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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086678
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】浸水寒気防止装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20240620BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04B1/64 C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211610
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2022212906
(32)【優先日】2022-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519021141
【氏名又は名称】丸山 芳之
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】丸山 芳之
【テーマコード(参考)】
2E001
2E139
【Fターム(参考)】
2E001DA03
2E001FA21
2E001HB01
2E001HD11
2E001NB01
2E001NC02
2E139AA07
(57)【要約】
【課題】主として頻発する浸水被害に備え、また、冬期の節電・省エネ対策のため、基礎パッキン換気工法を採用した建物の基礎パッキン敷設の換気層からの建物の浸水防止、または/及び、寒気流入防止のための装置、同装置を備えた建物及び浸水等防止方法を提供する。
【解決手段】建物の基礎Aと土台Bの間の基礎パッキン敷設部分は換気層Dとなっているが、同換気層Dからの浸水、または/及び、寒気流入を防止する防止部材1、同防止部材1を固定する固定用部材2、同固定用部材2と連結する連結支流体3、同支流体3と連結する連結体4、同連結体4を、手動または電動で作動する移動機器5により、固定用部材1で換気孔を塞ぎ、換気層Dからの建物の浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防鼠型換気孔付き土台水切りが設置された建物に用いられる、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止するための浸水寒気防止装置であって、
前記土台水切りの複数の換気孔を塞ぐための防止部材と、
前記防止部材を、前記複数の換気孔を開放する開放位置と前記複数の換気孔を塞ぐ閉塞位置との間で移動可能に保持する固定用部材と、
前記防止部材又は前記固定用部材に連結され、前記換気層を通じて前記建物内まで延びる複数の連結支流体と、
前記建物内で前記複数の連結支流体に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記開放位置から前記閉塞位置まで移動させる連結体と、
を備える、浸水寒気防止装置。
【請求項2】
換気孔付き防鼠部材が設置された建物に用いられる、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止するための浸水寒気防止装置であって、
前記防鼠部材の複数の換気孔を塞ぐための防止部材と、
前記防止部材に連結され、前記防鼠部材の前記換気孔と前記換気層とを通じて前記建物内まで延びる複数の連結支流体と、
前記建物内で前記複数の連結支流体に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記複数の換気孔を開放する開放位置から前記複数の換気孔を塞ぐ閉塞位置まで移動させる連結体と、
を備える、浸水寒気防止装置。
【請求項3】
防鼠型換気孔を備えた基礎パッキンが設置された建物に用いられる、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止するための浸水寒気防止装置であって、
前記基礎パッキンの複数の換気孔を塞ぐための防止部材と、
前記防止部材に連結され、前記基礎パッキンの前記換気孔を通じて前記建物内まで延びる複数の連結支流体と、
前記建物内で前記複数の連結支流体に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記複数の換気孔を開放する開放位置から前記複数の換気孔を塞ぐ閉塞位置まで移動させる連結体と、
を備える、浸水寒気防止装置。
【請求項4】
前記防止部材を前記開放位置から前記閉塞位置まで移動させるための前記動力を前記連結体に供給する移動機器をさらに備える、
請求項1に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項5】
前記防止部材に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記閉塞位置から前記開放位置まで移動させる解放体と、
前記防止部材を前記閉塞位置から前記解放位置まで移動させるための前記動力を前記解放体に供給する解放作動機器と、
をさらに備える、
請求項1に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項6】
前記建物の周囲の浸水深又は湿度を感知するセンサーをさらに備え、
前記移動機器は、前記センサーからの信号に応じて前記連結体に動力を供給する、
請求項4に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項7】
前記固定用部材は、
前記換気孔に挿入され、前記防止部材を貫通するボルトと、
前記ボルトに取り付けられるナットと、
を含み、
前記ボルトの頭部と前記ナットで、前記土台水切りと前記防止部材を挟む、
請求項1に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項8】
前記ボルトの頭部は、軸回りの第1回転角において前記換気孔に挿入可能で、前記第1回転角と90度異なる第2回転角において前記換気孔に挿入不能な形状を有する、
請求項7に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項9】
前記複数の換気孔は、第1方向に延び、前記第1方向と直交する第2方向に並び、
前記複数の換気孔のうち、前記ボルトが挿入される一部の換気孔は、他の換気孔より前記第1方向に長く、
