IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川上 眞平の特許一覧 ▶ 山岡 正美の特許一覧 ▶ 清水 延郎の特許一覧 ▶ 井上 浩二の特許一覧 ▶ 高橋 則幸の特許一覧 ▶ 本多 弘明の特許一覧 ▶ 弥永 雅彦の特許一覧

<>
  • 特開-物質活性化部材 図1
  • 特開-物質活性化部材 図2
  • 特開-物質活性化部材 図3
  • 特開-物質活性化部材 図4
  • 特開-物質活性化部材 図5
  • 特開-物質活性化部材 図6
  • 特開-物質活性化部材 図7
  • 特開-物質活性化部材 図8
  • 特開-物質活性化部材 図9
  • 特開-物質活性化部材 図10
  • 特開-物質活性化部材 図11
  • 特開-物質活性化部材 図12
  • 特開-物質活性化部材 図13
  • 特開-物質活性化部材 図14
  • 特開-物質活性化部材 図15
  • 特開-物質活性化部材 図16
  • 特開-物質活性化部材 図17
  • 特開-物質活性化部材 図18
  • 特開-物質活性化部材 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086702
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】物質活性化部材
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B01J19/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212591
(22)【出願日】2023-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2022201668
(32)【優先日】2022-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522491904
【氏名又は名称】川上 眞平
(71)【出願人】
【識別番号】522491258
【氏名又は名称】山岡 正美
(71)【出願人】
【識別番号】522491915
【氏名又は名称】清水 延郎
(71)【出願人】
【識別番号】522491269
【氏名又は名称】井上 浩二
(71)【出願人】
【識別番号】522491270
【氏名又は名称】高橋 則幸
(71)【出願人】
【識別番号】522491926
【氏名又は名称】本多 弘明
(71)【出願人】
【識別番号】522491937
【氏名又は名称】弥永 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】川上 眞平
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA27
4G075AA37
4G075BA05
4G075CA39
4G075DA02
4G075DA18
4G075FA12
4G075FA16
4G075FB02
4G075FC17
(57)【要約】
【課題】放射性物質を使用せず、より一層大きな物質の活性化効果を発揮することができる物質活性化部材を提供する。
【解決手段】第1金属体と、前記第1金属体に電気的に接触する第2金属体とを備えており、前記第1金属体の酸化還元電位は、前記第2金属体の酸化還元電位よりも低いことを特徴とする物質活性化部材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属体と、前記第1金属体に電気的に接触する第2金属体とを備えており、
前記第1金属体の酸化還元電位は、前記第2金属体の酸化還元電位よりも低いことを特徴とする物質活性化部材。
【請求項2】
前記第1金属体は、酸化還元電位が0V未満の金属から形成されており、前記第2金属体は、酸化還元電位が0V以上である金属から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の物質活性化部材。
【請求項3】
前記第1金属体及び前記第2金属体は、層状体であり、
前記第1金属体及び前記第2金属体は、交互に積層され、最下層及び最上層には、前記第1金属体が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の物質活性化部材。
【請求項4】
層状体に形成されるセパレータを更に備えており、
前記セパレータは、前記第1金属体及び前記第2金属体の間に介在させた状態で配設されている請求項3に記載の物質活性化部材。
【請求項5】
前記第2金属体の平面視面積は、前記第1金属体の平面視面積よりも小さく形成されており、前記第2金属体の周縁が、前記第1金属体の周縁よりも内側に配置されるように、前記第1金属体及び前記第2金属体は積層されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の物質活性化部材。
【請求項6】
前記物質活性化部材は可撓性を有していることを特徴とする請求項1に記載の物質活性化部材。
【請求項7】
前記第1金属体及び前記第2金属体は、繊維体であり、
複数の前記第1金属体を縦糸又は横糸として、かつ、複数の前記第2金属体を横糸又は縦糸として構成される布帛体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物質活性化部材。
【請求項8】
繊維体として構成される前記複数の第2金属体の少なくとも一方側の各端部は、前記布帛体の縁部から外方に突出していることを特徴とする請求項7に記載の物質活性化部材。
【請求項9】
前記第1金属体及び前記第2金属体は、繊維体であり、
複数の前記第1金属体及び複数の前記第2金属体からなる撚線として形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の物質活性化部材。
【請求項10】
繊維体として構成される前記複数の第2金属体の少なくとも一方側の各端部は、前記撚線の端部から外方に突出していることを特徴とする請求項9に記載の物質活性化部材。
【請求項11】
柱状に形成される前記第1金属体と、繊維体として形成される前記第2金属体と、層状体として形成される前記第1金属体及び前記第2金属体とを備えており、
繊維体として形成される前記第2金属体は、柱状に形成される前記第1金属体の外表面上に螺旋状に巻回されて配置されており、
層状体として形成される前記第1金属体は、柱状に形成される前記第1金属体の外表面に巻回配置される繊維体として形成される前記第2金属体上に配設されており、
層状体として形成される前記第2金属体は、層状体として形成される前記第1金属体上に配設されている請求項1又は2に記載の物質活性化部材。
【請求項12】
柱状に形成される前記第1金属体は、中空筒状に形成される請求項11に記載の物質活性化部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質活性化部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、エンジンが吸入する燃焼用空気や、エンジンが排出する燃焼排気ガス等の物質を活性化させ、高速走行時での燃料消費量を低減させるとともに、排気ガスに含まれる二酸化炭素量を削減することが提案されている。例えば、特許文献1には、酸化還元電位が0V以下の金属、又は酸化還元電位が0V以下の金属の合金を含む金属層と、放射性物質を含有する天然鉱石と放射線透過性樹脂との混合物を含む放射線発生層とが積層され、放射線発生層が発生する放射線量は、0.02μSv/h以上0.2μSv/h以下とする物質活性化部材が開示されている。
