また、試験体I11は、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量が0.2g/mであり、且つ塗布液におけるバインダの配合比率が30%であるものである。
【0179】
(試験結果-視認性確認試験の詳細)
次いで、視認性確認試験の試験結果の詳細について説明する。
【0180】
図13に示すように、変色の有無については、試験体I1から試験体I3では変色したことが確認されたものの、試験体I4から試験体I11では変色しなかったことが確認された。
【0181】
また、溶出率については、試験体I1から試験体I3では、75%以上であることが確認されたものの、試験体I4から試験体I11では、55.5%以下であることが確認された。
【0182】
したがって、試験体I4から試験体I11については、人口尿が添加されたことに伴う変色の発生を回避できることが確認された。
【0183】
以上のことから、塗布液におけるバインダの配合比率を4%以上にすることの有効性が確認された。
【0184】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、トップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40に設けられる抗ウイルス・抗菌層100であり、茶葉抽出物質を含む塗布液がトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40に塗布された層である抗ウイルス・抗菌層100と、を備えるので、従来技術(茶葉を含有する吸収シートを備える吸収性物品)に比べて、抗ウイルス・抗菌層100に含まれる茶葉抽出物質が異物として視認されることを回避でき、且つ排尿の視認性の向上を図りやすくなることに加えて、抗ウイルス効果及び抗菌効果の向上も図りやすくなる。よって、吸収性物品10の意匠性を確保しながら、吸収性物品10の使用性を高めることが可能となる。
【0185】
また、抗ウイルス・抗菌層100における茶葉抽出物質の塗布量を、0.1g/mから0.4g/mとしたので、高い抗ウイルス性及び抗菌性を有しながら、吸収性物品10の製造性を確保できる。特に、後述の試験結果より、茶葉抽出物質の塗布量と抗ウイルス性との関係が比例関係にないことを踏まえると、茶葉抽出物質の塗布量が0.4g/mを上回る場合に比べて、同程度の抗ウイルス性を確保できると共に、無駄な茶葉抽出物質の塗布を回避しながら、抗ウイルス・抗菌層100を精度良く形成することが可能となる。よって、吸収性物品10の品質を確保しやすくなる。
【0186】
また、茶葉抽出物質は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含むので、所望の抗ウイルス性及び抗菌性を確実に有することができ、吸収性物品10の品質を確保しやすくなる。
【0187】
また、塗布液は、茶葉抽出物質の変色を防止するための変色防止剤を含むので、茶葉抽出物質の変色を防止でき、吸収性物品10の意匠性を一層確保しやすくなる。
【0188】
また、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40の少なくとも一部を、親水性を有する不織布で構成したので、他の材質に比べて、抗ウイルス・抗菌層100を形成する際に、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40が破損すること等を回避でき、吸収性物品10の製造性を確保しやすくなる。
【0189】
また、塗布液は、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40への当該塗布液の浸透性を高めるための浸透性向上剤を含むので、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40への塗布液の浸透性を高めることができ、抗ウイルス・抗菌層100を精度良く形成することが可能となる。
【0190】
また、塗布液におけるバインダの配合比率を、4%以上としたので、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40が排尿を吸収した際に、当該排尿によるトップシート30、バックシート90、吸収体、又は/及び吸収シート40の色抜け(具体的には、茶葉抽出物質の酸化に伴って茶葉抽出物質の色が抜けること)を回避でき、排尿の視認性を一層向上することができる。
【0191】
また、吸収シート40を、トップシート30と吸収体との相互間に設け、抗ウイルス・抗菌層100を、吸収シート40のみに設けたので、吸収シート40に加えて他の部材にも抗ウイルス・抗菌層100を設ける場合に比べて、吸収性物品10の意匠性、抗ウイルス効果、抗菌効果、及び排尿の視認性を確保しながら、吸収性物品10を簡易且つ安価に製造でき、吸収性物品10の使用性を維持しながら、吸収性物品10の製造性を高めることができる。
【0192】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0193】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0194】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0195】