前記防止部材の前記開放位置から前記閉塞位置への移動に伴って、前記ボルトが前記一部の換気孔を前記第1方向に移動する、
請求項7に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項10】
前記土台水切りの垂直壁に外側から挿入されて固定された、貫通孔を有するピンをさらに備え、
前記連結支流体は、ワイヤー状であり、前記ピンの前記貫通孔を通って前記防止部材又は前記固定用部材に連結される、
請求項1に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項11】
前記防止部材は巻き取り可能に構成され、
巻き取られた前記防止部材を収納する収納体と、
前記防止部材に連結され、動力を受けて前記収納体から前記防止部材を前記換気孔が形成された面に沿って引き出す引き出し体と、
をさらに備える、
請求項1に記載の浸水寒気防止装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れかに記載の浸水寒気防止装置を備える建物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎と土台の間の換気層からの浸水、または/及び、寒気流入を防止する建物浸水防止、または/及び、寒気流入の防止装置、同装置を備えた建物及び建物浸水防止、または/及び、寒気流入の防止方法に関する
【背景技術】
【0002】
建物の床下、外壁内側層の換気を図ることは、建物の湿気防止対策において有効であり、木造建物等の建築方法で多く採用されている。
この換気は、土台水切り内を出入りする空気によって行われる。
また、最近は、基礎の全体に基礎パッキンを敷設し、同パッキンの上に土台を設置し、この基礎と土台の間を換気層として、ここから床下に空気を出し入れして床下換気を行うのが一般的である。
この土台水切り内を空気が通過する換気方法の場合、前記換気層から建物内へ鼠などの小動物が入らないよう防鼠対策を施す必要があり、同対策は大きく分けて3つある。
一つは、防鼠型換気孔付き土台水切りを設置する。二つは、換気層の外側直近に換気孔付き防鼠部材を設置する。三つは、防鼠型換気孔付き基礎パッキンを敷設するものである。
【0003】
しかし、この何れの防鼠型換気孔も、洪水等の水及び冬期の寒気が建物内へ入る浸入経路となり、水等は基礎と土台の間の換気層から床下、建物へ入る。
この換気層からの浸水防止技術としては、「浮き部材で換気孔を塞ぐようにした土台水切り(特許文献1)」、「土台周辺に吸水ポリマーを備えた浸水遮断装置(特許文献2)」などが提案されている。
また、この換気層からの寒気流入防止対策では、「シャッター付き水切り材(特許文献3)」が提案されている。
【0004】
ところで、この建物浸水防止装置は、家人等が建物の全周を歩いてまわり、防水部材一つ一つで換気孔を塞ぐ状態に固定する手作業をしなければならない。
したがって、この手作業には、ある程度の時間を要することと、ウッドデッキやエアコン室外機等設置の箇所では、ウッドデッキ等が邪魔になり作業にはさらに時間を要するおそれがあると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6534605号公報
【特許文献2】特開2021-183760号公報
【特許文献3】特許4755775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、基礎と土台の間の換気層からの浸水、または/及び、寒気流入を防止する防止部材を土台水切り等の換気孔を塞ぐ状態に、建物の1ないし数箇所の位置で手動または電動の機器により、まとめて行うことができるようにした建物の浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の浸水寒気防止装置は、防鼠型換気孔付き土台水切りが設置された建物に用いられる、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止するための浸水寒気防止装置であって、前記土台水切りの複数の換気孔を塞ぐための防止部材と、前記防止部材を、前記複数の換気孔を開放する開放位置と前記複数の換気孔を塞ぐ閉塞位置との間で移動可能に保持する固定用部材と、前記防止部材又は前記固定用部材に連結され、前記換気層を通じて前記建物内まで延びる複数の連結支流体と、前記建物内で前記複数の連結支流体に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記開放位置から前記閉塞位置まで移動させる連結体と、を備える。これによれば、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止することが可能となる。
【0008】
また、本発明の他の態様の浸水寒気防止装置は、換気孔付き防鼠部材が設置された建物に用いられる、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止するための浸水寒気防止装置であって、前記防鼠部材の複数の換気孔を塞ぐための防止部材と、前記防止部材に連結され、前記防鼠部材の前記換気孔と前記換気層とを通じて前記建物内まで延びる複数の連結支流体と、前記建物内で前記複数の連結支流体に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記複数の換気孔を開放する開放位置から前記複数の換気孔を塞ぐ閉塞位置まで移動させる連結体と、を備える。これによれば、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止することが可能となる。
【0009】
また、本発明の他の態様の浸水寒気防止装置は、防鼠型換気孔を備えた基礎パッキンが設置された建物に用いられる、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止するための浸水寒気防止装置であって、前記基礎パッキンの複数の換気孔を塞ぐための防止部材と、前記防止部材に連結され、前記基礎パッキンの前記換気孔を通じて前記建物内まで延びる複数の連結支流体と、前記建物内で前記複数の連結支流体に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記複数の換気孔を開放する開放位置から前記複数の換気孔を塞ぐ閉塞位置まで移動させる連結体と、を備える。これによれば、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止することが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記防止部材を前記開放位置から前記閉塞位置まで移動させるための前記動力を前記連結体に供給する移動機器をさらに備えてもよい。これによれば、移動機器を用いて防止部材を開放位置から閉塞位置まで移動させることが可能となる。