【0003】
このような物質活性化部材は、発生する放射線が活性化の対象となる燃焼用空気や燃焼排気ガス等の物質をイオン化させ、このイオン化の際に生じた電荷が金属層を構成する金属層に帯電し、電界及び磁界を生じさせるとともに、その電界及び磁界が対象物質を活性化させることで、燃焼効率を向上させたり、効率よく排気ガスの清浄化を行うことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-59909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の物質活性化部材は、一定の優れた効果を発揮するものではあるが、更なる物質の活性化効果を発揮する新規な物質活性化部材の開発が望まれている。また、上記従来の物質活性化部材は、放射性物質を含有する放射線発生層を備えるものであることから使用者を含めた環境への影響が全くないとはいいがたく、放射性物質を使用しない物質活性化部材の開発も望まれている。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、放射性物質を使用せず、より一層大きな物質の活性化効果を発揮することができる物質活性化部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、第1金属体と、前記第1金属体に電気的に接触する第2金属体とを備えており、前記第1金属体の酸化還元電位は、前記第2金属体の酸化還元電位よりも低いことを特徴とする物質活性化部材により達成される。
【0008】
また、上記物質活性化部材に関し、前記第1金属体は、酸化還元電位が0V未満の金属から形成されており、前記第2金属体は、酸化還元電位が0V以上である金属から形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記第1金属体及び前記第2金属体は、層状体であり、前記第1金属体及び前記第2金属体は、交互に積層され、最下層及び最上層には、前記第1金属体が配置されることが好ましい。
【0010】
また、層状体に形成されるセパレータを更に備えており、前記セパレータは、前記第1金属体及び前記第2金属体の間に介在させた状態で配設されていることが好ましい。
【0011】
また、前記第2金属体の平面視面積は、前記第1金属体の平面視面積よりも小さく形成されており、前記第2金属体の周縁が、前記第1金属体の周縁よりも内側に配置されるように、前記第1金属体及び前記第2金属体は積層されていることが好ましい。
【0012】
また、前記物質活性化部材は可撓性を有していることが好ましい。
【0013】
また、前記第1金属体及び前記第2金属体は、繊維体であり、複数の前記第1金属体を縦糸又は横糸として、かつ、複数の前記第2金属体を横糸又は縦糸として構成される布帛体であることが好ましい。
【0014】
また、繊維体として構成される前記複数の第2金属体の少なくとも一方側の各端部は、前記布帛体の縁部から外方に突出していることが好ましい。
【0015】
また、前記第1金属体及び前記第2金属体は、繊維体であり、複数の前記第1金属体及び複数の前記第2金属体からなる撚線として形成されることが好ましい。
【0016】
また、繊維体として構成される前記複数の第2金属体の少なくとも一方側の各端部は、前記撚線の端部から外方に突出していることが好ましい。
【0017】
また、柱状に形成される前記第1金属体と、繊維体として形成される前記第2金属体と、層状体として形成される前記第1金属体及び前記第2金属体とを備えており、繊維体として形成される前記第2金属体は、柱状に形成される前記第1金属体の外表面上に螺旋状に巻回されて配置されており、層状体として形成される前記第1金属体は、柱状に形成される前記第1金属体の外表面に巻回配置される繊維体として形成される前記第2金属体上に配設されており、層状体として形成される前記第2金属体は、層状体として形成される前記第1金属体上に配設されていることが好ましい。
【0018】
また、柱状に形成される前記第1金属体は、中空筒状に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放射性物質を使用せず、より一層大きな物質の活性化効果を発揮することができる物質活性化部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る物質活性化部材の概略構成断面図である。
図2図1に係る物質活性化部材の変形例に関する概略構成断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材の概略構成平面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材の概略構成図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材の概略構成図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材を説明するための説明図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材の概略構成断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材の概略構成断面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る物質活性化部材の概略構成断面図である。
図10】実験に供された物質活性化部材を説明するための画像である。
図11】実験内容を説明するための画像である。
図12】実験結果に関する画像である。
図13】実験結果に関する画像である。
図14】実験に供された物質活性化部材を説明するための画像である。
図15】実験結果に関する画像である。
図16】実験結果に関する画像である。
図17】実験結果に関する画像である。
図18】実験結果に関する画像である。
図19】実験結果に関する画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る物質活性化部材1について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、各図は、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。本発明に係る物質活性化部材1は、電子を発生させることが可能な部材であって、図1の概略構成断面図に示すように、第1金属体2と第2金属体3とを備えている。第1金属体2と第2金属体3とは電気的に接触するようにして構成される。
【0022】
