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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008671
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/539 20060101AFI20240112BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240112BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61F13/539
A61F13/534 100
A61F13/494 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110725
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 悠太郎
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA16
3B200CA15
3B200DB12
(57)【要約】
【課題】本発明は、吸収性物品の液体拡散性を向上させることを目的とする。
【解決手段】吸収性物品は、幅狭部と、幅広部と、を有する吸収体と、一対の防漏シートと、透水性シートと、非透水性シートと、防漏シートと非透水性シートとが非接着若しくは弱接着である股下弱接着部と、股下弱接着部の幅方向外側に設けられ、防漏シートと非透水性シートとが強接着である第1強接着部と、幅広部に設けられて長手方向の成分を有するように前後に延在し、吸収体と防漏シートとが非接着若しくは弱接着である肌側弱接着部と、幅広部に設けられて長手方向の成分を有するように前後に延在し、吸収体の一部と非透水性シートとが非接着若しくは弱接着である非肌側弱接着部と、を備え、股下弱接着部は、肌側弱接着部および非肌側弱接着部のそれぞれと連通している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さを有し、着用状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置すると股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、
前記長手方向の中央部に設けられた前記幅方向の長さが短い幅狭部と、前記幅狭部の前記長手方向の両側に設けられた前記幅狭部よりも前記幅方向の長さが長い幅広部と、を有する吸収体と、
前記吸収体の前記幅方向端部の両側を覆う一対の防漏シートと、
前記吸収体の肌面側に配置された透水性を有する透水性シートと、
前記吸収体の非肌面側に配置された非透水性を有する非透水性シートと、
前記吸収体の前記幅狭部の前記幅方向端部において、前記長手方向の成分を有するように前後に延在し、前記防漏シートと前記非透水性シートとが非接着若しくは弱接着である股下弱接着部と、
前記股下弱接着部の前記幅方向外側に設けられ、前記防漏シートと前記非透水性シートとが強接着である第1強接着部と、
前記幅広部に設けられて前記長手方向の成分を有するように前後に延在し、前記吸収体と前記防漏シートとが非接着若しくは弱接着である肌側弱接着部と、
前記幅広部に設けられて前記長手方向の成分を有するように前後に延在し、前記吸収体の一部と前記非透水性シートとが非接着若しくは弱接着である非肌側弱接着部と、
を備え、
前記股下弱接着部は、前記肌側弱接着部および前記非肌側弱接着部のそれぞれと連通している、
吸収性物品。
【請求項2】
前記肌側弱接着部は、前記防漏シートの前記幅方向の内側端部とは重ならない位置に設けられており、
前記肌側弱接着部の前記幅方向内側に設けられ、前記吸収体と前記防漏シートとが強接着である第2強接着部を備える、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記肌側弱接着部の前記幅方向内側に設けられ、前記吸収体と前記透水性シートとが強接着である第3強接着部を備える、
請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記肌側弱接着部の前記幅方向の長さと、前記股下弱接着部の前記幅方向の長さとは、実質的に同じである、
請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記非透水性シートは、前記透水性シートよりも非透水性能が高く、
前記非肌側弱接着部の前記幅方向の長さは、前記肌側弱接着部の前記幅方向の長さよりも長い、
請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収体は、前記肌面側に設けられた上層吸収マットと、前記上層吸収マットの前記非肌面側に設けられた下層吸収マットと、を有し、
前記非肌側弱接着部が存在する領域においては、前記上層吸収マットが配置され、前記下層吸収マットが配置されておらず、
前記非肌側弱接着部の前記幅方向の内側端部は、前記下層吸収マットと接している、
請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記防漏シートおよび前記非透水性シートは、前記吸収体の前記長手方向の端部よりも前記長手方向の外側に延在しており、前記肌側弱接着部および前記非肌側弱接着部のそれぞれの前記長手方向の端部が外部と連通しないように互いに接着されている、
請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記肌側弱接着部および/または前記非肌側弱接着部は前記吸収体の前記長手方向端部まで延在し、
前記吸収体の前記長手方向端部に隣接する前記防漏シートおよび前記非透水性シートが互いに非接着である非接着部を備え、
前記吸収体の前記長手方向端部まで延在する前記肌側弱接着部および/または前記非肌側弱接着部と、前記非接着部とが連通している、
