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特開2024-86720現像剤リフレッシュモード制御を伴う現像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086720
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】現像剤リフレッシュモード制御を伴う現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G03G15/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172377
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】岩田 尚也
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 皓一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 和彦
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA01
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AD24
2H077AE06
2H077BA02
2H077BA03
2H077DA10
2H077DA12
2H077DA13
2H077DA15
2H077DA20
2H077DA42
2H077DB25
2H077EA03
2H077GA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】現像剤のキャリアにトナーの外添剤が付着することがあり、外添剤がキャリアの表面に付着することによる現像剤の帯電付与能力の低下を抑制する。
【解決手段】一態様の画像形成装置は、トナー像を形成する表面を有する感光体と、トナー及びキャリアを含む現像剤を供給するオーガーを有する現像装置と、現像装置におけるトナーの残量が閾値より小さくなったことに基づいてオーガーを駆動させることにより、キャリアリフレッシュモードの実行を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する表面を有する感光体と、
トナー及びキャリアを含む現像剤を供給するオーガーを有する現像装置と、
前記現像装置におけるトナーの残量が閾値より小さくなったことに基づいて前記オーガーを駆動させることにより、キャリアリフレッシュモードの実行を制御する制御部と、
を備える、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記現像装置のトナーを前記感光体に移動させて前記現像装置におけるキャリアに対するトナーの混合比を低減させるトナー消費モードを実行した状態で前記キャリアリフレッシュモードを実行する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像装置は、前記オーガーから前記現像剤が供給される現像ローラを有し、
前記キャリアリフレッシュモードでは、前記現像ローラの回転に伴ってキャリアの表面が削られる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置は、前記キャリアリフレッシュモードにおいてキャリアから削られた外添剤を収容する外添剤収容部を有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、前記外添剤収容部に外添剤を吸引する吸引装置が接続される、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、印刷媒体への画像の形成を行う印刷ジョブがないときに前記キャリアリフレッシュモード及び前記トナー消費モードを実行する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷媒体に画像を形成するときのドット数をカウントするドットカウント部を備え、
前記制御部は、印刷媒体の画像からカウントされたドット数、又は前記現像装置におけるトナーの濃度が閾値を超えたときに、前記キャリアリフレッシュモードを実行する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像装置にトナーを供給するトナーカートリッジを備え、