図1に示す物質活性化部材1の構成においては、第1金属体2は、シート状、板状又は箔状等の層状体として構成されており、同様に、第2金属体3も、シート状、板状又は箔状等の層状体として構成されている。シート状、板状又は箔状等の層状体として構成される第1金属体2及び第2金属体3の厚み寸法としては、例えば、0.01mm以上0.5mm以下に設定されることが好ましい。なお、該厚み寸法は、0.03mm以上0.3mm以下に設定されることがより好ましく、0.05mm以上0.1mm以下に設定されることが更により好ましい。この物質活性化部材1は、第1金属体2及び第2金属体3を複数備えており、第1金属体2及び第2金属体3は、交互に積層されて構成されている。また、第1金属体2及び第2金属体3の積層体として形成される物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bには、第1金属体2が配置されるように形成される。
【0023】
また、第2金属体3の平面視面積は、第1金属体2の平面視面積よりも小さく形成されており、第2金属体3の周縁が、第1金属体2の周縁よりも内側に配置されるように、第1金属体2及び第2金属体3は積層されている。つまり、第2金属体3の周縁領域が、積層構造として構成される物質活性化部材1の周縁から外方に突出しないように構成されている。また、層状体として形成される第1金属体2の厚みは、層状体として形成される第2金属体3の厚みよりも薄く形成することが好ましい。このように、第1金属体2の厚みを第2金属体3の厚みよりも薄く形成することにより、第1金属体2の電気抵抗を低くして多くの電子を第2金属体3に向けて移動させることが可能となる。
【0024】
第1金属体2及び第2金属体3は、金属により形成されているが、この金属は合金を含む概念である。また、第1金属体2の酸化還元電位は、第2金属体3の酸化還元電位よりも低くなるように構成されている。例えば、第1金属体2は、酸化還元電位が0V未満の金属(合金を含む)から形成されており、第2金属体3は、酸化還元電位が0V以上である金属(合金を含む)から形成されていることが好ましい。
【0025】
酸化還元電位が0V未満の金属(第1金属体2を形成する金属)としては、いわゆるイオン化傾向の高い金属であるリチウム(酸化還元電位:-3.045V)、セシウム(酸化還元電位:-2.923V)、ルビジウム(酸化還元電位:-2.924V)、カリウム(酸化還元電位:-2.925V)、バリウム(酸化還元電位:-2.92V)、ストロンチウム(酸化還元電位:-2.89V)、カルシウム(酸化還元電位:-2.84V)、ナトリウム(酸化還元電位:-2.714V)、マグネシウム(酸化還元電位:-2.356V)、トリウム(酸化還元電位:-1.90V)、ベリリウム(-1.85V)、アルミニウム(-1.676V)、チタン(酸化還元電位:-1.63V)、ジルコニウム(酸化還元電位:-1.534V)、マンガン(酸化還元電位:-1.18V)、タンタル(酸化還元電位:-0.81V)、亜鉛(酸化還元電位:-0.7626V)、クロム(酸化還元電位:-0.74V)、鉄(酸化還元電位:-0.44V)、カドミウム(酸化還元電位:-0.4025V)、コバルト(酸化還元電位:-0.277V)、ニッケル(酸化還元電位:-0.257V)、スズ(酸化還元電位:-0.1375V)、鉛(酸化還元電位:-0.1263V)を例示することができる。
【0026】
第1金属体2を形成する金属としては、活性化の対象となる物質のより一層の活性化を促すため、その酸化還元電位は、-0.4V以下であることが好ましく、-1.0V以下であることがより好ましく、-1.5V以下であることがさらに好ましく、-2.0V以下であることがよりさらに好ましく、-2.5V以下であることが特に好ましい。
【0027】
酸化還元電位が0V以上の金属(第2金属体3を形成する金属)としては、いわゆるイオン化傾向の低い金属であるアンチモン(酸化還元電位:0.1504V)、ビスマス(酸化還元電位:0.3172V)、銅(酸化還元電位:0.340V)、水銀(酸化還元電位:0.7960V)、銀(酸化還元電位:0.7991V)、パラジウム(酸化還元電位:0.915V)、イリジウム(酸化還元電位:1.156V)、白金(酸化還元電位:1.188V)、金(酸化還元電位:1.52V)を例示することができる。
【0028】
なお、第1金属体2及び第2金属体3を形成する金属材料としては上述のものに限定されず、第1金属体2の酸化還元電位が、第2金属体3の酸化還元電位よりも低くなるような組み合わせであれば、例えば、第1金属体2及び第2金属体3共に、酸化還元電位が0V未満の金属材料から形成されてもよく、或いは、酸化還元電位が0V以上の金属材料から形成されてもよい。
【0029】
層状体である第1金属体2及び第2金属体3との積層構造として形成される本実施形態に係る物質活性化部材1の厚さの下限は、活性化の対象となる物質を十分に活性化させるに足りるだけの電子を放出することができ、かつ、折り曲げたり、管体等に巻き付けたりしても、物質活性化部材1が破れたり切れたりしない程度であれば、特に限定されない。
【0030】
物質活性化部材1の厚さの上限についても特に限定されないが、物質活性化部材1が全体として可撓性を有するように構成する場合には、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更に好ましい。
【0031】
上述の積層構造として形成される物質活性化部材1は、例えば、シート状、板状又は箔状等の層状体に形成される第1金属体2と第2金属体3とを交互に積層し圧力をかけることにより製造することができる。また、第1金属体2及び第2金属体3の内、融点の高い一方をシート状、板状又は箔状等の層状体として構成し、融点の低い他方を構成する金属材料を溶融させて、層状体の上に流し込み、その上に融点の高い一方の層状体を重ねていくことを繰り返すことにより積層構造の物質活性化部材1を製造することができる。また、メッキ技術を使用して、第1金属体2と第2金属体3とが交互に積層する物質活性化部材1を製造することもできる。また、蒸着技術を用いて酸化還元電位が0V未満の金属蒸着シート、及び、酸化還元電位の0V以上の金属蒸着シートを形成し、これらを第1金属体2及び第2金属体3として使用して積層し、物質活性化部材1を製造することもできる。
【0032】
上記構成の物質活性化部材1は、電子を放出する第1金属体2と、電子を受け取る第2金属体3とを備えているため、物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bに配置される第1金属体2から電子が放出される。特に、図1に示す構成においては、複数の第1金属体2と複数の第2金属体3との積層構造を有しているため、物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bに配置される第1金属体2から放出される電子の量を増大させることが可能になる。なお、物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bに配置される第1金属体2に電線や導電板を接続し、第1金属体2から放出される電子を電線や導電板を介して物質活性化部材1から離れた位置に放出するように構成することができる。また、第1金属体2に電線や導電板を接続する形態を採用する場合、放出される電子が電線や導電板のみを通過できるようにするために、第1金属体2と第2金属体3との積層構造として構成される物質活性化部材1の周囲を絶縁被膜にて被覆するように構成してよい。また、第1金属体2に端子部を設け、この端子部に電線を接続して電子を放出するようにしてもよい。端子部を設ける場合には、第2金属体3を形成する金属材料と同じ材料によってこの端子部を形成することが電子の放出効率を向上させる観点から好ましい。
