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特開2024-86697電圧コンバータを制御するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086697
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】電圧コンバータを制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240620BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023212291
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】2213531
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】ヒシャム、ラービル
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ファブロール
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770GA17
5H770GA19
5H770HA03W
5H770HA07Z
5H770LA05X
5H770LB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチに作用する負荷を低減する制御システム及び電気機械を提供する。
【解決手段】制御システム(2)を備える制御ユニット(1)において、制御モジュール(22)は、2つの端子(B+、B-)間に接続されるDC電圧源の電圧(V)を測定するための第1モジュール(20)と、測定された電圧(V)と第1安全閾値(OV1)とを比較するためのモジュール(21)と、回転電気機械(M)の回転速度(Ω)を測定するための第2測定モジュール(23)と、DC電圧源の測定された電圧(V)の経時変化(dV*)が第1安全変化未満である場合及び第2測定モジュール(23)により測定された回転速度(Ω)が第1安全速度未満である場合、第1グループのスイッチを開くコマンドと第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される開回路コマンドを生成する制御モジュール(22)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧コンバータ(O)を制御するためのシステム(2)であって、
前記電圧コンバータ(O)は、回転電気機械(M)をDC電圧源(B)に、特に車載ネットワークに接続するように構成され、前記電圧コンバータ(O)は、並列に接続した複数の切り替えアーム(X、Y、Z)を備え、各アームは、前記回転電気機械(M)に接続するように構成された中間点(PX、PY、PZ)で互いに接続するハイサイドスイッチ(HS_X、HS_Y、HS_Z)と少なくとも1つのローサイドスイッチ(LS_X、LS_Y、LS_Z)とを備え、前記ハイサイドスイッチは、ハイグループ(HS)を形成し、前記ローサイドスイッチは、ローグループ(LS)を形成し、
前記制御システム(2)は、
‐前記DC電圧源(B)の電圧(V)を測定するための第1モジュール(20)と、
‐測定された前記電圧(V)と第1安全閾値(OV1)とを比較するためのモジュール(21)と、
‐前記回転電気機械(M)の回転速度(Ω)を測定するように構成された第2測定モジュール(23)と、
‐前記比較モジュール(21)が、測定された前記電圧(V)が第1安全閾値(OV1)よりも大きいことを示す場合、第1短絡コマンド(ASC_LS)を生成する制御モジュール(22)であって、前記第1短絡コマンドは、前記ハイグループと前記ローグループとの間で選択された第1グループのスイッチを閉じるコマンドと前記第1グループを形成しない前記ハイグループの前記スイッチまたは前記ローグループの前記スイッチを備える第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、制御モジュール(22)と、
を備え、
前記制御モジュール(22)は、
‐前記DC電圧源(B)の測定された前記電圧(V)の経時変化(dV*)が第1安全変化未満である場合、および、
‐前記第2測定モジュール(23)により測定された前記回転速度(Ω)が第1安全速度未満である場合、
開回路コマンドを生成し、前記開回路コマンドは、前記第1グループのスイッチを開くコマンドと前記第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、ことを特徴とするシステム(2)。
【請求項2】
前記比較モジュール(21)は、測定された前記電圧(V)と前記第1安全閾値(OV1)よりも大きい第2安全閾値(OV2)とを比較し、
前記制御モジュール(22)は、測定された前記電圧(V)が前記第2安全閾値(OV2)以上である場合、第2短絡コマンド(ASC_HS)を生成し、前記第2短絡コマンドは、前記第2グループのスイッチを閉じるコマンドと前記第1グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム(2)。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
‐測定された前記回転速度(Ω)が第2安全速度未満である場合、および、
‐前記DC電圧源(B)の測定された前記電圧(V)の前記経時変化(dV*)が第2安全変化未満である場合、
前記開回路コマンドを生成する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御システム(2)。
【請求項4】
前記第1安全速度は、前記回転電気機械の起電力が所定の電圧、例えば48V未満となる速度である、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム(2)。
【請求項5】
前記第1安全変化は、特に-0.2V/μs未満の負である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の制御システム(2)。
【請求項6】
前記第1グループのスイッチは、前記ローグループである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の制御システム(2)。
【請求項7】