請求項1または2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品として使い捨ておむつや尿パッドなどが知られている。特許文献1には、尿パッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-68949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品は、着用者が排出した液体を拡散し、吸収体で吸収、保持することで液体の漏れを抑制している。吸収性物品において、液体を拡散させる構造や構成には改良の余地がある。
【0005】
本発明は、液体の拡散性を向上した吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る吸収性物品は、長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さを有し、着用状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置すると股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記長手方向の中央部に設けられた前記幅方向の長さが短い幅狭部と、前記幅狭部の前記長手方向の両側に設けられた前記幅狭部よりも前記幅方向の長さが長い幅広部と、を有する吸収体と、前記吸収体の前記幅方向端部の両側を覆う一対の防漏シートと、前記吸収体の肌面側に配置された透水性を有する透水性シートと、前記吸収体の非肌面側に配置された非透水性を有する非透水性シートと、前記吸収体の前記幅狭部の前記幅方向端部において、前記長手方向の成分を有するように前後に延在し、前記防漏シートと前記非透水性シートとが非接着若しくは弱接着である股下弱接着部と、前記股下弱接着部の前記幅方向外側に設けられ、前記防漏シートと前記非透水性シートとが強接着である第1強接着部と、前記幅広部に設けられて前記長手方向の成分を有するように前後に延在し、前記吸収体と前記防漏シートとが非接着若しくは弱接着である肌側弱接着部と、前記幅広部に設けられて前記長手方向の成分を有するように前後に延在し、前記吸収体の一部と前記非透水性シートとが非接着若しくは弱接着である非肌側弱接着部と、を備え、前記股下弱接着部は、前記肌側弱接着部および前記非肌側弱接着部のそれぞれと連通している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収性物品の液体の拡散性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る吸収性パッドの外観斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る吸収性パッドの平面図である。
図3図3は、実施形態に係る吸収性パッドの断面図である。
図4図4は、実施形態に係る吸収性パッドの断面図である。
図5図5は、実施形態に係る吸収性パッドの断面図である。
図6図6は、実施形態の変形例に係る吸収性パッドの平面図である。
図7図7は、実施形態の変形例に係る吸収性パッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0010】
本実施形態では、交換式の吸収性パッド(本願でいう「吸収性物品」の一例である)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が連接して配置されている。また、吸収性パッドが着用者に着用された状態(以下、「着用状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(着用された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(着用された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0011】
図1は、実施形態に係る吸収性パッドの外観斜視図である。吸収性パッド1は、おむつまたは下衣肌着と着用者の肌面との間に着用されることにより、着用者の肌に当接する吸収性物品である。吸収性パッド1をテープ型おむつやパンツ型おむつの内側に着用した場合、吸収性パッド1が排出物を保持して吸収するため排出物はおむつに流入せず、おむつの交換頻度を低減することができる。
【0012】
吸収性パッド1は、着用状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。吸収性パッド1は、股下領域1Bを括れ部とし、股下領域1Bよりも幅広の前身頃領域1Fと、前身頃領域1Fよりも幅広の後身頃領域1Rとを有し、全体として、略瓢箪型の平面形状を有している。吸収性パッド1の前身頃領域1F、後身頃領域1R、股下領域1Bには、股下領域1Bを中心に、股下部分が絞られた略瓢箪型の吸収体が組み込まれている。
【0013】
吸収性パッド1の幅方向両側には、サイドシート9L,9R(本願でいう「一対の防漏シート」の一例)が設けられている。サイドシート9L,9Rには、透湿性および非透水性を有する不織布が用いられる。サイドシート9L,9Rの幅方向内側端部は他のシートと接着されていない自由端となっている。当該自由端には、吸収性パッド1の長手方向に沿って糸ゴムが伸張状態で接着されている。自由端は、着用時に当該糸ゴムの付勢力により肌面側に向けて立ち上がり、排出物の横漏れを防止する防漏壁である立体ギャザー3L,3Rとして機能する。サイドシート9L,9Rは、吸収性パッド1の肌面側の幅方向外側を保護すると共に、立体ギャザー3L,3Rで排出物の横漏れを防止する機能を有している。
【0014】
吸収性パッド1の外周の吸収体が延在していない部分では、吸収体を覆う各シートがホットメルト接着剤等で接着されている。吸収体の外周の外側で各シートを接着することにより、非接着部分からの体液流入を防ぎ、吸収体の位置を一定に保つことができる。
【0015】