【0033】
また、上記実施形態においては、第2金属体3の平面視面積が、第1金属体2の平面視面積よりも小さく形成され、第2金属体3の周縁が、第1金属体2の周縁よりも内側に配置されるように、第1金属体2及び第2金属体3が積層される構造を備えているが、このような構造により、各第2金属体3同士が短絡してしまうことを効果的に抑制することができ、効率よく第1金属体2から電子を取り出すことが可能となり、極めて効率よく物質活性化部材1から電子を放出させることが可能となる。
【0034】
このような構成の物質活性化部材1は、様々な分野において、活性化の対象となる物質が内在する装置に取り付けることにより、物質を効果的に活性化させることが可能となる。例えば、物質活性化部材1を、自動車用エンジンの空気ダクトの表面に密着するように巻き付けて、結束バンド等の固定具で固定することにより、物質活性化部材1から発生する電子が空気ダクトの内部を流れる吸入空気の空気分子に伝播してこれの活性化を大幅に促進させる。そして、このように活性化された吸入空気が、自動車エンジンのシリンダの内部に供給されると、シリンダ内に噴射された燃料と活性化された吸入空気とが充分に混合されるので、シリンダ内における燃料の燃焼効率が大幅に高まり、燃料消費率の低減及び排気ガスの清浄化を促進させることができる。なお、本実施形態の物質活性化部材1は、空気ダクトの形状に左右されることなく、その取付作業を極めて容易に行うことができ、また、物質活性化部材1は、空気ダクトの外側に取り付けられるので、エンジンが空気を吸入する際の抵抗となることがない。
【0035】
また、物質活性化部材1を自動車の排気管の外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から放出される電子は、排気ガスに含まれる一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物等の化合物に伝播し、これらの化合物の活性化を大幅に促進させることができ、これらの化合物は、伝播された電子によって大幅に活性化された状態で触媒装置に送られるため、きわめて効率よく清浄化することができる。なお、物質活性化部材1は、自動車の排気管の外側に巻きつけるものであるから、本部材が高温の排気ガスの影響を受けて損傷することはない。
【0036】
また、物質活性化部材1を、自動車のシリンダブロックの外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から放出された電子は、シリンダブロックの内部を流れる自動車エンジンの吸入空気又は排気ガスに作用して、これらの活性化を大幅に促進させる。これらの吸入空気又は排気ガスは、伝播された電子によって大幅に活性化された状態で触媒装置に送られるため、きわめて効率よく清浄化される。
【0037】
また、物質活性化部材1を、機械の摺動部分を潤滑油で潤滑する潤滑装置に使用することもできる。機械の金属同士が摺動する部分の摩擦を少なくするために、潤滑油が用いられているが、このような潤滑油は、熱や、摩耗した金属粉等の影響を受け、その潤滑能力や熱交換能力が次第に低下する。また、オイルフィルタに金属磨耗粉が滞積すると、潤滑油の通過能力が低下し、潤滑性能が更に低下する。そこで、物質活性化部材1を、機械の摺動部分を潤滑する潤滑油を収納する容器、あるいは潤滑油が流れる管の外側になるように巻き付けることにより、物質活性化部材1から放射される電子は、潤滑装置の内部を流れる潤滑油に作用し、該潤滑油の活性化を大幅に促進させる。電子が伝播され活性化された潤滑油は、オイルフィルタ上に滞積した金属磨耗粉等の間を滑らかに流れることができるので、オイルフィルタの性能を維持しつつ潤滑性能を向上できるばかりでなく、オイルポンプヘの負担を軽減して動力損失を低減することができる。
【0038】
また、物質活性化部材1を、冷却液を用いて機械の発熱部分を冷却する冷却装置に使用することもできる。例えば、エンジン等においては、燃焼によって生じた熱をシリンダブロックから効率的に取り除くために、冷却液を加圧して循環させている。しかしながら、冷却液を加圧して循環させるとポンプに負担がかかるばかりでなく、パイプ等の接続部から漏れが発生したりホースの破損が生じたりする。そこで、物質活性化部材1を、機械の発熱部分を冷却する冷却液を収納する容器、あるいはその内部を冷却液が流れる管の外側に、物質活性化部材1を巻き付けることにより、物質活性化部材1から放射される電子は、冷却装置の内部を流れる冷却液に作用し、冷却液の活性化を大幅に促進させる。これにより、冷却液循環系統の内壁面に被膜を形成することができ、熱伝達率を向上させて冷却効率を向上できるばかりでなく、冷却液が層流化して滑らかに流れるようになって冷却液の循環抵抗が減少する。その結果、冷却液の循環圧力を低下させることができるため、ポンプの負担を減少させて動力損失を低減できるばかりでなく、パイプ等の接続部からの漏れやホースの破損等をも防止することができる。さらに、電子が伝播され活性化された冷却液の層は冷却液循環系統の腐食を防止するとともに、ゴムホース等の劣化を防止する効果をも有する。
【0039】
また、物質活性化部材1を、エンジン等の燃焼機関に液体または気体燃料を供給する燃料供給装置に使用することもできる。一般的な燃焼においては、気化させた液体燃料又は気体燃料と、酸素とを燃焼室内で結合させて熱エネルギーを取り出している。液体燃料又は気体燃料から効率良くそのエネルギーを取り出すためには、燃料と空気を充分に混合させなければならない。そこで、物質活性化部材1を、燃焼機関に供給する液体燃料又は気体燃料を収容する容器、あるいはこれらの燃料が内部を流れる管路の外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生する電子が上記した燃料に作用し、燃料の活性化を大幅に促進させる。これにより、燃料噴射弁から噴射して燃料を霧化させる際の燃料の粒径を、通常の場合に比較して遥かに微細化することができる。その結果、燃焼室内において燃料と空気とを充分に混合させ、燃料が持つ熱エネルギーを十分に取り出すことができる。このことはガソリンだけではなく燃焼に寄与する石油類全般に応用することが可能である。
【0040】
また、物質活性化部材1を、タービンを構成する動翼に使用することもできる。水力発電においては水、火力発電においては水蒸気、自動車の自動変速機においてはオイル等の作動流体を、それぞれタービン翼に作用させることによって回転駆動力を得ている。しかしながら、流体とタービン翼とが接触する際、タービン翼に生じる抵抗は、流体の速度が増すにつれて大きくなるため、流体の速度を大きくしすぎると、流体からタービン翼へのエネルギー伝達能力を低下させることに繋がる。そこで、物質活性化部材1を、タービン翼の外側、あるいは内部にタービン翼を収容するケーシングの外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が上記した流体に作用し、流体の活性化を大幅に促進させる。これにより、タービンの動翼の表面に層流を形成し、流体がタービン翼の間を滑らかに流れるようになるため、タービン翼に生じる抵抗を減少させ、高い効率で回転駆動力を得ることができるようになる。
