IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キョーラク株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086692
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20240620BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D77/00 B
C08J5/00 CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212094
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2022201610
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 攻一郎
【テーマコード(参考)】
3E067
4F071
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067CA13
3E067CA17
3E067CA21
3E067CA30
4F071AA61
4F071AC12
4F071AC19
4F071AE09
4F071AF30Y
4F071AH05
4F071BA01
4F071BB05
4F071BB06
4F071BB09
(57)【要約】
【課題】製造後の色変化を楽しむことが可能な樹脂容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、樹脂層を備え、前記樹脂層は、樹脂と、第1着色剤と、前記第1着色剤と色及び安定性が異なる第2着色剤と、を含有し、前記樹脂層の全光線透過率が80%以上である、容器が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層を備え、
前記樹脂層は、樹脂と、第1着色剤と、前記第1着色剤と色及び安定性が異なる第2着色剤と、を含有し、
前記樹脂層の全光線透過率が80%以上である、容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記第1着色剤は、無機系着色剤であり、
前記第2着色剤は、有機系着色剤である、容器。
【請求項3】
請求項1に記載の容器であって、
前記第1着色剤は、青系着色剤であり、
前記第2着色剤は、黄系着色剤である、容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の容器であって、
前記樹脂層は、前記第1着色剤が混合された前記樹脂により構成され、
前記樹脂層は、前記第2着色剤を含む表面処理剤によって表面処理されている、
容器。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の容器であって、
前記樹脂層は、前記第1着色剤及び前記第2着色剤を含む表面処理剤によって表面処理されている、
容器。
【請求項6】
請求項1に記載の容器であって、
前記樹脂は、非晶質熱可塑性樹脂である、容器。
【請求項7】
請求項1に記載の容器であって、
前記樹脂は、スルホニル基を有する重合体を含む、容器。
【請求項8】
請求項1に記載の容器であって、
前記樹脂は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含む、容器。
【請求項9】
樹脂を含む樹脂層を備え、
前記樹脂は、前記樹脂を厚さ2mmに成形した試験片をASTM D 1003に準拠して測定した300nmにおける光線透過率が10%以下であり、
前記樹脂層は、ブルーイング剤を含む表面処理剤によって表面処理されている、容器。
【請求項10】
請求項9に記載の容器であって、
前記樹脂は、非晶質熱可塑性樹脂である、容器。
【請求項11】
請求項10に記載の容器であって、
前記樹脂は、スルホニル基を有する重合体を含む、容器。
【請求項12】
請求項11に記載の容器であって、
前記樹脂は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含む、容器。
【請求項13】
請求項9に記載の容器であって、
前記ブルーイング剤は、アゾ系染料及びアントラキノン系染料からなる群から選択される1種以上を含む、容器。
【請求項14】
請求項9~請求項13の何れか1つに記載の容器であって、
前記樹脂層は、前記表面処理剤によって表面処理されていない状態で琥珀色である、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。この容器は、生活雑貨、食品容器、保存容器等として好適に利用可能である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、青色系着色剤を含む樹脂容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-35327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[第1観点]