【0011】
上記態様において、前記防止部材に連結され、動力を受けて前記防止部材を前記閉塞位置から前記開放位置まで移動させる解放体と、前記防止部材を前記閉塞位置から前記解放位置まで移動させるための前記動力を前記解放体に供給する解放作動機器と、をさらに備えてもよい。これによれば、解放作動機器を用いて防止部材を閉塞位置から開放位置まで移動させることが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記建物の周囲の浸水深又は湿度を感知するセンサーをさらに備え、前記移動機器は、前記センサーからの信号に応じて前記連結体に動力を供給してもよい。これによれば、浸水深又は湿度に応じて防止部材を移動させることが可能となる。
【0013】
上記態様において、前記固定用部材は、前記換気孔に挿入され、前記防止部材を貫通するボルトと、前記ボルトに取り付けられるナットと、を含み、前記ボルトの頭部と前記ナットで、前記土台水切りと前記防止部材を挟んでもよい。これによれば、土台水切りに防止部材を容易に固定することが可能となる。
【0014】
上記態様において、前記ボルトの頭部は、軸回りの第1回転角において前記換気孔に挿入可能で、前記第1回転角と90度異なる第2回転角において前記換気孔に挿入不能な形状を有してもよい。これによれば、土台水切りに防止部材を容易に固定することが可能となる。
【0015】
上記態様において、前記複数の換気孔は、第1方向に延び、前記第1方向と直交する第2方向に並び、前記複数の換気孔のうち、前記ボルトが挿入される一部の換気孔は、他の換気孔より前記第1方向に長く、前記防止部材の前記開放位置から前記閉塞位置への移動に伴って、前記ボルトが前記一部の換気孔を前記第1方向に移動してもよい。これによれば、第1方向に長く形成された一部の換気孔を利用して防止部材を開放位置と閉塞位置の間で移動させることが可能となる。
【0016】
上記態様において、前記土台水切りの垂直壁に外側から挿入されて固定された、貫通孔を有するピンをさらに備え、前記連結支流体は、ワイヤー状であり、前記ピンの前記貫通孔を通って前記防止部材又は前記固定用部材に連結されてもよい。これによれば、連結支流体が防止部材を移動させる方向を調整することが可能となる。
【0017】
上記態様において、前記防止部材は巻き取り可能に構成され、巻き取られた前記防止部材を収納する収納体と、前記防止部材に連結され、動力を受けて前記収納体から前記防止部材を前記換気孔が形成された面に沿って引き出す引き出し体と、をさらに備えてもよい。これによれば、巻き取られた防止部材を引き出すことで防止部材を閉塞位置に移動させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の他の態様の建物は、上記態様の浸水寒気防止装置を備える。これによれば、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止した建物を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基礎と土台の間の換気層からの浸水又は寒気流入を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】建物内外の部材、機器、センサー等の設置位置概略図。
図2】態様1、4の防止部材1、T字状の頭部フック・ボルト11の概略図。
図3】態様1の防止部材1を外枠状の固定用部材2で固定等の概略図。
図4図4-1は、態様1の防止部材1、連結支流体3が土台水切り外部から内部へ入る方法、連結体4の概略図。図4-2は、拡大概略図。
図5】態様2の防止部材1、連結支流体3、連結体4等の概略図。図5-1は、防止部材1が防鼠部材7へ密着している状況。図5-2は、解放体14で防止部材1を押し出した状況
図6】態様3の防止部材1、連結支流体3、連結体4等の概略図。図6-1は、防止部材1が基礎パッキン12に密着している状況。図6-2は、解放体14で防止部材1を押し出した状況。
図7】態様6の解放体14、解放用溝17等の概略図。図7-1は、解放体14が防止部材1を押していない状況。図7-2は、解放体14が移動して防止部材1を押し出した状況。
図8図8-1は、態様5のガイドレール2aの概略図。図8-2は、基礎パッキン12の外側へガイドレール2a設置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記課題を解決して上記目的を達成するため、態様1に記載の発明は、防鼠型換気孔付き土台水切りを設置する建物に用いる基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であって、前記換気孔を塞ぎ同換気孔からの浸水、または/及び、寒気流入を防止する平板状等の形に成形した防止部材と、同防止部材で前記換気孔を塞ぐように前記土台水切りへ固定するフック状、ボルト状、ワイヤー状等の固定用部材、または土台水切り下部の外枠状固定用部材と、前記固定用部材または前記防止部材と連結体を連結するワイヤー状等の連結支流体と、同連結支流体を介して前記防止部材と連結するワイヤー状等の連結体と、前記防止部材が前記換気孔を塞ぐ状態になるよう同防止部材を移動させる方向に前記連結体を移動させる手動または電動で作動する移動機器と、からなる基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0022】
態様2に記載の発明は、換気孔付き防鼠部材を設置する建物に用いる基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であって、前記換気孔を塞ぎ同換気孔からの浸水、または/及び、寒気流入を防止する平板状等の形に成形した防止部材と、同防止部材で前記換気孔を塞ぐように前記防鼠部材へ前記防止部材を密着させるワイヤー状等の固定用部材と、前記固定用部材と連結体を連結するワイヤー状等の連結支流体と、同連結支流体を介して前記防止部材と連結するワイヤー状等の連結体と、前記防止部材が前記換気孔を塞ぐ状態になるよう同防止部材を移動させる方向に前記連結体を移動させる手動または電動で作動する移動機器と、からなる基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0023】