【0041】
また、物質活性化部材1を、エアコン等の冷却装置に使用することもできる。エアコンや冷蔵庫の冷却装置は、エバポレータ内で冷媒を気化させて居室内や冷蔵庫内の空気から熱を奪い取った後、コンデンサで冷媒を圧縮しラジエターを介して外部に放熱する。したがって、冷蔵庫やエアコンの冷却性能を向上させるためには、エバポレータにおける冷媒の熱交換効率を向上させる必要がある。そこで、物質活性化部材1を、冷却装置に用いる冷媒の通路であるエバポレータ、又はその内部を冷媒が流れる管路に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が上記した冷媒に作用し、冷媒の活性化を大幅に促進させる。これにより、エバポレータや管路の金属内壁面に、活性化した冷媒の膜が密着するので、エバポレータや管路の金属内壁面と冷媒との間の熱交換効率を大幅に向上させることができる。
【0042】
また、物質活性化部材1を、洗浄水収納容器に使用することもできる。一般家庭等では、食器等を洗浄する洗剤の溶媒として水道水を利用する。洗浄力を高めるためには温水を利用せざるを得ず、光熱費がかかる難点がある。そこで、物質活性化部材1を洗浄水収納容器又は洗浄水が流れる管路に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が流体に作用し、洗浄水の活性化を大幅に促進させる。電子が伝播され活性化させた水道水を溶媒にすると、常温であったとしても、洗剤の界面活性剤が効率的に活性作用を呈する。その結果、食器や洗濯物等を洗浄する能力を大幅に向上させることができる。なお、電子が伝播され活性化させた水道水は、水道管内部の腐食を防止する効果も有する。
【0043】
また、物質活性化部材1を、植物の生育用途に使用することもできる。植物の生育には、太陽光や大気中の二酸化炭素の他に栄養分を含んだ水が必要である。そして、植物の生育を促進させるためには、植物の根から吸収される水の量を増加させることが好ましい。その手法として、水の温度を高める方法があるが、この方法では、植物の根から吸収される水の吸収量をある程度増加させることができる程度にとどまっている。そこで、植物の根から吸収される水の量を増やすため、物質活性化部材1を、植物に供給する栄養分を含んだ水の供給水収納容器、又はその内部を供給水が流れる管路に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が上記した流体に作用し、供給水等の活性化を大幅に促進させる。これにより、植物に供給する水とそれに含まれる栄養分とを活性化させることができ、このように活性化された水及び栄養分は、植物の毛根によって容易に吸収されるので、植物の生育を促進させることができる。また、植物が必要とする窒素化合物は、細菌と酵素が腐葉土を分解する際に生成されるが、高度に活性化された水を供給すると、腐葉土の分解が促進されて窒素化合物の生成が増加する。これにより、このような窒素化合物を十分に溶存した活性化された水によって植物の生育を大幅に促進することができる。
【0044】
また、物質活性化部材1を、動物の生育用途に使用することもできる。動物の生育には、その体の大部分を構成するための水が必要である。動物園等で飼育される動物は、飲料水を水道水から得ている。しかしながら、飲料水を供給水タンク内に収容している間に、飲料水の酸化、劣化が進行する。そこで、物質活性化部材1を供給水タンクやその内部を供給水が流れる管路の外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が、供給水に作用し活性化させる。活性化された水は、動物の体内に容易に吸収される。また、酸化還元電位を抑えるために抗酸化作用があり、さらに免疫機能を高め、成長促進に効果がある。
【0045】
また、物質活性化部材1を、魚介類の生育用途に使用することもできる。魚介類の生活環境は、水中であるため、水の品質は、極めて重要である。魚介類を飼育する際、生息している水と同じ水槽内に老廃物を排出するため、常に浄化しなければ、水質が悪化する。そこで、物質活性化部材1を、魚介類に供給する水の供給水収納容器、循環浄化装置、又はその内部を供給水が流れる管路の外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が、供給水に作用し活性化させる。そして、活性化された水は、魚介類の体内に容易に吸収される。また、酸化還元電位を抑えるために抗酸化作用があり、さらに免疫機能を高め、成長促進に効果がある。
【0046】
また、物質活性化部材1を、汚水を処理する浄化槽に使用することもできる。一般家庭から排出されるし尿を処理する浄化槽においては、好気性細菌が空気中の酸素を取り入れつつ有機物質を酸化し分解している。したがって、このような好気性細菌を増殖させることにより、し尿を効率的に処理することが可能となる。そこで、物質活性化部材1を、エアレーション用空気供給用ポンプ、又はその内部をエアレーション用空気が流れる管路の外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が、ポンプを通過する空気、又は、管路を流れる空気に作用し、その空気を活性化させる。その結果、活性化された空気を浄化槽に供給することができるので、し尿を分解する好気性細菌を活性化させ、より高い効率で汚水を処理することができる。
【0047】
また、物質活性化部材1を、スプレー塗装装置に使用することもできる。自動車のボディを塗装する際には、より均質で高品質な塗装面を形成するために、霧状に分散させる塗料の粒径をより小さくする必要がある。しかしながら、従来のスプレー塗装装置は、空気をそのまま用いて塗料を霧状に分散させる構造となっているため、分散させた塗料の粒径をさらに小さくすることが難しい。 そこで、物質活性化部材1を、塗料を噴射して霧化させるために用いる圧縮空気供給ポンプ、又はその内部を圧縮空気が流れる管路の外側に巻き付けることにより、物質活性化部材1から発生した電子が、ポンプを通過する空気、又は、管路を流れる空気に作用し、その空気を活性化させ、活性化させた圧縮空気を用いて塗料を噴射し霧化させることで、空気と塗料との混合が促進され、霧化させる塗料の粒径をより一層小さなものとすることができる。したがって、より均質で高品質な塗装面を形成することができる。
【0048】
また、物質活性化部材1から放出される電子を管中を移動する流動体(気体、液体、粉体、)に作用させることで、流動体の流速が早まり、移送効率が向上することが確認されている。例えば、タンクローリーより工場のタンクに配管を通して粉体を移送する際にかかる時間を短縮することが可能となる。これは、電子を付与することで、静電気が除去され、粉体と配管との摩擦抵抗が軽減することで流速が早まるものと考えられる。また、物質活性化部材1を自動車の排気管の外側に巻き付ける等により、排気ガスに電子を付与することにより、排気ガスの排出速度も速まり、排気管からの抜けが良くなる結果、エンジンの燃焼効率も向上する。
【0049】