吸収性パッド1は、外装面を形成するカバーシート4を備えている。カバーシート4は、吸収性パッド1の最も非肌面側に配置されており、併用されるおむつや肌着等との摩擦に耐え得る剛性を有している。カバーシート4には、一般的にポリプロピレン、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維で構成された不織布が用いられる。カバーシート4は、透湿性および液不透過性を有していることが好ましい。
【0016】
また、吸収性パッド1は、吸収体の肌面側に配置されたトップシート8(本願でいう「透水性シート」の一例)を備えている。トップシート8は、吸収体の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。トップシート8は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、吸収性パッド1の着用状態において、着用者から排出された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート8を通って吸収体に浸入し、そこで吸収される。液透過性のシートとしては、例えば、織布、不織布、多孔質フィルムが挙げられる。また、熱可塑性樹脂の繊維を含んで形成されたスパンボンド不織布や、エアスルー不織布等がトップシート8に用いられていてもよい。トップシート8は、その一部又は全部において液透過性を有する。吸収性パッド1が着用された状態において、着用者から放出された排出液は、着用者の肌に接触し得るトップシート8を通って吸収体に進入し、そこで吸収される。また、トップシート8は親水性を有していてもよい。
【0017】
図2は、実施形態に係る吸収性パッドを肌面側から視た平面図である。図3は、吸収性パッド1を図2に示すAA線で幅方向に沿って切断した場合の断面図である。カバーシート4、バックシート5、吸収体6、トップシート8は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6とトップシート8が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6とトップシート8の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。
【0018】
着用者が仰向け、またはうつ伏せ体勢の場合、排出液は体表面とトップシート8との間を均等に広がって徐々に吸収体6に吸収される。着用者が側臥位を取った場合などには、排出液が吸収体6が排出物を吸収し切る前に幅方向片側に流れることがあるが、吸収性パッド1は、排出液を受け止めて横漏れを防ぐ立体ギャザー3L,3Rを備えている。
【0019】
立体ギャザー3L,3Rは、その幅方向両端部においてトップシート8と接着されて接続している。立体ギャザー3L,3Rは、下層吸収体延在領域の幅方向端部付近に設けられた起立線3LL,3LRから立ち上がり、その幅方向の内側端部が自由端となっている。立体ギャザー3L,3Rの幅方向内側端部近傍である自由端付近には、弾性を有する収縮部材である糸ゴム3BL,3BRが設けられている。糸ゴム3BL,3BRは、伸長状態で吸収性パッド1の長手方向に沿って延在するように、自由端付近のサイドシート9L,9Rと接着されている。
【0020】
吸収性パッド1の長手方向端部では、立体ギャザー3L,3Rは、ホットメルト接着剤等の接着剤や熱溶着により、トップシート8と接着されて、固定部3Eが形成されている。糸ゴム3BL,3BRが収縮力を発揮して立体ギャザー3L,3Rが着用者の肌面に沿って立ち上がる際、長手方向両端部において固定部3Eは収縮の起点となる。そして、糸ゴム3BL,3BRの収縮力は吸収性パッド1の長手方向両端部にも伝わって、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rを肌面側に立ち上げる。このため、吸収性パッド1は適切に着用者の肌面に沿う。
【0021】
糸ゴム3BLと起立線3LLの間には、立体ギャザー3Lを溶着することで形成された高剛性部3HLが設けられている。糸ゴム3BRと起立線3LRの間にも、同様の高剛性部3HRが設けられている。当該高剛性部3HL,3HRにおいて立体ギャザー3L,3Rが溶着されていることにより、糸ゴム3BL,3BRの位置ずれは抑制される。このため、吸収性パッド1の着用時に、糸ゴム3BL,3BRは適切な付勢力を発揮し、立体ギャザー3L,3Rを適切に立ち上げて、着用者の肌面に当接させることができる。立体ギャザー3L,3Rは、他のシートと接着されていないため剛性は高くないが、高剛性部3
HL,3HRでは、立ち上がるサイドシート9L,9Rと、自由端部で折り返されたサイドシート9L,9Rが2枚重ねになって溶着されているため、立体ギャザー3L,3Rの他の部分よりも剛性が高くなっている。
【0022】
また、吸収性パッド1は、図3に示されるように、カバーシート4の肌面側において順に積層されるバックシート5(本願でいう「非透水性シート」の一例)と、吸収体6と、トップシート8とを備える。バックシート5は、着用者の前身頃から股下を経由して後身頃へ届く長さを長手方向に有し、当該長手方向に対し直交する幅方向に所定の横幅を有する略瓢箪型のシートである。バックシート5は、排出物の漏れを抑制するために非透液性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。吸収体6、トップシート9は、何れもバックシート5と同様に略長方形の外観を有するシートであり、長手方向がバックシート5の長手方向と一致する状態で、バックシート5に対して順に積層されている。
【0023】
吸収体6は、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂(高分子吸水材)を保持させた構造を有している。
【0024】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0025】