態様3に記載の発明は、防鼠型換気孔付き基礎パッキンを設置する建物に用いる基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であって、前記換気孔を塞ぎ同換気孔からの浸水、または/及び、寒気流入を防止する平板状等の形に成形した防止部材と、同防止部材で前記換気孔を塞ぐように前記基礎パッキンへ前記防止部材を密着させるワイヤー状等の固定用部材と、同固定用部材と連結体を連結するワイヤー状等の連結支流体と、同連結支流体を介して前記防止部材と連結するワイヤー状等の連結体と、前記防止部材が前記換気孔を塞ぐ状態になるよう同防止部材を移動させる方向に前記連結体を移動させる手動または電動で作動する移動機器と、からなる基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0024】
態様4に記載の発明は、態様1に記載の建物のうち既存の建物に浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置を適用する場合であって、外枠状固定用部材を用いない方法で前記土台水切りへ防止部材を固定するための前記固定用部材をT字状頭部のフックまたはボルトで構成していることを特徴とする基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0025】
態様5に記載の発明は、態様1ないし3の何れか1項に記載の換気孔を塞いで基礎と土台の間の換気層からの建物の浸水、または/及び、寒気流入を防止する装置であって、前記防止部材をコンベックス等の巻取り可能な素材及び形状で構成していることと、同防止部材を巻取って収納するためのメジャーケース状等の収納体と、同防止部材を前記収納体から引き出して前記換気孔を塞ぐ状態に同防止部材の両端を内包する状態で固定するガイドレール(外枠)の固定用部材と、前記防止部材を前記固定用部材内に沿って引き出すためのワイヤー状等の引き出し部材と、前記防止部材で前記換気孔を塞ぐ状態にするよう前記引き出し部材を移動させる手動または電動で作動する引き出し移動機器と、を備えていることを特徴とする基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0026】
態様6に記載の発明は、態様1ないし4の何れか1項に記載の建物の浸水、または/及び、寒気流入防止装置に適用するものであって、前記防止部材で前記換気孔を塞ぐ状態から防止部材を押し出して解放し、同防止部材が前記換気孔を塞がない状態にするためのチェーン状、棒状等で構成する解放体と、同解放体を前記防止部材を解放する方向に移動させる手動または電動で作動する解放作動機器と、を備えていることを特徴とする基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0027】
態様7に記載の発明は、態様1ないし5の何れか1項に記載の建物の基礎と土台の間の換気層からの浸水、または/及び、寒気流入防止装置であって、建物周囲に設置して同所の浸水深、または/及び、湿度を感知するセンサーと、同センサーが一定の、浸水深、または/及び、低湿度を感知した信号を受信することにより作動して、前記防止部材が前記換気孔を塞ぐ状態になるよう同防止部材を移動させるための電動の移動機器、同引き出し機器、同解放作動機と、を備えていることを特徴とする基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置であることを特徴とする。
【0028】
態様8に記載の発明は、態様1ないし7の何れか1項に記載の基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入防止装置を適用した主として浸水深1メートル未満の浸水に強く、厳寒期等の寒冷気に強い建物であることを特徴とする。
【0029】
態様9に記載の発明は、態様1ないし7の何れか1項に記載の基礎と土台の間の換気層からの浸水防止、または/及び、寒気流入装置を適用した建物浸水防止、または/及び、寒気流入防止方法であることを特徴とする。
【0030】
態様1ないし5の発明によれば、建物の基礎と土台の間の換気層からの建物内への浸水、寒気流入の防止を図るよう、1ないし数箇所のまとまった位置で、手動または電動で作動する機器により、防止部材を浸水等を防止する状態に固定することができる。
なお、態様5の発明は、上記効果に加えて、防止部材をコンベックスのような巻取り可能な素材等で形成しているため、例えば5メートル以上の長さであっても、製造、輸送が可能であり、また、連続した防止部材のため水密性を高めることができる。
態様6の発明によれば、浸水等防止状態で固定している防止部材を、1ないし数箇所の位置で、手動または電動で作動する機器により換気孔を塞がない状態に戻すことができる。
態様7の説明によれば、建物周囲の浸水深、湿度が一定の数値になったことをセンサーが感知し、このセンサーと連動した電動の移動機器が作動して、自動で換気孔を塞ぐことができる。
態様8の発明によれば、建物の浸水被害、寒気流入に強い建物の実現を図ることができる。
態様9の発明によれば、地域、行政、団体、企業等が協力して、浸水防止、寒気流入防止による、水害廃棄物の削減、冬期の節電等による脱炭素効果が期待できる。
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態、本発明の技術的範囲については、以下の実施形態及び図示に限定されるものではなく、本発明の実施には既存技術等を用いるものとする。
なお、図示では各部材等の配置等を分かりやすいように各部材等の配置に隙間を開けた概略図として表示している部分もあるが、実際は、水密性確保が必要な部分等では各部材等は密着している。
【0032】
まず、態様1ないし7に共通するものについて説明する。
防止部材1は、水、寒気が、各換気孔を経て、基礎と土台の間の換気層から建物内へ浸入することを防止するためのものであるから、耐候性、耐久性を備え、特に浸水時の耐水性、耐水圧性を備えている金属、樹脂、その他の素材とする。
形状は、平板を基本として、両端または一端等にL字状等の補強部分等を備えたものであってもよい。
なお、防止部材1の換気孔6a等と接する面に吸水シート、吸水スポンジ、パッキン等を貼付しておくのが水密性を向上できてよい。
【0033】