(吸収性物品について)
上記実施の形態では、トップシート30、吸収シート40、上層吸収体50、中間シート60、下層吸収体70、キャリアシート80、及びバックシート90の平面形状を任意に変更してもよく、例えば、実施の形態で説明した略砂時計形状の構成要素を矩形形状としてもよいし、あるいは、逆に矩形形状の構成要素を略砂時計形状としてもよい。
【0196】
また、上記実施形態では、吸収性物品10が、吸収シート40、上層吸収体50、中間シート60、下層吸収体70、及びスリット51を備えていると説明したが、これに限らず、吸収シート40、上層吸収体50、中間シート60、下層吸収体70、又はスリット51のいずれかを省略してもよい。
【0197】
(吸収シートについて)
上記実施の形態では、吸収シート40が、親水性を有する不織布で構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、当該不織布以外の布材(一例として、織布材、編布材)、又は紙材で構成されてもよい。
【0198】
また、上記実施の形態では、吸収シート40が、トップシート30と上層吸収体50との相互間において2つ設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、1つのみ設けられてもよい。
【0199】
この場合には、吸収シート40の平面形状が、トップシート30の平面形状と略同一に設定されてもよい。また、吸収シート40の左右方向の長さについては、トップシート30の左右方向の長さと略同一に設定されてもよい。
【0200】
(抗ウイルス・抗菌層について)
上記実施の形態では、抗ウイルス・抗菌層100が、吸収シート40のみに設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、吸収シート40に加えて(又は吸収シート40に代えて)、トップシート30、バックシート90、吸収体、立体ギャザー20、又は/及びキャリアシート80に設けられてもよい。
【0201】
この場合には、例えば、抗ウイルス・抗菌層100が設けられるトップシート30、バックシート90、吸収体、立体ギャザー20、又は/及びキャリアシート80は、親水性を有する不織布で構成されてもよい。
【0202】
(塗布液について)
上記実施の形態では、塗布液が、変色防止剤、浸透性向上剤、及びバインダを含んで構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、変色防止剤、浸透性向上剤、又は/及びバインダを省略してもよい。
【0203】
なお、バインダを省略する場合には、例えば、抗ウイルス層22は、バインダを含まない塗布液が吸収シート40に塗布されて乾燥された後に、バインダのみが上記塗布液が塗布された部分に重ねて塗布されて乾燥されることにより、形成されてもよい。
【0204】
(付記)
付記1の吸収性物品は、装着者の肌と当接するトップシートと、前記トップシートにおける前記装着者の肌と当接する側とは反対側に設けられるバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収体と、前記トップシートと前記バックシートとの相互間に少なくとも1つ以上設けられる吸収シートと、前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートに設けられる抗ウイルス・抗菌層であり、茶葉から抽出される茶葉抽出物質を含む塗布液が前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートに塗布された層である抗ウイルス・抗菌層と、を備える。
【0205】
付記2の吸収性物品は、付記1に記載の吸収性物品において、前記抗ウイルス・抗菌層における前記茶葉抽出物質の塗布量を、0.1g/mから0.4g/mとした。
【0206】
付記3の吸収性物品は、付記1又は2に記載の吸収性物品において、前記茶葉抽出物質は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含む。
【0207】
付記4の吸収性物品は、付記1又は2に記載の吸収性物品において、前記塗布液は、前記茶葉抽出物質の変色を防止するための変色防止剤を含む。
【0208】
付記5の吸収性物品は、付記1又は2に記載の吸収性物品において、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートの少なくとも一部を、親水性を有する不織布で構成した。
【0209】
付記6の吸収性物品は、付記5に記載の吸収性物品において、前記塗布液は、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートへの当該塗布液の浸透性を高めるための浸透性向上剤を含む。
【0210】
付記7の吸収性物品は、付記1又は2に記載の吸収性物品において、前記塗布液は、前記抗ウイルス・抗菌層が設けられる前記トップシート、前記バックシート、前記吸収体、又は/及び前記吸収シートと前記茶葉抽出物質とを結合しやすくするためのバインダを含み、前記塗布液における前記バインダの配合比率を、4%以上とした。