本実施形態に係る吸収性パッド1において、吸収体6は、肌面側に配置された上層吸収マット6aと、上層吸収マット6aの非肌面側に配置された下層吸収マット6bとを有している。上層吸収マット6aは、全領域において、下層吸収マット6bよりも幅広であり、肌面側から観察した場合、矩形状を有する下層吸収マット6bは、上層吸収マット6aの幅方向内側に収まる。上層吸収マット6aは略瓢箪型の平面形状を有しており、前身頃領域1F,後身頃領域1Rでは、起立線3LL,3RLの幅方向外側にまで延在している。このため、前身頃領域1F,後身頃領域1Rでは、上層吸収マット6aは立体ギャザー3L,3Rの幅方向外側にまで延在する。一方、股下領域1Bでは、上層吸収マット6aは幅方向に括れており、その端部は立体ギャザー3L,3Rの起立線3LL,3LRの内側に収まっている。
【0026】
また、吸収体6は、上層吸収マット6aと下層吸収マット6bとの間に配置され、SAP粒子によって形成されたSAP層6sを有している。SAP層6sは、複数のSAP粒子が接着剤で下層吸収マット6bの表面に付着されることで形成される。SAP層6sは、吸収性パッド1の幅方向中央部に間隔を設けて幅方向の両側に配置されている。この2つのSAP層6sは、吸収性パッド1の長手方向に延在している。なお、吸収性パッド1の長手方向において、SAP層6sは、上層吸収マット6aおよび下層吸収マット6b内に収まっている。SAPには、例えば、液体吸収前の状態において粒状のものが用いられる。SAPは、自重の10~100倍程度の液体を吸収する。SAP層6sは、上層吸収マット6aや下層吸収マット6bによって拡散される液体を吸収して保持する。
【0027】
また、吸収体6は、上層吸収マット6aおよび下層吸収マット6bの吸収マットの全体を包むコアラップシート7を有する。コアラップシート7は、透水性を有する薄手のシー
トであり、一例としては、ティッシュペーパー等のパルプ繊維からなるシートである。吸収体6は、複数の吸収マットをコアラップシート7で覆うことで、吸収マットの型崩れを抑制できる。
【0028】
本実施形態において、コアラップシート7は、上層コアラップシート7aと、下層コアラップシート7bとを有している。上層コアラップシート7aは、上層吸収マット6aの肌面側を覆っている。下層コアラップシート7bは、下層吸収マット6bの非肌面側と、上層吸収マット6aおよび下層吸収マット6bの側面部を覆っており、その端部は、上層吸収マット6aの幅方向端部の肌面側と重畳している。上層コアラップシート7aと下層コアラップシート7bとは、上層吸収マット6aの幅方向端部の肌面側で接合されており、両者で吸収マットの全体を包んでいる。
【0029】
吸収体6の非肌面側には、吸収体6と略同一形状で吸収体6よりもサイズが大きいバックシート5が設けられている。バックシート5は、吸収体6に流入した排出液の漏れを抑制するためにポリエチレンフィルム等の熱可塑性の液体不透過性の樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されていてもよい。
【0030】
また、図2に示されるように、吸収体6は、吸収性パッド1の長手方向の中央部に設けられた幅方向の長さが短い幅狭部6Cと、幅狭部6Cの当該長手方向の前身頃領域1F側に設けられた幅狭部6Cよりも幅方向の長さが長い幅広部6DFと、幅狭部6Cの当該長手方向の後身頃領域1R側に設けられた幅狭部6Cよりも幅方向の長さが長い幅広部6DRと、を有する。吸収体6は、幅狭部6Aで幅方向に狭くなる瓢箪型形状を有している。具体的には、吸収体6の上層吸収マット6aが当該瓢箪型形状を有している。なお吸収性パッド1では、バックシート5およびカバーシート4も吸収体6と同様の瓢箪型形状を有している。なお、吸収体6の形状は、最も幅狭な位置から前後50mmを幅狭部6Cとする瓢箪型形状や、幅広部が前身頃領域1Fまたは後身頃領域1Rの一方にのみに形成された漏斗状形状であってもよい。吸収体6が漏斗状形状である場合、吸収性パッド1も吸収体6と同様の漏斗状形状である。
【0031】
バックシート5の非肌面側には、カバーシート4が設けられている。カバーシート4には、一般的にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維で構成された不織布が用いられる。カバーシート4は、液透過性であってもよく、液不透過性を有していてもよい。
【0032】
立体ギャザー3L,3Rの起立線3LL,3LRで挟まれた領域の横幅は、下層吸収マット6bの横幅よりも狭い。このため、立体ギャザー3L,3Rの幅方向内側の、着用者の肌面と当接する領域では、吸収体6は2層の吸収マットを有している。
【0033】
サイドシート9L,9Rは、吸収体の幅方向端部の両側を覆っている。サイドシート9L,9Rは、トップシート8に、ホットメルト接着剤で形成された強接着部16L,16R(本願でいう「第2強接着部」の一例)で接着されている。強接着部16L,16Rの幅方向内側に起立線3LL,3LRが形成されており、サイドシート9L,9Rの起立線3LL,3LRの幅方向内側は規制されておらず、自由端となっている。サイドシート9L,9Rは、下層吸収マット6bの幅方向端部付近に対応する部位に形成された起立線3LL,3LRから肌面側に立ち上がる。自由端側には、糸ゴム3BL,3BRが設けられている。吸収性パッド1の着用時、サイドシート9L,9Rの幅方向内側の自由端部は、糸ゴム3BL,3BRの付勢力によって立ち上がり、立体ギャザー3L,3Rとして機能する。なお、強接着部16L,16Rの詳細については後述する。
【0034】
サイドシート9L,9Rは、糸ゴム3BL,3BRが存在する自由端部で折り返されており、糸ゴム3BL,3BRを包み込んでいる。そして、折り返されたサイドシート9L,9Rは、糸ゴム3BL,3BRと起立線3LL,3LRとの間で熱溶着等の方法により接着され、高剛性部3HL,3HRを形成している。糸ゴム3BL,3BRは、自由端と高剛性部3HL,3HRによりその位置ずれを抑制されるため、その付勢力を設計通りに発揮することができる。
【0035】