固定用部材2は、防止部材1を水、寒気の浸入を防止するよう各換気孔を塞ぐ位置で固定するためのものであるから、防止部材1と同じく、耐候性、耐久性、耐水性を備えた金属、樹脂、その他の素材とする。
形状は、各態様によって相応しいものがあるが、例えば、態様1では、頭部がL字状、T字状、丸皿状等のフックまたはボルト、ワイヤー状、枠状のもので、防止部材1を土台水切り6へ確実に固定できる機能を有するものであれば形状等を限定しない。
【0034】
態様1ないし4に共通するものについて説明する。
連結支流体3は、固定用部材2と連結体4の間に介在して、両方を連結するためのものである(ただし、態様1では、防止部材1と連結体4を直接連結する場合がある)から、耐候性、耐久性、耐水性を備えた金属、樹脂、その他の素材とする。形状は、各態様によって相応しいものがあるが、ワイヤー状、棒状等である。
【0035】
連結体4は、複数の連結支流体3、固定用部材2を介して、1ないし数箇所に設置した移動機器5により巻き取る等して、防止部材1を浸水、寒気の流入を防止する状態に移動させるためのものであるから、耐候性、耐久性、耐水性を備えた金属、樹脂、その他の素材とする。
形状は、移動機器5によって巻取り式、送りだしローラー式等で移動するものであるため、巻取り式に対応しやすいワイヤー状、送りだし式に対応しやすい棒状、平板状等とし、また、これらの形状のものを組み合わせたものなど形状に限定はない。
【0036】
移動機器5は、巻取り式等で連結体4を巻き取る等して移動機器5方向へ連結体4を移動させ、防止部材1を換気孔を塞ぐ位置に移動させる機器である。
具体的には、建物の形等によって建物の1ないし数箇所に設置して、連結体4を手動または電動で巻取るなどして移動させるものである。例えば連結体4がワイヤー状であればワイヤー巻き取り機とする。また、連結体4をベルト、チェーンにしてもよく、移動機器5は、モーター、リミットスイッチ、減速機、従動プーリ、ベルト等を組み合わせた機器として、機器に採用する技術方式に限定はない。
なお、防止部材1を換気孔を塞ぐ位置から塞がない位置に戻すため、連結体4を逆方向に移動する機能を備えた移動機器5でもよい。
また、作動は、手動または電動とするが、電動であっても停電時等に備え、手動で巻取り等ができる機能を併せ持つものがよい。
【0037】
上記各部材等の配置状況は、図1のように、建物内に配置してもよいし、図示していないが、全体または一部を基礎Aの外周沿い、土台水切りC沿い等の建物外に配置してもよい。
【0038】
各態様の実施形態について順次説明する。
態様1は、防鼠型換気孔付き土台水切り6の浸水等防止装置である。
建物の土台水切りC・6は、雨水、はね返り水が建物の土台B等に接しないよう、また、換気効率を考慮して、玄関等を除く建物のほぼ全周に設けられている(図1参照)。
土台水切りCの一種である防鼠型換気孔付き土台水切り6の換気孔6aの形状は、一般的に長方形であり、サイズは長辺1センチメートル程度、短辺5ミリメートル程度である。
態様1の実施形態1では、図2のように、フック等の固定用部材2で防止部材1を固定する換気孔6bについて、長辺を建物側に長くするのが一つの特徴である。既設の防鼠型換気孔付き土台水切り6の場合であれば、設置状態のままで金鋸等により防止部材1を固定する換気孔6aをフック等が収まる形状に建物側へ大きく加工して防止部材1を固定する換気孔6bとする。
また、態様1の実施形態2として、図3のように、実施形態1(フック等の固定用部材2を用いた固定方法)でなく、防止部材1を土台水切り下部に設けた外枠状の固定用部材2に内包して固定する方法を提供している。これは、平時に防止部材1で換気孔6aを塞がないよう、外枠状の固定用部材2の建物側に防止部材1を収納しておくものである。
この実施形態の、外枠状の固定用部材2は、耐久性、耐候性を有した素材で、土台水切りのサイズに合ったものを形成する。この底壁部は、防止部材1が落下しないよう支える部分以外については換気が可能な状態に開口する。この開口部から土台水切り6の換気孔6a・6bを空気が出入りする。
これまでの防鼠型換気孔付き土台水切り6では、このような形状、機能(実施形態1、2に対応)は有していない。そのため、既設の土台水切り6では、一部の換気孔6aを大きくして6bとするか、または、外枠状の固定用部材2をネジ止め等で固着する。
なお、新築の場合は、予め上記のように換気孔6bの形状としておくか、または外枠状の固定用部材2の機能を備えた形状の土台水切り6を製造して本装置に用いる。
【0039】
上記2つの実施形態の何れでも、防止部材1は、平時では、土台水切り6の下部外側に換気孔6aを閉塞しない状態(建物側)で固定しておく(図2、4参照)。
上記の実施形態1、2とも、浸水、寒気流入を防止する必要時には、図3のように、その防止部材1を手動または電動で作動する移動機器5によって、連結体4、連結支流体3を介して、換気孔6aを塞ぐ位置へ移動させ、同位置で固定しておいて、浸水等を防止する。
この防止部材1の、素材、厚さは、0.1ミリメートル程度以上の金属製コンベックス、樹脂、木製合板等でよく、材質、厚さに制限はない。
幅は、防鼠型換気孔6aを閉塞できる幅を有することが必要である。
長さは、巻けないものであれば一般建材と同様に2メートルから3メートル程度が輸送等で扱いよいし、コンベックス等の巻けるものであれば、それ以上の長さであるほうが、つなぎ部分が少なくなり水密性が高まり浸水等防止性能が向上できてよい。
【0040】
固定用部材2は、防止部材1を土台水切り6に密着させ、気密性、特に水密性を確保した状態で固定するためのものである。
固定する方法は、上述のとおり2つに大別する。一つ(実施形態1)は、換気孔6aの一部を建物側に大きくした換気孔6bとして、平時には同部分でフック等の固定用部材2で固定した防止部材1を建物側で収納しておくタイプである。
この場合の固定用部材2が、フック状、ボルト状の場合、本装置を既設の土台水切り6に設置する場合は、フック等の頭部が換気孔6bから土台水切り6内へ入れることができる形状であり、かつ、換気孔6bから抜け落ちない形状である必要があるため、頭部がL字状、T字状のフック、ボルト等とする。なお、頭部が皿状等円形のボルト等であっても、換気孔6bを貫通できるサイズのものを貫通させて、土台水切り6内で換気孔6bの短辺より経が大きい円形ワッシャー等と組み合わせて使用することは可能であるが、作業効率上非効率である。
新築の場合は、土台水切り換気孔6bへフックまたはボルトの頭部が円形の皿ネジを入れて、防止部材1を固定することは可能であるため、フック等の頭部の形状は換気孔6bから抜け落ちない換気孔6bの短辺より大きいサイズであれば、頭部の形状に限定はない。