前記制御部は、前記トナーカートリッジの動作時間がカートリッジ動作時間閾値を超えたときに、前記キャリアリフレッシュモードを実行する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記キャリアリフレッシュモードの実行回数が一定回数以上であるときにアラートを出力する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
トナー像を形成する表面を有する感光体と、
トナー及びキャリアを含む現像剤を供給するオーガーを有する現像装置と、
前記現像装置におけるトナーの残量に基づいてトナーを前記感光体に移動させることにより、トナー消費モードの実行を制御し、且つ、前記オーガーを駆動させることによってキャリアリフレッシュモードの実行を制御する制御部と、
を備える、
画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を形成する表面を有する感光体と、
トナー及びキャリアを含む現像剤を供給するオーガーを有する現像装置と、
前記感光体から前記現像装置の前記オーガーにトナーを移動させるトナーリターン経路と、
前記現像装置におけるトナーの残量に基づいてトナーを前記感光体及び前記トナーリターン経路に移動させることにより、トナー消費モードの実行を制御し、且つ、前記オーガーを駆動させることによってキャリアリフレッシュモードの実行を制御する制御部と、
を備える、
画像形成装置。
【請求項12】
前記感光体の表面に残存するトナーを除去するクリーナを備え、
前記クリーナが前記トナーリターン経路を有する、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記クリーナは、筒状を呈するトナー搬送経路と、前記トナー搬送経路の内部において回転することによってトナーを前記トナーリターン経路に搬送する搬送部材とを有し、
前記制御部は、前記トナー消費モードであるときの前記搬送部材の回転速度を前記トナー消費モードでないときの前記搬送部材の回転速度よりも遅くするように前記搬送部材の回転を制御する、
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記クリーナは、前記トナー搬送経路の軸線に沿って延びる搬送方向に延在する2本の前記搬送部材と、2本の前記搬送部材の間に位置する仕切り壁とを有し、
2本の前記搬送部材のうちの一方は、前記搬送方向の端部までトナーを搬送し、
2本の前記搬送部材のうちの他方は、前記搬送方向の端部まで搬送されたトナーを前記搬送方向の反対方向に搬送し、前記反対方向の端部まで前記トナーを搬送する、
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記キャリアリフレッシュモードにおいて前記トナーリターン経路から前記現像装置へのトナーの移動を停止させる、
請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画像形成装置は、トナー及びキャリアを含む現像剤を撹拌する現像装置と、現像剤のうちのトナーからトナー像を形成する感光体とを備える。現像装置は、現像剤を撹拌するオーガーと、撹拌された現像剤を保持する現像ローラとを有する。画像形成装置は、更に、感光体の表面に残存する過剰なトナーを除去するクリーナを有する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1図1は、本明細書に開示された種々の例を実施するために使用することができる画像形成装置の概略図である。
図2図2は、図1の画像形成装置におけるクリーナの断面を模式的に示す図である。
図3図3は、図1の画像形成装置におけるトナーリターン経路の断面を模式的に示す図である。
図4図4は、キャリアリフレッシュモードの実行方法における工程の例を示すフローチャートである。
図5図5は、キャリアに対するトナーの比率と電圧値との関係の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る画像形成装置の種々の例について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0004】
本開示に係る画像形成装置は、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像装置と、トナー像を形成する表面を有する感光体と、感光体から現像装置にトナーを移動させるトナーリターン経路とを備える。現像装置は、現像剤を搬送するオーガーと、オーガーによって搬送された現像剤を保持する現像ローラとを有する。例えば、画像形成装置は、感光体の表面に残存するトナーを回収するクリーナを有する。クリーナによって回収されたトナーは、トナーリターン経路を介して現像装置に戻される。
【0005】