本実施形態において、立体ギャザー3L,3Rは、高剛性部3HL,3HRにおいて幅方向外側に屈曲している。このため、立体ギャザー3L,3Rは、起立線3LL,3LRの幅方向内側に立ち上がり、高剛性部3HL,3HRが存在する領域を屈曲部分として屈曲し、その自由端側が幅方向外側に向いた形で立ち上がる。このため、立体ギャザー3L,3Rの高剛性部3HL,3HRから自由端部の間は、着用者の肌面に面として当接しやすくなる。立体ギャザー3L,3Rの端部が着用者の肌面に面として当接していると、単に立体ギャザー3L,3Rが一方向に立ち上がり、線として着用者の肌面と当接している場合と比べると、肌当たりが柔らかくなる。また、排出物の横漏れをより効果的に抑制することができる。なお、本実施形態では、屈曲部分の近傍には、収縮部材が付されておらず、立体ギャザー3L,3Rは、自由端部側に存在する糸ゴム3BL,3BRの収縮力によって立ち上がり、その機能を発揮する。
【0036】
より好適には、屈曲部分は、高剛性部3HL,3HRの幅方向端部と一致していることが望ましい。屈曲部分と高剛性部3HL,3HRの幅方向端部が一致していると、立体ギャザー3L,3Rは高剛性部3HL,3HRの端部が折り目となって屈曲しやすくなる。また、サイドシート9L,9Rの肌当たりを向上させるために素材として柔軟な不織布を用いた場合でも、高剛性部3HL,3HRの幅方向端部であれば折り跡が付きやすい。
【0037】
次に、本実施形態に係る吸収性パッド1が備える液体を拡散させるための構造、構成について説明する。図2に示されるように、吸収性パッド1は、液体を流す流路として機能する股下弱接着部10L,10R、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R、14L,14Rと、股下弱接着部10L,10Rの幅方向外側に設けられた強接着部15L,15R(本願でいう「第1強接着部」の一例)と、を備えている。なお、弱接着部および強接着部のいずれもホットメルト接着剤が塗布されることによって形成される。弱接着部では、少量のホットメルト接着剤が塗布され、強接着部では多量のホットメルト接着剤が塗布されている。ここで、弱接着とは、吸収性パッド1の使用時などに接着箇所が剥がれる程度の強度の接着力のことであり、通常、弱接着とされた部位は、吸収性パッド1の着用状態においては非接着状態となる。なお、図2では、股下弱接着部10L,10R、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R、14L,14Rの吸収性パッド1における長手方向の延在領域を図示している。これらの弱接着部の吸収性パッド1における幅方向の長さは、図3図5において図示している。
【0038】
股下弱接着部10L,10Rは、吸収体6の幅狭部6Cの幅方向端部において、吸収性パッド1の長手方向の前後に延在し、サイドシート9L,9Rとバックシート5とが非接着若しくは弱接着である部位である。本実施形態の股下弱接着部10L,10Rでは、サイドシート9L,9Rとバックシート5とが非接着であるとして説明する。図3では、股下弱接着部10L,10Rを点線で囲んで示している。図3に示されるように、股下弱接着部10L,10Rにおいて、サイドシート9L,9Rとバックシート5とが非接着とされている。
【0039】
図4は、吸収性パッド1を図2に示すBB線で幅方向に沿って切断した場合の断面図である。図4では、肌側弱接着部11L,11Rを点線で囲んで示している。肌側弱接着部
11L,11Rは、前身頃領域1F側に設けられている。肌側弱接着部11L,11Rは、幅広部6DFに設けられて吸収性パッド1の長手方向の前後に延在し、吸収体6とサイドシート9L,9Rとが非接着若しくは弱接着である。本実施形態の肌側弱接着部11L,11Rでは、吸収体6とサイドシート9L,9Rとが非接着であるとして説明する。図4に示されるように、肌側弱接着部11L,11Rにおいて、吸収体6とサイドシート9L,9Rとが非接着とされている。なお、肌側弱接着部11L,11Rは、図2に示す股下領域1Bに設けられていてもよい。肌側弱接着部11L,11Rは、吸収体6の延在領域全体に設けられていてもよい。
【0040】
図5は、吸収性パッド1を図2に示すCC線で幅方向に沿って切断した場合の断面図である。図5では、肌側弱接着部13L,13Rを点線で囲んで示している。肌側弱接着部13L,13Rは、後身頃領域1R側に設けられている。肌側弱接着部13L,13Rは、幅広部6DRに設けられて吸収性パッド1の長手方向の前後に延在し、吸収体6とサイドシート9L,9Rとが非接着若しくは弱接着である。本実施形態の肌側弱接着部13L,13Rでは、吸収体6とサイドシート9L,9Rとが非接着であるとして説明する。図5に示されるように、肌側弱接着部13L,13Rにおいて、吸収体6とサイドシート9L,9Rとが非接着とされている。なお、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rは、図2に示す股下領域1Bに設けられていてもよい。肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rは、吸収体6の延在領域全体に一体的に設けられていてもよい。
【0041】
また、図2および図4に示されるように、非肌側弱接着部12L,12Rは、前身頃領域1F側に設けられている。図4では、非肌側弱接着部12L,12Rを点線で囲んで示している。非肌側弱接着部12L,12Rは、幅広部6DFに設けられて吸収性パッド1の長手方向の前後に延在する。より具体的には、非肌側弱接着部12L,12Rは、上層吸収マット6aと下層コアラップシート7bが非接着である部位である。非肌側弱接着部12L,12Rは、吸収体6の一部である上層吸収マット6aの下層吸収マット6bよりも幅広である部分において、下層コアラップシート7bと非接着の部分となる。下層コアラップシート7bは、バックシート5と接着されているが、上層吸収マット6aは、非肌側弱接着部12L,12Rにおいては、下層コアラップシート7bと非接着であるため、バックシート5とも非接着であると言える。