また、固定用部材2をワイヤー状のものとした場合、上方の一端は、換気孔6bを貫通させ円形のワッシャー状のものを入れてスリーブ等で固着して換気孔6bから抜け落ちないようにする。一方、下方になる端は防止部材1を貫通してスリーブ止め等の既存技術で固着すればよい。
防止部材1を土台水切り6へ固定するもう一つの方法(実施形態2)は、防止部材1を内包できる外枠状の固定用部材2を土台水切り6の下部に備えたものである。
既設の土台水切り6の場合は、その下部へ当該土台水切りのサイズに合わせて形成した外枠状の固定用部材2をネジ止め等で固着する。また、新築の場合は、土台水切り6にこのようにして外枠状の固定用部材2を固着してもよいし、外枠状の固定用部材2の機能を備えた土台水切り6を製造して用いてもよい。
【0041】
連結支流体3は、固定用部材2または防止部材1と連結体4を接続するためにこれらの間に介在するものであり、防止部材1をフック状等とした場合は、同フック状等の固定用部材2と連結体4の間に介在して固着連結するものである。なお、外枠状の固定用部材2とした場合は、防止部材1と連結体4を直接固着連結してもよい。素材は、金属等、耐候性、耐久性を有するものとし、形状は、ワイヤー状、ボルト状、棒状等でよい。
この防止部材1と固着した連結支流体3は、図3のように、土台水切り6の垂直壁に外側から貫通して固定したピン3a(土台水切6の内側部分の軸に貫通孔があるもの)の貫通孔を介して、防止部材1と固着する。連結支流体3をこのピン3aの貫通孔を通すことで、連結支流体3が建物内方向へ移動することで防止部材1は、建物外方向へ水平移動して換気孔6a、6bを塞ぐ状態となる。
なお、図4(4-1、4-2)のように、固定用部材2と固着した連結支流体3を土台水切り6の外壁に沿わせ、垂直壁に挿入したピン3b(水密性を確保するためのピン)を貫通させて土台水切り6内へ入れ、基礎と土台の間の換気層Dを横断させて、連結体4と連結させ、連結支流体3が建物内方向へ移動することで防止部材1は、建物外方向へ水平移動する形態でもよい。
【0042】
連結体4は、複数の固定用部材2または防止部材1と固着した複数の連結支流体3と連結するものである。要するに、連結体4は、連結した複数の防止部材1を、1ないし数箇所の位置に設置した移動機器5の作動により、換気孔6a(6b)を閉塞する状態に移動させるためのものである。
例えば、実施形態1のフック状の固定用部材2で1メートルの間隔で防止部材1を土台水切り6へ固定した場合、同固定用部材2と固着した複数のワイヤーの連結支流体3をそれぞれワイヤーの連結体4に固着し、ワイヤーの連結体4を移動機器5で巻き取る等して引き寄せることで、防止部材1により換気孔6a・6bを塞ぐことができる。
また、実施形態2の固定用部材2を外枠状の固定用部材2とした場合は、防止部材1に1メートルの間隔で連結支流体3を固着し、その連結支流体3を連結体4へ固着して、上記と同様に、連結体4を移動機器5で引き寄せることで、防止部材1で換気孔6aを塞ぐことができる。
【0043】
移動機器5は、連結体4の一端を、巻き取るか、送りだすかすることで、連結体4を引き寄せて、防止部材1を換気孔6a(6b)を閉塞する状態の位置に移動させるためのものである。
作動は、手動の巻き取り機、送りだし機、またはモーター、制御盤、スイッチ等からなる電動の巻き取り機とする。
【0044】
態様2について説明する。
これは、防鼠型換気孔付きでない土台水切りCで、基礎と土台の間の換気層Dの直近外側に土台Bに釘止め等で防鼠部材7を設置した場合の換気層Dからの浸水等防止装置である。なお、この防鼠部材7は、基礎全体に敷設した防鼠型換気孔付き基礎パッキン12、または基礎上に部分的に敷設した換気孔なし基礎パッキン12aで用いられることが多いため、図5のように、連結支流体3、解放体14は、防鼠型換気孔付き基礎パッキン12の内部を貫通させるか、換気孔なし基礎パッキン12aが敷設されてない基礎上(空間)に設置することができる。
防止部材1は、平時には、防鼠部材7の下方の基礎Aの外周に接する位置で吊り下げた状態にしておく。防鼠部材7の換気孔を閉塞する際は、移動機器5を作動させて連結支流体3、または連結体4と接続された防止部材1を同喚起孔の位置に移動させ、そのまま建物内方向に引っ張る力で防鼠部材7の外側へ密着した状態で固定しておくようにする。
素材、厚さ、幅、長さは、態様1と同様である。
【0045】
固定用部材2は、ワイヤー状のものとするのがよい。これは、態様2の場合、態様1と違って、防止部材1で防鼠部材7の換気孔を塞がない平時の状態では、防止部材1を防鼠部材7に固定しておくスペースがないため、図5-2のように、吊り下げた状態としておくためである。
このためワイヤー状のものは変形可能であり、防止部材1を基礎A直近に吊り下げた状態から、換気孔閉塞状態へ引き上げる際の可動性が良くなる。
なお、防止部材1を基礎Aの外周に設けた棚状等の保管部分へ乗せておくようにしてもよい。
【0046】
連結支流体3、連結体4、移動機器5は、態様1と同じである。
なお、連結支流体3は、固定用部材2のワイヤー等を延長したものでもよい。
【0047】
態様3について説明する。
これは、建物に防鼠型換気孔付き基礎パッキン12を採用し、土台水切りCに防鼠型換気孔6aを備えてなく、また防鼠部材7も設置していない場合の浸水等防止装置である。
図6-2のように、防止部材1は、防鼠型換気孔付き基礎パッキン12の換気孔を閉塞しない状態では、土台Bの外側に近接する基礎A上の外端部に在る。ただし、同外端部が狭く防止部材1が基礎A外端部に乗らない場合は、態様2と同様、防止部材1を基礎Aの外周に接する位置で吊り下げた状態にしておく。
そして、図6-1のように、浸水予測時等に手動または電動で移動機器5を作動させて、連結体4、連結支流体3と連結する防止部材1を建物内方向へ引っ張って、換気孔に密着固定して、そのままの引っ張る力で防止部材1の固定状態を維持して浸水等を防止する。
厚さ、素材は、態様1と同様である。
幅は、防鼠型換気孔付き基礎パッキン12の換気孔を閉塞できる幅を有し、基礎Aと土台Bの間(換気層D)にスムーズに出し入れできるよう、同間より極少し狭めに調整しておいてもよい。
長さは、態様1と同様である。
【0048】
固定用部材2は、形状は、ワイヤー状が変形可能なため取付け時、作動時に扱い易いが、ボルト状、フック状等であってもよい。
例えば、ワイヤー状とすれば、一端は防止部材1を貫通して端末でスリーブ止め等により固着し、もう一端は連結支流体3とスリーブで連結固着する等がよい。