例えば、画像形成装置は、キャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードの実行を制御する制御部を備える。トナー消費モードでは、例えば、クリーナにおけるトナーの搬送速度を低下させ、現像装置は印刷時(通常印刷時)と同等のバイアスを印加した状態で、且つ同等以上の速さで現像ローラを回転させて、感光体上の画像を印刷する。これにより、現像装置からトナーが排出されると共にクリーナから現像装置へのトナーの戻りが遅くなるので、現像装置の内部におけるトナーのキャリアに対する混合比(以下ではトナーキャリア混合比と称することもある)が低下する。
【0006】
ところで、現像装置の長寿命化のための方法として現像剤の寿命を延長させることが挙げられる。現像剤の寿命は、現像剤の帯電付与能力によって示される。しかしながら、現像剤のキャリアにトナーの外添剤が付着することがあり、外添剤がキャリアの表面に付着すると現像剤の帯電付与能力が低下する場合がある。外添剤は、例えば、トナーに外添されていたシリカ(Si)である。シリカがキャリアの表面に付着すると、その付着量に応じてキャリアの帯電性能が低下する。
【0007】
前述したキャリアリフレッシュモードでは、現像装置の内部におけるトナーキャリア混合比が低下した状態で現像ローラを回転させることにより、キャリアの表面に付着した外添剤を削り取ることが可能である。キャリアから外添剤を削り取ることによってキャリアの帯電性能を回復させることができるので、現像剤及び現像装置を長寿命化させることができる。より具体的には、現像装置の内部におけるトナーキャリア混合比が低下すると、キャリアの表面が現れた状態を作り出すことができる。
【0008】
図1は、一例としての画像形成装置1を示す模式図である。画像形成装置1は、感光体10と、現像装置20と、転写装置30とを有する。感光体10は、静電潜像担持体である。感光体10は、感光体ドラムであってもよい。感光体10は、トナー像を形成するための静電潜像を形成する。例えば、画像形成装置1は、帯電装置40と、クリーナ50とを有する。帯電装置40及びクリーナ50は、感光体10の表面11に対向する位置に配置されている。帯電装置40は、感光体10の表面11を所定の電位に帯電させる。
【0009】
現像装置20では、現像剤として、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤が用いられる。本開示において、現像剤とは、トナー及びキャリアの双方を含む現像剤を示している。現像装置20では、トナーとキャリアが所望の混合比となるように調整される。トナーとキャリアが混合撹拌されるとトナーが均一に分散し、最適な帯電量が付与された現像剤が調整される。
【0010】
例えば、画像形成装置1は、現像装置20にトナーを供給するトナーカートリッジ60を備える。現像装置20は、トナーカートリッジ60からトナーの供給を受けて、感光体10の表面11に形成されたトナー像を形成する。現像装置20は、感光体10の表面11にトナーを供給する現像ローラ21を有する。現像ローラ21が感光体10の表面11にトナーを供給することにより、感光体10の表面11に形成された静電潜像が現像される。これにより、感光体10の表面11に、静電潜像に対応したトナー像、つまり、紙等の印刷媒体に形成する画像に応じたトナー像が形成される。
【0011】
例えば、現像装置20は、現像剤を収容する収容領域20Aと、収容領域20Aに現像剤を搬送する搬送領域20Bとを有する。収容領域20Aは、搬送領域20Bよりも感光体10寄りの位置に設けられる。現像装置20は、前述した現像ローラ21の他に、現像ローラ21に現像剤を供給するオーガー22を備える。オーガー22は、トナー及びキャリアを含む現像剤を現像ローラ21に供給する。
【0012】
オーガー22は、現像剤を撹拌しながら搬送する撹拌搬送部材に相当する。例えば、現像装置20は複数本のオーガー22を備えており、複数のオーガー22はサプライオーガー23及びアドミクスオーガー24を含む。サプライオーガー23は現像ローラ21に現像剤を供給する。アドミクスオーガー24は、サプライオーガー23に平行に延在し、且つサプライオーガー23から見て現像ローラ21とは反対側に配置されている。
【0013】
現像ローラ21及びサプライオーガー23は、現像装置20の収容領域20Aに収容されている。アドミクスオーガー24は、現像装置20の搬送領域20Bに収容されている。現像装置20は、収容領域20Aと搬送領域20Bを仕切る壁部25と、サプライオーガー23の軸線方向(図1の紙面に直交する方向)における壁部25の端部に位置する開口とを有し、この開口を介して搬送領域20Bの現像剤が収容領域20Aに移動する。但し、上記の開口にはアドミクスオーガー24によって搬送された現像剤が溜まっていることが多いので、収容領域20A及び搬送領域20Bの間では高い気密性が確保される。