【0042】
また、図2および図5に示されるように、非肌側弱接着部14L,14Rは、後身頃領域1R側に設けられている。図4では、非肌側弱接着部14L,14Rを点線で囲んで示している。非肌側弱接着部14L,14Rは、幅広部6DRに設けられて吸収性パッド1の長手方向の前後に延在する。より具体的には、非肌側弱接着部14L,14Rは、上層吸収マット6aと下層コアラップシート7bが非接着である部位である。非肌側弱接着部14L,14Rは、吸収体6の一部である上層吸収マット6aの下層吸収マット6bよりも幅広である部分において、下層コアラップシート7bと非接着の部分となる。下層コアラップシート7bは、バックシート5と接着されているが、上層吸収マット6aは、非肌側弱接着部14L,14Rにおいては、下層コアラップシート7bと非接着であるため、バックシート5とも非接着であると言える。
【0043】
また、図3および図4に示されるように、股下弱接着部10L,10Rの幅方向外側には、サイドシート9L,9Rとバックシート5とが強接着である強接着部15L,15Rが設けられている。なお、強接着とは、吸収性パッド1の使用状態において非接着とはならない程度以上の強度の接着力のことである。
【0044】
股下弱接着部10L,10Rの幅方向外側には、サイドシート9L,9Rとバックシート5とが強接着である強接着部15L,15Rが設けられているため、股下弱接着部10L,10Rの幅方向外側からの液体の漏出が抑制される。また、強接着部15L,15R
と吸収体6との間の股下弱接着部10L,10Rの領域が中空となり、液体は、吸収体6の左右方向端部から股下弱接着部10L,10Rに漏出し、股下弱接着部10L,10Rを通じて前後方向に移動できる。
【0045】
本実施形態に係る吸収性パッド1において、図2に示されるように、股下弱接着部10L,10Rは、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rおよび非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rのそれぞれと連通している。ここで、連通しているとは、透水性のシートを介して繋がっている場合を含み、液体が両者間を移動可能であることを意味している。吸収性パッド1において、吸収体6に進入した尿などの液体は次のように拡散される。まず、股下弱接着部10L,10Rに進入した液体は、吸収体6の端部に沿って前後方向に流れ、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rまたは非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rに進入する。液体は、いずれの弱接着部に進入しても、弱接着部の一方の部材が吸収体6であるため、当該液体は、吸収体6の幅広部6DF,6DRに進入し、吸収体6によって保持される。
【0046】
仮に、股下弱接着部10L,10Rの前後方向に肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rや非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rが存在しないと、吸収体6の幅広部6DF,6DRに直接水分が進入することになるが、股下弱接着部10L,10Rの長手方向の端部のみから吸収体6の幅広部6DF,6DRに液体が進入することになり、液体の進入が遅くなる。これにより、股下弱接着部10L,10Rに液体が溜まってしまう場合がある。この状態において吸収体6に体圧がかかると、股下弱接着部10L,10Rに溜まった液体がサイドシート9L,9Rを通過して肌面側に漏出する虞がある。
【0047】
本実施形態に係る吸収性パッド1によれば、股下弱接着部10L,10Rが肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rおよび非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rのそれぞれと連通している構成を備えているので、吸収体6の幅広部6DF,6DRの肌面側にも非肌面側にも液体が回り込み、また、股下弱接着部10L,10Rと吸収体6の幅広部6DF,6DRとの連通面積も大きくなることから、吸収体6の幅広部6DF,6DRに液体が進入し易くなる。本実施形態に係る吸収性パッド1によれば、液体の拡散性を向上できる。
【0048】
また、本実施形態に係る吸収性パッド1によれば、股下弱接着部10L,10R、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rによって拡散した液体は、吸収体6の幅広部6DF,6DRの肌面側および非肌面側のいずれからも進入するため、厚み方向全域において吸収体6の幅広部6DF,6DRでの吸水性能を活用することが可能となる。これにより、吸収性パッド1は、吸収体6の厚み方向において水分の偏りを抑制できるため、体圧がかかった際に吸収体6から水分が出にくくなり、サイドシート9L,9Rの耐水圧以上の圧力がかかって液体が漏出したり、幅方向内側に液体が移動してトップシート8を介して液体が肌面側に戻る現象(逆戻り現象)が発生したりするのを抑制できる。
【0049】
また、図4図5に示されるように、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rは、サイドシート9L,9Rの幅方向の内側端部とは重ならない位置に設けられている。吸収性パッド1は、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの幅方向内側に設けられ、トップシート8を介して吸収体6とサイドシート9L,9Rとが強接着である強接着部16L,16Rを備える。肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rに進入した液体が、サイドシート9L,9Rと吸収体6との間を通ってトップシート8が設けられた位置に移動すると、液体が着用者の肌に触れたり、液体がトップシート8の肌面側に漏れたりする虞がある。本実施形態に係る吸収性パッド1は、強接着部16L,16Rを備えているため、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの幅方向内側から液体が漏れるの