特許文献1のような樹脂容器は、製造時の変色(主に黄変)を抑えるために樹脂中に青色染料(ブルーイング剤)等の染料・着色剤等を樹脂中に混合している。一方で、樹脂容器については、これまで製造時の透明性及び色味、そしてその状態の維持については研究されてきたが、使用中の色変化を楽しむことは着目されてこなかった。
【0005】
第1観点に係る発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、製造後の色変化を楽しむことが可能な樹脂容器を提供するものである。
【0006】
[第2観点]
特許文献1のような樹脂容器は、製造時の変色(主に黄変)を抑えるために樹脂中に青色染料(ブルーイング剤)等の染料・着色剤等を樹脂中に混合している。一方で、樹脂容器でも使用中の色変化(例えば、無色に近い色から琥珀色への変化)を楽しむことは従来の樹脂容器、特に染料・着色剤等の劣化に大きく影響する紫外線の透過率が低い樹脂を用いた容器においては難しかった。
【0007】
第2観点に係る発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、紫外線の透過率が低い樹脂を用いた場合でも色変化を生じやすい容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点に係る発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]樹脂層を備え、前記樹脂層は、樹脂と、第1着色剤と、前記第1着色剤と色及び安定性が異なる第2着色剤と、を含有し、前記樹脂層の全光線透過率が80%以上である、容器。
[2][1]に記載の容器であって、前記第1着色剤は、無機系着色剤であり、前記第2着色剤は、有機系着色剤である、容器。
[3][1]又は[2]に記載の容器であって、前記第1着色剤は、青系着色剤であり、前記第2着色剤は、黄系着色剤である、容器。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の容器であって、前記樹脂層は、前記第1着色剤が混合された前記樹脂により構成され、前記樹脂層は、前記第2着色剤を含む表面処理剤によって表面処理されている、容器。
[5][1]~[4]の何れか1つに記載の容器であって、前記樹脂層は、前記第1着色剤及び前記第2着色剤を含む表面処理剤によって表面処理されている、容器。
[6][1]~[5]の何れか1つに記載の容器であって、前記樹脂は、非晶質熱可塑性樹脂である、容器。
[7][1]~[6]の何れか1つに記載の容器であって、前記樹脂は、スルホニル基を有する重合体を含む、容器。
[8][1]~[7]の何れか1つに記載の容器であって、前記樹脂は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含む、容器。
【0009】
本第2観点に係る発明によれば、以下の発明が提供される。
[9]樹脂を含む樹脂層を備え、
前記樹脂は、前記樹脂を厚さ2mmに成形した試験片をASTM D 1003に準拠して測定した300nmにおける光線透過率が10%以下であり、
前記樹脂層は、ブルーイング剤を含む表面処理剤によって表面処理されている、容器。
[10][9]に記載の容器であって、
前記樹脂は、非晶質熱可塑性樹脂である、容器。
[11][10]に記載の容器であって、
前記樹脂は、スルホニル基を有する重合体を含む、容器。
[12][11]に記載の容器であって、
前記樹脂は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含む、容器。
[13][9]~[12]の何れか1つに記載の容器であって、
前記ブルーイング剤は、アゾ系染料及びアントラキノン系染料からなる群から選択される1種以上を含む、容器。
[14][9]~[13]の何れか1つに記載の容器であって、
前記樹脂層は、前記表面処理剤によって表面処理されていない状態で琥珀色である、容器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
[第1観点]
1-1.容器
第1観点に係る発明の一実施形態の容器は、樹脂層を備える容器である。
【0012】
樹脂層は、樹脂と、第1着色剤と、第1着色剤と色及び安定性が異なる第2着色剤と、を含有する。なお、「着色剤」は、樹脂を着色可能な色材であって、顔料や染料等である。
【0013】
樹脂層の全光線透過率は、80%以上である。当該全光線透過率は、具体的には例えば、80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、全光線透過率は、「JIS K 7361-1:1997」に準拠して厚さ方向に測定した透過率である。
【0014】
樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂である。一態様において、樹脂は、非晶質熱可塑性樹脂である。
【0015】
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)等のポリエステル或いはコポリエステル;ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン等のスルホン系重合体;等が挙げられる。PETGとしては、例えば、シクロブタンジオール(2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)に由来する構造単位を有するポリエチレンテレフタレート共重合体(Tritan等)が挙げられる。