【0014】
収容領域20Aにおいてサプライオーガー23によって撹拌された現像剤は、現像ローラ21によって保持される。現像装置20は、例えば、アドミクスオーガー24に対向する位置に配置されたTCセンサ26を備える。TCセンサ26は、現像装置20の内部に収容された現像剤の濃度を検出する。例えば、TCセンサ26は、現像剤の透磁率からトナーキャリア混合比を検出する透磁率センサである。
【0015】
現像装置20は、キャリアから削られた外添剤を収容する外添剤収容部27を有する。キャリアから削られた外添剤は、現像ローラ21の回転によって生じる遠心力により、現像ローラ21から飛散する。外添剤収容部27は、例えば、現像ローラ21の回転方向Rにおける下流側に設けられる。より具体的には、現像装置20は、現像ローラ21の回転方向Rの下流側に配置された第1壁部28及び第2壁部29を有し、第1壁部28と第2壁部29の間に外添剤収容部27が設けられている。第1壁部28は感光体10に対向する第1端部28bを有し、第2壁部29は感光体10に対向する第2端部29bを有する。
【0016】
外添剤収容部27は、第1端部28b及び第2端部29bによって画成された開口27bを有し、開口27bから外添剤を受け入れる。現像装置20は、外添剤収容部27に外添剤を吸引する吸引装置27cが接続される。吸引装置27cは、例えば、現像装置20の外壁面に設置される。具体例として、現像装置20の当該外壁面にはフィルタが設けられており、吸引装置27cは当該フィルタの外側に配置されている。吸引装置27cは、例えば、ファンである。この場合、吸引装置27cが回転することによって、現像ローラ21から浮遊した外添剤が開口27bから外添剤収容部27の内部に進入し、この外添剤が外添剤収容部27の内部に収容される。
【0017】
転写装置30は、現像装置20により感光体10に現像されたトナー像を印刷媒体に転写する。一例として、転写装置30は転写ローラ31を含む。転写ローラ31は、例えば、感光体10の軸線と平行に延びる軸線を有する。転写ローラ31の表面32と感光体10の表面11とは互いに接触し、転写ローラ31及び感光体10の間に転写領域が形成される。転写ローラ31は、感光体10の表面11に形成されたトナー像が印刷媒体に転写されるように、転写領域に搬送された印刷媒体に電界を印加する。トナー像は、転写ローラ31によって、転写領域に搬送された印刷媒体に転写される。更に、画像形成装置1は、転写装置30とクリーナ50との間に配置された光学センサ45を備える。光学センサ45は、後述するパッチにおけるトナーの濃度を測定するために設けられる。
【0018】
クリーナ50は、感光体10の表面11に残存するトナーを除去する。すなわち、クリーナ50は、印刷媒体に転写されずに感光体10の表面11に残ったトナーを回収する。クリーナ50は、回収したトナーの一時貯蔵スペースとして用いられる。クリーナ50はブレード51を有する。ブレード51が感光体10の表面11に残存しているトナーを掻き取ることによって、クリーナ50は感光体10からトナーを除去してトナーを回収する。ブレード51は、感光体10の表面11に接触するように、画像形成装置1の筐体に固定されている。
【0019】
図2は、クリーナ50の内部構造を模式的に示す図である。図1及び図2に示されるように、クリーナ50は、筒状を呈するトナー搬送経路52と、トナー搬送経路52の内部においてトナーを搬送する搬送部材53とを有する。例えば、クリーナ50は、トナー搬送経路52の軸線に沿って延びる搬送方向D1に延在する2本の搬送部材53と、2本の搬送部材53の間に位置する仕切り壁54とを有する。2本の搬送部材53のうちの一方は、搬送方向D1の端部までトナーを搬送する。2本の搬送部材53のうちの他方は、搬送方向D1の端部まで搬送されたトナーを搬送方向D1の反対方向D2に搬送し、反対方向D2の端部までトナーを搬送する。
【0020】
クリーナ50は、感光体10から現像装置20のオーガー22にトナーを移動させるトナーリターン経路70を有する。図3は、トナーリターン経路70の断面を模式的に示す図である。図3に示されるように、トナーリターン経路70は、トナー搬送経路52と現像装置20の搬送領域20Bとを連接する。例えば、トナーリターン経路70は、トナー搬送経路52からクリーナ50の外部に延び出している。トナーリターン経路70は、トナー搬送経路52の端部52bに入口71を有する。例えば、トナー搬送経路52は、現像装置20に向かって突出する筒部52cを有し、筒部52cがトナーリターン経路70に嵌め込まれている。
【0021】