を抑制することができる。
【0050】
また、図4図5に示されるように、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの幅方向内側に設けられ、吸収体6とトップシート8とが強接着である強接着部17L,17R(本願でいう「第3強接着部」の一例)を備える。強接着部17L,17Rは、吸収体6とトップシート8とを強固に接着している。吸収体6の幅広部6DF,6DRにおいてトップシート8と吸収体6とが大きく離れてしまうと、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rにトップシート8上に排出された液体が接触し難くなり、これによって、液体が吸収体6に吸収され難くなり、股下領域1Bに液体が戻ってしまうなどし、サイドシート9L,9Rの非透水性性能を超えて水分が外部に漏出してしまう事態を生じる可能性がある。そこで、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの内側に強接着部17L,17Rを設けることによって、液体が吸収体6と接し難くならないようにすることが好ましい。なお、強接着部17L,17Rは、強接着部16L,16Rの吸収性パッド1の幅方向の外側に設けられている。
【0051】
また、図2に示されるように、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rおよび非肌側弱接着部12L,12R、14L,14Rの幅方向外側にまで強接着部15L,15Rが延在している。これにより、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rおよび非肌側弱接着部12L,12R、14L,14Rの幅方向外側からの液体の漏出が抑制される。
【0052】
また、図3図5に示されるように、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの幅方向の長さと、股下弱接着部10L,10Rの幅方向の長さとは、実質的に同じである。吸収体6の幅広部6DF,6DRにおいてサイドシート9L,9Rが吸収体6から大きく離れてしまうと、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rにトップシート8上に排出された液体が接触し難くなり、液体が吸収体6に吸収され難くなる。肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの幅が股下弱接着部10L,10Rの幅よりも狭いと液体が肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rに進入し難くなるため、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rの幅方向の長さと、股下弱接着部10L,10Rの幅方向の長さとは同程度であることが好ましい。
【0053】
また、バックシート5は、トップシート8よりも非透水性能が高い。ここで、図4および図5に示されるように、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rの幅方向の長さは、肌側弱接着部11L,11Rの幅方向の長さよりも長い。吸収性パッド1において、肌面側は肌に接するため、トップシート8には、肌あたりの良いシートを用いることを考慮する必要がある。非透水性能の高いシートであるフィルムは、肌にまとわりつくといった肌あたりの悪さがあり、一般的に肌面側のシート材には採用されない。一方で、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rと吸収体6の上層吸収マット6aとの接触面積が広い方が、水分の吸収体への吸収速度を早めることができ、吸収体6に吸収されていない液体が存在することによる上述の問題を防ぐことが可能となる。本実施形態のように、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rと幅広部6DF,6DRにおける上層吸収マット6aとの接触面積を広く形成することが好ましい。このような構成を採用することで、吸収性パッド1は、吸収体6において非肌面側に多くの水分を存在させることもでき、吸収体6に体圧がかかって液体が絞り出された場合、肌面側に多くの液体が存在している場合と比べ、肌面側に液体が出てしまうのを抑制できる。
【0054】
図4および図5に示されるように、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rが存在する領域においては、上層吸収マット6aが配置され、下層吸収マット6bが配置されておらず、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rの幅方向の内側端部は、下層吸収マット6bと接している。この構成によれば、下層吸収マット6bの幅方向端部の
厚みによって、非肌側弱接着部12L,12R,14L,14R及びその近傍のバックシート5と上層吸収マット6aとの間には隙間が形成される。これにより、股下弱接着部10L,10Rからの液体が非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rに流れやすくなる。また、下層吸収マット6bとバックシート5とは下層コアラップシート7bを介して強接着で接着されていてもよい。この場合に、上層吸収マット6aが下層コアラップシート7bを介してバックシート5にわずかに接着されたとしても、下層吸収マット6bの厚みによって上層吸収マット6aとバックシート5との間には隙間が形成されているので、上層吸収マット6aをバックシート5から引き剥がしやすくなる。