【0016】
一態様において、樹脂は、スルホニル基(-SO-)を有する重合体を含む。
【0017】
一態様において、樹脂は、下記式(1-1)~(1-3)で表される構造の少なくとも1つを繰り返し単位として有する重合体を含む。なお、下記式(1-1)~(1-3)中のベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0018】
【化1】
【化2】
【化3】
【0019】
一態様において、樹脂は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含んでいてよい。
【0020】
一態様において、樹脂は、樹脂100質量%中、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンを合計で50質量%以上含む。樹脂100質量%中のポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンの合計含有量は、具体的には例えば、50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
一態様において、樹脂は、樹脂100質量%中、ポリフェニルスルホンを50質量%以上含む。樹脂100質量%中のポリフェニルスルホンの含有量は、具体的には例えば、50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、70~250℃である。Tgは、具体的には例えば、70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,175,180,185,190,195,200,205,210,215,220,225,230,235,240,245,250℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。Tgは、ISO11357-1/-2に準拠して、昇温速度10℃/分で測定することができる。
【0023】
第1着色剤及び第2着色剤はそれぞれ、例えば無機系着色剤又は有機系着色剤等であってよい。一態様において、第1着色剤は、無機系着色剤であり、第2着色剤は、有機系着色剤であってよい。一態様において、第1着色剤は、有機系着色剤であり、第2着色剤は、有機系着色剤であってよい。一態様において、第1着色剤は、無機系着色剤であり、第2着色剤は、無機系着色剤であってよい。無機系着色剤及び有機系着色剤は、それぞれ公知の着色剤を用いることができる。有機系着色剤としては、例えば、アゾ系染料及びアントラキノン系染料等が挙げられる。
【0024】
第1着色剤及び第2着色剤は、互いに異なる色の着色剤(樹脂層を異なる色に着色可能な着色剤)であるが、例えば、第1着色剤及び第2着色剤はそれぞれ、青系着色剤、黄色系着色剤、及び赤系着色剤等の2色以上の着色剤からなる群から選択される着色剤である。一態様において、第1着色剤は、青系着色剤であり、第2着色剤は、黄系着色剤であってよい。
【0025】
第1着色剤と第2着色剤は安定性が異なるが、例えば、第1着色剤は第2着色剤より紫外線に対する安定性が高い着色剤である。また、安定性は、例えば各着色剤を単独で含有する樹脂層の色の変化を、同一条件下で比較することにより評価することができる。
【0026】
樹脂層は、例えば、第1着色剤が混合された樹脂により構成され、第2着色剤を含む表面処理剤Aによって表面処理されていてもよい。ここで、樹脂層は、表面処理剤Aによって片面又は両面が表面処理されていてもよい。表面処理剤によって表面処理された樹脂層は、表面処理剤に含まれる着色剤を含む表面処理層を有する。表面処理された面の表面付近の着色剤の濃度は、樹脂層の中心に比べて高い。
【0027】
一態様において、樹脂層は、第1着色剤及び第2着色剤を含む表面処理剤Bによって表面処理されていてもよい。樹脂層は、表面処理剤Bによって片面又は両面が表面処理されていてもよい。
【0028】
一態様において、樹脂層は、第1着色剤を含む表面処理剤C1によって一方の面が表面処理され、第2着色剤を含む表面処理剤C2によって他方の面が表面処理されていてもよい。
【0029】
一態様において、樹脂層は、第1着色剤及び第2着色剤が混合された樹脂により構成されていてもよい。
【0030】
表面処理層の厚さは、例えば0.01~100μmである。表面処理層の厚さは、具体的には例えば、0.01,0.05,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5,6,7,8,9,10,50,100μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0031】
樹脂層の厚さは、例えば1mm~3mmであり、好ましくは1.5mm~2.5mmである。
【0032】
樹脂層は、第1着色剤及び第2着色剤に加えて、第1着色剤及び第2着色剤の何れとも着色可能な色及び安定性が異なる1以上の着色剤をさらに含有していてもよい。
【0033】