前記第1測定モジュールにより測定される前記電圧(V)は、前記DC電圧源(B)に接続するように構成された前記電圧コンバータ(O)の2つの端子(B+、B-)間の前記電圧である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の制御システム(2)。
【請求項8】
‐DC電圧源(B)、特に自動車のバッテリに接続するように構成された第1電力供給端子(B+)および第2電力供給端子(B-)と、
‐少なくとも3つの相(U、V、W)を有するステータを備える回転電気機械(M)と、
‐前記回転電気機械(M)に前記DC電圧源(B)から給電するための電圧コンバータ(O)であって、並列に接続した複数の切り替えアーム(X、Y、Z)であって、各アーム(X、Y、Z)は、中間点(PX、PY、PZ)で互いに接続するハイサイドスイッチ(HS_X、HS_Y、HS_Z)およびローサイドスイッチ(LS_X、LS_Y、LS_Z)を備え、各中間点(PX、PY、PZ)は、前記回転電気機械(M)の少なくとも1つの相(U、V、W)に接続する切り替えアーム(X、Y、Z)と、前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの制御ユニット(1)であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御システム(2)を備える制御ユニット(1)と、を備える電圧コンバータ(O)と、
を備える電気システム(SE)。
【請求項9】
前記制御ユニット(1)は、
‐前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを制御するように構成されたコントローラ(5)と、
‐前記車両の電子制御ユニットから、前記回転電気機械(M)をモータモードに切り替えるか、または前記回転電気機械(M)をオルタネータモードに切り替えるかのいずれかの命令を受信するように構成された機械制御モジュール(3)であって、この命令を前記電圧コンバータ(O)の前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを制御するためのコマンドに変換するように配置される機械制御モジュール(3)と、
‐前記機械制御モジュール(3)により発信された前記コマンドよりも、前記制御システム(2)により発信された前記コマンドを優先するためのロジックモジュール(4)であって、前記コントローラ(5)に、前記機械制御モジュール(3)または前記制御システム(2)のいずれかにより受信された前記スイッチに対するコマンドを送信するロジックモジュール(4)と、
をさらに備える、ことを特徴とする請求項8に記載の電気システム(SE)。
【請求項10】
請求項8~9のいずれか一項に記載の電気システム(SE)を備えることを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の回転電気機械であって電圧コンバータにより制御される機械を備える電気システムに関する。より具体的には、本発明は、電圧コンバータを制御するためのシステム、および、回転電気機械とこのような制御システムとを備える電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧コンバータ等の電気機器の場合、電圧源、例えばDC電圧源を、パワーモジュールを用いて電気機械、例えば回転電気機械に接続することが知られている。その役割は、エネルギー源から電気機械に伝達される電気エネルギーの性質および量を安全に制御することである。
【0003】
パワーモジュールのうち、制御可能なスイッチ、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(頭文字を使用してMOSFETとも称される)、あるいはシリコン金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(頭文字を使用してSi MOSFETとも称される)、あるいは炭化ケイ素金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(頭文字を使用してSic MOSFETとも称される)、あるいは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(頭文字を使用してIGBTとも称される)、あるいは窒化ガリウム電界効果トランジスタ(頭文字を使用してGaN FETとも称される)等のトランジスタスイッチが知られている。
【0004】
スイッチは、車両の車載ネットワークに電気的に給電するバッテリからモータモードで、または車載ネットワークに給電して車両のバッテリを再充電するオルタネータモードで、ステータの相に給電することができる。ステータに3つの相を備える電子機械の場合、電圧コンバータは、各々が3つの相のうちの1つと接地とに接続する3つのローサイドスイッチと、各々が3つの相のうちの1つと自動車の車載ネットワークに対応する正端子とに接続する3つのハイサイドスイッチとを備える。
【0005】
車載ネットワークに接続した自動車の電子機器のアイテムが故障すると、車載ネットワークに過電圧が発生し得る。すなわち、車載ネットワークに、このネットワークの公称電圧よりはるかに高い電圧が現れ得る。例えば、このような過電圧は、電圧コンバータのスイッチの不具合、すなわち制御システムがスイッチに閉状態または開状態に切り替わるようにそれぞれ指令しているのに、スイッチが開状態または閉状態のままであるという場合に生じ得る。
【0006】
このような過電圧は、回転電機、電圧コンバータ、およびその制御システムだけでなく、例えばDC-DCコンバータ、カーラジオ等の車載ネットワークに接続するあらゆる電気機器にダメージを与え得る、または信頼性を低下させ得る。
【0007】
過電圧を制限する、または停止させるために電気機械の制御システムが電圧検出器を備え、識別された故障の関数として他のスイッチの閉鎖および開放を、過電圧を制限する、または停止させるために制御することが知られている。例えば、閉じた状態のままのハイサイドスイッチの場合、検出器は、このスイッチが閉じた状態のままであるという故障を検出し、この故障の検出に関する情報を、制御システムの制御モジュールに送信するであろう。制御システムは、他の2つのハイサイドスイッチを閉じることをコマンドすることにより、ステータのすべての相を同電位に設定する、すなわち、相を短絡させることによって回転電気の安全を図るであろう。
【0008】
このように、制御システムは、過電圧が検出された場合に、同一側のすべてのスイッチをシステマチックに閉じることにより、電圧コンバータおよび回転電気機械を保護する。このため、このようなシステムは、各スイッチに故障検出識別手段を設置する必要がない。したがって、他の制御システムよりも嵩張らず、安価である。