また、物質活性化部材1から放出される電子を金属加工の切削機械に付与すると切削がよりスムーズに行われ、加工表面の切削精度が上がることが確認されている。通常、潤滑油を使用しない状態だと金属同士の接触により焼き付きを起こしてしまう。そのために潤滑油の使用により金属同士が直接接触しないように潤滑油の油膜を使って摩擦を軽減するものであるが、この潤滑油の代りに、電子を付与することで金属同士が接触しても摩擦抵抗が減少することで焼き付きが起こりにくくなる。
【0050】
また、物質活性化部材1から放出される電子を水に付与することにより、水の物性に変化をもたらし叙述した内容以外のさまざまな効力を発揮させることができる。例えば、水の熱の伝導率を向上させることもできる。特に、40~60℃における熱の伝導率は、電子付与の無い水に対して40%近く向上することが確認されている。また、浸透力が上がり煮炊きものの抽出力が向上し、早く浸透させることもできる。更に、植物への浸透効果も確認されており収穫した野菜を電子が付与された水に浸けておくと水が植物に浸透して鮮度が保たれることが確認されている。また、水に油を入れて攪拌した後、通常の水と電子付与の水で分離状態を確認すると通常の水の方が早く分離することから、油との親和性が向上することも確認されている。
【0051】
また、自動車用バッテリーは通常3年または3万キロ走行で交換することをメーカーは推奨しているが、これはバッテリーの最大容量が減少するためである。最大容量が80%に減少したバッテリーの場合だと満充電にしても80%しか充電出来ていないことになる。しかし、物質活性化部材1から放出される電子が付与された有機ゲルマニウム溶液をバッテリーの各セルに数mL添加することでバッテリー容量が80%に減少していても数日間通常の運転をするだけでその最大容量が100%にまで復活させることが可能になる。また、同じバッテリーに関してはリチウムイオンバッテリーの放電時間を延長する効果も確認されている。これは電流値によっても当然変化するものであるが、そのバッテリーの定格で使用した場合20~30%延長することが可能である。またリチウムイオンバッテリーを充電する時にマイナス端子から物質活性化部材1を介して電子を入れると古くなって容量が下がったバッテリー容量が徐々に増加することも確認されている。
【0052】
また、エアコン、冷凍機や主に家庭用冷蔵庫の冷媒に電子を付与した場合その冷房能力が向上することが確認されている。具体的には、エアコンなどの冷媒ガスの高圧側に電子を付与すると冷房時の吹き出し温度が1~4℃下がる事が確認されている。さらに潤滑効果により騒音レベルも低下することも確認されている。これらの事象より、設定温度を管理することで電力を削減出来ることが期待される。なお、電気製品全般において機器に電子を付与することで熱伝導率の向上、電気の流れが良くなることで効率が上昇し、摩擦抵抗低減効果によって電気料金の節減に寄与する。電気の流れというのはその導電体の自由電子の状態によるもので、電子を付与することでわずかながら抵抗値が下がることが考えられる。
【0053】
また、鶏の卵が孵化する際に電子を付与することで孵化した際の卵黄の使用率がほぼ100%に近い状態になり、ひよこの血液検査を行うと脾臓免疫指数mRNA値が上昇しており、体重が標準値よりも増えていることが確認されている。ひよこの洋背血球凝集抗体価と脾臓免疫関連遺伝子発現に及ぼす影響が大きい物と思われる。人間の場合においても足のくるぶしに電子を付与すると僅か10秒で指先の血流量が増えることが血流量顕微鏡で確認されており、平均的に数10分で手の甲の表面温度が2~4℃上昇することが確認されている。
【0054】
以上、本発明の一実施形態に係る物質活性化部材1について説明したが、物質活性化部材1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bに第1金属体2が配置されるように構成されているが、このような態様に特に限定されず、いずれか一方に第1金属体2が配置される構成を採用することもできる。なお、物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bのいずれか一方には、第2金属体3が配置されることになるが、このような構成の場合、直接作用させる物体等に第2金属体3を接触させることで電子を伝播させることができる。また、物質活性化部材1における最上層1a及び最下層1bに第2金属体3が配置されるように構成することもできる。
【0055】
また、上記実施形態においては、層状体として形成される第1金属体2及び第2金属体3を複数備え、これらを交互に積層した態様として物質活性化部材1を構成しているが、単層の第1金属体2及び単層の第2金属体3とを積層した態様として物質活性化部材1を構成することもできる。なお、このような構成の場合、第1金属体2の露出面を絶縁層で被覆するように構成することが好ましい。
【0056】
また、上記実施形態においては、第2金属体3の平面視面積が、第1金属体2の平面視面積よりも小さく形成されており、第2金属体3の周縁が、第1金属体2の周縁よりも内側に配置されるように物質活性化部材1が構成されておるが、例えば、図2の概略構成断面図に示すように、第1金属体2及び第2金属体3の平面視形状を同一とし(平面視面積を同一とし)、これらを交互に積層して、第1金属体2の周縁位置と、第2金属体3の周縁位置とを一致させた態様として物質活性化部材1を構成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、層状体として形成される第1金属体2及び第2金属体3を交互に積層して物質活性化部材1をシート状に構成しているが、例えば、図3の概略構成平面図に示すように、布帛体として物質活性化部材1を構成してもよい。より具体的には、第1金属体2及び第2金属体3を糸状の繊維体(金属糸)として形成し、複数の繊維状の第1金属体2を縦糸(又は横糸)として、かつ、複数の繊維状の第2金属体3を横糸(又は縦糸)として用い、これらから織地或いは編地を形成することにより布帛体を得ることができる。
【0058】
また、図3に示すように、繊維体として構成される複数の第2金属体3の少なくとも一方側の各端部は、布帛体の縁部から外方に突出するように構成される。また、繊維体として形成される第1金属体2の太さは、繊維体として形成される第2金属体3の太さよりも太く形成することが好ましい。このように第1金属体2の太さを第2金属体3の太さよりも太く形成することにより、第2金属体3に接触する第1金属体2の面積を大きくすることができ、より多くの電子を第1金属体2から第2金属体3に移動させることができ、物質活性化部材1から放出される電子量を増加させることが可能となる。
【0059】
ここで、織地の種類は特に限定されず、例えば、平織、朱子織(サテン)、綾織、ドビー織、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。また、編地の種類も特に限定されず、例えば、経編地であってもよいし緯編地であってもよい。経編地としては、トリコット編、ラッセル編、ジャガード編等が例示され、緯編地としては平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編等が好ましく例示されるが、それらに限られるものではない。
【0060】