樹脂層は、着色剤を含有していない状態で無色ではなく、例えば琥珀色等であってもよい。少なくとも2種類の着色剤の色に加えて樹脂由来の色を有している場合には、3色以上の色の組み合わせに基づく色変化を楽しみうる。
【0034】
第1着色剤が、第2着色剤より安定性が高い場合の樹脂層の色は、製造後第1着色剤及び第2着色剤の着色効果のうち第2着色剤による着色効果がより早く減衰し、第1着色剤による着色効果の影響が大きくなっていく変化が期待される。そのような色変化の期間は、例えば6ヶ月~5年であり、1年~3年であってもよい。
【0035】
樹脂層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、増核剤、離型剤及び中和剤等、樹脂材料の分野で一般に使用される各種添加剤を添加してもよい。
【0036】
容器は、多層構造の容器であってもよい。多層構造の容器は、上記樹脂層に加えて、上記樹脂層以外の異なる材料で構成される層を備えていてもよい。
【0037】
1-2.容器の製造方法
上記容器の製造は、成形工程を含む製造方法によって行われうる。容器の製造方法は、混合工程及び表面処理工程の少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。
【0038】
成形工程は、樹脂(後述の混合工程で得られる樹脂組成物を含む)をブロー成形や射出成形などによって成形し成形体(容器)を得る工程である。ブロー成形は、溶融パリソンを用いたダイレクトブロー成形であってもよく、プリフォームを用いた二軸延伸ブロー成形であってもよい。一例では、200mL以下の容器は、射出成形で形成し、これよりも大型の容器は、射出成形で形成した容器をプリフォームとして用いて二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。樹脂としては、上記「1-1.容器」で挙げた樹脂を用いることができる。
【0039】
混合工程は、上記第1着色剤及び上記第2着色剤の少なくとも一方を上記樹脂と混合するすることにより樹脂組成物を得る工程である。混合は、例えば、溶融させた樹脂と着色剤を混練することにより行われる。
【0040】
表面処理工程は、上記第1着色剤及び上記第2着色剤の少なくとも一方を含む表面処理剤(表面処理剤1)によって成形体を表面処理する工程である。一態様においては、表面処理工程は、例えば、成形体を表面処理剤1に浸漬する工程(浸漬工程)を含んでいてもよい。浸漬時に、成形体(容器)の外表面に表面処理剤1が触れる一方で、成形体(容器)の内表面に表面処理剤1が触れないように浸漬してもよい。別の態様においては、表面処理工程は、表面処理剤1を成形体に吹き付ける工程(吹付工程)を含んでいてもよい。表面処理工程は、浸漬工程又は吹付工程の後に成形体の表面に残った(余分の)表面処理剤を洗う洗浄工程や、表面処理後の成形体を乾燥させる乾燥工程を含んでいてもよい。
【0041】
[第2観点]
2-1.容器
第2観点に係る発明の一実施形態の容器は、樹脂層を備える容器である。
【0042】
樹脂層は、樹脂を含む。樹脂は、樹脂を厚さ2mmに成形した試験片をASTM D 1003に準拠して測定した300nmにおける光線透過率が10%以下であり、好ましくは3%以下である。当該光線透過率は、具体的には例えば、0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0043】
樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂であり、好ましくは非晶質熱可塑性樹脂である。樹脂は、好ましくはスルホニル基(-SO-)を有する重合体を含む。樹脂は、好ましくは下記式(2-1)~(2-3)で表される構造の少なくとも1つを繰り返し単位として有する重合体を含む。なお、下記式(2-1)~(2-3)中のベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0044】
【化4】
【化5】
【化6】
【0045】
樹脂は、好ましくは、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリメチルペンテン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含む。PETGとしては、例えば、シクロブタンジオール(2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)に由来する構造単位を有するポリエチレンテレフタレート共重合体(Tritan等)が挙げられる。樹脂は、より好ましくは、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される1種以上を含む。樹脂は、さらに好ましくはポリフェニルスルホンを含む。
【0046】