トナーリターン経路70は、例えば、トナー搬送経路52から現像装置20まで延びる筒状部72と、筒状部72の内部に配置されており筒状部72の内部を通るトナーを崩すバネ部を含むトナー崩し部材73とを有する。筒状部72は、クリーナ50から現像装置20にトナーを供給する経路を画成する筒状体である。トナー崩し部材73は、一例として、巻線が螺旋状に形成されたコイルスプリングである。
【0022】
図1に示されるように、画像形成装置1は、現像装置20及びクリーナ50を制御する制御部80を有する。制御部80は、例えば、キャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードを実行する。制御部80は、トナーが消費されて現像装置20におけるトナーの残量が閾値より小さくなったことに基づいてオーガー22を駆動させることにより、キャリアリフレッシュモードの実行を制御する。トナーの残量とは、例えば、現像装置20の内部に残されたトナーの量、又は現像装置20の内部におけるトナーキャリア混合比を示している。現像装置20におけるトナーの残量を算出する方法の1つとして、後述するようにトナーの濃度を測定する方法が挙げられる。しかしながら、現像装置20におけるトナーの残量を算出する方法は、トナーの濃度を測定する方法に限定されない。
【0023】
例えば、制御部80は、入力された画像情報(印刷物の情報)に応じてドット数をカウントするドットカウント部を有する。制御部80は、印刷媒体の画像からカウントされたドット数、又は現像装置20におけるトナーの濃度が閾値を超えたときに、キャリアリフレッシュモードを実行する。制御部80は、画像からカウントされたドット数が閾値を超えたときにキャリアリフレッシュモードを実行してもよい。制御部80は、現像装置20におけるトナーの濃度が閾値を超えたときにキャリアリフレッシュモードを実行してもよい。また、制御部80は、印刷媒体の画像からカウントされたドット数が閾値を超え、且つ現像装置20におけるトナーの濃度が閾値を超えたときにキャリアリフレッシュモードを実行してもよい。この場合、キャリアリフレッシュモードの実行条件をより高精度に設定することができる。また、制御部80は、トナーカートリッジ60の動作時間が所定のカートリッジ動作時間閾値を超えたときに、キャリアリフレッシュモード及び前記トナー消費モードを実行してもよい。
【0024】
キャリアリフレッシュモードとは、現像装置20の内部におけるトナーキャリア混合比が低い状態において現像ローラ21を回転させることにより、キャリアから外添剤を除去するモードである。制御部80は、キャリアリフレッシュモードにおいてトナー搬送経路52から現像装置20へのトナーの移動を停止させてもよい。キャリアリフレッシュモードは、例えば、印刷媒体への画像の形成が行われていないときに実行される。キャリアリフレッシュモードでは、現像装置20の内部における現像剤のトナーキャリア混合比が低減された状態で現像ローラ21が回転することにより、キャリアの表面が削られる。
【0025】
トナー消費モードとは、現像装置20のトナーを感光体10に移動させて現像装置20におけるトナーキャリア混合比を低減させるモードである。制御部80は、トナー消費モードであるときの搬送部材53の回転速度を、トナー消費モードでないときの搬送部材53の回転速度よりも遅くするように搬送部材53の回転を制御する。制御部80は、トナー消費モードを実行することによって、現像装置20のトナーを感光体10に移動させて現像装置20におけるトナーキャリア混合比を低減させる。また、制御部80は、トナー消費モードを実行した状態でキャリアリフレッシュモードを実行する。これにより、キャリアリフレッシュモードでは、現像ローラ21の回転に伴ってキャリアの表面が削られて、キャリアから外添剤が除去される。例えば、制御部80は、印刷媒体への画像の形成を行う印刷ジョブがないときにキャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードを実行する。制御部80は、キャリアリフレッシュモードの実行回数が一定回数以上であるときにアラートを出力する。アラートは、例えば、現像装置20の交換を促す旨のアラートである。
【0026】
次に、制御部80によるキャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードの制御方法の例について図4のフローチャートを参照しながら説明する。前述したように、キャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードは、印刷ジョブがないときに実行される。より具体的には、印刷ジョブの終了後、及び夜間のいずれかに実行される。まず、制御部80は、画像形成装置1におけるトナーの消費量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS1)。トナーの消費量が多いことは、キャリアに外添剤が付着してキャリアが汚染されている可能性が高いことを示している。例えば、制御部80は、印刷ドット数をカウントし、カウントした印刷ドット数が一定値以上であるときに、トナーの消費量が閾値以上であると判定する。また、制御部80は、トナーカートリッジ60の稼動時間を積算し、積算したトナーカートリッジ60の稼動時間が一定時間以上であるときに、トナーの消費量が閾値以上であると判定してもよい。