また、織地として物質活性化部材1を形成する場合、例えば、有杼織機、無杼織機等の通常の織機を用いて通常の方法により織地とすることができる。同様に、編地として物質活性化部材1を形成する場合、例えば、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッシェル編機等の通常の編機を用いて通常の方法により編地とすることができる。
【0061】
また、布帛体として形成される物質活性化部材1の層数も特に限定されず単層でもよいし2層以上の多層構造を有するように構成してもよい。
【0062】
このような布帛体として物質活性化部材1を構成する場合であっても、第1金属体2と第2金属体3とは電気的に接続しているため、その接触点において、第1金属体2から第2金属体3に向けて電子が移動し、布帛体の縁部から外方に突出している第2金属体3の一端部から電子が放出されることになる。
【0063】
なお、布帛体として構成される物質活性化部材1は、第1金属体2及び第2金属体3の積層構造体として構成される図1に示す物質活性化部材1と同様に、活性化の対象となる物質が内在する装置に巻回或いは貼り付ける等して取り付けることにより使用することができる。なお、布帛状の物質活性化部材1の縁部から外方に突出する各第2金属体3の一方端を束ねる等して、これに電線を接続し、当該電線を介して物質活性化部材1から離れた位置に電子を放出するように構成することもできる。また、布帛状に物質活性化部材1を形成する場合、物質活性化部材1の縁部から突出する各第2金属体3の一方端部側において電子が放出されるようにするために、布帛状の物質活性化部材1の周囲を絶縁被膜にて被覆するように構成することが好ましい。
【0064】
また、物質活性化部材1を、例えば、図4の概略構成図に示すように、撚線として構成してもよい。より具体的には、第1金属体2及び第2金属体3を糸状の繊維体(金属糸)として形成し、これら各繊維体を複数束ねて撚り合わせることにより物質活性化部材1を形成してもよい。
【0065】
また、繊維体として構成される複数の第2金属体3の少なくとも一方側の各端部は、撚線の端部から外方に突出するように構成されることが好ましい。また、繊維体として形成される第1金属体2の太さは、繊維体として形成される第2金属体3の太さよりも太く形成することが好ましい。このように第1金属体2の太さを第2金属体3の太さよりも太く形成することにより、第2金属体3に接触する第1金属体2の面積を大きくすることができ、より多くの電子を第1金属体2から第2金属体3に移動させることができ、物質活性化部材1から放出される電子量を増加させることが可能となる。
【0066】
ここで、撚線として物質活性化部材1を形成する手法は特に限定されず、例えば、チューブラー型撚線機やバンチャー型撚線機等の従来から知られている撚機を用いて形成することができる。
【0067】
このような撚線として物質活性化部材1を構成する場合であっても、第1金属体2と第2金属体3とは電気的に接続しているため、その接触点において、第1金属体2から第2金属体3に向けて電子が移動し、撚線の端部から外方に突出している第2金属体3から電子が放出されることになる。
【0068】
なお、撚線として構成される物質活性化部材1は、第1金属体2及び第2金属体3の積層構造体として構成される図1に示す物質活性化部材1と同様に、活性化の対象となる物質が内在する装置に巻回或いは貼り付ける等して取り付けることにより使用することができる。なお、撚線の物質活性化部材1の端部から外方に突出する各第2金属体3の一方端を束ねる等して、これに電線を接続し、当該電線を介して物質活性化部材1から離れた位置に電子を放出するように構成することもできる。また、撚線状に物質活性化部材1を形成する場合、物質活性化部材1の端部から突出する各第2金属体3の一方端部側において電子が放出されるようにするために、撚線状の物質活性化部材1の周囲を絶縁被膜にて被覆するように構成することが好ましい。
【0069】
また、図4に示す撚線を複数用いて、図3に示すような布帛状の物質活性化部材1を構成してもよい。具体的には、第1金属体2及び第2金属体3を糸状の繊維体(金属糸)として形成し、これら各繊維体を複数束ねて撚り合わせることにより撚線を形成し、これを縦糸及び横糸として用い、これらから織地或いは編地を形成することにより布帛状の物質活性化部材1を構成してもよい。
【0070】
また、物質活性化部材1を、上述のように撚線として構成する場合、図5の概略構成図に示すように、糸状の繊維体(金属糸)として形成される第1金属体2を中心部に配置し、その周りに、糸状の繊維体(金属糸)として形成される第2金属体3を撚り合わせるようにして撚線を形成するようにしてもよい。
【0071】
また、例えば、図6の概略構成図に示すように、柱状の第1金属体2の外表面上に、糸状の繊維体(金属糸)として形成される第2金属体3を螺旋状に巻回配置した上で、図6のA―A断面に相当する図7の概略構成断面図に示すように、その上方側から層状体として形成される第1金属体2及び層状体に形成される第2金属体3をこの順で巻き付けるようにして配設して物質活性化部材1を形成することもできる。糸状の繊維体(金属糸)として形成される第2金属体3は、柱状の第1金属体2の外表面上にできるだけ密に巻回されることが多くの電子を取り出すことができるという観点から好ましい。図6においては、柱状の第1金属体2の軸方向に沿う方向において、隣接する第2金属体3同士の間に隙間が形成されているが、隣接する第2金属体3同士が互いに接触するようにして構成されることがより好ましい。
【0072】
柱状の第2金属体3としては、中実又は中空の別は特に問わないが、中空筒状に形成する場合には、電子を供給して活性化の対象となるものを内部の中空エリア内に配置することができる。また、棒状体として形成した第2金属体3を中空エリア内に挿入することにより、この棒状体の第2金属体3からも電子を取り出すことが可能となり、放出する電子の量を必要により増加させることが可能となる。なお、挿入される棒状体の第2金属体3と中空筒状に形成される第1金属体2とは電気的に接続できるように構成される。
【0073】
また、層状体として形成される第1金属体の外表面上に、更に糸状の繊維体(金属糸)として形成される第2金属体3を螺旋状に巻回配置し、その上に層状体として形成される第1金属体2を巻回して配設するように構成してもよい。なお、このような、糸状の繊維体(金属糸)として形成される第2金属体3、層状体として形成される第1金属体2で構成されるセット構造の繰り返し数は、特に限定されず任意であることはいうまでもない。なお、電子の取り出し方法は特に限定されないが、例えば、糸状の繊維体(金属糸)として形成される第2金属体3の一方端側を物質活性化部材1の外方に出し、この一方端側から電子を取り出すように構成することができる。
【0074】
また、図1図2に示す物質活性化部材1は、第1金属体2と第2金属体3とが直接的に接触して電気的に接続できるように構成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図8の概略構成断面図に示すように、セパレータ4を第1金属体2と第2金属体3との間に配置して、第1金属体2と第2金属体3とが間接的に電気的に接続するように構成してもよい。セパレータ4は、導電性を持たせながらもある程度の電気抵抗も持たせて一挙に多量の電子が放出されることを抑制するための部材である。このようなセパレータ4を、第1金属体2と第2金属体3との間に介在させることにより、物質活性化部材1から放出される電子の量を制御することができ、物質活性化部材1を長寿命化させることが可能となる。セパレータ4の厚みとしては、0.1mm以下に設定することが好ましく、0.05mm以下に設定することがより好ましく、更には0.01mm以下に設定することが好ましい。なお、セパレータ4は、図3図7に示す構成の物質活性化部材1についても適用できることはいうまでもない。