【0009】
しかしながら、このようなシステムは、MOSFETトランジスタ等のスイッチを、短絡時にこれらを流れる電流の強度を理由として高負荷にさらし、必然的にそれらの温度を上昇させてしまう。これらの電流とその結果生じる温度は、トランジスタの寿命、ひいては電圧コンバータの寿命に悪影響をもたらす。また、電圧コンバータの効率が低下する。
【0010】
したがって、本発明の目的は、スイッチに作用する負荷を低減する動作を特に提案することにより、従来技術の欠点を解決することである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1態様によれば、本発明は、電圧コンバータを制御するためのシステムであって、
電圧コンバータは、回転電気機械をDC電圧源に、特に車載ネットワークに接続するように構成され、前記電圧コンバータは、並列に接続した複数の切り替えアームを備え、各アームは、前記回転電気機械に接続するように構成された中間点で互いに接続する少なくとも1つのハイサイドスイッチと少なくとも1つのローサイドスイッチとを備え、前記ハイサイドスイッチは、ハイグループを形成し、前記ローサイドスイッチは、ローグループを形成し、
前記制御システムは、
‐前記DC電圧源の電圧を測定するための第1モジュールと、
‐測定された前記電圧と第1安全閾値とを比較するためのモジュールと、
‐前記回転電気機械の回転速度を測定するように構成された第2測定モジュールと、
‐前記比較モジュールが、測定された前記電圧が第1安全閾値よりも大きいことを示す場合、第1短絡コマンドを生成する制御モジュールであって、前記第1短絡コマンドは、前記ハイグループと前記ローグループとの間で選択された第1グループのスイッチを閉じるコマンドと前記第1グループを形成しない前記ハイグループの前記スイッチまたは前記ローグループの前記スイッチを備える第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、制御モジュールと、を備えるシステムに関する。
【0012】
制御システムは、以下の点で注目される。
前記制御モジュールは、
‐前記DC電圧源の測定された前記電圧の経時変化が第1安全変化未満である場合、および、
‐前記第2測定モジュールにより測定された前記回転速度が第1安全速度未満である場合、
開回路コマンドを生成し、前記開回路コマンドは、前記第1グループのスイッチを開くコマンドと前記第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される。
【0013】
ハイサイドスイッチまたはローサイドスイッチは、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)タイプ、あるいはMOSFETの頭文字でも知られる金属酸化物電界効果トランジスタタイプの電子電力供給スイッチを意味すると理解される。
【0014】
このような特徴の組み合わせにより、このような開回路スイッチ制御モジュールは、測定電圧が安定したときに、電圧コンバータにおける電流の流れを遮断することができる。これにより、ハイグループのスイッチおよびローグループのスイッチに対する負荷持続時間を短縮し、短絡が回避される。ジュール効果によるスイッチからの発熱は、このようにして、電圧コンバータ全体で低減される。
【0015】
電圧の経時変化および回転速度に関する基準が確認されると、すぐに第1短絡コマンドが中断されて、開回路コマンドが選択される。基準のうちの一方が満たされなくなると、すぐに開回路コマンドが中断される。
【0016】
有利には、制御モジュールは、測定された電圧が第1制限値未満である、特に第1安全閾値の110%よりも大きい場合、開回路コマンドを生成する。
【0017】
有利には、前記比較モジュールは、測定された前記電圧と前記第1安全閾値よりも大きい第2安全閾値とを比較し、前記制御モジュールは、測定された前記電圧が前記第2安全閾値以上である場合、第2短絡コマンドを生成する。前記第2短絡コマンドは、前記第2グループのスイッチを閉じるコマンドと前記第1グループのスイッチを開くコマンドとで構成される。
【0018】
このような制御システムにより、電圧コンバータのスイッチのうちの1つが短絡したり開回路になっても、すぐに電圧コンバータを安全にすることができる。
【0019】
有利には、前記制御モジュールは、
‐測定された前記回転速度が第2安全速度未満である場合、および、
‐前記DC電圧源の測定された前記電圧の前記経時変化が第2安全変化未満である場合、
前記開回路コマンドを生成する。
【0020】
有利には、制御モジュールは、測定された電圧が第2限界値未満である、特に第2安全閾値に等しい場合、開回路コマンドを生成する。
【0021】
電圧の経時変化および回転速度に関する基準が確認されると、すぐに第2短絡コマンドが中断されて、開回路コマンドが選択される。基準のうちの一方が満たされなくなると、すぐに開回路コマンドが中断される。
【0022】
測定された電圧が第2安全閾値未満である場合、第2短絡コマンドは中断されずに第1短絡コマンドが選択される。
【0023】
有利には、開回路コマンドは第1短絡コマンドに続く。有利には、開回路コマンドは第2短絡コマンドに続く。
【0024】
有利には、制御モジュールは、測定された電圧が第3限界値未満である、特に第1安全閾値に等しい場合、例えば回転電気機械のモータモードにおける、例えば回転電気機械の発電機モードにおける通常動作コマンドを生成する。その後、制御システムは、再び有効になる。
【0025】
有利には、第1安全閾値は、コンバータに給電するDC電圧源の公称電圧Vの110%~125%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の120%である。例えば、公称電力供給電圧は48Vに等しく、第1安全閾値は、53V~56Vの範囲にある。
【0026】
有利には、第2安全閾値は、電圧コンバータのDC電圧源の公称電圧Vの120%~145%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の133%である。例えば、公称電力供給電圧は48Vに等しく、第1安全閾値は、58V~67Vの範囲にある。
【0027】