【0027】
ステップS1において、トナーの消費量が閾値以上でないと制御部80が判定したときに、一連の工程を終了する。ステップS1において、トナーの消費量が閾値以上であると判定したときに、制御部80は、キャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードを実行する(ステップS2)。このとき、トナーカートリッジ60から現像装置20へのトナーの補給を停止すると共に、現像装置20が現像を行って現像剤のうちのトナーを感光体10及びクリーナ50に送り込む。
【0028】
そして、クリーナ50の搬送部材53の回転速度を印刷時よりも遅くする。これにより、クリーナ50から現像装置20へのトナーの戻りが遅くなるので、現像装置20におけるトナーキャリア混合比が減少する。例えば、現像装置20における印刷時のトナーキャリア混合比は5%以上且つ7%以下であり、現像装置20におけるキャリアリフレッシュモード時のトナーキャリア混合比は1.5%以上且つ3.5%以下である。
【0029】
キャリアリフレッシュモード時の現像では、例えば、印刷時よりも薄いトナー像を形成する。そして、バイアス設定を印刷時よりも低い値とする。より具体的には、帯電装置40の帯電電圧と現像装置20への現像電圧(現像バイアス)との電位差であるクリーニングフィールドVclnの値を低下させる。図5に示されるように、Vclnの値とトナーキャリア混合比との間には相関がある。トナーキャリア混合比を一定としたときにVclnの値が所定値を超えると、キャリアが現像装置20から感光体10に飛散する現象が発生する。この現象は、図5のグラフの曲線より上側の領域において発生する。制御部80は、この現象の発生を抑制するために、Vclnの値を印刷時よりも低下させる。具体例として、Vclnの値を120V以下に低下させる。これにより、現像装置20から感光体10にキャリアが移動することを抑制できる。
【0030】
現像装置20におけるトナーキャリア混合比を印刷時よりも低下させた状態で現像ローラ21が回転すると、キャリアから外添剤が擦り取られる。この外添剤は現像ローラ21から遊離して外添剤収容部27に入り込む。このとき、吸引装置27cを動作させて外添剤収容部27への外添剤の吸引を行ってもよい。以上のように、現像装置20においてキャリアから外添剤が除去されることによってキャリアがリフレッシュされる。
【0031】
そして、制御部80は、キャリアリフレッシュモードの実行回数をカウントアップする(ステップS3)。キャリアリフレッシュモードが終了した後には、Vclnの値を印刷時と同一の値にすると共に、搬送部材53の回転速度を印刷時と同一の速度にしてクリーナ50のトナーを現像装置20に戻す。これにより、現像装置20のトナーキャリア混合比をキャリアリフレッシュモードの実行前の状態に戻して、TCセンサ26によってトナーキャリア混合比が戻ったことを確認する。
【0032】
その後、制御部80は、定電位のパッチを作成する(ステップS4)。このとき、定電位設定で作像されたパッチが作成される。そして、光学センサ45が当該パッチにおけるトナー像の濃度を検出する。このトナー像の濃度は、現像剤の帯電量Q/Mと相関がある。帯電量Q/Mは、現像剤の帯電電荷量(Q)と質量(M)との比を示している。現像剤の帯電量と当該トナー像の濃度とは略線形の関係にある。すなわち、当該トナー像の濃度が低いほど現像剤の帯電量は大きくなっており、当該トナー像の濃度が高いほど現像剤の帯電量は小さくなっている。光学センサ45が当該トナー像の濃度を検出して現像剤の帯電量を算出することによって現像剤の劣化(帯電量の低下)を検出できる。ステップS5では、制御部80が当該トナー像の読み取り濃度が規定値以下であるか否かを判定することにより、現像剤の帯電量が所定値以上であるか否かを判定する。
【0033】
ステップS5において、制御部80は、定電位で作像されたパッチのトナー像の濃度が規定値以下であると判定したときにはキャリアリフレッシュモードの実行回数をリセットして(ステップS6)、一連の工程が終了する。ステップS5において、制御部80は、定電位で作像されたパッチのトナー像の濃度が規定値以下でないと判定したときにはキャリアリフレッシュモードの実行回数がN回(但しNは2以上の自然数)未満であるか否かを判定する(ステップS7)。一例としてNの値は2である。