【0055】
また、図2に示されるように、サイドシート9L,9Rおよびバックシート5は、吸収体6の長手方向の端部よりも当該長手方向の外側に延在している。なお、当該長手方向は、吸収性パッド1の長手方向のことである。サイドシート9L,9Rおよびバックシート5は、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rおよび非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rのそれぞれの長手方向の端部が外部と連通しないように互いに接着されている。これにより、吸収性パッド1は、肌側弱接着部11L,11R,13L,13Rおよび非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rを通る液体が外部に漏れることを抑制できる。
【0056】
<変形例1>
次に、本実施形態の変形例1に係る吸収性パッドについて説明する。図6は、変形例1に係る吸収性パッドを肌面側から視た平面図である。肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rは、吸収体6の長手方向端部まで延在している。なお、当該長手方向は、吸収性パッド1の長手方向のことでもある。また、吸収性パッド1は、吸収体6の長手方向端部に隣接するサイドシート9L,9Rおよびバックシート5が互いに非接着である非接着部18を備える。図6に示されるように、非接着部18は、4箇所設けられており、吸収性パッド1を肌面側から平面視した状態で、各非接着部18は、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rの各々の延長線状に配置されている。肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rと、非接着部18とは連通している。なお、ここでの連通とは両者間を空気が移動可能であることである。吸収性パッド1は、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14R内の空気を非接着部18から外部に排出し、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rに液体を導入し易くなる。例えば、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rに空気が詰まって液体が弱接着部に導入されないと、液体を拡散することができず、液体が吸収体6の肌面側に漏出する虞がある。本変形例によれば、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rから非接着部18を介して空気を排出することで、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rに液体を導入し、液体を拡散することができる。
【0057】
なお、本変形例では、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rが吸収体6の長手方向端部まで延在しているが、当該長手方向まで延在する弱接着部は、肌側および非肌側の弱接着部の少なくともいずれか一方であってもよい。吸収体6の長手方向端部まで延在する弱接着部と、非接着部18とが連通していればよい。
【0058】
<変形例2>
次に、本実施形態の変形例2に係る吸収性パッドについて説明する。図7は、変形例2
に係る吸収性パッドを肌面側から視た平面図である。本変形例において、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rは、幅方向外側に向かって延在している。このように、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rは、吸収性パッド1の長手方向に対して斜めに延在していてもよい。また、本変形例においても、肌側弱接着部11L,11R,13L,13R、および非肌側弱接着部12L,12R,14L,14Rは、吸収性パッド1の長手方向の成分を有するように前後延在している。なお、股下弱接着部10L,10Rと、強接着部15L,15Rも、長手方向に対して斜めに延在していてもよい。股下弱接着部10L,10Rと、強接着部15L,15Rは、吸収性パッド1の長手方向の成分を有するように前後に延在していればよい。
【0059】
以上、本発明の特徴について実施の形態を説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。
【0060】
本実施形態では交換式の吸収性パッドを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、本発明は、乳幼児用または大人用のパンツ型のおむつや、乳幼児用または大人用のテープ型のおむつについても適用可能である。
【0061】
以上で開示した各実施形態やその変形例に含まれる特徴は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・吸収性パッド
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
3BL,3BR・・糸ゴム
3HL,3HR・・高剛性部
3L,3R・・立体ギャザー
3LL,3LR・・起立線
4・・カバーシート
5・・バックシート
6・・吸収体
7・・コアラップシート
8・・トップシート
9L,9R・・サイドシート
10L,10R・・股下弱接着部
11L,11R,13L,13R・・肌側弱接着部
12L,12R,14L,14R・・非肌側弱接着部
15L,15R、16L,16R、17L,17R・・強接着部
18・・非接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7