有利には、前記第1安全速度および/または前記第2安全速度は、前記回転電気機械の起電力が所定の電圧、例えば48V未満となる速度である。有利には、第1安全速度は、第2安全速度に等しい。このような構成において、例えば車両の速度を低下させるという車両のドライバーによる、または電気機械を制御システムから接続解除して速度を低下させるためのシステムの存在による決定に伴い回転機械の回転速度が低いときのみ、制御モジュールがハイグループおよびローグループを開くことをコマンドすることが保証される。
【0028】
有利には、前記第1安全変化は、特に-0.2V/μs未満の負である。有利には、第2安全変化は、特に-0.2V/μs未満の負である。有利には、第1安全変化は、第2安全変化に等しい。この安全変化よりも大きい変化は、例えば負荷降下を原因として電圧コンバータで過電圧が発生した可能性を反映する。
【0029】
有利には、第1限界値は、第1安全閾値よりも大きい。第1限界値は、電圧コンバータのDC電圧源の公称電圧の110%~125%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の133%であり得る。
【0030】
有利には、第2限界値は、第2安全閾値未満である。第2限界値は、第2安全閾値よりも大きい。第2限界値は、電圧コンバータのDC電圧源の公称電圧の120%~150%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の133%であり得る。
【0031】
有利には、第3限界値は、第1安全閾値未満である。第3限界値は、電圧コンバータのDC電圧源の公称電圧の100%~125%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の115%であり得る。
【0032】
有利には、前記第1グループのスイッチは、前記ローグループである。
【0033】
有利には、第1グループのスイッチは、ハイサイドスイッチのグループである。
【0034】
有利には、前記第1測定モジュールにより測定される前記電圧は、前記DC電圧源に接続するように構成された前記電圧コンバータの2つの端子間の前記電圧である。
【0035】
本発明の別の態様によれば、本発明は、
‐DC電圧源、特に自動車のバッテリに接続するように構成された第1電力供給端子および第2電力供給端子と、
‐少なくとも3つの相を有するステータを備える回転電気機械と、
‐前記回転電気機械に前記DC電圧源から給電するための電圧コンバータであって、並列に接続した複数の切り替えアームであって、各アームは、中間点で互いに接続するハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを備え、各中間点は、前記回転電気機械の少なくとも1つの相に接続する切り替えアームと、前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの制御ユニットであって、上述の制御システムを備える制御ユニットと、を備える電圧コンバータと、
を備える電気システムに関する。
【0036】
有利には、前記制御ユニットは、
‐前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを制御するように構成されたコントローラと、
‐前記車両の電子制御ユニットから、前記回転電気機械をモータモードに切り替えるか、または前記回転電気機械をオルタネータモードに切り替えるかのいずれかの命令を受信するように構成された機械制御モジュールであって、この命令を前記電圧コンバータの前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを制御するためのコマンドに変換するように配置される機械制御モジュールと、
‐前記機械制御モジュールにより発信された前記コマンドよりも、前記制御システムにより発信された前記コマンドを優先するためのロジックモジュールであって、前記コントローラに、前記機械制御モジュールまたは前記制御システムのいずれかにより受信された前記スイッチに対するコマンドを送信するロジックモジュールと、
をさらに備える。
【0037】
有利には、制御ユニットは、少なくとも1つの故障検出モジュール、例えば、相電流方向故障モジュールをさらに備える。故障モジュールが故障を検出すると、制御ユニットは、第1短絡コマンドまたは第2短絡コマンド、あるいは第1短絡コマンドの後に第2短絡コマンドを生成する。
【0038】
本発明の別の態様によれば、本発明は、上述の電気システムを備える移動体に関する。
【0039】
本発明の別の態様によれば、本発明は、上述の電圧コンバータを制御するためのシステムを制御するための方法に関する。前記電圧コンバータは、回転電気機械に、およびDC電圧源に、特に車載ネットワークに接続する。前記方法は、
‐前記DC電圧源の電圧を測定する第1測定モジュールと、
‐前記電気機械の回転速度を測定する第2測定モジュールと、
‐測定された前記電圧と第1安全閾値とを比較するとともに、測定された前記電圧の経時変化と安全変化とを比較する測定モジュールと、
‐測定された前記回転速度と安全速度とを比較することと、
‐前記比較モジュールが測定された前記電圧が第1安全閾値よりも大きいことを示す場合、および前記DC電圧源の測定された前記電圧の経時変化が安全変化未満である場合、および前記第2測定モジュールにより測定された前記回転速度が安全速度未満である場合、ハイサイドスイッチのグループおよびローサイドスイッチのグループから選択された第1グループのスイッチを開くコマンドを生成する前記制御モジュールと、
を備える。
【0040】
本発明は、単に例示としてなされる以下の説明を読み、非限定的な例として提供される添付図面を参照することで、より良く理解されるであろう。図面において、同一の参照符号が、類似する物体に付される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の第1態様による電圧コンバータ用の制御ユニットを備える電気システムの概略図である。
図2図2は、本発明の別の態様による電圧コンバータを制御するためのシステムを備える図1の制御ユニットの概略図である。
図3図3は、図1の制御システムの第1使用例によるDC電圧源の端子間で測定された電圧を表すヒストグラムである。
図4図4は、図1の制御システムの別の使用例によるDC電圧源の端子間で測定された電圧を表すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面は、本発明を実施可能とするため本発明を詳細に開示しているが、限定するものではないことに留意すべきである。前記図面は、特に必要に応じて本発明をより明確に定義するために使用される。
【0043】