防止部材1で換気孔を閉塞する状態にする場合は、移動機器5を作動させて、連結体4、連結支流体3を移動機器5方向に移動させ、防止部材1を基礎パッキン12側(建物内)方向に引っ張る力で基礎パッキン12の外側に密着させた状態で固定する。
なお、連結支流体3を介せずに直接連結体4と直結してもよい。この場合は、防止部材1と固着していない方の一端を基礎パッキン12の換気孔を貫通して連結体4とスリーブ止め等で固着する。
【0049】
連結支流体3、連結体4、移動機器5は、態様1と同様である。
【0050】
既存の建物では、既設の基礎パッキン12の換気孔をワイヤー等の固定用部材2、または連結支流体3で貫通させるのが設置しやすいが、新築建物の場合は、基礎A上部、土台B下部に固定用部材2等が収まる支流用溝16を設けて、同溝16で固定用部材2等を換気層D(基礎Aの上方)を横断させれば、基礎パッキン12の内部で固定用部材2等が摩擦等することの負荷が生じず同基礎パッキン12の内部損傷等を防ぐことにつながる。
また、同溝16の横断角度を移動機器5の方に鋭角にすれば、防止部材1を建物内方向に引っ張る際に基礎A、土台Bの支流用溝16内での固定用部材2等への摩擦抵抗を少なくし、防止部材1をスムーズに移動できる利点がある。
なお、固定用部材2または連結支流体3は、基礎パッキン12の換気孔内、または同基礎パッキン12の上下の支流用溝16に設置するため、連結体4の設置位置は、建物内(床下)の土台B沿いが設置しやすい。ただし、連結支流体3、連結体4、移動機器5は、建物外(基礎A外周等)へ設置してもよい。
また、例えば、ウッドデッキ等を設置した部分では、固定用部材2または連結支流体3の一端を建物外へ出し、連結体4でまとめてウッドデッキの床下を通過させ、ウッドデッキの外側まで延ばし、同所で移動機器5で連結体4を引き寄せることで、防止部材1で換気孔部分を容易に閉鎖することができる。ただし、この場合、連結体4でまとめることを省略して連結支流体3を直接引き寄せてもよい。
【0051】
態様4について説明する。
これは、態様1の実施形態1に適用する実施形態である。
既存建物の防鼠型換気孔付き土台水切り6の換気孔6aの一部を大きくした換気孔6bに入れたフック状の固定用部材2で、防止部材1を吊り下げた状態で固定した場合について、固定用部材2をT字状の頭部のフック11または同ボルト11とするものである。
換気孔6bは、換気孔6a(長辺1センチメートル程度×短辺5ミリメートル程度)の長辺を大きくしたものであるため、既設の土台水切り6では、直径7ミリメートル程度以上の皿ネジ等円形頭部のフック、ボルトではこの換気孔6bを貫通できない。また、換気孔6bの長方形より小さいL字状の頭部のフック等は換気孔6bを貫通するが、固定後にL字部分が回って換気孔6bから抜け出るおれがある。
その点、T字状の頭部のフック11、同ボルト11にすれば、T字頭部の一端が土台水切り6の垂直壁内側に当たるなどして、頭部が換気孔6bから抜け出るおそれが少なくなる。
太さが4ミリメートル程度と細いT字状の頭部のフック11、ボルト11は特殊であるが、本装置を既設の防鼠型換気孔付き土台水切り6に適用するには適切な形状である。
なお、新築の場合は、頭部が皿状等円形のフック、ボルトであっても、設置する前の土台水切り6の内側から換気孔6bへ貫通させ、防止部材1を固定することができる。また、換気孔6bの短辺より大きい外径の円形頭部は、換気孔6bから抜け出ることはないが、T字状の頭部のフック11、同ボルト11の使用を妨げるものではない。
【0052】
態様5について説明する。
これは、態様1ないし3に記載の換気孔に適用する実施形態である。
その特徴は、防止部材1を金属、樹脂等のコンベックス状の巻取り可能なものとするものである。
防止部材1が、巻取り可能であるため、換気孔(6a等)を閉塞しない平時には、コンベックスメジャーのように、メジャーケース様の収納体8へ収納しておくことができる。この収納体8は、土台水切り(C、6)に接して設けておくものとする。
そして、防止部材1で換気孔(6a等)を塞ぐ際は、防止部材1の先端付近と連結したワイヤー状等の引き出し体9により収納体8から引き出して、ガイドレール状の固定用部材2に内包した状態で移動させ換気孔(6a等)を塞ぐ。
態様1の実施形態2の場合、その形状は外枠状の固定用部材2の建物側部分を削減し、すなわち防鼠型換気孔付き土台水切り6の換気孔6aの直下部分のみの形状とする。この形状とした防止部材1は、ガイドレールの性質を有する外枠状の固定用部材2の内部を建物外周沿いに移動することになる。
態様2の実施形態では、防鼠部材7の外側に、図8の8-1(設置時を建物内方向から見た概略図)のような形状のガイドレール2aを設ける。そして、防止部材1の上下端をガイドレールで内包するように固定して換気孔を塞ぐ。
態様3の実施形態では、図8の8-1のような形状のガイドレール2aを、8-2のように防鼠型換気孔付き基礎パッキン12の外側に設ける。そして、態様2と同様に防止部材1の上下端をガイドレール2aで内包するようにして固定して換気孔を塞ぐ。
何れの実施形態も、既存建物では、ガイドレール(外枠)の固定用部材2(態様1適用)、またはガイドレール2a(態様2、3適用)を金属、樹脂等の耐久性、耐候性を有する素材で成形したものを、態様1では土台水切り6の下部へ、態様2では防鼠部材7の外側へ、態様3では基礎パッキン12の外側へ後付けで固着する。また、新築建物では、土台水切り6の下方に外枠(ガイドレール)を、防鼠部材7の外側に、基礎パッキン12の外側にガイドレール(図8-1参照)を、それぞれ形成したものを設置すればよい。
ただし、何れも、防止部材1は、出隅、入隅部分で90度に曲がるため、その部分ではガイドレール(外枠)の固定用部材2に内包し難く、また同部分では曲がった状態では動かし難いため、この実施形態は、短い直線部分のある建物において適用(設置)するのは馴染まないが、数メートルの長い直線部分からなる四角形の建物で適用するのがよい。
また、引き出し体9を引っ張るのは、手動または電動で作動する引き出し機器10により巻き取る等して、防止部材1を収納体8から引き出す。なお、引き出し機器10の作動を電動とした場合、態様6の浸水深等センサー13と組み合わせてもよいし、単独でスマホ等で遠隔操作できるものとしてもよい。
また、防止部材1を収納体8へ収納する際は、収納体8、引き出し機器10等にストッパーを設けている場合は、このストッパ-を解除して、収納体8の内部に備えたバネの反作用で巻き取って収納する。
【0053】
態様6の実施形態について説明する。