樹脂は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホン以外の樹脂成分を含んでいてもよいが、好ましくは樹脂100質量%中、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンを合計で50質量%以上含み、より好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは実質的に100質量%含む。樹脂100質量%中のポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンの合計含有量は、具体的には例えば、50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0047】
樹脂は、ポリフェニルスルホン以外の樹脂成分を含んでいてもよいが、好ましくは樹脂100質量%中、ポリフェニルスルホンを50質量%以上含み、より好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは実質的に100質量%含む。樹脂100質量%中のポリフェニルスルホンの含有量は、具体的には例えば、50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0048】
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、170~250℃であり、200~230℃が好ましい。Tgは、具体的には例えば、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。Tgは、ISO11357-1/-2に準拠して、昇温速度10℃/分で測定することができる。
【0049】
樹脂層は、ブルーイング剤を含む表面処理剤(以下、「表面処理剤A」とも称する。)によって表面処理されている。表面処理剤Aによって表面処理されている樹脂層は、表面処理剤Aによって表面処理された表面処理層を有する。表面処理層は、ブルーイング剤を含有する領域である。一態様においては、樹脂層の一方の表面付近のブルーイング剤の濃度は、樹脂層の中心に比べて高い。このとき、樹脂層の一方の表面は、容器の外表面を構成する。
【0050】
樹脂層の厚さは、例えば1mm~3mmであり、好ましくは1.5mm~2.5mmである。
【0051】
表面処理層の厚さは、例えば0.01~100μmである。表面処理層の厚さは、具体的には例えば、0.01,0.05,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5,6,7,8,9,10,50,100μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0052】
一態様においては、容器は、表面処理剤Aによって、外表面が表面処理されている。一態様においては、容器は、表面処理剤Aによって、外表面が表面処理され、内表面は表面処理されていない。
【0053】
樹脂層は、好ましくは、表面処理剤Aによって表面処理されていない状態で琥珀色である。また、樹脂層は、好ましくは、表面処理剤Aによって表面処理直後(例えば、表面処理後1ヶ月以内)は、琥珀色ではなく無色に近い色を呈する。また、樹脂層は、表面処理剤Aによって表面処理後、無色に近い色から琥珀色を呈するまでの時間は、例えば6ヶ月~5年であり、好ましくは1年~3年である。
【0054】
ブルーイング剤は、例えば、アゾ系染料及びアントラキノン系染料等からなる群から選択される1種以上を含む。
【0055】
樹脂層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、増核剤、離型剤及び中和剤等、樹脂材料の分野で一般に使用される各種添加剤を添加してもよい。
【0056】
容器は、多層構造の容器であってもよい。多層構造の容器は、上記樹脂層に加えて、上記樹脂層以外の層を備えていてもよい。上記樹脂層以外の層は、例えば、上記樹脂層とは表面処理されていないこと点で異なる層、上記樹脂層とは異なる材料で構成される層等である。多層構造の容器において、上記樹脂層は外側の最表層を構成する。
【0057】
2-2.容器の製造方法
上記容器の製造は、成形工程と、表面処理工程と、を含む製造方法によって行われうる。
【0058】
成形工程は、熱可塑性樹脂をブロー成形や射出成形などによって成形し成形体(容器)を得る工程である。ブロー成形は、溶融パリソンを用いたダイレクトブロー成形であってもよく、プリフォームを用いた二軸延伸ブロー成形であってもよい。一例では、200mL以下の容器は、射出成形で形成し、これよりも大型の容器は、射出成形で形成した容器をプリフォームとして用いて二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。熱可塑性樹脂としては、上記「2-1.容器」で挙げた樹脂を用いることができる。
【0059】
表面処理工程は、ブルーイング剤を含む表面処理剤(表面処理剤A)によって成形体を表面処理する工程である。表面処理工程は、例えば、成形体を表面処理剤Aに浸漬する工程を含む。表面処理工程の一例においては、95℃~100℃の表面処理剤Aに数分間浸漬後、洗浄・乾燥を実施する。浸漬時に、成形体の外表面に表面処理剤Aが触れる一方で、成形体の内表面に表面処理剤Aが触れないように浸漬してもよい。一態様においては、表面処理工程は、成形体を表面処理剤Aに吹き付ける工程を含んでいてもよい。
【0060】
表面処理剤Aに含まれるブルーイング剤としては、上記「2-1.容器」で挙げたブルーイング剤を用いることができる。