図1は、第1電力供給端子B+および第2電力供給端子B-を備える電気システムSEを示す。第1電力供給端子B+および第2電力供給端子B-は、例えば自動車のバッテリであるDC電源Bに接続していることにより、車両の他の電気機器(図示せず)のアイテムが車載ネットワークにより給電され得る。DC電圧源Bの端子B+、B-間での電圧は、例えば48Vである。これは、「低電圧」適用例に対応する。この場合、第2端子B-は、電気システムSEの接地である。
【0044】
電気システムSEは、少なくとも3つの相U、V、Wを有するステータとステータに巻かれた3つのコイルu、v、wとを備える回転電気機械Mを備えている。本例において、コイルu、v、wは、スター構成で接続している。そして、各々が、その出力に、対応する相U、V、Wをそれぞれ備えている。
【0045】
電気システムSEは、前記DC電圧源Bから回転電気機械Mに給電するための電圧コンバータOをさらに備えている。このような構成において、電気機械Mの相U、V、Wは、電圧コンバータにより三相交流で給電される。
【0046】
電圧コンバータOは、端子B+と端子B-との間で並列に接続した複数の切り替えアームを備えている。電圧コンバータOは、回転電気機械Mが有する相と同数のアームを備えている。この場合、本明細書で説明する例において、電圧コンバータOは、3つのアームを備えている。したがって、電圧コンバータOは、第1アームX、第2アームY、および第3アームZを備えている。
【0047】
各アームX、Y、Zは、ハイサイドスイッチHS_X、HS_Y、HS_Zと、ローサイドスイッチLS_X、LS_Y、LS_Zと、を備えている。アームX、Y、Zの各ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチは、中間点PX、PY、PZで互いに接続している。ハイサイドスイッチは、ハイグループHSと称されるスイッチグループを形成している。同様に、ローサイドスイッチは、ローグループLSと称されるスイッチグループを形成している。ローグループLSのスイッチおよびハイグループHSのスイッチは、この場合、金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
【0048】
本明細書で説明する例において、各ハイサイドスイッチまたはローサイドスイッチは、各々がフライバックダイオードを備える金属酸化物電界効果トランジスタである。
【0049】
この場合、本例において、したがって、第1中間点PXにより第1ローサイドスイッチLS_Xに接続する第1ハイサイドスイッチHS_Xが第1アームXに存在し、第2中間点PYにより第2ローサイドスイッチLS_Yに接続する第2ハイサイドスイッチHS_Yが第2アームYに存在し、第3中間点PZにより第3ローサイドスイッチLS_Zにそれぞれ接続する第3ハイサイドスイッチHS_Zが存在する。
【0050】
各中間点PX、PY、PZは、前記回転電気機械Mの少なくとも1つの相U、V、Wに接続している。したがて、この場合、本例において、第1中間点PXは相Uに接続し、第2中間点PYは相Vに接続し、第3中間点Zは相Wに接続している。
【0051】
電圧コンバータOは、ハイサイドHS_X、HS_Y、HS_ZスイッチおよびローサイドLS_X、LS_Y、LS_Zスイッチを制御するためのユニット1をさらに備えている。したがって、前記制御ユニット1は、各スイッチについて、対応するスイッチのコマンドに接続する出力を備えている。図1に負荷をかけ過ぎないように、制御ユニット1の出力と第3ローサイドスイッチLS_Zのコマンド、および制御ユニット1の別の出力と第2ハイサイドスイッチHS_Yのコマンドとの接続のみが示されている。
【0052】
制御ユニット1は、パルス幅変調(PWM)を介して、各アームX、Y、Zのスイッチを制御する。
【0053】
図2は、本発明の別の態様による電圧コンバータ2用の制御システム2を備える図1の制御ユニットを示す。
【0054】
制御ユニット1は、DC電圧源Bの電圧を測定するための第1モジュール20を備える制御システム2を備えている。本明細書で説明する例において、測定モジュール20は、端子B+と端子B-間での電圧Vを測定する。換言すれば、本明細書で説明する例において、第1測定モジュール20は、この場合48Vの公称電圧を有するDC電圧源Bの電圧を測定する。
【0055】
制御システム2は、測定モジュール20で測定された電圧Vに関する情報を受信するように構成された比較モジュール21を備えている。比較モジュール21は、測定された電圧Vと第1安全閾値OV1とを比較する。第1安全閾値OV1は、例えば、比較モジュール21の不揮発性メモリに記憶されている。電圧Vが比較される第3限界値も、比較モジュール21の不揮発性メモリに記憶されている。第3限界値の値は、この場合、第1安全閾値の値に等しい。
【0056】
制御システム2は、電気機械Mの回転速度Ωを測定するように構成された第2測定モジュール23を備えている。第2測定モジュール23は、設定可能な継続時間に応じて、例えば100ms毎に、完了した測定を更新する。
【0057】
第1安全閾値OV1は、特に、コンバータOに給電するDC電圧源Bの公称電圧Vの110%~125%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の120%である。この場合、第1安全閾値OV1は、56Vに等しい。
【0058】
また、比較モジュール21は、測定された電圧Vと第1安全閾値OV1よりも高い第2安全閾値OV2とを比較するように構成されている。第2安全閾値OV2は、例えば、比較モジュール21の不揮発性メモリに記憶されている。また、比較モジュール21は、電圧Vの2つの連続する測定値から電圧Vの経時変化dV*を計算するように構成されている。電圧Vが比較される第2限界値も、比較モジュール21の不揮発性メモリに記憶されている。この場合、第2限界値の値は、第2安全閾値の値に等しい。
【0059】
第2安全閾値OV2は、特に、電圧コンバータOのDC電圧源Bの公称電圧Vの120%~140%の範囲にあり、例えば、DC電圧源の公称電圧の133%である。この場合、第2安全閾値OV2は、64Vに等しい。
【0060】
制御システム2は、制御モジュール22をさらに備えている。本明細書で説明する例において、制御モジュール22は、ロジックゲートに基づいて作製されている。代替実施形態として、制御モジュール22は、マイクロコンピュータであり得る。
【0061】
比較モジュール21は、制御モジュール22に、第1安全閾値OV1に関する情報を、例えば測定された電圧Vが第1安全閾値OV1よりも大きい場合には高ロジックレベル、そうでない場合には低ロジックレベルの形態で送信する。