【0075】
また、セパレータ4の形態としては種々のものを採用することができる、例えば、シート状、メッシュ状に構成したものを使用することができる。シート状の形態としてセパレータ4を形成する場合、導電性を有する材料からセパレータ4は形成される。導電性を有する材料としては、特に限定されないが、例えば、導電性ポリマーを挙げることができる。なお、セパレータ4を形成する導電性材料の種類(導電率)を変更することにより、物質活性化部材1から放出される電子の量を制御することができる。
【0076】
また、メッシュ状にセパレータ4を形成する場合、当該セパレータ4は導電性材料から形成することができるが、絶縁性材料からも形成することができる。導電性材料からメッシュ状のセパレータ4を形成する場合、セパレータ4の両面に配設される第1金属体2と第2金属体3とが互いに直接的に接触するように構成してもよく、或いは、互いに直接的に接触しないように構成してもよい。メッシュ状のセパレータ4を形成する導電性材料の種類や、メッシュの開口部を介した第1金属体2と第2金属体3との接触状況を適宜変更することにより、第1金属体2から第2金属体3に向けての電子の移動量を変更することができ、物質活性化部材1から放出される電子の量を制御することができる。
【0077】
また、メッシュ状のセパレータ4を絶縁性材料から形成する場合、セパレータ4の両面に配設される第1金属体2と第2金属体3とが互いに直接的に接触するように構成する。メッシュの開口部を介した第1金属体2と第2金属体3との接触状況(接触面積)を適宜変更することにより、第1金属体2から第2金属体3に向けての電子の移動量を変更することができ、物質活性化部材1から放出される電子の量を制御することができる。
【0078】
なお、メッシュ状のセパレータ4の具体的構成については特に限定されず、例えば、正方形や長方形の複数の開口部を有するメッシュ形態、円形や楕円形の複数の開口部を有するメッシュ形態として形成されたものでもよく、或いは、シート状に形成されたセパレータ用部材(導電性材料から形成されたシート体や、絶縁性を有する紙部材や不織布等の布帛体)に貫通孔を複数形成したものであってもよい。
【0079】
また、図8の概略構成図においては、シート状に形成した単一のセパレータ4を第1金属体2と第2金属体3との間に配置するように構成されているが、図9の概略構成断面図に示すように、シート状に形成した複数のセパレータ4を所定間隔互いに離間させるような態様で、第1金属体2と第2金属体3との間に配置するようにしてもよい。このような構成の場合、各セパレータ4の間隔を変更することにより、第1金属体2と第2金属体3との接触面積をコントロールでき、第1金属体2から第2金属体3に移動する電子の量を変更することができる。
【0080】
発明者らは、本発明に係る物質活性化部材の効果を確認するための実験を行ったので、以下説明する。まず実験に供した物質活性化部材は、縦×横=50mm×250mmの長尺状(リボン状)アルミニウム箔(第1金属体2)と、縦×横=50mm×250mmの長尺状(リボン状)銅箔(第2金属体3)とを積層して形成された。なお、アルミニウム箔の厚みは、0.012mmであり、銅箔の厚みは、0.08mmである。この積層体は、図10に示すように、長尺状(リボン状)の積層体として構成されている。このように構成されたリボン状積層体を小型のDCモーターの筐体に巻き付けて設置し、当該DCモーターを駆動させた際の消費電流を測定した。なお、図11は、DCモーターの筐体に巻き付けられていた物質活性化部材(リボン状積層体として構成される物質活性化部材)を、モーターの筐体から取り外した状態を示す画像となる。なお、比較実験として、リボン状積層体として構成される物質活性化部材をモーターの筐体に巻き付けない場合の消費電流も併せて測定した。なお、モーターを駆動させるための使用電源は5V定電圧安定化電源とした。
【0081】
リボン状積層体として構成される物質活性化部材をモーターの筐体に巻き付けた場合の消費電流は、図12に示されるように、117mAであり、物質活性化部材を巻き付けない場合の消費電流は、図13に示されるように、125mAであるという結果を得た。このように、物質活性化部材をモーターに巻き付けた場合、8mAの消費電流低下が認められ、本発明に係る物質活性化部材の効果として、消費電力を低減し、モーターを効率よく駆動させることができることがわかる。
【0082】
次に、物質活性化部材から放出される電子を水道水に付与できることを確認するための実験も行ったので、その実験方法及び結果について以下説明する。まず、実験に供した物質活性化部材は、図14に示すように、80mm×50mmのアルミ板(第1金属体2)5枚と同じく銅板(第2金属体3)を用い、交互に重ね合わることにより積層体を構成し、この積層体の一の側縁部に、電極として200mm×200mmの銅メッシュをはんだ付けすることにより作成された。なお、アルミ板および銅板ともに、その厚みは、0.2mmである。また、積層体の表面は、アルミニウムとグラスファイバーとからなる耐熱テープで巻回することにより、アルミ板と銅板との密着性を高めている。このように構成された物質活性化部材の銅メッシュからなる電極部分をボトルに貯留した水道水内に浸漬し、時間経過とともに水道水の酸化還元電位がどのように変化するのかについて確認した。
【0083】
水道水の酸化還元電位の時間経過に伴う変化結果を図15図19に示す。なお、図15は、物質活性化部材の銅メッシュからなる電極部分をボトルに浸漬していない場合(初期状態)の酸化還元電位の測定結果(506mV)を示している。また、図16は、銅メッシュからなる電極部分をボトルに浸漬した後、5分経過した段階での測定結果(312mV)であり、図17は、20分経過した段階での測定結果(300mV)である。また、図18は、60分経過した段階での測定結果(274mV)であり、図19は、銅メッシュからなる電極部分をボトルに浸漬してから100分経過した段階での測定結果(263mV)である。なお、100分経過後は、酸化還元電位の変化はなくなり263mVで安定した。
【0084】
このように、時間経過とともに水道水の酸化還元電位が低下していることから。本発明に係る物質活性化部材によれば、多量の電子を水道水に付与することができることが確認される。このように電子が供給された水は、上述のように、例えば、抗酸化作用が高められた飲料水として利用することができ、また、収穫した野菜を電子が付与された水道水に浸けておくことで水が植物に浸透しやすくなり鮮度を長時間保つことができる。
【符号の説明】
【0085】
1 物質活性化部材
2 第1金属体
3 第2金属体
4 セパレータ
1a 最上層
1b 最下層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19