【0211】
付記8の吸収性物品は、付記1又は2に記載の吸収性物品において、前記吸収シートを、前記トップシートと前記吸収体との相互間に設け、前記抗ウイルス・抗菌層を、前記吸収シートのみに設けた。
【0212】
付記9のおむつは、付記1又は2に記載の吸収性物品を備える。
【0213】
(付記の効果)
付記1に記載の吸収性物品、及び付記9に記載のおむつによれば、トップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートに設けられる抗ウイルス・抗菌層であり、茶葉抽出物質を含む塗布液がトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートに塗布された層である抗ウイルス・抗菌層と、を備えるので、従来技術(茶葉を含有する吸収シートを備える吸収性物品)に比べて、抗ウイルス・抗菌層に含まれる茶葉抽出物質が異物として視認されることを回避でき、且つ排尿の視認性の向上を図りやすくなることに加えて、抗ウイルス効果及び抗菌効果の向上も図りやすくなる。よって、吸収性物品の意匠性を確保しながら、吸収性物品の使用性を高めることが可能となる。
【0214】
付記2に記載の吸収性物品によれば、抗ウイルス・抗菌層における茶葉抽出物質の塗布量を、0.1g/mから0.4g/mとしたので、高い抗ウイルス性を有しながら、吸収性物品の製造性を確保できる。特に、後述の試験結果より、茶葉抽出物質の塗布量と抗ウイルス性との関係が比例関係にないことを踏まえると、茶葉抽出物質の塗布量が0.4g/mを上回る場合に比べて、同程度の抗ウイルス性を確保できると共に、無駄な茶葉抽出物質の塗布を回避しながら、抗ウイルス・抗菌層を精度良く形成することが可能となる。よって、吸収性物品の品質を確保しやすくなる。
【0215】
付記3に記載の吸収性物品によれば、茶葉抽出物質は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-O-ガレート、テアフラビン-3’-O-ガレート、及びテアフラビン-3、3’-ジガレートを含むので、所望の抗ウイルス性及び抗菌性を確実に有することができ、吸収性物品の品質を確保しやすくなる。
【0216】
付記4に記載の吸収性物品によれば、塗布液は、茶葉抽出物質の変色を防止するための変色防止剤を含むので、茶葉抽出物質の変色を防止でき、吸収性物品の意匠性を一層確保しやすくなる。
【0217】
付記5に記載の吸収性物品によれば、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートの少なくとも一部を、親水性を有する不織布で構成したので、他の材質に比べて、抗ウイルス・抗菌層を形成する際に、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートが破損すること等を回避でき、吸収性物品の製造性を確保しやすくなる。
【0218】
付記6に記載の吸収性物品によれば、塗布液は、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートへの当該塗布液の浸透性を高めるための浸透性向上剤を含むので、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートへの塗布液の浸透性を高めることができ、抗ウイルス・抗菌層を精度良く形成することが可能となる。
【0219】
付記7に記載の吸収性物品によれば、塗布液におけるバインダの配合比率を、4%以上としたので、抗ウイルス・抗菌層が設けられるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートが排尿を吸収した際に、当該排尿によるトップシート、バックシート、吸収体、又は/及び吸収シートの色抜け(具体的には、茶葉抽出物質の酸化に伴って茶葉抽出物質の色が抜けること)を回避でき、排尿の視認性を一層向上することができる。
【0220】
付記8に記載の吸収性物品によれば、吸収シートを、トップシートと吸収体との相互間に設け、抗ウイルス・抗菌層を、吸収シートのみに設けたので、吸収シートに加えて他の部材にも抗ウイルス・抗菌層を設ける場合に比べて、吸収性物品の意匠性、抗ウイルス効果、抗菌効果、及び排尿の視認性を確保しながら、吸収性物品を簡易且つ安価に製造でき、吸収性物品の使用性を維持しながら、吸収性物品の製造性を高めることができる。
【符号の説明】
【0221】
1 おむつ
2 おむつ本体
2a 前側胴周り部
2b 後側胴周り部
2c 股下部
3 外装シート
3a 外側シート
3b 内側シート
4 ファスナー部
10 吸収性物品
11 第1接着剤
12 第2接着剤
13 第3接着剤
14 第4接着剤
20 立体ギャザー
30 トップシート
40 吸収シート
50 上層吸収体
51 スリット
60 中間シート
70 下層吸収体
80 キャリアシート
90 バックシート
100 抗ウイルス・抗菌層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13