【0062】
比較モジュール21は、制御モジュール22に、第2安全閾値OV2に関する情報を、例えば測定された電圧Vが第2安全閾値OV2よりも大きい場合には高ロジックレベル、そうでない場合には低ロジックレベルの形態で送信する。
【0063】
第1安全閾値OV1に対応する情報を受信すると、制御モジュール22は、ハイサイドスイッチのグループ、すなわちハイグループHS、またはローサイドスイッチのグループ、すなわちローグループLSのうちから選択された第1グループのスイッチLS、HSを閉じるコマンドと、第1グループを形成しないハイグループのスイッチまたはローグループのスイッチを備える第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される第1短絡コマンドを発信する。説明例において、第1グループのスイッチはローグループLSであり、第2グループのスイッチはハイグループHSである。第1短絡コマンドASC_LSは、ローグループLSのすべてのスイッチを閉じるコマンド、およびローグループLSのすべてのスイッチを閉じるコマンドである。
【0064】
また、制御モジュール22は、電圧変化dV*に関する情報を比較モジュール21から、そして速度Ωに関する情報を第2測定モジュール23から受信する。
【0065】
ローグループLSのすべてのスイッチが閉じており、ハイグループHSのすべてのスイッチが開いている状態から開始する。電圧変化dV*が第1安全変化未満であり、回転速度Ωが第1安全速度未満である場合、制御モジュール22は、ローグループLSのすべてのスイッチおよびハイグループHSのすべてのスイッチを開くコマンドで構成される開回路コマンドを生成する。
【0066】
スイッチをこのように構成することにより、測定された電圧が安定していると考えられるとき、電圧コンバータOを開回路状態にして電圧コンバータOにおける電流の流れを瞬間的に遮断することができる。これにより、スイッチの負荷持続時間が短縮され、短絡が回避される。ジュール効果によるスイッチからの発熱は、このようにして、電圧コンバータ全体で低減される。
【0067】
第1安全変化は、好適には、-0.2V/μs未満である。第1安全速度は、電気機械Mの起電力が48V未満となる速度である。
【0068】
第2安全閾値OV2を超過したことに対応する情報を受信すると、制御モジュール22は、第2短絡コマンドASC_HSを発信する。この場合、第2短絡コマンドは、第2グループ、この場合ハイグループHSのスイッチを閉じるコマンドと、第1グループ、この場合ローグループLSのスイッチを閉じるコマンドとで構成される。
【0069】
制御モジュール22は、電圧変化dV*に関する情報を比較モジュール21から、そして速度Ωに関する情報を第2測定モジュール23から再び受信する。
【0070】
ローグループLSのすべてのスイッチが開いており、ハイグループHSのすべてのスイッチが閉じている状態から開始する。測定された電圧Vが第2安全閾値OV2未満であり、電圧変化dV*が第2安全変化未満であり、回転速度Ωが第2安全速度未満である場合、制御モジュール22は、開回路コマンドを生成する。
【0071】
説明例において、第2変化の値は、第1変化の値に等しい。この場合、-0.2V/μs。説明例において、第2安全速度は、第1安全速度に等しい。
【0072】
選択的に、制御モジュール12は、エラー情報、例えば車載ネットワークの過度に低い電圧(アンダー電圧(UV))に関するエラー情報を受信するように配置された1つ以上の入力AEも備え得る。1つ以上の入力AEのエラー情報を受信すると、制御モジュール12は、第1グループのスイッチを閉じるコマンド、および選択的に第2グループのスイッチを開くコマンドを同様に発信する。
【0073】
本明細書で説明する実施形態において、制御ユニット1は、機械制御モジュール3と、ロジックモジュール4と、「ドライバ」とも称されるコントローラ5と、をさらに備えている。
【0074】
機械制御モジュール3は、車両の電子制御ユニットから、回転電気機械Mを供給トルク値に応じてモータモードに切り替えるか、または、車両のDC電圧源を再充電するように抵抗トルクに応じてオルタネータモードの切り替えるかのいずれかの命令を受信するための入力(図示せず)を備えている。機械制御モジュール3は、この命令をハイサイドHSスイッチおよびローサイドLSスイッチに対するコマンドに変換し、前記コマンドは、ロジックモジュール4およびコントローラ5を介して送信される。換言すれば、機械制御モジュール3とロジックモジュール4とコントローラ5とにより、ハイサイドスイッチHSおよびローサイドスイッチLSは、コマンドを、例えばパルス幅変調PWM_HS、PWM_LSを介して各々受信して、開くまたは閉じる。
【0075】
特にロジックモジュール3は、機械制御モジュール2が発信したコマンドよりも、制御システム2が発信したコマンドを優先するように構成されている。換言すれば、制御システム2は、機械制御モジュール3に対して優先される。機械制御モジュール3がマイクロプロセッサである場合、および制御モジュール22およびロジックモジュール4がロジックゲートを使用して作製されている場合、機械制御モジュール3の反応時間(通常10マイクロ秒程度)は、制御モジュール21の反応時間(通常1マイクロ秒程度)よりも長い。したがって、ロジックモジュールが実施する優先順位付けにより、電圧コンバータOおよび回転電気機械Mの安全性が、より迅速に確保される。
【0076】
図3および図4は、電圧コンバータOおよび電圧コンバータOの制御システムの2つの使用例において、端子B+および端子B-間で測定された電圧Vの展開のヒストグラムを示す。
【0077】
図3のヒストグラムでは、第1期間に亘って、この場合、タイミングT0とタイミングT2との間において、電圧コンバータOは、車両の電子制御ユニットからの命令に従って、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを正常に制御している。この期間中、測定された電圧Vは第1安全閾値OV1よりも低く、特に第1持続時間の間、DC電圧源Bの公称電圧、この場合48ボルトに等しい。タイミングT1で、回転電気機械が発電機モードにある間に、第1DC電源Bが車載ネットワークから接続解除する。この接続解除により、車載ネットワークに過電圧を引き起こす負荷ダンプ効果が生じる。この接続解除に続き、タイミングT2で、測定された電圧Vが、第1安全閾値OV、この場合56ボルトを超える。制御システム2の比較モジュール21は、制御モジュール21に、測定された電圧Vが第1安全閾値OV1よりも大きいことを示す情報を送信する。このコマンドを受信すると、制御モジュール22は、第1短絡コマンドASC_LSを生成し、第1グループのスイッチを閉じ、第2グループのスイッチを開くことをコマンドする。この場合、本例において、制御モジュール22は、ロジックモジュール4に、相を接地するようにローサイドスイッチを閉じるコマンド、およびハイサイドスイッチを開くコマンドを送信する。ロジックモジュール4は、機械制御モジュール3が同様に送信したコマンドとは無関係に、ローグループLSのスイッチを閉じ、ハイグループHSのスイッチを開くことをコマンドするために、これらのコマンドをコントローラ5に再送信する。