【0034】
ステップS7において、制御部80は、キャリアリフレッシュモードの実行回数がN回未満であると判定したときには再度キャリアリフレッシュモードを実行する(ステップS2)。ステップS7において、制御部80は、キャリアリフレッシュモードの実行回数がN回未満でないと判定したときには、例えば現像装置20の交換を促すアラートを出力する(ステップS8)。その後、一連の工程が終了する。
【0035】
次に、画像形成装置1から得られる作用効果について説明する。制御部80は、現像装置20におけるトナーの残量が閾値より小さくなったことに基づいてオーガー22を駆動させることにより、キャリアリフレッシュモードの実行を制御する。キャリアリフレッシュモードは、トナー消費モードによって現像装置20におけるトナーキャリア混合比が低減した状態で実行される。従って、オーガー22の駆動、及び現像ローラ21の回転によって、現像装置20のキャリアから外添剤を削って外添剤を除去することができる。その結果、キャリアをリフレッシュすることができるので、現像剤及び現像装置20を長寿命化させることができる。
【0036】
現像装置20は、キャリアから削られた外添剤を収容する外添剤収容部27を有する。従って、キャリアから削り取った外添剤を外添剤収容部27にため込むことができる。現像装置20は、外添剤収容部27に外添剤を吸引する吸引装置27cが接続される。よって、現像ローラ21から飛散した外添剤を吸引して外添剤収容部27にため込むことができる。制御部80は、キャリアリフレッシュモードの実行回数が一定回数(例えばN回)以上であるときにアラートを出力する。このアラートによって現像装置20の交換を促すことができる。
【0037】
制御部80は、印刷ジョブがないときにキャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードを実行する。従って、キャリアのリフレッシュを通常の印刷時でないタイミングで行うことができる。前述したように、制御部80は、ドットカウント部を備え、ドットカウント部によってカウントされたドット数が閾値を超えたときにキャリアリフレッシュモード及びトナー消費モードを実行してもよい。この場合、トナーの消費量が閾値以上となった適切なタイミングでキャリアのリフレッシュを行うことができる。また、制御部80は、トナーカートリッジ60の動作時間がカートリッジ動作時間閾値を超えたときにキャリアリフレッシュモードを実行してもよい。このように、トナーの消費量をトナーカートリッジ60の動作時間から判定することも可能である。
【0038】
画像形成装置1は、感光体10の表面11に残存するトナーを除去するクリーナ50を備え、クリーナ50は、搬送したトナーを現像装置20に戻すトナーリターン経路70を有する。制御部80は、キャリアリフレッシュモードにおいてトナーリターン経路70から現像装置20へのトナーの移動を停止させてもよい。この場合、現像装置20のトナーキャリア混合比を低下させることができる。制御部80は、トナー消費モードであるときの搬送部材53の回転速度を印刷時の搬送部材53の回転速度よりも遅くするように搬送部材53の回転を制御する。クリーナ50の搬送部材53の回転速度を遅くすることによってクリーナ50の中にトナーをため込むことができるので、現像装置20へのトナーの戻りを遅くして現像装置20のトナーキャリア混合比を低下させることができる。
【0039】
更に、クリーナ50は、2本の搬送部材53と、仕切り壁54とを有し、一方の搬送部材53は搬送方向D1の端部までトナーを搬送する。そして、他方の搬送部材53は搬送方向D1の反対方向D2にトナーを搬送し、反対方向D2の端部までトナーを搬送する。従って、クリーナ50の内部に長時間トナーをため込むことができるので、現像装置20のトナーキャリア混合比をより確実に低下させることができる。
【0040】
以上、本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。
【0041】
例えば、上記では、制御部80が、トナーカートリッジ60の稼動時間を積算し、積算したトナーカートリッジ60の稼動時間が一定時間以上であるときに、トナーの消費量が閾値以上であると判定する例について説明した。しかしながら、制御部80は、トナーカートリッジ60の重量が一定値以下であるときに、トナーの消費量が閾値以上であると判定してもよい。また、制御部80は、トナーカートリッジ60のトルクが一定値以上であるときに、トナーの消費量が閾値以上であると判定してもよい。このように、トナーの消費量の判定方法は、適宜変更可能である。以上のように、ここに請求される保護主題の精神及び範囲に包含される全ての修正及び変形を請求する。
図1
図2
図3
図4
図5