態様1ないし4の実施形態では、防止部材1が浸水等を防止する状態から、換気孔(6a等)を塞がない状態に戻すためには、家人等が建物外周をまわりながら、防止部材1を一つ一つ手作業で換気孔を塞がない状態にしなければならず手間と時間がかかる。
この実施形態は、このように防止部材1を一つ一つ取り外す手間と時間を省くための装置である。
まず、解放体14について説明する。これは、材質は、耐久性、耐候性を有する金属製、樹脂製等とし、連結体4に相当する部分と、連結支流体3に相当する部分からなる。連結体4に相当する部分は、連結体4と同様、ワイヤー状、チェーン状等形状を限定しない。連結支流体3に相当する部分は、態様1に適用する場合は、ワイヤー状等形状を限定しない。しかし、態様2、3に適用する場合は、防止部材1を押し出すものであることから、棒状、平板状とする。また、防止部材1を押せるように、防止部材1と接する形状を有した先端部としておく。また、連結体4、連結支流体3に相当する部分は、その連結部14aを可動式にする。この可動式により、連結支流体3に相当する部分が、解放用溝17の中で配置角度を変更することができ、先端部が建物外方向へ出て防止部材1を押し出すことができる。
態様1の実施形態2に適用した場合は、図3のように、手動または電動で作動する解放作動機器15により、解放体14を建物内方向へ移動させ、防止部材1を土台水切り6の下部の固定用部材2内を建物内方向に引っ張って水平移動させ、換気孔6aを塞がない平時の状態とする。なお、図示していないが、態様1の実施形態1についても同様である。
態様2の実施形態では、図7のように、解放作動機器15により、土台Bの下部または基礎Aの上部に設けた台形状の解放用溝17内に設置した棒状、平板状等の解放体14で防止部材1を建物外方向に押し出して、図5-2のように、防止部材1を基礎Aの外周に接する位置で吊り下げた状態にする。
態様3では、図7のように、態様2同様、解放作動機器15により、解放用溝17内に設置した棒状、平板状等の解放体14で防止部材1を建物外方向に押し出して、図6-2のように、防止部材1を基礎A上部外端部、または図5-2のように、基礎Aの外周に接する位置で吊り下げた状態にする。
このようにして、建物のほぼ全周に設置した防止部材1を、1ないし数箇所に設置した解放作動機器15を作動させることで、換気孔(6a等)を塞がない平時の状態へ容易に解放することができる。
なお、解放作動機器15を作動する前に、移動機器5を作動させ、連結支流体3が防止部材1を引っ張って(換気孔(6a等)を閉塞して)いる状態を解除するよう、連結体4を引っ張っている力を解放状態とする。
このように、解放作動機器15と移動機器5の作動具合の調整は重要であるため、解放体14と連結支流体3、連結体4による防止部材1へのテンション等を最適な状態に調整した本装置を各建物に採用することとする。
さらに、解放作動機器15と移動機器5の作動を電動とした場合、スマホ等で遠隔操作できるし、湿度センサーと連結すれば、湿度具合により換気孔(6a等)の開閉塞が適切にできる。
【0054】
態様7の実施形態について説明する。
態様1ないし5の何れにしても、移動機器5または引き出し機器10を電動で作動させる場合、作動スイッチを家人等が任意にオン状態にしなければならない。
しかし、豪雨による浸水は極短時間で基礎を超える深さに至る場合があり、また、温暖地であっても冬期には気温とともに湿度も低くなることがあり、浸水深、湿度の一定数値は家人等が気付き難い。
このため、浸水深、湿度センサー13を建物近くに設置し、予めセンサー13に一定の数値(浸水深、湿度)をセットしておき、センサー13がその数値を感知すれば送信号を発し、その信号を受けて、電動式の移動機器5または引き出し機器10がオン状態となり、防止部材1で換気孔(6a等)を塞ぐ状態に自動ですることができる。
また、これは、特に、家人不在時や深夜等の急激な増水等であっても、常時、浸水防止に備えることが可能となる装置である。
なお、態様6の解放作動機器15とも連動するようにすれば、防止部材1の解放も自動で行うことできる。
【0055】
態様8について説明する。
これは、浸水等防止装置を備え、かつ、その他の外壁隙間等の箇所からの浸水等を防止するよう建物全体に浸水等の対策を施した建物であることを特徴とする。
具体的には、氾濫流や漂流物の直撃によって建物浸水等防止装置の損壊、流失を防ぐように建物の周囲にブロック塀等を設け、門扉も水流を通し難いものとするなどの設備を施した建物である。
【0056】
また、従来の建物では、防鼠型換気孔付き土台水切り6と基礎Aの間に隙間がある建物がある。このような建物では、基礎Aと土台水切り6をL字型アングル等で連結して、同部分の水密性を高め、浸水防止対策を図ることが重要である。
なお、何れの実施形態においても、防止部材1の状態(換気孔の開閉塞状態)が分かるように、屋内外に状態を示す表示ランプを設けておくのがよい。
【0057】
態様9について説明する。
これは、建物の浸水等防止装置を使った建物の浸水等防止方法である。
本発明は、防災対策、寒冷対策、ひいては省エネ、脱炭素方策の一つである。
本装置を広範に普及するため、補助金・助成金制度の導入や、装置を導入した場合の建物損害保険の加入上の優遇措置等を導入することなどが減災・防災対策、ひいては脱炭素方策に効果的である。
【0058】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、各部材の材質、固定位置、固定方法、配置位置等は特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変更ができる。
また、出願人のこれまでの技術提案と組み合わせることが目的達成には効果的である。
【符号の説明】
【0059】
1 防止部材
2 固定用部材
2a ガイドレール
3 連結支流体
3a ピン(軸に貫通孔あり)
3b ピン(頭部から軸全体に貫通孔あり)
4 連結体
5 移動機器
6 防鼠型換気孔付き土台水切り
6a 防鼠型換気孔付き土台水切り換気孔
6b 防止部材1を固定する換気孔
7 防鼠部材
8 収納体
9 引き出し体
10 引き出し機器
11 T字状の頭部のフック・ボルト
11b ワッシャ・ナット
12 防鼠型換気孔付き基礎パッキン
12a 換気孔なし基礎パッキン
13 センサー
14 解放体
14a 連結部
15 解放作動機器
16 支流用溝
17 解放用溝
A 基礎
B 土台
C 土台水切り
D 基礎と土台の間の換気層
E 外壁
F 柱

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8