【0078】
比較モジュール21は、変化dV*を計算し、これを第1安全変化と比較する。図3において、変化dV*は、電圧信号Vの傾きに対応する。電圧Vが第1安全閾値OV1と第2安全閾値OV2との間で安定するまで、変化dV*は正であるように見える。そして、変化dV*は、タイミングT3で負となる。タイミングT3は、変化dV*が第1安全変化未満となるタイミングである。同時に、または連続して、制御モジュール22は、回転電気機械Mの回転速度Ωと第1安全速度とを比較する。図3において、タイミングT3の後、回転速度Ωは、電気機械の第1安全速度未満である。したがってタイミングT3で、制御モジュール22は、開回路コマンドを生成し、第1グループのスイッチを開き、第2グループのスイッチを開くことをコマンドする。この場合、本例において、制御モジュール22は、ロジックモジュール4に、ローサイドスイッチを開くコマンド、および必要であればハイサイドスイッチを開くコマンドを送信する。ロジックモジュール4は、機械制御モジュール3が同様に送信したコマンドとは無関係に、ローグループLSのスイッチおよびハイグループHSのスイッチを開くことをコマンドするために、これらのコマンドをコントローラ5に再送信する。
【0079】
図4のヒストグラムでは、図3のヒストグラムと異なり、電圧Vは、タイミングT2で達する第1安全閾値OV1とタイミングT2’で達する第2安全閾値OV2との間で安定していない。この場合、制御モジュール22は、第1短絡コマンドASC_LS、次いで、第1グループのスイッチを開き第2グループのスイッチを閉じるコマンドで構成される第2短絡コマンドASC_HSを連続的に生成する。この場合、本例において、制御モジュール22は、ロジックモジュール4に、ローサイドスイッチを開くコマンド、およびハイサイドスイッチを閉じるコマンドを送信する。ロジックモジュール4は、機械制御モジュール3が同様に送信したコマンドとは無関係に、ローグループLSのスイッチを開きハイグループHSのスイッチを閉じることをコマンドするために、これらのコマンドをコントローラ5に再送信する。
【0080】
そして、電圧Vは、第2安全閾値OV2を超えた値で安定する。車両のドライバーは、車両の速度を低下させることを促す信号を受信する。この結果、車両の速度、ひいては回転電気機械Mの速度が低下する。代替的に、車両は、回転電気機械Mの速度を低下させ得る変速システムから接続解除するための装置を備えている。この安定化は、過電圧を発生させた故障のタイプについて、電圧コンバータOの切り替えアームを短絡させるための正しい戦略が適用されたことを示す。
【0081】
したがって、回転電気機械Mの回転速度が安全速度未満である場合、制御システム2は、DC電圧源Bの端子間で測定された電圧が第2安全閾値OV2を下回ったとき開回路に戻るように、開回路コマンドを生成し、ハイグループおよびローグループを開くことをコマンドする。これを図4に示す。
【0082】
図4において、電圧Vが第2安全閾値OV2を超えて安定するまで、変化dV*は正である。そして、変化dV*は、タイミングT3で負となる。タイミングT3は、変化dV*が第1安全変化未満となるタイミングである。また、制御モジュール22は、回転電気機械Mの回転速度Ωと第1安全速度とを比較する。図4において、タイミングT3の後、回転速度Ωは、電気機械の第1安全速度未満である。タイミングT4で、電圧Vは、第2安全閾値OV2を下回る。タイミングT4で、3つの条件が満たされ、制御モジュール22は、開回路コマンドを生成し、第1グループのスイッチを開き、第2グループのスイッチを開くことをコマンドする。
【0083】
図3および図4において、電圧Vは、タイミングT5で、第1安全閾値OV1を再び下回り、制御モジュール22は、例えば回転電気機械のモータモードにおける、例えば回転電気機械の発電機モードにおける通常運転のためのコマンドを再び生成する。その後、制御システムは、再び有効になる。
【0084】
また、本発明は上述の実施形態に限定されないことに留意すべきである。実際に、当業者であれば、開示した教示に照らして、上述の実施形態に様々な変更を加えることができることが明らかであろう。
【0085】
したがって、上述の実施形態において、第1グループのスイッチはローサイドスイッチであり、第2グループのスイッチはハイサイドスイッチであるが、代替実施形態として、第1グループのスイッチはハイサイドスイッチであってもよく、第2グループのスイッチはローサイドスイッチであってもよい。
【0086】
同様に、上述の回転機械は、三相機械である。代替実施形態として、回転電気機械は、より一般的にn個の相を有し得る。例えば、六相機械では、n=6である。この場合、電圧コンバータOも、n個の切り替えアームを備える。
【0087】
同様に、上述の実施形態において、コイルu、v、wは、スター構成で接続している。代替実施形態として、コイルu、v、wは、デルタ構成で接続し得る。
【0088】
同様に、上述の実施形態において、ロジックモジュール4、制御モジュール21、および機械制御モジュール3は、別個のものとして作製されている。代替実施形態として、ロジックモジュール4、制御モジュール21、および機械制御モジュール3は、例えば単一のもの、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲイト・アレイ)タイプのプログラマブルロジック回路を備えるマイクロコントローラとして作製され得る。
【0089】
上述の発明の詳細な説明において使用した用語は、本発明を本明細書に開示した実施形態に限定するものとして解釈されるべきではなく、当業者が、その一般的な知識を適用して、開示された教示を実施することによって想到し得るすべての等価物を含むものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧コンバータ(O)を制御するためのシステム(2)であって、
前記電圧コンバータ(O)は、回転電気機械(M)をDC電圧源(B)に、特に車載ネットワークに接続するように構成され、前記電圧コンバータ(O)は、並列に接続した複数の切り替えアーム(X、Y、Z)を備え、各アームは、前記回転電気機械(M)に接続するように構成された中間点(PX、PY、PZ)で互いに接続するハイサイドスイッチ(HS_X、HS_Y、HS_Z)と少なくとも1つのローサイドスイッチ(LS_X、LS_Y、LS_Z)とを備え、前記ハイサイドスイッチは、ハイグループ(HS)を形成し、前記ローサイドスイッチは、ローグループ(LS)を形成し、
前記制御システム(2)は、
‐前記DC電圧源(B)の電圧(V)を測定するための第1モジュール(20)と、
‐測定された前記電圧(V)と第1安全閾値(OV1)とを比較するためのモジュール(21)と、
‐前記回転電気機械(M)の回転速度(Ω)を測定するように構成された第2測定モジュール(23)と、
‐前記比較モジュール(21)が、測定された前記電圧(V)が第1安全閾値(OV1)よりも大きいことを示す場合、第1短絡コマンド(ASC_LS)を生成する制御モジュール(22)であって、前記第1短絡コマンドは、前記ハイグループと前記ローグループとの間で選択された第1グループのスイッチを閉じるコマンドと前記第1グループを形成しない前記ハイグループの前記スイッチまたは前記ローグループの前記スイッチを備える第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、制御モジュール(22)と、
を備え、
前記制御モジュール(22)は、
‐前記DC電圧源(B)の測定された前記電圧(V)の経時変化(dV*)が第1安全変化未満である場合、および、
‐前記第2測定モジュール(23)により測定された前記回転速度(Ω)が第1安全速度未満である場合、
開回路コマンドを生成し、前記開回路コマンドは、前記第1グループのスイッチを開くコマンドと前記第2グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、ことを特徴とするシステム(2)。
【請求項2】
前記比較モジュール(21)は、測定された前記電圧(V)と前記第1安全閾値(OV1)よりも大きい第2安全閾値(OV2)とを比較し、
前記制御モジュール(22)は、測定された前記電圧(V)が前記第2安全閾値(OV2)以上である場合、第2短絡コマンド(ASC_HS)を生成し、前記第2短絡コマンドは、前記第2グループのスイッチを閉じるコマンドと前記第1グループのスイッチを開くコマンドとで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム(2)。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
‐測定された前記回転速度(Ω)が第2安全速度未満である場合、および、
‐前記DC電圧源(B)の測定された前記電圧(V)の前記経時変化(dV*)が第2安全変化未満である場合、
前記開回路コマンドを生成する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御システム(2)。
【請求項4】
前記第1安全速度は、前記回転電気機械の起電力が所定の電圧、例えば48V未満となる速度である、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム(2)。
【請求項5】
前記第1安全変化は、特に-0.2V/μs未満の負である、ことを特徴とする請求項に記載の制御システム(2)。
【請求項6】
前記第1グループのスイッチは、前記ローグループである、ことを特徴とする請求項に記載の制御システム(2)。
【請求項7】
前記第1測定モジュールにより測定される前記電圧(V)は、前記DC電圧源(B)に接続するように構成された前記電圧コンバータ(O)の2つの端子(B+、B-)間の前記電圧である、ことを特徴とする請求項に記載の制御システム(2)。
【請求項8】
‐DC電圧源(B)、特に自動車のバッテリに接続するように構成された第1電力供給端子(B+)および第2電力供給端子(B-)と、
‐少なくとも3つの相(U、V、W)を有するステータを備える回転電気機械(M)と、
‐前記回転電気機械(M)に前記DC電圧源(B)から給電するための電圧コンバータ(O)であって、並列に接続した複数の切り替えアーム(X、Y、Z)であって、各アーム(X、Y、Z)は、中間点(PX、PY、PZ)で互いに接続するハイサイドスイッチ(HS_X、HS_Y、HS_Z)およびローサイドスイッチ(LS_X、LS_Y、LS_Z)を備え、各中間点(PX、PY、PZ)は、前記回転電気機械(M)の少なくとも1つの相(U、V、W)に接続する切り替えアーム(X、Y、Z)と、前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの制御ユニット(1)であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御システム(2)を備える制御ユニット(1)と、を備える電圧コンバータ(O)と、
を備える電気システム(SE)。
【請求項9】
前記制御ユニット(1)は、
‐前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを制御するように構成されたコントローラ(5)と、
‐前記車両の電子制御ユニットから、前記回転電気機械(M)をモータモードに切り替えるか、または前記回転電気機械(M)をオルタネータモードに切り替えるかのいずれかの命令を受信するように構成された機械制御モジュール(3)であって、この命令を前記電圧コンバータ(O)の前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを制御するためのコマンドに変換するように配置される機械制御モジュール(3)と、
‐前記機械制御モジュール(3)により発信された前記コマンドよりも、前記制御システム(2)により発信された前記コマンドを優先するためのロジックモジュール(4)であって、前記コントローラ(5)に、前記機械制御モジュール(3)または前記制御システム(2)のいずれかにより受信された前記スイッチに対するコマンドを送信するロジックモジュール(4)と、
をさらに備える、ことを特徴とする請求項8に記載の電気システム(SE)。
【請求項10】
請求項に記載の電気システム(SE)を備えることを特徴とする移動体。
【外国語明細書】